火曜日, 10月 6, 2026
ホームつくば冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

冬以降、区域会議立ち上げ【スーパーシティって何@つくば】4

国のスーパーシティ構想のモデルは、世界的IT企業アリババが中国の杭州市で行っている未来都市や、グーグルがカナダのトロントでやろうとしてできなかった都市構想だと、内閣府スーパーシティ専門調査会委員の竹中平蔵慶応義塾大名誉教授は同委員会で述べる。

今回、第1号のスーパーシティには、「インターネット投票」を看板事業に掲げるつくば市と、大阪万博での「空飛ぶ車」の実現を掲げる大阪府・大阪市の2市が選ばれた。さらに岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市の3市町がデジタル田園健康特区に選ばれている。

選んだ基準について国の専門委員会は、指定したはいいけれど、その後全然実現しないということがないよう、規制省庁と概ね合意した項目が複数があること、合意はしてないが今後議論が可能な程度に具体化した項目が相当数あることなど、規制改革に対する熟度の高い自治体を選んだとする。

なお国は、スーパーシティ特区の規制改革を利用しなくても、できることはどんどんやってほしいという立場だ。例えば今年、道路交通法が改正され、来年から自動配送ロボットなどの公道走行が加速するとみられている。できることは、つくばスマートシティ協議会(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組む方針だ。

今後のスケジュールは、今年冬以降、国と市、事業者などで区域会議を立ち上げる。実際にどのような事業を行うかは区域計画(基本構想)を策定して決める。応募にあたってつくば市は、公募により50事業者と連携し事業計画をつくった。実際の事業者は改めて公募し、事業を実施する費用は、国の補助金などを活用しながら事業者や利用者が負担するとみられる。

議会議決で住民同意も

区域計画の作成は、住民や利害関係者の意向を踏まえることが必要になる。昨年5月の国のヒヤリングで五十嵐立青市長は「(インターネット投票による)住民投票で、住民がこの計画に賛同するのかどうか確認していきたい」としていたが、今年6月に開かれた市議会全員協議会ではトーンダウン。森祐介政策イノベーション部長(当時)は「住民投票や議会の議決などいくつかの方法がある」とした。スマートシティ戦略課によると「区域会議の素案に盛り込む規制の特例措置の性質によって、対象となる住民の範囲等が変わるため、住民同意の確認方法も様々にあり得る」とし「規制の特例措置の内容によっては、議会の議決など住民投票以外の方法もあり得る」のだという。

市は国に23項目の規制緩和を提案している=メモ=。その一つに、行政が保有する個人情報を個人が特定できないように加工して提供するなどの取り組みがある。国のヒヤリングで森部長は「加工の都度、100%賛成の住民同意をとることは非現実的」「基本構想を策定する中で、賛同していただけるのかどうか確認していきたい。反対もゼロにはならないと思っているが、何割が賛成したらやっていくのかということは区域会議の中で内閣府の意見などもいただきながら決めていきたい」とする。

個人情報保護 仕組みづくりはこれから

スーパーシティは、行政や企業、個人がもつさまざまなデータを活用してサービスを展開する。事業者がさまざまなデータを活用するためには、それぞれがもつデータを「データ連携基盤」というデータを共有する仕組みと連動させて、事業者がさまざまなデータを活用できるようにすることが必要になる。

つくば市の場合、データ連携基盤は、つくばスマートシティ協議会メンバーのNECが2021年度に3400万円で開発した。欧州で開発されたFIWARE(ファイウェア)に準拠した基盤だ。

データ連携基盤は、エストニアのXロードが国際的に高く評価されている。企業がXロードにアクセスした場合、記録が残る。市民は、自分の個人情報のどのような内容を、だれが、いつ、どのような理由で閲覧したり利用したのか、アクセル履歴をチェックできるとされる。

つくば市が導入を決めたNECのデータ連携基盤はどのようなものになるのか。同課は、今回開発したデータ連携基盤は個人情報を取り扱う機能はなく、オープンデータのみを扱うとする。市民の医療健康情報などの個人情報を取り扱う場合は、今後、別のデータ連携基盤をつくり、他のサービスとは接続させないとする。

さらに個人情報の収集や活用にあたっては、市独自の倫理チェックリストをつくる。加えて、プライバシーへの影響を評価し、システムづくりや運用を適正に行うことを促す「プライバシー影響評価(PIA)」を実施するとしている。個人情報の収集から利用、保管、廃棄までのプロセスのリスクを分析し、システム構築前に対策を準備する手法だという。PIAのモデルポリシーを策定し自治体をサポートしている世界経済フォーラムの第4次産業革命日本センターから助言を受ける予定だが、個人情報保護に関する具体的な検討はこれからだ。(鈴木宏子)

【メモ】つくば市がスーパーシティ構想で国に提案している規制改革23項目の主な事業は以下の通り。

▽公職選挙でのインター ネット投票

▽分散する行政情報を集約し多言語で表示するポータルアプリを構築。 住民の希望(オプトイン型)により、属性情報に基づき個別化された情報発信も行う。さらにマイナンバーカードを活用し、行政への様々な申請・手続をアプリ上から行えるようにする。

▽マイナンバーカードと署名用電子証明書を活用した公的個人認証により、役所に来庁せずに住民異動届をスマートフォンから行えるようにする。

▽個人が特定できない行政ビッグデータを様々な主体に提供できるようにし、データ分析や可視化を住民や企業等が自ら行うことが可能になるようにし、活用できるようにする。

▽AI配車システムを活用し、学園東大通りの一部とスマートキャンパス化する筑波大学構内で自動運転循環バスを導入する。

▽自宅からバス停まで、介助者も同乗できるシェアモビリティの自動運転車椅子が時速10キロで走行し、高齢者や障害者の移動を支援できるようにする。

▽つくば駅周辺の吾妻70街区で、歩行者と自動運転車椅子と自動運転の荷物搬送ロボット、追従型荷物搬送ロボットなどが歩道を自由に通行できるようにする。

▽スーパーが近くにない郊外部で、自動運転車椅子が自宅から移動スーパーに移動し買い物できるようにする。

▽薬局の検体測定室で得られた検査結果を健康アドバイスや保健指導、遠隔診療等で活用できるようにし、生活習慣病の予防・早期発見・重症化予防につなげる。

▽自治体や国立大学法人、国立研究開発法人、医療機関、薬局等の各機関に分散する健康関連データ(生活ログ、食料品の購入履歴、診療履歴等)をマイナンバーにより紐づけし、本人及び本人が同意した事業者が一元的に参照することを可能とする。

▽回復期における高次医療機関から他の医療機関への転院搬送で、搬送車内の患者状態を医師が遠隔で常時観察して搬送できるようにする。また医師または看護師が遠隔で観察する場合には、救急車で搬送する救急隊員を2人編成とする。

▽医療・介護情報等、利用者に関する外部情報と、センシングした利用者の身体情報に基づき、専門スタッフが身体機能向上のプログラム実施を遠隔でサポートする。

▽自宅で遠隔医療を受診し、処方された薬を移動スーパーで運搬する。

▽再開発、地域開発に水素利用分散型エネルギーシステムを設置し、エリア内に電力、熱エネルギー供給事業を行う。 住民の利用ニーズに応じたスポーツ施設や温浴施設等の健康増進施設に関わる温水プール、温浴施設への電力、熱エネルギー供給事業を行う。

▽市内発スタートアップやつくばSocierty5.0トライアル支援事業採択者の商品または役務である先端的サービスの調達を随意契約で行えるようにする。

▽国立大学法人が所有する土地や大学宿舎の跡地等を、地域イノベーション拠点として、スタートアップが入居する施設や、エネルギー供給設備等の整備を行う。

▽市内でスタートアップを創業しようとする外国人が「経営・管理」の在留資格を取得するための創業活動期間を延長する。また、市内の大学・研究機関に所属する外国人研究者が、研究活動に従事しつつ創業や企業経営できるようにする、など。

第1部 終わり

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