TX延伸の障害 地磁気観測所の移転はなるか?《茨城鉄道物語》12
【コラム・塚本一也】6月4日の茨城県議会において、大井川和彦知事は私の一般質問に答える形で、石岡市柿岡にある地磁気観測所について、県として国に対し移転と補償を求めていく考えを表明しました。これは数十年ぶりに復活した中央要望であり、県南・県西地区の今後の開発計画を進める上で、画期的で重要な発言といえます。
地磁気観測所とはどのような施設なのか、簡単に説明しておきます。気象庁・地磁気観測所は旧柿岡町に位置しており、地球の磁気を継続的に定点観測し、研究機関や磁気図作成などにデータを提供しています。1912年、東京・赤坂から柿岡へ移転、それから100年以上が経ちました。
観測する地磁気には短周期と長周期がありますが、電車が走る際の直流電流が磁場を荒らしてノイズを発生させるため、観測所から半径35キロ以内は直流電源を使用してはならないと、法律で定められています。そのため、JR常磐線やTX(つくばエクスプレス)は、経済的負担の大きい交流電源を使用しなければならず、長い間、地域の鉄道計画の足かせとなっていました。
観測所が東京から移転したのも、都電荒川線を走らせるに当たって、赤坂では観測に支障があるため、「将来的に都市化とは無縁の場所」として柿岡が選ばれたそうです。気象庁は継続的なデータ観測の有用性を主張して、これまで移転を拒否していましたが、直流の影響を受けやすい短周期観測についてはデータ補正が技術的に可能となったため、移転に柔軟な姿勢を示すようになりました。
しかし、移転費用を茨城県に求めており、一時期盛り上がった移転要求もとん挫しているのが現状です。
大井川知事とスクラム組めた
東京の交通の利便性を高めるために、そのしわ寄せが茨城県に来ること自体理不尽な話であり、さらに移転費用負担まで求めるのは全く筋が違う話です。国の施策でマイナス施設を受け入れる際は、地域振興というインセンティブがありますが、茨城県は100年間、その恩恵に何もあずかっておらず、国に対して補償を求めるべき立場にあると思います。
こういった私の考えに対して、大井川知事から同意見という答弁を得ており、個人的には県とよいスクラムが組めたと充実感を覚えています。
今後、TXの東京延伸、都心での相互乗り入れ、あるいは県内延伸や地下鉄8号線の誘致などの際に、この問題が必ず再燃すると思われます。茨城県の将来を見据え、今のうちから解決に向けて取り組んでいくべきでしょう。(一級建築士、県会議員)
線状降水帯を自動検出 防災科研 17日から気象情報に活用
梅雨入り間近。台風の到来時期も迫り、お天気キャスターや気象予報士から「線状降水帯」の解説が聞かれるようになるはずだ。防災科学技術研究所(つくば市天王台)をはじめとする研究グループが、線状降水帯を自動的に検出する技術開発に取り組み、11日、研究成果が発表された。気象庁の「顕著な大雨に関する情報」に実装し、17日から運用が開始される。
防災科研のほか、日本気象協会(東京・東池袋)、気象庁気象研究所(つくば市長峰)が、2018年度から内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で取り組んできた。研究成果は同日、研究代表者の防災科研、清水慎吾主任研究員がオンライン発表した。
常総市の鬼怒川が決壊し、全半壊家屋5000棟以上という甚大な被害をもたらした2015年9月の関東・東北豪雨で、一躍その名が知れ渡った線状降水帯。毎年のように大雨で甚大な水害・土砂災害が発生しており、線状降水帯をリアルタイムで把握する技術開発は喫緊の課題となっている。しかし、その形成・維持のメカニズムは解明されておらず、発生の予測は容易ではなかった。
線状降水帯は、次々と発生する発達した雨雲が列をなす「組織化した積乱雲群」によって、数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞することで作り出される。線状に伸びる長さ50~300キロ、幅20~50キロ程度の強い降水を伴う雨域と定義される。
非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている線状停滞型の強雨域をどう検出するか。降雨強度でなく、より客観的な積算雨量を用いることで「可視化」できることから、解析雨量の3時間積算を用いた線状降水帯自動検出技術が導入された。
研究グループでは、条件設定を2度にわたって行った。まずは、①3時間積算降水量が80ミリ以上の分布域が線状(長軸対短軸の比が2以上)②その面積が500平方キロメートル以上③領域内の3時間積算降水量の最大値が100ミリ以上-の3条件を満たす雨域を「線状降水帯」として検出しようとした。
ただし、洪水や土砂崩れなど災害対策の観点からは、線状降水帯を検出した地域で災害が必ずしも起こるわけでない。そこで、気象庁と協議の上、第2期SIPで開発した検出技術を基に、積算雨量基準と気象庁の危険度分布を組み合わせ、検出条件をより厳しくすることにした。
2度目は、①3時間積算降水量が100ミリ以上の分布域が線状(長軸対短軸の比が2.5以上)②その面積が500平方キロメートル以上③領域内の3時間積算降水量の最大値が150ミリ以上-の3条件に、大雨警報などの要素を加味した検出条件となった。
年平均44回程度検出
防災気象情報は警戒レベル4相当以上の状況の想定となる。2017年7月から2020年までの検出回数を算出すると、年平均44回程度、災害発生の危険が急激に高まっている地域における線状降水帯の検出が可能となった。この約8割で災害が発生している。
積算雨量を用いるということは、それまでに降った雨量の結果から事後判定をする形。レベル4対象地域の中の特定エリアで線状降水帯が発生すると事前に予報するものではない。清水主任研究員によれば「警戒レベル4.5という言い方もできる。警戒レベル4で全員避難の体制に入っているわけだから、改めて避難指示をする形にはならない」という。
成果は17日から、気象庁の「顕著な大雨に関する情報」への提供が開始される。危機意識を高めてもらうキーワードとして活用するのが狙いで、気象予報士やお天気キャスターなどによる解説情報として主に利用されることになる。2時間先、半日先の予測と組み合わせた精度の向上は今後の課題ということだ。(相澤冬樹)
非正規率つくば市49%、土浦市45% 茨城労連調査
茨城県労働組合総連合(茨城労連)が、県内市町村職員の2020年度雇用実態を調査した結果、県内44市町村の職員数(病院・消防を除く)3万7124人(前年3万5815人)のうち、正規職員は2万244人(同2万330人)、会計年度任用職員は1万5635人(同非正規職員1万4383人)で、非正規率が前年より1.9%増え42.1%になったことが分かった。正規職員は前年に比べ86人減少、非正規職員は1252人増加した。
このうちつくば市は、職員数3196人のうち正規職員1533人、会計年度任用職員は1557人で、非正規率は48.7%、土浦市は1512人のうち正規784人、会計年度任用683人で、非正規率は45.1%だった。
茨城労連は、毎年、県内44市町村の労働行政の実態を把握する「公契約に関するアンケート調査」を実施している。今回は「同一労働、同一賃金」の流れの中で、非正規職員の労働条件の改善を目的としてつくられた会計年度任職職員制度(非正規職員)に焦点を当てた。
市町村で働いてきたこれまでの臨時職員、嘱託職員雇用のルールが見直され、2020年4月からすべての市町村で会計年度任用職員制度が始まった。
調査結果によると、非正規職員である会計年度任用職員が40%を超えている自治体は20自治体で、昨年より2自治体増え、50%を超えているのは牛久市(59.5%)と守谷市(50.2%)の2自治体だった。
今回の調査でも、会計年度任用職員の1.3%に当たる210人のみがフルタイム雇用で、98.7%の1万5425人はパートタイム雇用。時給平均は913円で、つくば市の1093円、牛久市の1000円など、1000円を超えている反面、大子町、小美玉市、稲敷市など昨年の非正規職員の時給より減額になっている自治体もある。
県は臨時・嘱託非正規職員の時給を2020年4月から1134円に改善した。
一方、昨年の調査では、非正規職員に一時金(ボーナス)を支給している自治体は、大子、大洗、河内、五霞の4町で、退職金はすべての自治体が不支給だった。導入された会計年度任用職員はすべての自治体で一時金(ボーナス)が6月と12月に年2回支給され、つくば市ではフルタイム任用職員に退職金が支給される。
また一昨年から調査している女性の比率では、今年の全県女性比率は80.9%で、再任用職員の多くが女性だ。4自治体では90%を超えていた。女性活用とうたいながら改善すべき課題だ。
茨城労連は、「公務・公共サービスを充実させるためにも、すべての市町村で会計年度任用職員のフルタイム化を進め、正規職員の削減にストップをかけ、(任用職員の)正規化を進めるべき」と主張しているが、自治体の腰は重い。
同労連は、茨城自治労連の運動に連帯して、会計年度任用職員の正規化、時給(賃金)の引き上げ、労働条件の向上に取り組んでいく」としている。(山崎実)
【会計年度任用職員】地方公務員法と地方自治法の改正により2020年4月から導入され、臨時・非正規職員が会計年度任用職員に移行した。任用期間は1会計年度内を超えない期間と限定された。フルタイムとパートタイムがあり、フルタイムは退職手当が支給できる。同一労働同一賃金をうたっていながら、賃金は正職員より大幅に低いことから、労働組合などから官製ワーキングプアなどの指摘がある。
つくばセンターでシン旧住民のレジスタンス 《映画探偵団》44
【コラム・冠木新市】6月1日。つくば市役所で「つくばセンタービルのエスカレーター設置計画等の見直しを求める要望書」を小久保市議会議長に手渡した(6月1日付)。そのあと懇談し、「センタービルは、つくばが未来に引き継ぐ日本と世界の文化遺産なので、ぜひ守ってほしい亅とお願いした。飯野副市長とも面談、リニューアル計画の進め方や市民広報のあり方など、いくつか提案させてもらった。
6月2日。センタービルを歩いていて、ふと「ソトカフェ」の黒テーブルとイスのそばにある鉄製プレートに目がとまった。よく見ると、「桜村」の文字が刻まれている。これまで気付かなかったとは不覚だった。その文字を眺めながら、当時の人はどういう気持ちでこの文字を刻んだのだろうかと想像した。
6月3日。NEWSつくばの「市議会・中心市街地まちづくり調査委員会」の記事(6月3日付)を見て驚いた。ホテル側の北エスカレーター1基設置が無くなると出ていたからだ。これまで2基設置を主張していた市議が、1基ヘと意見を変えたからである。あとで某市議に聞いたら、我々の要望書は委員会当日に市議に配布されたが、その前から2基を1基にすると決まっていたようだ。
本欄でセンタービル問題を書いてきたが、最近議会では、エスカレーターは不要だ、見直すべきだ―との声が大きくなっている。市民の声が届いたというより、いったん沈静化を図ろうとしていると考えるのが自然だろう。意見を変えた市議たちは、センタービルは老朽化した建築物だから、どうしようと自由だと考えていたのだ。
6月5日。つくばセンター研究会。私は、この問題は要望書提出で一区切りと思っていた。しかし、総合運動公園建設反対を推進した方から「30年前から住んでいるが、センタービルが文化財であることに初めて気がついた。市民にどんどん語っていかなくてはいけない」と、逆にハッパを掛けられてしまった。
『影の軍隊』のリノ・ヴァンチュラ
そのとき、フランスのジャン・ピエール・メルビル監督の大作『影の軍隊』(1969)を思い出した。『いぬ』(1962)、『ギャング』(1966)、『サムライ』(1967)などで知られたメルビルは、フィルム・ノワール映画の名匠。だが他のギャング映画とは雰囲気が異なっていた。登場人物はギラギラした欲望を感じさせず、皆寡黙で淡々と行動する。
ナチスドイツ占領下の仏。レジスタンス活動で捕虜となったジェルビエ(リノ・ヴァンチュラ)は牢獄から脱出し、隠れ家に身を潜める。レジスタンスのリーダーが書いた数学の本を読み、孤独を癒やす。若いころ、メルビルは2年間のレジスタンス生活を送った。メルビルのギャング映画はナチスへの抵抗運動を投影したものだったのだ。
1983年。つくばセンタービル誕生時、その運営管理は桜村が担当だった。同じころ、筑波町、豊里町、大穂町、谷田部町、桜村の合併話が活発化していた。桜村はいずれ村から市となる運命にあった。だから何気ないプレートに「桜村」を刻んで残したのだろう。センタービルには桜村の人たちの思いがこもっている。
あと2年でセンタービルは40周年を迎える。今ではシン旧住民となった私だが、レジスタンス活動はまだ続きそうだ。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)
ワクチン職域接種を受付 つくばの医療アプリ開発会社
企業や大学が実施する、新型コロナウイルスワクチンの「職域接種」の本格始動を前に、医療相談アプリ事業を運営するリーバー社(本社・つくば市、伊藤俊一郎社長)が、母体の医療法人グループと連携し、9日から実施企業の受付を開始した。まず1都5県を対象に10会場程度を募集する。
リーバー社は、1都5県に13カ所の訪問診療を展開するアグリグループ(本部・つくばみらい市、日馬祐貴代表)に属している。グループの医療法人部門と連携して、医療機関外での診療・看護経験のある医師、看護師の確保が行える強みから、今回の取り組みを決めた。
職域接種では、それぞれの企業や大学が行うこととなっている会場や接種に当たる医師や看護師の確保など、接種体制の整備に苦慮しており、企業内では混乱が生じている状況という。
今回は東京都、神奈川、愛知、茨城、千葉、新潟県で各1000人程度の接種希望者を集めることのできる企業を対象としている。各企業に出張し、企業内の会議室などで政府から配布されるモデルナ社製ワクチンを接種する。
1次募集は10会場程度(1日上限約5000人程度)を想定しており、単純計算で毎日500人ずつ10会場で接種できる体制を整えた。1000人の企業であれば1日500人を2日間に分けて、2クール(4週間間隔を空けて投与)で実施する予定という。申し込みは6月いっぱいを見込んでいる。
アグリグループには現在常勤医25人、常勤看護師80人程度が所属するが、必要に応じて臨時雇用も行う。リーバー事業で医療相談に当たる登録医師の応援も検討しているという。
リーバー社で提供している「LEBER for Business(リーバー・フォー・ビジネス)」を通じて、新たに「ワクチン副反応チャットボット」「医師による医療相談」「ワクチン管理サービス」などを提供することにより、副反応に対する不安を減らすことができる。またワクチン接種を希望しない場合も「体温・体調管理サービス」を利用することでクラスターのリスクを減らすことが可能になるとしている。
アグリグループは医療法人AGRIE(アグリ)と株式会社のAGRI CARE(アグリ・ケア)からなる。AGRIEは2015年5月につくばみらい市にメドアグリクリニックを創業し訪問診療を開始した。現在全国13カ所で在宅医療を提供している。患者や老人ホームで働く医療・介護職員など合わせて約6000回の新型コロナウイルスワクチンの接種を予定している。(相澤冬樹)
問い合わせはリーバー(Eメール:info@leber.jp 電話029-896-6263)
【職域接種】企業や大学が自ら医療従事者や会場などを確保し、同一会場で最低1000人程度が2回接種を完了することとされる。ワクチンはモデルナ社製。接種費用は国が負担する。具体的方法として、①既存の企業内診療所を活用して接種する②外部の医療機関が出張して会社の会議室などで接種する③従業員が、企業が指定した医療機関に出向いて接種するーの3通りが想定されている。
ランチタイムの市役所ピアノ 2カ月余で50人超が演奏 土浦
土浦市役所2階に「まちかど想い出ピアノ」が設置されて2カ月が経った。9日現在で延べ55人が平日ランチタイムのミニコンサートを開いた。「コロナ禍でなければ…」の思いをこめて演奏を楽しんでいる。
来庁者が自由に弾けるストリートピアノは、ペデストリアンデッキで土浦駅と結ばれた市役所正面のエントランスに置かれている。3年前に閉校となった市内の小学校で眠っていたヤマハ製のグランドピアノ。平日の正午から午後1時まで限定で演奏ができる。
予約は不要だが、演奏前に庁舎2階の受付で記名の申し込みが必要になる。「もっとオープンに弾いてもらいたかったがコロナ禍ということで手続きをお願いした」と市管財課。手指消毒の除菌スプレーを用意し、演奏中のマスク着用を求めている。
9日は常連となったつくば市在住のピアノ教師、関義夫さん(40)が正午ちょうどに来庁し、リスト編曲のワーグナーの歌劇「トリスタンとイゾルデ」など2曲を演奏した。
「日立の駅ピアノなど各地のストリートピアノを訪ねて弾きにいっているが、やっぱりグランドピアノは違う。土浦市役所は吹き抜けになっていて音の抜けがいいから、1階の来庁者も上がってくる。多くの人に聴いてもらいたいときはポップス曲をサービスする」と関さん。
新治中学の卒業生らが再生
ピアノは斗利出(とりで)小学校の音楽室で半世紀以上にわたって使われていた。同小は2018年3月、児童数の減少から藤沢小、山ノ荘小と共に閉校。新治中学と併せて新設の新治学園義務教育学校(土浦市藤沢)に統合された。
3校には合わせて6台のピアノがあり、1台は新治学園に引き取られたが、まだ演奏できる状態のピアノが3台残った。廃校となった藤沢小の最後の校長を務めた原井一永さん(60)は新治中学の第19回卒業生で、土浦市在住。昨年2月、同級生らと「新治地区旧小学校のピアノを生かす会」を立ち上げた。
同窓生や地域の企業に寄付を呼びかけると、1カ月足らずで100人以上から40万円余りが集まった。先に引き取ったピアノが不調になった新治学園に2台を整備して移し、残る1台はストリートピアノとしての活用を目指したが、折からの新型コロナ感染拡大で難航した。1年の間をおいて土浦市役所にやってきたのは4月1日のことだ。
ぴかぴかに磨かれ、調律も施され、「想い出ピアノ」として再デビューを果たした。ピアノ脇には斗利出小の校舎の写真が掲げられている。
教員を定年退職した原井さんは「同級生らと還暦同窓会を開くときはピアノの回りに集まろうって話になっている。コロナ禍でおあずけを食らっているが必ず実現したい」と楽しみにしている。(相澤冬樹)
問い合わせは市管財課(代表029-826-1111)。
つくば・ニッポン未来予想 《遊民通信》18
【コラム・田口哲郎】
前略
食品館「ロピア」がオープンし、TXつくば駅そばの「クレオ」が「トナリエ クレオ」として復活しましたね。つくばセンター地区周辺では久々に明るい話題でした。
前に書きましたが、クレオにはかつて西武百貨店が入っており、食料品売り場は「ザ・ガーデン自由が丘」でした。デパートに輸入品スーパーマーケットという、いかにも「都心」仕様です。東京の日本橋や大阪の梅田にある本家「都心」のお裾分けが、つくばでもできた時代でした…。私は反省しました、「都心」が戻ってくることを期待したことに。中心なき時代なのです。東京を頂点としたヒエラルキーなどもう無いのです。
20年前、1度目の大学生時代。通っていた東京の店は、新宿紀伊國屋、渋谷のHMV 、銀座伊東屋です。学生らしく、本屋とCDショップ、文具屋で、新品の本とCD、ノートやペンを買いました。
2度目の今、行くのは近くのブックオフ、そしてスマホでAmazon、メルカリです。買うのは古本と中古CDばかり。雑貨は近所のダイソーやセリアで調達します。かつて3千円かかったものが、今は3百円で手に入ります。デフレの極致です。悲しいのは、その分収入も減っていること。この傾向は貧乏学生の私に限ったことではないんじゃないかと、周りを見て思います。
経済成長期には富の分配機関として機能していた民間企業が、不況とコンプライアンス厳守、厳しい会計監査のせいで、給料をかつてのように配れなくなっている。小泉構造改革真っただ中のころ、とある経済学者は「いい暮らしをしたければ、稼げ。自己責任の時代だ」と発言していました。その同じ人が、今やベーシック・インカム(政府が全国民に毎月定額給付を行う政策)を提唱しています。
資本主義のこの国では、頑張れば報われるんじゃなかったのでしょうか? このごろは政府が給料上げろと号令しても、応える体力が企業に無いように見えます。日本こそは世界で最も成功した社会主義国家だったとも言われます。やはりマルクスが言うように、資本家は労働者から搾取するものなので、富の分配を企業に任せるのはもう限界なのでしょうか?
官の街だったつくば
さて、学研都市つくばは今まで官の街でした。広大な敷地を持つ国立研究所がそこここにあり、つくばセンター周辺には官舎が並んでいました。しかし、科学技術政策の予算は減少、緊縮財政のあおりを受けて官舎が廃止されて、官の領域は徐々に民間色に染められつつあります。
今まで親方日の丸だった街にどんな未来があるのでしょうか? 嘆くことはありません。親方日の丸じゃないと自負していた民間だって、結局は親方日の丸だったのです。どうあがいても日の丸からは逃れられないのです。つくばの街づくりが国づくりになるという気概をもっていきましょう。ICT技術を駆使し効率化を追究し、広大な土地を使いユートピアをつくりましょう。
つくば博のテーマ「人間・居住・環境と科学技術」が、ようやく活きる時代になりましたね。ごきげんよう。
草々(散歩好きの文明批評家)
平均寿命と平均余命 《ハチドリ暮らし》2
【コラム・山口京子】人生100年時代という言葉をよく耳にする。2016年に出版された「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン著)がきっかけになったようだ。その本によると、2007年生まれの人は50%の確率で107歳まで生きるという。
では実際、日本人の寿命はどうなっているのか。2020年、100歳以上の人口は8万人を超えた。そのうちの88%が女性だ。厚生労働省の簡易生命表によると、平均寿命は男性で81歳、女性で87歳となっている。平均寿命とは、0歳の赤ちゃんがこれから生きるだろう人生の長さを示す。
それに対して、すでにある年齢まで生きた人がその時点から、あと何年生きるであろうかということを示す寿命のことを平均余命という。平均寿命とは、0歳児の平均余命を指す。すでに60歳の人の場合は、男性であと23年、女性で29年。もし、今年80歳の人なら、これから男性で9年、女性で12年生きるだろう。
実際に何歳ごろに多くの人が亡くなっているのかを見ると、男性で85~89歳、女性で90~94歳の間で死亡数が高い。そうした数字をふまえ、私のセミナーでは、生活設計は100歳、もしくは95歳を設定することを勧めている。
健康寿命のこと
寿命を考えるに当たって、もう一つ大事な寿命がある。それは健康寿命だ。周りの人の手を借りず、自律した生活が可能な年齢のことだ。男性で72歳、女性で75歳。今は健康寿命を延ばす取り組みが全国で広がっている。そうしても、いつかは介護のサービスをお願いする時が来るだろう。介護状態になるきっかけは、認知症・脳血管疾患・老衰・骨折などがある。85歳以上の約6割は、要支援・要介護認定を受けている。
だれも自分の人生の長さはわからない。また、介護状態になるのかどうかもわからない。あれこれ悩むよりも、心のけじめをつけること、お金の算段を整えること、法律や制度、自治体のサポート体制を知ることなどが大事だ。制度は改正が頻繁にあるので、新しい情報にアンテナを張ること。
昨今、終活やエンディングノートを書くことが流行っているが、それは心配なことを整理して、前向きに暮らすためのツールだからだろう。数年前、母にエンディングノートを書くことを勧めたが、「縁起でもない」の一言。「あとのことはみんなあんたにまかせたから、あんたがやって」と。
母からいろいろな話を聞きながら、様子を見る。初めて聞く、母の子どもだったころの話、私が知りようもない私が赤子であったことのこと。嫁である母としゅうとの食い違い…。現在88歳の母は、85歳を過ぎて歩行能力が極端に落ちてきている。親の老いは、自分の25年後の姿なのか。
もうすぐ玉ねぎやジャガイモが収穫できる。(消費生活アドバイザー)
「働きやすい職場」に認証 関鉄バス グループ4社 運転手不足解消に期待
路線バスを運行する関東鉄道(土浦市真鍋、松上英一郎社長)のグループ4社が4月、日本海事協会の「働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証制度)」の認証を受け、5月に登録された。
認証されたのは関東鉄道のほか、関東鉄道観光バス(同、廣瀬貢司社長)、関鉄パープルバス(下妻市、長津博樹社長)、関鉄グリーンバス(石岡市、同社長)の4社。
認証要件は、従業員の労働時間や休日など法令を順守している、健康状態や疲労を把握している、交通事故防止や労災防止に取り組んでいる、多様な人材が働ける環境を整えているーなど。
現在の体制が評価
関東鉄道総務部人事担当課の加藤由則課長は「運転手を増やしたいという思いで10月に申請した。認証を受けるために新たに社内制度などを整えたわけではないので、現在の体制が評価されたと考えている」と話す。
同社では性別関係なく1年間の育児休暇の取得ができる。ストレスや適応障害などが生じた場合は産業医と提携し気軽に相談できる環境を整えている。社内野球大会を開催するなど従業員同士の交流を深め、さらに女性専用の更衣室、休憩室を備えるなど、従業員が働きやすい職場環境を整えているという。
加藤課長は「4月に認定されたばかりなので、今後求人への反応や応募増加に期待したい」と語った。
内部統制企画担当の森田玲泉さんは「関東鉄道だけでも現在573人の運転手がいるが、もっと必要」だとし、特に人口が増えているつくば、つくばみらい、守谷市など県南で運転手が不足しており、運転手が増えることに期待しているという。
県内9社が登録
働きやすい職場認証制度は国交省が2020年8月に創設した制度で、バス、トラック、タクシー事業者などを対象に、職場環境改善に向けた取り組みを「見える化」し、運転手不足に対応することを目的としたもの。
現在は、制度の浸透や基本的な取り組みを徹底するために、一つ星に限定して認証している。日本海事協会は、国交省の指定を受け、申請受付や審査、認証の手続きを実施している。
認定後は厚労省と連携し、ハローワークでの求人票への記載や認証事業者と求職者のマッチング支援を検討している。将来は二つ星、三ツ星の認証などもできる。
昨年9月から12月に初めて公募が実施され、今回、全国で2558件が登録された。そのうちバス会社は172社で、県内では同4社を含む9社が登録された。(伊藤悦子)
ぬか床に山椒 《続・平熱日記》87
【コラム・斉藤裕之】天気のいい日は八郷(やさと)に出向いて薪(まき)を作る。昼は強い日差しを避け、細い林道に止めた軽トラの中でコンビニのおにぎりを食べる。ふと外を見ると山椒(さんしょう)の実がなっているのを見つけた。そういえば、去年もここの山椒を取って帰ったことを思い出した。
山椒の実はぬか床に入れる。季節柄か、先日もSNS上で「ぬか漬けを始めた」「実家から150年物のぬかを分けてもらった」という投稿を見かけた。無精者としては、ご多分に漏れず何度もぬか床をダメにしている。
最近の失敗から学んだことは「オフシーズンに気をつけろ!」。夏場に悪くなりそうなぬか床だが、最近は冷蔵庫に保管することで管理がしやすい。それに、夏は頻繁に野菜を漬け込むから、ぬか床は元気。ところが、冬に向かってしばらくして油断していると、ダメになっていることが多い。
サステイナブルという言葉を初めて聞いたのは、確か建築関係の用語としてだった。世にはやる随分前だが…。ちなみに、大工の弟は建てる時よりも壊す時のことを考えて人力解体のできる、そして、できる限り土に還る材料や工法で家を建てることを信条とする「持続可能的大工」である。
サステインという言葉にも持続という字にも「手」という意味が入っている。要はヒトの手で持ち続けることができるもの、支えていけること。そして自然の中で循環できること。例えば土に還るということは「腐る」ということだ。手のかからない、腐らないものは一見便利そうだが、それが厄介なのだ。
「ワット・ア・ワンダフルワールド」
そこへいくと、ぬか床はなんとステイナブルなことか。野菜を放り込むだけで微生物が調理をしてくれる。「腐敗」は人間に都合のいい場合は「発酵」と呼ぶらしいが、日本の発酵文化は実にサステイナブルである。例えばプラスチックの鉢で朝顔を育てるのもいいが、小学校でぜひともぬか床を作って、夏休み前に持ち帰らせてほしいぐらいだ。
「伝統とは…した者だけが醸し出す気品であり…」。高校の柔道場の壁に貼ってあった一文。「…」のところははっきりと思い出せないが、「醸し出す」という言葉がカッコイイと思っていた。ぬか漬けの場合、「…」は「毎日かき回した」が適切か。
さてさて、早速、山椒の実をぬか床に混ぜ込んだが、旨味を醸し出すのにはしばらくかかりそうだ。ちなみに、ぬか床をかき混ぜる時は、サッチモ風に「ワット・ア・ワンダフルワールド」を口ずさむ。
人の記憶とは面白いもので、結婚した時すでにカミさんがぬか床を作っていたことを覚えていて、お会いするたびにその逸話を今もってご披露してくれる方がいる。今やそのカミさんも、名実ともに「糟糠(そうこう)の妻」という歳になった。そのカミさんが、今日は青い実を大量に抱えて帰って来た。次女も好きな梅ジュースを仕込むそうだ。梅雨入りが近い。(画家)
