金曜日, 7月 1, 2022
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線状降水帯を自動検出 防災科研 17日から気象情報に活用

梅雨入り間近。台風の到来時期も迫り、お天気キャスターや気象予報士から「線状降水帯」の解説が聞かれるようになるはずだ。防災科学技術研究所(つくば市天王台)をはじめとする研究グループが、線状降水帯を自動的に検出する技術開発に取り組み、11日、研究成果が発表された。気象庁の「顕著な大雨に関する情報」に実装し、17日から運用が開始される。

防災科研のほか、日本気象協会(東京・東池袋)、気象庁気象研究所(つくば市長峰)が、2018年度から内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で取り組んできた。研究成果は同日、研究代表者の防災科研、清水慎吾主任研究員がオンライン発表した。

可視化の例。2015年9月関東・東北豪雨でも線状降水帯が検出できた(気象研究所提供)

常総市の鬼怒川が決壊し、全半壊家屋5000棟以上という甚大な被害をもたらした2015年9月の関東・東北豪雨で、一躍その名が知れ渡った線状降水帯。毎年のように大雨で甚大な水害・土砂災害が発生しており、線状降水帯をリアルタイムで把握する技術開発は喫緊の課題となっている。しかし、その形成・維持のメカニズムは解明されておらず、発生の予測は容易ではなかった。

線状降水帯は、次々と発生する発達した雨雲が列をなす「組織化した積乱雲群」によって、数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞することで作り出される。線状に伸びる長さ50~300キロ、幅20~50キロ程度の強い降水を伴う雨域と定義される。

非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている線状停滞型の強雨域をどう検出するか。降雨強度でなく、より客観的な積算雨量を用いることで「可視化」できることから、解析雨量の3時間積算を用いた線状降水帯自動検出技術が導入された。

研究グループでは、条件設定を2度にわたって行った。まずは、①3時間積算降水量が80ミリ以上の分布域が線状(長軸対短軸の比が2以上)②その面積が500平方キロメートル以上③領域内の3時間積算降水量の最大値が100ミリ以上-の3条件を満たす雨域を「線状降水帯」として検出しようとした。

ただし、洪水や土砂崩れなど災害対策の観点からは、線状降水帯を検出した地域で災害が必ずしも起こるわけでない。そこで、気象庁と協議の上、第2期SIPで開発した検出技術を基に、積算雨量基準と気象庁の危険度分布を組み合わせ、検出条件をより厳しくすることにした。

2度目は、①3時間積算降水量が100ミリ以上の分布域が線状(長軸対短軸の比が2.5以上)②その面積が500平方キロメートル以上③領域内の3時間積算降水量の最大値が150ミリ以上-の3条件に、大雨警報などの要素を加味した検出条件となった。

年平均44回程度検出

防災気象情報は警戒レベル4相当以上の状況の想定となる。2017年7月から2020年までの検出回数を算出すると、年平均44回程度、災害発生の危険が急激に高まっている地域における線状降水帯の検出が可能となった。この約8割で災害が発生している。

積算雨量を用いるということは、それまでに降った雨量の結果から事後判定をする形。レベル4対象地域の中の特定エリアで線状降水帯が発生すると事前に予報するものではない。清水主任研究員によれば「警戒レベル4.5という言い方もできる。警戒レベル4で全員避難の体制に入っているわけだから、改めて避難指示をする形にはならない」という。

成果は17日から、気象庁の「顕著な大雨に関する情報」への提供が開始される。危機意識を高めてもらうキーワードとして活用するのが狙いで、気象予報士やお天気キャスターなどによる解説情報として主に利用されることになる。2時間先、半日先の予測と組み合わせた精度の向上は今後の課題ということだ。(相澤冬樹)

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