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先崎千尋

《邑から日本を見る》67 東海第2 県民投票 県議会が条例案否決

【コラム・先﨑千尋】茨城県議会は6月23日の本会議で、日本原子力発電東海第2原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例案を反対53、賛成5の反対多数で否決した。約8万7000人の県民が署名して求めた県民投票は、最大会派のいばらき自民や県民フォーラム、公明などの反対で実現しないことになった。 本会議に先立つ同月18日に、県議会防災環境産業委員会は総務企画委員会と連合審査会を開き、同条例制定の直接請求代表者や学識経験者、国、地元自治体首長らの意見を聴取し、討論後に反対多数で否決していた。 条例案は、東海第2原発の再稼働の是非について、県内の有権者が賛否の投票をするというもので、大井川和彦知事も多くの県議も再稼働について明言してこなかった。このため、県民の意思を確認する手段の一つとして、有志が「いばらき原発県民投票の会」をつくり、憲法で保障された条例制定の直接請求を県議会に求めていた。 知事は、請求に基づく条例案を県議会に提案する際には、自らの意見を添えて提案することが求められているが、意見書は「慎重に検討していく必要がある」と賛否を明確に示さなかった。 「基本的知識が抜けた議論」 連合審査会では、参考人の意見表明に対して各委員から質疑や意見が出された。その主なものを列挙する。

《邑から日本を見る》66 コロナ後の食料自給対策を

【コラム・先﨑千尋】新型コロナウイルスのまん延による緊急事態宣言はひとまず解除された。しかし、世界各国の状況を見ると、終息には程遠く、わが国でも第2波、第3波が押し寄せる可能性が高い。 平時の時、首相も自治体の長も極端に言えば、誰でも務まる。法律、予算があり、わが国では、統治機構もしっかりしているからだ。しかし、緊急時にはそうはいかない。東日本大震災、東京電力福島第1原発の事故の時がそのいい事例だ。誰も遭遇したことがない。予算も人もマニュアルもない。トップは、瞬時にどう対応するかの判断を下さなくてはならない。 今回の新型コロナウイルスの来襲による初期対応は、国により対応がまちまちだったが、わが国ではどうだったのか。これまでのところ、わが安倍首相は落第だとのちに評価されるのではないか。ダイヤモンド・プリンセス号の対応に始まり、小中高の突然の閉校、アベノマスクの全戸配布、10万円の給付など、やることなすことすべてが首相とその側近によるきまぐれ、場当たりで進められた。 わが家にもやっとマスクが届いたが、農業専業なのでほとんど出かけることはなく、「不要不急」の代物だ。必要度が高い病院などに配った方がいいと考えた。そのマスクだが、国産ではなく、中国から輸入されたものだそうだ。一時、高値で転売されていたころがあったが、緊急時に手に入らないことから、これが食料だったらどうなっていただろうか、と余計な(?)心配をしたのだ。 世界経済はグローバル化し、カネさえあれば、いつでも買える世の中になっていた。コロナのまん延が瞬く間に広まったのもグローバリゼーションのせいだ。しかし、今度のコロナ騒ぎで国境閉鎖があちこちで行われ、わが国でもまだ続いている。 休眠田畑を復活させ食糧備蓄を倍増

《邑から日本を見る》65 いいね、「黒川杯」検察庁前麻雀大会

【コラム・先﨑千尋】先月30日の夕方のテレビで、表題のニュースを見た。前東京高検検事長の黒川弘務氏が新聞記者と賭け麻雀をしていたことが「週刊文春」で報道され辞任したが、訓告処分を受けただけで辞職したことがことの発端。 ことのいきさつはこれまでに伝えられているので、簡単に。安倍首相が「余人をもって代えがたい」と惚れ込み、1月に法律をねじ曲げて同氏の定年延長を決めた。さらに、そのことを後付けで正当化しようとする検察庁法改正案が衆議院を通過する寸前に問題が発覚し、黒川氏は辞めざるを得なくなったということだ。 問題はそれにとどまらず、長い間新聞記者と賭け麻雀をしてきたのに、賭博罪にあたらないと懲戒処分を受けず、訓告にとどまったということだ。閣議ではこれらについてどのような議論があったのだろうか。 定年延長を認めていない検察庁法を、国家公務員法という別の法律を使って、時の政権の意向次第で変えてしまう。明らかに違法行為である。さらに、賭け麻雀は刑法の賭博罪にあたる。しかも黒川氏の場合は常習犯のようだ。過去に、自衛隊員が同じ行為をして懲戒処分にあっている。 人事院の懲戒処分指針では、「賭博をした職員は減給または戒告、常習的に賭博をした職員は停職」となっている。黒川氏は次期検事総長待ちで定年延長になった。それだけ高いポストにいたわけだ。潔白でいるべき人が、不要不急の外出を自粛すべきという緊急事態宣言下に、新聞記者の自宅マンションで賭け麻雀をしていた。 権力とメディアの「持ちつ持たれつ」の関係

《邑から日本を見る》64 すべては1人から始まる

【コラム・先﨑千尋】この18日、私はまずインターネットで、政府与党は検事総長や検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案の今国会での成立を断念するということを知り、おやと思った。そのとき、とっさに思い浮かべたのは、本田路津子の「一人の手」(One man’s hands)という歌。澄んだ彼女の声が耳元によみがえってくる。 一人の小さな声 何も言えないけどそれでもみんなの声が集まれば何か言える 何か言える(訳詩:本田路津子 作曲:ピート・シーガー) 今月8日に30代の女性がツイッターで「検察庁改正案に抗議します」と投稿した。それが瞬く間に広がり、これまで政治的な発言をしてこなかった俳優の小泉今日子さんら芸能人らも加わり、最初はバカにしていた安倍首相も無視できなくなった。 15日と18日には、松尾邦弘元検事総長ら検察OBも反対の意見書を法務省に提出。世論調査でも反対が多く(朝日新聞では反対が64%)、国会での野党の反対の声も大きく、追い込まれた官邸は白旗を上げざるを得なくなった。ツイッターデモが始まってわずか10日のことだ。 「火事場泥棒」

《邑から日本を見る》63 農家の暮らしとコロナ騒ぎ

【コラム・先﨑千尋】いつものように5日に田植えが終わった。5反(50アール)百姓だから、借りてきた4条植えの田植え機を手で押し、半日で終わる。親の代から「我が家のコメを食べる者は田植えには集まれ」と兄弟たちに言ってきたので、孫の世代も含めて17人も集まった。それぞれが植え継ぎ、寄せ植え、箱洗いなどを分担してやってくれる。 手植えのころは、結(ゆい)と言って親戚が集まり、互いの田んぼを交代で植えていくので、それこそにぎやかだった。嫁同士の植え方の優劣もよくわかった。苗も、今と違って苗代(なわしろ)で育て、暗いうちに手で取り、束ね、田んぼに運ぶ。子供も、苗運びや代掻(しろか)きをする牛馬の補助などの役割があった。 楽しみは小昼飯(こじゅうはん、なまって「こじはん」と言っていた)。塩の握り飯に切昆布と麩(ふ)の煮もの、漬物くらいしかなかったが、それでも、子供にとってはその時間が待ち遠しかった。今では、我が家のように大勢が集まる光景はほとんど見られない。大型の乗用田植え機で植えるので、ほとんど人手は要らない。水田地帯だと8条植え。あっという間に終わってしまう。だから小昼飯もない。 田んぼや畑にいると、コロナのことなど忘れてしまう。人にも会わないから、密閉、密集、密接の三密とは無縁である。米や野菜、みそなどはあるので、日常の暮らしにそんなに影響はない。不要不急の外出自粛とやらで、外に出ることがなくなり、客も来ない。安全、安心な暮らし方をしている。よけいな金も使わなくて済む。 都会はその脆さが浮き彫りに 逆に、都会はその脆(もろ)さ、生活の危うさ、苦しさが浮き彫りになって見えてくる。田畑から家に戻り、テレビをつけるとコロナのニュースばかりだ。クラスター、オーバーシュート、ロックダウンなど、これまで聞いたことがない言葉にとまどい、安倍首相や小池東京都知事のうつろな言葉に付き合わされる。

《邑から日本を見る》62 東海第2再稼働の是非は住民投票で

【コラム・先﨑千尋】「いばらき原発県民投票の会」は22日、日本原子力発電東海第2原発の再稼働の是非を問う県民投票条例制定を求める直接請求署名簿を、県内全44市町村の選挙管理委員会に提出した。署名簿は90,899筆で、法定必要数の1.87倍にあたる。地域別では、県南地域が法定必要数の2倍近く、東海第2原発の再稼働にあたり事前同意が必要な周辺6市村では、東海村が1.95倍、水戸市が1.69倍、那珂市が1.47倍など。 各選管は署名が有効かどうかを審査し、その後署名簿は会に返付される。会では5月25日に大井川知事に条例案と署名を提出する予定だ。条例案は6月の県議会に上程される見通しだが、可決されるかどうかはわからない。 わが国では、国、都道府県、市町村いずれも間接民主制なので、国民、住民が事案に対して直接意思を表明できない。しかし、東京電力福島第1原発の事故でわかるように、原発の存廃は私たちのくらしに大きな影響を及ぼす。そのために、東海第2の再稼働には直接住民の意思を反映させよう、と投票の会が準備を進めてきた。 東海第2の再稼働に関しては、これまで報道機関の世論調査では県民のおおむね3分の2が反対という結果が出ている。また、茨城大学人文社会科学部の渋谷敦史教授らの調査では、住民・県民が直接意思表示する方法を望む人が7割を超えている。もし東海第2が再稼働され、事故が起きたときは、周辺住民の生命、財産は危険にさらされる。これだけは首長や議会に任せられない、自分たちの意思で決めよう、ということだ。 沖縄「辺野古」同様、軟弱地盤 東海第2原発については、昨年秋から今年にかけて動きが活発化してきている。日本原電は一昨年秋に、20年延長などの原子力規制委員会許認可を受け、再稼働の意向を表明し、なし崩しに安全対策工事を進めている。工事の内容は、電源の多重化や防潮堤の建設などだが、東海村など6市村の同意を得ていない。

《邑から日本を見る》61 森友問題で自死した人の手記

【コラム・先﨑千尋】 森友問題佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それにNOを誰れもいわないこれが財務官僚王国最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ、手がふるえる、恐い命 大切な命 終止府(ママ) 「この事実を知り、抵抗してきたとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。家族を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。私の大好きなお義母さん、謝っても、気が狂う程の怖さと、辛さ こんな人生って何?」 森友学園問題で自死した元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの遺書(手記)を読む。何度読んでも涙が出る。赤木さんが自ら命を絶ったのはまだ2年前のことだ。『週刊文春』は3月26日号にその全文と、取材した元NHK記者・相澤冬樹さんの記事を載せている。さらに、「8億円値引きに問題がある」「赤木さんの妻の全告白」「安倍答弁と改ざんは関係あるという財務省幹部の音声」などを続報で伝えている。 この赤木さんの手記は国会でも取り上げられ、野党の議員が「文書の改ざんは、首相の『私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める』という発言がきっかけではないか」と質問したのに対し、安倍首相は、手記にはそのことは書かれていないと逃げ、「財務省が報告書をまとめているので再調査はしない」と答えている。 この答弁に対し、赤木さんの妻は「答弁はすごく残念で、悲しく、怒りに震えている。夫の遺志がないがしろにされていることが許せない。(首相と麻生財務相は)調査される側で、再調査しないと発言する立場ではない」と強く批判している。

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茨城県の最低賃金851円に 2円引き上げ

【山崎実】茨城県の最低賃金が10月1日から時間額851円に引き上げられる。既に官報に公示され、県内の事業所で働く常用、臨時、パート、アルバイトなど、すべての労働者に適用される。 新型コロナ禍の影響で厳しい経済情勢の下、大井川和彦知事は7月、茨城地方最低賃金審議会(田中泉会長)に経済にかかわる諸指標を数値化した総合指数は全国11位なのに対し、最低賃金は16位で近隣県と比較しても低く、栃木県との4月の差は過去6年間変動しておらず、このままでは本県の労働力確保はさらに困難になるーと引き上げを要請した経緯がある。 審議会は8月、現行の時間給849円を2円引き上げて(引き上げ率0.24%)851円に改正することが適当と答申し決定した。 近県の状況は、栃木県が現行の853円から1円引き上げて854円、群馬県が835円から2円引き上げて837円に、東京都は1013円のまま据え置かれた。 一方、働き方改革の推進に伴い、中小企業は2021年4月からパートタイム・有期雇用労働法等により、同一労働同一賃金が適用される。このため働き方改革推進支援センター(フリーダイヤル0120-971-728)は周知徹底を図るべく、「同一労働同一賃金・テレワークセミナー」を実施している。

《令和楽学ラボ》9 茨城の和紅茶づくり

【コラム・川上美智子】「古内(ふるうち)茶の紅茶ができたので1つ持っていってください」と、9月の茨城県議会の折に加藤明良議員から声をかけられました。水戸光圀(みつくに)が愛(め)でた古内の在来種の茶葉100%を原料にした紅茶は、きれいにパッケージされ、高安園の城里和紅茶と名付けられていました。 「昨年、この紅茶を銀座の茨城県アンテナショップ『Ibaraki Sense(イバラキ・センス)』に出品したところ、お客様から台湾の東方美人(オリエンタル・ビューティー)の香りがすると言われたんですよ」と、うれしい報告もありました。 東方美人は知る人ぞ知る最高級の赤烏龍(うーろん)茶です。100グラム〇万円もする高価なお茶で、現在ではなかなか手に入りません。今から25年前にその香りを分析する機会を得、マスカットのような独特の香りが、2,6-dimethyl-3,7-octadiene-2,6-diol(2,6-ジメチル-3,7-オクタジエン-2,6-ジオール)と本物質が脱水したHotrienol(ホトリエノール)の2つの化合物に起因することを突き止めました。 また同時期に、マスカットフレーバーが特徴であると言われるインド・ダージリンのセカンドフラッシュの紅茶試料も手に入り、分析を行うことになりました。この紅茶も、他の紅茶に比較し2化合物の含有比が高いことがわかり、ダージリン紅茶の特有香になっていることを明らかにしました。 そして、赤烏龍茶とダージリン紅茶の共通点を調べているうちに、どちらもウンカ芽(昆虫のウンカの加害を受けた茶芽)を原料にしていることを突き止めました。学会で加害を受けて生成する化合物の発表をしたところ、海外の科学者たちは色めき立ち、最終的に中国の著名な茶の研究者が、2,6-dimethyl-3,7-octadiene-2,6-diolは、加害を受けた茶芽がウンカの天敵の昆虫を呼び寄せるために作り出した化合物であることを明らかにしました。

土浦の学校を爆破予告 36校で警察と巡回点検へ

土浦市は28日、市内の小中高校、大学を29日爆破し、市役所を銃で襲撃するなどの予告が、28日午前0時過ぎ、市ホームページのお問い合わせフォームにあったと発表した。 市危機管理室によると、予告内容は「29日午後0時30分より、市内の小中学校、高校、大学を爆破し、その混乱に乗じて児童・生徒を数名誘拐する」、さらに「29日午後1時30分ごろに市役所を銃で襲撃する」など。併せてビットコインを要求しているという。 予告を受けて市は28日に土浦警察署に通報、さらに市内にある小中高校と特別養護学校、短大、大学の計36校に通知し状況を説明した。 予告日の29日は朝から、警察官が市内の各学校に行き、学校職員と共に校内や周辺の点検やパトロールを実施する。 さらに市役所は、正午から午後2時まで、各階の出入口を1カ所のみに制限し、入り口に警察官と市職員が立って警備する。 同市は「同様の予告は全国の自治体で確認され、これまで被害が実際に発生した報告はないが、市民の安全を第一に考え万全の体制で対応する」としている。

就職・進学への不安 新しい生活様式に生きる留学生 筑波大学

【竹田栄紀】新型コロナウイルスの感染拡大は、留学生の生活を一変させたといわれる。身近に頼れる人が少ない留学生は孤立してしまうことも多い。つくばには多くの外国人が暮らす。10月から秋学期が始まる筑波大学(つくば市天王台)で、留学生の生活の現状を探った。 アルバイト収入ゼロに 筑波大大学院生命科学研究科修士2年の中国人留学生、楊逸暉さん(27)は来日4年目。来年、日本の製薬会社に就職予定だ。新型コロナの影響で来日時から志望していた観光業の新卒採用が滞ってしまい、志望業種の変更を強いられた。 筑波大大学院修士課程で学ぶ楊逸暉さん 楊さんは「留学生の枠はもともと限られており、そこに新型コロナによる混乱、新卒採用見送りなどが重なって苦しい就職活動となった」と振り返る。