水曜日, 5月 13, 2026
ホームコラム2年ぶりに福島第一原発周辺地域を歩く《邑から日本を見る》180

2年ぶりに福島第一原発周辺地域を歩く《邑から日本を見る》180

【コラム・先﨑千尋】14日、友人から誘われて2011年3月に事故を起こした東京電力福島第一原発周辺を回ってきた。2年ぶりだ。これまでは、「脱原発をめざす首長会議」のメンバーと一緒に事故原発の間近まで行ったり、中間貯蔵施設や漁業者の話を聞いたりしてきた。今回はJR双葉駅、双葉高校、大野駅再開発地域など、これまでに行かなかったところが中心。

ナビゲーターは、原発事故賠償訴訟群馬県原告団代表で楢葉町にある「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」の事務局長を務める丹治(たんじ)杉江さん。

丹治さんは、14年前の事故の後、いわき市から群馬県に一時避難した。東電に賠償を求める群馬での訴訟の原告代表を務めながら、事故の実相を訴える活動を続け、3年前に原発事故を語り継ぐ伝言館の運営を託され、全国からの来訪者に、事故を起こした原発周辺を案内している。

最初に行ったのは、浪江町に残されている震災遺構の請戸小学校。海のすぐ近くにある。15.5メートルの津波が押し寄せたが、校長らの指示で児童82人、教員13人が1.5キロ離れた大平山に避難し、全員助かった。以前に訪れた石巻市立大川小学校では、すぐ目の前に避難できる山があったが、津波が襲ったときに、児童74人、教員10人が逃げずに亡くなったのと対照的だった。想定外の事故にどう対応したらいいのかを考えさせられた。

双葉駅周辺は、帰還困難区域の一部の避難指示が解除となり、駅が再開され、周辺に住宅が整備されたが、診療所と郵便局、コインランドリーがあるものの、学校やスーパーなどのインフラは未整備。周辺は依然として帰還困難区域だから、立ち入りができず、うかつに散歩もできない。

駅近くにある双葉高校は100年の伝統があり、甲子園にも3回出場している古豪。しかし17年度から休校になり、校内は立ち入りができず、荒れ放題だ。実質廃校だが、廃校にすると原発事故との関連を言われるので、休校にしておくのだと丹治さんは話してくれた。周辺の道路は除染されているので放射線量は少ないが、除染されていない道路脇で線量を測ると一桁違い、立ち入ることはできない。

周りは高線量の帰還困難区域

大野駅前は事故を起こした第一原発から2キロ。高線量の帰還困難区域の中に、復興のシンボルとして立派な商業施設や産業交流施設ができている。近隣住民やエリアを訪れる人が買い物を楽しんだり、憩いのひとときを過ごしたりできると言われているが、周りは高線量の帰還困難区域。のんびり楽しむことなどできるのかなと思った。

大熊町には56億円かけてできた「学び舎夢の森」がある。町立の7つの幼・保・少・中学校が統合して生まれた、フェンスもチャイムもない一貫校。子どもの数は68人。家族と一緒に会津若松から戻った子どももいれば、体験入校をきっかけに関東や関西から家族とともにやってきた子どももいるそうだ。ここでの教育が移住・定住の選択肢の一つになっているが、一歩外に出れば放射線量が高く、近づけない区域。そこで学んだ子どもは将来どう成長するのかが気になる。

全体として2年前と比べてハードの事業は進んでいるように見えるが、戻ってくるのは年寄りばかり。住民は、高齢者、行政職員と工事関係者がほとんど。これで「復興」と言えるのか。

もう一つ、除染作業や工事関係者、この地域に住む人、働く人たちの放射能による被害はどうなのかが気になった。道路1本で、居住可能な区域とそうでない区域を機械的に分けることにも違和感を覚えた。(元瓜連町長)

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