日曜日, 11月 8, 2026
ホーム教育コロナ禍 シングルマザー5人が立ち上げ【広がる子ども食堂】4

コロナ禍 シングルマザー5人が立ち上げ【広がる子ども食堂】4

コロナ禍の2020年、シングルマザー5人が立ち上げた子ども食堂がある。阿見町を中心に食料を無料で配布するフードパントリーや子ども食堂、無料塾などの活動をしているami seed(アミ・シード)だ。代表の清水直美さん(44)ら30~50代の女性10人が中心となって運営する。

2月初め、阿見町のコミュニティセンター、本郷ふれあいセンター(同町本郷)で開かれた無料塾と子ども食堂「おにぎり食堂」に小学生から高校生まで約15人が集まった。毎週木曜日に開催している。子どもたちは机の上にそれぞれの教科書やノートを広げ、集中して鉛筆を走らせている。ボランティアの山田美和さんら2人が講師として子どもたちに勉強を教える中、調理室では清水さんら6人が調理に追われていた。

この日の献立は翌日が節分の日であることに合わせて、恵方巻とさつまいもの肉巻き、さつまいもとりんごのサラダ、あさりとしじみ2種類の味噌汁、牛乳。訪れた子どもたちの分と子どもたちが持ち帰る家族の分、合わせて50食を作り、容器に盛り付けていく。献立は調理師の資格を持つ林久美子さんが考えた。食材はいずれも寄付されたものだ。

しばらくすると勉強が終わった小学生たちが食事の準備を待ちきれず調理室にやってきた。「お腹減った?自分の分を自分で巻いてみる?」。林さんが恵方巻の作り方を教えると、子どもたちは真剣な様子で巻きすに手を添え巻いていく。完成すると笑顔がこぼれた。続いてやってきた中学生たちも自分で作った太巻き1本を、恵方を向いてほおばると「とてもうまいです」と顔をほころばせ、親指を立てて見せた。

2月12日に開かれたアミ・シード主催の講演会で活動への思いを語る清水さん=同

近所の人が助けてくれた

ami seedは20年4月、清水さんらが立ち上げた。阿見町には茨城大学農学部と県立医療大学の二つの大学がある。コロナ禍、一人暮らしの大学生や一人親世帯に食料を無料配布する活動から始まった。

清水さんは22歳になる双子の娘を持つ。娘が中学生の時に離婚し、仕事を掛け持ちした。忙しい生活の中、母が余命1年と宣告を受け、清水さんは自宅で最期をみとる選択をした。仕事と介護、子育てに追われる生活を見かね、近所の人たちが料理を作って持ってきて助けてくれた。

この体験を経て「それぞれいろいろな事情があったとしても、とにかくごはんを食べていればなんとかなる」と、食の支援を思い立った。

「おにぎり食堂」は、企業や個人からの寄付や、JAなどから支援を受けて集まった食材で運営している。最近は物価の高騰からか、集まる食材が減ってきたという。乳児用のミルクやおむつ、ベビーチェアやチャイルドシートなどが足りていないことも課題だ。

活動を知った土浦市や取手市などからも相談や問い合わせがあるという。子育ての仕方が分からないと育児ノイローゼになりながらも一人で子育てしている女性、離婚調停中で経済的に困窮している女性、仕事がなく昼夜逆転の生活をしている人。清水さんが寄り添ってきた人たちだ。「骨と皮になっているママもいる。職場でも友だちがつくれず、上司からパワハラを受けていたりもする人もいる」と清水さん。

一人暮らしの大学生は、経済面だけでなく心の問題を抱えていることが多いという。学業の相談を受けたり、自殺の連絡が来て止めたりしたこともあった。痩せていく様子を見て診察を勧め、医療につなげたこともある。

大学生との間でこんなエピソードもあった。ある時、90代の夫婦が寄付金数万円を携えて訪れた。県外出身の一人暮らしの男子大学生はその寄付金による支援で食料をもらうことができ、無事卒業した。社会人になった男性が夫婦に感謝の手紙を書いて送ったところ、子どものいない夫婦は「本当の孫からもらったようでこの手紙が宝物」と清水さんに語った。夫婦と男性を会わせたいと考えた清水さんは、夫婦宅の草取りの手伝いに男性を呼び、3人は対面することができた。

孤立しやすい一人親家庭や大学生、一人暮らし高齢者を、清水さんはいずれの場合も見守りながら、必要であれば本人の同意を得て行政の支援につなげる。しかし、傷ついた経験から行政の介入を拒む人もいるとし、「とにかく(気持ちを)吐き出させて帰らせることが大切」と話す。

今後の目標については「シングルマザーの暮らす家をつくりたい。第三の居場所、公共施設を使わずに活動できる場所をつくりたい」と話した。(田中めぐみ)

続く

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

少し変わった「キツツキ」《鳥撮り三昧》19

【コラム・海老原信一】見た目はそうでないけれど、れっきとしたキツツキの仲間。その名はアリスイ。爬虫(はちゅう)類に似た雰囲気があり、図鑑でキツツキの仲間だと知ったときは驚いた。林などをすみかにする他のキツツキ類と違い、ヨシ原のような湿地が好みらしい。初めて観察できたときは、「なにこれ?」と驚いた。 その後、何度か観察する機会があり、湿地の灌(かん)木などにいるアリの巣に、長く伸びる舌を差し込み、舌の粘膜にアリをからめとって食べる様子を観察できた。動物のアリクイのように、この仕草からアリスイの名がついたのだろう。ここに鳥見の楽しさがある。隠れているなら見つけてやるぞ…と。 もちろん、ガサゴソと彼らの近くへ踏み込むことはしない。望遠鏡を使い、丹念に居そうな場所を探す。他の隠れるのがうまい鳥を探すとき同様、静かに、丹念に。冬鳥たちの観察が楽しくなるシーズンに、これから入る。 隠れ上手なタシギ 保護色となると、冬枯れの緑の消えたハス田でタシギを見かける。危険を避ける場所を探し、レンコンの葉や茎が重なり合ったところに隠れている。うまくカモフラージュされているのだ。「うまく隠れるものだなあ」と思ったりするが、「頭隠して尻隠さず」の言葉があるように、隠れ上手のタシギも「尻隠さず」のことがある。 タシギにしたら隠れた気分なのだろう、こちらから体は丸見えなのに、目だけが隠れている。それを見て、うれしくなっている自分がいる。鳥見は楽しいと思える日々が、気力と体力と相談しながら、もう少し続くようにと願うこのごろ。(写真家)

シミュレーションゴルフ施設 つくば市梅園にオープン 24時間 完全個室型

市内初、ガソリンスタンドに隣接 室内に設置されたスクリーン上に国内外の有名ゴルフコースを映し出し、スクリーンに向かってショットを打つことで、弾道や飛距離を再現するシミュレーションゴルフ施設「DOOR TO GOLF(ドアトゥゴルフ)アドバンスセルフつくば梅園店」(岡野広大店長)が6日、つくば市梅園のガソリンスタンド隣りにオープンした。つくば市内で初のシミュレーションゴルフ施設となる。 世界のトッププロも使用するゴルフシミュレーターを導入し、スイングやボールの弾道などを高精度なAIで分析する。ヘッド軌道、インパクトデータ、ボール初速、打ち出し角などを瞬時に可視化し、感覚だけに頼らない効率的な練習をサポートする。完全個室のため、周囲の目を気にせず自分のペースで練習に集中でき、初心者から上級者まで、それぞれのレベルや目的に応じて利用できる。 セキショウグループの一員で、ガソリンスタンドなどを展開するアドバンス・カーライフサービス(つくば市、関太士社長)が、ガソリンスタンド「Dr.Drive(ドクター・ドライブ)アドバンスセルフつくば梅園店」に隣接して開設した。グループ初のシミュレーションゴルフ施設となる。 年中無休で24時間営業する。施設は個室型で完全貸し切り。個室の面積は約43平方メートル(13坪)、3人まで一緒に利用できる。利用は会員制で、インターネットで空き状況を確認し予約、鍵アプリを利用し入室する。 施設のオープンを記念して6日、導入式が催され。エネオス関東第一の南秀樹副支店長が第1号を試打。打球は正面大型スクリーンに映し出され、ボールの速度、弾道などの数字が瞬時に表示された。自身のフォームなども側面のディスプレイに映し出されていた。 アドバンス・カーライフサービスの坂林康二副社長は「ゴルフの盛んな茨城県に合わせこの施設を考えた。元の施設は整備工場だった。セルフ給油所隣接ということもあり、ここも(最新の設備やシステムを導入し無人化するなど)人をあまり使わずに出来る施設を考えた。まずは会員数を伸ばしていきたい。状況を見て2号店と、今後も増やしていく可能性がある」と話した。(榎田智司) ◆「DOOR TO GOLF アドバンスセルフつくば梅園店」はつくば市梅園2-25-12、電話029-855-2236。料金プランは▽ライト会員(月4回枠) 1万1000円▽スタンダード会員(月8回枠)1万7600円▽アドバンス会員(月12回枠)2万4200円▽ナイト⑷会員(月4回枠/利用時間 午前0時10分~7:00)6600円▽ナイト⑻会員(月8回枠/利用時間 午前0時10分〜7時)1万1000円 。入会金は通常1万1000円。料金はいずれも消費税込。家族(または同伴者)は3人まで無料で利用できる。

オタクと研究者 認知症になるのはどっち?《看取り医者は見た!》57

【コラム・平野国美】「著名な研究者と部屋にこもるオタク、どちらが認知症になりやすいと思いますか?」。講演などでこう問いかけると、大半の方は「人付き合いをせず閉じこもるオタクのほうが危ない」と答えます。世間では、頭脳労働や社会的地位こそがボケ防止の切り札であり、孤独は万病の元だと信じられているからです。 認知予備能の崖落ち しかし、老年医学や地域医療の現場で多くの人生の黄昏(たそがれ)を見つめていると、こういった常識はしばしば裏切られます。特に理工系の大学教授や研究機関のトップを務めたような碩学(せきがく)が、定年退職を迎えた途端、まるで断崖絶壁から転落するかのように、急速な認知症を発症・進行させてしまう事例は少なくありません。 医学的には「認知予備能(コグニティブ・リザーブ)の崖落ち」と呼ばれる現象です。彼らは高い知性によって、脳内に蓄積する病変を長年カバーし続けています。しかし、その知性は「研究室」という手厚い外部環境に依存していました。巨額の実験装置、論文執筆を促す締め切り、身の回りの手続きなどを整えてくれる秘書や学生など、その「足場」が退職とともに失われたとき、長年覆い隠されていた脳の機能低下が隠しきれず、一気に決壊してしまうのです。 内発的情熱のドパミン 一方、世間から「孤立のリスク」と心配されるシニアのオタクたちはどうでしょうか? 彼らの姿を見ていると、その驚くべき自立性に目を見張ります。 オタクの探求は、初めからすべて自己完結しています。自室の机の上、パソコンの画面、ネット上のコミュニティ…。退職したからといって、奪われる設備も権威もありません。むしろ、「これで誰にも邪魔されず、一生分の模型作りに没頭できる」「あの資料を心ゆくまで読み解ける」と、定年を人生の黄金期として迎え入れます。 彼らは、誰かに頼まれて動いているわけではありません。内発的な情熱からドーパミンを自前で分泌させ、指先を動かし、情報を分類・アーカイブし、至福の時間を過ごします。世間的な意味での「お付き合い」は希薄でも、関心で結ばれたネットの仲間と知的な交信を保ち、退屈という最大の毒を軽々と無力化してしまうのです。 偏愛と探求の場を持つ 高齢者施設に足を運ぶと、かつて社会を動かした大人たちが、折り紙や童謡、風船バレーといった幼稚園の遊戯のようなレクリエーションを強いられ、書き上げた書道に赤ペンで「花丸」をつけられ、自尊心を削られている光景に出会います。大人のプライドを無視した一律のケアが、どれほど人を無気力に追い込むことか。 知性の高さそのものが脳を守るのではありません。自分の手元に、誰にも奪われない「偏愛と探求の場」を自前で持っているかどうか。定年後の認知機能を支えるのは、かつての肩書ではなく、一人で面白がれるオタク的な「したたかさ」なのだと感じています。オタク、恐るべし!(訪問診療医師)

市南部にも1000メガワット つくば市、新たなデータセンター集積地誘致

つくば市北部の大穂地区に国内最大級となる1000メガワット(100万キロワット)のデータセンター建設計画が進み、周辺住民から不安の声が出ている中、つくば市は2日、市南部の高須賀、上郷地区約74ヘクタールに、新たなデータセンター集積拠点を誘致するため、民間事業者の募集手続きを開始した。市南部に誘致するデータセンターは受電容量が最大1000メガワットで、大穂と同規模になる。 圏央道つくば西スマートインターチェンジ(IC)周辺の、同市高須賀、上郷に誘致する。開発にあたっては、事業者(企業グループ)が一括して、用地買収、土地造成、建設、管理運営などを実施する。付属施設として排熱を利用する施設や蓄電池を設置・保管する施設などデータセンターと関係のある施設などは立地を認める。 計画地は現在、田んぼ、畑、山林、宅地などで、面積の半分が農業の振興を図るべき農業振興地域の農用地区域となっている。地権者は計251人。産業用地とすることについて意向を確認したところ、96.8パーセントの243人から同意を得ているという。未同意の残り8人は所有者不明や未相続など。一方、2025年1月からこれまで4回地権者説明会を実施しているが、データセンター集積地とすることを地権者に説明したのは10月31日が初めてという。 今後のスケジュールは、12月中に事業者から参加申込を受け付け、市が事業提案書やプレゼンテーション、ヒヤリングなどで審査を実施、来年3月までに事業者を選定する。その後、用地買収価格などについて市及び地権者団体と協議し、市と協定書を締結する。2027年度以降、用地買収を開始し、28年度に農業振興地域の除外申請や開発許可などの手続きを実施、29年度に造成工事に着手し、30年度に建設工事に着工、32年度に1棟目のデータセンターが操業を開始する想定だ。 同地区は2024年12月、地域経済をけん引することを目的とする地域未来投資促進法に基づく重点促進区域となり、開発の際に農業振興地域の除外などの手続きが簡素化されたり、税制優遇などを受けることができる地域となった(25年1月10日付、25年1月26日)。さらに今年9月、つくば市が、脱炭素電源を核とするデータセンター集積型のGX戦略地域に認定されたことを受けて、市が事業者に伴走しながら環境配慮・地域共生型のデータセンターを目指すとしている。 具体的な環境配慮として、自主的な環境影響評価の実施、サーバーや機器の冷却は液冷却や液浸冷却など高効率な技術を導入、排熱の活用、環境データの測定など。地域共生として住民説明会の開催、地域振興施設の整備、市内の大学や研究機関との連携、想定される市税、用地買収価格などを審査し、事業者を選定する際の加点にするなどとしている。 市立地推進課によると、昨年6月から9社を対象にサウンディング調査を実施、併せて50社以上にヒヤリングを実施してきた。当初、製造工場や物流施設の誘致も検討したが、資材高騰などの中、データセンター以外を一括開発により誘致するのは厳しいと判断したという。データセンターに関しては、すでにかなり多くの企業から問い合わせなどがあるとしている。 大規模データセンターの立地に対しては、莫大な電力使用や排熱、水利用、騒音、振動などの環境影響について専門家が課題を指摘、大穂地区では大きな不安の声が出ており、住民団体「データセンターから市民を守る会」が結成されている。(鈴木宏子)