金曜日, 9月 11, 2026
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土浦一高哲学部のコラム集「放課後の哲学」が書籍化 NEWSつくばで連載

土浦一高哲学部が今年3月から4月にかけてNEWSつくばで連載したコラム「放課後の哲学」が一冊の本になった。9月から全国の書店で一般販売が始まる。版元はあっぷる出版社(東京都千代田区、渡辺弘一郎代表)。「放課後の哲学」は、部員一人ひとりが日々の暮らしの中で感じた違和感や葛藤を、等身大の言葉でつづったコラム集だ。

当サイトに掲載した哲学部員9人と顧問教諭による10本のリレーコラムのうち、書籍には部員の8本を収録した。このほか新たに執筆を希望した部員らによる書き下ろし5本と、3人の卒業生が在校時代をそれぞれ振り返った「あの時の放課後」、2人が卒業後の現在を見つめる「その後の放課後」、書籍化のきっかけにもなった学外での市民向け哲学カフェ「語るカフェ」を支える地域住民による「地方都市の『語るカフェ』」など、全22本のコラムで構成される。

「放課後の哲学」の表紙(右)と裏表紙の書影

四六判208ページ。表紙を彩る蛇行した虹色の線は、哲学部部長で2年生の大和田哲太さん(17)が自身のコラム「好きな『もの』や嫌いな『もの』とは何なのか」の挿絵として描いた「人間関係の強度」と「好き嫌いの度合い」を図式化したものが基になっている。オーケストラ曲を自ら作曲するなど音楽にも取り組む大和田さんが、人と人との関係を独自の図で表現したものだ。

連載時、読者からは「部員たちによる一生懸命な文章から熱量が伝わってくる」「錯綜したり、混乱したりしている文章が生身の若者丸出しでいい」「自分も若い頃に感じていた、将来への漠然とした不安な気持ちを思い起こした」などの感想がSNSを通じて多数寄せられ、書籍化を望む声も寄せられていた。

生徒自ら書店を巡りPR

8月、発売を前に、哲学部の生徒たちは地元のつくば市や土浦市の書店を訪ね、自ら本のPRを始めた。

リブロ トナリエキュートつくば店では、多和田店長から売り場作りについて説明を受けた

「私たちが書いた本です。ぜひ、よろしくお願いします」。10日、つくば市内の書店、リブロ トナリエキュートつくば店を訪ねた大和田さんは同書の書影が印刷されたチラシを店長の多和田遥さんに手渡し、本の内容や哲学部の活動について説明した。

受け取った多和田店長は「著者が出版物を持って書店をあいさつに回ることはこれまでもあったが、高校生が来たのは初めて。なかなかできないことだし、熱量が伝わってくる。高校に哲学部があるのも全国的に珍しい取り組みで、とても関心がある。力になりたいと思っている」と応じた。哲学部では8月、つくば、土浦市内の書店、合わせて8軒を数日間かけて回る予定だ。

大和田さんは「書籍化されると聞いて、まず驚いた。部員全員で一生懸命取り組んだ結果だし、さまざまな関係者のおかげでもある」と話す。実際に書店を訪ねてみて、「自分たちの取り組みを人に伝えることの大変さも改めて感じた。ただ熱量があるだけでも伝わらない」と感じたと話す。

コーチャンフォーつくば店で店舗責任者に本の説明をする大和田さん

対話を重ねて文章に

「放課後の哲学」は、生徒がそれぞれ書いた完成原稿を持ち寄って始まった連載ではない。連載開始までの約5カ月間、生徒たちは「編集カフェ」と称して毎週月曜の昼休みに学校の図書室に集まり、それぞれが書いた原稿を読み合った。書き手が何を伝えたいのかを聞き、一人ひとりが意見を出す。それを受けて書き手が再び文章に向き合い、書き足したり書き直したりする。哲学部が活動の中で大切にしてきた「対話」を重ねながら、一つ一つのコラムを形にしていった。

生徒自身が書店を訪ねることについて、顧問の飯島一也教諭は、単なる販売促進とは異なる意味があると話す。 「自己表現の一環として、どのような思いで本をつくったのかを書店の方に話すことも、哲学部の活動として意味があるのではないかと考えた。本を書いた思いを皆さんに知っていただく、そうした行動の一環として、生徒自身が書店に出向くことに意味があると話し合った」という。

哲学部は学校の外でも、市民と一つのテーマについて語り合う哲学カフェ「語るカフェ」を、市内のイベントスペースで開いている。2024年から始まり、開催はこれまで6回を数える。高校生の孫を持つ世代から、会社員、大学生などさまざまな市民が参加してきた(5月14日付)。

飯島教諭は「哲学カフェは格闘技ではない」と強調する。相手を言い負かしたり、勝ち負けや一つの正解を求めたりするのではなく、異なる意見を受け取り、対話を通じて自分も相手も少しずつ変わっていく。その過程そのものを大切にする活動だとし、「社会の分断が世界規模で進む中、共通の土壌の上で共同作業をする経験を、どこで積むのか。その一つの答えが哲学カフェだと思っている」と語る。

9月には、土浦やつくば市内で出版記念イベントの計画も進行中だ。飯島教諭は書籍について「生徒自身が表現した切実な思いが皆さんに伝わり、読んだ人の心の中に何か変化が起きて、それがまた社会の何かの変化につながっていくことがあったらありがたい」と期待する。大和田さんは「高校生の私たちが書いた文章によって、本を手に取ってくれた方に何か新しい発見や、日常の見方の変化があれば、一番うれしい」と話した。(柴田大輔)

◆執筆した哲学部員や卒業生、関係者らによる出版記念トークイベント「放課後の哲学ができるまで」が、9月13日(日)午前10時~11時30分、土浦市中央1丁目13-52 公園ビル内「がばんクリエイティブルーム」で開催される。入場無料。事前予約制。同日正午からは会場の向かいにある城藤茶店で希望者による食事会も開かれる。参加予約、問い合わせはメール(daisuke.pp@gmail.com)へ。

➡NEWSつくば連載のコラム《土浦一高哲学部「放課後の哲学」》はこちら

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