月曜日, 6月 22, 2026
ホームつくば3次元集積に足場 TSMCジャパン研究開発センター、産総研つくばにクリーンルーム

3次元集積に足場 TSMCジャパン研究開発センター、産総研つくばにクリーンルーム

半導体の受託製造で世界最大手のTSMC(本社・台湾 新竹市)の子会社、TSMCジャパンは24日、つくば市小野川の産業技術総合研究所つくばセンター内に建設していた3DIC(3次元集積回路)研究開発センターのクリーンルームの完成を発表し、同日オープニングイベントを開催した。

半導体を立体的に積み重ねて高性能化を目指す「3次元化」技術を研究する。TSMCとしては台湾以外に初めて開設する研究拠点となる。総事業費370億円の約半分に当たる約190億円を日本政府が支援する体制を組んでおり、2021年3月に3DIC研究開発センターを設立した。これまでに旭化成や信越化学工業など国内24社の半導体関連企業が参加している。

台湾本社から魏哲家(シーシー・ウェイ)最高経営責任者(CEO)がつくば入りし、萩生田光一経済産業相と会談した。式典に臨んだ萩生田経産相は「かつて世界を席巻した日本の半導体産業は凋落(ちょうらく)著しい。過去を反省して国際連携に可能性を見いだした。3Dパッケージの技術に日本の装置、材料メーカーの支援を得てイノベーションを起こしていきたい」とあいさつした。

あいさつする魏哲家CEO(左)と江本裕3DIC研究開発センター長

式典には国会議員のほか、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長、石村和彦産総研理事長らが出席。口々に期待を述べた。

高度なパッケージング技術の研究

3DIC研究開発センターは、産総研西事業所のTIA共用施設に向かい合う形で建設された。2階建て施設の2階がクリーンルーム。建設規模などは明らかにされていないが、産総研によれば1800平方メートルの広さがある。研究者・従業員数の詳細も伏せられたが、台湾からの派遣と日本国内からの採用がほぼ半数になるという。

稼働開始した3DIC研究開発センターのクリーンルーム=TSMCジャパン提供

材料科学における次世代の3次元集積化技術や高度なパッケージング技術の研究を推進する。これらにより、コンピューティング性能の向上や多機能化を実現するシステムレベルの革新が実現され、従来のトランジスタサイズの縮小に加え、半導体技術を前進させる新たな道が開かれる。

江本裕センター長によれば、半導体の性能を高めるため、ナノスケールの微細な加工によって密度を高める従来の手法では、物理的な限界が近づいているそう。発熱や静電容量の問題もあり、異種プロセスで製造した複数の半導体チップを混載し、縦方向(3次元)に集積する手法に注目が集まっているという。

この際、「日本には、世界の半導体サプライチェーンにおいて重要な機能性材料や主要技術を保有する企業が数多くあり、共にスケール(規模)を大きくしていくことで、半導体プロセスの革新に取り組んでいく」(江本センター長)としている。

同センターが技術開発に注力するのはウェハーからチップを切り出して製品化する「後工程」の部分となり、「前工程」技術に取り組んでいる産総研と共同研究の体制をとる。産総研から研究者が直接、同センターに所属して研究に加わることはないそうだ。(相澤冬樹)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

程よい距離感の美学《マンガサプリ》8

【コラム・瀬尾梨絵】女子校の教師、星の日常を描いた和山やま先生の「女の園の星」(祥伝社、初版2020年、現在4巻)。本作が多くの読者を引きつけてやまない理由は、従来の学園モノにありがちな「少女マンガ的な展開」を、驚くほど軽やかに、そして意図的に回避している点にある。 一般的に、教師と生徒が登場する学園モノといえば、悩み相談を通じた絆の物語や、淡い恋心が生まれるようなドラマチックな展開が期待されがちだが、この作品にはそうした熱いイベントは存在しない。描かれるのは、女子高生たちが繰り広げる突拍子もない悪ふざけや、教師たちの淡々とした日常、そしてそれらを冷静に受け流す星先生の乾いた反応。それはまるで、遠くから静かな水面を眺めているような不思議な心地よさに満ちている。 この作品の特徴は、教師と生徒という二つの世界が、適度な距離を保ちながら住み分けられていること。彼らの関係は決して崩れることはなく、かといって冷え切っているわけでもない。お互いの領域を侵すことなく、しかし同じ校舎という空間で程よい温度で交差する。この絶妙な均衡状態こそが、本作が持つ最大の魅力であり、読者が感じる癒やしの源泉ではないだろうか。 生徒たちのユニークな言動に対しても、星先生は決して熱くなることはない。淡々と、時には静かにツッコミを入れ、時にはただ見守る。その一挙手一投足に、過剰なドラマは入り込む隙はなく、読者は、何かが起きそうで何も起きないこの心地よい凪(なぎ)のような時間を共有することで、日々の忙しさをふっと忘れることができるのかもしれない。 和山先生の描く、少し力が抜けたキャラクターたちの表情や、シュールな会話劇は、一度ハマると抜け出せなくなる中毒性があり、物語としての大きな起伏を追いかける必要がない分、一コマ一コマにちりばめられた細かなボケや、星先生の隠しきれない脱力感が、読むたびに違った角度から笑いを誘う。 騒がしい日常に清涼な凪 「今日は何も考えずに、ただリラックスしたい」。そんな夜に、これほど最適な一冊はないだろう。何か劇的なことが起こるわけではないけれど、そこに確かに存在する「笑い」と「穏やかな時間」。女子校という閉ざされた園の中で、今日も粛々と流れる星先生の日常は、読者の心の窓に心地よい風を吹き込ませてくれる。 過剰なドラマを排除し、淡々とした日常の滑稽(こっけい)さをすくい上げる。騒がしい日常に、清涼な凪を。そのスタンスこそが、本作を唯一無二の作品に押し上げているのだ。読み終わった後には、きっと星先生と一緒に小さくため息をつきながら、明日もまた穏やかに過ごせそうな、そんな優しい気持ちになれるはず。(牛肉惣菜店経営)

土浦一高野球部 伝説の選手たち《文京町便り》53

【コラム・原田博夫】1925年秋季から本格的に始まった東京六大学野球の2026年春季リーグで、天覧試合(天皇陛下と敬宮愛子さまが御臨席)の早慶戦があった翌日の6月1日、慶應大野球部は5季ぶり、41回目の優勝を手にしました。今回は、慶應大、土浦一高に関わった高校野球の「伝説」の人、木内幸男監督たちのお話です。 優勝案内人、木内幸男氏 土浦一高野球部は1957年夏、一度だけ甲子園に出場し、1回戦で和歌山商業に勝利したものの、2回戦で岐阜商業に敗北しました。そのときの主力選手は、ピッチャー・五来孝輔、ショート・安藤統男らで、彼らは土浦一高第10回卒(甲子園出場時は3年生)でした。小学生の私は、その試合を土浦市内の亀城公園に設けられた特設TVで背伸びしながら見ました。 このときの一高野球部の部長は遠藤俊夫先生(後の同校校長、茨城県教育次長)で、私の父と旧制土浦中学で同窓でした。わが家は、甲子園まで応援に出向くことはなかったものの、このときの甲子園出場はとても身近でした。その後、遠藤家と我が家は親戚関係になりました。 土浦一高野球部の監督は、彼ら主力選手が高校2年になるまでは、7歳上の木内氏でした。彼は一高卒業後、慶應大進学をキャンセルして、一高野球部のコーチに没頭しており、甲子園進出時の監督は島田実氏でした。彼は、早稲田大野球部で広岡達朗(後のプロ野球阪神の監督)らとプレーした人です。 木内氏は、1957年4月に取手二高の野球部監督に異動、その後、同校は木内氏の指導の下、何度も甲子園に出場し、全国優勝したことはご存知と思います。同氏は常総学院野球部でも全国優勝しています。周知のことと思いますが、専修大松戸高校野球部の持丸修一監督は木内氏の「野球教え子」です。 阪神監督、安藤統男氏 1957年夏の甲子園での岐阜商業のピッチャーは「超高校級」の清沢忠彦氏でした。同校に敗れた土浦一高としては、「とてもかなわなかった」という感じでした。しかし、土浦一高の安藤統男と岐阜商業の清沢氏が進学したのは慶應大野球部でした。彼らは慶應大野球部でチームメートになったのです。 その上、1960年秋季の六大学リーグ戦で、早慶6連戦をやり遂げました。このリーグ戦では早稲田大が優勝したのですが、安藤氏と清沢氏は慶應大野球部の仲間として、高校時代からのつながりを感じたのではないでしょうか。この伝説的な早慶6連戦は、それから約10年後、私が慶應大に入学したころも、先輩たちの間で語られていました。 この伝説の早慶戦のときの早稲田大野球部の監督は石井連蔵氏(水戸一高出身)で、「一球入魂」のフレーズで有名な高校野球の父、飛田穂州の薫陶を受けていたようです。安藤氏はその後、阪神タイガースに入り、同球団の監督になっています。(専修大学名誉教授)

92校84チームの対戦カード決まる 7月4日開幕 高校野球茨城’26

第108回全国高校野球選手権茨城大会の組み合わせ抽選会が18日、水戸市千波のザ・ヒロサワ・シティ会館(県民文化センター)で開かれ、出場校92校84チームの対戦カードが決まった。大会は7月4日から、ノーブルホーム水戸、ひたちなか市民球場、J:COM土浦、笠間市民球場の4球場で行われ、8月5日から兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する全国大会出場を掛けた熱戦が繰り広げられる。 昨秋と今春の成績で16校にシード校の権利が与えられた。29年ぶりに春の県大会を制し関東大会でベスト8になったシード校の土浦日大は、2回戦から登場し、開会式直後の第1試合、日立工ー茨城キリストの勝者と対戦する。吉田惺南(せな)主将は「どこが相手でもやることは変わらないので、一戦一戦戦っていく準備をしていきたい。夏の大会に優勝して、甲子園でも勝って、日本一を取ることが自分たちの目標」だと意気込みを語った。 開会式は7月4日にノーブルホーム水戸で行われる。選手宣誓は26番の札を引き当てた勝田工業の仁平晃祐(こうすけ)主将に決まった。 大会が順調に進めば、決勝は7月25日午前10時にノーブルホーム水戸で行わる。 熱中症対策として、第1試合の開始時刻を昨年より30分早めて午前9時に変更する。3回、7回終了後に3分間の給水タイムと、5回終了後に5分間のクーリングタイムを設ける。延長10回からはタイブレーク(無死1、2塁の状態)が採用される。 また指名打者(DH)制が茨城大会として初めて導入される。  連合チームは、今大会から新たに加盟したわせがくPURE、2年ぶりに出場する岩瀬、茎崎、茨城東、結城一、総和工、笠間の「茨城連合」、那珂湊と茨城高専の「那珂湊・高専」、麻生とつくば国際大の「麻生・国際」の3チーム。部員不足により、玉造工、神栖、竜ケ崎南、真壁、明野、三和、石下紫峰、坂東清風が不参加となった。 「昨年以上の成績を」 昨年3回戦に進出し、18年ぶりとなる過去の最高の成績を残した土浦工業は今年、2回戦から出場し、藤代ー石岡商の勝者と対戦する。助川誓哉主将は「皆で明るく楽しく協力しながら戦い、昨年以上の成績を残したい。」と語った。  学校名がつくば工科から変更になって2年目を迎えたつくばサイエンスの初戦は石岡一。前田泰輝主将は「10人の部員数でも最後まで諦めず全員で戦い、一戦必勝でサイエンスとして初めての初戦突破を目指す」と話した。 つくば国際は、部員不足で2003年の部創立以来初めて、麻生高と連合チーム「麻生・国際」をつくり挑む。初戦は、昨年19年ぶりに出場した茎崎を含む「茨城連合」と対戦する。川口翔大主将は「(連合として)初めての経験なので、日々練習を重ね、1勝を目指す」と力を込めた。 入場料は一般800円。中学生以下は無料で、高校生は学生証を提示すれば無料。(高橋浩一)

かすみがうら市、土浦市に合併協議・検討の場設置を要請

土浦市長「内容を精査し検討」 土浦市との合併に向けた協議・検討の場の設置を求める決議が16日、かすみがうら市議会で全会一致で可決されたのを受けて(6月11日付)、かすみがうら市の宮嶋謙市長と来栖丈治市議会議長が17日、土浦市役所を訪れ、土浦市の安藤真理子市長と勝田達也市議会議長にそれぞれ、合併協議・検討の場の設置を求める要請書と要望書を手渡した。 宮嶋市長の要請書は「土浦市との合併は長年の悲願で(2003年の)任意合併協議会が、議論の入り口である合併方式をめぐって対立し、協議が途絶えてしまったことは大変残念」だとし、両市は「単に行政境界が接しているばかりでなく、歴史的にも生活圏域でも一体的で、これまでの経緯を踏まえるなら市議会の要望書は、市全体の要望」だとした上で、「現在政治に携わっている者は、若い世代や新しく生まれてくる命に重い責任を負っている」「(両市が)抱えるまちづくりなどの共通の行政課題の解決に向けては合併協議が極めて有効な解決の処方箋」で「将来的には県南の50万人の中核拠点都市の実現を目標とし、2市合併に向けた協議・検討の場を設置」するよう要請している。 来栖市議会議長の要望書は「急激な少子高齢化を伴った人口減少が社会経済や行政運営に及ぼす影響が懸念される」とした上で、両市は「神立駅西口の土地区画整理事業などを共に推進してきたほか、通勤・通学、買い物、医療など住民の生活圏域も一体化が進んでいる」とし、さらに「つくばエクスプレスの県内延伸では、(両市は)延伸構想を実現し、整備効果を県内全域に波及させていく上で鍵となる重要な地域」で、「厳しい財政状況下にあって将来を展望した時、今この時期を逃さず、共通する行政課題や一体的なまちづくりを検討することが不可欠で、合併協議・検討を抜きに語ることはできない」などとしている。 要望書を受け取った後、記者団の取材に応じた土浦市の安藤市長は、今後の対応や進行について「内容を精査し検討したい」を述べ、その上で「広域連携は今後も進めていきたい。将来的には合併が必要になるかも知れないが、両市民の生活に影響を与える大きなテーマであり、大事なのは市民生活を低下させないこと」だなどと語った。市議会の勝田議長は「明日議会があるので、議会運営委員会に諮問し、検討したい」とした。 一方、かすみがうら市の宮嶋市長は、要請書としたことについて「要望書から要請書に変えたのは、一方的なものから協力関係にあるものにしたいと思いから」だとし「規模からいっても土浦市に編入という形になると思うが、これがスタートであり、つくば市まで含めた広域的なものになっていくのが良いのではないか」と語った。 昨年10月時点の国勢調査人口速報によると、かすみがうら市の人口は3万8413人で減少傾向が続く。一方土浦市は14万1588人で微減となっているが、かすみがうら市の3.7倍の人口規模がある。面積は、かすみがうら市が約156平方キロメートル、土浦市が約123平方キロメートルで、かすみがうら市の方が1.27倍広い。(榎田智司)