水曜日, 4月 22, 2026
ホームつくば3次元集積に足場 TSMCジャパン研究開発センター、産総研つくばにクリーンルーム

3次元集積に足場 TSMCジャパン研究開発センター、産総研つくばにクリーンルーム

半導体の受託製造で世界最大手のTSMC(本社・台湾 新竹市)の子会社、TSMCジャパンは24日、つくば市小野川の産業技術総合研究所つくばセンター内に建設していた3DIC(3次元集積回路)研究開発センターのクリーンルームの完成を発表し、同日オープニングイベントを開催した。

半導体を立体的に積み重ねて高性能化を目指す「3次元化」技術を研究する。TSMCとしては台湾以外に初めて開設する研究拠点となる。総事業費370億円の約半分に当たる約190億円を日本政府が支援する体制を組んでおり、2021年3月に3DIC研究開発センターを設立した。これまでに旭化成や信越化学工業など国内24社の半導体関連企業が参加している。

台湾本社から魏哲家(シーシー・ウェイ)最高経営責任者(CEO)がつくば入りし、萩生田光一経済産業相と会談した。式典に臨んだ萩生田経産相は「かつて世界を席巻した日本の半導体産業は凋落(ちょうらく)著しい。過去を反省して国際連携に可能性を見いだした。3Dパッケージの技術に日本の装置、材料メーカーの支援を得てイノベーションを起こしていきたい」とあいさつした。

あいさつする魏哲家CEO(左)と江本裕3DIC研究開発センター長

式典には国会議員のほか、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長、石村和彦産総研理事長らが出席。口々に期待を述べた。

高度なパッケージング技術の研究

3DIC研究開発センターは、産総研西事業所のTIA共用施設に向かい合う形で建設された。2階建て施設の2階がクリーンルーム。建設規模などは明らかにされていないが、産総研によれば1800平方メートルの広さがある。研究者・従業員数の詳細も伏せられたが、台湾からの派遣と日本国内からの採用がほぼ半数になるという。

稼働開始した3DIC研究開発センターのクリーンルーム=TSMCジャパン提供

材料科学における次世代の3次元集積化技術や高度なパッケージング技術の研究を推進する。これらにより、コンピューティング性能の向上や多機能化を実現するシステムレベルの革新が実現され、従来のトランジスタサイズの縮小に加え、半導体技術を前進させる新たな道が開かれる。

江本裕センター長によれば、半導体の性能を高めるため、ナノスケールの微細な加工によって密度を高める従来の手法では、物理的な限界が近づいているそう。発熱や静電容量の問題もあり、異種プロセスで製造した複数の半導体チップを混載し、縦方向(3次元)に集積する手法に注目が集まっているという。

この際、「日本には、世界の半導体サプライチェーンにおいて重要な機能性材料や主要技術を保有する企業が数多くあり、共にスケール(規模)を大きくしていくことで、半導体プロセスの革新に取り組んでいく」(江本センター長)としている。

同センターが技術開発に注力するのはウェハーからチップを切り出して製品化する「後工程」の部分となり、「前工程」技術に取り組んでいる産総研と共同研究の体制をとる。産総研から研究者が直接、同センターに所属して研究に加わることはないそうだ。(相澤冬樹)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最新記事

対策必要な下水管 延長600メートル つくば市 八潮市の陥没事故受け特別調査

埼玉県八潮市で昨年1月に発生した道路陥没事故を受けた下水道管路の全国特別重点調査で、つくば市は21日、対策が必要な下水道管路は市内に延長約600メートルあると発表した。いずれも筑波研究学園都市の建設が始まった1970年代につくられた雨水管という。同時期に生活排水を流す汚水管も埋設されたが、今回の国交省調査の対象外という。 対策が必要な雨水管600メートルのうち、原則1年以内に速やかな対策が必要な緊急度Ⅰの管路は延長約100メートル、応急対策を行った上で5年以内を目途に対策が必要な緊急度Ⅱの管路は延長約500メートルだった。 特別調査は、八潮市の陥没事故を受け、国交省が全国に調査を要請した。調査対象は内径2メートル以上の大口径で、1994年度以前に布設され30年以上を経過した下水管。傷み、腐食、破損、たるみなどの程度や個所数などを調査した。市内では延長約23キロの雨水管が調査対象となった。昨年7~12月、調査員が雨水管内に入って管内の状況を目視で調査、今年1~2月に調査結果を診断した。一方汚水管については内径2メートル以上のものはなく、今回の調査対象にはならなかった。 調査の結果、対策が必要だと分かった延長約600メートルの雨水管の管路に軽微なひび割れなどが認められたが、土砂の堆積など道路陥没につながるような緊急性の高い異常は確認されなかった。市下水道工務課は、今回調査対象となった雨水管は、汚水管のように硫化水素が発生し腐食しやすい環境にないため、道路陥没のリスクは比較的低いとしている。 今後の対応として市は、1年以内に対策が必要な延長約100メートルについては、空洞化調査などの詳細調査をし、来年2月までに対策を実施するとしている。5年以内に対策が必要な延長約500メートルについては2031年2月までに対策を実施する。修繕完了までに一定期間を要することから、路面巡視などを適宜実施し、陥没の予兆となる道路異常の早期発見や事故防止に努めるとしている。 一方、内径が2メートル未満のため今回の調査対象にならなかった汚水管については、市の第1期(2019~23年度)ストックマネジメント計画で、延長3100メートルについて修繕対応が必要とされ、23年度までに1900メートルの修繕を実施してきた。現在実施中の第2期計画では、第1期で積み残した1200メートルと新たに判明した分を合わせた5700メートルについて対策を実施するとし、初年度の24年度末時点で220メートルについて修繕を実施したという。 県が管理する流域下水道の管路については、つくば市内などに布設されている霞ケ浦常南流域下水道の管路は、対策が必要な箇所は無かった。土浦市などに布設されている霞ケ浦湖北流域下水道については、原則1年以内の速やかな対策が必要とされる緊急度Ⅰの箇所が延長6メートル、応急措置を行った上で5年以内を目途に対策が必要な緊急度Ⅱの箇所は延長71メートルあった。

学校給食の牛乳に異味 土浦市 6校の12人が体調不良

土浦市教育委員会は21日、市内の小中学校の学校給食で出された牛乳を20日に飲んだ児童、生徒から「いつもと牛乳の風味が違う」など異味の申し出があったと発表した。そのうち6校の児童生徒12人から腹痛など体調不調の訴えがあった。 牛乳は、いばらく乳業(水戸市)が製造したもので、茨城県学校給食会から同市が購入し、市内24の小中学校に計約1万500食分を提供している。 発表によると、市内の全24校で「味がすっぱい」「薄い」「酸味がある」「薬のような臭いがする」など異味の申し出があった。24校は、土浦小、下高津小、東小、大岩田小、真鍋小、都和小、荒川沖小、中村小、土浦二小、上大津東小、神立小、右籾小、都和南小、乙戸小、菅谷小、一中、二中、三中、四中、五中、六中、都和中、新治学園義務教育学校、土浦一藁附属中。 そのうち体調不良の訴えがあった6校の12人は、土浦小が3人、下高津小2人、上大津東小2人、都和南小3人、五中1人、新治学園1人。 20日、各学校が市学校給食センターに報告。土浦保健所や県教育庁保健体育課に連絡した上で、いばらく乳業に対し、原因の調査を依頼している。 市教委は21日から当面の間、給食での牛乳の提供を停止し、児童、生徒には水筒を持参してもらって対応している。 市教委は「関係する児童、生徒、保護者の皆様には大変ご心配をお掛けしましたことをお詫びします」などとしている。

運命の人《短いおはなし》50

【ノベル・伊東葎花】 わたしは、前世の記憶を持って生まれた。前世のわたしは、老舗料亭のひとり娘。裕福な家庭に育ったけど、家に縛られ自由はなかった。そしてわたしは恋をした。相手は売れない画家だった。将来を誓い合ったけど、結ばれなかった。身分違いの恋だ。周囲からの猛反対に遭って別れた。 わたしたちは、誓い合った。 「生まれ変わったら、絶対いっしょになろうね」 きっと何度生まれ変わっても、わたしは彼を見つける。だって彼は、運命の人だから。 あれから数十年。わたしは生まれ変わった。今のわたしは、料亭の娘じゃない。親の束縛もない。とても自由なの。彼との出会いを夢見て過ごした。一目見ればわかるはず。だって運命の人だもの。 穏やかな春の日、何かに導かれるように、夕暮れの公園に来た。通りかかったひとりの男が、わたしをじっと見ている。運命を感じた。ああ、この人だと思った。姿は変わっているけれど彼に間違いないと、わたしは感じた。 「わたしがわかる?」 呼びかけてみた。彼が少しずつ近づいてくる。 「ああ、ずっと探していたんだ」 彼は、わたしをぎゅっと抱きしめた。ああ…、やっぱりそうだ。運命の人だ。「僕の家に来る? すぐそこなんだ」 彼が耳元でささやいた。もちろんわたしはうなずいた。 「ほら、見えるだろう。あの赤い屋根の小さな家だよ」 彼が指差す家は、わたしの理想の家だった。いつかあなたが絵に描いた家。赤い屋根のかわいい家で、ふたりで暮らそうと言ったこと、憶えていたのね。うれしい。わたしは目を閉じて、彼に寄り添った。 「これから一緒に暮らそう。きっと君も気に入るよ」 庭には、かわいいお花がたくさん咲いている。ふたりの楽園ね。 彼はドアを開けると、「お~い、帰ったよ」と誰かに声をかけた。家族がいるの? わたし、気に入られるかしら。「おかえり」と顔をのぞかせたのは、若い女だった。 女は、わたしを見るなり目を潤ませた。 「なんてかわいいの」 「公園で見つけたんだ。ピンときた。君が絵に描いていた子にそっくりじゃないか」 「ええ、そうよ。なぜだかずっと夢に出てきたの。きっと運命よ。やっと会えたのね」そう言って、女がわたしを抱きしめた。 ああ、そうか…。彼女のぬくもりに触れたとき、わたしにははっきり分かった。運命の人はこの人だ。 彼が男に生まれ変わるとは限らない。わたしが人間に生まれなかったのと同じだ。 わたしは、いとおしい人の胸に抱かれて目を閉じた。そして「ニャ~」と甘えてみせた。  (作家)

地域のゴミ拾い《デザインを考える》31

【コラム・三橋俊雄】1月に地域の「こども会議」を開催しました。「こども会議」とは、地域の子どもたちが集まり、自分たちの生活や地域について意見を出し合う場です。子ども自身が地域の一員として考え、発言し、提案していくことを目的としています。 参加者は、小学4年生から高校生までの子ども12名と大人7名の計19名でした。テーマは、前回の会議で子どもたちから提案されていた「地域のゴミ拾い」です。 交流センターに集合した子どもたちは、「こども会議」の象徴であるグリーンのビブスを身につけ、北風の吹く中、トングとゴミ袋を手に2つのコースに分かれて歩き始めました。 初めは道路を見ても、ゴミのポイ捨てはほとんどないように見えました。しかし子どもたちは草地ややぶの奥まで入り込み、ペットボトルや空き缶、プラスチック片、手袋、さらには捨てられた電化製品のファンヒーターまで拾い集めました。 わずか40分という短い時間にもかかわらず、地域にはこれほど多くのゴミが潜んでいたことが分かり、子どもたちも私たち大人も驚きと新たな発見がありました。 活動後は、集めたゴミを使って、みんなで「ゴミ・アート」を制作しました(上の写真)。 環境教育につなげる試み ゴミ拾いを体験した子どもたちからは、「思ったよりゴミが多くてびっくりした」「いっぱい拾えて気持ちよかった」「どんどんきれいになってうれしい」「飲みかけのペットボトルがあった」「草の中に小さいゴミがあって驚いた」「風に飛ばされてむずかしかった」など、さまざまな感想が寄せられました。 今回の子どもたちによる「ゴミ拾い」は、単なる清掃活動ではありません。自分の住む地域を「自分ごと」として捉えるための、大切な第一歩でした。また、ゴミを拾うという行為は、環境を守るための最も身近な市民参加のかたちでもあります。どこにどんなゴミが多いのか、なぜそこにゴミが集まるのかを観察することで、子どもたちが社会を知り、社会に目を向けるきっかけにもなりました。 さらに、拾ったゴミを使った「ゴミ・アート」は、ゴミの存在を可視化し、環境教育につなげる試みでもありました。一見価値がないと思われていたゴミが、子どもたちの手によって新しい形や意味をもつ作品へと生まれ変わっていきます。その過程は、体験から得た気づきや、ものの見方を変える力、発想を広げる力を育てる機会にもなったのではないかと思います。 こども会議によるこのような取り組みは、子どもたちが未来の地域を担う市民として育っていくための小さなきっかけにもなります。自分たちの行動が地域を変えることにつながるという体験は、子どもたちの自信となり、次の行動への原動力にもなるはずです。(ソーシャルデザイナー)