【コラム・瀬尾梨絵】ギラギラと照りつける太陽、渋谷の交差点を埋め尽くす人々、どこまでも突き抜けるような青空。今回は、そんな夏の情景を思い浮かべる時に無性に読み返したくなる作品、藤井みほな先生による「GALS!」(集英社、初版1999年出版、10巻完結)をご紹介したい。初版が出版されたあの頃といえば、ミレニアムの足音が聞こえる、まさに夏のような熱気を持った、誰もが無敵の時代。平成初期に子ども時代を過ごした世代にとって、本作は、単なるマンガという枠組みを超えた憧れの集合体だった。
この作品の主人公、寿蘭(ことぶき らん)は、私たちの記憶の中に鮮烈に焼き付いている。渋谷を愛し、愛された最強のギャル。彼女の魅力は、何といっても「自分という存在を誰よりも信じている」その強さにある。正義感が強く、曲がったことが大嫌いで、自分の信念に従って迷いなく生きるその姿は周囲を巻き込み、時にはトラブルすらも爽快に解決していくパワーに満ちていた。
そして今、2026年という時代に、あえてこの作品を手に取ってほしい。ガングロ、ルーズソックス、派手なヘアスタイル。当時は今よりもずっとエネルギッシュな独自のストリートカルチャーがあふれており、それらは単なる流行ではなく、自分たちのアイデンティティを主張するための武器でもあった。蘭たちが闊歩(かっぽ)するセンター街の描写を見ていると、当時の騒がしい雑踏や肌を焼く夏の太陽、そして何者かになれると信じて疑わなかったあの頃特有の高揚感がよみがえってくる。
世界では1990年代後半から2000年代初頭のカルチャーである「Y2K」リバイバルがトレンドの中心となり、あの時代をリアルタイムで知らない若い世代も、当時のエッジの効いたファッションに新たな価値を見出している。しかし、本作の神髄は外見だけではない。ギャルたちが私たちに教えてくれるのは、単なる流行の形ではなく、自分らしくあること、そして何より仲間と笑い合うことの尊さという時代を超えたマインドだ。
友情、家族、進路、恋
大人になると、どうしても社会のルールや周囲の視線を気にしすぎてしまうことがあるが、そんな時、蘭の「私の生き方は、私が決める」という潔いメッセージは、現代を生きる私たちの心に驚くほどまっすぐに突き刺さる。友情、家族、進路、そして恋。
蘭たちがぶつかる壁は、実は今の私たちにとっても普遍的な悩みの形をしており、だからこそ今読み返しても全く色あせず、むしろあの頃よりも深く心に響く言葉に出会うことができる。何度読み返しても、読み終えた時に感じる、あの突き抜けるような爽快感。それは、蘭たちが悩みながらも常に前を向き、友情を信じ、自分の足で人生を切り開いていく強さから来ている。
ぜひ夏の暑さを吹き飛ばし、明日へのエネルギーをチャージしてくれる極上の読後感を味わって欲しい。この作品を読んでいたかつての子どもたちも、そして初めて読む世代にも、現代に通じる「最高にアツい生き方」を感じられるはずだ。(牛肉惣菜店主)






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