水曜日, 5月 18, 2022
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多世代に注目してほしい街の原点【つくば建築散歩】7

つくばセンタービル

この連載でも避けては通れないであろう、つくばセンタービル。

つくば市によるリニューアル問題の是非にはさほど興味を示さなかったが、そもそもこの街の多世代に親しまれているのかどうか、磯崎新アトリエのこの作品がなぜ「センター」「シンボル」なのか、若い世代の人々がどのように感じているのかに関心を寄せる。

画期的な事件 建築から都市へ、市民が眼差し開く

つくばセンタービル(同)

【鵜沢隆 筑波大名誉教授コメント】「つくばセンタービルの改修計画が、最終的に室内の改修のみに限定された(2021年12月17日付)ことは、建築の社会的、文化的、都市的文脈が認められたことで、建築に市民権が与えられた。つくばセンタービルは、筑波研究学園都市の中心的、象徴的施設であったが故に、その建築の保持が求められたということを改めて確認しておきたい。都市とは切り離せない建築の存在が、この建築の保持の意識を市民に促した。市民に共有されたそうした意識の発生は、日本においては画期的な事件であったと言えよう。

つくばセンタービルの保持運動が、筑波研究学園都市との文脈から推進されたことで、将来的には筑波研究学園都市が日本の文化遺産の空間として再認識されることであろう。ひとつの建築から都市への眼差しが開かれることで、日本における空間認識のレンジ(範囲、広がり)が都市まで確実に押し拡げられたことは疑いない。

その意味でも、つくばセンタービル・リニューアル計画の撤回は、画期的な意義を獲得している」

つくばセンタービル。つくばエクスプレス開業以前(同)

地域の特別なよりどころ

【建築散歩】実はこの連載で取り上げた建築のうち、筑波大学大学会館を設計した槇文彦さん、南3駐車場の伊東豊雄さん、ひたち野リフレの妹島和世さんは、磯崎新さんと同様、プリツカ―賞の受賞者だ。もちろん、ここで取り上げてきた作品だけで賞を獲得しているわけではない。つくばセンタービルリニューアル問題の折、必要以上に「建築界のノーベル賞」という表現が目立っていたことが、いささか鼻についた。ある種の評価の物差しではあるが、逆にそこを意識しても仕方がないような気がした。

逆の捉え方をすれば、つくばとその近傍には、これほどにプリツカ―賞受賞者が手がけた建築があるということ。その視点で考えれば、自慢できる地域の財産なのだ。それぞれの建築がいよいよ老朽化した時、人々はセンタービルと同様にその成り行きに関心を寄せていくのだろうか。

おそらくそうはならないだろう。だからこそつくばセンタービルには、地域の人々の特別な拠り所となる魅力もあるのだと思われる。(鴨志田隆之)

第1部 終わり

➡つくば建築散歩1 槇文彦、筑波大学大学会館はこちら
➡つくば建築散歩2 鵜沢隆、筑波大学総合研究棟Dはこちら 
➡つくば建築散歩3 坂倉建築研究所、つくば国際会議場はこちら
➡つくば建築散歩4 谷口吉生、つくばカピオはこちら
➡つくば建築散歩5 伊東豊雄、南3駐車場はこちら
➡つくば建築散歩6 妹島和世、ひたち野リフレはこちら (敬称略)

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