【川端舞】県障害者権利条例の施行5周年を記念し、「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)が1日、つくば市内をパレードした。参加した障害者らは、障害者差別のほか、新型コロナウイルス感染者や医療従事者に向けた差別など、全ての差別を根絶しようと訴えた。
障害者の生きづらさを訴える
パレードには、「―をつくる会」のメンバーである障害者や支援者、つくば市議会議員など約40人が参加した。例年は4月に権利条例を周知するためにパレードを開催していたが、今年は新型コロナの影響で延期になっていた。
参加者は、つくばメディカルセンター病院(同市天久保)前からつくばカピオ(同市竹園)までの歩道を、1時間ほどかけて行進した。
参加者が持つプラカードには、「子供扱いされました」「バリアフリーの物件ない」など障害者の生きづらさを訴える言葉や、「仕事をしたくても制度利用中、仕事できません」のような社会制度の改善を求める言葉が書かれていた。さらに今年は、新型コロナ感染拡大のなか介助を続けてくれる介助者への感謝の言葉や、患者や医療従事者への差別にも反対する「NO差別 一切の差別にNO!」という言葉が書かれたプラカードもあった。参加者は、お互いに距離を保ち、プラカードの言葉をコールしながら行進した。
コロナ禍のなかの新たな差別
「―をつくる会」共同代表の生井祐介さん(42)は、「条例ができて5周年だが、県内の障害者や支援者でも条例のことを知らない人がまだまだ多い。障害者が住みやすい町にするためには、地域のお店などにも条例について知ってもらう必要がある。毎年パレードを開催し、条例を多くの県民に知ってもらうことは大切だ」と語った。
新型コロナの感染防止のためにパレードの中止も考えたという。しかしコロナ禍で、患者や医療従事者への差別的言動など、これまで見えなかった差別が浮き彫りになるなか、条例の周知は意義のあることと考え、パレード開催に踏み切った。
参加したメンバーの1人は、「条例制定から5年経って、少しずつ合理的配慮が広がっている。私たちが目指している共生社会に進んでいっているのがうれしい」と話した。また、障害者らと一緒に行進したつくば市議会議員は、「このような機会で多くの人に障害者のことを知ってもらうことは大切だ。市議会でも障害者福祉などに関する議論を深めていきたい」と語った。
障害の有無にかかわらず「住みなれた地域で共に歩み幸せに暮らすことができる社会の実現」を掲げる県障害者権利条例は、国の障害者差別解消法に先立って2015年4月に施行。障害のある人やその家族が暮らしやすいよう、環境や考えを変えていく「合理的配慮」が明記された。