日曜日, 1月 17, 2021
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《邑から日本を見る》72 安倍政治を検証する(2) 私たちの暮らしとアベノミクス

【コラム・先﨑千尋】浜矩子(はま・のりこ)同志社大学教授が「アホノミクス」と揶揄(やゆ)したアベノミクスは、私たち国民に何をもたらしたのだろうか。私たちの暮らしは、安倍政権の7年8カ月で、それより前に比べてよくなったのだろうか。

そのことを検証するには数字を見ればわかる。8月31日の「東京新聞」が「数字で見る生活の変化」を出しているので、それからいくつかを引用する。

平均月給は横ばい、消費者物価指数は5%上がり、実質賃金指数は11%下がった。エンゲル係数は23.5%から26.9%に上がり、非正規労働者比率も2ポイント上がった。日経平均株価は1万円から2万3千円と2.3倍になり、年収1千万円以上の人が172万人から249万人と45%も増えた。企業の内部留保も273兆円から470兆円と1.7倍に増えている。

これらからわかることは、私たち庶民の暮らしは落ち込み、大企業や株に投資できる一部の人たちが潤った。国民が1年でつくる富の生産量は一定だから、富の分配の段階で格差が広がったことを示している。

安倍政権が打ち出したアベノミクスは、経済の好循環、財政再建と経済成長の両立を目指し、大胆な金融政策、機動的な財政政策、投資を喚起する成長戦略の3本の矢を柱とした。異次元の金融緩和の行きつくところはゼロ金利。そのことにより、地方銀行など金融機関の多くは本来の金融事業で赤字になり、頭を抱えこんでいる。

財政では、日銀の輪転機をフルに回し、国債を大量に発行し、それを日銀が抱え込む。国と地方が抱える借金残高は1100兆円を超え、政権の発足時から250兆円近く増えた。日銀が抱える国債の割合は13%から44%になってしまった。

「実を結ばずに散るあだ花」

アベノミクスを実現する政策は、地方創生、働き方改革、女性活躍社会、1億総活躍社会、人づくり革命(人生100年時代構想)と、目くらましのように、検証もせずに次々に新しい看板を出し続けてきた。経済産業省官僚の発想でしかない。資本主義社会での経済活動は本来自由だ。しかし放っておくともうからない分野の仕事は誰もしないし、新たな発明や発見をした人たち、巨大企業が潤うことになってしまう。

そうしたことを是正するために国家があり、税があり、経済政策や社会政策が講じられる。経済政策は、国民の幸せを実現し、弱者が傷まないような配慮をする。自分の力だけではどうにもならない人たちがいる。勝ち組の頭を押さえ、負け組を助ける。それが「公助」だ。

しかし、安倍政権がやってきたことはそれとは真逆。大企業の利益を最優先し、弱者は自己責任、自助努力が足りないと切り捨ててきた。当初、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がしたたり落ちるという「トリクルダウン」が言われていたが、最初に挙げた数値でわかるように、そのようなことは起きなかった。

結局、アベノミクスは一般庶民にはほとんど恩恵をもたらさず、「実を結ばずに散るあだ花」だったということだ。揚げ句の果て、高齢化、人口減少が進む中で、将来への負担転嫁がますます大きくなってしまった。その罪はとてつもなく大きい、と言わざるを得ない。(元瓜連町長)

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