金曜日, 10月 23, 2020
ホーム コラム 《邑から日本を見る》72 安倍政治を検証する(2) 私たちの暮らしとアベノミクス

《邑から日本を見る》72 安倍政治を検証する(2) 私たちの暮らしとアベノミクス

【コラム・先﨑千尋】浜矩子(はま・のりこ)同志社大学教授が「アホノミクス」と揶揄(やゆ)したアベノミクスは、私たち国民に何をもたらしたのだろうか。私たちの暮らしは、安倍政権の7年8カ月で、それより前に比べてよくなったのだろうか。

そのことを検証するには数字を見ればわかる。8月31日の「東京新聞」が「数字で見る生活の変化」を出しているので、それからいくつかを引用する。

平均月給は横ばい、消費者物価指数は5%上がり、実質賃金指数は11%下がった。エンゲル係数は23.5%から26.9%に上がり、非正規労働者比率も2ポイント上がった。日経平均株価は1万円から2万3千円と2.3倍になり、年収1千万円以上の人が172万人から249万人と45%も増えた。企業の内部留保も273兆円から470兆円と1.7倍に増えている。

これらからわかることは、私たち庶民の暮らしは落ち込み、大企業や株に投資できる一部の人たちが潤った。国民が1年でつくる富の生産量は一定だから、富の分配の段階で格差が広がったことを示している。

安倍政権が打ち出したアベノミクスは、経済の好循環、財政再建と経済成長の両立を目指し、大胆な金融政策、機動的な財政政策、投資を喚起する成長戦略の3本の矢を柱とした。異次元の金融緩和の行きつくところはゼロ金利。そのことにより、地方銀行など金融機関の多くは本来の金融事業で赤字になり、頭を抱えこんでいる。

財政では、日銀の輪転機をフルに回し、国債を大量に発行し、それを日銀が抱え込む。国と地方が抱える借金残高は1100兆円を超え、政権の発足時から250兆円近く増えた。日銀が抱える国債の割合は13%から44%になってしまった。

「実を結ばずに散るあだ花」

アベノミクスを実現する政策は、地方創生、働き方改革、女性活躍社会、1億総活躍社会、人づくり革命(人生100年時代構想)と、目くらましのように、検証もせずに次々に新しい看板を出し続けてきた。経済産業省官僚の発想でしかない。資本主義社会での経済活動は本来自由だ。しかし放っておくともうからない分野の仕事は誰もしないし、新たな発明や発見をした人たち、巨大企業が潤うことになってしまう。

そうしたことを是正するために国家があり、税があり、経済政策や社会政策が講じられる。経済政策は、国民の幸せを実現し、弱者が傷まないような配慮をする。自分の力だけではどうにもならない人たちがいる。勝ち組の頭を押さえ、負け組を助ける。それが「公助」だ。

しかし、安倍政権がやってきたことはそれとは真逆。大企業の利益を最優先し、弱者は自己責任、自助努力が足りないと切り捨ててきた。当初、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がしたたり落ちるという「トリクルダウン」が言われていたが、最初に挙げた数値でわかるように、そのようなことは起きなかった。

結局、アベノミクスは一般庶民にはほとんど恩恵をもたらさず、「実を結ばずに散るあだ花」だったということだ。揚げ句の果て、高齢化、人口減少が進む中で、将来への負担転嫁がますます大きくなってしまった。その罪はとてつもなく大きい、と言わざるを得ない。(元瓜連町長)

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here

スポンサー

LATEST

HP制作通し課題解決へ つくばの中学で授業公開

【鈴木宏子】ホームページ(HP)の制作を通して、生徒たちが身近な課題に目を向け、解決方法を考えるプログラミング教育の授業がつくば市で今年度から始まった。22日、同市下河原崎、市立高山中学校(若山隆男校長、生徒数264人)で授業が公開され、2年生29人がそれぞれパン屋の社長になったつもりで、売り上げをもっと増やすにはどうしたらいいかを考えながらHP制作に挑戦した。 教育産業が開発したIT教材を積極的に学校に導入し、学校の学び方改革を進めようという経産省のエドテック導入実証事業の一環として取り組む。高山中のほか、春日義務教育学校、東小、吾妻小の市内4校で今年度実施される。 IT企業「ライフイズテック」(東京都港区)が開発した教育教材を用いて、実際のホームぺージ制作で使われている、コードと呼ばれる命令文を入力しながらホームぺージをデザインする。 学校のプログラミング教育は現在、小学校でブロックなどのまとまりを動かしてプログラミング的思考を学ぶ。一方、実際のプログラミングは、テキストコーディングと呼ばれる命令文を入力する方法が主力なことから、実際に使われている技術を学ぶ入り口になる教材だという。 22日は2年の技術家庭科の授業で取り組んだ。まず、パン屋の売り上げをもっと増やすためにHPにどういう機能があったらいいかをグループごとに考え、意見を出し合った。「お客さんが感想や意見を書き込めるようにしたらいい」「手話や音声が付いた動画を載せたら体の不自由な人でも利用できる」などの意見が出た。 続いて1人1台のパソコンを使ってホームぺージに機能を加える作業を進めた。作業画面にはネコのキャラクターが先生役となって登場し、一人ひとりの進捗(しんちょく)に応じて個別にアドバイスしたり、生徒がクイズに答えたりして作業が進んだ。

永田学長を再任 筑波大 選考プロセスの正当性問う声噴出

筑波大学(つくば市天王台)の次期学長選考会議が20日行われ、同大は21日、同選考会議委員による投票の結果、永田恭介現学長(67)を再任したと発表した。 学長選をめぐっては、学長の任期の上限が撤廃されたこと、教職員の意見聴取で永田学長が584票、対立候補で生命環境系長の松本宏教授が951票だったことなどから、同大の教員有志らでつくる「筑波大学の学長選考を考える会」から、選考プロセスの正当性を問う声が出ている。 同大によると、20日の学長選考会議は、委員24人の無記名投票の結果、永田氏が3分の2以上の得票を得て松本氏を破り、再任が決まった。 永田氏は2013年4月から学長を務める。本来の任期は最長で6年だったが、再任回数の上限が撤廃された。新たな任期は来年4月から3年間。 同選考会議の河田悌一議長は21日の記者会見で、永田氏再任の理由について「(永田氏は)ビジョンを出して一つひとつ実行し、科学研究費補助金の取得や企業など外の組織と結び実績を上げた」ことなどが評価されたとした。 一方、考える会が指摘している任期の上限撤廃については「任期の期限を除外している(国立の)大学は12、13大学ある」とし「一つひとつきちんとした手続きを踏んでやった」と強調した。

3氏の横顔紹介 つくば市長選

【鈴木宏子】任期満了に伴うつくば市長選と市議選は25日投開票される。市長選に立候補した新人の富島純一氏(37)=無所属=、現職の五十嵐立青(42)氏=同=、新人の酒井泉(71)=同=3氏の横顔を紹介する。 事業成長の秘訣は「素直に聞き、信じて任せる」 富島純一氏 【富島純一氏】22歳のときつくばで起業し、現在、自動車販売、障害福祉、保育・学童、農業など幅広い事業を展開する。経営に携わるグループ企業は14社。140人以上の社員を抱える。 コロナ禍の今年、苦境にあるつくばの飲食店に呼び掛け、県内で初めて、ドライブスルー型弁当販売イベントを仕掛け成功させた。

市議候補8人に誤った番号のビラ証紙渡す つくば市選管 掲示板1カ所未設置も

18日告示されたつくば市長選と市議選で、同市選挙管理委員会は19日、立候補届を18日に受け付けた際、市議選立候補者8人に、誤った番号のビラ証紙を渡してしまったと発表した。さらに、立候補者ポスターを貼る掲示板1カ所が未設置だったと発表した。 ビラ証紙は、選挙運動用ビラに貼る、切手よりもひと回り小さいシールで、立候補届の受付番号と同じ番号のものが手渡される。市議選の場合、市選管が立候補者にそれぞれ4000枚を交付し、証紙が貼られてないビラは配布できない。ビラの上限枚数を制限し、財力などによって選挙結果がゆがめられる可能性を防ぐ役割がある。 市選管によると、18日に立候補届を受け付けた際、「ビラ証紙はいらない」という候補者がいたため、次の立候補届け出者に、前の人に交付すべき証紙をそのまま渡してしまったという。すぐに気づかず、計8人に、番号がずれた証紙が交付された。 届け出の受付番号と異なる番号の証紙でも有効に使用することが可能であることから、市選管は、間違った番号を渡してしまった8人のビラ証紙を有効にした。 一方、4000枚が公正に使用されることを担保するため、立候補者8人に、ビラ証紙の番号を訂正する手続きを行ってもらうという。 市選管は「訂正手続きにより候補者ごとの証紙の番号を明確化することで、公正に使用されることを確保していきます」としている。