金曜日, 11月 7, 2025
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苦境の飲食店 応援したい つくば、土浦で「テイクアウト」サイト次々

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「旨がっぺTsukuba」のトップ画像(「旨がっぺTsukuba」提供)

【山口和紀】苦しむ飲食店を救おうと、つくば、土浦でテイクアウトを行っている飲食店をインターネットで紹介するサイトが次々に立ち上がっている。つくば市の有志が行う「旨がっぺTSUKUBA」、同市商工会青年部の「テイクアウト紹介サイト」、土浦市の酒寄隆弘さんが企画する「おうちdeつちうら名店街」の3サイトがある。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、密閉空間、密集場所、密接場面の「3密」を避けながら、おいしい料理を味わってもらい、深刻な影響を受けている飲食業界を応援しようという取り組みだ。

飲食業界の苦境について、つくば市商工会青年部は「商工会への融資の相談も増加し、今後も傾向は続く見込み」だと説明する。3月、4月は歓送迎会などの書き入れ時なのに宴会などのキャンセルが相次いだり、売り上げが下がったりして大変という声が多数だという。

そんな中、多くの店がテイクアウトや、出前などのデリバリーに活路を見いだそうとしている。しかし「個々の発信では限界があり、有意義な情報も届きにくい」ことから、テイクアウト情報を集約して発信するサイトに着想した。

それぞれのサイトには市内飲食店のテイクアウト情報が集められており、持ち帰りができるおいしそうなメニューが数多く並んでいる。

お客さんも投稿

「旨がっぺTsukuba」のサイトはフェイスブック上に作られた。飲食店の経営者だけでなく、お客さんも自発的に投稿し、お店を紹介しているのが特徴だ。「もうすでに、たくさんの方が注文しているよう」だと話すのはサイトの運営者。「人間関係が希薄になりつつある中、さまざまな人が協力し、地域のために行動してくださることに感謝している」と語った。

つくば市商工会青年部もテイクアウト情報をホームぺージ上にまとめている。紹介されているのは同会の部員の店が中心だが、外部の情報も増えてきている。「サイトをきっかけにお店を利用してくれるお客もいるようだ」と語る。「自粛で疲れてしまっている中、少しでも外食気分を味わってもらえたらうれしい」と呼び掛けた。

収束後にぎやかに

「旨がっぺTsukuba」を見て立ち上がったのが土浦市の酒寄さんだ。「おうちdeつちうら名店街」のサイトを5日にフェイスブック上に立ち上げた。「どうにか応援できないか」とずっと思っていたと話す。土浦市も「飲食店だけでなく卸売業、酒販売業など周辺業種の影響も甚大だ」と語る。

「つちうら名店街」の命名の由来は同市川口1丁目にある「土浦名店街」というアーケード商店街だ。酒寄さんは土浦生まれ土浦育ち。子どものころは「名店街」が地域の中心として盛り上がっていた。「新型コロナが収束した後も実際の店舗に足を運んでいただき、いつかまたにぎやかになってほしい」という思いから命名したという。

つくば、土浦近隣のテイクアウト店紹介サイトは以下の通り。3サイトとも10日時点で情報提供を受け付けている。

「旨がっぺTsukuba」:https://www.facebook.com/umagapetsukuba/

「旨がっぺTsukuba」のトップ画像(「旨がっぺTsukuba」提供)

つくば市商工会青年部:https://tsukuba-impulse.com/info/take-out_202004/

おうちDEつちうら名店街:https://www.facebook.com/groups/610015126525155/

《映画探偵団》30 野口雨情の「茨城県行進曲」

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【コラム・冠木新市】この十数年、AI時代だというのに、なぜか昭和初期がずっと気になっていた。多分、茨城県出身の詩人野口雨情の民謡との出合いがそうさせたのだろう。

2013年9月、「雨情からのメッセージ/幻の茨城民謡復活コンサート」を筑波学院大学の大教室で開催した。雨情が作詞した地元民謡11曲を掘り起こし、オペラ、ジャズ、ポップスの歌手に披露してもらった。

雨情の地元民謡は、昭和元年(1926)から昭和17年(1942)の間に作られ、昭和大恐慌と大東亜戦争の時期にあたっている。最初に作られたのは、「茨城県行進曲」(作曲堀内敬三)だ。茨城新聞社が企画制作し、大正末か昭和初期に作られた。茨城県各地の四季の光景を明るく表現している。

霞ケ浦の 水に浮く 山は筑波の 優(やさ)すがた
海の公園 茨城は 春の魁(さきがけ) 春が来る
春だ 春だ 春だ

2012年、雨情生誕130周年記念番組を茨城放送で企画中に、この音源が入ったCDをプロデユーサーから手渡された。東日本大震災の時、茨城新聞社の資料棚が倒れ、出てきたレコードから起こしたものだという。私は野口雨情との縁を感じた。

結局、スポンサーの都合で企画は流れてしまったが、その後のコンサートに結びついた。しかし、当時は音源や楽譜集めに夢中で思いつかなかったのだが、「茨城県行進曲」とドイツ映画「メトロポリス」(1927)は同じ時期に作られていたことに、最近になって気が付いた。

フリッツ・ラング監督の「メトロポリス」

「メトロポリス」は、フリッツ・ラング監督が当時ニューヨークの光景に刺激され作ったSF作品である。物語設定が2026年になっていて、100年先の未来社会を想像して描いている。現在の時点に立つと、6年先である。ラング監督の予測した未来社会とは、少数のエリートが住む地上と大勢の労働者が住む地下とに二分されている。

地上には、高層ビルが林立し、高速道路を車が走る。また巨大なスポーツスタジアムや図書館と劇場などが一つに収まった建物、快楽の園ヨシワラハウス、エネルギー工場などがある。地下には、寂れた礼拝堂、殺風景な労働者の住居、墓地などがある。二つの世界を支配しているのがバビロンタワービルに入る大企業で、コンピューターや原発を連想させる機械が出てくる。

物語の主人公は大企業の御曹司フレーダーで、偶然出会ったマリアなる美女にひかれ、地下世界に足を踏み入れる。そしてこの物語には二人のマリアが登場する。

一人は労働者に聖書の教えを説くマリア。もう一人はその影響力を恐れ経営者が送りこんだ人造人間マリアだ。このロボットが作り手のコントロールを無視、地上のエリートを色香でたぶらかし、地下の労働者をたきつけて工場破壊をあおる狂態振りを発揮する。

ロボットが人間をたらし込んだり、機械破壊を命令する行為は不気味である。同じ女優が清楚なマリアと狂ったマリアを演じており、異常ともいえる目の輝きに圧倒され、何度見てもそら恐ろしくなる。

だが、ラング監督の未来予測は的中しているといえる。しかし、こんな未来は、私はごめんである。むしろ、雨情が「茨城県行進曲」で描いた自然の光景が未来のすがたであるべきだと思う。めざす未来は90数年前の新民謡にある。私は十数年ずっと未来を夢みていたのだ。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

医療相談アプリの無償提供 県下全域で9月まで 新型コロナ

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医療相談アプリLEBERについて講演する伊藤社長=1月29日、つくば市

【相澤冬樹】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅・遠隔医療のAGREE(アグリー、本社・つくば市、伊藤俊一郎社長)が提供してきたスマートフォンアプリ、LEBER(リーバー)の無償サービスが、県内120万世帯を対象に9月30日まで行われることになった。8日、県と連名で発表した。

不安解消と受診抑制に効果

LEBERは、スマホを操作して医師と相談するアプリで、2018年1月にリリースされた。登録ユーザーはスマホ画面を通じたチャットスタイルの自動問診に答え、「痛い」「かゆい」などの症状を伝える。これを見た医師から最速1分、30分以内の返信で回答が届く仕組み。24時間365日相談できる。

無料になるのは通常、月額550円(税込み)がかかる家族向け利用料金。登録者本人のほか家族4人まで何回でも利用できる。該当診療科の医師による回答は、病名を特定して診断をくだすものではなく、「感冒の疑いがあります」「インフルエンザの疑いがあります」などの表現で、病医院での診察や保健所への相談が促される。処方箋は出されず、市販薬のリストが写真付きで紹介される。

新型コロナの感染拡大を受け、AGREE社は2月から無料のサービス提供を全国規模で展開。2月以降新たに4000人以上が登録し、4月1日現在の登録者数は1万2700人に達した。医師の登録数も増やして、155人(診療科目45以上)、全国17万件以上の医療機関が検索可能となった。同社の利用者に対するアフターアンケートでは、不安の解消に十分に役立っていると見られる。

個人向けの無料相談は、内閣府の「近未来技術等社会実装事業」の実証実験に9月まで取り組まれるつくば市、常陸大宮市を除き、10日でサービスが終了することになっていた(4月2日付既報、その後、通常相談について5月10日まで無料期間を延長)。

しかし、これまでの実証事業により不要不急の受診抑制、ならびに不安解消に効果が示されたと県が評価、同社に要請し、改めて9月30日まで県下全域で無料提供が行われることになった。病医院での受診を避けたい利用者からの新型コロナウイルスと関連のない症状の相談も受け付ける。

無料相談には事前登録が必要。同社の茨城県民向けページで無料相談登録し、アプリのダウンロード後、相談に進む。無料期間終了後の10月から手続きなしに課金が始まることはない。問い合わせ電話029-896-6263。

LEBERの使い方ガイド(AGREE社資料)

平日昼間も外出自粛を 5月6日まで、県南など10市町対象 新型コロナ

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茨城県庁

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令されたのを受けて、大井川和彦知事は8日、東京などとの行き来が多いつくば、土浦市など10市町の住民を対象に、5月6日まで、平日昼間も不要不急の外出を自粛するよう要請した。

茨城県は緊急事態宣言の対象地域ではないが、対象地域の東京都、千葉、埼玉県と近接し通勤などでの移動が多いことから要請した。

知事は2日時点で県内の感染者発生状況から、平日夜間と週末の不要不急の外出自粛を10日まで実施するよう求めていた。緊急事態宣言を受けて、平日昼間の外出自粛要請を加え、期間も5月6日まで延長する。

10市町の企業など事業者に対しては、社会機能を維持するために必要な職種を除いて、テレワークなどを活用し自宅で仕事を行うよう求めている。10市町に住んでいる県職員もなるべくテレワークで仕事をするようにするという。

県立高校生に対しては、10市町から10市町以外に通学している場合は、通学を自粛するよう求めた。自宅で学習できる体制を用意するとしている。

8日の知事の要請を受けて、19日まで臨時休校としていたつくば、土浦市の小中学校も、休校期間の見直しを改めて検討するとみられる。

帰省させないで

大井川知事はさらに、東京などからの家族の帰省について、常陸太田市では子供を実家に呼び寄せ、感染していたことが分かり、大変な事態になっているとして、東京や千葉、埼玉などの緊急事態宣言の対象地域から、家族を県内に帰省させたり、呼び寄せないよう要請した。

やむを得ず帰省した場合は、家族との接触を極力避けて14日間、自宅待機させるよう求めた。

独自の経済対策を上乗せ

一方、経済対策について、観光や飲食などの業種が大変困難な状況に陥っているとして、県議会臨時議会を4月下旬に招集し県独自の上乗せを実施すると表明した。

従業員を解雇しない企業に10分の9を助成する国の雇用調整助成金について、残り10分の1を県が上乗せして助成するほか、小規模事業者や個人事業主が公的融資や民間金融機関からの借り入れが困難な場合、県として有利な形での長期融資を検討するとしている。

さらに8日、深刻な影響を受けている中小企業や個人事業主を対象にワンストップの相談窓口を開設したほか、内定取り消しや雇い止めにあった人の早期就職を支援する特別支援窓口を開設した。

◆中小企業や個人事業主のワンストップ窓口「新型コロナウイルス感染症中小企業支援対策室」▽場所=県庁16階・産業戦略部会議室内▽業務=国や県の融資・助成制度に関する相談や紹介▽相談時間=午前9時~午後5時、土日祝日はメールで受け付ける▽電話029-301-2869、メールshosei3@pref.ibaraki.lg.jp

◆内定取り消しや雇い止めにあった人の特別相談窓口「就職支援センター内定取消者支援窓口」▽県南地域の場所=県南地区就職支援センター▽相談時間=平日午前9時~午後4時▽電話029-825-3410▽詳しくは就職支援センターホームページ

※新たに平日昼間の不要不急の外出自粛を要請した10市町はつくば、土浦、つくばみらい、守谷、阿見、牛久、龍ケ崎、取手、神栖、古河

《宍塚の里山》60 白い花に覆われたウワミズザクラ

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(上段左から)花を拡大、ブラッシ型の花、蕾・塩漬けの時期、(下段左から)上溝の名の由来となった木の皮・溝が目立つ、山を彩るウワミズザクラの花、ウワミズザクラの実

【コラム・及川ひろみ】コロナが社会を席巻(せっけん)している中ではありますが、そんな時こそ、ちょっと気分転換。4月中下旬、宍塚の里山には、こんもりと白い花に覆われたウワミズザクラが風に揺らぐ様子が、方々(ほうぼう)で見られます。

高さ10~20メートルにも及ぶ大木で、明るい林縁(りんえん)に多く見られるので、遠くからでもよくわかり、見応えがあります。花は写真のようにブラシ状です。桜のようには見えませんが、よく見ると5枚の花びらは小さな桜の花です。成長も極めて早いことから、里山の至る所で見ることができます。

ウワミズザクラはアンニンゴ(杏仁子)とも呼ばれ、若い花穂(かすい)を塩漬けにしたものをアンニンゴ漬けと言います。アンニンゴ漬けで有名なのは新潟県ですが、酒の肴(さかな)にすると、人から聞きました。

花の後、写真のような赤黒い実を付けます。この実の収穫は野鳥との競争です。特に、ムクドリが集団でやって来て実を漁り、あっという間に食べ尽くします。野鳥は美味しく実った時にやって来ますから、その直前に取るのが秘訣です。

黒い実は果実酒が最高

採った黒い実は果実酒が最高。アンニンゴ漬けもそうですが、この果実酒、いい香りがします。アンニンゴは、杏子(あんず)の種からつくるアンニン(杏仁)に似た香りがします。友人が数年前漬けたウワミズザクラのお酒を届けてくれました。「不老長寿の酒」と書いてあり、薬酒と言われています。

ウワミズザクラの名前の由来(ゆらい)は、写真のように樹皮に溝があることから、上溝から来ていると言われています。ウワミズザクラによく似たイヌザクラは、ウワミズザクラより少し遅く花を咲かせますが、それほど目立ちません。

白さがウワミズザクラのように際立たず、花穂が少し短く、花が少し緑がかっているからです。またウワミズザクラは、花が咲く小枝に葉がつくのに対して、イヌザクラは葉がまったくないことも見分けるポイントです。イヌザクラの樹皮は遠目にも白く見え、ウワミズザクラとは大違いです。

ウワミズザクラは秋に美しく赤や黄色に紅葉し、秋の里山を彩ります。間もなくウワミズザクラの花が見られます。思いがけない美しい里の花を、そして香りをお楽しみください。(宍塚の自然と歴史の会代表)

57%が売上減や取引困難 つくば市が経済影響調査 新型コロナ

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市内事業者へのアンケート調査結果が報告されたつくば市議会全員協議会=8日、市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大によるつくば市内の経済への影響について、市が3月下旬から市商工会会員事業者らを対象にアンケート調査を実施したところ、回答があった事業者の57%に売り上げの減少や取り引き困難などの影響が出ていることが分かった。感染がさらに長期化した場合、従業員の解雇や廃業を考えていると回答した事業者もあった。

8日開かれた市議会全員協議会で市がアンケート結果を報告した。調査は、3月19日から4月3日まで同商工会会員事業者3236社などを対象に実施した。21.4%の691社から回答があった。

売り上げの減少については、2割から5割減ったと回答した事業者が最も多く42%、次いで1割程度の減が17%だった。5~8割減も13%あり、8割以上減ったと回答した事業者も6%あった。一方、売り上げの減少はないが海外から納品のめどが立たないなど取引上の困難が生じている事業者が22%あった。

業種別では建設業、食料品製造業、電子機器・器具製造業、情報通信業、バスやタクシーなどの運輸業、卸売業、小売業、不動産業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、教育・学習支援業など、あらゆる業種に影響が及んでいることが分かった。

「減り続ければ廃業」

事業者からは「売り上げが下がり続けると、仕入れメーカーから注意または取り引き停止になってしまう恐れがある」「中小企業はほとんど自転車操業なので毎月売り上げが10%でも減り続ければ廃業」「経営どころか家賃などの維持が出来ず、(この状況が)続けば5月閉店も視野に入れないといけない」などの切実な声が寄せられた。

「卸売業は売店や宿泊施設に土産品を納入するが、賞味期限が近くなった商品は業者に返品される。処分するしかないため負担が大きすぎる」「移動制限に伴いタクシー利用者は激減。歩合給の乗務員に売り上げ以上の最低賃金を保証する状況になっている」など深刻な経営状況を訴える声もあった。

「設立して2、3年のため特定の顧客がついていない。投資先、顧客との打ち合わせもままならず、前に進まない状況。すでに数名の従業員に辞めていただいた」など、従業員解雇を明らかにした深刻な告白もあった。

「接客だがマスクの在庫がなくなりつつある」「テーブルをふく業務用アルコールさえ手に入らない」など、マスクや消毒液の不足が事業の継続に影響を与えているという訴えもあった。

「影響がすぐ出ている業種への支援だけでなく1年後や数年後に影響が出る業種への支援も検討してほしい」「融資など負債となるものではなく手続きを早くした給付も必要」など国や自治体の支援を求める声も寄せられた。

市はアンケート結果をもとに今後、どのような対策が可能かを検討していくという。

当初陰性の医療従事者 陽性に 新型コロナ

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茨城県庁

肺炎で筑波記念病院(同市要)に入院し3月23日、新型コロナウイルスの感染が確認されたつくば市80代男性の濃厚接触者について、県は7日、つくば市に住む同病院の医療従事者の30代女性が新たに感染したことが判明したと発表した。

県によると30代女性は、80代男性が入院した際の濃厚接触者で、80代男性の感染が判明した3月23日の直後にPCR検査を実施した際は陰性だった。

医療従事者の女性はその後、健康観察期間である14日間、自宅待機している。自宅待機中の4月7日、体調不良を訴え、再検査したところ感染が判明した。県は女性の濃厚接触者について調査を進める。

ほかに県は7日、神奈川県内に勤務するつくば市在住、団体職員の50代男性の感染が分かったと発表した。

7日までの県内感染者は計77人。つくば市の感染者は計20人という。

「電話再診」低調 筑波大付属病院が積極利用呼び掛け 新型コロナ

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筑波大付属病院(つくば市天久保)

【相澤冬樹】新型コロナウイルスによる院内感染のリスクが高まるなか、筑波大付属病院(つくば市天久保、原晃院長)が、再診患者を対象に電話での診察を呼びかけている。

厚生労働省の通知に基づき、同病院は3月4日から「電話再診」を始めた。慢性疾患に対する医薬品が必要な場合に、電話などによる診察と処方を行うもの。しかし、1カ月を経過しても低調な申し込みにとどまっていることから、いっそうの積極的利用を呼び掛けている。

面会も原則禁止

同病院は、高度医療を提供する県内唯一の特定機能病院。39診療科、800床を備える。地域の医療機関では対応の難しい患者を受け入れているが、外来患者や付き添いの家族らが新型ウイルスを持ち込むと医療崩壊にもつながりかねない。高度な医療を提供する機能維持のため電話再診を取り入れ、3月27日からは入院患者への面会も原則禁止した。

電話で診察する対象は、慢性疾患で経過観察中の容体が安定している患者ら。インターネットで申し込むと、予約時間に担当医から電話がかかってくる。問診後に薬の処方箋がかかりつけの薬局にファクス送信され、翌日以降に薬を受け取れる仕組み。再診料は次回の通院時に清算する。

県内では県立中央病院(笠間市)、牛久愛和病院(牛久市)、県立こども病院(水戸市)などが同様の取り組みを行っている。

病院によれば、毎日約2000人訪れる外来患者のうち、1-2割は電話再診で対応が可能とみているが、1カ月を経過して申し込みは50人ほどにとどまっている。再診は高齢者が多く、インターネット利用が難しい側面もあることから、家族のサポートを求めている。平松祐司副院長は「医療従事者は医療の提供を通じて、皆さんには電話再診をはじめとした自宅待機というアクションを通じて、地域医療に貢献していきたい」と協力を呼び掛けている。

つくば市職員を停職3カ月 休暇申請で病院の領収書を偽造

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つくば市役所

病気療養休暇を申請した際、病院の領収書を偽造したとして、つくば市は7日、市水道工務課水道監視センターの男性係長(59)を同日付けで停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。

市上下水道総務課によると、係長は、2019年2月5日から7日までの3日間、療養休暇の取得を申請した。申請の際は、受診した医療機関の領収書のコピーを添付するが、係長は、過去に病院からもらった領収書の日付部分を偽造して提出し、虚偽の申請と報告を行って不正に休暇と給与を得ようとしたとされる。

提出された領収書のコピーが不自然だったことから、市が原本の提出を求めたところ、係長は当初「シュレッダーにかけたので原本はない」「病院で再発行してもらえないと言われた」などと釈明していた。

しかしその後、偽造を認め「体調不良で休んだが、有給休暇(年20日間)を使い切ってしまったので領収書を偽造した。その日は病院には行かなかったが自宅で療養していた」などと話したという。

市は早々に偽造に気付き療養休暇ではなく欠勤扱いとしたため、休んだ3日分の給与は係長に支払われておらず実害は出ていないという。

一方、有印私文書偽造に当たることから、市は19年9月、警察に被害届を出し、同年12月、係長は起訴猶予処分となった。

刑法上の処分が決定したのを受けて、市は、再調査の上、市職員の懲戒処分基準に基づき処分を決定した。

五十嵐立青市長は「市の職員が市民の信頼を裏切り、多大なるご迷惑をお掛けしたことを心からお詫びします。行政に対する市民の不信を招く許されざる行為であり、今後、さらに綱紀の保持を徹底させます」とするコメントを発表した。

外国人、シングルマザー、障害者も 関彰商事、新社員寮完成(下)

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住みやすく考慮された女性家族寮

【池田充雄】土浦市真鍋に完成した社員寮の設置趣旨として、関彰商事の山口政美広報部長は「当社で働くことのインセンティブとなる施設を目指した。特に外国人、シングルマザー、障害のある方など、これまでの独身寮では対応できなかった方々にも、この寮があるならと思ってもらえるようにした」と話す。

男子寮と女子寮には各1室、車いす利用者のための個室が設けてある。付帯のユニットバスには手すりなどを備え、浴槽への移動を容易にした。個室の場所はエレベーターの側で動線が短く、もちろん館内はバリアフリーだ。女性家族寮は、シングルマザーが小学生以下の子どもと住む想定で、広いLDKと寝室を備えている。

十分な広さがある車いす室のトイレ

多様な社員が互いを尊重し成長する職場へ

また寮だけに限らず、社員同士が性別、年齢、国籍、障害の有無などを超えてお互いを尊重し、それぞれの強みを生かしながら成長できる、働きやすく働きがいのある職場づくりにも励んでいる。

一例として女性支援の取り組みでは、採用や就業継続、管理職比率などの各項目で高い基準を満たし、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」で3つ星ランクを獲得した。子育て支援では、育児休暇の取得促進や、短時間勤務制度の導入などにより、次世代育成支援マーク「くるみん」の認定を取得している。

障害者支援では、全雇用者の2.2%を超える雇用率を達成。知的・肢体不自由・視覚聴覚など多様な障害を持つ人が、それぞれの希望や能力、適性を生かして活躍できる企業を目指している。東京パラリンピック出場が期待されているゴールボール日本代表の山口凌河さんも、そのような社員の一人だ。

外国人社員はこの数年で急増、現在20人を数える。国籍は欧米やアジアなどさまざまだ。特にベトナムとは現地法人を設立するなど関係を深めている。ハノイ工科大では関彰グループ主催のジョブフェアを2016年から開き、過去6回で計3600人の学生が参加。この結果100人以上が日本全国の30数社に就職を決めている。

同社は今年3月、社員が安心して仕事と生活を両立できる企業として、県の働き方改革優良企業に認定された。特別有給休暇の取得促進や、社員の人材育成にも積極的に取り組み、自らのキャリアを高められる職場環境の整備に向けて、今後も多様な施策を進めていくという。

女子寮のロビー。中庭に面して明るい

➡新社員寮が土浦に完成 関彰商事 ライフスタイルの変化に対応(上)はこちら

《雑記録》10 コロナ危機と人間の安全保障

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【コラム・瀧田薫】WHO(世界保健機構)が新型コロナウィルスのパンデミック(世界的流行)を宣言した。危機の核心は「感染が何処まで広がるか、どれほど深刻か、そしていつまで続くか」にあるが、フィナンシャルタイムス紙が最悪の場合を想定(2020年3月20日付)している。すなわち、世界人口の最大80%が感染すると予測し、致死率を1%とした上で、対応策(隔離、治療薬やワクチン)の効果を折り込み、死者3000万人程度になると予想している。

この数字をどれだけ減らせるかは、「時間との勝負」ということだろう。しかし、公衆衛生の専門家の間に、パンデミック終息時について確たる見通しはないようだ。東京オリンピックは1年程度の延期とされたが、これは「希望的観測」に基づく判断であろう。

それにしても、この国の防災システムと政府の危機管理はお粗末だ。グローバリゼーションのもたらすパンデミックの危機を何度も指摘されながら、対応策は閑却された。その結果、難民はもとより、外国人観光客まで国外排除の対象と成り果て、観光立国政策はほとんど破綻状態にある。当面、ウィルスとの闘いに集中するにしても、それと並行して、この国の防災そして危機管理の抜本的な見直しが必要であろう。

ちなみに、1994年、国連開発計画(UNDP)が「人間の安全保障」の理念を提示している。この理念の狙いは、グローバリゼーションに伴って登場してきた21世紀型の危機(難民、テロ、地域紛争、武器や薬物の密輸、飢餓、経済・金融危機、環境破壊、感染症など)に対処するため、国家中心の安全保障という従来の枠組みを見直すことにあった。

中村哲氏と緒方貞子氏の実践

意外なことに、当時、この国の政府は他国に先駆けて、この理念の具体化に動いている。1998年、小渕首相が「人間の安全保障基金」を立ち上げ、2000年、森首相がこの理念を外交政策の柱の一つに位置づけている。何はともあれ、この原点に一度立ち返ってみるべきだろう。そして、原点から約20年が経過した今、「人間の安全保障」の理念がこの国においてどこまで実現されたのか検証する必要がある。

検証の手掛かりとして、豊島名穂子氏の論文「日本による『人間の安全保障』の実態―難民政策との比較を通して」(東洋哲学研究所紀要24号・2008年 所収)が参考になる。論文は、日本の「人間の安全保障」政策は対外政策の枠内に限定されており、難民の受け入れなどは最初から想定されていなかったという。つまり、「人間の安全保障」の理念は「外交政策上のお題目」に過ぎなかったと喝破している。

ペシャワール会の中村哲氏や元国連難民高等弁務官・緒方貞子氏は、立場こそ違え、それぞれの生涯を通じて「人間の安全保障」の実践に邁進された。お二人は、日本外交の実態をどのような思いで見ておられたのだろうか。(茨城キリスト教大学名誉教授)

さらに2人感染、計15人に つくばの高齢者施設 新型コロナ

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茨城県庁

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は6日、さらに2人が感染していることが判明したと発表した。同施設での感染者は計15人になる。

2人は、土浦市に住む同施設職員の40代女性と、つくば市に住む入所者の90代女性。いずれも2日に発熱し、現在、咳などの症状がある。

6日は施設の入所者と通所者、職員と家族の計24人のPCR検査を実施し、22人は陰性だった。県は濃厚接触者をさらに調べている。

「施設関係者は首都圏の人との接触自粛を」

一方、大井川和彦知事は6日の記者会見で、県内でこれまでに発生した4つのクラスターのうち、つくば市の筑波記念病院と社交ダンススクールのクラスターについて、経過観察期間が過ぎたのでこれ以上の感染拡大はないとした。

その上で、県内のこれまでの感染状況について、茨城県の場合、知らないところで感染が拡大しているということではなく、県外からやってきた人と濃厚接触者の範囲でとどめていると強調した。

6日昼時点で県内で64人の感染者が出ていることについては、感染者の数を増やしているのはクラスターだとし、福祉施設、障害者施設、病院で集団感染が発生したことでものすごく数が増えてしまったと話した。

施設で感染者が出ると、入居者の手当てが健常者と比べてマンパワーを要し、手当ての質も難しさを極めているとして、「介護施設、福祉施設の関係者が首都圏に行くことの自粛、首都圏から来る人との接触の自粛を強くお願いしたい」と述べた。

一転、5月6日まで休校 県南の県立高校 新型コロナ

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茨城県庁

6日新学期が始まった県立高校について、大井川和彦知事は同日、東京への通勤者が多いつくば、土浦市などの県立高校や中等教育学校を、ゴールデンウイークが終わる5月6日まで臨時休校にすると発表した。

3日時点で大井川知事は、県内の新型コロナウイルス感染者の発生状況から感染の連鎖を止められているとして、県立高校は6日から通常通り再開するとしていた。しかし新学期スタート初日に方針を見直す。東京との交流人口が多いことから県が「感染拡大要注意市町村」に指定した、つくばエクスプレス(TX)や県南の常磐線沿線など10市町に立地する県立高校32校をさらに1カ月間、臨時休校とする。

7日は通常通り入学式を実施し、8日からゴールデンウイーク明けまで臨時休校となる。

大井川知事は方針を一転させた理由について、3日の発表後、インターネットやその他で心配する声が大変多く寄せられたとし「恐怖心、心配、不安が強い中でこれ以上無理に学校を再開しても、逆に不安な心理の中で通常の学校生活が送れないのではないか」と判断したと説明した。

TX沿線や県南の常磐線沿線市町の住民に3日、平日夜間と週末の外出自粛を呼び掛けたことに触れ「予防的な措置として外出自粛を要請したが、それが引き金となって不安感が増して休校を求める声が多くなっていった」とし「不安な心理の中で学校を続けることはマイナスの方が大きい」とした。

休校期間については夏休みを短縮することで取り戻すことを検討しているという。

さらに、ゴールデンウイーク明けに学校を再開した後も、感染予防のため登校したくないという理由で自主的に休む生徒を欠席扱いとしない。休む生徒には、学校が学習課題を提示し、学習状況を確認しながら家庭での学習ができる体制を整える。インターネットを通じた授業の配信などを含め対応策を検討していくという。

一方、特別支援学校は、感染するとリスクが高くなる児童・生徒がいるため、全県の23校を5月連休明けまですでに休校としている。

つくば市長、受け入れに難色 日本財団9000床整備計画

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記者会見で公共施設提供モデルについて話すつくば市の五十嵐市長=6日、市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を防ぐため、日本財団がつくば市南原、つくば研究所跡地に軽症者向け病床約9000床を7月末までに整備すると発表した問題で、地元の五十嵐立青市長は6日の定例記者会見で、「住民理解が不可欠だが、プロセス構築が極めて困難」だなどとして、受け入れに難色を示した。

五十嵐市長は「すでに医療崩壊が起き始めており7月末では間に合わない。筑波大附属病院は800床、9000床は全国どこにもない規模。移送体制や医療従事者はどう確保されるかなどさまざまな課題をクリアしなくてはならない」などと話した。

課題として①研究所跡地に残っている建物を取り壊すので7月末までという時間が掛かってしまう②施設に他地域の患者や医療従事者を移送することに課題がある③大規模施設は住民理解が不可欠だが、市役所職員は市内の感染拡大防止に集中しており、住民理解を得るためのプロセス構築は極めて困難ーと指摘した。

これに対し日本財団経営企画広報部は「ご理解いただいた上で、つくば市や茨城県と協議しながら進めていきたい」としている。

新型コロナウイルス感染者の軽症者向け施設として県に提供された、ゆかりの森 宿舎あかまつ森のセンター=つくば市遠東

ゆかりの森が軽症者施設に

一方、五十嵐市長は、医療崩壊を防ぐための軽症者などの受け入れ施設として、市の自然体験施設「ゆかりの森」(同市遠東)を県に提供すると表明し、公共施設は風評被害によって倒産する心配が不要なので、全国の自治体が公共施設を提供するというモデルを推進したいと強調した。

「各自治体が50床提供すれば県内だけで2000床以上になる」なるとし、日本財団には公共施設提供モデルを支援してもらえるよう協議したいとした。

軽症者向け病床となるのは、ゆかりの森内の宿泊棟、あかまつ森のセンター(36床)。今回は第1弾でさらに提供施設を増やす予定という。

県内4カ所に160室確保

現在、新型コロナウイルスの感染者は、軽症だったり症状がなくても入院することになっている。一方、感染者が増加すると医療崩壊する危機が指摘されていることから、 軽症者は宿泊施設や自宅など別の施設に移り、病院は重症者に重点を移した治療をすることが求められている。

軽症者について厚労省は2日、宿泊施設の療養環境マニュアルを出した。これを受けて大井川和彦知事は6日、軽症者向けの隔離施設となる宿泊施設を同日までに、県内に4施設160床を確保したと発表した。県の施設やつくば市の施設という。県は4カ所の施設名を公表しなかったが、そのうち1カ所がつくば市のゆかりの森となる。

軽症者向け施設については、県が入所先の施設を割り当てる。大井川知事は「神栖を中心に差し迫った状況のところがあるので、今週中のなるべく早い段階から(施設の運営を)スタートしたい」とした。現在病院に入院している軽症者や無症状者が退院して、軽症者向け施設に移ることも今後あり得るという。

県によると、軽症者向け隔離施設については、国のマニュアルに基づいて公共施設を優先して確保の調整をしていく。施設には、保健師または看護師が日中常駐する。医師は呼ばれればいつでも対応できるようにし、ICTツールも活用して毎日の健康状態を把握できる療養環境を整える。食事の提供や清掃など、施設をどのような形で運営していくかは県と施設設置者の間で今後、個々に協議し調整していく。療養にかかる経費をだれが負担するかについては国がまだ方針を示しておらず現時点で未定という。

➡日本財団のつくば市9000床整備計画の過去記事はこちら

新社員寮が土浦に完成 関彰商事 ライフスタイルの変化に対応(上)

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完成した新社員寮「至誠館」=土浦市真鍋

【池田充雄】総合商社の関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)が、新しい社員寮「至誠館」を土浦市真鍋4丁目に完成させ、1日から本格稼働が始まった。

社員寮の場所は旧国道6号沿い、県立土浦一高の北側。かつては国道125号入口と呼ばれた丁字路の前だ。同社系列のガソリンスタンドの奥に以前の寮があったが、それらをまとめて取り壊し、敷地を広げて建て直した。旧寮から移った入居者からは「新しくきれいになって気持ちいい。駐車場も広くなって通勤に便利になった」と喜ばれている。

建物の概容は、延床面積約1500平方メートル、鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造の2階建て。男子寮21室、女子寮7室、女性家族寮2室という内訳だ。内外装ともコンクリート打ち放しのモダンなデザイン。1階南側は全面ガラス張りで開放感があり、2階部分は外装のルーバーがシャープな印象を高め、個室のプライバシーを守りつつ採光も確保している。

家族寮以外はいずれも1人用のワンルーム。男子寮はベッドとトイレ付き、浴室は共用だがライフスタイルの変化に対応し、大浴場ではなくシャワー4基とユニットバス3基になった。ランドリーには大型の洗濯機と乾燥機が3台ずつ置かれ、利用時間の短縮も図れそうだ。女子寮では全室にキッチンとユニットバスを完備した。

室内の様子

希望者には朝食と夕食の賄い付き。残業や遅番勤務でも食堂に自分のご飯があるのは独身者にはありがたい。寮母の平岡牧子さんは「前の寮より人数は増えるけれど、10人前でも20人前でも手間は一緒」と頼もしい。物価上昇でやりくりには苦労するが、若い人にも野菜をしっかり摂ってもらえる献立を心掛けているという。

新型コロナでeラーニング

男子寮のうち一般用20室はすでに満室。ただし新入社員は荷物を運び込んだのみで、本人は自宅待機中。新型コロナの影響で初出社が13日に延期されたからだ。例年この時期は、2週間の合宿によりビジネスのマナーや基礎知識を身に付け、社会人としての目標設定や意識啓発などしていたが、今年はeラーニングによる自宅研修に切り替えた。「当社としても過去に類を見ない事態であり、手探りで対応を進めている」と、山口政美広報部長は話す。

同社は地域密着企業で、基本的に単身赴任はなく、自宅から通える範囲で勤務するのが原則。このためUターンを希望する学生にも人気が高いという。ただし本社機能のあるつくば地区はさまざまな業務が集積し、人の交流も盛んなので、遠くから来ている社員が比較的多い。そういった人たちも、ゆくゆくは地元に戻す方針だという。(続く)

ソファも置かれた食堂

《吾妻カガミ》79 善政?つくば市のコロナ対応

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春の筑波山=土浦の霞ヶ浦畔から撮影

【コラム・坂本栄】コロナウイルス禍は厄介なことになってきました。欧米の指導者はコロナの来襲を戦争事態と宣言。国境の往来が抑えられ、内外の経済は縮みつつあります。日本では安倍政権の危機管理力が衰えているときだけに、困ったものです。

コロナの攻撃に対する防御策はある意味シンプルといえます。迎撃策(治療薬)の開発が肝心であることは言うまでもありませんが、それまでの間、人に潜んで来襲する敵に対する基本作戦は二つです。一つは国・県の境で阻止すること。もう一つは、侵入を許してしまった場合、戦域でのコロナの活動(蔓延)を抑えることです。

つまり、阻止線を設け(人の移動を抑え)、敵の活動を許さない(コロナを運ぶ人が群れない)ことです。このため、国は非常事態を宣言し、国民の行動(移動する、群れる)を制限することが必要になります。

米も英も独も伊も準戦時体制を立ち上げました。ところが、「森友と花見」で政治力が衰えた安倍さんは、急ぎ特措法をいじったもの、国民に自制を求めるにとどめました。先の大津波の教訓を踏まえ、平時に非常事態法体系を整えておくべきだったのに、初期対応は緊張感に欠け、その後も準戦時の形にはなっておりません。

「移動するな」「群れるな」

市域でコロナが顕在化する前、つくば市でもナイーブな施策が見られました。政府の要請を受け、小中校を休みにする(群れる場をなくす)と言いながら、自習の登校は認める(群れる場を別の形で用意する)と、父母に配慮したことが一つ。市内の宿に泊まり飲食する人におカネを出す(人の移動を促す)という、業者さんへの配慮がもう一つです。

詳しくは「新型コロナでつくば市小中学校…」(2月28日掲載)、「ホテル・旅館宿泊者に最高7000円補助」(3月13日掲載)をご覧ください。前者は父母の負担を軽くする策、後者は市民の消費を刺激する策(業者への間接支援)といえます。善政ということでしょうが、「人を群れさせない」「人の移動を抑える」という、対コロナ作戦の基本に穴を開けることにならないでしょうか。

ある潜水艦映画にこんな場面がありました。魚雷攻撃を受け1区画が浸水、修理するも間に合わず、別区画に海水が流れ込みそうになる。そのとき艦長は修理員を作業区画に残し、隔壁扉を閉じて全艦に海水が回るのを防ぐ―。2~3の修理員を犠牲にし、残り20~30の艦乗員を救うという冷酷な判断です。

父母や業者を軽視しても構わないと言っているのではありません。作戦目標(コロナ蔓延阻止)に留意すべきではないかと言っているのです。善政を施すのであれば、教職員による児童宅巡回、宿屋・食堂への直接支援を考えるべきでしょう。

財政で経営と家計を回せ

国民の信が薄くなっている安倍政権が、対コロナ戦で国民に不便を強いるのは難しいかも知れません。でも政権を担っている以上、非常時宣言とセットで戦時国債を発行、企業経営と国民生計を維持する策を繰り出すべきです。天変地異や金融危機に比べると、コロナ危機の構造は単純です。敵を破る間、財政支援で経営と家計が回っていれば、V字復興が可能でしょう。(経済ジャーナリスト、戦史研究者)

【追記】この稿を送る直前、つくば市は①4月7~19日も小中学校を休校にする②(今度は)自習の登校も受け入れない―と発表しました。善政の一つを②に切り替えたことを評価します。

「市の理解得ながら進める」日本財団 つくばに軽症者病床9000床整備 新型コロナ

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9000床の軽症者病床を整備することが発表された、つくば市南原の日本財団つくば研究所跡地

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を防ぐため、日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)は3日、つくば市南原2番地、つくば研究所跡地に軽症者向け病床約9000床を整備すると発表した。

発表に対し、つくば市の五十嵐立青市長は3日夜「市には事前連絡や調整は一切なかった。市にとって極めて大きな影響のある発表内容で、情報収集を進める」などのコメントを市ホームぺージで発表した。これに対し同財団経営企画広報部は「ご理解をいただけるよう説明していきたい。つくば市を始め、厚労省や関係機関の理解を得ながら進めていきたい」としている。

東京・船の科学館は4月末開設

軽症者向け病床は、東京都品川区の船の科学館とつくば市の2カ所に計約1万200床整備する。船の科学館は約1200床で4月末から受け入れを開始する。つくばは7月末に開設する予定。

同財団によると東京の船の科学館には、約1万2200平方メートルの敷地内に大型テント9張とコンテナハウスなどを整備する。ほかに、2020東京パラリンピックに向け日本代表選手がトレーニングするために18年に建設された体育館「パラアリーナ」約2000平方メートルにも病床を整備する。4月末から受け入れ開始できるようすぐに整備に着手し、テントは順次、建設していく。

つくば研究所跡地約5万7000平方メートルには、現在、角水槽棟や回流水槽棟などの研究施設などがある。まず現在ある建物を解体などして、7月末から軽症者の受け入れが開始できるようにする。今後の具体的な解体や整備のスケジュールは今後検討するという。

2カ所にはそれぞれ病床のほか、医師や看護師の休憩場所、食事場所、宿泊場所も整備する。家族4~5人が過ごせる場所なども検討している。施設は冷暖房を完備し、換気をよくする。

船の科学館では主に東京都などの軽症者、つくばでは、東京ばかりでなく茨城県内を含む関東地方の患者を受け入れる方針だ。

日本財団は施設を整備し、整備費用と運営費用全額を負担する。同財団は熊本地震の復興支援で120億円を超える支援を行った。今回は両施設の整備等を合わせても、熊本地震支援を下回るのではないかと見ている。

施設の運営に同財団は携わらない方針だ。運営主体は厚労省や東京都などと今後協議し決める方針だが現時点では未定。ただし協議の結果によっては変更になる場合もあるとしている。医療スタッフの確保も現時点で未定だが、軽症者の場合、1人の看護師で40~50人対応できる見通しだという。

笹川会長は3日の記者会見で「患者のためのあらゆる施設、医師、看護師の給料、多くの方の食事、必要とされるあらゆる経費は日本財団が全額負担する。使われないで終わるのが最大の願い。備えをつくっていくことが重要だと決断した」と表明している。

病院は重症者に重点へ

新型コロナウイルスに感染しても8割は軽症といわれる。感染症法では、感染が判明したら軽症だったり、症状がなくても入院することになっている。一方、東京都などで感染者が増加し、医療崩壊の危機が指摘されているなどから、 国の対策本部は3月28日、病院での治療は重症者に重点を移し、軽症者は自宅療養しながら医師が遠隔診療したり、宿泊施設など別の施設に滞在する体制を整備するという基本方針を出している。

日本財団つくば研究所跡地に敷地内の運動場(日本財団提供)

レンコン黒皮病、徐々に拡大 県が対策へ本腰

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種ハス用に掘り起こされたレンコン=土浦市手野

【山崎実】レンコンの商品性を損なう黒皮病が全国的に発生し、生産量日本一を誇る県内でも徐々に被害が拡大していることから、県は生産者団体などと協力し実態調査に着手した。

黒皮病は、レンコンネモグリセンチュウ(線虫)によって引き起こされ、被害を受けたレンコンは肌に黒い小斑点が発生する。全体的にやや黄変し、一節目(頭)の肥大が悪くなり、形状が三角形に変形してしまう。品質維持の大敵で線虫駆除が重要になる。

既に県は、農機具の洗浄や健全な種バスの使用、農薬としての石灰窒素の施用、収穫後の残さの除去など総合防除法をまとめ、2017年以降、講習会などを通して生産者に指導を行ってきた。

しかし、被害の程度が地域やほ場によって異なるほか、具体的な防除対策の判断を生産者個々の対応に任せてきたため、実効性に疑問符が付き、県も本腰を入れて黒皮症対策に取り組む。

具体的には、レンコン産地での発生状況を正確に把握するため、生産面積の大きい土浦市やかすみがうら市などで生産者団体と調査に着手した。今後、3年以内を目途に他の市町村にも拡大していく方針で、その結果を地図に落とすなどして可視化する。被害程度の大きい地区は直接、個別指導を行うなど、重点的に防除対策を実施していく。

また収穫後の残さ処理についても、集団的・組織的な堆肥化の取り組みなど、出来るだけ早くほ場から持ち出して処理する方策を検討するとしている。

県内のレンコンは約1600ヘクタールに及ぶ生産面積と、全国シェアの46.8%を占める収穫量(2016年)を誇る。

《続・気軽にSOS》58 「過ぎる」感情のデメリット

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【コラム・浅井和幸】前回のコラムでは、不安にも憂鬱な気分にもポジティブな意味があるということをお伝えしました。ネガティブに思える感情や感覚も、適切に作用すれば、それは大きな利点があるものです。しかし、「過ぎる」感情や感覚は、短期的にも長期的にもデメリットが大きいので、対処が必要ということになります。

例えば、不安についてです。不安は、これから起こるかもしれない「嫌なこと」に対する警報機のようなものです。それは、まるで「この先に行ったら電車にひかれてしまうよ」と呼び掛けているような作用です。

踏切の警報機の音は、人が聞いて嫌だなと感じる不協和音が使われているらしいですね。他の警報音も、なんとなく気持ち悪いな、怖いな、不安だなと感じる音になっているはずです。

不安があるから、なんとなく嫌な感覚だから、そこを避けられるわけですね。ですが、電車も来ないのに、この警報機が鳴りっぱなしだったらいかがでしょう。もしくは、まだまだ電車は遠くかなたで、踏切に到着するには1時間以上もかかるような時点から、遮断機が下り、警報機が鳴り続けたらどうでしょうか?

この文章を書いていて、具体的に想像してしまい、今、私は背筋が「ぞくっ」とするような感覚です。とても怖い状況であるからです。

不安をコントロール

警報機が鳴っている。不安になることは必要なことです。踏切に入らなければ安全だという事を知っていれば、不安はコントロールしやすいですね。音がうるさくて耳が痛いのであれば、警報機から少し離れたり、耳を少し塞(ふさ)いだりしてもよいでしょう。

少し、友達との会話の声を大きくして、楽しい話しに気を紛らわしてもよいかもしれません。カーラジオの音量を少し大きくしたり、鼻歌を歌ったりしてもいいですね。別の道を探したり、そもそも踏切を使わずとも、好い生活スタイルを計画したりしてもよいかもしれません。

どこから危険な電車か何かが自分にぶつかってくるかもしれないということにパニックにならないようにするには、知り合いや専門家などとコミュニケーションをとり、対処法を模索することが必要です。

私たち人間は、正確な現在の状況や未来を感じたり考えたりすることはできません。さらに私たちの脳は、勘違い、思い込みもドンドンするようにつくられているそうです。そのなかで、有効な心の警報機の聞き方と、対処法を繰り返しバージョンアップしていくことで、自分の行きたい生き方に近づけて行けるとよいなと思うのです。

あなたは、幸せになるために生きていますか? 不幸になるために生きていますか? 楽しむため? 苦しむため? 日々、選択の繰り返しですね。(精神保健福祉士)

つくばの高齢者施設でさらに3人が感染 新型コロナ

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茨城県庁

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は3日、さらに施設入所者3人の感染が判明したと発表した。同施設での感染者は計13人になる。

3人は、いずれもつくば市に住む90代の女性2人と80代の女性1人。3人とも症状はないという。

3日は入所者68人、通所者20人と職員26人の計114人についてPCR検査を実施した。111人は陰性だった。県はさらに濃厚接触者の調査を進めている。

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