土曜日, 1月 17, 2026
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世界初公開資料も デフリンピックの歴史知るパネル展 筑波技大

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展示企画を担当する大杉豊教授

聴覚障害者による国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」が11月に開催されるのに先立ち、筑波技術大学(つくば市天久保 石原保志学長)の天久保キャンパスで、デフリンピックの歴史を紹介する特別パネル展「デフリンピックの歴史を知る」が7日から始まった。展示されているのは、大会最初期の記録などに基づき作成された歴史年表などパネルや動画作品約20点。会期は11日まで。

資料作成を担ったのは、企画を担当する同大教員で、デフリンピックの主催団体「国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)」副会長の大杉豊教授だ。大杉さんは今回の展示資料作成のために3月に渡米し、聴覚障害者の大学・ギャローデッド大学に保管される非公開資料などを調査した。

「100箱以上ある全てのボックスを開けて中身を確認した。これまで把握できなかった国際ろう者スポーツ委員会設立当時の議事録をはじめ、国際オリンピック委員会が初めて国際ろう者スポーツ委員会を認知した時の通知など貴重な資料が多数あった。今回の展示では、世界初公開となる資料も複数含まれている。聞こえない人が時間をかけて大会を発展させてきた。デフリンピックを知ってもらう機会にしたい」と企画への思いを語る。

米国で発見した資料をもとに作成した展示パネル

「手話の復権」

デフリンピックの始まりは、1924年8月にフランス・パリで開かれた、ろう者による世界初となる国際スポーツ大会「国際サイレント大会」だ。以降、それぞれ4年に1度ずつ夏期と冬季にそれぞれ大会が開かれた。今回の東京大会は25回目の夏季大会。デフリンピック100周年の記念大会で、日本での開催は夏・冬通じて初めてとなる。

大杉さんが、今回の展示で伝えたい物語の一つに「手話の復権」があるという。第1回大会がパリで開かれた当時、世界的に手話は差別の対象となっていた。1880年にイタリア・ミラノで開かれた第2回国際ろう教育者会議(通称:ミラノ会議)で、ろう学校での手話が禁止され、言葉を声に出して話す「口話」がろう者のコミュニケーション手段として奨励された。日本でも1933年にろう学校での手話使用が禁止された。口語のみを認め、ろう者の言語である手話が否定されたことは、ろう者の尊厳を傷つけることにつながったという。

パリで第1回大会が開かれるひと月前、同じパリで、第8回夏季オリンピックが開かれていた。それを見た、ろうの当事者たちは「聞こえる人も、スポーツを楽しんでいる。聞こえない人たちも、同じように楽しみたい」と考えた。そして、「スポーツのために世界から人が集まるのなら、心置きなく世界中の人々がコミュニケーションを取り合い、精一杯スポーツを楽しもう。そのために手話が話されるのは悪くない」と話し合ったという。大杉さんは「第1回大会はいわば、手話にとっての『ルネサンス(復権)』」の機会となったのだと話す。

今回の展示では、大杉さんが米国で関係者から聞き取った「手話の復権」に関するインタビュー動画も上映する。国際手話で語られた内容に、日本語字幕と、日本語手話と字幕を載せた約20分の映像作品だ。期間中、毎日正午から午後1時までの間、リピート再生する。

一連の調査と資料作成を通じて大杉さんは「時代を超えて(国際スポーツ大会を始めた)当時の人々の気持ちとつながることができたのは感慨深かった」と語る。

11月16日から

手話で拍手をした手を前に突き出す「サインエール」は、デフリンピック東京大会のために開発された目で見える応援スタイルだ

11月16日から始まる「東京2025デフリンピック」は、東京体育館(渋谷区)や駒沢オリンピック公園総合運動場(世田谷区)など東京都内にある17会場のほか、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンター、福島県楢葉町のJビレッジなど19会場で全21競技が行われる。12日間の大会期間中、70から80の国と地域から約3000人の選手が参加する。

筑波技術大学・大学院からは、現在、産業技術学部に所属するテコンドー選手の星野萌さんら5人が代表に内定している。また、バドミントンの沼倉千紘さん・沼倉昌明さん、サッカーの岩渕亜依さん、柔道の蒲生和麻さんなど多数の卒業生も代表選手に選ばれている。大会のエンブレムをデザインしたのは、卒業生の多田伊吹さんだ。

「是非、聴覚障害者が活躍する大会があるということを知ってほしい」と、同大広報担当の折笠紀恵さんも期待を込める。(柴田大輔)

◆特別パネル展「デフリンピックの歴史を知る」は7日(月)~11日(金)、つくば市天久保4-3-15 筑波技術大学天久保キャンパス「大学会館1階OnOffラウンジ」で開催。開館時間は午前9時から午後5時まで。最終日は午後2時まで。展示期間中、毎日正午から午後1時まで、大杉さんが手話による作品解説を行う。入場無料。

つくばの廃校、芸術文化創造拠点に 

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旧田水山小の教室棟=つくば市水守

旧田水山小で改修工事着工へ

廃校となったつくば市水守、旧田水山(たみやま)小学校を改修し、同市の芸術文化創造拠点にする工事が8月から始まる。だれもがアートに触れることが出来る施設として、来年度後半にオープンする計画だ。

市民が創作室を一定期間借りて趣味の作品をつくったり、備え付けの木工工作機械を使って工作に挑戦したり、音楽やダンス、演劇を練習したりできる。作品の展覧会や舞台の発表をする設備も整える。土日曜には、筑波大芸術系の関係者や市内のプロのアーティストがワークショップを開く計画もある。公募で選んだアーティストが数カ月間、教室で創作活動をするなどアーティストの育成にも取り組む。運営は当面、市直営とし、アートコーディネーターが常駐して企画展なども開催する計画だ。

完成イメージ図(つくば市提供)

同小は、秀峰筑波義務教育学校が開校したのに伴って2018年3月に閉校した。敷地面積約1.1ヘクタール、教室棟は鉄筋コンクリート造3階建て。建築面積約1000平方メートル。

教室棟は創作室などに改修する。校庭には遊歩道を整備して屋外ギャラリーをつくる。体育館は2023年3月の同基本計画策定時点では、修繕し地域のスポーツ団体が引き続き使用する予定だったが、劣化が激しいため取り壊し、跡地を駐車場にする。プールは解体し、跡地にプールの形を生かした展望デッキと屋外ギャラリースペースを整備する。駐車場は計70台、駐輪場は17台整備する。災害時の指定避難所になっていることから、引き続き地域住民が避難所として利用できるようにする。

教室棟の1階は、職員室を改修しだれでも利用できる地域利用スペースにする。だれでもふらっと立ち寄って休憩したり、中高生などが勉強したり、アーティストと交流できるスペースにする。家庭科室と理科室をそれぞれ改修した創作室は、個人やグループが創作活動に利用できるようにする。

2階は、教室3室を改修して創作室をつくる。プロを目指すアーティストが滞在しながら創作活動を行ったり、作品展示などする。元コンピューター室は、自在に間仕切りができる展示パネルや可動式スポットライトなどを設置し、さまざまな企画展示を開催などする。

3階は、教室を改修して創作室を3室つくる。木工工作機械などを備えた部屋をつくり、市民が工具を使ってDIYなどにも挑戦できるようにする。音楽室は音楽の練習に使えるよう防音壁などを整備したり、図工室はダンスや演劇の練習ができるスペースにする。図書室は本棚をそのまま利用し芸術を専門とするライブラリーに改修する。

各創作室の使用料金などはこれから検討するという。職員室を改修した1階の地域利用スペースと、図書室を改修した3階のライブラリーはだれでも無料で利用できるようにする。

「人、モノ、情報が出会い、つながりが生まれ、新たな価値観やつくば独自の芸術文化を育む」をコンセプトに、アーティストの育成、市民が文化芸術に触れる機会の創出、地域交流の場の形成などに取り組む方針だ。

改修工事費は約8億8000万円。改修工事期間は8月から来年7月まで。2023年3月の試算では概算工事費は約4億4000万円だったが2倍になる。1995年の教室棟建築から30年経ち、改修や修繕だけでなく施設の長寿命化工事を実施する必要が生じたためと市は説明する。

同基本計画によると、年間約2万8000人の利用者を想定している。完成後の施設の維持管理費は概算で年間約4700万円の見通し。

市民説明会の様子

改修を前に同小でこのほど市民説明会が開かれ約30人が参加した。集まった市民からは「多額の費用をかけるのだから計画通りに進めてほしい」「野外の芸術にも力をいれてほしい」「災害時の避難場所としての機能はどうなるのか」「周辺の道路が狭いので対策をしてほしい」「工事の騒音が心配」「地元の(伝統芸能の)田中ばやしも芸術なのだから練習場所として使わせてほしい」など意見が出た。

市民部芸術文化推進課の矢口治重課長は「市民みんなが気軽に集えるような場所になるように努力していきたい」と話す。(榎田智司)

土浦工業、コールド勝ち【高校野球茨城’25】

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2回裏1死満塁でレフトへタイムリーヒットを放つ土浦工業の長南琉愛

第107回全国高校野球選手権茨城大会は3日目の7日、ひたちなか市民球場で1回戦が行われ、土浦工業は那珂湊と対戦、10ー0で5回コールド勝ちし2回戦進出を決めた。土浦工業先発の前島悠輝は那珂湊打線をノーヒットに抑えた。

7日 1回戦 第1試合 ひたちなか市民球場
那珂湊 00000 0
土浦工 26011× 10

土浦工業先発の前島悠輝投手

「昨年、一昨年と初戦敗退し悔しい思いをした先輩たちの無念を晴らしたいと試合に挑んだ」と成島瑠依主将。捕手でもある成島は「初戦で緊張した」と話す一方、先発の前島をうまくリードし、初回の那珂湊打線を三者凡退に抑えた。

その裏、相手のエラーで、ノーヒットのまま2点を先制。2回には無死満塁のチャンスに長南琉愛が高めのストレートを思い切り振り抜いた。打球はレフトへのタイムリーヒットとなり1点を追加すると、助川誓哉と谷田部秀夫もタイムリーヒットを放ちさらに4点を追加しリードを広げた。

大量得点に盛り上がる土浦工業ベンチ

前島は1回、2回と制球が定まらず荒れていたが、主将で捕手の成島やベンチの声に支えられて調子が上がり始めた。次第に低めのストレートが決まりだし三振を奪うと、野手も堅い守備でチームに勢いをつけた。

5回には那珂湊の守備のミスも重なり、長南琉愛がワイルドピッチでホームイン。10点差をつけコールド勝ちを決めた。

長南琉愛が生還。10点目が入りコールド勝ちを決めた

先発した前島は、参考記録ながら5回ノーヒットノーラン8奪三振を達成した。ノーヒットノーランは「野球をやってきて初めて」と言い、「2回戦でも負けない気持ちを出してやっていく」と力強く語った。試合を終えた成島主将は安堵の表情を浮かべながらも「次の試合もこの勢いで勝って土浦工業の野球を強くしていきたい」述べた。

久保田昌倫監督は「昨年の夏から出ている選手が多数いたので落ち着いて出来た。若いチームなので2回戦はベンチワークも含めていろんな選手を出せる試合にしたい」と話した。2回戦は13日、八千代と対戦する。

土浦工業の応援席

那珂湊の地元であるひたちなか市民球場での開催とあって、スタンドでは那珂湊が全校を挙げて応援した。土浦工業は完全アウェイだったが、価値ある勝利をつかんだ。(高橋浩一)

背水の陣で臨む 今年の土浦の花火《吾妻カガミ》208

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土浦の花火(土浦市提供)

【コラム・坂本栄】昨年の土浦の花火(正式名は土浦全国花火競技大会)は、予定日(11月2日)が降雨予報で中止になり、代替日(同3日と9日)に延期しようとしたところ、周辺道路や会場周辺の警備体制が両日とも確保できず、全日程で中止に追い込まれた。実行委員会(委員長・安藤真理子土浦市長)の運営体制に花火ファンや関係業者から批判が出たことから、土浦市は今年の大会(11月1日、代替日8日)は背水の陣で臨む。

昨年大会では3つのミス

私はコラム198「…欠けていたリスク管理」(2024年12月16日掲載)で昨年の大会運営上の問題点を三つ指摘した。「曖昧だった延期日の警備手配」「無駄だった花火興業中止保険」「実行委に呼ばれなかった議長」の3点だ。詳しくは上の青字部をクリックしてもらうとして、以下のように要約できる。

▼警備体制の不備:予定日2日の警備体制は警備会社と契約して500人近く確保してあったものの、代替日の警備については契約しておらず、延期になった場合は「相互に協議する」と曖昧になっていた。警備会社は人手不足で市の確保要請に応えることができず、市としてもプロの警備抜きでの大会は危険過ぎると判断、代替日への延期を見送った。

▼中止保険が不発:この種のイベントには興業中止保険をかけ、悪天候などで中止に追い込まれた場合、その準備などに使った経費を損害保険会社に払ってもらうのが常識。土浦市もこの保険に入っていたが、契約には「延期日有り」条項が入っていた。ところが、市は代替日に延期せず全日程を中止にしてしまったため、イベント保険を受け取れず、市は多額の追加出費を迫られた。

▼議長抜きの決定:大会中止(11月1日午前発表)を決めた実行委(10月31日夕方開催)に、実行委メンバーの市議会議長が呼ばれなかった。混乱の中、事務局が議長に連絡することを忘れたからだ。決定プロセスから外された議会はこれに怒り、定例議会で市側のミスを追求した。

今年は失敗が許されない

今年の土浦の花火は第94回になる。同時に市は「土浦の花火100周年記念」とも謳(うた)っており、今年の大会にはかなり力が入っている。昭和14年(1925)の第1回から数えると確かに1世紀。先の大戦や市街地洪水などで6回中止されており、通算ではその分マイナスになる。100周年と大見えを切った手前、土浦市としては昨年のような失敗は許されない。そこで、土浦市・花火のまち推進室長の菊田さんに準備状況を聞いた。

警備体制は、予定日(1日)だけでなく代替日(8日)についても警備会社と契約を結び、代替日の要員も確保する。このため、昨年は1日分だった警備会社に払う経費(約1800万円)が今年は2倍になる。代替日を従来の2日でなく1日に減らしたのは、警備費用を抑えるためだ。一方、記事「順延は1日のみ…」(5月26日掲載)にあるように、有料観覧席の値上げで収入増も図る。

また、予定日に大会を実施でき、代替日の警備が不要になった場合、契約額の一定割合を減額するよう警備会社と交渉している。警備会社は代替日用に確保した要員を別の仕事に回せることを理由に挙げ、市としては割引率の最大化を図る。経費節約のために代替日の割引率をいかに大きくするか。予定日の契約額も含め、警備会社との交渉は面白くなりそうだ。

花火興業中止保険については、「延期日有り」を踏まえ、予定日中止の場合は代替日にトライする。今回大会の予算書を見ると、役務費(保険料、ゴミ処理費など)が昨年大会の2倍以上計上されており、抜かりはないようだ。また、大会中止などの重要事項は、市長+副市長+市議会議長+商工会議所会頭(観光協会会長)の4人に必ず諮ると運営マニュアルに明記した。議会対策は万全らしい。(経済ジャーナリスト)

土浦湖北、初戦を突破【高校野球茨城’25】

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3回、奥畑のライト犠牲フライで柿沼がホームイン

第107回全国高校野球選手権茨城大会は2日目の6日、ひたちなか市民球場で1回戦が行われ、土浦湖北は磯原郷英と対戦、3ー0で勝ち初戦突破を果たした。 

6日 1回戦 第3試合 ひたちなか市民球場
磯原郷英 000000000 0
土浦湖北 00200001× 3

完投したエース矢野

土浦湖北は先発したエース矢野陽仁が持てる力を発揮し、磯原郷英打線を完璧に抑え、3回までランナーを許さなかった。打線は3回裏1死後、2つの四球とヒットで1死満塁のチャンスに、高橋颯太郎が変化球を上手く転がしセーフティースクイズを決め先制。続く奥畑優梧がライトへの犠牲フライを放ち2点をリードした。

3回、セーフティスクイズを決めた高橋

矢野は、5回に初ヒットを許すも、カーブ、カットボール、フォークを巧みに使い分け要所を抑える。8回には1死1、2塁とこの試合初めてのピンチを迎えるが、後続をきっちり抑えた。

その裏、8回2死2塁で斎藤大樹がタイムリーツーベースを放ち1点追加。矢野は「最初から完投するつもりでいた」と9回もマウンドに上がり、2死2塁でセンター前ヒットを許すも、センター高橋の見事な返球で2塁走者をホームで刺し試合終了。2年ぶりに初戦を突破した。 

9回、センター高橋の好返球でホームタッチアウトで試合終了

土浦湖北の土佐一成監督は「矢野は3年間で1番出来が良かった。最後まで投げられたのが勝因。守備も含めて、ランナーを出しても粘り強く守ってくれた」とエース矢野をたたえた。

柿沼颯馬主将は「昨年はエラーもあり初戦敗退して悔しい思いをしたので初戦に勝てて良かった。次の対戦は関東大会に出場した藤代。力は向こうの方が上だが初戦を勝った勢いのまま挑む」と力を込めた。

9回を1人で投げ抜いた矢野は141球を投げ、被安打5、10奪三振を奪った。矢野は「調子が良く、追い込んでからはスライダーとフォークで三振を取りに行きコースを意識して投げた。3年生最後の大会で勝つことが出来てうれしい。次の藤代戦も自分の持てる力を発揮して勝ちたい」と意気込みを語った。

暑い声援を送るチアリーダー

スタンドでは土浦湖北のチアリーダーと応援団50人、OBらが熱い声援を送った。(高橋浩一)

土浦一、初戦突破できず【高校野球茨城’25】

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4回表茨城二死満塁、三走の本盗を阻止する土浦一の捕手・海老原悠彦(左端)


第107回全国高校野球選手権茨城大会は2日目の6日、J:COMスタジアム土浦の第1試合で土浦一が茨城と対戦。土浦一は2-6で敗れ、初戦を突破できなかった。

6日第1試合、J:COMスタジアム土浦
茨 城 200 110 020 6
土浦一 001 001 000 2

土浦一は9四死球4失策とミスが目立ち、ミスが失点に直結した。打線は相手投手の130キロを超える直球とスライダーに対応できなかった。荒木理行監督は「相手のミスのない守備と投手力に、チャンスをつくらせてもらえなかった。守備の強化が課題。この経験を次に生かしたい」と唇をかんだ。

土浦一の先発、松橋

土浦一の先発は2年生の松橋隆太郎。土浦一付属中の出身で、去年まで中学生を指導していた荒木監督とは付き合いが長く、厚い信頼関係で結ばれている。「今日は緊張して汗もかいていたので、長いイニングは難しいかもと思っていた」と荒木監督。「初回はコントロールが定まらず、思ったところへ投げられなかった。割り切ってど真ん中へ投げられればよかったが、真っ向勝負にひるんでしまった」と松橋。初回、3四死球で1死満塁から、適時打で2点を先制された。

3回裏には土浦一が反撃。8番・日下部勇の右越え二塁打と9番・星田侑希の送りバントで1死三塁とし、1番・清遠健二の遊ゴロで1点を返した。「ショートとセカンドが下がっていたので、低く強い打球で間を抜き、確実に1点を返そうと考えた。打ったのは真ん中低めのスライダー。ヒットで出られれば良かったが最低限の結果を出せた」と清遠。

3回裏土浦一1死三塁、清遠の遊ゴロで1点を返す

しかし4回表は茨城が足でかき回して追加点。1死二塁の場面、左前打からのバックホームで走者はいったん三塁にストップするが、打者走者が二塁を狙ったため捕手が二塁に送球、この間に三走が再スタートを切り、本塁を陥れた。茨城はこの後二死満塁からも、二走が飛び出して牽制を誘うが、松橋は落ち着いて対処し、ホームに送球して三走のホームスチールを封じた。

6回裏土浦一2死一・二塁、増田の適時二塁打で1点を追加

6回裏、土浦一は相手投手の乱れに乗じて2死一・二塁とし、5番・増田勇翔の適時二塁打で1点を追加。増田は前の打席でストレートを打ちあぐねたので、この打席ではスライダーに狙いを切り替えたという。「真ん中のスライダーを迷いなく振り抜いた。左翼ライン際に落ちたので一気に二塁へ向かった」との振り返り。

7回表茨城1死一塁、一走の二盗を阻止する遊撃手・高橋陸斗と二塁手・星田

その後土浦一は、7回と9回に走者を出すがどちらもダブルプレーでチャンスを潰し、得点を伸ばせず。8回表には3人目の白根大輝が捕まり、茨城に2点を加えられ大勢が決した。「最後まであきらめない気持ちはあったが相手が一枚上だった。スタンドから支えてくれた1・2年が胸を張れるようなプレーがしたかった」と清遠。増田は「この大会を目標に全員が練習の成果を出そうと取り組んできた。最後までこの仲間でやれて良かった」と振り返った。(池田充雄)

8回表茨城1死三塁、飛び出した三走を挟殺する土浦一の三塁手・清遠

「戸籍」作り14年間調査 シジュウカラの暮らし知る企画展 筑波実験植物園

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企画を担当する濱尾章二名誉研究員。後ろは園内に設置されている巣箱

国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保、遊川知久園長)で5日から、企画展「シジュウカラの社会ー鳥の眼で見る植物園」が始まった。同園内のシジュウカラの暮らしをつぶさに知ることができる展示で、餌となる昆虫や天敵の蛇、タカなど、園内に生息する多様な生き物との関係を通じて、同植物園を新たな視点で見るきっかけとなる展示でもある。園内で14年間、調査が続けられてきた。企画を担当する同館の濱尾章二名誉研究員は「2012年から続けてきた研究の成果を見ていただきたい」と思いを込める。

展示されているシジュウカラの標本

ひなから生涯を追う

シジュウカラは体長14センチ、体重14グラムほどの大きさ。手のひらに乗るくらいの小型の鳥で、市街地、住宅地など全国各地で見ることができる。近年の研究では、異なる意味を持つ鳴き声を⽂法に従って組み合わせ、⽂章をつくりコミュニケーションをとっていることが知られている。

同園では濱尾さんが中心となり、2012年から園内に30個の巣箱を設置しシジュウカラの観察をスタートさせた。現在は36個の巣箱を約50メートル間隔で設置し、つがいから生まれたひなを1羽ずつ把握しながら「戸籍」をつくり、それぞれの成長の過程と共に、次の世代を生み出す様子を観察し続けている。

パネル展では園内で見られる昆虫類についても知ることができる

死別により伴侶変える

シジュウカラは、オスとメスがつがいとなり子育てをする「一夫一妻」。他の鳥類でも見られる繁殖形態で、オスとメスが協力して巣を作り、抱卵、餌やり、ひなの世話などをする。主に3月から5月にかけて繁殖期を迎え、中には年に2回、繁殖するつがいもいる。一度の産卵で8から10個の卵を産む。ひなは40日ほどで巣立っていく。

これまでの研究でわかったのは、「一夫一妻」のシジュウカラが伴侶を変えることがあることだと濱尾さんはいう。生まれてから生育の過程で毎年半数の個体が、天敵の蛇やタカに襲われるなどして死んでいく中で、死別によって相手を変えていることがわかったのだと話す。これまで観測してきた中で最も長く生きた個体は7年だった。大半が、卵や孵化して間もなく、巣の中で天敵に食われるなどして1歳未満で死んでしまう。近年は、増え続けるアライグマも天敵の一つに加わった。

巣箱で育つシジュウカラのひな

園内に二つの「名家」

こうした過酷な環境を生き抜く中で、4代にわたり、95羽を巣立たせた2つの家族がいる。約8年前から継続して観察している植物園が誇る「名家」だ。2024年には両家の間でつがいが生まれ、親族関係になったことが確認されている。

濱尾さんは、「シジュウカラは身近なところにたくさんいて、非常に調べやすいのが特徴。特に巣箱を使うと、生態を細かく観察できる。見るほどに、つがい関係や親子関係などを追跡できるのも魅力」と話す。また「今回は、植物園で開催する鳥の展示。鳥が好きな方だけでなく、植物に関心がある方、研究に関心がある方などにも見てもらえるような展示にした。展示をきっかけに、お子さんにも研究の面白さを知ってもらいたい」と思いを込める。

教育棟と研修展示館1階、2階の3会場で企画展が開かれている。教育棟では植物園での14年間にわたるシジュウカラ研究の成果を記したパネル展、研修展示館1階ではパネルや標本、実際に生きている昆虫の展示などを通じてシジュウカラと関わる植物園内で見られる動植物の生態について展示している。同2階では、中高生による鳥研究ポスターや、研究者の研究方法などが紹介されている。(柴田大輔)

◆企画展「シジュウカラの社会―鳥の眼で見る植物園」は5日(土)から13日(日)、つくば市天久保4-1-1、国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。開園時間は午前9時から午後4時30分(入園は午後4時まで)。入場料は一般320円、高校生以下と65歳以上、障害者などは無料。会期中、7日(月)と13日(日)午後2時からは、濱尾さんによる鳥類学研究にまつわる講座が開かれる。研修展示館2階の「観察、研究への誘い」は8月31日まで開催される。詳細はイベント公式ホームページへ。

生活困窮者の自立促す家計改善支援《ハチドリ暮らし》51

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写真は筆者

【コラム・山口京子】生活クラブ生協・東京が主催する「家計改善支援」研修を受講しました。生活困窮者自立支援法に基づいて、市役所などに生活全般の困りごとに対応する相談窓口が設置されています。家計改善支援員とは「家計改善支援事業」に従事する支援員のことで、既に従事している支援員だけでなく、支援員を目指す人や自身の家計管理を学びたい人も対象にした研修でした。

生活困窮者自立支援法が施行された背景には、収入の減少や支出の増加、社会的孤立などで生活がひっ迫している世帯が増加していることがあります。以前は生活保護を受給するまで相談に来ない人が多かったのですが、生活保護受給に至る前から支援することがこの法律の目的です。

研修の内容は大きく3つに整理できます。

一つめは「相談者との関係づくり」でした。相談者と一緒に考え、最大限の力を引き出し、動機付けを高めることです。相談者を説得するのではなく、納得して家計管理ができるように信頼関係づくりが大事です。「相談者ができることを伸ばす」「利用できる制度を知ってもらう」「困ったら早く頼ってもらう」「困りごとを共有する」「行うことを役割分担する」「具体的な行動を決める」などです。

二つめは「家計管理の手法」で、家計の問題点を把握するために家計を見える化することから始めます。過去の支出から家計を洗い出し、現在の家計の把握を支援し、家計収支のバランス、優先順位、ライフプランを掘り下げます。相談者が大事にする項目を優先しながら、一緒に考えることが狙いです。

相談者が何を大切にして生活しているのかを理解し、それを優先することで相談者の意欲を引き出すポイントがつかめます。生活を守るために活用できる社会保障制度の知識が家計管理には不可欠となります。

支援者との連携が大事

三つめは「支援者との連携」ですが、これはとても重要です。相談者が対象となる制度がないかを調べ、相談者と行政の担当課に同行し、情報収集を手伝ったり、担当課への説明を助言します。相談者が孤立しないように関係者と連携し、その地域にはどのような支援体制や制度があるのかを調べます。

家計改善支援では、家計の安定にはどのような支援を利用するのがよいか、関係機関と連携するためには家計に関するどのような資料があればよいのか―などに対応します。講師は、家計改善支援に当たっては、行動の「結果」だけではなく「経過」を見ることが大切と強調していました。そのヒントとなる「行動分析学」を学ぶことができました。(消費生活アドバイザー)

夏の高校野球茨城大会開幕 91校84チームが入場行進

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優勝旗をもって入場行進する昨年の優勝校、霞ケ浦高校。今年からプラカードは自校の部員またはマネージャーが持って先導した

第107回全国高校野球茨城大会の開会式が5日、水戸市のノーブルホームスタジアム水戸で開かれ、三つの連合チームを含む91校84チームが入場行進し、熱い戦いが幕を開けた。今年から、開会式の入場行進で長年にわたりプラカードを持ち選手を先導してきた水戸女子高校の生徒に代わって、自校のマネージャーまたは部員がプラカードを持ち入場した。

開会式は午前9時から行われた。大洗高校マーチングバンド部ブルーホークスの演奏が響き渡ると、スタンドからは大きな拍手と歓声が沸き起こった。

開会式で元気に入場行進する高校球児たち

初めてプラカードを持ち入場行進した土浦湖北高校マネージャーの3年、佐久間望さんは「人生で1度きりの経験が出来てとてもうれしい。緊張せずにいつもの練習通りに出来た」と微笑んだ。

開会式で県高校野球連盟の深谷靖会長は「皆のひたむきな姿勢、仲間を思いやる心、真剣に野球に取り組む姿は観戦する側にとっても学ぶことが多い。皆さんが流す汗と涙の一つひとつが希望や感動をもたらしている。自分を信じ、仲間を信じ、悔いのないプレーを存分に発揮して下さい。この大会が皆さんの今後の人生の誇りとなるよう心からの健闘をお祈りします」とあいさつした。

選手宣誓をする日立工業の青山海翔主将

選手宣誓をした日立工業高校の青山海翔主将は「年を追うごとに暑くなる夏をさらに暑くするため、今、僕たちはこの場所に来ている。試合をするからには必ず勝ち負けがあり、半数近くのチームの3年生は初戦で引退を迎えることになる。しかしそれをむなしいと感じる選手はこの場所には1人もいない。今日まで大好きな野球をやってこられたことに喜びと感謝の念でいっぱい」と述べ宣誓した。

開会式の司会進行は土浦三高3年の斎藤陽奈多さんと牛久栄進高校3年の弘中葵さんが務めた。斎藤さんは「緊張を感じるよりもずっと楽しくやれた。全員に届くようにハキハキと出来た」、弘中さんは「楽しかった。会場の雰囲気にのみ込まれそうになったが自分の学校の行進を見て笑顔でやれた」と2人とも満足した表情で話し「全員が全力を出し切り、悔いの無い終わり方をしてほしい」と高校球児に熱いエールを送った。

司会進行をする土浦三高の斎藤陽奈多さん(左)と牛久栄進高の弘中葵さん 

連覇を目指す昨年の覇者、霞ケ浦高校の鹿又嵩翔主将は「球場に着くなり夏の大会の雰囲気で、緊張感を感じる。チーム全員が甲子園という舞台に戻って野球をやりたいという思いがあるので、連覇して、あこがれの舞台に戻って甲子園で優勝したい」と意気込みを語った。

優勝旗の返還をする昨年の覇者、霞ケ浦の鹿又嵩翔主将

昨年、決勝で霞ケ浦に敗れ初優勝を逃したつくば秀英の吉田侑真主将は「自分たち3年生は2年半やってきて最後の大会なので、昨年の悔しさも含めてこれまでやってきたことを全部出し切る」と力強く語った。

試合が順調に進めば決勝は26日午前10時からノーブルホーム水戸で行われる。(高橋浩一)

県「学級増必要な状況でない」 竹園高2学級増求め つくば市議長、意見書手渡す 

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庄司一裕県教育庁学校教育部長に意見書を手渡す黒田健祐つくば市議会議長(左)=4日、県庁

つくば市議会が6月定例会議で、県立竹園高校の募集定員を8学級から10学級に増やすことを知事に求める意見書を全会一致で可決したことを受けて(6月27日付)、黒田健祐市議会議長らは4日、県庁を訪れ、庄司一裕県教育庁学校教育部長に意見書を手渡した。これに対し県高校教育課高校教育改革推進室の片見徳太郎室長は「学級増が必要といえる状況ではない」と話し、竹園高の学級増に否定的な見解を示した。

片見室長は「県全体で5年後までに中学卒業者が2000人減少し、10年後までに5600人を超える減少が見込まれている。つくば市は2030年まで生徒数増が見込まれていることを承知しているが、県立高校改革プランを策定した際、子供たちにどのくらいの通学時間なら大丈夫かと聞いたところ、一番多かったのが1時間程度だった。つくば市周辺地域では、つくば市の増加分以上に生徒数が減少すると推計している(24年10月24日付)。今年度はつくばサイエンス高校に普通科を設置し大学進学を打ち出して、志をもった中学生にたくさん入ってきていただいたが、サイエンス高校と筑波高校併せてまだ117人の欠員がある。県としてはサイエンス高校と筑波高校の欠員解消を中心に取り組んでおり、学級増が必要といえる状況ではない)と話した。

「落としどころ見いだしたい」

4日は、つくば市議会の意見書提出と併せて、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表が、同じ竹園高校の2学級増を求める要望書を手渡した。ほかに、篠塚英司つくば市副市長、つくば市選出の鈴木将、山本美和、うののぶこ、ヘイズ・ジョン県議4人らが同席した。

黒田議長は「(2013年に県立並木高校が閉校し並木中等教育学校に移行した後の)10年ほど前から『ちょうどいい県立高校の受け皿がない』といった声が出て、ここ最近、切実な声が大きくなっている。つくば市の県立高校は(中学卒業者数で比較し)水戸市の3分の1しかないというデータもある。市内には小中学校がたくさん新設されているが高校はそのまま。教育環境の充実は重要なこと」だなどと話し、理解を求めた。

これに対し県の庄司部長は「貴重なご意見としてお受けさせていただきたい」などと答えるにとどまった。

意見交換の席で、考える会の片岡代表は「(中高一貫により)土浦一高が(高校入試の募集枠が)8学級から4学級になって1年目の2024年は、県立高校志願者の波が土浦二高と竹園高に行き、両校とも志願者が100人以上オーバーした。2年目の25年は牛久栄進高校の志願者が137人オーバーになった。この波は2026年にどこに向かうのか。受け皿はあるのか」と迫り「県立高校改革プランに沿って学級増をやってほしい。オールつくばの願いを受け止めてほしい」と要望した。

同席した県議からは「子供たちのために何ができるか、ぶつかり合いながらも落としどころを見いだしていきたい」(山本県議)などの意見が出された。(鈴木宏子)

二十四節季と虫のはなし《続・平熱日記》182

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】夏草の生い茂る季節となり、件(くだん)の打ちっぱなしゴルフ場の草刈りに出かける。ついでにナラ枯れの木を数本伐る(確実にナラ枯れは進行している)。そのうちの1本は直径60センチの大きなクヌギで、確か一昨年あたりはカブトムシが群がっていたのを見たのだけれども、かわいそうに新芽もつけずに立ち枯れてしまった。

開けた斜面に立っていたので、伐り倒すのはそう大変ではなかったが、このクヌギの皮一枚下には恐らくカミキリムシの幼虫がはびこっていて、玉切りにした幹から何とも言えない「ワシワシ…」という幼虫のはみ音らしきものが聞こえ、それを割って薪(まき)にして積んでいくと、不気味な音のする壁となった(この幼虫は県が指定している特定外来種ではないようだ)。

しかし、一方では世界中で昆虫がどんどん減っていて、例えばミツバチの減少で草木が受粉できないで困っているとか。とはいえ、我が家では今年も軒下にテニスボールほどのスズメバチの巣を発見したので、人間様のご都合で叩き落した。多分周りはツルツルしたサイディングのお宅ばかりなので、木造の我が家の軒下は巣をかけやすいのだろう。

昔の人は(中国の人は)小さな動く生き物は大ざっぱに虫としたようだ。トカゲやコウモリも虫偏(むしへん)だし、虹も小さな虫の仕業だと思っていたらしい。

最近は聞かなくなったが、赤ちゃんが泣いているのは疳(かん)の虫のせいだなんて言っていたし、虫の居所が悪いとか、目に見えないものの犯人は虫ということにしたのだろう。というのも、パクの目の周りが急に赤くなって医者に連れて行ったらアレルギーだと言われた。飲み薬と塗り薬でよくなったが、昔だったらアレルギーも虫の仕業だと思われたに違いないと思った。

カエルも虫偏?

平熱日記の掲載が月に一度になった。隔週の寄稿が長く習慣になっていたせいか、せっかちな私はあまり早く原稿を書いてしまうと、掲載されるころには季節も世の中の話題も変わっていてやや戸惑っている。

そういえば、2週間をひとつの区切りとする「二十四節季」というのがある(これも大陸経由)ことを思い出した。今まであまり気にしたことはなかったけれども、2週間という長さは何となくひと区切りになる「ちょうどいい周期」なのかもしれない。してみると、草が勢いよく伸び始めたとか、蜂が巣をかけたとかというのは五日毎の七十二候に当たるわけで、はて、私は知らぬうちにこのペースで絵を描いているような気もしてきた。

農作業とも深いつながりのある二十四節季。ひと月前には備蓄米を喜々として手にする人々の画像が流れていたが、よくよく考えてみると米もガソリンも高いから怒っているのではなくて、本来は安いはずのものが高く売られていることに人々の腹の虫は収まらないのだと思う。

パクとの散歩道にある田んぼは、今年とうとう田植えをしまずじまいだ。雨の後などはケチャダンスのようにカエルの大合唱だけが勢いよく響いている。「コメ、カエル? カワズ? ケロケロ…」。カエルも虫偏だな…。(画家)

筑波実験植物園で倒木30本超 1日、35メートルの突風で被害

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幹から折れたモミの前に立つ遊川園長=4日午後、つくば市天久保、国立科学博物館 筑波実験植物園

ダウンバーストかガストフロント 水戸気象台

つくば市が豪雨や雷に見舞われた1日午後、同市柴崎付近で突風が発生した。水戸地方気象台は3日、現地調査を実施し、4日、突風について、ダウンバーストまたはガストフロントの可能性が高いと発表した。突風の強さは秒速約35メートルだったと推定されるという。

発表によると、1日午後4時30分ごろ同市柴崎付近で、豪雨やひょうに伴って突風が発生し、木造住宅の損壊、作業用足場の損壊、倒木などの被害が発生した。同市天久保の筑波実験植物園では樹木30本以上が倒れたり折れたりした。

ダウンバーストは積乱雲から吹き降ろす下降気流が地表に衝突して水平に吹きだす激しい空気の流れ。ガストフロントは積乱雲の下で形成された冷たく重い空気の塊が、重みによって、温かく軽い空気の側に流れ出すことによって発生する空気の流れ。柴崎付近の被害は面的に発生し、突風の強さは、0~5まで6段階で評価する「日本版改良藤田スケール」で、最も小さい0階級(JEF0)という。

全て東から西に倒れる

つくば市天久保、国立科学博物館 筑波実験植物園の遊川知久園長によると、雨が降り始めたのは1日午後4時30分ごろ。瞬く間に激しさを増す雨が窓を打ちつけ、建物全体が揺れるような落雷の音が響き渡ったという。同施設内の研究管理棟にいた広報の久保田美咲さんは「全く外に出られないくらいの大雨で、あっという間に屋外が川のようになっていた。帰れないかと思った」と話す。その後、午後5時15分ごろまでに雨は小降りになった。

園内では展示室の一部でガラス窓が割れ、敷地内の東側周辺部を中心に、高さ15メートルほどのモミや、コウヤマキなど30本以上が根本から倒れたり、幹が割れるなどしているのが確認された。折れた木は全て、東から西に向けて倒れていた。

遊川園長は、「台風などで1、2本の木が折れることはあったが、一度にこれだけ倒れたのは初めてのこと。敷地に隣接する住宅に倒れなかったのは風向きが幸いした」とし、「来場者出入りのある主だった部分では倒壊した木々の除去は進んでいる。遊歩道から離れた箇所についてはこれから順次、除去作業を進めていく」と話す。

同市消防本部によると1日午後は、突風の被害やけがなどによる救急車や消防車などの出動要請は無かったという。市危機管理課によると柴崎で2カ所、金田、玉取、今鹿嶋でそれぞれ1カ所倒木の被害があった。市公園・施設課によると筑波実験植物園近くの山鳩公園(同市天久保)のほか、流星台北公園(柴崎)、松見公園(天久保)、天久保公園(同)で各1本、倒木の被害があり、4日までに撤去した。(鈴木宏子、柴田大輔)

筑波実験植物園近くの山鳩公園で根元から倒れた樹木=4日午前11時ごろ、つくば市天久保

常総だから勝たなきゃではなく歴史つくるチームに 島田直也監督【高校野球展望’25】㊦

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島田直也監督=常総学院野球場

県内強豪校の名監督インタビュー最終回は、常総学院の島田直也監督。第107回高校野球選手権茨城大会開幕を控え、チームの仕上がりや手応えをお聞きした。

低めの投げ分けがうまい

―今年のチームについて教えてください。昨年と比較してどのような特徴を持っていますか?

島田 昨年は投手力、打撃力、守備力ともに個々の力が高かったのですが、今年は全体的に力が落ちます。投手も野手も、調子の良い選手を見極めながら起用しています。

エース右腕の小澤頼人投手

―投打の中心となる小澤頼人投手についてですが、秋は最速145キロをマークしながら、春は球速がやや落ちていた印象です。

島田 球速を求めすぎるとフォームが崩れ、コントロールが乱れてしまいます。春の大会ではその点を意識して、あえてコントロール重視で投げていたと思います。土台ができれば球速は自然と戻るもの。鋭いキレのあるボールを意識してほしいと伝えています。

―春の大会ではインコースとアウトコースの投げ分けが非常に効果的に見えました。

島田 そこが彼の持ち味です。低めへの投げ分けが非常にうまい。関東大会では少し高めに浮いて打たれましたが、夏に向けては修正して臨みます。

俊足の佐藤剛希捕手

―打撃陣では佐藤剛希選手と柳光璃青選手が印象的でした。

島田 調子を落とした選手がいる中で、この2人がしっかりとカバーしてくれました。小澤と佐藤剛希は昨年メンバー入りしており、今年の中心選手です。柳光も力がありましたがけがでメンバー入りできず、今年こそはチームを引っ張ってくれると期待しています。

次の代のチームつくる難しさ実感

若手の育成と課題

―春の県大会では1年生の出場も目立ちました。

島田 将来を見据えて、若い選手に経験を積ませました。上級生にも刺激になったと思います。

―秋・春の戦いを経て見えてきた課題は?

島田 実力ある代の次にチームをつくる難しさを改めて実感しました。監督1年目だった「大川・秋本・田邊世代」のあとも、結果が出なかった。今回も似たような状況で、最初は秋に勝てる気がしませんでした。ですが、そこからチームがまとまり、秋に4強まで進出できたのは大きかったですね。

―春は県大会3連覇を達成されました。

島田 3年生たちは1年時から優勝の景色しか見ていません。「3連覇を君たちの代で止めるのか」とプレッシャーをかけながら臨みました。達成できたことは大きな自信になると思います。

―関東大会では東海大相模に大敗。受け止めを教えてください。

島田 強豪校との対戦で悔しさを経験できたことは、選手たちにとってプラスでした。練習に対する姿勢も変わってきたと感じています。

采配を振るう島田直也監督(ベンチ中央)

自分の強みアピールしていた

―夏の組み合わせ抽選についていかがですか。

島田 Aシードでしたので抽選はありませんでしたが、会場で結果を見ていて童心に戻りました。「さあ、やるぞ」と気持ちが引き締まりました。

―これまで出会った指導者の中で、影響を受けた方はいますか?

島田 プロ4球団、独立リーグでも8年やってきましたが、特定の誰かというより、出会ってきた多くの指導者から良い部分を吸収してきたと感じています。

―ご自身の高校時代を振り返って、どんな選手でしたか?

島田 「絶対負けない」という強い気持ちを持っていました。与えられたチャンスは必ずものにするつもりで、自分の強み(肩・足)をとにかくアピールしていました。

―今の選手たちとの違いは?

島田 最近の選手は「どうしたら使ってもらえるか」を考える力が弱く、自主練でも好きなバッティングばかり。私は「守備や走塁、バントでベンチ入りできる」と伝えているのですが、なかなか行動に移す選手が少ない。逆に、過去には自己プロデュース力でベンチ入りをつかんだ選手もいました。社会に出ても大事な力ですので、今のうちから身につけてほしいです。

「常総学院の使命」転換点に

―常総学院は夏の甲子園から9年遠ざかっています。そのプレッシャーは?

島田 「常総は勝って当然」という空気が、選手にとってプレッシャーになっていると感じています。これまでは「気にするな」と言ってきましたが、今年は「楽しもう」という方向に意識を変えたいと思っています。

―「楽しむ」とは、どのような意味ですか?

島田 緊張感の中での本気の楽しさです。その感覚があれば自然と力が出せると考えています。

―センバツよりも「夏」にこだわりがあるということでしょうか。

島田 やはり「夏の常総」が周囲からの評価にも直結します。「甲子園で勝つ」ではなく、まずは「茨城を勝ち抜く」。そこに焦点を置いています。

―最後に、今年のチームに期待することを教えてください。

島田 「常総だから勝たなきゃ」ではなく、「自分たちが歴史をつくる」という意識を持って戦ってほしいです。甲子園出場はゴールではなく、その過程で得る経験こそが大きな財産。今年は、常総学院としても大きな“転換点”になる予感がしています。

【取材後記】過去4年間、夏を前にしたタイミングで島田監督に話をうかがってきたが、今年のインタビューではこれまでと少し違う空気を感じた。かつては「今年こそ」という悲壮感がどこかに漂っていたが、今回はむしろ“開き直り”にも似た落ち着きと、確かな覚悟が伝わってきた。選手たちに求めるのは「結果」ではなく「本気の中で楽しむ」こと。そこに、勝ち負けを超えた野球の本質がある。名門・常総学院の重圧を背負いながらも、今あるチームの可能性を信じて進む監督の姿は、頼もしくもあり、まさに“歴史をつくる”旅の先頭に立つ存在だった。今年こそ、夏の常総に新たな物語が刻まれるかもしれない。その瞬間の目撃者でありたい。素直に、そう思わせてくれる取材だった。(伊達康)

終わり

世界が壊れた日 その1《看取り医者は見た!》42

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写真は筆者

【コラム・平野国美】私たちの社会には、「普通」という暗黙のルールがあります。「空気」を読み、周りに合わせることが求められ、そこから外れる人は「変わっている」「融通が利かない」と見なされがちです。しかし、もし社会の「普通」という前提自体が崩れ落ちてしまったら、一体何が起きるでしょうか。

2011年3月11日に起きた東日本大震災。被災地の町の図書館も例外ではなく、すさまじい揺れで本棚は倒れ、蔵書が床一面に散乱する光景が広がりました。翌朝、出勤したスタッフは言葉を失い、立ち尽くすばかりでした。「どこから手を付ければ…」。誰もが絶望と無力感にさいなまれ、思考を停止していたのです。

その時が止まったような空間に、カツ、カツと規則正しい足音が響きます。定刻通りに出勤してきたKさんです。彼は普段、「仕事は正確だが冗談が通じない」「空気が読めず人を戸惑わせる」と評される、少し不思議な存在でした。

この日も、Kさんはいつもと寸分違わぬ「いつも通り」でした。茫然(ぼうぜん)自失の同僚たちを一瞥(いちべつ)しただけで、散乱した本の山にまっすぐ向かいます。そして静かに一冊の本を拾うと、汚れを払い、記憶の中にある完璧な配置図通り、本来あるべき棚にそっと差し込みました。一冊、また一冊…。

Kさんは、目の前の惨状など存在しないかのように、淡々と本を元の場所に戻し続けます。周りの混乱した空気とは完全に異質なその姿。「空気を読まない」と評された彼の特性が、この極限状況において、誰にも真似できない「不動の精神」として静かな光を放ち始めた瞬間でした。その規則正しい作業は、まるで正確に時を刻む振り子のようでした。

不思議なことに、その姿を見ているうちに、パニックに陥っていたスタッフたちの心は少しずつ凪いでいきます。「…そうだ、こうしていても始まらない」。誰かがつぶやくと、1人、また1人と魔法が解けたように動き出し、Kさんの隣で本を拾い始めたのです。

Kさんの「いつも通り」が、崩壊した世界の中で、秩序を取り戻すための最初の歯車となりました。作業は1日中続きました。しかし夕方5時に終業チャイムが鳴ると、Kさんはぴたりと手を止めます。そして、まだ山のように残る本には目もくれず、「お先に失礼いたします」と一礼し、いつも通りの定時に帰って行ったのです。

輝いた「異質な人間の存在」

一見、奇妙に見える彼の行動。しかし、この一連の出来事は、私たちが当たり前だと思う「普通」や「協調性」という物差しを、根底から揺さぶるものでした。彼の行動の裏には、一体何があったのでしょうか。

この話の中にダイバーシティの概念があります。人間の集団の中には、気質や行動パターンに多様性が存在します。町の図書館の中にも異質な人間が存在したのです。同じタイプの人間ばかりでは、同じストレスがかけられた場合、その集団が全滅する可能性があります。Kさんの性格・特性は「いつも通り」でない世界で輝いたのです。(訪問診療医師)

東田旺洋、兵藤秋穂 両選手にエール 関彰商事 4日から日本陸上選手権

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ガッツポーズをとる(左から)やり投げの兵藤秋穂選手と、短距離の東田旺洋選手=つくば市二の宮、関彰商事つくばオフィス

第109回日本陸上競技選手権が4日開幕するのを前に、関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長) 所属でいずれも筑波大出身の東田旺洋選手(29)と兵藤秋穂選手(26)の壮行会が3日、同社つくばオフィスで催され、社員約100人がエールを送った。

東田選手は男子100メートルに、兵藤選手はやり投げに出場する。同選手権は6日まで国立競技場で開催され、9月に東京で開かれる2025世界陸上につながる重要な大会となる。

一生懸命走ることだけ 東田選手

東田選手は昨年開かれたパリ五輪に出場、今年4月にはアジア陸上競技選手権に出場した。昨年の日本選手権では2位になっている。奈良県出身、筑波大学卒、同大学院を修了し、関彰商事ではヒューマンケア部に所属する。自己ベストは100メートル10秒10。

「この1年で若い選手が台頭し、現在年間ランキングは国内10位なので、ともかく決勝に残ることが重要。準決勝に焦点を当てている。出来ることは一生懸命走ることだけ」と意気込みを話す。

自己新記録目指す 兵藤選手

兵藤選手は2023年、日本インカレ優勝。持ち味は、力強い振り切りと、そこから放たれる鋭く勢いのあるやりの飛行だ。宮城県出身、筑波大学卒、同大学院修了、関彰商事ではライフサイエンス事業企画室に所属する。やり投げの自己ベストは56メートル16。

「やり投げは北口榛花選手がオリンピックで金メダルをとったので、注目を集める種目となっている。昨年は12位に終わってしまって残念だった。今年は十分練習を積むことができたので、入賞と自己新記録を目指して頑張りたい」とコメントした。

壮行会で関社長は「社員一同が応援している。2人にはぜひ頑張って、9月に東京で開催される世界陸上に選ばれてほしい」と激励した。さらに同社所属の高橋理恵子選手がスウェーデン・マルモで開催されたゴールボールの大会で銀メダルをとったこと、同社野球部が天皇杯茨城県大会で決勝に進んだことなどの報告もあった。(榎田智司)

◆日本陸上競技選手権大会スケジュール▽男子100メートル予選は4日午後3時35分~、準決勝は同午後8時25分~、決勝は5日午後6時30分~▽やり投げ決勝は4日午後5時35分~。

応援されるチーム、人の心動かす野球目指して 土浦日大 小菅監督【高校野球展望’25】㊥

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小菅勲監督

第107回⾼校野球選⼿権茨城⼤会開幕まであと2日。大会を前に、強豪校の名監督インタビュー2回目は、土浦日大の小菅勲監督にお聞きした。

団子状態

ーチームの状況を教えてください。

小菅 正直に言えば、今の時点で完成度は高くありません。欠けている部分も多く、まだまだ課題の多いチームです。

ただ、高校野球は「発展途上人」の集まりです。大会に入ってから成長してくれればという期待がありますし、「これでいけるぞ」という手応えも少しずつ感じています。優勝には足りないピースもありますが、それを大会中に埋めていきたいと思っています。

──茨城全体のレベルについて、今年は突出したチームがいないと思いますが。

小菅 その通りで、まさに「団子状態」です。だからこそどのチームにもチャンスがあるとも言えます。

完璧に抑えられた

ー春に準々決勝で常総学院に3対7で敗れました。反省点や手応え、対策など教えてください。

小菅 まず良かった点は、前半が競り合いになったことです。打撃では事前に分析したデータに基づいて狙い打ちができていました。

一方で、守備は機動力を使われた際に対応できなかったことが反省点です。データに出ないような「余白の部分」への対応力も足りませんでした。ここをどうアプローチしていくかが課題ですね。

ー相手ピッチャーの小澤頼人投手は、対戦してみてどうでしたか?

小菅 手強いピッチャーでした。ゾーンにしっかり投げ込む力があり、変化球でもカウントが取れるタイプです。うちの打線も前半はよく対応していましたが、7回以降は完璧に抑えられてしまいました。そこをどう攻略するかが、今後の課題だと感じています。

戦況を見つめる小菅監督(右端)

素材的に差はない

─打撃陣の調子はいかがでしょうか。甲子園4強入りした2年前の世代と比べてどうでしょう。

小菅 素材的にそれほど差はありません。ただ2年前の世代は課題に向き合う姿勢や思考、行動が非常に優れていました。今年の選手たちはその点でややアプローチ不足があると感じています。

理想は「波状攻撃」ができる打線です。1、2番がダメでも3、4番が、そこがダメでも5、6番がカバーする。春の時点ではそこまでできていませんでしたが、今は徐々にその形に近づいてきています。

─投手について教えてください。

小菅 エースは右腕の永井です。際立ったボールを投げるタイプではありませんが、「打たせて取る」ことを理解し、自分の投球スタイルを確立しつつあります。守備との信頼関係も生まれ、テンポ良く投げられるようになってきました。非常に頼もしい存在になりましたね。

エース右腕の永井柊帆

徐々に自覚芽生え

─1年生は甲子園4強を見て進路を決めた世代ですね。入部希望者は増えましたか?

小菅 ありがたいことに問い合わせは例年の2倍ほどありました。やはり甲子園効果は大きいです。

─甲子園4強世代はダブルキャプテン制でしたが、今年は?

小菅 今年は梶野悠仁がキャプテンです。新チーム発足時は別の選手に任せていたのですが、徐々に梶野の自覚が芽生えて言動がリーダーらしくなり、キャプテンを交代しました。年によって適した体制を選ぶようにしています。

キャプテンで中軸を務める梶野悠仁

負ける要因つぶすこと再認識

─春の敗戦から、チームはどう変わりましたか?

小菅 春は「取れるアウトをしっかり取る」という基本が徹底できていませんでした。今はまずそれを完璧にしようと取り組んでいます。負けない野球をするには、まず「負ける要因」をつぶすことが大事だと再認識できました。守備への意識が大きく変わったと思います。また、常総に負けたことで「夏こそは」という雰囲気がより一層強くなりました。

OBの自己分析を共有

──大学野球でOBが活躍していますね。

小菅 亜細亜大の芹澤優仁(4年)は東都大学リーグで首位打者とベストナイン。國學院大の藤本士生(2年)は防御率4位。法政大の小森勇凛(2年)は慶応大から初勝利。

そのほか、明治学院大の太刀川幸輝(2年)、常磐大の川井康晟(3年)もそれぞれのリーグで結果を残してくれています。芹澤と太刀川には、なぜ活躍できたか自己分析を5つずつ出してもらい、チームと共有しました。選手たちにも好評でした。

脚本家のように

─夏の大会の土浦日大の組み合わせゾーンは「死のゾーン」とも言われています。

小菅 まさに「一戦必勝」。厳しいゾーンですが、戦いながらチームは強くなっていくもの。決勝戦の頃にはまったく別のチームになっているはずです。

本番までに「負けにくい材料」をさらに整備し、仕上げていく。そして大会中も進化していく選手を見守っていく。監督として脚本家のように準備を進めていきます。

心ひきつける存在に

─最後に、応援してくれるファンや地域の方々、OBの皆さんにメッセージをお願いします。

小菅 選手たちには常に「人気のある選手であれ」と伝えています。ここで言う「人気」とは、人の心をひきつける存在であること。

ガッツあるプレー、笑顔、明るさ─選手それぞれの「自分らしさ」が人の気を引き寄せるのだと思います。感謝の念を持ちつつ、自分を押し殺さず、のびのびと自然体でプレーしてほしい。その姿が、きっと見る人の心を動かすはずです。

全力プレーで心を動かす試合を届けられるよう、「応援されるチーム」を目指していきます。高校野球ファンの皆さま、ぜひ球場に足を運んでいただき、熱い声援をよろしくお願いいたします。

【取材後記】春の敗戦を経て、どこか張りつめたような、それでいて希望に満ちた空気がチーム全体に漂っていたのが印象的だった。小菅監督の言葉は一つひとつに実感がこもっており、単なる反省ではなく、「何を得て、どう変わるか」にフォーカスが当たっていたことが、特に心に残った。「取れるアウトを確実に取る」─言葉にすれば当たり前のようだが、春にできなかったことを素直に認め、そこから逃げずに積み上げ直していく姿勢に、このチームの芯の強さを感じた。夏は“いける”、そう語る監督の眼差しはどこまでも冷静で、それでいてどこか楽しそうでもあった。

そして、今年のチームを語る上で欠かせないのが、キャプテン・梶野の存在だ。新チーム発足当初は目立たなかったという彼が、今では自然と声を上げ、チームを導く姿に変わったというエピソードは、まさに今のチームの成長そのものだろう。与えられた立場ではなく、自らの意思でリーダーシップを育ててきたその過程に、大きな可能性を感じた。

取材を終えて強く思ったのは、「このチームはまだ完成していない」ことこそが、最大の魅力なのだということ。大会を通してどのように進化していくのか──まさに“成長の物語”が始まろうとしている。その主役たちがどんな姿を見せてくれるのか、夏の開幕が今から楽しみでならない。(伊達康)

お好み焼きとジャガイモ、それからビール③《ことばのおはなし》83

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】河岸を変えようと移動した店で、彼女からかわいらしい包みを渡された。共通の台湾の旧友(本コラムに登場)の結婚式のお祝いをわざわざ届けてくれたのだ。

どうやらぎりぎりまで私を招待しようかどうか迷ってくれていたらしい。呼んでくれれば駆けつけたのに、と思ったものの、結婚式の招待というのはいろいろと気をつかうものだ。海外となればなおさらだ。実際に足を運んだわけでもないのに参列者のお祝いの品を届けてくれたことに感謝しなければなるまい。

これはめでたいと再度乾杯をする。それにしても、当時は中学生だった20年来の友人たちが皆それぞれの環境で家庭を持つに至ったのはなんとも感慨深いものがある。

本コラムの上に載っているのがその時頂いた品の一つで、「囍」という喜が二つ並んだ漢字の書かれたコースターである。二重の喜び(ダブルハピネス)を意味する漢字で、結婚式にはぴったりのシンボルである。手書きのメッセージカードを読みながら、しばし思い出にひたった。

乾杯! 乾杯!

めでたいことと言えば、と私が我が家にもう一人家族が増えることを報告すると、「これは喜が二つじゃ足りないね」ともう一度乾杯になった。「実はまだ名前が決まってなくて」と手元の紙にいくつか候補の名前を書いて見せる。こういう時に日本語の旧漢字に近い文字を使用する台湾の友人は心強いのだ。

この漢字は台湾なら画数増えるね、意味としてはこうで名前にするなら…と丁寧に説明してもらう。産まれてきた我が子が大きくなったら、おまえさんの名前はいろんな人の気持ちがこもっているんだよ、と教えてあげねばならない。

いつか私のこどもたちが大きくなったらドイツに留学させるとよいよ、と2人は言った。冗談かと思ったら本気らしい。ご縁というのは本当に不思議なものだ。私たちのかけがえのない友情とこどもたちの未来に、もう一度乾杯した(言語研究者)

武蔵美卒業生23人 個性あふれる98点一堂に 県つくば美術館

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武蔵美校友会茨城⽀部展の様子=県つくば美術館

校友会茨城⽀部展

武蔵野美術大学(東京都小平市)を卒業した県在住者及び出身者で構成する同大校友会第22回茨城支部展が6日まで、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれ、会員23人が制作した油彩、日本画、水彩、工芸など98点の個性あふれる作品が展示されている。

同大を卒業した県在住者及び県出身者は約1000人おり、そのうち約30人が会員となっている。支部展は毎年開催されている。

黒川達也さんと出展作品の「ジュンヌフィーユ」

黒川達也(65)さんは油絵「ジュンヌフィーユ」を出展した。「物語の1ページとして描いた作品。作品は決して完成するものでなく絶えず追及している。また絵を描くのは枠にとららわれない思考が必要で、技術だけで描くものではない」と話す。

黒川さんは、美人画で知られる洋画家の宮永岳彦(1919-1987)最後の弟子で、2016年と18年にしんわ美術展奨励賞を受賞したなどの実績がある。地域の絵画サークルの講師などもしている。「絵描きは目が大事、ある時は科学者、医者であるという観察眼が必要で、絵は装飾品になってはじめて生かされる」と語る。

今年はシーソーをかたどった大谷統一さんの木材作品「繋ぐ」が初展示となった。NEWSつくばコラムニストの川浪せつ子さんは昨年に引き続き、NEWSつくばに連載した「おいしい時間(ご飯は世界を救う)」「洞峰公園Ⅰ、Ⅱ」の水彩画の原画などを出展している。

大谷統一さんの「繋ぐ」

会期中のイベントとして▽5日(土)午後1~3時=「モノづくりワークショップー万華鏡や缶バッジつくり」(参加費500円)▽6日(日)午後1時~2時30分=ギャラリートーク(作家による作品解説)を開催する。(榎田智司)

◆武蔵野美術大学校友会第22回茨城支部展は1日(火)~6日(日)、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは電話090-6923-7747(冨澤さん)へ。

昨夏の主力残るもチームを再編 霞ケ浦 高橋祐二監督【高校野球展望’25】㊤

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高橋祐二監督

第107回高校野球選手権茨城大会が5日開幕する。今年も、強豪の霞ケ浦、土浦日大、常総学院の名監督3人にインタビューした。第一弾は昨夏の茨城大会を制し、甲子園で念願の初勝利を挙げた霞ケ浦高校の高橋祐二監督。注目の指揮官に、新チームの仕上がりや今シーズンへの手応えを語ってもらった。

OBが活躍

ー昨年甲子園で初めて1勝を挙げました。それも相手は名門の智辯和歌山です。この結果、チームや学校、周辺の地域にどのような変化がありましたか。

高橋 中学チームから今までにない数の問い合わせがあります。智辯和歌山に勝つってことはそれだけすごいことなんだと、それくらいのインパクトだったのだろうと思います。

ープロ野球でOBが目覚ましく活躍しています。

高橋 千葉ロッテマリーンズの木村優人が5月にプロ初勝利を挙げ、先日は阪神との交流戦で高校時代にたどり着けなかった甲子園球場で先発を任されました。また、広島東洋カープの遠藤敦志は球速が最速151キロまで上がったそうです。つい先日1軍に呼ばれたものの雨で流れました。また近いうちにチャンスがあるのではないかと思っています。先輩の活躍が後輩たちの刺激になっています。

戦況を見つめる髙橋監督

無駄失点が多い

ー今年のチームの強みをお願いします。

高橋 去年の甲子園メンバーが、ピッチャー、キャッチャー、ショート、センター、レフトと、5人残っています。秋は準優勝になって関東大会に進出しました。一冬越えてその他の選手の成長もあり、ポジションをチェンジするなどチームをつくってきました。

しかしまだ私が求めるレベルまで達していません。特にディフェンス面は正直いって不安な部分が大きいです。無駄な点数を与えない守りの野球がうちの信条なのですが、今年は無駄失点が多い。作戦面でも、勝てるチームの時は監督の意図を選手がよく理解してくれているのですが、今年のチームはちぐはぐなことがあります。大会までには私の考えを浸透させたいと思います。

ー打撃陣の鍵を握る選手は?

高橋 荒木洸史朗と大石健斗を上位に据えていて、この2人が得点に絡んでいけたらと思っていますが、チーム全体として調子が上向きとは言えません。昨年もこの時期に調子が上がってきませんでしたが、かなり練習で追い込んで大会を迎え、勝ち上がるたびに奮発して頑張ってくれて甲子園の切符を手にすることができました。今年も同じように、大会を通して調子が上がってきてくれたらと思います。

打の中心、大石健斗

2番手に伸びてもらうこと必須条件

ーエース左腕の市村才樹選手はどうですか?

高橋 市村は体重が増えてスピードもアップしましたが、スピードを追い求めて全体のバランスを崩して思うようにいかない時がありました。まさに春の県大会で明秀学園日立に痛打されました。

その後、やはりスピードではなく、本来の持ち味であるボールのキレを意識するようになり、崩していたバランスが整ってきました。最近では県外の強豪校とオープン戦をやってもまとまった投球ができています。

エース左腕の市村才樹

ー2番手投手に名前が挙がるのは?

高橋 右腕の稲山幸汰です。昨年うちが甲子園に行けたのは、調子が悪いときも2番手として使い続けていた眞仲が、県大会から甲子園にかけて覚醒して救世主になったことが大きな理由の一つです。今年うちが勝ち上がるためには、稲山にもっともっと伸びてもらうことが必須条件です。眞仲のような覚醒を期待して送り出したいと思います。

新キャプテン誕生

ー秋と春の戦いから、夏に向けて何か変えたことなどありましたら教えてください。

高橋 春を終え合宿を行う中でスタッフと相談し、夏には新しいキャプテンで臨むことになり、昨年の甲子園を経験した鹿又嵩翔をキャプテンに指名しました。まだキャプテン就任から2~3週間しか経っていないのですが、彼の持ち味を発揮してチームをうまく回してくれていると感じます。

ー近年、東北地方出身の選手が多いですが、理由は?

高橋 コーチでOBの白川拓海先生が仙台大学出身で、東北地方の野球指導者とつながりがあって、ありがたいことにうちを薦めてくれることがあります。最近では秋田県や山形県出身の選手がうちの門を叩いてくれています。

一つも気が抜けない

ー今年の茨城の勢力図はどのように見ていますか?

高橋 春に優勝した常総学院が頭一つ抜けた存在だと思います。

ー組み合わせの所感をお聞かせください。

高橋 Aシードのつくば秀英はもちろん、Cシードの土浦日大にDシードの守谷に加え、ノーシードの鹿島学園や日立一、下妻一、水戸商など、上位常連校がひしめく、一つも気が抜けない厳しいゾーンです。投手陣には頑張ってもらって、打線の奮起を期待するしかありません。

甲子園で二度、三度と

ー最後に、応援してくれるファンや地元の方々へメッセージをお願いします。

高橋 皆様に支えていただき、去年甲子園で初めて校歌を歌うことができました。日本全国の霞ケ浦高校の卒業生2万9000人に、少しでも勇気と元気を与えられたことと、やっぱり応援してくれている地域の方や、霞ケ浦高校のファンの方に、少しでも恩返しができたかなと思っています。

今年も甲子園で一度と言わず、二度、三度と勝って、全国に霞ケ浦高校の校歌を届けたいと思っています。まずは茨城大会で優勝できるよう精一杯戦います。

【取材後記】昨年は良い意味で開き直って大会を迎えた霞ケ浦高校が見事に茨城大会を制し、甲子園で歴史的な1勝を挙げた。一方で、今年は指揮官の言葉からもわかるように、ディフェンス面や戦術の浸透といった点で、チームづくりに難しさを抱えている様子がうかがえる。しかし、昨年もこの時期にはチームの調子が万全とは言えなかった。そこから大会を通して一体感を深め、結果として覚醒した姿は記憶に新しい。今年も夏本番でどのような進化を遂げるのか、引き続き注目していきたい。(伊達康)

愚痴が問題解決を遠ざける《続・気軽にSOS》162

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【コラム・浅井和幸】私が代表理事をしている一般社団法人「LANS」という居住支援組織があります。住宅確保要配慮者=ざっくり表現するとアパートを借りづらい人=を支援する法人です。暴力から避難してきた人、障害者、高齢者、生活困窮者、仕事が続けられず社員寮を出なければならない人、車上生活を止め部屋を探している人などをサポートします。

6月現在、茨城県内では11カ所の法人が県から指定されています。全国では800カ所を超えていると思います。LANSは県第1号指定法人で、7月から8期目を迎えます。自治体や福祉事業者、病院や警察、不動産屋などから依頼を受けたりして、居住支援をしています。現在では10名ほどの要員が支援に当たっています。

支援には必要な知識もあり、勉強しながら進めなければなりません。分からないことがあって当たり前ですし、その時にならないと分からないこともあります。その場合、何らかの支障が出て支援できなくなるので、そこでやっと知らないことを知ります。例えば、インターネットを使った住まいの検索方法、生活保護や障害福祉の手続きなどです。

支援に行き詰まれば(できればその前の行き詰まりそうと感じたとき)、浅井に報告や相談をしてほしいと伝えています。それでも、なかなか相談に来ることが少ないので、こちらから聞いてみて支障が見つかることも多々あります。支援員の皆さんは素直で、ちょっとしたことでも相談したいと考えてはいるようですが、なかなか相談に来ません。浅井が忙しいと思い遠慮しているのでしょうか?

皆で愚痴に共感し慰める

どこで相談が止まっているのか、気づいた点がありました。それは、支援に何かしらの支障が出てきたとき、支援員同士で支援について愚痴を言い、それを共感の気持ちで受け止め、慰めることで話が止まっていることでした。例えば、法律的な問題とか、福祉のシステム的な問題とか、就労するための年齢的な問題とか、〇〇市には部屋の空きがないという不動産屋の話を鵜呑みにして…。

そこで気持ちがすっきりして、解決方法を考えることなく、支援に当たる。気持ちが楽になっているから支障への感受性が鈍くなる。今起きていることは仕方がないと思い、相談から遠ざかるという悪循環が起きていました。

LANSでは月1回、全体会議を開きます。そのとき、支援員に上記のことを挙げ、「愚痴を言って気持ちが楽になっているのではないか。愚痴が出たタイミングが、浅井やこの会議で報告するタイミングだ」と伝えました。一般の生活では愚痴を言うことも大切です。しかし、それで問題解決から遠ざかっているかも知れない―と考えてみるとよいですよ。(精神保健福祉士)