水曜日, 11月 12, 2025
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つくばセンタービルで「ダイ・ハード」 《映画探偵団》45

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【コラム・冠木新市】ジョン・マクティアナン監督の「ダイ・ハード」(1988)が無性に見たくなった。ニューヨーク市警のマクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、クリスマスにロサンゼルスの超高層ビルで働く妻のもとにやって来る。そこで左翼テロリストを装う強盗チームと遭遇し、妻と人質を助けるため、ビル内を這いずり回り、時々ぼやきながらも敵を1人ずつ倒していく。犯人の銃弾で粉々になった窓ガラスを裸足で踏み血だらけになったり、白のランニングシャツが黒くなるまでしぶとく戦う。

そして私は「ダイ・ハード」を見ると、なぜかジョン・フランケンハイマー監督の「大列車作戦」(1964)を思い出してしまう。

パリを占領していたナチスドイツが本国に撤退するにあたり、美術愛好家の将校が、美術館にあるルノワール、ゴーギヤン、ゴッホ、マネ、ピカソなどの名画を列車に積み持ち帰ろうとする。それをフランスの鉄道員ラビッシュ(バート・ランカスター)らは、「たかが絵を守るために」と一度は疑問に思うが、結局は「フランスの誇りのために」と命を賭け、取り戻す行動を開始する。仲間は倒されていくが、ラビッシュは油と汗まみれになりながらも最後まで戦い、絵を取り戻す。

「ダイ・ハード」と「大列車作戦」の主人公はよく似ている。

センター広場にエスカレーターは必要か

6月12日。つくばセンター研究会は講演&シンポジウムを27日に開催することを決めた。テーマは「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」。開催まで2週間しかない。翌日からゲストの交渉とチラシ制作(デザイン・三浦一憲、写真・斎藤さだむ)が始まる。

6月17日。1500枚のチラシが印刷所から届く。早速、メンバーに手分けして配布。

6月18日。私は市役所関係(秘書課、広報戦略課、都市計画課、文化芸術課、文化財課、生涯学習課)にチラシを配布。その後、つくばセンター地区活性化協議会関係者に配布しながら会話を交わし、数々の情報を得た。15時半、研究交流センター内の記者クラブで共同代表の三浦氏と会見(5社が集まる)。

6月19日。各地の地域交流センターを回り、チラシ配布。締めくくりは「まちなかデザイン」。専務に「ぜひ出席を」と参加要請した。

6月27日。台風の進路が変わり、雨の予報ははずれた。参加者は60名(市議8名、県議2名を含む)。エスカレーター賛成派にも呼び掛けたが、参加は少なかった。鵜沢隆先生の講演、加藤研先生と六角美瑠先生の話は好評だった。

参加者の発言から教えられたこともあった。「リニューアルのパブリックコメントは実施されていない」「昨年末のオープンハウスは途中で打ち切られた」などだ。

今回はあえてエスカレーターに焦点を当てたのだが、市の改造計画では、ノバホール横の階段は半分削られてスロープになり、広場の窓ガラスは取り替えられてしまう。さらに、ノバホールの正面玄関の通路は変形し、狭くなる。それらを考えると、イベントの反応がよかったなどと安心してはいられないのだ。

最後まで諦めないしぶとさを学ぶ

だからなのか、「ダイ・ハード」の、ビルを占領する金目当ての犯人たちをやっつけるマクレーンを見て、最後まで諦めないしぶとさを思い起こそうとしたわけだ。

7月3日。つくばセンター研究会に新しく参加した方から「文化財を守ることを訴えるだけでは、文化財とも思っていない人たちとの溝は埋まらないのでは」との問題提起があり、次の企画が検討された。

7月5日。ノバホール前。人々の密集する中で、東京オリンピック聖火リレーが行われた。今後、市も予算を使い、センタービル改造計画のイメージアップをはかっていくことだろう。こちらは、泥くさく地道にセンタービルでの「ダイ・ハード」を続けるつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

不法投棄監視調査員を発足 ワースト県の汚名返上へ

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道路沿いに高く積み上げられたままの残土=つくば市内

近年、ダンプ数台で早朝や夜間などの人目に付きにくい時間帯を狙って、道路沿いや空き地に廃棄物や残土を捨てていく「ゲリラ的不法投棄」が増えている。県は今年度の新規事業として、ゲリラ的不法投棄を取り締まる不法投棄機動調査員を発足させた。不法投棄ワースト県の汚名返上に全力を挙げる。

メンバ―は警察OBを中心とする不法投棄対策室(県廃棄物規制課)の10人の専門チーム。日ごろは県北、県央、鹿行、県南、県西の各県民センターに2人ずつ配置し、昼夜を問わず監視パトロールを実施する。

悪質な事案が確認されたときはチーム一丸となり組織的に対応し、現場確認、追跡調査などを行う不法投棄Gメンになる。

発足の背景には、産業廃棄物の不法投棄や建設残土を許可なく埋め立てる悪質事案の急増がある。

例えば、産業廃棄物の不法投棄は、2006年度から減少傾向にあったが、18年度は101件、19年度は120件、20年度は197件と右肩上がりで急増している。

さらに不適正残土事案では、土砂が廃棄物処理法の規制対象外であるため、県は5000平方メートル以上の埋め立てを許可制に、県内全44市町村は5000平方メートル未満の埋め立てを許可制にする「残土条例」を制定し、不法投棄に監視の目を光らせている。違反事例が摘発された場合は、いずれも懲役か罰金刑が課せられる。

県は機動調査員の専門チームのほか、ドローンを活用した現地監視や、市町村職員への産廃・残土に関わる立ち入り権限の付与、民間警備会社に対する不法投棄監視委託など、官民一体による「摘発監視網」を広げる。(山崎実)

茨城県の不法投棄新規発生件数
年度新規発生件数うちゲリラ的不法投棄全国順位(ワースト)
2006316 2位
2007210 3位
2008245 1位
2009162 2位
2010133 2位
2011136 1位
2012171 1位
2013116 1位
2014134 1位
201597 3位
201689236位
2017772827位
2018101501位
2019120762位
2020197163
全国順位は10トン以上の事案。

「風立ちぬ」考 その1 《遊民通信》20

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【コラム・田口哲郎】

前略

「風立ちぬ」は長らく堀辰雄の小説を指すものでした。しかし、2013年7月にスタジオジブリ制作のアニメ映画「風立ちぬ」が公開されると、どちらの「風立ちぬ」なのか訊(き)かねば分からなくなりました。というよりも宮崎駿氏が最後の長編アニメと宣言した記念碑的作品に意外な題名をつけたので、「風立ちぬ」は知名度を上げ、堀辰雄の名作を忘却の淵から掬(すく)い出した感すらあります。

高橋源一郎氏が指摘していますが、アニメの方を指すのが現代日本では一般的になりつつあると言えるかもしれません。実際、アニメは小説の映画化というわけではないですし、同じ題名でも内容が違うから区別して呼ぶ方がよいかもしれません。そういう意味でアニメ「風立ちぬ」は宮崎駿の「風立ちぬ」です。

アニメは原作と違って八ケ岳山麓のサナトリウムにおける愛の物語ではなく、零戦の設計者堀越二郎の半生が主題となっています。関東大震災から始まり、太平洋戦争に至る社会変動の物々しいうごめきのうちに、美しい飛行機を造りたいと望む堀越二郎の奮闘が描かれます。

この堀越の伝記に堀の「風立ちぬ」と「菜穂子」が組み込まれている。堀越の妻が菜穂子になっていて、物語の舞台は堀越が勤務している三菱内燃機製造がある名古屋です。小説とアニメの内容の違いはこれ以上言いません。ただ、異なる物語がひとつの名に結びつけられるときに現れる奇妙さを看過するわけにはいきません。

高橋氏の言葉を借りましょう。「宮崎駿は、この設計者・堀越二郎の物語を、なぜ、堀辰雄の物語に、『強引に』接続したのだろうか」(「ニッポンの小説・第三部 第十七回『風立ちぬ』を『読む』」)。この謎を解く手掛かりは関東大震災・戦争のようです。

それぞれの「風立ちぬ」

宮崎氏は「文藝春秋」2013年8月号で、「風立ちぬ」公開に先立って半藤利一氏と記念対談をしています。そのタイトルは「『風立ちぬ』戦争と日本人」。対談は映画のパンフレットやポスターにあった文句「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」的な内容になると思いきや、宮崎氏と半藤氏の戦争体験や家族の思い出が語られ、堀越二郎の零戦の話はまずまずあるとして、堀辰雄の話題はほんのわずかしかありません。

「堀辰雄が戦時中に書いたものを読むと、戦争のせの字もないし、およそ政治的なことはほとんど文章中に書かなかったけれど、やはり、あの時代を真剣に生き、ちゃんと考えていたんだな、と思ったんです」と宮崎氏は語ります。堀は時代性や社会性を作品に反映させていないという評価です。

高橋氏も同様のことを指摘している。彼らは堀の小説が社会性を全く持たないがゆえに敬遠していたけれども、ずっと無視できずにいたと言うのです。宮崎氏と高橋氏を結びつけた小説「風立ちぬ」の魅力は何なのでしょうか? まず、先ほど述べた震災と戦争が関わっています。詳しくは次回。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

つくば市職員が新型コロナ

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つくば市役所

つくば市は7日、市役所コミュニティ棟3階に勤務する非常勤職員が同日、新型コロナウイルスに感染していることが分かったと発表した。

市ワークライフバランス推進課によると、職員が勤務する部署に濃厚接触者はいないが、保健所の指導により、念のため8日、職員3人がPCR検査を受けるという。

関係部署では消毒作業を実施し、通常通り業務を実施する。

「欲を出さないで頑張るしかない」 霞ケ浦 高橋監督【高校野球’21】

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今年は例年にないもろさがあると包み隠さずチームの現状を話してくれた高橋監督

一昨年の夏に優勝し、昨年の独自大会でも優勝(4校優勝)と、この夏は3連覇をかけて戦う霞ケ浦。昨秋は準決勝で鹿島学園に敗れ関東大会出場を逃した。春は好投手・樫村佳歩擁する水城に県大会初戦で逆転負けを喫している。高橋祐二監督(61)にチームの現状を余すことなく語ってもらった。

勝てる力あるが、もろさある

ー常総学院や土浦日大が入るゾーンです。組み合わせについて所感を伺いたいと思います。

高橋 特にありません。よそのチームを考える余裕がない。今年のチームは勝てる力はあるとは思うけど、簡単に負けるもろさもあり、霞ケ浦の本来の計算した、理詰めの野球が成立していません。監督を始めて12年目で初めて、決勝に行ってある程度こういうチームをつくればなんとか戦えると手応えをつかんで準決勝、決勝までは勝ち進んでいましたが、今年は21年目にして初めてその力がないかもしれません。強いチームを倒す力はもちろん秘めていますが、簡単に負ける可能性もある。そんなチームです。今年はピッチャーが計算できない。野手陣も戦力的には大して毎年変わらないと思うのですが、ものを考える力が不足しているとか、勝ち方を知らないとか、こちらにあまりついてきてくれていない部分が大きいのかもしれないですね。厳しいゾーンではありますが、同一ブロックでシードの土浦日大にしても常総学院にしても戦えないとは思っていませんが、目の前の相手、一戦一戦を戦っていくしかないのかなと。大それたことは言えない状況ですね。

ー現有戦力の分析をお願いします。歴代チームと比べてどうでしょうか。

高橋 1年生の夏に甲子園に行った飯塚恒介(3年)と宮崎莉汰(3年)がチームの完全な柱になり引っ張っていくような形が理想なのですが、そうなっておりません。飯塚についてはそれに近い存在にはなってきていますが、宮崎は全くですね。本来甲子園に行けなくても1年生から起用してきた選手は例年3年生になると完全な柱になってきました。ピッチャーでも野手でもそうですが今年はそうなっていません。戦力的には例年と変わりませんが、内面的な部分が相当弱いです。

1年夏からチームを支える飯塚選手。通算本塁打は30本を超える

ー技術的な部分ではなく、あくまで内面的な部分ですか。

高橋 内容的な部分がダメだから技術的な部分に影響を及ぼすのだと思います。チームの中心にならないといけない存在なのになっていない。3年生と2年生は持っている技量を引き出すだけの頭がないのか心がないのか、非常に残念ですね。僕自身は毎年チームづくりの仕方は変えていません。僕としてはある程度ここまでできたらなという指標のようなものがあるんですけど、今年のチームはそこまで届いていません。今年の子たちはチームワークが良いとは言えません。自分だけが良ければそれで良いという風に感じ取れる部分がある。霞ケ浦の野球って基本的に一人の力がなくても、糸だって100本あればロープになる。一本が細くても束になれば強くなるという野球なんですよ。それが今年は全くそうなっていません。例年同じようにチームづくりをしていても、根本的なところは押さえた上で、その年の3年生の性格によってチームカラーが出ます。今年は根本的なところを押さえられないまま最後の夏を迎えることになってしまいました。あめを使ってもむちを使っても通用しませんでした。

コロナが心に影響、例年とは違う

ーそれはコロナの期間を経験した影響からですか。

高橋 2年生はコロナの影響があるかもしれないですね。やっぱり一番大事な4月から6月にかけての時期に霞ケ浦高校野球部として感じなければならないことを感じてこないで、やってこなければならないことをやれないでいて、去年の1年間を過ごしたってことが今の2年生にとっては非常に影響を及ぼしているので、ちょっとピントがずれているところがある気がしますね。やっぱりこれだけたくさん練習をやって試合をこなしてきているのだから、全ては想定内のことで進んでいかないといけないといけないのに、今年はエッと驚くような考えられないプレーが起きる。監督が選手を掌握できていません。そういうチームはダメだね。これがコロナの期間が影響してこうなったのか、どうして今年はこうなのか答えは出ていません。来年どうなるか、これからは毎年そうなのかもしれませんね。ほかの強豪校の監督と意見交換すると、どこの監督とも「コロナが選手の心の成長に何か影響しているのかもしれないですね。例年とは違いますよね。」という話になります。高校生活をしていく中で一番大事な時を失ってしまった子たちですからね。

ー春の県大会は初戦で水城に敗れました。注目投手の樫村佳歩君と対戦してみてどうでしたか。

高橋 良いボールでした。もう1回やりたいね。リードしていたのに余裕がなくて守備から崩れて一気に6失点。そういうところが例年のチームと違う。守り勝てなくてビッグイニングをつくってしまうから。本当に何が起きるか分からない。

ここに来て山名が急成長

ーピッチャーについて伺います。春に背番号1だった渡邊夏一投手(2年)はどんな状態ですか。

高橋 当然期待値は高くて水城戦で先発したように春は主戦で投げていましたよ。でも、打者に向かっていけない。なおかつ打たれてしまうので自信を喪失して余計に気持ちが乗ってこない。本人が一番そのことを分かっていると思うので、期待のままにずるずるとベンチに入れてしまうよりは、一回奮起を促してどれだけ爆発できるかというのを見ていこうという考えではいますが、どうなるか大会まで分かりません。

エースとして期待される山名投手

ーそれでは夏の主戦投手は誰に?

高橋 山名健心(3年)です。唯一の救いはここに来て山名が急成長したということです。先日の東京の強豪校や山梨の強豪校と良いピッチングを披露して、山名が今一番自信を持っていますね。僕が見ていてもこれだったら勝負できるなと。あの時のピッチングが本番で出せるかどうかですね。ストレート自体も良くなりましたけれど、変化球が格段に良くなりました。

ー長身右腕の赤羽蓮投手(2年)はどうですか。

高橋 赤羽は成長がゆっくりですが、本人の自覚も徐々に出てきて成長を感じます。ベンチにも入りますね。

2年生の長身右腕、赤羽投手

ー付属ボーイズでエースとして活躍していた木村優人選手(1年)はどうですか。

高橋 本人がピッチャー志望ですからピッチャーをやらせているのですが、そこそこきっちりと投げますけれど、まだピッチャーらしいピッチャーではないです。素材としては学年では一番良いと思います。夏にはベンチに入ります。野手としての可能性も感じます。

ーベンチ入りするピッチャーは全部で何人ですか。

高橋 山名、木村、山田、赤羽、飯塚です。

ー1年生の木村君が2番手候補なのですか。

高橋 一番良いボール投げますからね。それに野球を知っています。ポテンシャルは兄(翔大・東洋大4年)にも負けていないですよ。

1年生ながら投打に能力が高い木村選手。2番手投手として早くも期待される

ー飯塚選手も投げるのですね。

高橋 まあ投げることはないでしょうけど、緊急登板なんてことも想定しています。もう1枚どうしようかと今考えているところです。

ー調子が上向きの選手を挙げるとしたら誰ですか。

高橋 ピッチャーは完全に山名ですね。野手ですか。野手はどうでしょう。見当たりませんね。

ー一番打っているのは誰ですか。

高橋 それは間違いなく飯塚ですね。パンチ力がありますね。30本くらいは打ったんじゃないかな。専大松戸の深沢君からも打ちました。

ー春の大会以降はどんなところと練習試合をしてどんな結果でしたか。

高橋 4月中に強豪校と複数試合を組んでいましたが、県外とは禁止となって、県内のチームとやらせてもらいました。水戸一、藤代、土浦日大、石岡一、下妻一。後は土浦市内大会ですね。下妻一以外とは全敗でした。水戸一には0対2でしたね。石井陽向君にものの見事に完封されました。素晴らしい。石岡一には0対6でやられました。植村塁君が一番良いと思いましたね。ものが違う。石岡一は本当に強いです。4月5月は県内の公立高校にたくさん負けました。6月に入って健大高崎と前橋育英に勝たせていただいてから徐々に調子が上向きになってきました。そして先日は東海大菅生と二松学舎と良いゲームをやらせていただいて。東海大甲府とは1対2で負けましたが、山名が完投して5安打。非常に良いゲームができて自信になったと思います。こんな良いピッチャーがいるのかと村中監督に言われたくらいです。本当に素晴らしい内容でしたので。

3連覇がかかった大会

ー監督の中では勝ち上がるイメージプランは出来上がっていますか。一昨年なんかはもう勝ち上がるプランをおっしゃっていただいて、そのとおりに投手起用されて優勝できましたが。

高橋 組み合わせが決まったら毎年ここで誰が投げようというプランを立てるのですが、今年はそういうのがないですね。本当にどうしたらいいかが分からない。こんな年は初めてです。エースを初戦からぶつけるしかないのかなと思います。でも球数制限があるからエースだけでいくと、1試合150球を4試合で、1週間のうちに600球投げることになって制限オーバーしてしまうんですよ。移行期間ではありますけど、その辺を考慮しないといけませんね。先のことを考えるのではなくて、目の前の試合を勝つと考えた時に、この投手で負けても仕方ないと思って起用するしかないかもしれませんね。今までの年とは違います。今まで2回甲子園に行っていますが、いずれも秋春の関東大会に行っていない年なんですよね。今年も関東大会に行っていないから、そういう意味では良いジンクスが共通するのですが、実績のない年の戦い方と今年の戦い方はどう考えても違うんですよね。

ー最後に、夏に向けて意気込みを語っていただきたいのですが。

高橋 それはもちろん甲子園を目指していますよ。去年の独自大会は優勝(大会はベスト4で終了)しましたし、一昨年の選手権は優勝していますので、夏はまだ2年間負けていません。3連覇がかかった大会なので今年も優勝を目指していますが、本当にうちは初戦で負けるかもしれません。チームがこういう状況なので欲を出さないで頑張るしかないですね。

ーどういう戦いになるのか楽しみにしています。(聞き手・伊達康)

監督インタビュー終わり

コロナワクチン接種「騒動」《くずかごの唄》88

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【コラム・奥井登美子】コロナワクチンで、町の人たちは促進派と拒否派と分かれてしまっている。

Aさんは、ワクチン接種を息子さんに報告したら「死んでもいいのか。僕は知らないぞ」と、ものすごい勢いで怒られてしまったという。何と言って息子を説得したらいいか途方にくれているらしい。ワクチン拒否派の中には、原理はよく解らないくせに、供給する政治・行政の実力が不満で怒りを爆発させている人もいるらしい。

また、ワクチンそのものが大嫌いという人もいる。江戸時代、ジェンナーの牛痘(ぎゅうとう)を広めようとした緒方洪庵らの蘭学医に対して、「牛痘をしたら牛になる」と言って、怖がった人たちと似たような人が今もいることがわかって、おかしくなってしまった。

「今は何を言ってもだめ、聞く耳をもたない。何も言わないで、コロナが下火になってきたら、ワクチンが効いてよかった、といってやればいい」。

「カロナール」が消えた!

Bさんは副反応の心配性。副反応が出たらどうしようと、接種しないうちから心配で、夜も眠れないという。近所の医者に相談したら「熱が出たらカロナールを処方するから飲めば治る」と言われて少し安心したけれど、薬を出してはくれなかった。カロナール成分の一般薬が薬局にあれば、接種前に用意して持っていたいと言う。

カロナールの成分はアセトアミノフェン。大正8年にスペイン風邪が流行したときも、この薬を使った。いわば昔からある薬だ。

最近、不思議なことに、一般薬として売れる形のカロナールが品切れになっている。処方薬は在庫があるので、処方箋調剤には差し支えないが、世の中にBさんみたいな、熱も出ていないのに薬を用意したい心配性の人がたくさんいるらしく、買い占めが横行しているという。おかしな世の中だ。

「かかりつけ医」って何?

Cさんは健康で、医者にかかったことがない。ワクチン説明書の中の「かかりつけ医」という言葉がピンとこないらしい。

「接種してくれる医院の名簿を見て、お宅の家から一番近くて、すぐに行ける医院に電話して予約すればいいのよ。近ければ熱が出たときでも安心でしょ」

「なーんだ。そんなことでいいのなら、やってみるわ」

「インフルエンザのワクチンのときと同じ。考え過ぎると面倒だから、気楽にいきましょう」(随筆家、薬剤師)

つくばの小学生20人 「きぼう」の星出宇宙飛行士とライブ授業

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星出宇宙飛行士の無重力状態での実験に見入る児童たち=つくば市吾妻

七夕前夜の6日夕、つくばスタートアップパーク(つくば市吾妻)に宇宙大好きの小学生が集まった。国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」に滞在する宇宙飛行士、星出彰彦さんと結んで宇宙実験などで交信するライブ授業が行われた。

集まったのは同市内の小学校4年から6年の20人。かばんから「GIGA(ギガ)端末」と呼ばれるコンピューターを取り出し、それぞれがWi-Fiに接続し、オンラインミーティングのZoomを立ち上げ、QRコードを読み取ってYouTube(ユーチューブ)で中継される星出宇宙飛行士によるレクチャーを受けた。

同市では今年度から、小中学校の児童・生徒に1人1台のコンピューターを配備する文科省の「GIGA(ギガ)スクール構想」が本格的に始まった。持ち帰りできるパソコン「GIGA端末」を校外に持ち出しての教育活動も展開されており、今回は市主催のGIGAスクール特別講座として、応募者から抽選で20人が選ばれて宇宙からのライブ授業に臨んだ。

「きぼう」と結んだ宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターには油井亀美也宇宙飛行士がスタンバイ、質問や注文を仲介する形で、特に無重力空間での食事について学習した。「宇宙では水の形はどうなるか」「コーヒーとミルクはどのように混ざるのか?」など事前に寄せられた質問に答える形で実験が行われた。その模様はZoomを通じ、オンライン配信された。

小学生らは事前の回答で、多くが水の形は球形になると予想。星出さんが特殊な容器に入った水をストロー口から吸い出すと、見事な球形になるのが確認された。その表面に星出さんが写り込むライブならではの画像もとらえられた。

ライブ中継に前後して、会場ではつくばで活躍する宇宙研究者、フライトディレクター、宇宙スタートアップの経営者をゲストにトークショーも開催。最新の研究、ビジネスの動向や宇宙に興味を持ったきっかけなどが話され、児童たちは熱心にメモをとるなど聞き入った。

市立竹園西小6年生の志村淳之介君は、水が球形で浮いているとすると飲み込むとき気管に入ったりしないか、と質問。JAXAフライトディレクターの中野優里香さんから「大丈夫、飲み込めているようだけど、大変いい質問」と返事をもらった。志村君は「宇宙に行くときは模型を持っていって実験します」と意欲的だった。(相澤冬樹)

鋭い質問も飛び出したトークショー=同

弱虫ペダルチームと協定締結 旧筑波東中の自転車拠点整備で連携 つくば市

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連携協定を締結した(左から)五十嵐立青つくば市長、漫画「弱虫ペダル」の作者で「弱虫ペダルサイクリングチーム」の渡辺航監督と同チームの佐藤成彦ゼネラルマネージャー=つくば市役所

つくば市は6日、市内に本拠地がある自転車チーム「弱虫ペダルサイクリングチーム」と、自転車利用の推進を目指した連携協力協定を締結した。

具体的な連携事業はこれから詰めるが、今後、同チームの選手が、小中学生向けの自転車交通安全教室に講師として参加したり、市が筑波東中学校跡地に計画している自転車拠点整備について同チームからアドバイスを受けるなどするという。

人気漫画「弱虫ペダル」の作者で、同チームの渡辺航監督(50)と佐藤成彦ゼネラルマネージャー(51)が市役所を訪れ、協定書に調印した。

渡辺監督は「国内のロードレースを盛り上げようとチームを立ち上げた。弱虫ペダルを読んで自転車競技の世界に入った若者たちが、世界に羽ばたく道筋の一つになればいいと思っていた。そのときにつくば市から(連携協定の)話があった。筑波東中にサイクリング拠点ができる。子供たちが自転車に触れ、自転車っていいな、楽しいなと感じ、選手たちがもっている自転車の気づきをフィードバックしながら、どんどん活用できる方向にいければ」などと話した。

佐藤GMは「チームが発足して6年間、つくば市を拠点に活動してきた。つくば市の素晴らしい環境があって活動ができる。少しでも恩返しできれば。筑波東中を拠点にした活用は、私どもも協力できたら」とした。

五十嵐立青市長は「今年つくば市にサイクルコミュニティ推進室が発足した。自転車利活用を本格的に加速させていくタイミングにある。(自転車を)知ってもらい、盛り上げていく上でこれ以上心強いパートナーはいない」などと述べた。

市は現在、廃校となった旧筑波東中の校舎の一部にサイクリング拠点を整備するための設計を実施している。さらに弱虫ペダルチームの提案を受けて同中のグラウンドに新たに、自転車競技の一つ、BMX(バイシクルモトクロス)コースを整備する計画を立てている(6月25日付)。

「不足していた糧が満ちてきた」土浦日大 小菅監督【高校野球’21】

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ざっくばらんに語ってくれる小菅監督=土浦日本大学高校

土浦日大はこの夏をどう迎えるのか。秋はまさかの県大会初戦で敗退、春は準優勝の常磐大高に準々決勝でタイブレークの末に惜しくも敗退した。小菅勲監督(54)に大会への意気込みやコロナ禍がチームづくりにどう影響したかなどを語ってもらった。

厳しいゾーン、身が引き締まる

ー組み合わせですが、常総学院ゾーンに入り、霞ケ浦も同じゾーンになりました。そのほかに好投手を擁する多賀や水戸葵陵などの中堅私学が入っています。まず、このゾーンに入った所感をお聞かせ願います。

小菅 厳しいゾーンです。非常に身の引き締まる思いがします。私は毎年、何回戦でどこと当たるといったことはほとんど見ないで大会に臨みます。勝ち上がりの予測が外れることも少なくありません。初戦、もし多賀高校さんが勝ち上がってきますと、神永耀生投手(3年)と対決することになります。去年常総学院に投げ勝った良いピッチャーです。そのほかに川井虹投手(3年)も良いボールを放っています。

ー右の好投手2枚に対して何か対策は考えていますか。

小菅 県内の好投手の情報は、年間を通してチーム内で共有し、対策を練っています。当然その中に神永君も入っていました。それを確認し直したいと思います。昨今はカット系、チェンジアップなどの特殊球を多投する投手が多いので、練習試合の中で対応してきました。選手はそういうピッチャーに対応しなければ勝てないということはよく分かっていますので、それをもう一回おさらいし、再認識するということだと思います。

負けに不思議の負けなし

ー秋の県大会初戦の敗戦から冬場はどのように過ごしてきましたか。

小菅 秋に初戦で負けたことは絶対にその原因がある。“負けに不思議の負けなし”で、時間をかけて修正をしてきました。ようやくこの春になって、こちらが感じている以上に自分を「重くして」しまう選手が多くて、逆境の時に見せる姿が分かるようになってきました。逆境をはね除ける糧が、昨年からのコロナ禍で足りないと思っています。これまで、去年1年の真剣勝負の積み重ねが欠落していました。春の大会の戦績は満足できるものではありませんでしたが、ようやくここに来て不足していた糧が満ちてきた感があります。チームにもまとまりが出てきました。全員で、大会の時ももっと良い声掛け、あるいは結束が出来ると思っています。チーム力としては、十分に優勝の可能性があると信じています。特に野手は能力の高い選手がいます。“大会を通して成長を果たしていく”のが優勝チームだと思います。1イニング1イニング、一戦一戦で成長していきたいです。その姿を見ることが楽しみです。

エース左腕の小谷野=J:COMスタジアム土浦

エースは小谷野、3人で回す想定

ー戦力について伺います。夏はどのような布陣になりそうでしょうか。

小菅 昨秋にベンチ入りしていなかった小谷野奨大(3年)がエースナンバーを着けます。2番手、3番手の山田奏太と河野智輝は2年生です。秋からはレギュラーが2~3名入れ替わり、背番号二桁の選手も秋から4~5名入れ替わりました。チーム全体で「切磋琢磨」ができました。

ー小谷野投手はどんなタイプの投手ですか。

小菅 左投げで180センチです。大柄な割に制球力がよくて,ストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップを満遍なく操れるピッチャーです。

ー秋に1番をつけていた山田投手はどんな調子でしょうか。

小菅 ここ3カ月くらいでかなり成長してきました。彼もボールの勢いで勝負するタイプではなく、コントロールや試合をつくる能力と、強気なピッチャーなのでピンチでも向かっていける要素を持っています。ベストな状態で臨めると思います。身長も伸びて170センチ後半になったと思います。以前は少しぽっちゃり系だったのですが、この3カ月くらいで体脂肪もコントロール出来てきて、その分ボールのキレも増したように思います。

ー河野投手はどのようなタイプの投手ですか。

小菅 右サイドスローです。落ち着いていて淡々としたピッチャーです。大体この3人で回す想定ですが、4人目には、この数週間でいちばん調子の良いピッチャーを入れたいと思います。

ー秋はたくさん下級生がベンチ入りしていましたが、夏は3年生が入ってくるのでしょうか。

小菅 やはり3年生が巻き返し、夏は3年生が増えました。20人中15~16人くらいが3年生になるのではないでしょうか。

キャプテンの芹澤。昨年の独自大会=ノーブルホームスタジアム水戸

去年秋は衝突、産みの苦しみを経験

ー野手陣について伺います。下級生の時から中心選手であった菅野と芹澤、1年夏からスタメンを張っている吉次悠真が春の大会では2番、3番、4番と上位を打っていました。3選手が特に注目を浴びていますが、各選手の状態を具体的な数字などを交えて教えてください。

小菅 正確な本数を把握していませんが、菅野と芹澤は通算本塁打が20本弱で同じくらいの数字だと思います。吉次は一桁台です。トーナメントで求められるのは“勝負強さ”です。“一球入魂”の精神です。あまり本塁打数などは求めていません。本人の励みにしてもらう程度です。まずけがなくここまで来ているというのが良い材料です。菅野と芹澤の2人でチームを引っ張っています。去年の秋にはお互いに衝突したり、冬の間は口論したりと産みの苦しみを経験しました。それだけ2人でチーム作りを真剣にやっているという証拠です。今は同じ方向に向かっています。非常に頭の良い子たちなので、2人でしっかりと考えてチーム作りをやってきたと感じています。後は責任を背負いすぎないようにして欲しいなと思います。今のところは心身ともに充実していると思います。

ー菅野は何球団かスカウトがチェックしに来たという話があります。

小菅 巨人と楽天、中日が来ました。菅野は183センチで90キロと恵まれた体格でありながら100メートル走を12秒切るスピードがあります。そういうデータを知っているので追っているのでしょう。現状では大学経由などワンクッション置いた方がいいでしょうとスカウトも言っていますし、私もそう思います。本人もその辺は理解しています。補強ポイントとして見に来るチームもいるということです。

プロが注目する菅野。昨年の独自大会=ノーブルホームスタジアムk水戸

ー春の大会で1番を打っていた武田優輝と5番の荻原康誠はどのような選手ですか。

小菅 武田は非常にガッツマンでチームのリードオフマンにふさわしい人間です。2年生ですけれども、よく声が出て元気がある。芹澤と二遊間でコンビを組んでいますが、いい「化学反応」を起こしています。時には芹澤が武田に引っ張られながらやっている感じもあります。荻原は学習成績もトップクラスで、練習も一番やる模範中の模範の選手です。自分の真面目さを貫き通して自己を確立してきました。この3カ月くらい試合でも打っていますし、荻原が打って助かった、救世主となった試合が数多くあります。

ーそれでは5番は荻原で決まりですか。

小菅 候補の一人ではありますが固定はしません。警戒される芹澤・菅野の後を打つ重要な役割でありますから、候補は何人かいます。ケースバイケースで決めます。

ーほかに調子が上向きの選手はいますか。

小菅 去年から出場していましたが、中村陸人(3年)です。足も速いです。紆余曲折あって自己が確立できていない時期もありましたが、最近ようやく夏の大会に勝つんだという気持ちが見えるようになってきました。後は高内大翔(3年)ですね。この選手も気持ちの浮き沈みがありました。自分の路線、役割、あるべき姿を確立するのに時間がかかったのですが、ここ2週間ほど非常に良い状態でして期待しています。また大島優太朗(3年)という選手も調子が上がってきました。うちの選手はみんな真面目なんですが、彼は大らかなタイプです。チームの中に一人や二人、考えすぎないような選手がいると良いスパイスになるので期待しています。

ー1年生はどのような状況ですか。

小菅 1年生は促成栽培せずにゆっくりつくっています。秋に照準を合わせてじっくりと仕上げようと話しています。コンセプトも理解してくれて、主体的に練習に取り組んでいます。

土浦日大出島グラウンドにて

感謝の気持ちあふれてる

ーコロナを経験してチームの取り組みとして変化はありましたか。

小菅 まず3年生は「今年は選手権ができて本当にありがたい」という気持ちがあふれています。やはり去年の3年生を目の当たりにしていますから。この間保護者会の壮行会があって、保護者の前でキャプテンの芹澤があいさつをしていました。「本当に大会が開催されることに感謝しています」と言っていました。本音だと思います。後は、このチーム、この世代は仲が良い。3年生のチームワークが非常に良い。皆で頑張って甲子園に行こうよという感じは出ています。なおさらいろいろと制約された中で練習や練習試合をやってきました。本当に練習試合が厳しかったんです。うちはよくても相手がキャンセルを申し出る。直前の金曜日にお互いにやっぱり行けない。本当にいろいろなところと情報交換しながらも、毎週欠かさずになんとか練習試合ができました。有り難かったです。

心は熱く、頭は冷静に

ー最近見た試合で、選手同士が「おおらかに、おおらかに」と声を掛け合っていました。何かきっかけというか、こういう声掛けをするようになった理由はあるのでしょうか。

小菅 私は常日頃から野球はガツガツとやるものではないと言っています。人によっては野球を格闘技に例えたりしますよね。一瞬一瞬のプレーではボルテージが上がりますが、特にバッティングなんかではおおらかさを忘れてしまうとがっついてしまうので、頭は常に冷静にすることを大事にしています。そういったことでおおらかにという声掛けが出るのかもしれません。心は熱く、頭は冷静に、一言で言うとおおらかにとなると思います。

ーこれをチームのテーマとして取り組んでいるのでしょうか。

小菅 自然とテーゼとして流れています。ゲームの時も、選手だけで集まってピッチャーのこと、配球のことを言い合っています。頭は冷静でおおらかさを失うと実のある打ち合わせはできないですから。相手を分析する面など、野球偏差値もかなり良い感じに高まってきています。

ー去年のインタビューでは球速を上げたり投球を改善するために一貫して取り組んでいることがあるということでした。現在でもこの点は変更がありませんか。

小菅 一貫して取り組んでおります。毎月ラプソードを借りて回転数や変化球の精度を計測して「ピッチトンネル」を測っていますし、成果があったと確信しております。

ーピッチトンネルとはどのようなものですか。

小菅 同じ球筋、同じトンネルを通過してから変化させるのが有効という考えのもとにボールの軌道を修正する作業です。当然カーブのように目線を上げる球種もあるのですが、力んだり抑えてやろうとなるとなかなか上手くはいきません。同じ球筋を通ってから変化するという、大きく曲がりすぎることがないように意識しながらやっております。

ー今大会は球数の制限はどのようになっているのでしょうか。

小菅 1週間500球で、試合日を起点として前1週間です。決勝戦を起点として4回戦からの4試合が問題になると思います。去年準々決勝までいった時に球数を見せられて(前1週間が)300球程度だったので、この調子でいくと決勝戦で球数制限を超えるんだなと感じました。高校野球はトーナメントです。勝たないと明日がありません。流れと試合展開をよく見ながら、500球ルールに対応していきたいと思います。

ー木内幸男監督が昨年11月にお亡くなりになりました。小菅監督は、甲子園を制覇を果たした1984年の取手二高の優勝メンバーでした。木内監督から受け継いだことや思いなどをお聞かせ願います。

小菅 最後に会ったのは亡くなられる1年ほど前でお元気でした。いつものようにずっと野球の話を興味深くされていました。木内監督から学ばせて頂いたことは1冊の本になると思います。お亡くなりになられてとても残念ですが、悲しい気持ちを決意に変えていきたいと思っています。大事なのは木内監督の遺志を継いで、次の世代の者が高校野球を発展させていくことです。木内監督の気概、「甲子園で勝つ事が教育になる」ーを胸に刻んで励んでいきたいと思います。(聞き手・伊達康)

ロシアは中国に押しつぶされるのか 《雑記録》25

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【コラム・瀧田薫】ソ連邦が崩壊(1991年)してから、今年で約30年が経過した。この間、ロシアは、自国の求心力を保とうと必死の努力を傾け、衰退と分裂の時代をなんとか乗り切ってきた。しかし成長と発展のトレンドはまだ見えてこない。「ロシアの現状は、外交面と軍事面では超大国であり続けているが、それ以外の領域では低開発国でしかない」というのが研究者大方のロシア評である。

ソ連崩壊前の1988年、ソ連経済は中国経済の約3倍の規模であった。しかし今日(2020年)のGDPは中国のそれの約10分の1でしかない。

6月11日、英国・コーンウォールで開かれた「2021年G7サミット」は、西側諸国が現在の中国とロシアをどう評価し、どう扱おうとしているか、検証する絶好の機会となった。今回会議の最重要テーマが「中国の覇権主義にどう対応するか」にあったことは明らかだ。ロシアについては、欧州諸国がその軍事的脅威に言及し、バイデン米大統領に認識を共有するよう要請したが、主要議題になることはなかった。

バイデン氏は、G7閉会後の6月16日、スイス・ジュネーブに立ち寄り、ロシアのプーチン大統領と首脳会談をもった。この会談はバイデン氏の方から持ち掛け、プーチン氏がその誘いに応じたものである。この流れからすれば、バイデン氏がロシアを重視しているかに見える。しかし、会談後の記者会見でバイデン氏が明らかにしたのは、「中国との覇権争いに勝つための一つの条件として、ロシアを重視する」との見解であった。

米ロ首脳ジュネーブ会談の読み方

バイデン氏は、対ロ関係において目指すのは対立の解消ではなく、対立を管理することだと言い、米国の優先事項と価値観の明確な説明ができれば、会談は成功だとも述べた。その上で「ロシアは中国に押しつぶされそうになっている」とのコメントで記者会見を締めくくった。明らかに、中露の連携にくさびを打ち込むための言葉である。

一方のプーチン氏は、別に開かれた記者会見の冒頭、米露関係について「家族のような信頼関係はあり得ないが、会談は極めて建設的だった」と評価した。ロシア国内には、プーチン政権が米国との対立を深めたことで、ロシアの中国依存度が過度なものになることを懸念する向きがある。

プーチン氏にも、米中の覇権争いに割って入ることができないもどかしさを抱えながら、せめて米中両国とロシアとの間の均衡を維持したいとの思いがあり、それが今回の会談に応じる動機ともなった。ともあれ、プーチン氏にとって、今回のバイデン氏との会談そしてバイデン氏のコメントは屈辱的なものであったろう。

プーチン氏は記者会見を「米露関係の将来に幻想をもっていないし、そんな幻想があるはずもない」という厳しい言葉で締めくくった。彼の矜持(きょうじ)が言わせたこのコメントは、プーチン・ロシアの権威主義的体質がさらに高じることを予感させるものに思えた。(茨城キリスト教大学名誉教授)

県内の聖火リレー つくばでフィナーレ

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沿道を埋める市民の声援に応える宇宙飛行士の毛利衛さん

4日、5日の2日間にわたり、県内16市町を176人でつないだ東京オリンピックの聖火が、県内最終地点であるTX研究学園駅前公園(つくば市学園南)でフィナーレを迎えた。

5日夕方、土浦市では、市内出身の柔道家で2009年世界選手権金メダリストの福見友子さんら13人が県立土浦一高前から土浦駅前の市役所までを走った。つくば市では、宇宙飛行士の毛利衛さん、野口聡一さんら21人が、ノバホール前からTX研究学園駅前公園までをリレーし聖火をつないだ。

同駅前公園では、各日の最終聖火ランナー到着時に開催される、聖火を聖火皿へ点火する式典が行われた。出発やゴール地点には大勢の市民が駆け付けた。

「コロナ禍の思いを炎に乗せて走った」

つくば市の第1走者を務めた宇宙飛行士の毛利衛さん(73)は「科学の街・つくばで第1走者を務めることを誇りに思う」とした上で、「コロナ禍で困っている人がたくさんいる中で、そうした人々の思いを炎に乗せて走った」と語った。今回の聖火は、歴史上初めて水素を燃料としたことに触れ「新しい科学技術が生まれるつくばの街で、クリーンな、新しい社会のシンボルとなる水素の聖火を灯せたのは誇らしく思う」と話し、「賛否両論ある中での開催ではあるが、オリンピックの成功が世界に勇気を与えられるのではと考えている」と話した。

フィナーレのTX研究学園駅前公園で聖火皿に点火された聖火

つくば市の最終ランナー、加藤澤男さん(74)がTX研究学園駅前公園に入ると、到着を待つ市民が拍手で迎えた。筑波大学名誉教授の加藤さんは、1968年メキシコ大会、1972年ミュンヘン大会、1976年モントリオール大会、計3度のオリンピックで体操競技に出場し、日本最多記録である8個の金メダルを含む計12個のメダルを獲得した。

聖火リレーを見ようと会場を訪れた市内の櫻井芳則さん(52)は「いよいよ(オリンピックが)始まるなという感じですね。抽選で当選して、今日は仕事を早めに切り上げて家族と来ました」と感慨深げに話し、「中学校でテニスをする息子にとってもいい思い出になる」と話した。

聖火は明日6日から3日間にわたり埼玉県を、9日からは最終地となる東京都を走り、23日正午過ぎ、最終ゴール地点となる東京都庁前に到着する予定だ。開会式は同日夜8時から国立競技場で行われる。埼玉県では新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、「まん延防止等重点措置」対象区域の川口市、さいたま市で公道での聖火リレー中止が決定され、東京都は島しょ部を除く全日程で公道での実施を見送る方向で調整が進んでいると報道されている。(柴田大輔)

聖火リレー終着地点の研究学園駅前公園で抗議行動をする市民たち=5日午後8時30分ごろ

「五輪は中止」抗議行動、つくばでも

つくば市では、オリンピック開催に抗議する市民らが、聖火リレー出発地点のノバホール前(同市吾妻)と、終着地点の研究学園駅前公園(同市学園南)でそれぞれプラカードを掲げるなど抗議活動を行った。

ノバホール前では、開始前の午後6時ごろから市民ら約10人が集まり、「五輪は中止」などと書かれたプラカードを掲げた。

抗議行動に参加した牛久市の福祉関係勤務の男性(48)は「元々オリンピックに反対だけど、コロナ禍が無ければこういうアピールはしなかった。東京では飲食店に営業自粛させているのにオリンピックをやるのはおかしい。オリンピックにお金を使うなら、飲食店の救済にお金を使ってほしい」と語った。

終着地点の研究学園駅前公園では、約20人が「オリンピック廃止」の横断幕などを掲げて抗議活動を行った。

つくば市の団体職員男性(62)は「コロナ対策と全く正反対なオリンピックをやってはいけない。心の中ではみんな反対していると思う。声を上げるべきではないか。日本だけでなく世界中が(コロナ禍で)苦しんでいる。(オリンピック開催は)人の道に反する」と話した。(崎山勝功)

開催可否「最終判断は8月」 土浦花火大会で安藤市長

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会見をする安藤真理子市長=5日、土浦市役所

土浦市、安藤真理子市長の定例会見が5日、同市役所で開かれた。第90回記念土浦全国花火競技大会について「11月6日に開催する方向で準備をするが、正式決定ではない」とし「開催か中止かは、8月に最終決断する」と話した。

安藤市長は「花火業界は厳しい状況にあり、文化存続の危機でもある。できるなら全国に先駆けて開催し、業界の光を取り戻したい」とする一方、「オリンピック後の新型コロナ感染状況や、ワクチン接種状況によっては中止する場合もある」とも述べた。

市商工観光課花火対策室は「土浦の花火競技大会は全国でも有数の大会。開催して成功すれば他の花火大会の起爆剤になる可能性がある。しかし住民の健康と安全が最優先。危険を冒してまで開催するつもりはない」と話す。土浦と並ぶ日本三大花火の秋田県大曲、新潟県長岡はいずれも開催中止を決めている。

開催する場合の日程について、同実行委員会(実行委員長・安藤真理子市長)は6月29日に会合を開き、11月6日、桜川畔とすることを決めた。開催の可否を決定する前に日程を決めたのは、警察、消防など多数の関係者との調整が必要になることや、JRの臨時列車運行の調整なども行うため、今から開催を想定した準備に着手する必要があるためだという。

開催の場合、競技種目は例年通りを予定している。全国から約55業者が参加する予定だが、参加意向を各業者に調査中だとした。

市花火対策室によると、開催する場合の新型コロナ対策として、例年なら桟敷席4万席と一般観覧席2万席など合わせて6万席を用意するが、開催する場合、3分の1に減らし2万席にすることを検討している。桟敷席や観覧席での飲食は奨励しないが、アルコール類も含め持ち込みを規制できないとして、静かに見物し、飲食の際は黙って食べる「黙食」を呼び掛ける。露店の出店については桟敷席や観覧席のエリア内での出店は認めない方向だという。

さらに桟敷席などの販売対象を、例えば県内居住者に限定することや、万が一、感染者が発生した場合に備え、計2万人の氏名、住所、連絡先などを把握することも検討している。

一方、花火大会が開催されれば、会場周辺も大勢の見物客でごった返し、沿道に露店が出て混雑することが予想される。開催する場合、会場周辺の飲食や飲酒についてどう取り扱うか、国や県と協議中だとする。駅周辺の混雑にどう対応するかも検討している。

観光帆引き船運航は7月21日から

観光帆引き船の運航が、7月21日から始まると発表があった。操業船は「七福神丸」「水郷丸Ⅱ」の2隻。9月19日には、かすみがうら市、行方市と合同で、8隻の帆引き船を運航する。ラクスマリーナか常陽観光乗り場で見学船の受付を行う。運航は10月17日まで。(伊藤悦子)

「箸とスプーン」止め、クオカードに つくば市 敬老大会中止の記念品

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1000円のクオカード

つくば市が、敬老大会中止に代わる記念品として定価1000円の「箸とスプーンセット」を70歳以上の高齢者全員に贈るとしていた問題(6月17日付23日付)で、市は、箸とスプーンを取り止め、1000円のクオカードを贈ることを決めた。今年の敬老の日前後に70歳以上の計約3万7200人全員に郵送する。

箸とスプーンをめぐっては議会から異論が出て、付帯決議が出されていた。市高齢福祉課によると、付帯決議を重く受け止め、再度庁内で検討し、6月29日に贈呈品目の変更を決めたという。市内店舗限定で利用できる地域商品券なども検討したが、敬老の日に間に合わないことから、既成のクオカードとするという。

発送作業については、1000円のクオカードは市が購入し、メッセージや中袋の印刷とクオカードの封入作業などを市内の障害者就労施設に優先的に発注する。ただし市指定の印刷ができる作業所が市内に2カ所程度しかないことから、市は印刷ができる作業所に仕事を委託し、委託作業所から市内の別の作業所に仕事を回してもらうようにするという。

箸とスプーンセットは、6月議会に購入費と包装代約6300万円と郵送代約1300万円の計約7600万円が計上された。しかし今年3月、市は75歳以上に3000円を給付する一般敬老祝金を廃止したばかりであることなどから、議会では、祝金がもらえなくなる高齢者が大半となる中、箸とスプーンで喜ばれるのかなどの意見が出たほか、障害者就労施設への発注をめぐっても受注機会を増やすことにつながるのかなどの疑問が出されていた。

予算は付帯決議を付けた上で可決されたが、6月議会最終日には、川久保皆実氏(つくばチェンジチャレンジ)、橋本佳子氏(共産)、塚本洋二氏(自民党政清クラブ)、小森谷さやか氏(市民ネット)から「欲しいものは人それぞれ」「クオカードや地域商品券が喜ばれる」などの意見が相次いで出されていた。(鈴木宏子)

「気持ち負けなければ結果付いてくる」常総学院 島田監督【高校野球’21】

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常総学院の島田直也監督=常総学院野球グラウンド

第103回全国高校野球選手権茨城大会が8日開幕する(6月23日付)。有力校はどのように夏を迎えるのか、監督に話を聞いた。第1回は茨城が誇る名門・常総学院の島田直也監督(51)だ。

常総学院は昨年夏の独自大会以降、投手コーチであった元プロ野球選手の島田氏が監督に就任し、秋季県大会で準優勝した。秋季関東大会では破竹の勢いで勝ち上がり、準優勝の末、6年ぶりに春のセンバツ出場権を獲得した。センバツでは6年ぶりの勝利を挙げ、島田監督にとっても甲子園初采配初勝利の記念すべき試合となった。センバツ以降、チームとしていかに過ごしてきたか。大会前の意気込みなども存分に語ってもらった。

チャレンジャーのつもりでやる

—常総学院の組み合わせゾーンには県南地区の強豪校である霞ケ浦や土浦日大が入り激戦ゾーンといわれています。組み合わせをみて島田監督の所感をお聞かせください。

島田 相手はどこでも一緒だと思っているので、ただ自分たちの力を出せば頂点までいけるんじゃないかとは思っています。厳しいゾーンではありますが、うちは1試合1試合チャレンジャーのつもりでやるだけです。

ーセンバツのお話をお聞きしたいと思います。センバツは1回戦のタイブレークを制して敦賀気比に勝ち6年振りの甲子園勝利ということで、県内の高校野球ファンに大変明るいニュースを届けていただきました。島田監督にとっても甲子園初采配初勝利ということで、記念の試合になったと思います。次戦では中京大中京の好投手・畔柳亨丞投手を打ち崩すことができませんでした。センバツの総括をお聞かせください。

島田 僕も夏に監督に就任し、当然、高校野球の指導は初めてでしたし、僕の今まで経験したことを選手たちに伝えられたら良いなという思いでまずやっていて、その先に甲子園というものがあったので、そこを目指すためにはこういうことが必要だよと思いながら指導してきました。とりあえず甲子園に行けたことについてはホッとしたというか、良かったなというのが前提です。そこで、今度は全国に行って勝たなくちゃいけないということで冬の間に練習をしました。センバツでは1回戦でタイブレークで苦しみながらもチーム全員で勝って勢いに乗るかなと思ったんですが、2回戦は全国でも屈指のピッチャーに当たってしまうと、まだそこまでのレベルには達していなかったなというのが印象ですね。

ー畔柳投手についてはどのような印象を受けましたか。

島田 やっぱりマシンで150キロ近くのボールは打てるのですけれど、人間の動作が入ってタイミングを合わせてとなると難しいですね。本当に選手たちも初めて全国でも屈指のピッチャーや打線と対戦できたので、良い経験ができたんじゃないかなと思いますけれども、あのようなすごいボールを投げるピッチャーは関東にはいないので、なかなか対応できなかったというのが印象ですかね。

ー畔柳投手のボールを経験したことで、春の関東大会では怖い相手はいなかったのではないかなと思うのですが、春の関東大会ベスト4という結果についてはいかがお考えでしょうか。

島田 優勝を狙っていたので、準決勝で関東一高に負けてしまって当然悔しい思いもありました。それでもやっぱり当たり前のことができなくてミスで負けたのでね。そういう当たり前のことができないと夏は足をすくわれるよということは選手たちには言いながら今まで取り組んできてはいたのですが、センバツ以降、春の関東大会まではあっという間で、なかなか当たり前のプレーの確認ができなかったことが影響していますね。

春の大会からエースナンバーを背負う大川=ノーブルホームスタジアム水戸

大川と秋本のWエースに

ーピッチャーのことについて伺います。大川慈英投手はセンバツ後に春季県大会で背番号1のエースとして関東大会をたぐり寄せる大活躍を見せたと思います。大川投手について、これからどのような投手に育って欲しいですとか、今後に寄せる期待値などを教えていただければと思います。

島田 秋本璃空の調子が悪かったということがあって、大川を1番にしたんですね。大川はポテンシャルが高いと思うのですが、自分の良い球をまだただ投げているだけで、上手く場面に応じて使うことが出来ていない状態ではないかなと思います。そこがしっかりと出来るようになったら秋本と一緒くらいに嫌なピッチャーになると思うんですけど。僕から言わせたら、まだ、ただ投げているだけという印象ですね。

ー秋本君は関東大会でベンチ入りしませんでした。現在どういう状態でしょうか。

島田 調子が悪かったので関東大会は無理をしませんでした。夏には間に合うと思います。エースナンバーは競争の末にまだどちらになるか分からないですね(6月29日のインタビュー時点)。

Wエースの一角を担う秋本。春の関東大会は不調でベンチを外れた=J:COMスタジアム土浦

ー春の関東大会では3年生の時岡秀輔投手が好投しましたし、1年生の中林永遠投手が県大会で公式戦デビューを果たすなど投手陣の明るい材料がありました。大川君、秋本君以外に、島田監督が期待する現時点の3枚目、4枚目のピッチャーを教えてください。

島田 難しいなあ。正直現状ではいません。時岡とか中林、2年生の石川大翔もそうですけど、経験させながら自信を付けさせようと思っているのですが、まだあの2人の次に任せられるかというとまだまだそこまで行っていないですね。ただ、大川、秋本の2人だけでは絶対に夏は勝てないと思っていますし、当然、先ほど名前が挙がってきたピッチャーには頑張って欲しいなという気持ちはありますね。

ー序盤戦では2枚のエースは温存しておきたいというお気持ちはありますか。

島田 球数制限とかそういうのはあるので、登板の間隔なんかを考えなければならないとは思うんですけど、彼らにとって高校野球の最後の大会です。1試合でも落とすわけにはいかないですよね。ですので、1試合1試合ベストのメンバーでいくしかないのではないかと思います。

春の明秀学園日立戦から4番に座る主将の田邊=ノーブルホーム水戸

夏も4番は田邊

ー田邊広大捕手は4番も板に付いてきたと思いますが、夏も4番は田邊君でいくというお考えでしょうか。

島田 打順はどうなんですかね。田邊は責任感があるので頼りになりますし、春の良い流れをそのままにしたいという思いもありますね。たぶんそうなるとは思います。

ーそのほかに三輪拓未選手や宮原一騎選手、鳥山穣太郎選手、伊藤琢磨選手など3年生の調子の良い打者を試合ごとに見極めて上位を任せているように思いますが、この辺は不動のメンバーでしょうか。

島田 3年生だけに任せるということはないですね。2年生の力も当然必要になってきます。ある意味、鳥山も宮原ももう少し頑張ってもらわないとどうかなという、下からの突き上げはきています。センバツに出たからといってレギュラー確約という訳ではないので、そういう意味ではチーム力自体は上がっているのかなと思います。最後の最後まで競争をさせますね。

ー1年生の夏のスタメン起用もありますか。

島田 それはちょっと。若い力も必要ですけども。春は当然経験を積ませたいということもありますが、夏はレベルが見合っていれば当然ベンチに入ると思います。現時点では3年生に比べれば弱いという部分がありますのでね。経験を積ませるためにベンチ入りさせるほどの余裕がないので、どうなるかなという感じですね。

ー秋本投手はバッティングセンスも大変素晴らしいものを持っていると思います。もし投げない時でも代打での起用はありますか。

島田 十分あるんじゃないですか。

春の県大会、東洋大牛久に勝利し自軍スタンドにあいさつする島田監督=ノーブルホーム水戸

母校のため、使命感が勝った

ー続きまして、島田監督のことを伺いたいと思います。去年、コーチになられたときの経緯を教えていただけないでしょうか。

島田 学校から連絡がありまして、ニュアンス的には常総を助けてくれないかという感じで話が来たんですけども、やはり僕はNPB(日本野球機構)の方で仕事をしたいという思いがあったので最初は断っていたんです。ただ、熱意というか、お話させてもらっているうちに、僕もこうやって野球界に携われているのも常総学院のおかげだし、自分の力で何とかできるのであればそれも恩返しになるのかなと思いまして決意しました。一度アマチュアに来てしまえばもうプロには帰れないので、決断するに当たって相当に迷いました。でももう50歳も過ぎていましたし、なんと言うんですかね、まあこういう、誘ってもらっている時に行かなくちゃダメなんじゃないかなっていう使命感が勝ってNPBの方は諦めたという思いで、母校のために頑張ろうという気持ちで引き受けました。

ー恩師の木内幸男監督(故人)には報告されたのでしょうか。

島田 常総にお世話になる去年3月のタイミングで一回あいさつに行って、秋の関東大会が終わった後にあいさつに行きましたので、しっかりとお話は出来ています。

ーセンバツでは6年ぶりの1勝を挙げるなど、常総ファンのみならず茨城県の高校野球ファンも県勢の久しぶりの勝利に酔いしれました。昨夏の監督就任からこれまでのことを振り返って、感想をいただけたらと思います。

島田 周りが実際にどう思っているかは分からないですけど、僕自身は本当に監督就任によって勝って当然だって思われているんだろうなとは感じていましたし、結果を残すことについてずっとプレッシャーを感じていました。僕もプロ野球界の中でやってきたので、プレッシャーには強い方かなとは思ったんですけどね。でも高校生はトーナメントなので、1回でも負けたら終わりですからそういう難しさというか、トーナメントの戦いというのもまだまだこれからも勉強すべきことだと思います。いろんなプレッシャーは本当にありましたよ。ただ、結果が少しずつ付いてきていたので、それは良いことなんでしょうけどね。余りにも順調に行き過ぎて何か怖い部分もありますよね。チームを勝たせることももちろん大事なんですけど、本当に当たり前の話で、あいさつとか整理整頓とか、それが出来ればプレーにも反映されると思っているので、そこはずっとうるさく言っていたかな。

センター前に強く低い打球を打て

ー選手とのコミュニケーションなんかで苦労されたことはないですか。

島田 なかなか僕も人見知りのところがあるので、極力選手と話そうとは思ってるんですけど、なんせ部員が100人近くいると一人一人と話すのは難しいところです。極力コミュニケーションを取ろうとは思っていますけれど、選手たちは物足りないと思ってるんじゃないですかね。

ーこのチームはバッティングがすごく良いなという印象があるのですが、バッティングは監督ご自身も経験から勉強されながら指導されているのでしょうか。

島田 全然指導してないですよ。バッティングは水ものだと思っているので。それよりは小技とか当たり前のことの方が大事かなと思っていますので、それを練習するようにしています。練習してはいますが、まだまだ出来ていないですね。後は、強く振るのも結構なのですが、形を意識して軸を意識した自分のスイングをしてくれと。センター前に強く低い打球を打てということを常日頃から言って意識させています。

悔しくてしょうがない

ー今年のチームカラーを監督の目線で解説願います。

島田 どうなんでしょう。僕もまだ分かってないというか、ああいう若い子たちをどうやったら上手く波に乗らせることが出来るのかなと、そういうことしか考えていなくて、ただその中でも厳しさも教えなくてはいけないと思っているんですよね。監督就任当時はそんなに口うるさく言っていなかったんです。ですが、センバツでのあの手も足も出なかった惨めな試合をして帰って来てですね。僕は本当に3月27日というのは悔しくて悔しくてしょうがないんですが、なんか子どもたちは悔しさも何もなくて甲子園に行ったことに満足しているように感じたんですね。ちょっとそれは違うなと思って、甲子園から帰ってからは逆に今度は口うるさく言ってきているんです。でもちょっとその状況もここに来て慣れて来てしまっているのかなという感じで、難しいなと。どうやって指導していくのが良いのかなというのはまだまだ僕も勉強中ですね。

ー就任当時は探り探りだったが今は大きな声で指示をしていると。

島田 就任していきなりは無理でした。最初は子どもたちがどういう野球をやるのかなと思ってあえて何も言いませんでしたが、やはり課題が出てからはこういうことをやっていこうということで、それが上手くいって関東大会まで行ってあのような成績になったのだと思いますね。今は甲子園に行って帰ってきてから僕と同じレベルで悔しいと思ってくれているだろうと思っていたら、違う方向に行ってしまっていたので、ちょっと待てよと。センバツから帰ってからレポートを出させたのですが、「悔しいです」とか、「一球に対する執着心がなかったです」とかいうことを書いているのですけれど、何か練習からはそういう風には見えないので、そこが転機となって結構今は口うるさく言うようになりましたね。甲子園の借りは甲子園で返すしかないと思っているのですが、なかなかそういう感じには見えないなというのが甲子園から帰ってきてからの印象ですね。

ーそれが4月だったり5月だったりという段階で、今6月を終える段階で上り調子にはなってきているのでしょうか。

島田 いや、なっていないと思いますよ。秋にギラギラしていたものが今は見えないですね。あくまで僕がそう感じているだけですよ。

ー最後に、夏の大会に向けた意気込みをお願いします。

島田 本当に3年生にとって最後の試合ですし、春のセンバツも良いところですけど、それ以上に夏の甲子園というのは良いところですので、最後はみんなで笑って終わるためにも絶対甲子園に行かなくちゃいけないなという気持ちは、もしかしたら選手以上に思っているかもしれません。当然、他校はみんな打倒常総で来ると思うので、気持ちだけは負けないように、自分たちの野球さえできれば勝てると思うので。それができなければ結局勝負ごとなので負ける可能性もありますけれど、とにかく2時間と少しの試合時間を集中して、最後まで全力プレーでできたら自然と良い結果が付いてくると思っています。(聞き手・伊達康)

つくば市議の施設観と文化センス 《吾妻カガミ》110

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくばセンタービルの中央広場にエスカレーターを付けるべきか、付けるのであれば1基でよいか、2基にすべきか。こういった議論が本サイトで盛り上がっています。市の2基設置案に対し、市議や市民から「いらない」「1基でよい」といった声が多く出たことから、市は「まず1基、もう1基は改めて検討」という妥協案で幕引きを図りたいようです。でも、議論はまだまだ続くのではないでしょうか。

この論争について、コラム「中心地区再生計画 出だしでつまずき」(5月17日掲載)の中で、私は「深地下のTX秋葉原駅にはエスカレーターは絶対必要ですが、センター広場にはどうでしょうか」とコメント。控えめに疑問を呈しました。しかし、喧々諤々(けんけんがくかく)の議論になってきたこともあり、少し頭を整理しておきたいと思います。

「広場にエスカレーター」の是非

議論は大きく2つに分けられます。1つは、エスカレーターが2階高架歩道と1階凹型広場をつなぐ設備として必要か否か、という機能面の議論です。TX秋葉原駅のように地下数階と地上をつなぎ、多くの人を混乱なく運ぶのには必要な装置ですが、歩道と広場の行き来には「いらない」でしょう。また、百貨店のように快適に買い物をしてもらう商業施設には必要でしょうが、広場=公園には「いらない」でしょう。

もう1つは、磯崎新さんが設計したセンター広場は文化遺産だから、電動自動階段を設けるのは学園都市の名所を壊すようなものだ、いや文化より利便性だ、という文化面の議論です。どちらかというと私には苦手な分野ですが、観光資源として「いじらない」方がよいのではないしょうか。

加えて、「センタービル改修めぐり市民団体討論」(6月27日掲載)中で紹介された加藤研さん(筑波大助教)の発言を読み、広場には思想性もあることを知りました。「国家がつくった都市の中心をあえて空洞にしたのは、痛烈な筑波研究学園都市批判があった」と。センター広場には、市民に絶えざる自省を促すメッセージが込められているわけです。

その広場にエスカレーターを付けることは、名画に朱の線を勝手に入れるとか、思索の場に不釣り合いな仕掛けを置くようなもの? それでは、文化や哲学に弱い私も不要と言わざるを得ません。

市議さんの「感度」を勝手に点検

各市議はどう考えているのか、「エスカレーター計画で市議会」(6月3日掲載)を取材した記者に一覧表を作ってもらいました(会派、敬称略)。

▽意見を表明せず:山中八策の会=塩田尚

▽2基が妥当だが1基でもよい:つくば自民党・新しい風=黒田健祐、長塚俊宏、神谷大蔵、小久保貴史、五頭泰誠、ヘイズ・ジョン、久保谷孝夫

▽1基でよい:つくば・市民ネットワーク=小森谷さやか、川村直子、あさのえくこ、皆川幸枝/創生クラブ=高野文男、小村政文、中村重雄/清郷会=木村清隆/つくばチェンジチャレンジ=川久保皆実

▽2基ともいらない:自民党政清クラブ=飯岡宏之、宮本達也、木村修寿、塚本洋二、鈴木富士雄/公明党つくば=小野泰宏、山本美和、浜中勝美/日本共産党つくば市議団=橋本佳子、山中真弓/新社会党つくば=金子和雄

(経済ジャーナリスト)

土浦写真家協会が8月にも発足 市出身のオダギさんが奔走

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オダギ秀さん

土浦市在住の写真愛好家を中心に「土浦写真家協会」を設立する動きが進み、早ければ8月にも設立総会が開かれる。発足に向けて奔走してきた市出身のオダギ秀さん(コマーシャルフォトグラファー)は「土浦の写真文化、写真産業が失われつつあり、これでいいのかと、ずっと心を痛めてきた。同好の人たちが集うことで、土浦の文化風土を再活性化したい」と話す。

具体的な活動としては、土浦市などが主催する写真展の後援、公民館などを使った撮影講座の開催、写真愛好家と写真関連店との交流促進、写真文化を育てるウェブサイトの運営、小規模な写真展を気軽に開ける街中ギャラリーの運営、昔の街並みなどを写した写真の保存(アーカイブ)―などを考えている。

城跡公園の雪の城門

この中でもアーカイブに力を入れる考えで、「明治、大正、昭和の土浦の諸相を記録したような、歴史的な写真を掘り起こし、協会の手で保存したい」と語る。具体的には、旧家などに残されている古い写真を提供してもらい、分類・デジタル化して保存。企画展での公開だけでなく、メディア経由での「土浦の魅力発信」も想定している。

写真文化の振興発展を願い活動

土浦生まれ・土浦育ちのオダギさんは、早稲田大政経学部を卒業した後、商業写真の仕事ほか、写真愛好家を指導する「オダギ塾」の開催、身の回りの風景などを写真で切り取った個展の開催など、多方面で活躍してきた。こういった活動をするうち、土浦の写真文化の衰退が気になり、何とかしなければと思うに至った。

霞ヶ浦の帆引き船

協会の趣意書や規約はすでに作成され、写真塾の多くの卒業生の支持も得ている。また、地元の有力者も加わった理事会メンバーもほぼ固まり、設立準備は最終段階にある。

協会の目的は「土浦市を中心とする写真文化の振興発展を願う活動を行うことにより、土浦市および周辺地域の文化育成と土浦市民および多くの人々の意義ある生涯実現に寄与する」とされている。会費は、写真愛好家など正会員が年2,400円、協会の活動を支援する企業など賛助会員が年5,000円から。(岩田大志)

◆「土浦写真家協会」についての問い合わせはshu@odagi.co.jpまで。

ワクチン接種と社会福祉 《介護教育の現場から》8

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専門学校の授業風景

【コラム・岩松珠美】梅の実や赤しそがスーパーに並び、梅干しや梅シロップを漬ける梅雨に入った。今、コロナワクチン接種が国や自治体主導で進められている。予防接種法及び検疫法の一部改正によって、ワクチン接種は同法の「臨時接種の特例」に位置付けられ、医療従事者に優先接種する形でスタートした。

65歳以上の高齢者については、ワクチン接種の進め方は自治体によってまちまちだが、自治体の大事な施策として実施されている。茨城県では、3~4月に医療従事者接種、4~5月に施設入所高齢者と従業員に接種が進められた。費用は全額国庫負担で、接種を受ける努力義務が生じる。

接種による健康被害については、国が損害賠償することになっている。つくば市、かすみがうら市、土浦市の特別養護老人ホームなどの施設でアルバイトをしている専門学校の学生たちも、介護従事者としてワクチン接種を受け、接種率は6月末までに、1年生で5割、2年生で9割に達している。

その費用は、個人負担だと1回2070円だが、国が負担する。これは、国民の健康と安全を守るのが政治の役割であるという考え方に基づく。

地域性に合った自治体の役割

社会保障制度整備と相まって、社会福祉をどうするかは国の施策の根幹をなしている。憲法第25条で「生存権」が規定され、日本が福祉国家を目指すことを宣言してからである。

国は、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、その他心身の困窮者に対し、金銭給付を講じている。同時に国民1人1人も、社会連帯の精神に立ち、それぞれの能力に応じて社会的義務が求められ、例えば保険料を納付しなければならない。

税金が高くても生活が保障されるならば構わない、という考え方も確かにある。北欧の福祉制度は最高だと言われているが、「高福祉高税金」は国民の合意として成立している。

ワクチン接種に際しても、地域のニーズに応じた良質の福祉・医療サービスを効率的に提供するために、地方自治体がその地域性に合った展開をすることが求められる。(つくばアジア福祉専門学校校長)

こんなに言っているのに改善されない 《続・気軽にSOS》88

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【コラム・浅井和幸】かなり前から、何度も何度も繰り返し言っているのに、何も改善されない。そのように感じる人は多いのではないでしょうか。それは、社会に対してかも知れないし、知り合いに対してかも知れないし、家族に対してかも知れません。ときには、自分に対して感じることもあるかもしれませんね。

「人は変えられない、自分は変えられる」ということを鵜呑(うの)みにする必要はありません。私たちはコミュニケーションをとって相手に影響を与え、相手が変わることも経験しているはずです。批判をすることも悪いことではなく、批判をすることで改善されることだってあるでしょう。

しかし、何度も繰り返し伝えているのに変わらないと感じたときに、どのような手段を今後とっていくか、とらえ直すことは大切なことです。もちろん、同じ手段を重ねることも、黙って相手が変わるのを待つことも一つの手段として有効なことはあります。ですが、多くの場面では、同じ要素が集まれば、同じ結果が表れるのは当然で、結果、同じことが繰り返されます。

例えば、「宿題やれ」とか「もっとまじめに考えろ」とか「お菓子を食べるな」とか「不正をなくせ」とかの言葉を、同じ状況で、同じように繰り返し伝えたところで、そこに集まる要素は変わらないので、材料が同じであれば同じ現象が起こり、改善されません。批判を伝える相手が敵対しているならば、同じ現象が起こるどころか、批判とは反対の方向に進み、事態は悪化します。

足りない何かを足すことが必要

もし、同じ言動を繰り返しても変わらないのであれば、そして変えたいと思うのであれば、足りない何かを足す必要があります。それが、その相手と味方の関係になることなのか、むしろその相手は無視して自分が行動してしまうのか、別の批判の仕方をするのか、足りない何かを探し試します。足りない何かは、自分がすべて背負う必要はなく、他の誰か志を共有できる誰かに動いてもらってもよいかもしれません。

また、言動を変えるということで言えば、批判をやめるということでプラスに転じることがあります。学校に行けと言わなくなることで登校できるようになったり、お互いの短所を言い合うことをやめることで、連携して物事を解決できるようになったりする例はたくさんあります。「廊下は危ないから走るな」よりも「廊下は静かに歩いた方が安全だよ」と伝えたほうがよいことがあります。

私が相談を受けてアドバイスをするときに、「来年も落第したら、もう大学をやめてもらうからな」というよりも、「あと3年は大学の費用を出す協力はできるからな」と伝えるようにとアドバイスをする場面が多くあります。「ある何かができないと、悪い未来が待っているからな」と伝え、その後に続く「だから、そうならないように頑張れよ」という言葉を端折(はしょ)ってしまうと、不安をさらに上乗せしてしまいますので、お気を付けください。(精神保健福祉士)

県産材の販路拡大期待 11、18日に森林湖沼環境税実績報告会

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夏景色の霞ケ浦=土浦市大岩田
霞ケ浦の夏景色=土浦市大岩田

茨城県による「森林湖沼環境税ー活用事業に係る実績報告会」が11日と18日、オンラインで開催される。

特に最近は、コロナ禍と働き方改革の浸透などから木材需要が高まり、県は、県産材木の販路拡大が期待される中高層や大規模建築物分野にターゲットを絞り、実際に施工した木造マンションの建材調達の方法などについて、関係者にヒヤリングを行っているという。

一方、霞ケ浦の水質浄化では、「泳げる霞ケ浦」「遊べる河川」を目指し、できる限り早期に湖水の全水域平均値でCOD(化学的酸素要求量)を1リットル当たり5ミリグラム前半の水質を目指す目標を掲げている。

中でも生活排水対策は税導入時の2008年度から積極的に取り組み、19年度までの12年間で約1万基の高度処理型浄化槽の設置補助、約7000件の下水道への接続など実績を挙げてきた。

さらに4月1日からは県霞ケ浦水質保全条例など関係条例、法令の改正に伴い、流域に立地する飲食店やコンビニなど小規模事業所の排水規制に乗り出しており、新たに罰則規定も盛り込まれていることから、期成基準の順守が期待されている。

森林湖沼環境税は、県内の豊かな森林資源の保全や霞ケ浦など湖沼の水質浄化対策を進め、良好な自然環境を次世代へ引き継ぐため導入され、2008年度から同税を活用した各種施策に取り組んでいる。

オンライン開催による実績報告会の内容は、年間約17億円(県民1人当たり年間1000円)の森林湖沼環境税を活用した事業実績を報告し、意見交換などをする。(山崎実)

◆詳しくは県環境対策課水環境室(電話029ー301ー2968)

外国語を学ぶコツ① 《ことばのおはなし》35

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コラム・山口絹記】今年になってから、本格的にドイツ語の学習を始めた。言語学を学んでいると言うと、様々な言語に明るいと思われがちだが、言語学というのは母語以外の言語を学ぶ学問ではない。私もある程度扱えるのは母語である日本語と英語、米語のみで、辞書があればある程度スペイン語を読み書き発音できる程度だ。

「またどうしてドイツ語を?」と訊かれるのだが、残念ながら自分でも理由をうまく説明できない。親の影響で小さいころから目や耳にすることが多かったから。大好きな本を原書で読みたいから。本当は学んでみたかったのに、第2外国語の履修でスペイン語に逃げたから。一度は逃げたのに何度も何度も目の前にきっかけが現れるから。

詳しく書き始めると自分語りの連載になってしまうので今は避けることにするが、私の中でwant(欲求)がwill(強い意思)になり、いつしかbe going to(決定された未来)になっていくには、多くの欲求と、やってもないのに諦めた経験が必要ということがここ数年わかってきた。経験上、もう逃げるべきでないことがわかってしまう。

こうして始めた何かは、いつか自分自身の核なるものに近づく一つの要素になっていく。

心を無にして徹底的に丸暗記

さて、自分語りはこのあたりにして、言語を研究している者として外国語を学ぶちょっとしたコツについて、しばらく書いていこうと思う(本コラムのタイトルに引かれた方はコレが気になるはずだ)。

外国語を学ぶというのは意外と簡単なのだ。まずは心を無にして徹底的に丸暗記すること。目的にもよるが、市販されている単語帳などを使って、せいぜい8000単語程度例文ごと覚えれば、おそらくスタートラインに立てる。なんだかんだコレが一番近道だ。

学習にあたっては可能な限り正確な発音を発話しながら学ぶこと。読み書きしかしないから発音は必要ないと思うかもしれないが、それは違う。ノドが痛くなるくらいには発音しておこう。

それから、できることなら1日3時間、できれば5時間ほど学習に時間をあてること。そうすれば1年ほどでカタチができてくる。正直、1日1時間では厳しい。日本人が高校まで英語を学んでも英語ができるようにならない、などという話はよく耳にするが、当然だ。学習量が足らないだけである。

そして、資金は惜しまず投入しよう。おすすめの書籍や辞書などを人に教えてもらうのではなく、自分なりにおすすめを語れるくらいになる必要がある。

楽な方法など存在しない

最後に、「日常会話レベル」というのが最高レベルだということを覚えておこう。英語で言うならば、TOEICで900点をとっても英語の小説が読めない、などというのはざらだ。

そんなの無理、と思うならば、今はまだ言語学習に対する意欲が足りていないのかもしれない。残酷な事実として、言語学習を始めとしてあらゆることに楽な方法など存在しないのだ。次回から、少し詳細なおはなしをしてみようと思う。(言語研究者)