金曜日, 6月 26, 2026
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「無償譲渡を前向きに調整」ツイッターでつくば市長 洞峰公園問題

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洞峰公園野球場

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、1月31日に行われた大井川和彦知事の定例記者会見を受けて、五十嵐立青つくば市長は同日夕方、ツイッターで「現在市として県から無償譲渡を受ける方向で前向きに調整している」などと発信した。

ツイッターはさらに「維持管理の詳細等もう少し詰めていく内容があるが、これまで県が適切に管理し魅力的な環境を維持してくれて今の洞峰公園があり、今回も県の関係者に様々なご配慮をいただいている。その環境をいい形で引き継げればと考えている」などとしている。

市公園・施設課によると、県から無償譲渡を受けるか否かの回答については、30日に電話で、市担当者が県担当者に「無償譲渡を受ける方向で検討していきたい」などと回答したという。同課は「県が求める正式な回答が文書での回答なのか分からないが、30日の電話での回答が(回答期限内の)市の回答だと思っている」などとし、「議会や市民に説明をしないと正式な回答は出せないと思う」としている。

無償譲渡を受ける時期がいつになるかは未定で、正式に決まっていない中、新年度予算案に市が同公園の維持管理費を計上することはないとしている。

無償譲渡は、公園内の野球場にグランピング施設とバーベキュー施設を建設するパークPFI事業者の計画に対し、五十嵐市長が昨年11月、計画撤回と利用料値上げを県に要望。それに対し大井川知事が12月「つくば市が自ら公園を管理するのであれば、県としては洞峰公園を無償で市に移管したい」と発言し、つくば市が「選択肢の一つ」だとして検討していた。

洞峰公園の維持管理費は年間約1億8000万円という。温水プールやアリーナがある体育館の大規模修繕については県が2017年度から27年度までの計画で現在修繕を実施中で、費用は総額8億6100万円。県は23年度から27年度までにあと3億5600万円かかると発表している。

体育館は築43年。28年度以降さらにどれくらいの修繕費がかかるかについて市は「分からないことは随時、県に確認している」などとしている。

公園内の筑波新都市記念館と体育館は著名建築家の故・大高正人が設計した。つくばの名建築の一つで、記念館は1976年、体育館は1980年に竣工した。

県、事前協議へ準備

【1日午後3時55分・追加】一方、県公園緑地課は1日、つくば市に求めているのは正式な回答だとし、1月31日までにつくば市から(文書による)正式な回答が無かったので、公園内の野球場にグランピング施設を建設する建築基準法の手続きのための事前協議の準備に入るとした。(鈴木宏子)

貴婦人に自転車で会いに行く《ポタリング日記》12

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白鳥の飛来する乙戸沼公園

【コラム・入沢弘子】「こんにちはー!」とあいさつすると、彼女は細い首を物憂げに傾け一瞥(いちべつ)をくれました。すぐに近づいてくるのは、お供(?)のマガモとオオバン。ユリカモメはホバリングしながら私を観察しているもよう。最近はバリケンガモの姿は見えませんが、樹木の上をすみかにするニワトリは健在です。

ここは白鳥の飛来する水辺、土浦市の乙戸沼公園。周囲2キロ弱の細長い沼とその周辺では、さまざまな野鳥が見られます。冬のこの時期の楽しみは、何といっても白鳥たちの優雅な姿。白く美しい羽、ゆったりとした動きは、まるで貴婦人のよう。今日も自宅から愛車BROMOTOM(ブロンプトン)でやってきました。

公園に着いたら自転車を降り、沼沿いの遊歩道を散歩します。ジョギングコースとは別に造られた水辺の遊歩道は、自然を生かした土の道。春には約400本の桜の花が、初夏には隣接する乙戸水生植物園の花ショウブやスイレンが迎えてくれます。

児童公園のスペースには小山の形の大型遊具があり、子ども達に大人気。傾斜のある滑り台はスリル満点。週末は家族連れで賑わいます。

「写真撮ってるの?」

淹れたてのコーヒーとお菓子で休憩

3周ほどしたら、沼の南西側の住宅地にある「オズワルド珈琲店」に立ち寄ります。テイクアウト専門ですが、注文の都度淹れるコーヒーと手作りお菓子はとても美味。今日は、写真を撮りながらベンチでティータイムを過ごしていたら、年配のグループが通りかかりました。

「写真撮ってるの?」と高齢男性。「はい、でもなかなか近づいてくれなくて」「いい方法教えてやるよ。こうやるんだよ」と、足元の枯れ草をつかみパーッと宙に放ちます。すると、どうでしょう。ユリカモメ、マガモとオオバンが猛スピードで接近、白鳥もこちらを注視しています。

「ほら、いま写真撮るんだよ。だましたのは鳥には悪いんだけどな」。仲間と争うように近づきながら、「グアー!グアー!」と絶叫する白鳥。白鳥のイメージが大きく変わった朝でした。(広報コンサルタント)

◆乙戸沼公園の白鳥飛来数は、土浦市公式ホームページ乙戸沼公園白鳥だよりへ。

回答無ければ事前協議準備 洞峰公園問題で知事 「つくば市は無償譲渡を前向き検討」

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グランピング施設などが計画されている洞峰公園野球場=つくば市二の宮

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、大井川和彦知事は31日の定例記者会見で「今日いっぱい、つくば市側の反応、答えがあるかどうかを見極めた上で、もし仮に無償譲渡の申し込み希望が無かった場合、粛々と事前協議の準備に入るよう企業にお願いする」などと述べ、31日までにつくば市から無償譲渡を受けるか否かの回答が無い場合、2月1日以降、パークPFI事業者が、公園内の野球場にグランピング施設を建設する特例許可を受ける行政手続きのための事前協議の準備に入るとした。

一方で大井川知事は「(つくば市から30日)事務的に、無償譲渡を受ける方向で検討していきたいという話があったと聞いている」と述べ、市が無償譲渡を選ぶ方向で前向きに検討していると明らかにした。

その上で「まだ(市から)最終的な答えは現時点でいただいてない」とし、つくば市の検討が期限の31日に間に合わなかった場合は、市の検討と県の事前協議の準備が両方、並行して行われることになり、その際は「事前協議にかかった費用や補償をどうするか、つくば市と話し合いたい」とした。

洞峰公園をめぐっては、昨年12月の知事会見で大井川知事が「つくば市が自ら管理するのであれば洞峰公園を無償で市に移管したい」などと述べた(22年12月2日付)。これを受けて五十嵐立青つくば市長は市長会見で「(無償移管を受けて)市が管理することも選択肢の一つ」だなどと応じた(22年12月8日付)。大井川知事は今月13日の定例会見でさらに「今月いっぱいをめどにつくば市の方から何らかの回答をいただけるようにお願いをしている」と、市の回答期限を1月31日に設定していた(1月16日付)。

田舎の仁王像 《写真だいすき》16

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【コラム・オダギ秀】今回は、県指定重要文化財の金剛力士像を撮影した時のことを話そうと思う。田舎の、いわゆる仁王像だ。

その像は、室町時代後期の作と推定されているようだが、今は廃寺となっている寺の山門に安置されているということだったので、その寺跡を訪ねた。地図をたよりに、田舎道をしばらく走った。ほぼ、ここだ、という地点周辺で、道を行く方に、それは何処かと、何度か尋ねた。

ところが、みんな、「さあ?」と、首をかしげる。重要文化財なのに、100メートルぐらいの近所の人でも、それが何処なのか知らないのだった。通りから数十メートル入ったところに崩れかけた山門があり、探していた金剛力士像が、壁に寄りかかるようにしておった。

壁は崩れていたから、像高2メートル以上の吹きさらされた木像は、彩色ははげ落ち、素地があらわになっていたが、かえって木目の表現の巧みさが強調されていた。彩色がはげ、欅(けやき)の地肌をあらわにしたこの金剛力士像は、阿形(あぎょう)、吽形(うぎょう)ともに、全身を覆う紋様状の木目を見せていた。

その木目は、胸から手指の先に至るまで、信じられぬほど計算尽くされていて、震えがくるほど美しい表現となっていた。筋肉は、忿怒(ふんぬ)の形象そのものであり、そのはち切れんばかりの隆起は、この仁王を生んだ仏師の、確信と自信にあふれた意志の強さを表していると思えた。

見えぬところにこそ精を尽くす

もともと当初は彩色を前提としていたものなのだから、この木目の表現は、人に見られることなど想定していなかったはずなのだ。それにもかかわらずに、見えぬところにこだわり抜いた仏師のすごさが、数百年の歳月を経てなお伝わってきた。

目先の見映えにこだわるのではなく、見えぬところにこそ精を尽くす、という職人の心根に、ボクはまいった。首をひねり、足を踏ん張り、力のこもった金剛力士像は筋骨たくましく、ひるがえる裙(すそ)とともに、ボクらの薄っぺらな心を凝視している気がした。

文化財として指定すればそれでよしとする、今の人々の安易さと、それを取り巻いているボク自身、忿怒の面貌は反省を促した。この像は、名もない仏師のこだわりと自信と確信なのだ。山門の羽目板の隙間から、遠く街道を行く車の音とともに、午後遅い風が吹き込んでいた。(写真家、日本写真家協会会員、土浦写真家協会会長)

都市計画変更を可決 旧総合運動公園用地と吾妻70街区 つくば市都計審

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30日開かれたつくば市都市計画審議会の会場入り口=市役所2階

つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)と吾妻70(ななまる)街区 国家公務員宿舎跡地(同市吾妻、約6.4ヘクタール)の都市計画変更について審議する市都市計画審議会(会長・大村謙二郎筑波大名誉教授)が30日、同市役所で開かれ、いずれも異議無く可決した。2月上旬に県と協議し、同中旬に都市計画変更を決定する予定という(22年11月11日付10月11日付)。

旧総合運動公園用地は2015年、住民投票で計画が白紙撤回され、昨年、市土地開発公社が外資系物流不動産会社グッドマンジャパンつくば特定目的会社に約110億円で一括売却した。データセンターや物流拠点が建設される計画。吾妻70街区は土地所有者の財務省と市が、イノベーション拠点と中高層住宅などのスマート街区を誘導する計画。

都市計画審議会では、旧総合運動公園用地を、現在の第2種住居地域から倉庫などが建設できる準工業地域に変更する用途地域変更に対して、市民4人から意見書の提出があり、「売却先の企業の便宜のために都市計画変更をすることは、事実上の利益供与に当たる。これが許されるなら市民からの同様の要求の場合でも都市計画変更が可能になる。都市計画変更はマスタープランに合致している必要がある。当該地は研究拠点都市の研究・教育施設用地として規定されており、準工業地域にすることは趣旨に反する」などの反対意見が出されたことなどが報告された。

委員からは「環境アセスメントはどうなっているか」「第三者に譲渡された時、防災拠点施設が維持される担保はあるか」「(データセンターや物流拠点の配置等の)レイアウトはどの程度進んでいるのか」などの質問が出て、市担当者は「環境アセスの対象ではない」「仮に事業者が変わっても協議の中で継承的なものを定めていく」などと答えた。

現在の進ちょくについて市は「グッドマンジャパンと日々連絡をとっている」とし「(配置は)基本的にプロポーザル提案の計画案がベース。北側2棟が物流拠点で、データーセンターが全部で7棟、南側の1割が防災拠点」になると説明し、現在、事業者のグッドマンは(用地の整備、開発方針など)マスタープランの作成、実施測量、エンドユーザー(入居企業)の意向確認などを進めていることを明らかにした。マスタープランは早ければ年度内か年度初めに出来上がるとし、開発行為の手続き後に、樹木の伐採や伐根を進めていくと認識しているとの見通しを示した。

一方、吾妻70街区 国家公務員宿舎跡地の都市計画変更に対しては市民から意見書の提出は無かった。委員からは、今後のスケジュールなどについて質問が出て、市担当者は「二段階一般競争入札(22年3月22日付)を行う時期などは確定してない」などと答えていた。(鈴木宏子)

障害者との対話から社会変革へ つくばの理系女子、障害平等研修を開催

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研修を主催する青木優美さん=つくば市吾妻、つくばセンタービル1階

総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科(つくば市大穂)の修了生で、現在つくば市内の企業に勤める青木優美さん(29)が主催する「障害者と考える“障害”ー障害平等研修@つくば」が、来月1日、つくば駅前のつくばセンタービル(つくば市吾妻)で開催される。障害者が進行役(ファシリテーター)となり、参加者と対話しながら、共生社会をつくるためにどう行動するかを考える。

青木さんは、視覚言語である手話を使って、科学をイメージとして理解しやすくする実験教室など、障害のある学生が科学を学ぶハードルを低くする取り組みを計画している。まずは、どうすれば障害のある人とない人が共に暮らしやすい街になるのかを、障害当事者や地域住民と一緒に考えたいと、今回の研修を企画した。

健常者を前提にした社会を変えたい

3年前、青木さんは、つくばで研究する大学生・大学院生の交流を目的とした「つくば院生ネットワーク」のメンバーだった。聴覚障害の学生は学会発表をするために手話通訳を自分で手配する必要があるなど、他の学生なら必要のない苦労をしなければならないと知った。

そこで、2020年3月、最初から手話通訳や文字通訳がついている「みんなの学会」を企画した。その後も、聴覚や視覚に障害のある学生と関わり、「みんなが等しく学べる環境をつくりたい」と思っていたところ、障害平等研修=メモ=の存在を知った。「地域の人たちと一緒に、研修を受け、今後の活動につなげたい」と、今年1月「つくばインクルーシブプロジェクト」を立ち上げ、最初の企画として、障害平等研修を開催する。

寝たきりの障害者も病室から参加

ファシリテーターを務める石川明代さん(石川さん提供)

同研修当日、会場で中心となって研修を進めるのは、自身も車椅子ユーザーである都内に住む石川明代さん(56)。障害平等研修を通して社会変革を目指し、国内外で多くの研修を実施している。その功績が認められ、昨年には、国連が掲げるSDGsの17の分野で著しい貢献をした個人や団体などを顕彰する「岩佐教育文化財団」(東京都豊島区)の第1回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞を個人で受賞。その賞金をもとに、現在、各地を回り、障害平等研修を実施している。

研修では、NPO法人「障害平等研修フォーラム」(東京都大田区)のファシリテーター養成講座を修了した寝たきりの障害者も、全国各地の病室などから分身ロボット「オリヒメ」(オリィ研究所開発)を通して参加する。「今後、寝たきりの障害者もファシリテーターとして活躍できるようにしたい」と石川さんは話す。

研修を主催する青木さんは「障害のない自分が普段、不便を感じずに生活できているのは、この社会が障害のない人を前提につくられているから。このことに気づかないと、誰かを傷つけてしまう可能性もある。障害のある人もない人も住みやすい社会に変えるために、お互いを知るきっかけになれば」と話す。(川端舞)

◆「障害者と考える“障害”―障害平等研@つくば」は2月1日(水)午前9時~正午、つくばセンタービル1階co-en(コーエン)で開催。参加費は一般1000円、学生500円。申し込みは当日まで可能。申し込みはhttps://tsukuba-det.peatix.com/から。

※メモ
【障害平等研修】障害者自身がファシリテーターとなり、障害者を排除しない組織づくりを考える研修。英国で障害者差別禁止法を推進するための研修として実施され、現在、世界39カ国で実施されている。日本では、障害平等研修フォーラムがファシリテーターを養成し、ユニバーサルデザインの社会づくりに向け、企業や自治体などで展開されている。オリンピック・パラリンピック東京2020大会ではボランティアの事前研修に取り入れられた。

凍った滝《短いおはなし》11

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凍った滝

【ノベル・伊東葎花】

朝ご飯を食べていたら、タケちゃんがやってきた。

「よう、みっちゃん、朝めしか?」

「見たらわかるでしょ」

「滝を見に行くべ。すっかり凍ってる。あんな滝はなかなか見られねえ」

「これだけ寒けりゃ滝も凍るでしょ」

「なあ、早く行くべよ。昼になったら溶けちまう」

タケちゃんがあんまり急かすものだから、箸を置いてタケちゃんの軽トラに乗り込んだ。

タケちゃんは幼なじみ。

2年前に夫を亡くしてから、何かと理由をつけてやってくる。

心配してくれるのはありがたい。

子どもたちは都会にいるから頼れないし、男手が必要な時もある。

だけど幼なじみとはいえ男。ご近所の目も気になる。

そう思いつつも、気心知れたタケちゃんに、つい甘えてしまう。

朝の空気は、寒さを通り越して痛いほどの冷たさだ。

滝は見事に凍っている。

豪快に流れる音もなく、全ての時間が止まったように白く固まっていた。

「すごいべ」

「そうね。だけどさ、滝はどんな気持ちだろうね」

「はあ? 滝の気持ち?」

「だってさ、ドドドと落ちるのが滝の醍醐味(だいごみ)でしょ。それをあんな形で凍っちゃってさ、動きたくても動けないんだよ」

「ははは、みっちゃんは相変わらず面白いな」

私は凍った滝と自分を重ねた。

夫がいたころはあんなに活動的だったのに、今じゃ庭に出るのも億劫(おっくう)になっている。

見事に凍った滝を見ても、以前ほど心は動かない。

「なあ、みっちゃん、ずっと前、俺たちが若いころ、一緒に滝を見たよな」

「ああ、そんなこともあったね」

「俺さ、あのとき、みっちゃんにプロポーズしたんだ。だけど滝の音がうるさくて、俺の声は届かなかった。何度も聞き返されて、しらけちまった」

「そう。じゃあ、あのとき滝が凍っていたら、人生変わっていたかもね」

「よく言うよ。都会から来た二枚目と、さっさと結婚したくせに」

「あはは、しょうがないよ。一目ぼれだったもん」

本当は聞こえていた。タケちゃんの声は滝より大きかったから。

だけど聞こえないふりをした。この人を、友達以上には思えなかった。

タケちゃんは結局、誰とも結婚しなかった。

「なあ、みっちゃん、俺たち一緒にならないか? お互いひとりだし、年も取ったし、支え合って生きて行こうよ」

突然、タケちゃんが大真面目な顔で言った。

困った。滝は凍って静かな朝だ。聞こえないふりができない。

「じゃあ、お友達から始めましょう」

「もう友達だべ。みっちゃん、相変わらず面白いなあ」

タケちゃんが大笑いしてくれて、ちょっと救われた。

私たちは一生涯の茶飲み友達。それがいい。

日が射して、滝がひとすじ流れ出した。

私も止まってばかりいられない。

「タケちゃん、私歩いて帰る。滝を見たら無性に歩きたくなった」

「はは。みっちゃんはやっぱり面白い」

(作家)

香りでおもてなし《令和楽学ラボ》22

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セキショー アロマ

【コラム・川上美智子】関彰商事グループの事業所では、昨年度末より、お客様サービスの一つとして「香りでおもてなし」をスタートさせました。みらいのもり保育園(つくば市)でも、玄関と化粧室にアロマの瓶を置いて、香りを楽しんでもらっています。

専門領域である香り成分の機能性研究をしていた大学勤務の時代に、企業の香りづくりを思い立ち、要望があればお手伝いしています。その第1号は筑波銀行でした。香りを大切にされていらっしゃる藤川雅海前頭取からの依頼で、筑波銀行オリジナルの香りの調合を大手の香料会社に依頼し、顧客サービスとしてお店で流しました。それにより、その店舗の取引が上昇し、お客様の滞在時間が長くなったと聞いています。

第2号が、現在お世話になっている関彰商事です。関正樹社長の関彰商事ならではの香りを作りたいという思いを形にするため、4年前、社内に香りプロジェクトを立ち上げられました。語呂合わせから、アヤメ科の「セキショウ(石菖)」の香りも香料会社に調合してもらいました。この香りは個性が強すぎてボツになり、最終的には今、店舗などで嗅ぐことのできる、かんきつ系のグレープフルーツを想起させる爽やかな甘い香りに落ち着きました。

新型コロナの感染拡大の影響で、香りを希釈するエタノールが高騰するなど、実現までには紆余(うよ)曲折がありましたが、昨年には社内のデザイナーがアロマ・オイルを入れる涼やかな容器瓶を完成させ、実現に至りました。アロマの利用法としては、ディフューザーで空間に流す、手指消毒やルーム用のスプレーに賦香(ふこう)する、名刺に賦香するなど、様々な香粧(こうしょう)品が考えられますが、自社内利用の展開が期待されます。

香りは生命を支える重要な物質

ところで、香気物質はppm単位(100万分の1)の、ごく微量で嗅覚を刺激して環境やモノの情報を伝える情報伝達物質の機能をもっています。それは、ヒトだけでなく、地球上の動植物にとっても不可欠の情報伝達物質として働いています。一つの食品に含まれる通常100種以上の香気化合物が、その食品の特性となって、我々にりんごかイチゴか、あるいは新鮮だとか腐っているかを伝えてくれます。

食品は、着香やマスキングの目的で香料(フレーバー)を添加する際には体内に取り込まれることから規制が厳しく、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物のほか、厚労大臣が指定した食品衛生法施行規則別表第1に記載された指定添加物と3284物質の香料(使用の際は一括名称のエステル類で記載)のみが使用可能となっています。

化粧品に関しては、業界の指針はありますが、企業の自己責任で使用が認められています。また、医薬部外品(1%以下は規格省略)と医薬品(0.1%以下は香料微量の記載で可)に関しては、承認行為が求められています。香りは人間や動植物にとって生命を支える重要な物質ですが、それぞれの性質をよく知って利用する必要があります。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園長)

最優秀賞に山口栄司さん 土浦の写真コンテスト表彰式

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表彰式には13人が出席した=土浦市大岩田、国民宿舎水郷

第17回「土浦の写真コンテスト」の表彰式が28日、土浦市大岩田の国民宿舎水郷「霞浦の湯」2階会議室で開かれた。主催は同市観光協会(中川喜久治会長)。最優秀賞(茨城県知事賞)に選ばれた、つくば市在住の山口栄司さん(80)ら13人が出席し、表彰を受けた。

市内の景観・催事などをとらえた、本人撮影のおおむね3年以内の作品という条件で、昨年秋に募集され、県内外から68人、248点の応募があった。審査の結果、8月の「キララまつり」を撮った山口さんの「彩り鮮やか」のほか、宮本尚男さん(阿見町在)の「ちびっ子ライダー」、糸賀一典さん(千葉県柏市)「レンコン収穫」、仲沢彩さん(土浦市)の「茨城クロス・決戦は土浦で!!」の優秀賞3作品、入選16作品が選ばれた。

表彰を受ける山口さん(左)

最優秀賞受賞の山口さんは「趣味で催事の写真を撮っているが、このような素晴らしい賞をいただけてうれしい。今後も技術を磨き応募していきたい」と語った。

審査員のオダギ秀さん(75)(日本写真家協会会員・土浦写真家協会会長)は「昔は撮るぞーっと構えている写真が多かったが、最近は気楽に撮っている人が多くなった。土浦の良さが自然に伝わってきて、好感が持てる。今後も幸せを感じた瞬間を撮り続けて欲しい」と感想を述べた。(榎田智司)

◆展示会は29日から3月3日まで土浦まちかど蔵「野村」(土浦市中央)で、同4日から31日まで小町の館(土浦市小野)で開催。入選作品は土浦市観光協会のホームページに掲載されている。

ナラ枯れ対策 子どもたちの活躍《宍塚の里山》97

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カシナガバスターズに表彰状

【コラム・小礒慶子】みなさま、ナラ枯れという言葉を聞いたことがありますか? どんぐりの木が夏に急に枯れてしまう病気です。全国的にも問題になっており、茨城県内では2020年につくば市で被害を確認し、3年間で被害が急拡大しています。これは体長5ミリほどの甲虫カシノナガキクイムシ(カシナガ)が原因です。

私たちの会でナラ枯れ対策ボランティア活動をしている小学生とその保護者5家族が「カシナガバスターズ」です。活動場所は土浦市にある宍塚大池周辺の里山です。

カシナガは一生のほとんどを木の中で過ごし、5~10月に成虫になり木から出て、健全なナラ類の木へ飛来します。カシナガは樹幹に爪ようじ程の小さな穴をあけ穿入(せんにゅう)し、ナラ枯れの原因となるナラ菌を持ち込みます。カシナガの繁殖力は強く、1ペアが木に入り込むと翌年には数百匹に増えてしまうので、この期間にできるだけ多く捕獲するのが重要になります。

捕獲するために、A4クリアファイルを使ったトラップを作り、狙われている木に設置します。トラップにかかったカシナガが逃げ出しにくいように、捕虫部分に水を入れる構造ですが、カシナガ以外の虫も入ってしまい、水死していました。一昨年この問題を解決するため、小学生の兄弟が、大きな虫が入らないようにネットをつけ、トラップを改良してくれたおかげで、昨年はたくさんの虫を救済することができました。

被害木は、21年は13本、22年は56本と拡大をしたので、トラップの設置数も増えました。真夏の暑さと蚊やスズメバチが飛び交う中での水替え・回収作業は大変でした。そこで作業時間を短縮するために、トラップの代わりにレジャーシートやラップなどを幹に巻く実験も行いました。そのほか、情報の共有化のため、被害木に番地をつけ、マップを作りました。

環境科学センターでナラ枯れシンポ

子どもたちのカシナガへの質問・疑問などを県南農林事務所に相談し、昨年8月には森林研究所の博士らそうそうたるメンバーで、小学生を対象にしたナラ枯れ勉強会を開催してもらいました。そのおかげで、子どもたちのナラ枯れの知識や意識が高まりました。

子どもたちが夏休みの自由研究やコンクールでナラ枯れの活動発表し、いくつか表彰されました。昨年12月には、宍塚の自然と歴史の会が主催したナラ枯れシンポジウム(会場は土浦市の霞ケ浦環境科学センター)で、小学生の活動報告の発表をさせてもらいました。

後日、7人の子どもたちの頑張りに、会の森本理事長から表彰状とプレゼントを頂き、子どもたちは大喜びでした。本当に多くの方たちのご協力で、親子ともどもプライスレスな経験をさせていただき感謝です。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

近代化の主役、鉄道を楽しむ乗りテツ 《遊民通信》57

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【コラム・田口哲郎】
前略

2022年は鉄道開業150年、日本初の鉄道が新橋―横浜間で営業を開始した記念すべき年でした。鉄道が150周年ということは、日本の近代化も150周年ということになります。もちろん、どのタイミングを近代化のはじまりとするかは、いろいろ意見があると思います。しかし、人びとの生活を実質的に大きく変えたという意味で、鉄道は近代化の象徴と言えるでしょう。

開業以来、鉄道は人びとの生活に影響を与え続けてきました。いや、支配し続けてきました。コロナ禍の前まで、鉄道の特権的地位は揺るぎないものでした。自動車や飛行機があるではないか、と言われるかもしれませんが、車や飛行機の普及は鉄道よりもずっと後です。近代化を先頭切って突き進んだのは鉄道です。

鉄道は人の移動と物流を激増させ、中央集権的な社会をつくりあげました。江戸時代は人びとの社会単位は村でした。今よりずっと小さい村が無数にあり、それを藩がまとめていました。その限られたテリトリーを鉄道はうちこわして、大きな単位でも人びとが生活していける経済圏を成り立たせたのです。

さらに、鉄道は人びとの時間の感覚を近代化しました。むかしは徒歩や馬の速さでまわっていた時が、鉄道の速さで流れます。定時運行とスピードが、人びとの生活を仕切るようになったのです。ようするに、のんびりがセカセカになりました。資本主義経済が人びとの欲望を刺激して、もっと豊かに、よりはやく、より安く、がよしとされる社会の誕生です。

コロナ禍で人間の物理的移動が広い範囲で制限されてはじめて、鉄道の存在意義が問われることになりました。自動車、飛行機だって人や物を乗せて移動するので、電子情報だけをのせる通信網に速さではかないません。

近代化を楽しむ内田百閒

さて、近代化の申し子、鉄道はふつう、目的があって乗ります。目的地に行くため、帰宅するためです。その繰り返しの日常が通勤、通学であり、たまに旅行というわけです。

その場合、鉄道は手段であって目的ではない。鉄道網は日本全国にはりめぐらされて、もはやあたりまえになりました。鉄道が社会にあふれています。そうなると、鉄道を手段ではなくそれ自体を楽しむという人がでてきます。いわゆる鉄オタです。鉄道に乗る、写真に撮る、模型にする、を楽しむのです。

鉄オタの元祖は内田百閒(ひゃっけん)でしょう。『阿房列車』という、目的なく鉄道に乗る体験を書いたエッセイをのこしています。百閒先生は「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思ふ」と、目的必須の近代化を鼻で笑うような意気込みで乗りテツの楽しさを味わうのです。

時間に追われる社会で苦しみながら鉄道に乗らねばならない庶民のかなしさを、独特の方法で励まそうとしているように思えます。なぜなら先生は貧しかったのに、借金までして乗りテツしてたんですから。ごきげんよう。

草々
(散歩好きの文明批評家)

大河人気やまず、常時販売へ 「常陸の不死鳥」小田氏居城の御城印

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28日から販売される三種類の御城印

何度負けても再起する。その生き様が「常陸の不死鳥」とも称される戦国武将、小田氏政とその居城小田城をあしらった御城印の常時販売が28日から、小田城歴史ひろば案内所(つくば市小田)で始まる。小田氏の始祖、八田知家がNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のなかで取り上げられた昨年、同所で期間限定で販売されていた。県内外から訪れる「大河ファン」の声も販売再開を後押しした。

近年、神社や寺院による「御朱印」がブームとなる中で、土浦城などでも販売される「御城印」が人気を博している。小田城跡への来場者から多数寄せたれた「御朱印販売」の要望の声からつくば市は、昨年10月15日から11月20日にかけて日曜、祝日などに御城印を試験的に販売した。その後も各地から問い合わせが相次いだ。

小田の魅力知る機会に

案内所入り口には、来館時に撮影された俳優・市原隼人さんの写真が置かれている

御城印が販売されるのは、1987年まで土浦と岩瀬をむすんだ旧筑波鉄道小田駅跡にできた「小田城歴史ひろば案内所」。サイクリングコース「つくば霞ケ浦りんりんロード」の休憩所にもなっている。田園風景の中に残されたかつてのプラットフォームに、筑波山に向かう観光客や土地の産物、花崗(かこう)岩などを運び賑わった往時の面影が浮かぶ。

案内所内では、同地を拠点に鎌倉時代から戦国時代にかけ約400年間、常陸国南部一帯を支配した小田氏15代の歴史が展示されている。入り口近く設置される、八田知家を演じた市原隼人さんの来場時の記念写真もファンの目当てになっている。案内場の担当者は、「大河ドラマの影響は大きい。他の番組でも取り上げられてお客さんが増えている」と話す。

小田城跡は1935年に国の史跡に指定された。本丸跡は2009年から7年かけて復元され、2016年に案内所とともに「小田城歴史ひろば」としてオープンした。周囲には、奈良西大寺から来た鎌倉時代の高僧・忍性が布教や病人救済の拠点とした宝篋(ほうきょう)山や筑波山の峰が間近に迫る。担当者は「より多くの方に、小田氏や八田氏のことを知っていただきたい。旧小田駅の周辺地域の歴史への関心にもつながれば」と話す。

小田城跡のひろばから、筑波山を望む

販売される御城印は、小田氏の家紋である六州浜をあしらった通常版、小田氏最後の城主で、「常陸の不死鳥」と称される小田氏治をイメージした不死鳥版、氏治の肖像画に描かれた猫をモチーフにした愛猫版の3種類。1枚300円で、和紙の質感にこだわった大礼紙を使用。転売防止のため購入は1人各種3枚までとしている。売り上げは市の歳入とし、文化財展示施設の管理等に充てられる。会場では、「つくば市の文化財」(700円)と「筑波町史(上・下)」(各巻3500円)の図書販売も開始する。価格はいずれも税込み。(柴田大輔)

◆問い合わせ つくば市教育局文化財課(029-883-1111)

つくばシルクロード 《映画探偵団》60

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】映画史に燦然(さんぜん)と輝く『マッドマックス』シリーズ。来年には、第5作『マッドマックス ザ・ウエイストランド』が公開される。

第1作『マッドマックス』(1979)はオ一ストラリア映画として低予算で製作され、世界中で大ヒットした。その当時、私はポスターのイラストがチ一プだったため、警官と暴走族が争う、ただのカ一アクション映画かと思い見なかった。

ところが、第2作『マッドマックス2』(1981)を見て仰天する。核戦争後の石油不足の近未来が舞台で、元警官マックスと暴走族ヒューマンガス一味とのガソリンをめぐる戦いが斬新に描かれていたからだ。近未来なのに古代神話を思わせる不思議な作りで、なぜか懐かしい思いにとらわれた。この感じはどこかで体験したことがある。それが映画PR用の新聞記事で謎が解けた。

映画プロデューサー・ケネディ、脚本家・ヘイズ、悪役を演じたウェルズが子ども時代に夢中になった日本のテレビ番組があった。タイトルは『SAMURAI』。1960年代に、日本の少年たちに忍者ブー厶を起こしたテレビ時代劇『隠密剣士』である。公儀隠密・秋草新太郎と忍者との戦い。『マッドマックス』には忍者の要素が入っていたわけだ( 監督ジョ一ジ・ミラーは無声映画バスター・キートン作品をイメージ) 。

第3作『マッドマックス サンダードーム』(1985)では、マックスが、女ボスの支配する物々交換バ一タータウンと伝説の救世主を待ちこがれる少年少女たちの世界に巻き込まれる。映画はどんどん昔の文化へと戻っていく。

4作『マッドマックス』の世界

前作から30年後の第4作『マッドマックス 怒りのデス・ロ一ド』(2015)では、主人公マックスがメル・ギブソンからトム・ハ一デイに代わり発表された。

ここでは核戦争45年後が舞台。人間の毛髪や、ありとあらゆるスクラップの再利用が行われ、何ひとつ無駄にしない暮らしが描かれる。しかし、そうした世界をコントロールするのは「砦」の独裁者イモータン・ジョーで、放射能に汚染されていない水を支配している。この「砦」の暴君から逃げ出す女性が、フュリオサと5人の子産み女。この追跡にマックスが巻き込まれる。

フュリオサたちは「緑の国」をめざすが、マックスは逃亡してきた「砦」には水も野菜もあり、そこが目指すべき「故郷」だと引き返すことを提案する。フュリオサは納得し、マックスと協力して独裁者と戦うため引き返すことに決める。

洞峰公園のベンチで考えた

世界の状況はだんだん映画『マッドマックス』シリーズに近づいて来ているのではないか。私には洞峰公園の野球場の青いベンチで未来を想像する習慣がある。

「洞峰公園」「つくばセンター」「北条つくば古道入口」「神郡(かんごおり)・蚕影(こかげ)神社」「臼井の坂道」「筑波山」は、ほぼ1直線につながっている。この道を養蚕発祥の「金色姫伝説」にちなみ、「つくばシルクロード」と名付けている。

「スマートシティ」「ス一パ一シティ」の近未来が進めば進むほど、古い歴史・文化が眠る「つくばシルクロード」が目立ってくると信じているのだが、いかがであろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

大雪注意報明けて快晴 筑波山に雪景色

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朝日を受けて赤く映える筑波山の雪景色=25日午前7時ごろ つくば市臼井(撮影・榎田智司)

この冬一番の非常に強い寒気の影響で、24日夜、茨城県全域に大雪注意報が発令された。水戸市で7センチの積雪を観測する(水戸地方気象台)などし、つくば市でも夕方から夜にかけて雪が降ったが、一夜明けて25日は朝から快晴となり、この冬はじめて白い筑波山が姿を現した。

筑波山の初冠雪は昨年12月6日(同日付)だったが、当日は雲がかかっていて、ほとんど見えなかった。大雪注意報は24日深夜には解除され、25日午前10時現在、県内には強風注意報が出されている。

関東地方に雪を降らすのは、南岸低気圧に寒気が入り込んだ時で、その影響から日中でも気温が上がらない。気象庁によるつくば市(舘野)の25日の最低気温はマイナス4.2度(午前5時)。午前10時になっても気温は氷点下だった。

26日の朝はさらに厳しい冷え込みとなる見込みで、日本気象協会の予報では、つくば市、土浦市とも最低気温マイナス6度となっている。

自然への関心が出発点 《菜園の輪》10

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福島さんと無農薬野菜畑

【コラム・古家晴美】つくば市内に住む福島繁実さん(80)、裕子さん(70)ご夫妻にお話を伺った。お2人とも自然環境への関心が高く、特に、繁実さんは40年近く「日本野鳥の会」に所属し、自然を見つめてきた。野鳥の種類も目に見えて減少してきた。少しでも、在来の生物が生きやすい田畑を作りたいという気持ちに、今も変わりはない。

福島さんと「農」との関わりが本格的に始まったのは、20年ほど前に仕事を退職してからだ。無農薬野菜を栽培する同志が見つかればと、1人で無農薬野菜の栽培と配達の会社を設立した。

しかし、無農薬栽培はそれほど甘いものではない。3分の1は、虫に食われダメになる。さらに、それを顧客に提供するために選別すると、半分ぐらいの量になってしまう。売るためには、ある程度、品物の見た目がよくないと受け入れてもらえない。

会社は7年間続けて閉じたが、野菜作りは今でも継続中だ。販売はせず、自分と仲間で消費し、余った野菜は知人や近所の人におすそ分けしている。畑は、現在3カ所で、合計400坪(約1.3ヘクタール)に広がった。

無農薬での栽培は、驚くほどに根気がいる仕事だ。農薬を使わないという人でも、ソラ豆だけには使う、という話をよく聞く。アブラムシがすごい。しかし、福島さんの場合、まず、アブラムシが嫌うシルバーマルチ(アルミ粉末利用フィルム)の覆いをする。それでも、もし出始めたら、牛乳を薄めたものを散布する。それでだめならば、茎の先端の軟らかい部分を切る。アブラムシはここから侵入するが、ここを切っても鞘(さや)には影響しないからだ。

栽培野菜をパソコンに記録

この他に、厳冬期に耕運機で2回くらい土を耕す。いわゆる「寒起こし」だ。そうすると農薬を使用せずとも、氷点下で病害虫が死滅する。雪の降った年は、作物の収穫がよいこともあるそうだ。

また、堆肥の使用も欠かせない。自宅の生ごみ処理機で堆肥化したごみと刈り取った草などを畑で山積みにし、年に2回前後切り返す。下の方がほぼ土のように分解されているのでそれを畑にまく。

しかし、勘のみに頼って、野菜を栽培しているわけではない。温暖化現象が顕著になってからは、かなり前から気候を気象庁の季節予報などで確認している。一方、連作障害にも配慮する必要がある。年2回、どこの畑で何を栽培したかをパソコンで記録して、その年から過去3年分さかのぼり、一目で見られるようにまとめている。

近所の農家の余った畑を借りて、現在、1ヘクタール以上になってしまった菜園。野菜栽培は様々な種類があるので、米作りよりも手間がかかる。しかし、アイデアマンの福島さん。この畑の一部にもち米の陸稲(短稈=たんかん=の品種)を栽培しようかと考えている。陸稲ならば、足場が悪くなく、かつ短稈は背が低いので、子どもでも収穫できる。ファミリー向けのレクレーションにならないか、ということなのだ。

ただし、高齢化は否めない。農業に関心がある方、是非、お手伝いに行ってください。おいしい、野菜やお米をいただけますよ。「グリアカ農園仲間」で検索を!(筑波学院大学教授)

3億円の「こだわり」住宅 つくば市花畑で販売開始

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モデル住宅の模型=ミヨシ・アセットコンサルティング提供

不動産企画販売のミヨシ・アセットコンサティング(本社・東京都文京区)が、ガレージハウス、露天ジャグジー、ボルダリングウオール(岩登り壁)、シアター兼音楽ルームなどを備えた「こだわり」住宅の販売(建築条件付き宅地分譲)を開始した。場所はつくば市花畑3丁目。665平方メートルの敷地(4800万円)に、好みのプランを選択・注文して完成させる住宅(モデルは2億2500万円)を提案している。

昨年末から告知を始めた同社の橋本勉社長は「当社は住宅メーカーが扱う既製の住宅ではなく、設計者が創造力を働かせて各種プランを提案、購入者が想像力を膨らませて自分のアイデアを追加する、そんな住宅を提案している。約3億と高額だが、東京や外国の富裕層、つくばの資産家の『こだわり』にマッチすると思う。住環境が整った研究学園都市は、当社の提案が受け入れられる可能性に満ちている」と語る。

岩登り壁、防音視聴室、天体観測…

「ミヨシ」が用意した参考プランによると、建物は1階+2階+ルーフ(屋根)テラスから成り、延床面積が291平方メートル。書斎を併設した3台収納可能なガレージハウス、リゾート気分を味わえるジャグジー、体力を強化できる岩登り壁、ピアノなどの演奏にも使える防音室のほか、天体観測ドーム、家庭菜園、展望テラス、図書兼仕事室、バーベキュー用デッキ、ドッグラン(ペットの遊び場)などの配置を提案。

1階・2階・ルーフの間取り概略図

冷暖房は電気エアコンでなく、床下に熱を蓄える水パイプを敷き詰める「水蓄熱式床冷暖房」システムを提案している。この設備だと、温冷風が体に当たらず、快適さが増すと同時に、非常時の生活水備蓄にも活用できる。さらに、人やペットが1~2階を移動できるバリアフリー・スロープを標準装備している。

遊び心もある住宅の設計を担当する一級建築士の前田敦さんは「これまで大量に供給されてきたn(何)LDK型の住宅では、多様化した価値観や自分らしい『こだわり』を満たすことができない。そこで、従来型の住宅形式に創造的空間をまとわせるように配し、こだわりのあるクリエイティブな生活スタイルを自分の好みで創造できるよう、いろいろ提案している」とデザイン意図を説明する。

つくばで全国初の新タイプ提案

この種の住宅を「ミヨシ」が扱うのは、つくば市が全国初という。その理由を橋本社長は、①科学都市つくばは社会インフラが整備され、不動産投資先としての需要が強い②知的好奇心が刺激される、研究機関や総合大学がある③自然環境にも恵まれ、買物施設や大病院なども充実している④東京へのアクセス性に優れ、通勤や通学に便利―などを挙げ、立地のよさを強調した。

「ミヨシ」としては、新タイプの住宅販売は市場調査も兼ねており、関心が強ければ、つくば地域で類似の住宅を追加提案する。同社は、経団連の副会長兼事務総長を務めた三好正也氏(故人)が設立した経営企画会社「ミヨシ・コラボレーションズ」の子会社。不動産売買・仲介・コンサルティングを専門にしている。(岩田大志)

◆カスタム型フルオーダー住宅の詳細と問い合わせはこちらへ。電話03-6284-3024

煤けた犬 《続・平熱日記》126

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パクを描く

【コラム・斉藤裕之】「パパ、パクがなんだか汚れてるよ」と、正月に帰ってきた長女。確かに白いはずのパクは心なしか煤(すす)けている。いや確実に煤で汚れている。冬の間は暖かい薪(まき)ストーブの横で寝ているものだから、煙突掃除の際に落ちたわずかな煤や火ばさみに着いた灰が体や顔に付いて、まだら模様になっていて見るからに貧乏くさい。

しかし、だからといって特に洗ったりはしない。というか、犬を洗うというのはいかがなものかと思う。

相変わらず、変な時間に起きてしまうことがある。そういう時はとりあえず絵を描く。その日は、昔、海で拾ったシーグラス(海の波や砂で丸みを帯びたビンなどの割れたガラス)を描き始めた。ところがなかなかうまくいかない。2時間ほど悪戦苦闘したがやめた。

やめたというのはもう描かないというわけではない。今日のところはひとまずやめたということで、このへんは何となく釣りに似ている。今日は潮目が悪いとか何とか言いながら、次こそは釣ってやろうと思うのに近い。また、新たな獲物に挑戦したり、ポイントを探してみたり。入れ食いの時もあれば、坊主の時もある。そんないい加減な気持ちでいいのか?

いいのだ(この文章も然り)。もしもこれが生活を支える漁師なら、こんな悠長なことは言っていられない。だから、私の場合はポンポン船で雑魚を釣りに行く物好きな釣り人程度のレベルということだ。でも、その方が本来の釣りを楽しめるような気もする。

暖かくなったら洗ってやるよ

ところで、1歳半になる孫はどうやら虫が好きらしい。それじゃ、ここはじいさまにまかせとけ!ってなもので、クリスマスに木で虫を作ってやることにした。とりあえず、手ごろな夏椿の枝を見つけて、グラインダーで削り始めた。出来上がったのはテントウムシ。

ちょうど大人のこぶしぐらいの大きさの、ずっしりとしていい感じのテントウムシが出来た。木の色を生かして、赤と黒の模様を塗ってやった。孫はたいそう喜んで持ち帰った。

数日後、どうにもシーグラスがうまく描けない。思い切って、違うシーグラスに代えてみた。すると、今回はなかなかいい感じで描けた。それから、今度はダンゴムシを彫ってやることにした。もっと見栄えのいい虫もいるだろうに、わざわざダンゴムシ? どっこい、あの形の面白さを子供はちゃんとわかっている。

最近は高圧洗浄機なるもので家を洗っているのを見かける。米は無洗米というのがある。これは日本語の厄介なところで、無洗米というと洗ってないという意味になりはしないか。不要洗米とか。まあどうでもいいが、とにかく何でも洗えばいいというものではない。

白川郷の合掌造りだって煤けているし、京都のお寺だって煤けているからハンナリしてはるのだ。北欧では防腐剤としてわざわざ煤を塗料に入れると聞いたこともある。

先日は毛玉だらけのセーターを着ていて生徒にからかわれた。毛玉だらけのセーターも煤けた犬も、私にはチャーミングに思えるのだが。今もストーブのすぐそばで無防備な寝姿のパク。しょうがない、暖かくなったら洗ってやるよ、一応女の子だしね。(画家)

小中学校でゲストティーチャーに 《邑から日本を見る》128

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木造の那珂市立瓜連小学校校舎

【コラム千尋「私は先﨑さんの話でかっこいいなと思うことがありました。それはふるさとを大切にしていること、そしてふるさとにほこりを持っていることです。自分が勉強したことを社会のために生かそうとする姿勢がとてもかっこいいと感じました」。私は昨年秋、瓜連小学校の5、6年生と中学校の1年生24人に、ゲストティーチャーとして「自分のキャリアをデザインしよう」という話をした。

私だけでなく、市長、住職、花栽培農家、看護師、消防士、新聞記者など、瓜連地区に住んでいるさまざまな職種の人が教壇に立った。

「自分の人生について考えようという総合的な学習の時間」の一コマで、地域と学校の子どもたちはつながっていることを学ばせたい、地域で活躍する人の話を聞き、自己の生き方を考えていく資質・能力を育成させたい、というのが学校側のねらい。3学年の生徒を異学年交流させ、一緒に聴いたあとで、講師の話をどう受け止めたかをディスカッションするというのがみそだ。

私はこの中で、小学生の時から家の仕事(農作業)を分担してやった、宿題は少なく放課後は友達とよく遊んだ、貧しかったが楽しかったという70年も前の子どもの暮らしや、小中学校の時どういう勉強をしたのか、社会に出て大事なことはどういうことかなどを話した。私が強調したのは、とにかくたくさん本を読むことと友だちをたくさん作ることの二つ。本を読むことによって、自分の世界が広がっていく楽しさを語った。

多くべばそれだけ遠くへ飛べる

そのあと、しばらくして子どもたちから手紙が届いた。冒頭の文もその一つ。他に「自分がどう生きたいのかは自分で決める。瓜連はステキな所だということがわかった。本をたくさん読む。食べることに感謝する。世のためにがんばりたい。自分の一生は世のために使いたい」などがあった。

私は手紙が届くとは考えていなかったので、うれしかった。いずれも、私の言いたかったこと、訴えたかったことを的確にとらえ、自分のものにし、これから進む道への希望を書いてくれている。

私は返事を書くことにし、話を聞いてくれた一人一人に万年筆で名前を書き、学校に届けた。「子どもの時に多くのこと、人間の基礎となることを学ぶことが大事。多く学べばそれだけ遠くへ飛べる、行ける。心も豊かになれる」と書いた。そして「道」という松下幸之助の次の詞(うた)を添えた。私の孫よりもさらに若い世代の人との対話。希望が見えてくる。

自分には 与えられた道がある
広い時もある 狭い時もある
のぼりもあれば くだりもある
思案にあまる時もあろう
しかし 心を定め 希望をもって歩むならば 必ず道は開けてくる
深い喜びも そこから生まれてくる
(元瓜連町長)

日本の外科のルーツを探る 《くずかごの唄》122

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】
盛岡恭彦先生への手紙

清へ「お元気ですか?」のおはがきいただき、ありがとうございました。彼は昨年4月、「ピンピンコロリバタンキュー。家で死にたい」という彼の望み通りの死に方で、宇宙のかなたに飛んで行ってしまいました。

93歳。先生方の手厚い医療のおかげで、痛い所もなく、個性を残しながら、うらやましいような最後でした。コロナのクラスターを恐れて、どなたにも通知せずに納骨など家族だけで行いました。

清の76歳の大動脈解離の時、近代外科の父・アンブロアズ・パレ400年祭の時、東京歴史散歩の時…。ずいぶんお世話になった先生に、ご通知が遅れてしまいましたのを、お許し下さい。

昨年の秋、五所駒瀧(ごしょこまがたき)神社(桜川市真壁町)へ紅葉を見に行ってきました。盛岡先生がパレの400年祭の時に記念に植えたヤマボウシの木も、2メートルの高さになって元気でした。宮司の桜井崇・まゆみさん夫妻もとても喜んでくださり、ヤマボウシの花は普通、白ですが、この木は特別、紅色の花が咲くことを教えてくださいました。

どちらが先に読むか、清とけんか

1991年、日本古来の手作り石灯籠を、フランスの外科医の本源を確立したパレの400年祭に合わせて、生誕地に送るために日本の伝統的な禊(みそ)ぎ行事を真壁の五所駒瀧神社で行いました。

『近代外科の父・パレ‐日本の外科のルーツを探る』(NHKブックス、1990年刊)の著者3人、佐野武先生(東京大学医学部)、大村敏郎先生(慶応義塾大学医学部)、盛岡恭彦先生(東京大学医学部)と、加賀美尚先生(埼玉医大)、奥井勝二(千葉大学医学部)、真壁町医師会の草間昇氏、仏大使館グルギェール氏、仏薬剤師会のテメム氏、石工の加藤征一氏。 画家の新居田郁夫氏、日仏薬学会事務長の奥井清。

今考えると、再現することができない人材。すごい個性の人たちが、かやぶき屋根の神社に集まって、1000年の伝統がある桜井崇さんの祝詞(のりと)を聞き、禊ぎをしたのでした。私にとっても、人生の大事な、いい思い出となりました。 先生の著書「医学の近代史・苦闘の道のりをたどる」(NHK出版)、「人は人をどう癒してきたか」(同)などなど。清と、どちらが先に読むかけんかしながら読み、そして今でも手元に置いて、時々広げて内容を味わっております。(随筆家)

夢の「青いラン」特別公開 つくば蘭展 22日開幕 実験植物園

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「ランの香りも楽しんでください」と国立科学博物館の田中庸照さん

世界の野生ランを収集、保存する国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)で「世界のランと出会う つくば蘭展」が22日から開催される。今年は、ツユクサの遺伝子を導入し開発された「青いラン」が特別公開されるほか、同館がコレクションする3000種余りのランの中から現在咲いている約200種が展示される。

29日まで。同展は1980年代に始まり、コロナ以前は毎年9000人余りが訪れてきた。

青いランは石原産業(大阪市、田中健一会長)と千葉大学が共同開発した。監修する同博物館研究員の遊川知久さん(61)によると、2012年に初めて花をつけた第1世代に続く第2世代にあたる。遊川さんは青いランについて「極めてまれ。花の品種改良をする人にとって、人生を賭ける人もいるほど。『夢』みたいなもの」と希少性を伝える。

ツユクサ遺伝子を導入し開発された「青いラン」(国立科学博物館筑波実験植物園提供)

ランの謎に迫るセミナー開催

期間中に開くオンラインセミナーでは、展示される各種のランを専門家がオンラインで解説する「つくば蘭展ラン♪らん♪ガイド」を27日午後7時から、ランを取り巻く最先端の科学技術を解説する「バイオテクノロジーでランを未来へ」を29日午後1時から、それぞれ同館の公式YouTubeチャンネルでライブ配信する。オンラインセミナーはコロナ禍をきっかけに始まった。

対面企画として22日午後1時から植物園内研修展示館3階セミナー室で、遊川さんが絶滅の危機にあるランをめぐる最新研究を紹介する。遊川さんによると、ランは絶滅の恐れのある種が最も多い仲間の一つ。実に、日本のランの3分の1ほどが絶滅危惧種であるという。セミナーでは「ランがなぜ、特異的に絶滅の渦に巻き込まれているのか、その謎解きをしてみたい」と言い、「話の中で意外性が出てくるはず。ランのことをよく知らなかった方々に聞いてもらいたい。『ランってこんな植物だったの?』という発見があると思う」と参加を呼び掛ける。

トリコグロッティス・アポエンシス(左)、アデノンコス・パルヴィフロラ(中央)、デンドロビウム・パーヴルム・ミヌツム

同館広報の田中庸照さん(36)は「国内外を含めてこれだけの種類のランが見られる機会は少ないと思う。毎年開催時期が少しずつ違うので、咲いている種類も異なる。毎年来られている方にも楽しんでいただけるはず」と話す。(柴田大輔)

◆企画展「世界のランと出会う つくば蘭展」は22日(日)から29日(日)まで、つくば市天久保4-1-1、国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。会期中は無休。開園時間は午前9時~午後4時30分▷期間中はパンフレットやランをモチーフとしたぬり絵の無料配布、平日に限り先着100人に青いランのポストカードがプレゼントされる。会期中の平日午前9時から11時の間に限り、熱帯資源植物温室と多目的温室で三脚と一脚を使っての写真撮影が可能▷入園料は一般320円(税込み)、高校生以下と65歳以上は無料。問い合わせは電話029-851-5159(同園)。詳細はイベントホームページまで。