土曜日, 12月 27, 2025
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雨情とつくばセンタービル《映画探偵団》81

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】2025年にやる『雨情からのメッセージⅢ』のイベントを準備中である。10月26日には、依頼を受け『つくつくつくばの七不思議/つくばセンタービルの事件簿』の講演をする。一見、雨情とつくばセンタービルとは関係ないようだが、私の中では七不思議とつながっている。

当初11月の開催予定が10月になった。26日は、つくば市長・市議選挙の前日に当たる。きっと各候補者がセンタービル付近に集まりにぎやかになることだろう。

1985年、つくば科学博覧会が開かれた年に、ロバート・ゼメキス監督のSF映画『バック・トゥ・ザ・フュ一チャ一』が公開された。時は1985年、所はカリフォルニア州ヒルバレー(架空の都市)。高校生のマ一ティは、ドク博士が全財産をつぎこみ製作した車型タイムマシーン・デロリアンで過去へとタイムスリップする。

その記念すべき日が10月26日なのだ。また着いた1955年の町では、市長選の真っ最中である。講演日と市長選の現実が映画の内容と偶然に重なる。

雨情との対話

そんなある日、夢を見た。センタービルでタバコをのむ小柄なちょびひげの壮年を見かけた。

「あのー、もしかして野口雨情さんではありませんか?」

「いやぁ、これは初めまして。野口雨情でやんす。『筑波節』を広める活動をしているあなたがセンタービルの話をすると聞き、あの世からやって来たのでやんすよ」

「恐縮です。でも雨情さん、ここは禁煙なんですが…」

「おや、これは失礼。水戸芸術館には喫煙場がありましたがな」

「水戸芸術館にも行かれたのですか」

「行きやした。私は建築の専門家ではありませんが、磯崎新さん設計のセンタービルと水戸芸術館は対の構造になっている感じがしましたな」

「センタービルの印象はいかがですか」

「見た目は西洋風ですが、中心の何も無い虚(うつ)ろな広場を見ていると、極めて日本的な建物だと思いやんした」

「実は4年前、広場に屋根やエスカレーターを付けたり、外壁を変えたり、階段を削ったり、10億円弱かけた改造計画がありました」(映画探偵団33参照

「えっ、少しも古くなってないじゃありませんか。で、どうなりました」

「市民の反対を受けて、改造計画は撤回され、内装のみとなりました」

「それはようござんした。用意された改造費用もだいぶ節約になったんでござんしょう」

「それが、屋根やエスカレーターがなくなっても、予算は変わらずでした」

「う一ん、しかし選挙があるみたいですから、改造計画を進めた議員さんは、市民から批判を浴びるのではありませんか」

「さぁー、どうでしょうか。日本人は忘れぽいですからね。『筑波節』を作曲した藤井清水さんは、『私は地味でも(略)どこまでも日本人の音楽を創っていく。百年後には理解する人も出てくるであろう』と言われましたが、筑波節はあと5年、センタービルはあと60年ぐらいかかるのではないでしょうか」

「私の歌を知る人も少なくなりましたか?」

「雨情さんの童謡は今でも歌われていますよ」

「だが私の民謡を知る人は少ない」

「でも雨情さん、歌も建物も愛する人が1人でもいれば、いつかきっと理解する人が現れてくると思います」

「ありがとうさん。ところでセンタービルを設計した磯崎さんは?」

「2年前に亡くなりました。亡くなる前に、センタービルを守ってくれてありがとう、との伝言がありました」

「それはようござんした。今度、磯崎さんと会って話をしてみましょう。サイコドンハ トコヤン サノセ」

「あ、先に言われちゃった」(脚本家)

講演『つくつくつくばの七不思議/つくばセンタービルの事件簿』
 日時:2024年10月26日(土)10時30分〜12時
 場所:つくば駅前コリドイオ大会議室
 参加費:1000円
 申込先:cocolabo.2024@gmail.com 090-8315-3775(町田)

巨大化する災害にこそ研究連携で 防災科研呼び掛け11機関勢ぞろい

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特別セッションに集まった11研究機関メンバー=東京国際フォーラム

能登半島地震の観測や調査、復旧支援などに関わったつくばの研究機関が一堂に会し、それぞれの取り組みを報告し、なお巨大化する災害に対する連携を模索する特別セッションが11日、都内で開かれた。

防災科研(つくば市天王台、寶馨理事長)の研究成果発表会「国土の安全と防災連携」の冒頭で行われた。筑波研究学園都市交流協議会(筑協、福田敬大会長)が全面協力し、関係省庁の垣根を越えて11機関が参集した。防災科研によれば、これまでにない規模での横断企画で、会場となった東京国際フォーラムには約250人、オンラインで約300人が参加した。

1月1日の地震発生直後から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や国土地理院は動き、それぞれ陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)による土砂移動情報、空中写真撮影による斜面崩壊や陸地化変動などを把握して国の対策本部に報告。気象研究所では気象庁機動調査班(JMA-MOT)による津波の高さの測定など行った。

その後早い段階で研究者が現地入りし、産総研は調査で最大4メートルの海底隆起が観測されたことから海底活断層の動きを評価した。既知の活断層の再活動ととらえられたが、海岸段丘に2メートルもの隆起が見られたことから数百年に一度起こる活動にとどまらない1000年オーダーでとらえるべき地震だったとした。

復旧支援には国総研、土木研、建築研などのチームが現地入り。インフラの復旧や崩壊トンネルの調査などに当たった。これらの作業にはJAXAの提供するALOS(陸域観測技術衛星)や地理院の航空レーダー測量などのデータが大きく役立ったという。

農研機構は主に農村工学研究部門が職員を派遣し技術支援に当たった。森林総研は海岸の隆起に伴う飛砂対策、国環研は300万トンを超えると見積もられる災害廃棄物の処分対策などを自治体の職員向けに発信するなどした。

あいさつする防災科研の宝理事長

筑協を介し開催を呼び掛けた防災科研の宝馨理事長は「地震に始まった今年は、豪雨や猛暑が続いた。災害対策は従来100年から200年に一度のレベル1を想定してきたが、これからは経験したことのない記録破りのレベル2の災害に対する備えも必要になってくる。研究の方も連携して、巨大災害、有事に対応しなければならない」と述べた。

防災科研は研究機関との連携による災害・防災の研究をさらに推進する構えだが、今回を契機につくばで多様なテーマでの連携が進むことを期待している。 (相澤冬樹)

レスリングの大沢友博さんを悼む《竹林亭日乗》21

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霞ケ浦高校レスリング場

【コラム・片岡英明】9月12日、霞ケ浦高校でレスリング部の監督をしていた大沢友博さんが69歳で亡くなった。日本レスリング協会はすぐに「高校レスリング界に不滅の金字塔~大沢友博氏が死去」とHPに掲載。告別式には教え子の樋口黎さん(2014年卒)のパリでの金メダルを胸にかけた写真が飾られた。大沢さんの努力がパリまで届いたなと感じた。

世間では「高校レスリング界の名匠」(レスリング協会のHP)と称されていたが、今回コラムでは大沢友博さんを悼むとともに、彼のレスリング部での出発点を紹介し、若手教師を励ましたい。

体育館の片隅のマット2枚から

大沢さんは1977年、霞ケ浦高校の教諭となった。私も同期で、共に定年まで勤めた。1980年の最初の卒業生は、彼が3組、私は4組の担任。テストの採点をしながら、遅くまで職員室で語り合った。

最初は柔道部顧問だったが、彼はすぐにレスリング部づくりを始めた。八丈島出身で、東京の正則高校から日本体育大学に進んだ彼は、八丈島のレスリング道場で体験した厳しさの中にある楽しさを、部活を通して生徒に伝えようとしていた。

最初の年の夏前には、体育館の隅に体操用マット2枚を広げ、担任に「この生徒を私が面倒みます」と、3人ほど集めて練習を開始。すると部員たちが大きく成長し、大沢さんの指導力を皆が認めた。

部活の伝統校などでは、すでに道があるところを歩む教師が多い。また、部活の顧問から練習条件が悪いと「これでは練習できない」との愚痴も聞く。しかし、彼は部活がないところで、体育館のマット2枚からレスリング部を始め、部員も一人ひとりに声をかけ、自分で集めた。

「やってみなはれ!」の精神

現在、文科省は探求心や創造性を生徒・教師に求めている。創造性を求めるとは「やってみなはれ!」の精神で教師のチャレンジを学校が受けとめるということだ。それならば、愚痴のひとつも言いたい学校の中でも、今こそ教師自身の創造性を発揮するときではないか。

多忙な毎日と管理疲れを癒すには、問いかけに始まる対話を通して生徒の願いをつかむことにある。大沢さんのように、どこか一点からでもチャレンジし、目の前の授業や部活で個性的な実践に取り組んでほしい。生徒・保護者はそれを待っている。「やってみなはれ!」

2年目には、シューズやウエアも整え、レスリングのマットシートも用意された。その後、武道館ができて旧柔道場がレスリング道場となった。その古い木造の道場から大沢レスリング部は10年目の1986年インターハイで優勝した。

悪条件の中でも、いつも生徒と汗を流し、応援する教職員を増やした。そうして、レスリングの自分の原点を次の世代につなげようと、体育館の片隅のマット2枚からパリの金メダルまで突き抜けたのだ。

葬儀で息子さんが「レスリングの生徒はどこかいいところがあるんだよ」との言葉を紹介した。その言葉には、生徒へのぬくもりや可能性への深い信頼が現れているような気がした。大沢友博さん、ありがとう。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

保育料の特別徴収通知書に誤記載 つくば市

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つくば市役所

保育園などの保育料の滞納があった場合、児童手当から滞納分を差し引いて保護者に支給する「保育料特別徴収」について、つくば市は11日、9月に対象者22人に郵送した特別徴収の通知書に誤記載があったと発表した。滞納分を差し引いて児童手当を支給する期日について、今年10月と記載すべきところ、誤って今年2月と記載して発送してしまった。

市幼児保育課によると、10日、保護者の一人から問い合わせがあり、誤記載が分かった。市は保護者22人全員に電話で謝罪し、改めて正しい通知書を再送付するとしている。

22人に対して市は、10日の児童手当支給日に滞納分を差し引いて支給した。一方、同通知書は通常、前の月に保護者に送付し、保護者から相談を受けた場合は、個別の事情に応じて差し引きを中止する場合もある。今回、誤記載があったことにより、保護者から相談を受けた場合は個別の事情に応じて差し引き分を返還することもあるという。

誤記載は担当者の記載ミスが原因。再発防止策として市は、複数の職員で内容確認を徹底し、再発防止に努めるとしている。

地域社会とは?《遊民通信》98

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【コラム・田口哲郎】

前略

テレビのワイドショーで、ご近所トラブルが取り上げられることがあります。住民が行政に苦情を申し立てますが、行政は争っている住民どちらにも配慮しなければならないので、解決策はなかなか出ない。すると、ワイドショーのMCは「地域社会でしっかり話し合うことが必要ですね」という締め方をします。MCはご近所同士で、くらいの意味合いで使っているのでしょう。でも、コメントを聞くたびに、「地域社会とはなんだろう」と思います。

新興住宅地に暮らし、独身であるわたしには地域社会というものがピンとこない。日々近所ですれ違う人びとは見知らぬ人です。両隣の人の苗字くらいは知っていても、その先の人の名前はおぼつかなく、顔も知りません。実際に町内会はあるし、子どもが公立小中学校に通っていれば、地域社会というものに実感がわくのでしょう。

でも、たとえば地方の山村に暮らせば、血縁、地縁がまだあり、近所はみんな親戚か知り合いということは珍しくありません。おそらく、そういう土地に住む方々には「地域社会」はピンとくるのでしょう。新興住宅地で生まれ育ち、独身で、いわゆる無党派層で、東京など大都市に通勤・通学している人にはあまりピンとこないと思います。

日本経済を支えてきた都市中間層

国民的アニメ、ドラえもんも、ちびまる子ちゃんも、クレヨンしんちゃんも、新興住宅地が舞台です。さして地縁や血縁がなさそうな土地で都会的な生活を送っている人びとの物語です。昭和にはそういう新興住宅地が全国につくられ、核家族が暮らし、日本経済に活力を与えていました。

でも、グローバル化、長い不況、低成長時代が続き、サラリーマンの所得が減りました。そしていわゆる都市中間層の活気はなくなりました。これからは、成熟した都市社会が「地域社会」を再発見し、人びとのつながりが復活し、新しい活気が生まれるといいですね。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

学校給食に異物混入 つくば市の義務教育学校

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カボチャ汁に混入していたホチキスの針2本(つくば市提供)

つくば市は10日、市内の義務教育学校で同日出された給食に、長さ18ミリのホチキスの針2本が混入していたと発表した。児童は針を口にしておらず、現時点で健康被害の報告はない。

市教育局健康教育課によると、同日12時30分ごろ、児童が給食のカボチャ汁を食べた後、おわんの底にホチキスの針2本があるのを見つけ、担任の教員に報告した。ほとんどの児童、生徒が給食を食べ終わっていたという。

同校の給食は、つくばすこやか給食センター豊里が、計3種類の献立を3グループに分けて調理し提供したうちの1つで、同じカボチャ汁は同日、市内の2校に計3010食が提供された。もう1校からの異物混入の報告はない。

異物の混入経緯について同課は、同給食センター及び学校で調査しているが、同日夕方時点で不明だとし、現在納入業者に対しても調査を実施しているという。

地元の魅力を食で伝える 土浦花火弁当12種販売へ

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披露された各店の「花火弁当」。上段左から、喜作(かすみがうら市稲吉)「三段花火弁当『喜作』」、霞月楼(土浦市中央)「三段花火筒弁当『彩響』」と「発熱容器具沢山釜飯弁当」、下段左から、さくらガーデン(土浦市宍塚)「三段花火筒弁当『常陸牛のローストと蓮根のひつまぶし』」と「ステーキ重」、鮨の旦兵衛(土浦市大和)「謹製 花火弁当三段重」と「常陸牛 香味焼き重」、ダイニングムーンNo.385、「三段花火筒弁当『綾京』」と「タコライスBENTO」

11月2日開催の第93回土浦全国花火競技大会で販売される「土浦花火弁当」12種類が4日、同市役所でお披露目された。土浦名産のレンコン、ワカサギ、常陸牛など地元の食材をふんだんに使ったオリジナル弁当で、今年は土浦、かすみがうら市の飲食店6店と、土浦飲食店組合が販売する。

価格は1500円から4600円(消費税込)。花火を打ち上げる筒をイメージした3段重ねの容器に入れられ、オリジナルの外箱を広げると三つの容器が一度に並ぶよう工夫を凝らしている。この日披露されたのは5店による9品。

土浦花火弁当は、2006年から花火観覧者に向けて、花火の4合玉を模したオリジナル容器による販売をスタートし、08年には市内の飲食店などによる「土浦名物弁当事業者部会」を設立して、食を通じた市のPRを続けてきた。

今年販売されるのは、懐石料理、ステーキ、フグ、あんこう、中華など、市内の老舗料亭を始め各店が趣向を凝らした自信作。容器自体が発熱し、寒い屋外でも暖かく食べることができるものなど工夫されている。今年は新しく、無農薬野菜や無添加の食材を使うオーガニック料理を扱う「ダイニングムーンNO.385(ナンバーミヤコ)」(土浦市川口)も参加する。

試食会場の様子=土浦市役所

同部会では、昨年の1500個を500個上回る2000個の販売を目指す。部会長を務める嶋田玲子さんは「食を通じて土浦の良さをPRしていきたい」と意気込みを語る。安藤市長は「(花火弁当に)新しい事業所が入るなど、内容も年々ブラッシュアップされている。それぞれ立派な食材使った、力のこもった花火弁当。是非当日食べていただきたい」と語った。

花火大会当日、優良桟敷席付近に設けられる弁当引き渡し場所では、市内で採れたレンコンの販売も行われる。市農林水産課は「日本一の生産量を誇る土浦のレンコンを食べてもらい、土浦のレンコンの認知度向上を目指していきたい」と話す。

弁当は、各店による事前予約制で、それぞれオンラインまたは専用の申し込み用紙によるFAXで予約を受け付けている。弁当の受け取りは、花火大会当日に、有料桟敷席付近にある専用の受け取り場所か、店によっては店舗での受け渡しとなる。(柴田大輔)

◆詳しくは土浦市観光協会ホームページ内にある特設サイトに、各店の販売サイトや詳細が掲載されている。問い合わせは同観光協会(029-824-2810)へ。

ラヂオつくばが音楽フェス 13日、出演者らのライブやMC体験も

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生放送中のラヂオつくばのスタジオ=つくば市吾妻、トナリエクレオ3階

つくばセンター広場

つくば市のコミュニティFM、ラヂオつくば(つくば市吾妻、堀越智也社長)は13日、つくば駅前のつくばセンター広場で、音楽イベント「ラヂフェス2024」を開催する。ラヂオつくばで番組を担当したり、ゲスト出演したことがあるミュージシャン8グループが出演し、アコースティックでライブ演奏する。観覧無料。

観覧者が当日の様子をX(旧ツイッター)で、「#ラヂフェス」と付けて投稿すると、後日ラヂオつくばの番組で紹介するという。

当日は小学4~6年生が、ラヂオつくばの番組パーソナリティと一緒に司会体験をするコーナーも設ける。ステージでパーソナリティとトークしたり、ミュージシャンのプロフィールを読んでもらったりする。

同センター広場では同日、つくば青年会議所が主催する「スポーツがきっと好きになる!グッジョブスポーツフェスタ@つくば」も開催され、一緒にバドミントンやパターゴルフ、バスケットボールなどを楽しむことが出来る。

今回の企画をした、CrescentMoon(クレセントムーン)でキーボードを担当し、ラヂオつくばのパーソナリティを務める宇津野紘子さん(42)は「(現体制の)ラジオつくば初の音楽イベント。小学生のMC体験もあったり、青年会議所のスポーツ体験もあったりと楽しめるので、家族そろって見に来て欲しい。そしてラヂオつくばがもっと知ってもらえたらうれしい」と来場を呼び掛ける。(榎田智司)

ラヂオつくばは2008年に設立。現在のスタジオはトナリエクレオ3階にあり、昼や夕方に生放送されている。周波数84.2MHz 送信出力10w、インターネットでも視聴することもできる。

◆「ラヂフェス2024」は午前10時開演。観覧無料。詳しくはこちら。ラヂオつくばのホームページはこちら

タイ古式マッサージ《医療通訳のつぶやき》11

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写真は筆者

【コラム・松永悠】最近、実はタイ古式マッサージにハマっています。通い出して2カ月ほどですが、すっかり虜(とりこ)になっています。全身をほぐしてもらって、施術が終わると、体が軽くなってとても楽になります。

楽しく思う一方で、少し歯がゆい思いもしています。マッサージをしてくれるお姉さんとすっかり仲良くなって、仲良くなれば当然会話も増えますが、タイ人のマッサージ師は片言の日本語しかできませんので、話の幅が狭いだけでなく、ニュアンスもなかなか伝わりません。

私が日ごろ筋トレをしている関係で、割と筋肉があって、太ももなど硬い部分もあります。先日太ももをマッサージしてもらっていたとき、雑談のつもりで「私、筋肉あるから太もも硬いでしょ?」と言いました。すると「はい、硬いです。凝っていますね」と言われました。「硬い」は「硬い」でも、「凝っている」という意味で言ったのではありませんが…。

医療通訳の仕事をするとき、体の部位名、各器官系の仕組みはもちろんのこと、病気のことも知る必要がありますから、そこそこ難しいです。しかしマッサージの雑談レベルでも、外国人がこんな勘違いをするのだと気づきました。

異なる言語を話す人の間に入って、円滑なコミュニケーションが取れるようにお手伝いする仕事をしている関係で、「コミュニケーションが取れる」状態が私にとって当たり前です。だからこそ、このときはハッとしました。日常生活の中で、外国人と交流できるのは当たり前ではなく、「外国人とうまくコミュニケーションが取れない」状態が圧倒的に多いでしょうね。

「易しい日本語」を使う活動

今、医療現場では「易しい日本語」を使う活動が推進されています。日本人患者にとっても、医療用語や体の部位名は難しいものです。専門用語を避けて、分かりやすい単語や説明を使うことによって、患者に自分の病気のこと、これから受ける検査や治療をしっかり理解してもらうのが目的です。

インフォームドコンセント、つまり「知る、理解する、同意する」の3ステップを踏むことが義務付けられている今、医療従事者がさまざまな工夫をして言い方を変えながら、うまく患者とコミュニケーションを取っています。

専門的なことを誰もが分かる言い方で説明するのは、実は簡単なことではありません。日本語力が限られている外国人相手なら、なおさらです。そもそも語彙(ごい)だけでなく、文法が間違っていることも多いので、日本人患者よりもっと簡単な言い方じゃないと通じない、ということになってしまいますが、限界があります。

マッサージで「わたし、うんどうだいすき。だから、あしがかたい」と言えばニュアンスも正しく伝わったかもしれませんが、医療現場では時間の制限や内容によってどんなに頑張っても、このレベルまで落とすことができません。改めて医療通訳は必要不可欠だと感じたエピソードでした。(医療通訳)

「つながり」テーマに現代社会を可視化 若手写真家ら11人が作品展

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作品展の会場の様子。左から吉野絢人さん、横井るつさん、高田憲嗣さん、田嵜裕季子さん=つくば市吾妻、県つくば美術館

県つくば美術館

「つながり」をテーマに、災いや病、故郷と家族、人間と土地の営みなど、現代社会が生み出す課題と向き合う若手作家ら11人による作品展「ヴィジュアル・コミュニケーション展2024 リレイト:ここではないどこかで」が、8日から県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まった。今年で8回目の開催で、写真を中心とした映像作品や立体物など約50点が展示されている。

何気ない風景に対立の歴史

都内在住の写真家、吉野絢人さん(23)は、都内や周辺地域にある「境界未定地」をテーマにした写真作品「リフレーミング」を展示する。展示スペースの中央に並ぶ2点の写真は、水辺に茂る木々を池の両岸から写したものだ。一見、どこにでもある穏やかな景色に見えるが、この池は東京都と埼玉県の境にあり、境界線が決まらない「境界未確定地」なのだという。東京都側の都立水元公園(同都葛飾区)と、埼玉県側の県営みさと公園(同県三郷市)の間に挟まれた「小合溜井(こあいためい)」と呼ばれる池で、江戸時代、8代将軍の徳川吉宗が、農業用の水を貯めおくために造らせた。完成当時から両岸の住民の間で境界を巡り対立が続き、互いの主張が折り合わずに現在に至っている。近年は、葛飾区と三郷市の間で締結された管理協定により水面管理が行われているという。

争いごとを抱えていることなど知らずに、何気なく見てきた風景が、対立の歴史の中にあることへの驚きが、一連の作品の出発点になったと吉野さんは話す。その他、東京都大田区と江東区の間で境界が未確定の「中央防波堤埋立地」、東京都と千葉県の間で協議が続く旧江戸川の河口、現在も住所がない有楽町駅前にある商業施設「銀座インズ」の一帯などを写した作品が並ぶ。

吉野さんは「境界地を撮影し、複雑で曖昧な境界線のあり方を提示した。境界線や差異を乗り越え、両者の関係性を捉え直し、共に生きる方法を模索した」とし、「どの場所も、目に見える形で争いがないということがテーマに取り組むきっかけになった。今後は、日本各地、国と国の境界にも関心を持っていきたい」と話す。

「交換可能な風景」もふるさとに

高田憲嗣さんの作品「メモリーズ 僕たちの平成/令和の原風景」

デザイナーで兵庫県在住の高田憲嗣さん(30)が、埼玉県在住の勝見知周さんと制作したのが、写真と立体物による「メモリーズ 僕たちの平成/令和の原風景」だ。高田さんは、「交換可能な風景」と揶揄(やゆ)される、赤や黄、青など原色が彩るドラッグストアーやファミリーレストランの看板が並ぶ、郊外の国道沿いの風景を「唯一無二の心のふるさと」と感じる人たちがいると話す。自身も郊外出身だという高田さんは「田舎に行くと、どこに行っても同じ風景があると批判的に言われるが、ちょっと待てよと思った。その土地の人にとっては、そこでの出来事こそが故郷の思い出、原風景となり、自分の思い出とも重なる」と作品作りの動機を語る。被写体に選んだのは、チェーン店が増え始めた平成初期に青年期を過ごした30代から40代の人物が中心だ。それぞれが、部活帰りに友人と過ごしたファミリーレストランや、子どもの頃に胸をときめかせて通ったファストフード店での楽しかったり切なかったりする思い出話を、高田さんによる明るいポップなデザインで写真と共に作品に仕上げている。

東京都在住の写真家、横井るつさん(23)は、コンクリート壁や床、草が茂る地面にプロジェクターで投影した人肌や体の一部の写真を、カメラで再撮影した映像作品「フムス」を展示する。ラテン語で「地面」「大地」を意味するタイトルで、横井さん自身が都市での暮らしで感じることができずにいた自然とのつながりを再認識する試みだと話す。「本来、人間も動物も、人生が終わったら土に帰っていくもの。東京で生きてきて、地球で生きているのにこの循環を感じられなかった。人の体を映写し、都会に体を染み込ませることができないかと考えた。土葬のイメージもある」と語る。

ほかに、沖縄の与那国島に数年間通い、土地の死生観を表現した野口哲司さんの「ユノリ」や、自身の病に向き合う根岸雄大さんの「メイト」、認知症の祖母の過去と現在に向き合う都築真歩さんの「来し方行く末」、コロナ禍で突きつけられた日常と非日常の境界に独自の視点で向き合う熊万葉さんの「アウト オブ タッチ」などが展示されている。

分断をつなぎ直したい

主催団体「ビジュアルコミュニケーション研究会」の代表で、市内在住の写真家、田嵜裕季子さんは「現在の社会では、国や地域間での戦争だけでなく、SNS上など様々な場所で対立が起きている。問題を二元論で捉えて分断してしまう考え方をつなぎ直す必要がある。サブタイトルの『ここではないどこか』には、誰もがここではないどこかでつながっているという思いを込めた。一見、つながっていないように見えている人や問題も、根っこではつながっていることを感じてもらいたい」とし、「作品を通じて人と人、作品と鑑賞者などのつながりが生まれる展示になれば」と語った。(柴田大輔)

◆「ヴィジュアル・コミュニケーション展2024 リレイト:ここではないどこかで」は14日(月)まで、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分から午後5時(最終日は午後3時まで)。13日(日)午前10時30分からキュレーターの菊田樹子さんを招いてギャラリートークを開催。いずれも入場無料。イベントの詳細は、ビジュアルコミュニケーション研究会の公式サイトへ。

稲敷市の「江戸崎まんじゅう」店《日本一の湖のほとりにある街の話》28

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】1929年創業、稲敷市の老舗和菓子店「青木菓子店」。看板商品である、農林水産大臣賞受賞の「江戸崎まんじゅう」をはじめとする様々なお菓子が、稲敷市の代表的銘菓として広く親しまれています。今回は、現在の当主である3代目の青木利浩さんにお話を伺いました。

江戸崎まんじゅうは、一見するとお土産ものでおなじみの茶色い温泉まんじゅう。ですが、一口食べれば違いにビックリ。しっとりしつつ、ふうわり柔らかな皮と、こし餡(あん)のバランスが絶妙です。一度に大量に購入していくお客さんが多いのも、さもありなんというもの。

そのおいしさの秘密を伺うと「一般的なおまんじゅうの3~4倍、手間と時間をかけて丁寧に製造しているところです」と青木さん。味はもちろんのこと、蒸籠により強く蒸し上げる昔ながらの製法でないと作れない、しっとりとした食感も重要なポイントだそうです。

夏は1日1500個、寒い時期には2000個以上も売れるというこのおまんじゅう。それだけの手間がかかるものを作り続けるのはさぞ大変なことと思いますが、青木さんは「自分が食べておいしいと思うまんじゅうになるように」と、日々さらなる技術の向上を心がけているとのこと。

どら焼き、黒どら、青栁も

他にも様々な定番商品と季節商品があり、江戸崎まんじゅうに次いで「どら焼き」「黒どら」「青柳」の順に人気とのことですが、私のイチオシはどら焼き! おいしいパンケーキのような皮と、餡のコラボレーションは、ワンダフルなおいしさです。草餅や水無月(みなづき)といった季節ごとのお菓子もおいしいので、ぜひ折々にお求めになり、コンプリートしてみてください。

ご家庭で甘味を心ゆくまで楽しむも良し、贈答にも良しと、使い勝手バツグンな稲敷市の名店。茨城県南の味として、ぜひお楽しみください。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

➡これまで紹介した場所はこちら

名称変更し「筑波嶺会」美術展開幕 筑波銀行ギャラリー

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8日開幕した筑波嶺会土浦支部美術展の会場=つくば市竹園、筑波銀行つくば本部2階ギャラリー

油彩画、水墨画など70点を展示

筑波銀行の退職者でつくる筑波嶺会 土浦支部美術展が9日、つくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで始まった。今年6月に会の名称を筑波銀行OB会から筑波嶺会に変更して初めての開催となる。同会に所属する22人が、退職後に制作した油彩画、水墨画、写真、書、彫刻、陶芸など約70点を展示している。

筑波嶺会のメンバーら

これまでのOB会という名称は男性を対象とする言葉であることから、名称を変更した。筑波山は男体山と女体山の二つの嶺からなる名山であり、男女等しく活躍する組織を目指すという意味から「筑波嶺会」とした。

同銀行は2010年に関東つくば銀行と茨城銀行が合併し誕生した。水戸支部、下妻支部、土浦支部の3支部があり、今回、昨年に引き続き土浦支部が主催した。メンバ―は60代後半から70代後半が中心という。

彫刻「七福神一刀彫」を出展した糸賀士さん

糸賀士さんは、彫刻「七福神一刀彫」を3点展示する。1本の小刀で彫る一刀彫という技法を使いた。1体出来上がるまで2カ月かかるという労作だ。「(七福神なので)全部で7体作らなければならないので、これからもずっと続けていきたい。七福神は福を寄せると言われていることからも、作品を作り、みんなに幸せになってもらえれば」と語った。

松葉統子さんは陶芸部門で「落ち葉皿セット」など9点を展示する。「小学校のPTAをやっている時に陶芸と出合った。今では窯が使われなくなり、作ることが出来なくなった作品も展示している。今回は還元焼成や酸化焼成など、いろいろな手法を使ったものを並べている」と語る。

松葉統子さん陶芸作品(下)

筑波嶺会会長の徳宿彰さんは、水墨画の作品「カラマツの全景」など3点を制作し展示する。「水墨画は退職後に始めたが、奥が深いのでこれからも続けていきたい」と語り、「数ある銀行の中でもこうした芸術を愛好する退職者の会があるのは稀有(けう)なこと。親睦を深める中で作品の質も高めていけたら」と述べた。

水墨画を出展した筑波嶺会会長の徳宿彰さん

同土浦支部美術部会長の染谷則嘉さんは「今年も昨年に引き続き開催出来て大変うれしい。ただ、高齢になったり、引っ越したりして会員が減っており、昨年より3名減となった。今後は新しいメンバーをもっと発掘したい」と述べる。(榎田智司)

◆会期は15日まで。会場はつくば市竹園1-7。開館時間は午前9時30分~午後4時30分(最終日は午後3時まで)。期間中無休。入場無料。

共生社会創成学部を新設 筑波技術大 2025年度から

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大学本部がある、筑波技術大天久保キャンパス

「手に職」から社会創造へ

聴覚と視覚に障害のある学生を対象とした国内唯一の国立大学、筑波技術大学(つくば市天久保、石原保志学長)が2025年度から新しく、共生社会創成学部を開設する。定員10人の視覚障害コースと、5人の聴覚障害コースの2コースを設ける。新学部は、障害者を含む多様なマイノリティが活躍できる社会システムをつくる人材の育成を目指すとし、専門技術を持つ職業人の養成に取り組んできた同大にとって新しい取り組みとなる。

一方、定員割れとなっていた学科で定数を減らす。保健科学部保健学科鍼灸学専攻が定員10人減、産業技術学部産業情報学科が3人減、同総合デザイン学科は2人減とする。

筑波技術大学の石原保志学長

石原学長(67)は「学生の希望職種が多様化する中で、大学で高度な技術を身に付け就職しても、職場での障害に対する理解不足から力を発揮できずに体調を崩すなどして離職してしまうケースを見てきた」とし、新学部では「総合的な教養と権利意識を身につけ、自信を持って意志を伝え、障害があっても生き生きと能力を発揮できる社会を主体的につくっていける人材を育てたい」と語る。

国は企業や公的機関に対して一定の割合で障害のある人の雇用を義務づけ、今年4月からは、音声読み上げソフトや筆談の導入など、障害の特性に応じた配慮をする「合理的配慮」が民間企業にも義務化された。障害者が社会に参加するための制度が整備されつつある一方で、「障害者を採用する企業の人事は合理的配慮の意味を知っていても、配属される現場での理解が進んでいない」と石原学長は言う。

障害者政策をつくる人育てる

新学部で重視するのは、必要な支援と権利を自ら説明する「セルフアドボカシー」と、意見を伝えるために自分に自信を持つための「エンパワーメント」だと石原学長は説明する。在学中は、誰もが必要とする情報に簡単にたどり着き利用できる「情報アクセシビリティ」や、障害と社会の仕組みを学ぶ「障害社会学」などの授業を通じて人権意識を身に付ける。一般的なインターン制度よりも長期間、企業や公官庁で就業体験をすること通じて、より実践的な職場体験を積むカリキュラムも設ける。

さらに、バリアフリーに対応する企業に障害当事者として意見を伝えるなどし、社会の一員としての意識を育てるとする。他大学と共同で授業を行うなどの連携や、新学部内で視覚障害学生と聴覚障害学生が同じ教室で学ぶ授業を通じて自分の障害を客観的に知る機会を積極的に設けるなどするという。

石原学長は「周囲との関係の中で、適切な環境を自発的に作るための具体的なスキルを在学中に身に付けさせたい」とし、「障害のない人と障害者が同じ暮らしを送ることができる環境作りを、国や自治体の中に入り、政策として築いていける人材を育てたい」と話す。

「昔は(障害者は)かわいそう、自分の身内に生まれるとできるだけ隠しておこうという時代があり、障害があることで、どうしても遠慮してしまう人もいる」とし、「これからは、それぞれが身を置く場所で生き生きと能力を発揮できる、自信を持って自分から前に出ていける学生を育てていきたい。今は、社会環境が整備され、将来の可能性はますます広がっている。障害があってもなくても、誰もが幸福に生きられる社会の実現を目指し、それぞれの社会環境に合わせて能力を発揮できるような意識と意欲をもってこの大学に入ってきてほしい」と呼び掛ける。(柴田大輔)

広告宣伝に取り囲まれている生活《ハチドリ暮らし》42

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写真は筆者

【コラム・山口京子】家にいて本を読む時間が増えています。関心のある問題については、もっと知りたいと、その問題に取り組んでいる団体の通信やブックレットを購読しています。そうして感じることは、「さまざまなメディアが発信する広告のイメージと、実際の商品や企業の実態との隔たり」です。

わたしたちの暮らしは広告宣伝に取り囲まれているといっても過言ではないでしょう。また、テレビのニュース番組は、ニュースを報道しているというより、娯楽番組になっているような気がします。どんどん新しいニュースが流れ、情報として消費されるだけで、その背景や構造について問うことはないまま、知るべきことが知らされていないのでは…。広告が伝えることではなく、事実がどうなっているのか…。

たとえば、毎日の営みである食べること。テレビのコマーシャルではさまざまな食品が”おいしい・たのしい・お手軽・お得”といったイメージで流れています。ですが、違和感はありませんか。

次々あふれ出る疑問

こんなにたくさんの食品があれているのはなぜかしら? 原材料はなにかしら? 生産地はどこかしら? どんな作られ方をしているのかしら? 農薬や成長ホルモン、抗生物質や添加物、遺伝子組み換えやゲノム編集などはどうなっているのかしら?

国が定める基準はどうなっているのかしら? 個別単体では基準値以下でも、複合的に多くの食品を長期間摂取すると人体への影響は大丈夫なのかしら? その作物や家畜を育てるために必要な水や肥料、エサなどはどのくらいなのかしら? 流通にはいくらかかっているのかしら?

製造段階・輸送段階などで消費するエネルギーや排出する二酸化炭素はどうなっているのかしら? この食品を食べた場合のカロリーや糖分、脂質、塩分はどのくらいなのかしら? ゴミとしてどんなものが、どのくらい廃棄されているのかしら? この商品価格の場合、生産者が得られる取り分は何割くらいなのかしら?

企業の利益はどのくらい出ているのかしら? この商品価格に占める広告宣伝費はいくらなのかしら? その業界団体はどんなロビー活動をしているのかしら? これからも食品は十分に供給されるのかしら?

自分で調べることが大事

ですが、現実に買い物に行けば、深く考えることなく、商品をカゴに入れている自分がいます。多様多彩な映像に覆われて、世界がカモフラージュされ、現実の商品の実際のところが分からなくなっているような…。

自分で調べるという習慣がますます大事になっています。そんなとき、農林水産省ホームページ(HP)の、新たな国民運動「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」の記事が目に留まりました。(消費生活アドバイザー)

福来みかん自家製パウダー 料理に添え提供 筑波山麓のレストラン

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筑波山麓にあるレストランキャニオンの平田ことさん

郷土の味と歴史伝えたい

筑波山麓にあるつくば市下大島のレストランキャニオンは、来客が注文した料理に地元特産の福来みかんの皮から作った香りのパウダーを添え、料理の味わいを深めるサービスを提供している。このパウダーは同店専務の平田ことさんが手作りしており、市販はされていない。どんな手間がかかり、何を伝えようとしているのか。

福来みかんパウダー(左上)と引き立て合う料理

調べ物に興じる

ことさんは、同店の店主、平田貴夫社長の母親。創業者である故・平田和夫さんと半世紀、店を切り盛りしてきた。

最初は、地域で販売されている七味唐辛子の中に含まれる福来みかんの皮の粒に、どんな意味があるのだろうと疑問を感じたことが始まりという。ことさんは、調べ物に興じた。

福来みかんは、筑波山麓で広く栽培されてきた「橘(たちばな)」がもともとの出自として万葉集や常陸国風土記に出てくることを知り、ことさんは調べ物を通して、意外にも地元の食材から郷土の歴史を歩み、薬膳にも使われたなどの逸話を知ることとなった。

特産の福来みかん

「これはきっと、みかんの実のことを示しながら、どこかで皮を天日干しする利用方法が広まったのだなと考えた。そんなときに市の観光協会だったと思うが『福来みかんで何かメニューを作れないものか。地元の観光資源のような形で協力してほしい』という相談を持ち掛けられたんです」

そこで、店主の貴夫さんにメニューを開発してもらいながら、福来みかん自体をどうやって利用するか、ことさんは試行錯誤した。

乾燥に次ぐ乾燥の日々

福来みかんの皮は古くから陳皮(ちんぴ)と呼ばれ、皮を利用するレシピは、インターネットサイトでも紹介されている。七味唐辛子に利用するため皮を乾燥させて粉にするという作り方も、昔と変わっていない。

「よく水洗いした福来みかんを水切りして、皮を材料にするのは陳皮づくりそのまま。皮は水分がなくなるまで何日も乾燥させ、水分が抜けたところでミキサーにかけてすりつぶすが、粒の大きさをどの程度まで細かくするかは何度か試しながら決めていく。パウダーと呼べるまで粒を小さくしながら、風味を無くさないように容器に入れて密封する」

加工作業

キャニオンではこれまで、パスタ料理やカレーライス、豚肉を使ったハンバーグなど、福来みかんの風味を感じられるメニューを作り出している。定番の料理にもこのパウダーは提供される。味噌汁に振りかけても風味が良くなる。

「5キロくらいの量を生産者さんから買い付けると、当面は店で出せる分を確保できる。大量生産するような設備はないし、それができてもパウダーそのものを市販するというのはつくばの食文化に失礼な気持ちがあるので、うちの料理に添えさせてもらうだけで充分」

粒子状に加工された福来みかんの皮

間もなく福来みかんの収穫期がやってくる。平田家ではまた皮をむき、乾燥の日々が始まる。このパウダーは家庭でも作ることができるが、平田家の手間と苦労を思うと、食事に出かけていった方が良いかもしれない。

ところで、「実」の方は利用価値がないのだろうか。「マーマレードなどに使えると思うが、そこまでやってない。実については家族総出で食べています」。ことさんはにこやかに「苦みと酸味で大変よ」と言う。

レストランキャニオンでは、福来みかんの話を聞くこともできる。(鴨志田隆之)

レストランキャニオン

本サイトは発足から7年《吾妻カガミ》193

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トークセッションの様子

【コラム・坂本栄】このニュースサイトは今秋でスタートから7年目を迎えました。地域紙の元記者だったライターが核になり、市民記者も参加するネットメディアですが、なんとか形が整ってきました。そこで9月下旬、7周年記念の意味合いも込め、土浦の老舗料亭が保有するお宝の写真展、小説家と社会学者に土浦の歴史と文化を語ってもらうトークセッションを開きました。NPOメディア活動の延長上のイベントです。

写真展と討論会を主催

トークセッションの様子は、記事「…海軍予備学生の寄せ書き屏風…」(9月30日掲載)をご覧ください。また、写真展の内容については、記事「…霞月楼所蔵品展が開幕…」(9月24日掲載)をご覧ください。

開幕記事には、4年前の12回連載記事「霞月楼コレクション」へのリンクも張ってあります。今回の霞月楼所蔵品展は、この連載から選んだ写真を展示しようと、2020年秋に予定していたものです。ところが、コロナ禍で延期を余儀なくされ、4年後に実現しました。リンク先に飛べば、今回展示したコンテンツの数倍の写真とその解説をチェックできます。

また「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」(2023年7月、早川書房刊)の著者・高野史緒さんと、「『軍都』を生きる 霞ヶ浦の生活史 1919~1968」(2023年2月、岩波書店刊)の著者・清水亮さんにお願いした「ツェッペリン伯号と湖都・土浦を語る」は全て録音録画し、YouTubeにアップしました。トークセッション記事の末尾にリンク先が張ってありますので、2時間の「語り」を視聴できます。

ネットメディアの強みは、サーバー内に格納した過去記事にアクセスできることです。また、他のサイトにリンクを張り、その内容を本サイトの記事で紹介する工夫もしています。さらに、Googleニュースなどのプラットフォーム経由でも本サイトの記事を読めます。

文字(テキスト)や写真(静止画)だけでなく、動画を扱えることもネットメディアの強みです。今回のトークセッションの録音録画は、土浦市内にスタジオを構えるネットテレビ局「Vチャンネルいばらき」にお願いしました。

大戦間に飛来した飛行船

巨大な飛行船が霞ケ浦畔の旧海軍航空隊基地に飛来したのは1929年8月のことでした。第1次世界大戦と第2次世界大戦の間、第1次大戦の反省の上に立って平和の必要が叫ばれ、経済的な豊かさが追求されていた時代です。まだ飛行機が珍しいころ、旅客船並みの飛行体が飛んできたわけですから、地域の住民は大騒ぎでした。

当時の資料を駆使して書かれた清水さんの本を読むと、ツェッペリン伯号を迎えた土浦エリアの熱狂がよくわかります。高野さんのSF小説は、土浦二高パソコン部の女子学生と光量子コンピューター研究所(場所は土浦市東真鍋にあった結婚式場マニフィカ跡)に仕事でやって来た男子東大生が時空を超えて出逢い、95年前に飛んできたツェッペリン伯号を目撃するという話です。

ツェッペリン伯号の乗員は霞月楼で開かれた歓迎宴に招かれました。このため、霞月楼には当時の写真がいろいろ残っています。ここで霞月楼所蔵品展とツェッペリン伯号がドッキング、「ツェッペリン伯号と湖都・土浦を語る」が実現しました。

2つのイベントは、土浦ツェッペリン倶楽部に手伝ってもらいました。同クラブの協力がなければ実現は難しかったでしょう。また、地元の有力企業や社会奉仕団体に協賛していただき、必要経費をまかないました。その意味で、各種法人の寄付によって運営しているNPOメディアらしいイベントになったと思います。(NEWSつくば 理事長)

5年ぶり ライブや模擬店も 学園祭「KVA祭」19日開催 日本国際学園大

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KVA祭実行委員と学友会のメンバー。左から小林亮太さん、野口千咲さん、菊地大輔さん、石嶋萌夏さん、大和田廉さん、柴田心歩さん、日高悠希さん=つくば市吾妻、日本国際学園大学

日本国際学園大学(旧筑波学院大学、つくば市吾妻、橋本綱夫学長)の学園祭「KVA祭」(大和田廉実行委員長)が19日開催される。大学の名称が日本国際学園大学に変わって初めての学園祭となる。コロナ禍で開催できなかった軽音サークルのライブや、学生による模擬店での飲食物販売を5年ぶりに開催する。

学生団体、学友会の会長で経営情報学部ビジネスデザイン学科4年の日高悠希さんは「学生が模擬店で食べ物を売るのはコロナ明けとなって初めて。そういった意味でも大変重要な意味がある学園祭になる。今年のKVA祭で本来の形を取り戻したい」と話す。

無駄な出会いはない

今年のテーマは「どのような出会いも無駄にはならない」という意味の「No Encounter is Ever Waste(ノー・エンカウンター・イズ・エバー・ウェイスト」。実行委員長の3年 大和田さんは「新たな世代の融合と、新しい大学名に変わった思いから付けた」とし「コロナ禍でサークルの引き継ぎがうまくいかなかったという苦労もあった」と思いを語る。

KVA祭の横断幕を、市内の大通りに架かる陸橋などに掲示してPRしている。横断幕は、実行委員で模擬店を担当する3年 菊地大輔さんと、広報を担当する2年 柴田心歩さんがデザインした。柴田さんは特設サイトでのPRも担当する。「先輩がデザインで関わっているのを見て、自分もできることはないかと実行委員会への参加を決めた」と話す。

KVA祭の横断幕デザイン

国際色豊か

模擬店は、留学生が多い同大ならではの国際色豊かな点が特徴だ。スリランカ人留学生らは母国のスパイスを利かせたフライドポテトを販売する。中国人留学生らは模擬店で、茶道や折り紙を体験できる「三銃士茶道折り紙屋台」を出店する。ほかに学友会が芋煮会を開いて販売する。

模擬店を担当する菊地さんは、食品を調理して販売するため保健所とのやりとりなどの準備で多忙な日々を送っていると話す。

外部からキッチンカーも出店し、ケバブ、クレープ、焼きそば、から揚げなどを販売する。キッチンカーを担当するのは実行委員の3年 野口千咲さんによると、アリーズケバブの店長は、同校の卒業生だという。

大教室では、お笑い芸人を招いたライブが午後0時30分から開催される。ほかに軽音サークルのライブが同会場で催され、学生バンド2グループが出演する。ギターの弾き語りやピアノ演奏なども予定されている。

お笑い芸人を呼ぶメーンイベントの運営は3年 石嶋萌夏さんが担当する。軽音サークルのライブ開催を担当する実行委員会副会長で2年の小林亮太さんは「私自身軽音サークルの部長であり、軽音ライブは5年ぶりなのでうれしい。成功させたい」と意気込みを語る。

実行委員長の大和田さんは「模擬店も出るので盛り上がったらうれしい。多くの人にご来校いただき、1日楽しんでいただきたい」と語る。(伊藤悦子)

◆KVA祭特設WEBサイトは、日本国際学園大学KVA祭2024 (craft-student.org)へ。

つながるハロウィン《けんがくひろば》11

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昨年の会場風景

【コラム・島田由美子、吉田絵里子】10月に入り、まちのそこここにハロウィンの飾りを見かけるようになりました。今回は、研究学園駅(けんがく)地域の活動団体と地域の商店や企業が連携して開催する「けんがくハロウィン2024」(10月26日開催)企画のいくつかをご紹介します。

パンプキンがいっぱい

「けんがくハロウィン」のメーン企画は、地域のお店を訪ねてお菓子をもらう“トリックオアトリート”です。31もの店舗が協力してくださるので、家族で歩いて、まちを再発見してください。お菓子は総合受付でお渡しするシールとの交換です。

“ハロウィンクラフト”では、ゴミ拾いで使ったゴミ袋や軍手をパンプキンに変身させ、梨袋を使ったランタンを作ります。ハロウィンにちなんだ“フォトスポット”をたくさん設置し、参加者と一緒に“バルーンアート”を作っていきます。

みんなで会場をパンプキンでいっぱいにして、フィナーレで一斉に風船を割りましょう。軍手パンプキンと梨袋ランタンは、駅前の街路樹に1週間飾り、けんがく地区をパンプキンでいっぱいにします。

仮装deいいね大作戦

今年、大きく変わるのが仮装イベントで、“仮装コンテスト”が“仮装deいいね♡大作戦”となります。つくば市イメージキャラクター「フックン船長」と「けんがくハロウィン2024」のオリジナルコラボステッカー5枚を先着600名様にお渡しいたしますので、「すてきだね」「いいね」と思った仮装参加者にステッカーをプレゼントしてください。

ステッカーは8種類あります。コンプリートを目指したり、交換し合ったりするのも楽しいかもしれません。

昨年までのコンテストは地域のお店のご厚意で豪華賞品がそろって大盛況でしたが、やや過熱化しており、軌道修正の必要性を感じていました。私たちけんがくまちづくり実行委員会は、けんがく地区の住民同士がつながったり、この場所に誇りや愛着を持つきっかけになってほしいと考えて「けんがくハロウィン」や「さくらまつり」を企画しています。

そこで今回の仮装イベントは、その目的によりフォーカスした「つながるきっかけづくり」になる企画へ変更しました。

「すてきだね」「いいね」

“仮装deいいね♡大作戦”で配布するステッカーは、けんがくハロウィンの場だけではなく、その後も住民の皆さんがあたたかい気持ちで「つながる」きっかけになってほしいと願っています。「すてきだね」「いいね」のようなポジティブな言葉が当たり前にあふれる街なら、ますます住みやすくなるのではと考えました。

ステッカーはこの日にしかないオリジナルで、けんがく地区周辺在住のデザインを学ぶ学生さんがデザインしました。たくさん描いていただいたデザイン案から8種類を選りすぐりました。私たちは地域のみんなで地域のイベントを創り、盛り上げていきたいと考えています。(けんがくまちづくり実行委員)

「けんがくハロウィン2024」のポスター

まちを巡って演劇鑑賞を 今年は神立駅周辺で 

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「つち浦々まちなか演劇めぐり実行委員会」の久保庭委員長(前列左)と実行委員会のメンバー

26、27日 飲食店5店で4劇団が回遊型イベント

まちの各所で上演される演劇を巡り、まちを歩きながら、演劇とまちの魅力を知ってもらおうと、土浦市神立地区で26日、27日、回遊型の演劇イベント「つち浦々まちなか演劇めぐり 神立編」(つち浦々まちなか演劇めぐり実行委員会主催、久保庭尚子委員長)が開かれる。昨年に続いて2度目の開催。昨年は土浦駅周辺の飲食店や寺社など10カ所を会場に、2日間で10団体が会場ごとの特色を生かした演劇を上演した(23年1月1日付同9月27日付)。今年は神立駅周辺の飲食店5店舗で、4団体が演劇や朗読劇などを上演する。

昨年はお寺や中華料理店で

「まちを巡りながら美術作品を楽しむというイベントが各所で行われている。演劇もそういった形で上演できたらと思った」と話すのは、主催団体の委員長で、朗読会や舞台の演出も手掛けるかすみがうら市在住の俳優、久保庭尚子さん。寺社や飲食店など普段は演劇会場としてはあまり使われない場所で開いた昨年の上演を振り返りながら、「お寺では背景に仏様があったり、中華料理店では1階と2階を利用したりするなど、会場に合わせた上演方法をアーティスト自身が考えた。照明も劇場のように暗くせずその場の照明を利用し、声の響きも劇場とは異なる中で、演じる方も、お客さんも、新鮮さを感じていたと思う」と話す。

車での移動が市民に根付く土浦で、実際にまちを歩きながら複数の上演会場を巡ってもらえるのか不安もあったというが、昨年は会場の地図が描かれたチラシを手にまちを歩く人たちが行き交い、「土浦を知るきっかけになった」「改めて演劇が好きになった」という声が、演劇を見にきた人からだけでなく、会場を提供した人たちからも聞こえてきた。

昨年、生家の古民家を上演会場として提供した、市内で設計事務所を営む高橋農さん(39)は「私は土浦に生まれて、東京で仕事をして、また土浦に帰ってきた。土浦を盛り上げたいという思いは強かった」と言い、「その一端が担えれば」と、今年は実行委員会のメンバーとしてイベント開催に臨んでいる。

いつものお店で気軽に楽しんで

今年は、神立地域の飲食店や製造業者などによる神立商工振興会が協力し、神立駅周辺にある「鳥吉 神立店」「喫茶・酒場 のすたるじあ」「居酒屋 寿々喜」「金澤屋」「中国料理 盛榮」の5店舗を会場に、「劇団ルート6」「三月劇場(斜三次)」「玉響~たまゆら~」「よませてヨマセテ」の4団体が朗読劇や演劇を上演する。

「鳥吉 神立店」「喫茶・酒場 のすたるじあ」「金澤屋」で上演されるのは、劇団ルート6の「Trash Fish A・B」。会場ごとに「A」と「B」の二つの演目を演じて、一つの物語を複数の視点で見つめるオリジナルストーリーで、同劇団の福田バツマルさん(48)が演出・脚本を手がける。

イベントの打ち合わせに参加する「劇団ルート6」の福田さん(左)

実行委員長の久保庭さんは「地元を盛り上げたいという思いがある。演劇を劇場で見ることに敷居の高さを感じる方もいるかもしれないが、いつも食事しているお店や、飲みに行っているお店で何かやっているぞ、という気軽な気持ちで、普段とは違ったお店の顔や雰囲気を味わいつつ演劇を楽しんでいただけたら。今後も続けていきたい」と語った。(柴田大輔)

◆「つち浦々まちなか演劇めぐり 神立編」は10月26日(土)、27日(日)、土浦市神立地区で開催。
鳥吉 神立店(神立中央1-10-16)=26日午前11時~、午後3時30分~、27日午前11時~、午後2時~、劇団ルート6が「Trash Fish -sideA-」を上演。
喫茶・酒場 のすたるじあ(神立中央2-3-2)=26日午後1時~、午後4時30分~、27日午後4時~、劇団ルート6が「Trash Fish -sideB-」を上演。
居酒屋 寿々喜(神立中央1-12-6)=26日午後2時~、27日午後7時~、3会場で上演の3作品を「美味しいお芝居」としてまとめて上演。27日正午~、三月劇場(斜三次)が「極私的演劇温故知新」を上演。
金澤屋(神立中央1-11-18)=27日午前11時~、玉響~たまゆら~が「金子みすずの詩歌(うた)〜音楽とともに〜」を上演、27日午後5時~、同劇団が「朱川湊人『栞の恋』」を上演。
中国料理 盛榮(神立中央1-14-4)=27日午後3時~、よませてヨマセテが「グリム童話『ねずの木』他」を上演。
◆各会場でスタンプを集めるとオリジナルのステッカーやトートバッグがもらえるスタンプラリーや、演劇を巡りながら演劇や神立のまちで撮影した写真をハッシュタグ(#)「つち浦々フォトめぐり」とともにSNSに投稿すると抽選でギフト券が当たるなどの企画も同時開催される。
◆チケットは、各会場での1演目を1回鑑賞できる「1演目券」が1000円、26日午後2時からと、27日午後7時から「居酒屋 寿々喜」で上演される3作品を見ることができるチケットは2000円。購入は専用の販売サイトへ。詳細はイベントの公式サイトへ。問い合わせは、つち浦々まちなか演劇めぐり実行委員会のメール(tsuchiuraura@gmail.com)か、電話029-896-3099へ。

はらぺこあおむしと森のくまさん《続・平熱日記》167

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】南向きの掃き出し窓を開けると、そこには大きめの鉢が2つ。ひとつはレモン、もうひとつはコブミカン。どちらも膝の高さぐらいに剪定(せんてい)してある。レモンの方は何度か実がなったことがある。コブミカンは当時タイ料理が好きだった妻のためにたまたま見つけて買ったものだが、結局、その葉を使ってトムヤンクンを作ることはなかった。

いつまでも暑い日が続いたこともあって、エアコンをつけて閉めっぱなしだった掃き出し窓を久しぶりに開けてビックリ。レモンの葉がきれいに無くなっている。犯人はすぐに見当がついた。隣のコブミカンに目をやると、合計4匹のりっぱなあおむしがいる。すぐにでも、あおむしの強制退去といきたいところだが、数日後に虫好きの孫が来ることを思い出して、そのままあおむしに在留許可を与えることにした。

孫は「はらぺこあおむし」という絵本が大好きで、うちに来ると、大きな声ではらぺこあおむしの歌をよく歌っているのだ。そんな話をある友達にしたら、「うちにも金柑(きんかん)とスダチの木があるんだけど、同じ柑橘系でもあおむしはスダチが好きなのよ。一度スダチに着いたあおむしを金柑に移したことがあるんだけど、またスダチに戻ってきちゃって…」。そういえばうちの場合も、まずはレモンの葉っぱから坊主になっている。ということはレモンの葉を食べつくした時点で、あおむしたちは隣のコブミカンに引っ越していったということ?

ところ変わって、山口の果樹園。主にぶどうと梨を作っていて、ここで働く義妹は8月から9月いっぱいまではほぼ休みはないという。今年は台風の被害もなく天候にも恵まれ順調な収穫期を迎えられたと思いきや、農園にクマが出たらしい。「1頭は罠(わな)にかかったんじゃけど、もう1頭がなかなか捕まらんのよ」

聞けば、既に相当な被害が出ていて、確かにクマにとっても、やれ幸水だのシャインマスカットだのは一度口にしたらリピートしたくなるご馳走に違いない。はらぺこあおむし同様、パディントンやプーさんなど、絵本の中ではクマはとても愛らしいキャラクターとして描かれているが、実際のはらぺこクマさんは放っておくわけにはいかない。

「森のくまさん」という愉快な歌がある。親切にも「お嬢さんお逃げなさい」というクマさん。できればクマさんも人に会いたくないだろうに。かわいそうだが、害獣として駆除の対象になるのも仕方ないのか。

さて後日、やって来た孫はあおむしを見て大喜び。こちらとしては、早くさなぎになってもらわないとコブミカンも坊主になってしまうので気が気ではなかった。ところが翌朝、孫があおむしを見ようと掃き出し窓を開けたところ、あおむしが1匹になっていた。恐らく鳥に食われてしまったのだろう。「はらぺこあおむしははらぺこ鳥さんに食べられちゃった」

ちょうど義妹から梨とブドウが届いたので、東京に帰る孫に持たせた。結局、最後は人間が全部食っちゃうんだなあ。(画家)