土曜日, 4月 26, 2025
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入居拒まない住宅を普及へ つくばに住居確保支援団体 県内初

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住まい確保を支援する団体の設立準備を進めている(左から)浅井和幸さん、田村佳子さん、鈴木一也さん=つくば市内のシェアハウスリビング

【鈴木宏子】入居を拒まれがちな一人暮らしの高齢者や障害者がアパートなどに入居できるよう支援し、併せて入居者が地域で自立生活を送れるよう支援のネットワークをつくろうと、つくば市で、住まい確保を支援する団体の設立準備が進められている。

一般社団法人「LANS(ライフ・アシスト・ネットワーク・サービス」(つくば市二の宮)で、引きこもりの若者の自立支援をしているつくば市のNPO若年者社会参加支援普及協会アストリンク理事長、浅井和幸さん(46)▽土浦市真鍋や阿見町岡崎で福祉アパートを経営する土浦市の会社員、鈴木一也さん(36)▽つくば市の県議、田村佳子さん(64)の3人が準備を進める。7月初めに法人として設立見込みで、浅井さんが理事長に就任する予定だ。

高齢者や障害者のほか、住宅確保が難しい低所得者、母子家庭、DV(配偶者や恋人からの暴力)被害者、児童養護施設退所者などを支援する。空き家や空き室を活用して、入居を拒まない住宅を登録する住宅セーフティネット法が昨年10月に改正されたのを受けて、県内初の「住宅確保要配慮者居住支援法人」を目指すという。

今年2月、浅井さんが主催する福祉勉強会で、鈴木さんが、自ら経営する福祉アパートの取り組みを報告したのがきっかけ。鈴木さんは独自に経営方法を学び、高齢の入居者が転倒しないよう室内に手すりを取り付けたり、火事を起こさないよう直火を使わないIHコンロやエアコンなどの家電品をあらかじめ備え付けたりしている。さらに介護や医療、行政の支援が必要な入居者には、関係者と共に支援のネットワークをつくっている。

LANSでは、長く福祉相談に携わってきた浅井さん、福祉アパート経営のノウハウがある鈴木さん、行政や関係機関へのネットワークがある田村さんの経験をもとに、住まいに関する生活相談窓口を開いたり、不動産会社や福祉・医療団体、行政などと情報交換会を開いたり、国や自治体の補助制度を勉強などする。さらに関係機関の調整役となって、入居希望者の住まい探しを手伝ったり、見守りをしたり、不動産会社などに入居を拒まない住宅確保を働き掛けるなどしていくという。

ほかに、つくば市内の空き家だった一戸建て住宅を借りてシェアハウスとして運営し、緊急の住まいや、一時的避難所などとして利用してもらう。

浅井さんは「住宅確保が困難な人と何が必要か相談し、サービスをくっつけて、一人ひとりに合わせた支援のネットワークをつくっていきたい」と述べ、鈴木さんは「(入居者の要望に合わせ)ひと手間かけて入居してもらう大家さんを増やしたい」と話している。

◆住まいの生活相談窓口は月2回、2カ所で開催①毎週第3水曜午前10時~12時=つくば市研究学園、筑波銀行つくば副都心支店セミナールーム②毎月第3土曜午後1時30分~4時=かすみがうら市下稲吉、地域福祉センターやまゆり館▽シェアハウスの家賃は月額約2万5000円など▽問い合わせは電話080・1018・7670(浅井さん)、メールasai-kazu@sinri-soudan.com

つくば市内のシェアハウス

活躍中の作家による「茨城の美術セレクション」展 明日から県つくば美術館

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昨年の「茨城の美術セレクション」展の会場風景=つくば市吾妻の県つくば美術館

【田中めぐみ】県内在住で近年活躍している作家の美術作品を展示する「茨城の美術セレクション」展が6月26日(火)から7月8日(日)まで、県つくば美術館で開催される。

同展は、今年県近代美術館で開かれた「現代茨城作家美術展覧会」の出展作品100点から選抜した作品を展示するもので、今年度は県つくば美術館(つくば市)、県陶芸美術館(笠間市)、県天心記念五浦美術館(北茨城市)の3つの美術館でそれぞれ異なる作品を鑑賞することができる。

つくばでは、日本画6点、洋画16点、彫刻4点の計26点を展示。いずれも県内だけでなく全国的に活躍している作家による作品で見応えがある。今年は大作が多いのが特徴で、迫力ある展示が期待できるという。

同展はジャンルや会派を問わず展示しているため、来場の愛好家からは「さまざまな会派の作品を堪能することができる展覧会」と好評だ。最終日の7月8日(日)には出品作家によるギャラリートークが行われる。

◆入場無料。開館時間は午前9時30分~午後5時(入場午後4時30分まで。最終日は正午終了)。出品作家によるギャラリートークは7月8日(日)午前11時から。

昨年のギャラリートークの様子=同

【ひと】つくばで国際交流しよう 芝田圭子さん

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袴姿で活動について語る芝田圭子さん=6月、つくば市内のカフェ
田植えを体験する外国人ら=2016年6月、土浦市小野

【田中めぐみ】「つくばで国際交流しよう」ー。通称「SWiT(Small World in Tsukuba)」というボランティアサークルを立ち上げ、これまで多くのイベントを企画、主催してきたつくば市の芝田圭子さん(44歳)。今年度の「第26回『わたしの企画』応援します!」(カスミ主催)に芝田さんの新たな企画が採択された。11月18日、カスミつくばセンター(つくば市西大橋)で「小さな地球~国際文化博覧会」と題して、世界各地の文化を体験するパフォーマンス鑑賞とワークショップを開催する。

「小さな地球」は、会場を小さな地球に見立て、世界各地の文化を見て感じて楽しんでもらう体験型イベントだ。伝統文化やパフォーマンスを楽しみながら相互理解を深めるきっかけになればと考えているという。つくばで身近にある異文化が体験できる。

親切を返したい

芝田さんが国際交流に興味を持ち始めたのは、学生時代に行った中国での語学研修がきっかけだった。友人の日本人学生がタクシーに乗った時、中国人の運転手がメーターを倒さずに回ってくれようとした。運転手は「私は昔、日本人の社長の下で働いていてとても良くしてもらったから、日本人からお金を取ることができない」と語ったという。

芝田さんは、かつて誰かが届けた善意が自分たちに返ってきていると感じ、自分も中国で受けた親切を返したいと思うようになった。

対等に文化の交換

帰国後、芝田さんは日本に来ている外国人に日本を楽しんでもらいたいと思うようになった。対等な関係で文化の交換はできないか、日本人が気軽に参加でき1回だけでも楽しめるイベントがあればと思うようになり、2012年から本格的に活動を始めた。15年につくばボランティアセンターに団体登録をした。

定期的に開催しているイベントがいくつかある。一つは着物の着付けで、同市の春日交流センターや二の宮交流センターで開催している。外国人だけではなく、日本人も生徒になって着付けを学べる。1日だけの体験で着られ、写真も撮ることができるのでとても人気だという。

ダンスイベントは主に並木交流センターで開催しており、ストリートダンスやワルツ、ベリーダンスなどをつくば市在住の講師から学ぶことができる。

毎年、初夏には土浦市農林水産課と共同で田植えとそば打ち体験を開催している。11月には稲刈りも行うため苗から稲への成長が楽しめ、体験後にはコシヒカリのご飯とそばを味わってもらう。書道や工作イベントも不定期で開催している。いずれも1回だけの参加歓迎で、FacebookやLINEなどで告知している。

茨城の魅力を再発見

芝田さんの目標は「平等、平和で差別のない世界を実現すること」だという。つくばで草の根の活動を通して、国籍・年齢・性別に関係なくみんなで仲良くして、この地で得た親切や楽しさを周りにも広めてほしい、帰国する人は国に持って帰ってほしいという。

SWiTの理念は、国籍・年齢・性別にこだわらないことと、茨城の知られざる魅力を発掘することだ。

芝田さん自身、つくばに住みながら、茨城の良いところをあまり知らなかった。SWiTの活動を通して外国人を案内するうち、日本人スタッフも茨城の魅力を再発見するという。イベントを通じて外国人だけでなく日本人にも、日本の魅力、茨城の魅力を伝えていきたいと考えている。

着付けイベントで着物を着て記念写真を撮る外国人ら=3月、小野川交流センター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透き通った色彩 つくばの川浪せつ子さん 南イタリアをスケッチ

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自作の絵を背にする川浪せつ子さん=土浦市中荒川沖のカフェ・ド・コトブキ

【鈴木萬里子】つくば市在住の水彩画家でイラストレーター、川浪せつ子さんの「南イタリアスケッチ展」が、土浦市のJR荒川沖駅西口前のカフェ・ド・コトブキで開かれている。昨年5月にスケッチツアーで南イタリアを訪れた際に描いた下絵を水彩画に仕上げ、そのうち40点を展示している。

透明水彩絵の具を使って描いており、どの作品も透き通った色彩で細部を丁寧に描き込んでいるのが特徴だ。川浪さん(62)は「作品は水彩画というより水彩イラストで、イラストに近い描き方」と解説。家に飾ってなごむ絵、生活の中にある水彩画を中心に描いている。

イタリア旅行は今回が2回目、有名な観光地を巡った前回に比べ、今回は南部地方の小さな町や村を訪れた。南部の有名な観光地アルベロベッロから北東の、アドリア海に面した小さな港町モノポリを一日中1人で歩いた。観光地化されていないモノポリの風景の美しさや、人々の暮らしを丹念に見て回り、数点の作品に仕上げている。

川浪さんは建築の完成予想図を描く仕事に長く携わってきた。昨年3月に休刊した常陽新聞にも長く作品を発表していた。淡い色合いに定評があり、ファンが多かったことでも知られる。つくば市内を描いた絵はポストカードになり、TXつくば駅構内の「つくばの良い品」で販売されている。

来場した赤木裕子さん(65)と平島かよ子さん(68)は熱心に絵を鑑賞し「一般の水彩画とは違って、建築をやっているので建物が丁寧に描かれている。色合いが柔らかくてすてき」「写真とは違い、描き込んでいるのが良く分かる、すてきな作品ばかり」と話した。

◆会期は7月10日(火)まで、正午~午後4時30分。会場は土浦市中荒川沖町1-1カフェ・ド・コトブキ、日曜日休み。問い合わせは川浪さん(電話080・5524・8678)。

作品を鑑賞する来場者=同

レストラン街から飲食店すべて撤退 つくばセンタービル

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22日閉店した最後の飲食店「一成」=つくば市吾妻、つくばセンタービル1階アイアイモール内

【鈴木宏子】つくば駅近くのつくばセンタービル(同市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールから22日、飲食店がすべて撤退した。同日、最後に残ったそば店「一成(いちなる)」が閉店。閉店を惜しむ馴染み客らが最後のそばをすする姿が見られた。

同ビルでは今年5月20日、1983年の同ビル開業と同時に開店したピザチェーン店「シェーキーズ」が閉店、続いて同月末、スペイン料理店「ボンド」が閉店し、「一成」が最後に残っていた。

同ビルを運営する筑波都市整備(同市竹園)によると、現時点で新たに入居を予定している店舗や事務所などはないという。同市では、中心市街地の求心力の低下が問題になっていることから、今年度、市が同センタービルの在り方を検討する調査を実施する。同都市整備は「その中で、どうあるべきか考えたい」と話す。

かつて「どの店も行列」

閉店について、一成を運営する一成フードサービスの成山正樹社長(53)は「さびしい限り」と語る。同店は24年前の1994年にオープンした。当時センタービルに空き店舗はなく、どの店も行列ができていた。当時、成山社長は20代で、厨房に入ってそばを打ち、現在の味を完成させた原点が同店だったという。人通りが少なくなった原因については「隣接した場所にたくさんあった駐車場がマンションや商業施設、業務ビルになり、アクセスが悪くなってしまったのも一因ではないか」と話す。

近くに勤務し昼食を食べに来たという牛久市の男性会社員(57)は「月1回必ずセンタービルに来てシェーキーズに立ち寄っていた。一成も今日で閉店になると知ってびっくりした」と述べ、職場の同僚3人で来た男性は「無くなると困ります」と話していた。

新たな在り方 市が調査

同センタービルは日本を代表する建築家、磯崎新氏の設計により建築された。同都市整備の小林睦営業部長は「建てられた当初はつくばの中心の中の中心だったが2009年に常陽銀行、10年に筑波銀行が撤退したころから役割が変わってきた。つくばエクスプレスが開通し、新しい商業施設ができ、人の流れが変わってきた」とし「つくば市から、センタービルの役割を見直してはどうかと言われている。私たちもそうだろうと思うので、その中でこれから何が必要か考えていきたい」とする。

市は中心市街地の活性化を検討する一つとして、同ビルの在り方を検討する調査を7月から来年3月まで約470万円かけて実施する。センタービルの施設や設備の現状、周辺の公共施設との関連、市場性などの基礎調査を実施。同市学園地区市街地振興室は、調査結果をもとに今後の在り方を改めて検討したいとしている。

人通りが少なくなったつくばセンタービル

障害ある子もない子もアート身近に 24日つくばでダンスと音楽ライブ

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つくばカピオで開いているワークショップの様子(篠原さん提供)

【大志万容子】障害のある子もない子も共にアートを体感することを目的に、「アートはボーダレス!」と題したダンスと音楽のセッションライブが24日午後1時から、つくば市吾妻のつくばセンター広場で開かれる。

同市を拠点に芸術を通して市民の交流活動を行うNPO法人つくばアートセンター(篠原光子代表)が主催。舞踏カンパニー「山海塾」の舞踏家・松岡大さんや土浦市の画家・小林ゆきさん、音楽集団「サンドラム」らプロのアーティストが講師となり、つくばカピオで16日から開いている親子ワークショップの成果を発表する。入場無料。

ライブでは、子どもたちが竹やダンボールで作った楽器をアーティストと共に演奏したり、即興でダンスをしたりする。

篠原代表は「子どもたちが障害のあるなしにかかわらず、アートを敷居の高いものではなく身近なものとして感じてほしいと企画した。ライブでは、観客も手を叩いたり、体でリズムをとったりしながら一緒に楽しんでほしい」と話している。

3つのワークショップ 参加者を募集中

▷コンテンポラリーダンスワークショップ=23、24日午前10時~正午、つくばカピオリハーサル室。参加費2000円

▷楽器作りワークショップ=24日10時~午後4時。つくばカピオホールリハーサル室。参加費700円

▷映像体験ワークショップ=7月28、29日午前10時~午後4時、つくば市民ギャラリー。参加費1000円

申し込み・問い合わせはいずれもつくばアートセンター:メール:hearth.art981@gmail.com、HP:https://www.tsukuba-art-center.com/

大粒のサクランボ販売 土浦で23、24日天童フェア

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昨年の天童フェアの様子=土浦まちかど蔵(天童市提供)
山形県天童市の特産品サクランボ(同)

【谷島英里子】土浦市と観光友好都市の山形県天童市は23、24日に土浦市内で「天童フェア」を開き、生産日本一のサクランボ「佐藤錦」を販売する。赤い宝石とも呼ばれ、さわやかな酸味と甘みが絶妙だ。

天童フェアは毎年恒例で自分用や贈答用にと販売開始から長い行列ができる。サクランボのほか、漬物、玉こんにゃく、一部の会場では芋煮カレー、サクランボシロップのふわふわ氷のかき氷を販売する。今年のサクランボの出来は例年並みで、1000円から4000円ほどで購入できるという。

天童市によると、江戸時代末期に市内の8村が旧土浦藩領だったことなどが縁で、土浦市と相互交流協定を結んだ。問い合わせは土浦市観光協会(電話029・824・2810)まで。

天童フェアの日時と場所は次の通り。

◆土浦まちかど蔵=23日(土)午前10時~午後5時、24日(日)10時~午後2時 サクランボ、漬物、山形の玉こんにゃく実演販売

◆小町の館=23日(土)午前10時~午後3時、24日(日)午前10時~午後2時 サクランボ、漬物、山形の玉こんにゃく実演販売(23日のみ)

◆J:COMスタジアム土浦 24日(日)午前10時~午後3時 芋煮カレー、山形の玉こんにゃく実演販売、サクランボシロップのふわふわ氷のかき氷(天候不良の場合中止の場合あり)

高齢者の健康づくりへ 土浦市社協がスポーツ用具無料貸し出し

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シャフルボードに挑戦する小松長寿会=土浦市小松3丁目の小松町公民館

【谷島英里子】高齢者の健康づくりや仲間づくりにつなげてもらおうと、土浦市社会福祉協議会は、ニュースポーツの一つ「シャフルボード」用具の無料貸し出しを6月から始めた。年齢や障害の有無にかかわらず誰もが楽しめる。

シャフルボードは、縦長コートの反対側にある得点エリアに、ディスク(円盤)を細い棒(キュー)で押し出すように滑らせて得点を競うスポーツ。ディスクは1人4枚ずつを交互に滑らせる。相手のディスクに押し出されると0点になってしまうなどカーリングに似ている。

11日、同市小松地区の小松長寿会に初めて貸し出された。同会では毎年6月に軽度なスポーツや食事を楽しむ「ふれあい運動会」を開催してきた。会長の今井健也さん(76)は「毎年同じ種目だとマンネリになる」と、今年はシャフルボードを取り入れた。

参加したのは26人。初めはディスクを滑らせる微妙な力加減にやや苦戦している姿が見られたが、慣れると「行けー」と声を上げたり、相手のディスクをはじくための方向を考えたりと大いに楽しんでいた。

同市社協職員は「どんどん活用していただき、健康づくりに役立ててもらいたい」としている。

貸し出し対象は市内の高齢者団体やサークル、グループなど。期間は使用日から5日以内。問い合わせは社協福祉のまちづくり係(電話029・821・5995)まで。

慣れるにつれ観戦者から声援が上がった=同

TX堅調 20年3月に新型車両導入

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2020年3月導入予定の新型車両TX-3000系イメージ図(首都圏新都市鉄道提供)

【鈴木宏子】つくばエクスプレス(TX)が堅調だ。2017年度の営業実績は09年度から9期連続で経常黒字を達成し、開業以前からの累積損失を解消した。今後も乗客数の伸びが続き、東京オリンピックが開催される2020年度は現在より8%増加すると見込む。輸送力を増強させるため同年3月に新型車両TX-3000系を導入する計画だ。

TXを運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、柚木浩一社長)が発表した18年度から3年間の中期経営計画によると、沿線自治体の人口は引き続き増加し、20年の1日平均乗客数は17年度の37万人から40万人に達すると見込む。

20年に運行予定の新型車両は30両編成で、現在の車両を基本に先鋭感を強調したデザインになる。車両は走行時の消費電力を約13%削減。車内は車いすやベビーカー利用者が利用しやすいよう各車両にフリースペースを設置などする。

輸送力増強の取り組みとしてほかに20年春から、最混雑区間で朝のラッシュ1時間の最大運行本数を現在の22本から25本に増やす。

安全性の向上では近年、乗客数の急増を背景に、ドアに荷物が挟まるなどの事故が発生していることを受けて、20年度までに八潮駅など8駅のホームドアにドアの挟みを検知する3次元センサーを設置する。ほかに混雑の激しい秋葉原駅のホームを延伸する。

東京オリンピックをきっかけに外国人観光客が増えると見込まれることから、同五輪バリアフリー指針を踏まえて、全20駅のトイレの便座を温水洗浄便座に改修するほか、全駅の窓口に翻訳サービス端末を配備する。

駅ナカや高架下の空間活用として、子育て支援施設の整備に積極的に協力。20年4月には八潮駅高架下に学童保育施設が開設される予定という。

同中期経営計画の設備投資額として計約300億円を予定している。

TX-3000系車内イメージ図(同)

開業以来初の利益剰余金計上

一方、2017年度の営業実績によると、1日当たりの平均乗車人員は16年度と比べ1万6000人(4.5%)増の37万人、経常利益は22.7%増の61億4800万円となり、9期連続の黒字となった。当期純利益は24.3%増の46億100万円となり、前期末に22億2000万円あった累積損失が解消し、開業以来初めて利益剰余金23億8100万円を計上した。一方、TX建設に要した鉄道・運輸機構に対する債務が6000億円近く残っているとしている。

施設・設備は17年度までに、総合基地(つくばみらい市)入出庫線複線化、守谷駅追越設備新設、車体更新場新設の守谷3事業が完了し、基盤が整った。

TX一日平均乗車人員(人)
2017年度 2016年度
つくば 18,606 18,425
研究学園 7,148 6,821
万博記念公園 2,974 2,705
みどりの 4,326 3,952
みらい平 5,094 4,835
守谷 24,959 24,516
柏たなか 4,909 4,434
柏の葉キャンパス 16,431 15,451
流山おおたかの森 36,491 34,702
流山セントラルパーク 4,707 4,346
南流山 35,913 34,619
三郷中央 14,069 13,164
八潮 22,414 20,613
六町 14,462 13,902
青井 6,651 6,440
北千住 48,741 46,556
南千住 5,159 4,989
浅草 10,803 10,536
新御徒町 20,310 19,389
秋葉原 66,070 63,849

記者が体験 ヨガでストレス軽減を実感 筑波大

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瞑想を体験する記者(左端)=筑波大学武道館

【田中めぐみ】筑波大学(つくば市天王台)は、人間の身体活動能力を最大化するための次世代健康スポーツ科学を推進している。その効果的な方策の一つとして、2015年から同大学院の共通科目にヨガコースが開講した。院生たちは自分の研究テーマに向かい合い、さまざまなプレッシャーと戦っているが、生活にヨガを取り入れることでストレスが軽減しているという。6月3日と11日に同大武道館で開かれた社会人向けヨガ講座を記者が体験した。この講座は、同大のスポーツ・オリンピック学専門プログラム「つくば国際スポーツアカデミー(TIAS)」が社会貢献事業の一環として開催している。

ヨガはストレスやプレッシャーを切り抜け、平常心を取り戻すための心身技法だ。担当教員の一人である農学博士ランディープ・ラクワール教授によると、毎年ヨガコースの受講希望者は定員を超えキャンセル待ちの状態。教室は学生でいっぱいになり、ニーズの高さを感じているという。

研究成果を地域に還元

同大では、研究で得られた成果を広く社会に還元することを目指している。ランディープ教授は学生たちのヨガへの関心の高さを知り、16年から一般の参加者も受講できる「みんなのヨーガ」クラスを開講した。講師は長年ヨガや呼吸法指導、ヨガの科学的研究に携わってきた高橋玄朴講師。講座は深遠なヨガの思想について解説する講義とヨガの実技合わせて各回3時間ほどで、今年度は7月15日まで開講している。

講義のテーマは毎回異なっている。3日の講義は「東洋心身思想の特徴とその広がり」。高橋講師によると、座禅や気功、武道とヨガには共通する特徴があり、それは姿勢を整える(調身)、呼吸を整える(調息)、心を整える(調心)ということだ。日本の「道」(蹴鞠、能・狂言、武道、茶道など)にも共通する心身技法があるという。

ラクワール教授は「大学発の講座である以上、アカデミックな内容であることを重視している」と言う。専門的で難解な部分もあるが、講義後には高橋講師やラクワール教授に自由に質問することもできる。

寝不足でこわばり 脱力体操でほぐれる

講義は1時間ほどで終わり、短い休憩の後いよいよ実技だ。高橋講師の指示に従いながら、まずは体をほぐす脱力体操から始める。前の週に忙しかったこともあり、1週間まとまった運動をしていない。前夜は寝不足気味で少しだるさがあった。しかし、力を入れては抜くという運動をじっくり繰り返しているうちに首のこわばりや肩の緊張が取れてきた感じがする。

外は緑いっぱいで気持ちの良い快晴。静かな中、武道場で試合する人たちの掛け声や鳥の声、葉擦れの音が遠く聞こえる。ゆったり流れる時間が心地よい。時間をかけて体を伸ばし呼吸を続けるうちに、浅かった呼吸がだんだん深くなり、たくさん息を吸い込めるようになってきた。その分吐く息も長くなる。もともと体が硬く、先生のようにはできないポーズも多いが、気にせずに体が心地よく伸びるのを味わう。

雑念ばかり 10まで数えられない!

実技前の講義で、仏教の行のやり方である「数息観(すうそくかん)」について習った。1から10まで数を数えながら呼吸をし、最後までいったらまた1に戻る、間違えたらまた1から数え直すというものだ。高橋講師の指示で始めるが、これがなかなかうまくいかない。数を数えていても仕事の事ばかり頭に浮かんでは消え、何度やっても10まで数えられない。「あっ、また雑念だ」と思ってやり直すのだが、無心になることがこれほど難しいとは。日ごろどれだけ雑念ばかりで生活しているのかを思い知った。

その後指示で、自分にだけ聞こえるように「んー」と言いながら瞑想をする。「無字観(むじかん)」という技法だ。すると、自分の声の響きに集中するせいだろうか。雑念が減った。不思議な感覚だ。しばらく「んー」と言い続けることだけに集中し、その後先生の指示で止めると、なんとも言いようのない穏やかな静寂が広がる。明鏡止水の心境。とても気持ちの良い感覚だ。

不安消え目の前シンプルに

初心者にも取り組みやすく手順を踏んだ瞑想のやり方は、高橋講師が大学院の学生のために考案したものだという。静かな心の状態をゆっくりと味わった後、仰向けのポーズになってゆったり呼吸し、伸びをして起き上がる。

ヨガをやる前に感じていた「あれもこれもやらなくては」という焦燥感や漠然とした不安感が消え、目の前の仕事がシンプルに映り、やるべきことの優先順位が明確になった感じがする。本来各々が持っている力を最大限発揮できるようにするというヨガの効果を記者も実感することができた。

筑波大学体育系教授ランディープ・ラクワール農学博士㊧とゲストティーチャーの高橋玄朴講師

調整池 樹木伸び放題 福島原発事故影響 土浦市が伐採、土砂搬出検討

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樹木が生い茂る調整池=土浦市木田余東台

【鈴木宏子】福島第1原発事故による放射能の影響により土浦市内で調整池の浚渫(しゅんせつ)が行き届かず、場所によって樹木が伸び放題になっている。同市6月議会一般質問で指摘があった。市は調整池の機能を確保するため、今後、放射線量を測定した上で、樹木の伐採や草刈りなどを実施し、土砂の搬出を検討するとしている。久松猛市議(共産)が指摘した。

調整池は雨水を一時的にためて冠水や浸水被害を起こさないようにする施設で、市内には宅地造成や土地区画整理事業でつくられた調整池が58カ所あるという。規模は100㎡未満の小規模なものから4万㎡以上の大規模なものまでさまざまで、市が管理している。

久松市議の地元、同市木田余東台の住宅団地調整池は現在、樹木が生い茂っている。震災前からほとんど手入れされてなかったと久松市議はいう。数年前、区長が市に浚渫を要望。市は調整池内に重機を入れて浚渫を実施したが、土砂は調整池敷地内に寄せ集められただけだった。当時は住民に対し放射能の影響で持ち出せないなどの説明はなかったという。震災から7年が経過し、現在、樹木はさらに伸び、底に泥がたまっていて水たまりがあるため周辺住民は蚊の発生に困っていると久松市議は話す。

市によると各調整池の管理は、2011年の東日本大震災前は排水口と周辺の土砂のしゅんせつ、草刈り、清掃を随時実施していた。

震災後は調整池に堆積している土砂は放射線量が高く受け入れ先がないことから搬出できず、市は清掃して出た排出口付近の土砂を、調整池内に一時保管などしている。震災後も定期的に清掃している調整池がある一方、排出口以外の部分は土砂が堆積して草が生え、木が茂っている調整池もあるという。

市は、震災から7年が経過し状態も変わっているとして、今後、調整池内に堆積した土砂について放射線量や放射能濃度、堆積した土砂の調査を実施する。放射線量によっては受け入れが可能な処分先もあるとして処分を検討するとした。

規模の大きな調整池については、調整池の機能を確保するため、草刈りや樹木の伐採、配水口周辺の清掃などを優先的に行いたいとしている。

土砂の搬出の検討に対し、東日本大震災が発生した2011年から3年間にわたって市内の放射能汚染の実態を独自に測定し調査してきた市民団体「土浦まちづくり市民の会」代表の長坂慎一郎・山形大学元教授は「最近、市内の調整池の土砂の測定を実施したが高さ1mで0.5㍃シーベルトあり、除染の目安の0.23㍃シーベルトを超えていた。たまった土砂を浚渫しないと本来の調整池の機能を果たさないということだと思うが、調整池には集水域から放射性物質がたまるので、土砂を搬出する前に測定をする必要がある」などと話している。

【シルバー団地の挑戦】2 文化部が医療講話

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分かりやすく地域医療を話す室生さん(左)と真剣に聞き入る参加者たち=つくば市森の里

【橋立多美】つくば市茎崎地区の大規模住宅団地、森の里自治会公会堂で15日、文化部主催の講話「自分と家族を守るための地域医療の知識」が開催された。60代や70代の前期高齢者を中心に約70人の団地住民が梅雨寒の中を集まった。

同団地の世帯数は約1300戸で高齢化率は5月1日現在49%(市市民活動課調べ)。これまで自治会文化部は、住民の融和を目的にしたコンサートや文化祭などの行事を継続してきたが、今年度から超高齢社会に対応した行事を盛り込むことになった。講話はその一環で初の試み。

講師は同市倉掛で内科医院を開業し、長年高齢者への訪問医療を実践していた室生勝さん(82)。医院を閉じた後も、高齢者のための講演や相談などの活動を続けている。NEWSつくばのコラムニストでもある。

室生さんは自己健康管理法や病院の種類と役割、かかりつけ医の見つけ方などを分かりやすく説いた。また、疾患を持ち医療を受ける側も、病気の治療や生活の質を向上させるための知識を得ることが必要だと話した。患者の心得として勧めたのが「健康手帳」。血圧の数値と体調の変化を記載し、受診時に持参すれば診断に役立つと述べた。

講話を聞いた古谷とよ子さん(70)は「相性の良い医師をかかりつけ医にという話があったが、私よりパソコンの画面を見ている医者が多くて決められず、切実な問題。暮らしに直結した医療や介護の話をまた聞きたい」と話していた。

文化部部長の中村栄子さん(69)は「医療は聞きなれない専門用語が付きものですが、1人も退席することなく最後まで真剣に聞いてくれた。関心が高いことが分かったので医療や介護に関する行事を続けていきたい」と語った。

 

プール底面はがれ児童11人けが つくば市竹園西小

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つくば市役所=つくば市研究学園

【鈴木宏子】つくば市は14日、同市竹園、市立竹園西小学校プールで13日午後2時ごろ、FRP(繊維強化プラスチック)製の底面がはがれ、破片で小学3年の男子児童1人が足の裏を8針縫うけがをし、10人が足の裏などに擦り傷を負ったと発表した。

市教育局教育施設課によると、5月28日、プールの底面がはく離していると同校から市に連絡があった。現場を確認したところ、三角形の形状で、長いもので一辺70㎝ほどの大きさで底面がはがれていた。他にも、はがれそうな箇所が2カ所あった。市は3カ所について同日、はがれた部分は取り除くなどし、防水テープを張って修繕した。

さらに6月12日、防水テープの上に塩化ビニール製のプール専用マットを約3m四方敷き、翌13日午後、3年生が授業でプール使用を開始した。

使用開始早々、修繕箇所1カ所のマットがずれ、はがれたFRPの断面で児童が足の裏などにけがを負った。8針縫った児童は翌14日、サンダルで登校し入院などはないという。すり傷を負った10人は通院治療などはしていないという。

市は現在、同小のプール使用を禁止し、原因を調べている。プール専用マットは、底面に密着し、ずれないとされていた製品だったことからメーカーにも話を聞いている。

同小では今年夏、代わりの施設を探しプールの授業を行うことになるという。

市は他の小中学校に対しても安全点検をするよう指示した。さらに今後プールを使用する場合は、全校で目視による安全確認を行った上で児童・生徒をプールに入れるよう徹底するとしている。

同小プールは1990年3月に完成した。市教育局によると市内の小中学校プールで底面がはがれる事故が発生したのは初めて。

門脇厚司教育長は「児童、保護者の皆様に多大なるご迷惑をお掛けしお詫びします。竹園西小プールは底面の全面的な改修を検討し、市内の全小中学校に対して安全確認を行うよう指導します」とのコメントを発表した。

ピンクのバッタ捕まえた! つくばの小学5年生

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ピンクのバッタを捕まえた(左から)宮田桃羽さんと福田大貴さん
捕まえた当初のバッタ。紫がかったピンク色をしている=5月19日

【鈴木宏子】つくば市並木、桜南スポーツ公園の草原で、市立桜南小5年の福田大貴さん(11)と宮田桃羽さん(10)がピンク色のバッタを捕まえた。現在、福田さんが虫かごで大事に育てている。

ミュージアムパーク県自然博物館(坂東市)教育課動物研究室の西元重雄さんによると「ピンク色は突然変異。それ自体珍しいが、自然界では非常に目立ち天敵に捕食されてしまう。生き残っていた個体を見つけられたこと自体が貴重」と話している。

5月16日夕方、バッタがたくさんいる同公園の草原で友達と遊んでいたところ、宮田さんがピンク色のバッタを見つけた。近くにいた福田さんが追いかけて捕まえた。「初めてピンクのバッタを見たのでうれしい」と宮田さん。福田さんは「普通のとは違うけれど感動した」と話す。

バッタは3㎝ほどの大きさ。西元さんによると、小型のバッタ、ヒナバッタで、春に羽化し2カ月ほど経った成虫という。本来は茶褐色だが、捕まえた当初は紫がかったピンク色だった。5月21日に虫かごの中で脱皮し現在は薄いピンク色になっている。

捕まえたバッタは福田さんが土を敷いて草を入れた虫かごに入れて飼育している。えさは、捕まえた草原に生えているイネ科の草を週1回ほど採って与えているという。「元気にえさを食べているので順調にいけば秋から冬ごろまで生きているのではないか」と西元さん。福田さんは「大きなピンクのバッタになってほしい」と話す。

母親の福田佳奈子さんによると、近々もう1匹捕まえてきてつがいにする計画という。卵を産ませてピンク色のバッタが生まれるのを楽しみにしている。

虫かごで1度脱皮した後の現在のバッタの様子(福田佳奈子さん提供)

 

しゃべっぺ土浦 企画展のボランティア募集

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企画展「しゃべっぺ土浦-見ればしゃべりたくなる写真展(仮)」を予定している土浦市民ギャラリー内の通路

【谷島英里子】土浦市民ギャラリー(アルカス土浦1階)で来年2月に開く市民協働の企画展「しゃべっぺ土浦-見ればしゃべりたくなる写真展(仮)」の企画・運営ボランティアを市が募集している。応募の締め切りは15日。

ボランティアは月に1~2回の企画会議に出席しながら写真提供を呼びかけたり応募写真の整理をしたりする。11月~来年2月からは展示準備を行う。展示は同2月中旬から3月上旬を予定している。

ギャラリー館長の佐賀憲一さんは「アートに興味があって、土浦を盛り上げたいと思う方など世代を超えておしゃべりができる企画展を作り出したいですね」と呼びかけている。

申し込み、問い合わせは(電話029・846・2950)、(ファクス029・846・2951)まで。

「心を軽くして」 がん体験者が患者と経験共有 筑波メディカルでピアサロン

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ピアサロンでがん患者の話を聞くピアサポーターの2人=つくば市天久保の筑波メディカルセンター病院

【鈴木萬里子】がん体験者が、がん患者や家族の悩みや不安を聞き、体験を共有するピアサポートが、がん診療連携拠点病院の筑波メディカルセンター病院(つくば市天久保)で毎月1回開かれている。がん体験者の会「ピアサポートつくば」(神田裕子代表)が相談支援活動を行っている。

患者にとってがんへの不安や向き合う方法など、悩みは多い。利用者は体験者と話すことで気持ちを分かち合い、自分の考えをまとめるなど、心を軽くして不安を和らげる一助となっている。家族もどう接すれば良いのか、何をしてあげられるのかなど不安や悩みを話すことができる。

がん患者は家族や友人に不安や辛さを話しても「かわいそう」と思われて段々話さなくなってしまうという。その一方で自分の思いをどこかで吐き出したい気持ちもある。ピアサロンではどんな話も外に漏れることはなく、安心して話すことができる。がん体験者のサポーターは良い悪いの判断はせず、利用者の考えをそのまま受け入れるという。

ピアサポートつくばの支援活動は今年で3年目となった。サポーターは8人、2人1組が当番となり患者同士が気楽に集い、おしゃべりをするサロンを支える。個別にじっくり話を聞く個別面談にも対応する。

サポーターの一人、山田陽子さんは「体験者だからこそ分かち合えることもある。一人で抱え込まないで、同じ悩みを持つ仲間と話して心を軽くしてほしい」と話す。近年がん患者数は増加しているが同時に治療法も進歩している。早期発見すれば治癒率も高い。山田さんは「病気を治すのは医者。病気と向き合って生きていくのは自分。年1回の健康診断が何より重要、是非受けてほしい」と呼び掛ける。

取材当日の当番サポーターの2人は「人の役に立ちたいとの思いでサポーターになった。患者さんが笑顔になって帰っていくのがうれしい」「自分も治療中はゆとりがなくいっぱいいっぱいだった。時間が経ってその経験を伝えられるようになり良かった」と話していた。

ピアサポートは、2008年に始まった県のがん患者支援推進事業で、県内10カ所のがん診療連携拠点病院で実施されている。サポーターには養成講座の受講が義務付けられている。ピアは仲間を意味する。

◆ピアサロンつくばは、予約不要で相談も無料。通院している病院に関係なく利用できる。次回の開催は6月21日(木)。来年2月まで毎月第3木曜日、午後1時30分~3時30分。筑波メディカルセンター病院1号棟4階「つつまれサロン」。問い合わせは筑波メディカルセンター病院患者家族相談支援センター(電話029-851-3511)。またはピアサポートつくば(メールpeertsukuba@gmail.com)まで。

クレオに図書館移転を検討 つくば市 整備費用22億円

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閉鎖されている商業施設クレオ=つくば市吾妻

【鈴木宏子】西武筑波店とイオンつくば駅前店が撤退後、入居店がなく閉鎖されているつくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)の再生について、五十嵐立青つくば市長は12日、5、6階に図書館など公共施設を入居させることを検討していることを明らかにした。入居費用は約22億1400万円になるという。

図書館のほか、窓口センター、市民活動総合センター、子育て支援施設を5、6階に入居させることを検討している。図書館は、つくば文化会館アルス(同市吾妻)にある中央図書館を移転させることになるという。アルスの跡地活用は改めて検討する。

市によると今年1~3月、5、6階に市公共施設を入居させることを想定し、クレオの建物や設備の老朽化の状況などを約760万円掛け調査した。建物に問題はないが、老朽化が進んでいる設備が一部にあり、全棟を大規模改修する場合は約51億6200万円の費用がかかると試算した。さらに図書館を入居させる場合、クレオは商業施設として設計されており積載荷重が重くなるため、床などの構造補強を行うことが必要になる。5、6階2フロアの設計・整備費用は約22億1400万円になるという。

市は今後さらに、所有者からクレオ5、6階を賃貸する場合と購入する場合のそれぞれのケースについて、費用や運営方法などを調査するという。五十嵐市長は12日、同調査費用として約760万円を6月議会に提案した。結果は12月ごろまでにまとめるという。

クレオは地上7階・地下1階建て。延床面積は約5万6000㎡。5階と6階の面積はそれぞれ約5500㎡。アルスにある現在の中央図書館の面積は約2400㎡で、クレオに移転する場合、約1.8倍の4360㎡にすることを想定しているという。

クレオは筑波都市整備(同市竹園)が土地と建物を所有し、現在、売却も含め、新たな活用方法を検討している。つくば市の検討内容に対し同社は「つくば市の内容がよく分かってないのでコメントできません」としている。

【ひと】心地良い空間で地域を元気に パブオーナー 松島壮志さん

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作り手の思いがこもったビールを一杯ずつ、真剣な表情でグラスに注ぐ松島壮志さん=つくば市天久保のフィンラガン

【鈴木康平】つくば市天久保のリッチモンド2番街にあるパブ「フィンラガン」は、連日深夜まで多くの客でにぎわう。

オーナー、松島壮志さん(46)は筑波大学体育学群入学後、アルバイトでバーテンダーの世界に足を踏み入れた。同大学近くのバーの副店長を任され、カウンターの内側で多くの時間を過ごす学生生活だった。「一流の世界を見たい」と都内の店にも頻繁に足を運び、技術を学んだ。「興味の先へ突き進んでいく性格」と自身を分析する。

大学を卒業後、アルバイト先の店舗にプロのバーテンダーとして職を得た。当時ウイスキーの虜(とりこ)になっていた松島さんは「ビンテージや価格帯、豊富なバリエーションなど奥深い世界を好きになった」と話す。バー仲間から言われた「一度、本場を見なくてはだめだよ」に背中を押され、26歳の時ウイスキーの本場スコットランドへ単身旅立った。

同国各地に点在する蒸留所を巡った旅。しかし、当初は松島さんが思っていたのとは違うものだったという。「日本で飲んでいないものは無いくらい飲んでいたから、初めはたいしたことないと感じていた」。しかし旅が進むにつれて、「パブ」という街の酒場に心引かれてゆく。

「バーの世界は酒に対して真摯に向き合う、緊張感のある世界」と旅立つ前の環境を回想する松島さん。一方、パブはパブリックスペースの略語で誰の管理下でもない、自由でリラックスした雰囲気を大切にする。「時には何も飲み食いせず、話すだけで帰る人もいた」ことに衝撃を受けた。この出合いが、後の「フィンラガン」の原点につながる。

帰国後、29歳の時に独立してオープンした同店。スコットランドで出合ったパブを再現するため、松島さんの思いが形になった店内は、立ち飲みを想定した背丈の高いカウンターやテーブルが並ぶ。15種類のクラフトビールに自然派ワインやモルトウイスキーなどお酒と料理の会計は、「好きな時に出入りして欲しい」と、受け取る際に料金を前払いするキャッシュオン制を採用している。

クラフトビールの仕入れは「実際に飲んで、作り手に会って話す」過程を大切にする。原料のホップが収穫される時期には農園に出向いて手伝い、作り手との関係を深めた。客に提供する時も、「思いが詰まったビールを最高の形で出したい」と機材から注ぎ方まで細部に渡ってこだわってきた。

同店は今年で17年目。松島さんが掲げるのは「元気」というキーワードだ。「今までは良いお酒や料理など『モノ』を売ってきたが、今後は元気を出す『場作り』もしていきたい」。4月からは毎週水曜日に、市内に住む外国人との交流を目的としたイベント「TGIフィンラガン」を開催。今後も自身の趣味であるランニングとビールを活かした「Run for BEER(ラン・フォー・ビア)」など、新たな場作りに力を入れる。

日の暮れた頃、大学や仕事帰りに杯を片手に明日への元気を充電するお客さんを迎えるため、松島さんは今日もカウンターに立つ。

◆ブラッセリー&バー「フィンラガン」はつくば市天久保2-9-2、リッチモンド2番街B-203。営業時間は月~土曜の午後6時30分~午前3時。日曜は午後3時~午後11時。電話029-852-0244。
ブログhttps://blogs.yahoo.co.jp/finlaggan0220
twitter https://twitter.com/barfinlaggan?lang=ja

子どもが楽しむクラシックコンサート 楽器体験も

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バロック調の服装を着て演奏が始まった「音楽の歴史」コンサート=つくば市吾妻のつくば市民ギャラリー

【鈴木萬里子】0歳から参加出来る、ベビーカー大歓迎の体験学習型コンサート「音楽の歴史」が、10日午前と午後の2回つくば市吾妻のつくば市民ギャラリーで開かれた。会場には子ども連れの家族が多数来場し、本格的なクラシック音楽を楽しんだ。

主催は音楽史ムヒカヒストリアで、ラテン語の訳は題名と同じ「音楽の歴史」。クラシック音楽の堅苦しさを取り払って、小さな子ども達にもオープンな気持ちで聴いてほしい、との思いから今回初めてのコンサートを開いた。音楽を身近に感じられるよう前列には子ども達が座るスペースを設けた。曲名ではなく自分の耳で集中して聴いて好みの曲を見つけてほしいと、プログラムはあえてない。

奏者はバイオリン、ビオラ、コントラバス、クラリネット、フルート、キーボードの6人に司会が加わり華やかな幕開けとなった。ヴィヴァルディ、バッハ、モーツァルトなどの代表的な曲の演奏に、奏者がバロック調の服装で現れると会場は一気に楽し気な雰囲気に包まれた。

体験学習型コンサートとあって、指揮者コーナー、フルートのひみつ、みんなで音楽などが設けられ、子ども達が奏者と一緒に音を楽しむ仕掛けがされている。後半になっても静かに音楽を楽しむ姿が随所に見られ、最前列の6人が身を乗り出すように聴き入っていた。

コンサート終了後には楽器体験があり、チェロ、フルートなど実際に触わり音を楽しむことが出来る。つくば市の原口和香奈さん(10)は「楽器を演奏できるのは面白い。チェロを弾くのは難しかったが楽しかった」と話していた。

ムヒカヒストリアの奏者全員がつくば市在住の音楽家。子育て中は音楽活動もままならず一度は音楽から離れた経験を持つ人もいるという。代表でコントラバス奏者の小又史江さんは「音楽家としてのキャリアを積んでも活動出来なかった時期が自分にもあった。つくばには、くすぶっている若い音楽家がたくさんいる。仲間に誘って音楽活動を断たれないようにしたい。子ども達がクラシックを気楽に楽しめる環境作りをしていきたい」と抱負を語った。

◆第2回「弦楽器全員集合」は9月9日(日)。会場はつくば市吾妻のつくば市民ギャラリー。料金は一人500円。問い合わせは小又さん(電話090・8946・0535メールbassfumie117@docomo.ne.jp)

コンサート終了後に実際に楽器を弾いた参加者=同

91歳の洋画家 高橋秀さん個展

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自作の半抽象画をバックにした高橋秀さん=つくば市小田のギャラリーカフェ梟

【鈴木萬里子】土浦市在住の洋画家で二科会会友の高橋秀さんの個展が、つくば市小田のギャラリーカフェ梟(ふくろう)で開かれている。会場には18点の油彩画と、薄く色づけした淡彩画10点の計28点が展示されている。

高橋さんは今年91歳。茨城大学を卒業し教職に就く傍ら創作活動に着手。43歳で初めて個展を開いた。第76回二科展特選などを受賞している。現在は土浦一中地区公民館で油彩画と淡彩画の講師として指導にあたっている。師は、茨城の自然を表現豊かにとらえた芸術院会員の洋画家、 服部正一郎さん(故人)。

同ギャラリーでの開催は昨年に続き2回目。今年はファンの要望に応えて筑波山に向き合った作品4点が展示された。

いずれも作品名札がない。高橋さんは「あえて付けない。自分の感性で感じて見てほしい」と話していた。ほとんどが具象と抽象の中間の半抽象画だ。色彩を自由自在に使い、独特な画風を作り上げている。

「教えるのがとにかく好き」という高橋さんを慕う生徒は50人に上る。来場した生徒のうち最高齢の小野直代さん(97)は「先生は褒めて伸ばして下さる。最近は先生の作品に近づき、褒められるのでうれしい。色の使い方が面白くてすてき」と話した。

◆会期は17日(日)まで。入場無料、開廊時間は午前10時~午後4時30分。月曜、金曜休廊。問い合わせは高橋さん(電話029・821・8611)。

黄と朱色の風景画を熱心に見つめる来場者ら=同