金曜日, 3月 7, 2025
ホーム ブログ ページ 257

5㎞で土浦湖北高生が優勝 かすみがうらマラソン 雨の中1万6500人が力走

0
スタートする10マイル部門の選手たち=土浦市川口の県道

【崎山勝功】第28回かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン2018(同実行委員会、土浦市など主催)が15日、土浦市川口、川口運動公園近くを発着点に行われ、フルマラソン(42.195㎞)、10マイル(16.09㎞)、5㎞の各部門に約2万4000人がエントリーし、1万6509人が断続的に雨の降る悪天候の中、力走した。

このうち県勢は、5㎞一般の部男子で、柴田樹(17)=県立土浦湖北高校3年=が15分54秒で優勝した。柴田は「記録は悪かったけど1位を取れて良かった」と喜びを語った。

5㎞の一般の部男子で優勝した土浦湖北高校の柴田樹(左端)=土浦市川口の川口運動公園

また、同5㎞一般の部では、土浦市など周辺3市町の高校11校が参加し、3人1組の高校生ランナーが合計タイムを競う「土浦市内・かすみがうら市内高校対抗レース」が行われ、柴田らが所属する県立土浦湖北高校が優勝した。柴田は「3人で練習してきたので、こういう形で3人で1位を取れて良かった」、2年の小林篤生(16)は「大会で実を結んだ」とそれぞれ話した。5㎞の部で16分31秒で3位入賞した、同校3年の茅森志温(17)は「やっと結果を残せてうれしい。僕自身はタイムは目標に届かず悔いが残るけど、団体で優勝できてうれしい」と述べた。

男子は渡邉清紘、女子は藤沢舞が独走優勝

フルマラソン一般の部男子は、渡邉清紘(31)=山形県=が2時間23分05秒で2位に約3分もの差を付けて独走状態でゴールした。同女子では藤沢舞(43)=北海道、エクセルAC=が2時間45分54秒で2位に約4分の大差で勝利を収めた。「2年ぶりに出場した」という藤沢は「天気が悪かったけど走りやすかった。優勝は8年ぶりだったので素直にうれしい」と喜びの表情を見せた。

フルマラソン一般の部女子で優勝した藤沢舞=同

10マイル一般の部女子で57分54秒で優勝した新立啓乃(20)=兵庫県、ノーリツ=は「持久力を付けていって(次戦の)ハーフマラソンやマイル大会につなげていければ」と、次の大会を見据えた。

5㎞一般の部女子で17分48秒で5連覇を果たした松本恭子(47)=千葉県=は「タイムはいまいちだったけど今年も勝てて良かった。走ったらいいコンディションで、意外に風もなく走れた」とレースを振り返った。

同時に行われた国際盲人マラソンでは、伴走者と一緒に走る盲人ランナーらの姿が見られた。

伴走ランナー(右端)と一緒に走る盲人ランナー=土浦市川口の県道

このほか、大会には一般ランナーに混じって仮装したランナーも走り、大会に花を添えた。フルマラソン一般の部女子で参加した関口洋子さん(38)=龍ケ崎市=は、少女アニメの仮装で参加し、4時間58分46秒のタイムで完走した。「初めて仮装して走ったけど、いろんな方に声を掛けてもらって楽しかった」と満足げな表情だった。

大勢のランナーに混じって、アニメの仮装姿でゴールした関口洋子さん(中央)=同

つくばの研究機関・大学28カ所が一般公開 16~22日 科学技術週間

0
昨年春の公開イベント、防災科学技術研究所の豪雨体験の様子

【富永みくに】「科学技術週間」に合わせた一般公開イベントが16~22日までの期間中、つくば市内の研究機関、大学など28カ所で催され、施設公開、講演会、展覧会など工夫を凝らした企画が実施される。

産業技術総合研究所「サイエンス・スクエアつくば」(つくば市東)は21日午前9時30分~午後5時、災害調査ロボ「CRoSDI」のデモンストレーションとミニ講演を実施。人が入れないような狭い場所で活躍するロボットが見られる。他にもオリジナルのビーズストラップやはんこが作れる工作コーナーなどが設置される(予約制)。

物質・材料研究機構(NIMS、つくば市千現・並木・桜)は22日午前10時~午後4時、講演、実験、工作など70を超えるプログラムを用意。谷田部中学校とのコラボイベント「永久磁石を作ってみよう」、ナノ戦隊スマポレンジャーによるスマートポリマー実験ショーなども開催される。

物質・材料研究機構(NIMS)が実施予定の超電導の実験=13日撮影

21日(土)、22日(日)の2日間は、無料の「つくばサイエンスツアーバス」が1日6便運行され、北回りはTXつくば駅、国土地理院、国立科学博物館つくば植物園を、南回りはつくば駅、つくばエキスポセンター、産業技術総合研究所、筑波宇宙センターを巡回する。

その他、主な施設の公開日は次の通り。

国立公文書館つくば分館=16~21日午前9時15分~午後5時、特別企画展「花さんぽ」植物図譜を中心に園芸書・名所図会などの展示。

建築研究所=22日午前10時~午後4時、耐熱性に優れ強度がある新しい木材製品CLTの特徴を体感できるCLT実験棟、防耐火棟・強度試験棟の見学など(予約制)。

国土技術政策総合研究所・土木研究所=20日午前10時~午後4時、道路に関する実験を行う試験走路の見学、土石流の発生の仕組みを学ぶコーナーなど。

防災科学技術研究所=22日午前10時~午後4時、豪雨体験ができる施設見学(雨具・長靴持参)、ペットボトルで地震計を作るコーナーなど。

国立科学博物館筑波研究施設・筑波実験植物園=21日午前10時~午後4時、植物園バックヤードツアー、「研究お宝大公開」など。※一般常設展示有(「さくらそう品種展」は14日~22日)

JAXA筑波宇宙センター=16~22日午前9時30分~午後5時、国際ステーションから見た地球の映像の上映、展示館クイズツアーなど。

気象庁高層気象台=18日午前10時~午後4時、自由気球を使った高層大気の観測、古い気象測器の展示など。

国土地理院=17、19日午前10時~午後4時、測量用航空機「くにかぜ」内部公開など。

国際協力機構JICAつくば=21日午前10時~午後4時、トマトの接ぎ木教室(先着順)、世界の布でしおりを作る工作、ボランティア事業紹介など。

森林総合研究所=20日午前10時~午後4時、樹木園・実験住宅を研究員による解説付きで見学。

国際農林水産業研究センター=20、21日の午前時~午後4時、熱帯果樹・黒糖・さとうきびなどの試食会、ハイビスカス・パインなどの苗の配布(先着順)など。

筑波大学=21日午前9時~午後5時、子どものための特別授業「キッズ・ユニバーシティ」面白くてためになる科学実験など。

筑波技術大学=20日午後1~5時、視覚障がい者のために開発された触って理解する教材、触覚的な案内表示などを公開。

日本自動車研究所=21日午前10時~午後4時、水素・電気で走る車の試乗、交通安全教室、消防・救急車両展示など。

詳しくは、2018年度筑波研究学園都市研究機関一般公開総合ガイド(http://stw.mext.go.jp/event/tsukuba.html)へ。

日本屈指のコレクションを公開 さくらそう品種展始まる 筑波実験植物園

0
「筑波大学コレクション」の150品種=筑波実験植物園

【鈴木萬里子】日本屈指のサクラソウの品種コレクションを一堂に公開する「さくらそう品種展」が国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)で14日から始まった。筑波大学が保有する314品種の「筑波大学コレクション」が150点ずつ順に展示される。

サクラソウは室町時代後期から江戸時代前期に野生種の栽培が始まり、茶会の席にも使われるなど人気が高かった。江戸後期になると品種改良が進み多数の園芸品種が生み出された。筑波大は収集した品種のDNAタイプを調べ保全している。同展に展示されている150点は4~5日ごとに入れ替えるため、全品種を見ることが出来る。

NPOつくばアーバンガーデニングのメンバーらが中心となった「筑波大学さくらそう里親の会」による「里子コレクション」も展示されている。筑波大が保有する園芸品種を保存する里親で、市民と共に遺伝資源を守っている。里親の一人は「芽分け作業時には交配しないよう土を入れ替えるなど、細心の注意が必要。でもとても楽しい」と話していた。

会場には、サクラソウの花を観賞するために江戸時代に考案された陳列法「桜草花壇」が建てられている。下向きに咲く花は上段に、上向きの花は下段に配置するなど、花の色が一番きれいに見える工夫がされている。

植物園入口の教育棟には昨年のサクラソウ人気投票上位10品種が飾られている。

牛久市の60代女性は「サクラソウを見るのが楽しみで毎年来ている。あでやかなのに静かな雰囲気が良いですね」と話し、品種ごとに付けられた名前を丁寧にチェックしていた。名前は作った人が付け、和歌から取ったものが多いそうだ。中には日露戦争後に名付けられた「戦勝」などユニークな名前もあった。

◆同展は22日(日)まで。16日(月)休園。開館時間は午前9時~午後4時30分。入園料は一般310円。

「桜草花壇」に見入る来場者ら=同

「マイ時刻表」作成サービス開始 土浦市、県内初

0
「マイ時刻表」を示す担当職員の桜井智之さん=土浦市役所

【鈴木宏子】バスなど公共交通を気軽に利用してもらおうと、土浦市は4月から、一人ひとりのニーズに応じた「マイ時刻表」の作成サービスを始めた。

市民を対象に、自宅近くの最寄りのバス停から、病院など普段よく行く場所までの、バスの発車時刻、乗り換え場所、到着時刻、乗車料金などを、市職員が無料でA4の紙1枚にまとめて、自分だけの時刻表を作ってくれる。実施は県内市町村で初めて。

昨年3月に策定された市地域公共交通網形成計画に基づいて開始した。市民アンケート調査で、路線バスを利用しないと回答した市民が72%あり、利用しにくい理由として、「便数が少ない」「バス停が遠い」「料金が高い」などのほかに「利用方法が分からない」などもあった。

「どこで乗り換えたらいいのか分からない」「どのバス停で降りるのか分からない」「免許証を返納したけど病院にどうやって行ったらいいか分からない」「スマホでルートを検索するのは苦手」などの声に応える。

3月の市広報紙にお知らせを掲載したところ、4月のスタートから2週間で計10人の申し込みがあったという。70~80代がほとんどで、マイ時刻表をもらった市民からは「大変便利でありがたい」など丁寧な礼状が届いているという。市都市計画課担当職員の桜井智之さんは「お役に立ててうれしい」と話している。

パソコンやスマートフォンを利用している市民向けに市は2011年から、公共交通情報サイト「つちナビ」を開設し、常磐線、路線バス、コミュニティバス「キララちゃん」、乗り合いタクシー、長距離バスなどの路線や時刻表、運賃などの情報を案内している。

◆マイ時刻表の申込方法は、所定の申込用紙に氏名、住所、生年月日、電話番号、最寄りのバス停、行きたい場所、行きたい時刻と帰宅したい時刻などを書いて、市都市計画課都市交通係宛て、郵便かファックスか直接持参して申し込む。問い合わせは℡029・826・1111(市都市計画課都市交通係)

「家事」から脱却 おしゃれなコインランドリー LALAガーデンつくば

0
容量の大きい洗濯機と乾燥機が備え付けられたコインランドリーウララ=つくば市小野崎

【橋立多美】洗濯の概念を「家事」から「心地よい体験」に変えるをコンセプトに、LALA(ララ)ガーデンつくば(つくば市小野崎)に3月中旬オープンしたコインランドリー「ランドリー&ラウンジ ウララ」。開店から1カ月の同店を訪ねた。

土浦学園線に面するガラス張りのおしゃれで明るい店内(元ひな野)に、セルフで毛布や布団など大物まで洗えて乾燥できる洗濯乾燥機3台と乾燥機9台が備えられている。セールスポイントはITを活用した利便性の高さだ。①ウェブサイトで機器の空き状況や終了時間が分かる②コイン(硬貨)の持ち合わせがなくてもプリペイド型のICカードで利用できる。

オープニングキャンペーン後も利用客の出足は好調で、午前10時からの1時間が稼働のピーク、午後2時と同8時からも来店客が増えるという。客層は学生から高齢者までと幅広く、主流は40~50代の主婦たち。

音声ガイドで手順を説明するが、店内の清掃を兼ねたスタッフが午前9時~11時まで常駐し、操作に不安感を持つ高齢者に対応している。一方で、開店初日から連日利用する高齢者がいるそうだ。

厚労省の調査によると、2003年に1万2726店だったコインランドリーの店舗数は2013年には1万6693店と、この10年で約3割増えた。かつての狭くて暗いイメージを一新した店が、駐車スペースの広い郊外のショッピングセンターに誕生するようになった。

家庭に洗濯機があっても需要が伸びている理由は、セルフサービスであることから料金がクリーニング店と比較して安いこと。そして、長雨や梅雨でも洗濯物をふわふわに仕上げてくれる乾燥機を1回数百円で利用できることだ。布団やカーテンなどの大物も洗えるといった家庭用洗濯機にはない便利な機能が、コインランドリーの拡大を押し上げている。

小学生の子どもがいる同市の40代の女性は「月曜に体操服を持って行くのが学校の決まりだけど週末が天気とは限らない。乾燥機だけ利用することが多い」。ウララの利用は3回目という50代の女性は「花粉症のため、外干ししたくないタオルやシーツ類の洗濯と乾燥に利用している。運転前に洗浄ボタンを押して清潔に使えるのが嬉しい。終了時間が表示されるので、書店に立ち寄ったり買い物したりと時間を有効に使える」と話した。

障害者カヌーの普及・強化拠点に 土浦港ラクスマリーナ

0
22日の開設に向け建設が進む日本障害者カヌー協会の艇庫=土浦市川口、ラクスマリーナ

【鈴木宏子】霞ケ浦・土浦港のヨットハーバー、ラクスマリーナ(同市川口)が新たに、障害者カヌー競技の普及・強化拠点になる。2020年の東京パラリンピックに向け選出を育成している競技団体「日本障害者カヌー協会」(東京都港区、吉田義朗会長)が22日、同マリーナに拠点となる艇庫(ていこ)を初めて開設する。

今後、東京大会出場を目指す選手の練習拠点となるほか、競技用カヌーを使った体験会などが開催され、障害者カヌーの普及や選手の発掘、指導者育成の拠点になるという。

艇庫は競技用カヌーなどを保管する倉庫で、面積35㎡のユニットハウス。全長5mを超えるカヤック競技用と7m超のヴァー競技用の計2隻などが保管される予定だ。車いすでも利用できる多目的トイレなども艇庫内に新設される。

パラリンピックカヌー競技は2016年のリオデジャネイロ大会で初めて、左右を交互に漕いで進むカヤックが正式種目となった。20年の東京大会では片側を漕ぐヴァ―が新たに正式種目に加わる。競技用カヌーは現在まだ国内に10数隻しかなく、そのうち2隻が同マリーナに保管され、活用されるという。

選手の練習拠点としては、都内に住む2018年のカヤック日本代表、小山真選手(36)が今後、ラクスマリーナを拠点に練習する予定だという。

体験会は同協会が主催し、広く参加者を募って競技用カヌーの実物を見てもらったり、実際に乗ってもらったりする。競技用カヌーをだれでも体験できる国内で唯一の場所になるという。体験会を通して未来の選手を発掘したい考えだ。地域の障害者スポーツ指導員とも連携したいとしている。

同協会によると、車いすでの利用が難しいマリーナが多い中、同マリーナには多目的トイレがあり、桟橋まで車いすで行けるなど環境が整っていること、土浦駅から近いことなどから選ばれたという。同マリーナは2005年から、障害者も、健常者も、初心者も、だれでも水上スポーツを楽しめるイベント「誰でも楽しもう霞ケ浦」を開催し、水上スポーツのバリアフリー化のノウハウを蓄積してきたことが背景にある。

同協会事務局の上岡央子さんは「障害者カヌーの競技人口はまだまだ少ないので、豊かな自然を楽しみながら、初めて人にもカヌーを体験してもらい、障害者カヌーを知ってもらいたい」と話している。

◆体験会「パラマウントチャレンジカヌーin霞ケ浦」は5月6日午前9時30分~午後3時まで、土浦市川口2-13-6、ラクスマリーナで開催。午前中はパドルの漕ぎ方の練習、午後は湖上でミニ運動会やリレー競技などを体験する。参加費2500円。問い合わせは℡03-6229-5440(日本障害者カヌー協会)。

改装途中の艇庫内部=同

関東鉄道 全バスをバリアフリー化

0
車椅子での乗降時にスロープを設置(関東鉄道提供)

【富永みくに】関東鉄道(本社土浦市、松上栄一郎社長)は3月末までに、路線バスの全車両(328台)をノンステップまたはワンステップバスとし、100%バリアフリー化を達成した。これにより車椅子、ベビーカーの利用者や高齢者などがバス利用をしやすくなった。

ノンステップバスは車内に段差がない低床車両で、ワンステップバスは車内に低い段差が1段ある。いずれも車椅子での利用が可能で、1車両につき1~2台まで乗車できる。乗車時は、インターフォンや手振りなどで運転手に知らせ、乗り口からスロープを引き出して乗車する。移動中は安全確保のため、指定場所に固定する。移動の手助けや固定装置の装着などは運転手が行う。

ベビーカーは、混雑時などには折り畳んで乗るよう勧めているが、スペースに余裕がある場合は子どもを乗せたままでも乗車できる。その場合は指定の場所に後ろ向きに停め、車輪にストッパーを掛けた上で、シートベルトを着用する。

同社では新入社員全員を対象にバリアフリー研修を行っている。今後さらに県内福祉団体の協力を得て、障害者の利便性を高めるために、社内研修などを実施する予定。今後、グループ会社の関鉄グリーン、関鉄パープルバス、関鉄観光バスの路線バスについても、バリアフリー車両の導入を進めるという。

ノンステップバスを利用するお年寄り=8日、土浦駅バスターミナル

まるでカルガモの子ども! 運搬ロボット つくば市図書館に試験導入

0
認識した人の後をずっとついて来る運搬ロボット=11日、つくば市立中央図書館

【富永みくに】まるでカルガモの子どものようについて来て荷物などを運搬してくれる自動追従運搬ロボット「サウザー」が、つくば市吾妻、市立中央図書館に試験導入され、11日、報道陣にお披露目された。

ロボット開発会社「ドーグ」(同市吾妻、大島章社長)が開発し、市のトライアル発注認定制度=メモ=により、2017年3月に購入された。価格は約160万円(当時)。これまで本庁舎内で重い荷物を運ぶために用いていたが、活用範囲を広げるため3月23日から、同館でブックポスト(無人図書返却箱)の本を回収する際に使っている。

台車の前方にある自動追従のボタンを押すと、下部に取り付けられたセンサーが対象を認識、対象と同じルートをたどって追従する。80cm幅の狭い通路やS字型走行、直角に曲がることも可能で、レーザーセンサーで進路上の障害物を検知した場合は、自動で回避・停止し、警告音が鳴る。荷物は最大120kgまで載せることができ、本を100冊以上積んでもスロープを無理なく行き来できる。段差は3cmまで乗り越えられる。

ドーグでは、物流倉庫や工場、小売店などでの搬送用台車としての利用を想定。これまでに国内の物流倉庫・工場をはじめ、空港関連企業、シンガポールの図書館などでの導入事例があるという。

図書館の椙山久美子館長は「今は利用者の安全を配慮して、開館前の人の居ない時間帯に使っているが、機会があれば子どもたちの目の前で本を運ぶ様子を見せるなど積極的に活用していきたい」とコメントしている。5月31日まで同館での試用を続ける予定で、その後も別の部署に場所を移して、新たな用途を探る。

※メモ
【トライアル発注認定制度】つくば市が2015年度に創設した。市内のベンチャー・中小企業者が開発する優れた新商品などの普及を支援するため、市が定める基準を満たす商品・サービスを認定する。認定商品のPRを市のホームページなどで行うほか、購入した場合は、評価結果を公表する。16年度認定商品は「サウザー」以外に、サイバーダインの作業支援ロボットスーツ「HAL腰タイプ」、地球科学可視化技術研究所の「プロジェクションマッピング型精密地形模型」。

自由な表現に見応え つくば美術館で「茨城現展」

0
鳥獣戯画のカエルを触りながら鑑賞する来場者ら=つくば市吾妻、県つくば美術館

【鈴木萬里子】日本を代表する公募団体の一つ、現代美術家協会の県支部会員による「第34回茨城現展」(同支部主催)が、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれている。30人の作家による絵画、写真、工芸、立体、デザインなど、幅広い分野の作品が一堂に展示されている。

会場中央には、稲敷市在住の正野豪勇さん(75)が、上野憲示監修「鳥獣戯画の謎―国宝に隠された6つのミステリー」(別冊宝島)から起こしたカエルが11体展示されている。カエルは工具のやすりを加工して作られ、腹の中に鉄のかけらを入れてある。揺らすと音がして、カエルの声が聞こえるよう作られている。正野さんは日本中央競馬会美浦トレーニングセンターで馬に蹄鉄を打つ装蹄師(そうていし)として働いた経験から、蹄鉄や鉄製の仕事道具を使った作品を数多く発表している。独学で学んできたという正野さんは「企画展示に選ばれて今回多数の作品を出品できた。ここにある作品はどれも、手で触って鉄の感触を感じてほしい」と話した。

水彩画の佐々木量代、工芸と絵画の正野豪勇、デザインと絵画の三木ひろみ3氏による企画展示コーナーもある。佐々木さんの水彩画に見入っていた土浦市の60代の女性は「淡く、やさしい色彩だけれど、力強い迫力を感じる」と話していた。

土浦から来た70代の夫妻は「毎回見に来ている。絵だけでなく工芸品などもあって楽しめる。どれもレベルの高い作品が多い」と話した。

茨城支部は全国17ある支部の1つ。会長の佐野幸子さんは「今回の出品者は30人、出品数は150を超え見応えのある現展になった。公募展なのでたくさんの人に、自由な表現で参加してほしい」と話した。

◆会期は15日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。問い合わせは04・7188・8621(佐野さん)

作品に見入る来場者ら=同

明秀日立が快挙 県南勢どう立ち向かうか注目

0
センバツ出場が濃厚になり喜びを爆発させる明秀学園日立の増田陸選手、芳賀大成選手ら=昨年の秋季関東大会準々決勝

【コラム・伊達康】第90回センバツ甲子園は大阪桐蔭が史上3校目となるセンバツ連覇を達成して閉幕した。茨城の明秀学園日立は、1回戦の瀬戸内戦で9回に劇的な逆転勝利を収めると、2回戦の高知戦では10対1と大勝。初出場ながら2勝を挙げる躍進を見せた。

3回戦では優勝した大阪桐蔭を相手に8回まで2安打に抑えられ三塁すら踏めない苦しい展開だったが9回にエース細川拓哉の左中間ホームランで1点を返し4点差とすると、二死満塁でこの日2安打と当たっている4番・芳賀大成までつないだ。結果は空振り三振で5対1と3回戦敗退となったものの、王者を相手に最後まで目が離せない粘りを見せてくれた。この大舞台での敗戦を機に夏にはさらにとてつもないチームに仕上げて来るに違いない。

「大阪出身」強調に違和感

明秀学園日立の試合がテレビで中継される際、チーム紹介や選手紹介で実況が頻繁に発したのが「大阪出身」という言葉だ。チームは監督の金沢成奉氏(大阪・桜宮―東北福祉大)をはじめ、関西圏出身の選手が多数を占める。ベンチ入りメンバー18人のうち、茨城出身選手はエース細川(北茨城市出身)と代打の切り札である佐伯尚吾(桜川市出身)の2人だけで後の16人は関西圏を筆頭に福島、宮城、東京など県外出身だ。確かに特徴のあるメンバー構成ではあるのだが、果たして「大阪出身」や「県外出身」と繰り返し紹介する必要があっただろうか。

1980年夏、江戸川学園取手が東京、千葉、愛知、静岡のリトルシニアやポニーリーグの有名選手を片っ端から100人スカウトして部員120人の大所帯を築き、そこから選び抜かれたベンチ入りメンバー17人のうち16人が県外出身者という構成で、学校創設からわずか3年目で甲子園出場を果たした。当時のいはらき新聞(現在の茨城新聞)『白球の詩』のコーナーに「”外人部隊”で構成される江戸川学園はその在り方をめぐって本県高校野球界に一石を投じている」という記述があった。当時はまだメンバーを県外出身者で固めることが珍しく、県外出身者が茨城の看板を背負って甲子園に出場することに高校野球関係者のみならずファンからも反発や疑問が噴出したようだ。

しかし、それから38年が経過した今日、私立高校で県外出身者がスタメンに名を連ねること自体は取り立てて珍しいことではない。現に県内において、昨秋の茨城準決勝で対戦した常総学院はスタメン9人中3人が県外出身者であるし、決勝で戦った霞ケ浦に至ってはスタメン9人中7人が県外出身者だ。さらに土浦日大は東京や千葉から、つくば秀英は栃木や東京から、鹿島学園に至っては神奈川や台湾から選手を集めている。関西出身であっても隣県であっても県外であることには変わりない。

金沢監督が大阪出身ということもあり、関西圏の中学年代にスカウティングネットワークがあるからこそ関西圏から選手を集めているのであって、東京や神奈川、千葉などの関東圏から選手を集めていている私学とはエリアを異にしているだけではないか。取り立てて大阪(関西)を強調する必要はない。むしろ、過去に甲子園出場の実績がない明秀学園日立に、まだ15歳の少年が「一旗上げてやろう」とはるばる大阪(関西)からやって来ているのだからその決意たるや一通りではない。親としても、練習試合や公式戦を観戦することができない地に相当な覚悟を持って我が子を送り出したはずだ。

小中学生球児に衝撃

茨城県勢として常総学院を除いた春と夏の甲子園での勝利は、2005年夏の藤代(対福岡・柳川)の勝利以来、実に13年ぶりのことであった。初出場にして初勝利、さらに2勝の快挙を成し遂げた明秀学園日立の甲子園での躍動ぶりは、今の小学生や中学生の球児に衝撃を与えたに違いない。今後はより多くの中学生から希望進路として名前を挙げられるようになるだろう。東海大相模や浦和学院や明徳義塾のように、全国的に知名度の高い強豪校となった時、「大阪出身」「県外出身」という線引きがちっぽけなものとしてあえて紹介されなくなるのかもしれない。その次元にまで明秀学園日立は躍進できるのだろうか。常総学院をはじめ県南の有力校がそのプロセスに対してどう立ち向かうのか注目だ。茨城の高校野球はますます面白い。

カタクリ見頃 例年より早く 筑波山

0
「春の妖精」とも呼ばれるカタクリの花=8日、筑波山山頂付近の自然研究路

【鈴木萬里子】「第18回筑波山頂カタクリの花まつり」が20日まで開かれている。山頂付近には約3万株のカタクリが群生しており、花を目当てにケーブルカーで登る観光客やカメラを首にかけた登山者らでにぎわっている。期間中イベントがあり、花まつりを盛り上げる。

群生地は男体山山頂付近の自然研究路と、ケーブルカー筑波山頂駅のある御幸ケ原から女体山に向かう「カタクリの里」など。自然研究路は標高800m辺りをぐるっと一周する登山道で、北側の登山道両脇に今が盛りと咲き誇る群生の花が見られる。ここ数日がピークのようだ。自然研究路南側とカタクリの里は見頃を過ぎてしまった。つくば観光コンベンション協会によると、今年は例年より開花が5~10日ほど早いという。

カタクリは早春に薄紫や桃色の花を下向きに咲かせ、2週間程の開花時期しかないことから「春の妖精」とも呼ばれ、愛好者を引きつけている。花の色は薄紫が一般的だが、カタクリの里には白い花も咲く。自生する白色の花は数万本に1本しかないそうだ。今年は残念ながらもう散ってしまったが、山頂売店の「たかはしや」に写真が飾られている。カタクリと同時期に咲くのがニリンソウで、御幸ケ原の南斜面ではニリンソウの群生も多く見られ、2種が共に咲く姿も見られる。

静岡県富士市から団体バスで訪れた60代女性は「やっと憧れの筑波山に登ることが出来てうれしい。その上カタクリの群生を見られるなんて、私達ラッキー」と写真を撮りながら大喜びしていた。

カタクリの花まつり関連イベントは次のとおり。
◆筑波山神社参拝と筑波山頂カタクリの花散策=14日(土)。参加費無料(乗車料金は各自負担)、先着80人。特典として筑波山神社を正式参拝できTXオリジナルキャップがもらえる。申し込み029・866・0611(筑波観光鉄道)
◆筑波山ウォームアップ登山=14日(土)午前9時30分~午後4時。無料(一部有料)、筑波山登山と併せたスタンプラリー、ワークショップ、登山講座など。詳しい情報はhttps://www.yamakei-online.com/yk/tsukuba/
◆筑波山ミニコンサート=15日(日)午後1時~3時。問い合わせ029・869・8333(つくば観光コンベンション協会)http://www.ttca.jp
◆ガマの油売り口上=山頂御幸ケ原で期間中の土日、午前10時~午後2時。

登山道両脇に群生するカタクリ=男体山自然研究路北側

日本画家、故小林恒岳の未発表作品を発見 土浦まちかど蔵で初公開

0
発見された故小林恒岳の作品に見入る来場者ら=土浦まちかど蔵「大徳」

【鈴木萬里子】石岡市太田の日本画家で昨年6月に逝去した小林恒岳(こうがく)の未発表作品が、このほど夫人の志津江さんによって発見された。30号(91×65㎝)の「滝」という作品で、土浦市中央、土浦まちかど蔵「大徳」で開催中の「第8回緑炎会作品展」で初公開されている。

今年12月13日から北茨城市の県天心記念五浦美術館で開催される「追悼―小林恒岳展」の出品作品を整理していた志津江さんが、アトリエに保管されている作品の中から見つけた。志津江さんは「とても驚いた。1993年頃しきりに滝を描いた時期があったので、そのうちの1枚だと思う。アトリエには作品が重ねて置いてあり、ほかにも未公開の5~6作品が見つかった。6月に遺作展を予定しているので、皆さんにも驚いて見てほしい」と話している。

小林恒岳は、県立土浦一高、東京芸大卒。父親で日本画家の巣居人(そうきょじん)が創設した「新興美術院」の代表的な画家として活躍し、霞ケ浦をテーマにした初期の作品は環境破壊に警鐘を鳴らした。1987年に石岡市の吾国山中腹にアトリエを構え、霞ケ浦や筑波山など地域の自然を豊かな色彩で描き続けた。

生前、土浦市の日本画同好会「緑炎会」を指導していたことから、同会の作品展で初公開されることになった。

指導受けた8人が力作展示

緑炎会作品展は、会員8人がそれぞれ2~6作品を出品し、「滝」を合わせた38作品が展示されている。日本画の持つ柔らかな色合いが、会場の蔵と調和し、優美な雰囲気を醸し出している。

会は小林さん亡き後、講師を招かず、制作活動を続けている。尾島和子会長は「会員らが意見を出し合い、その意見を入れて描き直したり、和気あいあいとやっています」と会の現況を話す。

来場した土浦市の70代男性は「力作ぞろいですごい。特徴的な日本画の色合いに春の季節の深まりが感じられる」と話していた。祖母と一緒に来たという同市の6歳の少女は「絵の色がすごくきれいで見ていて飽きない。ばらの赤色がすてき」とにっこりしていた。

◆「第8回緑炎会作品展」は10日(火)まで。開館時間は午前10時~午後5時(最終日は午後3時)。入場無料。問い合わせは℡029・824・9209(尾島さん)
◆「小林恒岳ー遺作展」は6月2日(土)~6日(水)、四万騎農園石蔵ギャラリーで開催する。開館時間は午前10時~午後5時30分。問い合わせは℡0299・44・3305(小林志津江さん)

熱心に作品を見る来場者=同

計画中止受け一部用地売却 つくば市竹園、公務員宿舎跡地 「一体的な再生困難」と懸念

0
URが2018年度中に売却を計画しているJAXA宿舎跡地=つくば市竹園3丁目

【鈴木宏子】昨年8月に計画が中止になったつくば市竹園3丁目、国家公務員宿舎の「再構築事業」区域の一部が、今年度中に売却されることになった。周辺住民からは、老朽化などが問題になっている学校や商業施設を一体的にリニューアルして再生することが難しくなると懸念の声が出ている。

売却されるのは都市再生機構(UR)が所有する宇宙航空研究開発機構(JAXA)宿舎跡地の約9900㎡。幼稚園と小中学校に囲まれた位置にあり、計画では小中一貫校の建設予定地だった。

UR茨城業務部によると、国の方針で2018年度までに土地を処分しなければならないため売却するという。URは昨年3月、市に通知。さらに今年2月に、土地処分について市に照会した。これを受けて市は、庁内に土地利用の意向があるか諮ったが、購入したいと回答した部署は無かったという。

URによると今後、4月中にホームページに売却情報を掲載し、6月ぐらいに入札を実施したい意向だ。同地区は高さ制限なく建物を建てられるが、文教地区のため基本的に戸建て住宅として売却する方針だという。

敷地境界には桜並木が10本程度あり、以前から残してほしいという要望が住民から出ているため、現在、残していく方向で市と協議中という。

課題残るも具体的な動きなし

一方、国家公務員宿舎跡地のまちづくりをどうするかという課題は残されたままだ。竹園地区は市内の公務員宿舎の中で最初の1974年ごろに完成した。公共施設も40年以上経過し老朽化が目立っている。05年から公務員宿舎の処分が始まり、緑地が減るなど筑波研究学園都市の特徴だった緑豊かなゆとりある街が変貌しつつある。中止になった再構築計画には、老朽化した公共施設などを一体的にリニューアルし、統一のとれた街並みを再創出しようという狙いがあった。

同地区に住む女性(55)は「小中学校も交流センターも児童館も新しく建て替えられてきれいになるという思いがあった。しかし市長が交代して計画が中止になり、政争の具にされてしまったのかなと思っている。まちが生まれ変わる絶好のチャンスを生かせなかったのではないか」と話す。

同地区のまちづくりについて議会で一般質問などをしてきた山中真弓市議は「JAXA宿舎跡地は竹園3丁目の中心にあり、まちづくりをする上でひじょうに重要。この土地なしでの再構築は考えられない」とし「周辺の住宅開発に伴い、小中学校は児童生徒数が増え、子供たちの外遊びや部活動が制限されている。保育所や児童館は老朽化や定員超過問題が深刻。市は地域住民と協議し、30年後、40年後を見据えて責任あるまちづくりを進めていくべき」と指摘する。

昨年8月、市は計画中止を発表した住民説明会で「(同地区の)課題を整理していくことは必要」だとして「今後の在り方について引き続き検討を進めていく」と説明していた。しかし現時点で、再開発などの具体的な計画はないという。公共施設の老朽化に対して市は、その都度、担当課で対応していくことになるとしている。

※メモ
【竹園3丁目地域拠点再構築事業】同3丁目地区の中心部に集積する小中学校、幼稚園、保育所、児童館、交流センター、公園、ショッピングセンターなどを土地区画整理事業などの手法で一体的にリニューアルしていく計画。市所有地などを売却して事業費をねん出し、既存施設を閉鎖せず4年ほどかけて順次、玉突きで別の位置に新施設を建設していくという構想で、市は14~16年度に調査を実施し、15、16年には地域住民が参加してワークショップを開くなどした。一方、計画に小中一貫校の建設などが盛り込まれたことから、住民の間で意見が分かれた面もあった。その後16年11月に、市長が市原健一氏から五十嵐立青氏に交代。事業費を試算したところ、市の持ち出しがないとされていたが、約17億1800万円(竹園西小中一貫校の建設費を除く)の持ち出しがあることが判明し、当初予定した事業計画が成立しないこと、市は小中一貫校の見直しを検討していることなどから事業中止に至った。

市とURが保存していく方向で協議している敷地境界の桜並木。左が売却予定地=同

野の花や失われゆく植物描く 三浦ひろ子さん個展 つくば

0
熱心に作品に見入る来場者ら=つくば市竹園、筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリー

【鈴木萬里子】見慣れた野の花や絶滅危惧種、日本固有種などを精密に描いた「植物画の世界 三浦ひろ子個展」がつくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。初日の3日には100人近い来場者が訪れ、精密に描かれた作品の数々に感嘆の声が上がっていた。

植物画は花びら、がく片、葉の形、花や葉の色合いなどの特徴を細かく、正確に、実寸で描く。写真技術が発達する以前には植物標本として描かれていたため、精密さが要求されている。

三浦さんが描いたきっかけは、バブル期に大規模開発に伴う動植物の環境調査に関わったこと。「失われゆく動植物、特に野草に心を動かされ、確かに存在した事実を残したかった」との強い思いからだ。環境省の2017年レッドリストには、植物だけでも絶滅危惧種は2267種あるという。

個展は今回で4回目。初めて開催した時、三浦さんは「華やかな花ではなく野の花ばかりで来場者が落胆するのではないか」と心配していた。ところが「地味でも克明に描かれた野草が魅力」との声が上がり安堵したという。

会場には作品42点が展示され、そのうち14点は絶滅危惧種、準絶滅危惧種、日本固有種などだ。

熱心に作品を見ていた土浦市の70代の夫婦は「作品が素晴らしいのはもちろんだが、絶滅危惧種への取り組みに三浦さんの人間性が垣間見えて素晴らしい」と話していた。「普段見逃してしまいそうな所まで正確に描かれていて感動した」「心が穏やかになった」などの感想が寄せられているという。

◆会期は9日(月)まで、時間は午前10時~午後5時(最終日は午後3時)、土日も開催。入場無料。問い合わせは090・8873・0590(鮎澤さん)

作品の一つ、ウワミズザクラ

体操 宮地選手を東京五輪へ つくばで後援会発足

0
東京オリンピック出場を目指す宮地秀享選手㊨と後援会長の廣瀬さん=つくば市天久保

【大志万容子】2020年の東京オリンピック出場を目指す筑波大学大学院2年の体操、宮地秀享選手(23)を応援しようと、つくば市で後援会が発足した。宮地選手は昨年、カナダで開かれた世界選手権、男子鉄棒で最高難度の新技を成功させた。新技は国際体操連盟から「ミヤチ」と命名されるなど期待の新星だ。後援会長の廣瀬正さんは「頑張る選手を地元で応援したい」と支援を呼び掛ける。

成功した新技は、I難度の「伸身コバチ2回ひねり」。棒上で後方伸身2回宙返りをする間に2回ひねって鉄棒をつかむ。「1回ひねった技でも、日本でできる人はほとんどいない。さらにもう1回ひねるのは全く違う次元の技術と回転力が必要となる」と宮地選手。

愛知県出身。大学時代は「学生の中では強いレベルでしかなかった」。大学院では指導者を目指してコーチングを学んでいたが、昨年、全日本体操競技種目別選手権でこの大技を決め、9月に初めて日本代表に選ばれたことで、状況が一変した。「東京オリンピックが夢ではなく目標になった。全く無名からのスタートなので余裕はないが、後悔のないよう精一杯やりたい」

代表に選ばれたことで、日本体操協会から国際大会の遠征費は出るようになったが、国内大会は自己負担。また生活費もかかることから、市内の茗渓学園で非常勤講師をしたり、体操クラブで子どもたちを教えたりと、週3~4日はアルバイトに従事する。

そんな宮地選手を応援しようと、市内の不動産会社会長、廣瀬正さんら有志が後援会を立ち上げた。2年前に知人の紹介で知り合った廣瀬さんは、「当時は普通の大学体操部の選手だったが、昨年からメキメキと頭角を現してきた。オリンピックを狙うためにも、今がいちばん大事な時期」と話し、「バイトを辞めて練習に集中できる環境を作ってあげたい。つくばで頑張っている選手を地元が応援し、みんなで東京オリンピックを目指す夢を共有できれば」と支援を呼び掛ける。

宮地選手は「応援してくださる方がいることは励みになる。代表入りして試合で感じるプレッシャーも大きくなったが、それを力に変えて頑張りたい」と意気込んでいる。

◆後援会では寄付金を募っている。振込先は「ゆうちょ銀行」の〇六八(ゼロロクハチ)支店(店番:068)普通預金4519650 ミヤチヒデタカコウエンカイ。問い合わせは同後援会(電話)029・896・3285、メール:htaka.miyachi@gmail.com。

「街をワクワクさせたい」 つくば市の3女性が古本市 14、15日

0
ワンダホーの3人と出品者たち。左から3人目が丹野雅子さん、丹野さんの右隣が鳥山玲子さんと齋藤多賀子さん=1日、つくば市大角豆

【橋立多美】「ワクワクする楽しいことをやろう」と、つくば市の女性3人が活動する「ワンダホー」。市民が家に眠っている本を持ち寄り、店主として販売する古本市「ブック・フェス」を14、15日の2日間、同市大角豆(ささぎ)のカフェ・ギャラリー「メモリーズ」で開催する。

メンバーは、ジュエリーショップ「メモリーズ」を営む傍ら彫金教室を主宰する鳥山玲子さんと、同教室を介して知り合った丹野雅子さんと齋藤多賀子さん。「すてきと思うことを実現させたい3人が集まった」と丹野さんはいう。

活字離れや電子書籍の台頭などの影響で街の本屋が消え、欲しい本はネットで買う時代になった。3人は「読書の楽しみは本に触れ、手に取った出合いにこそあるのでは。家庭で眠っている本を街に循環させて読み手をつなごう」と昨年2月、初めて古本市を企画した。今年は2回目で、「かつて感動した本が、この街の誰かをまた感動させるかもしれません」と出店を呼び掛ける。

古本市は各出店者が屋号を決めて本を並べるフリーマーケット形式。各自が20冊以上を持ち込み、自由に本の値付けをする。昨年は100円または500円に値付けされた古本が多く、延べ約100人が来場したという。今年も小説や料理、旅行、美術など、さまざまなジャンルの古本がそろいそうだ。

今年は新たに、出店者が屋号をアレンジした図案を彫って、はんこを手作りした。「売り上げカード(スリップ)」に押して、販売する本にはさむ予定だ。

1日、同ギャラリーで約10人がはんこ作りに取り組んだ。篆刻(てんこく)用の石を使ったはんこで、鳥山さんの夫で彫刻家の鳥山豊さんが指導した。牛久市の松川啓さんと妻の香苗さんは「オリジナルのはんこ作りにひかれて古本市に参加する。思ったより石が柔らかくて驚いた。古本市には子どもたちが愛読していた絵本を出品するつもり」と話した。

◆開催時間は14日(土)、15日(日)両日とも午前11時30分~午後5時まで。メモリーズは同市大角豆2012-788。障害者の自立支援に取り組んでいる「ごきげんファーム」運営のレストラン「ごきげんキッチン」内にある。本を片手にゆったりとした時間が過ごせる。問い合わせは電話029-852-8286

G20貿易・デジタル閣僚会合 来年、つくば市開催決定

0
2016年5月にG7科学技術大臣会合が開かれたつくば国際会議場=つくば市竹園

【鈴木宏子】G20貿易・デジタル経済大臣会合が来年、つくば市で開催されることが決まった。開催日や市内の開催場所は未定だが、1泊2日の日程で開かれるという。20カ国の経済産業大臣らが集まる。

2019年6月28、29日に大阪で開かれるG20サミットに併せて、全国8カ所で開かれる関係閣僚会合の一つ。大臣級の会合がつくば市で開かれるのは、16年5月につくば国際会議場で開催されたG7科学技術大臣会合以来。

県が昨年秋ごろから誘致していた。県営業戦略部グローバル戦略チームは「前回のG7科学技術大臣会合を経験していること、つくばは自動運転技術など先端技術が集積していること、東京から近いことなどをアピールしてきたので、それらが評価されたのだと思う」と話している。

16年の科学技術大臣会合には7カ国とEUの大臣と政府関係者56人が参加した。県は、研究機関や経済団体などで受け入れ態勢をつくり、最先端の研究を紹介したり、県産の食材をふんだんに使った料理を提供したり、伝統工芸品のお土産を用意するなどのおもてなしをしてきた。一般市民も参加できる記念シンポジウムや、ロボットなど国内最先端技術製品などを一堂に展示するミニ博覧会、各国大臣の研究機関の視察なども実施した。

来年の会合について県は「今後、テーマや内容が決まるので、内容を踏まえ、おもてなしなどを検討していきたい」としている。

G7会合では大臣らが市内に宿泊したことから、県が補助金を出して、市内のホテルにスイートルームの整備も進められた。来年のG20貿易・デジタル経済大臣会合は20カ国・地域の大臣と政府関係者が出席するため、宿泊環境の整備もさらに必要になるとみられる。

一方で厳重な警備体制が敷かれ、周辺道路が通行止めになるなど、市民生活に影響が及ぶ側面もあった。

つくば市の五十嵐立青市長は4日開かれた定例会見で「レガシー(遺産)をどうつくっていくかというゴールを明確にもった上で、県や筑波大などと相談しながら目標をもって取り組んでいきたい。G7のときは市民とのつながりに課題があったので、市民が置いてきぼりにならないようにしたい」などと話した。

筑波山神社で御座替祭 色とりどりの装束で華やかに

0
県指定文化財の御神橋を渡るみこし。御神橋を渡ることができるのは御座替祭など年4回のみ=1日、筑波山神社

【富永みくに】筑波山山頂と中腹の神が住まいを替えるとされる筑波山神社(つくば市筑波)恒例の祭り、御座替祭(おざがわりさい)が1日行われ、地元住民や見物客でにぎわった。翌2日には、山中にある約20の末社で神職が祝詞をあげる末社祭も行われている。

最大の見どころ、神幸祭(じんこうさい)では、祭りの開始を知らせる号砲とともに、色とりどりの衣服をまとった神職や担ぎ手ら約150人が、山裾から拝殿に向けて出発。太鼓や雅楽器の音に合わせてゆっくりと歩みを進めた。日本の道百選にも選ばれている「つくば道」を経由、勾配の急な坂や石段では、担ぎ手が互いに声を掛け合いながら慎重に難所を乗り越えた。

毎年担ぎ手として参加しているつくば市の男性によると、昨年は積雪が見られ足を滑らせた参加者もあったという。「去年は雪、今年は桜吹雪」と笑みをこぼしながら「御座替祭に桜が満開になるのは珍しい」と話した。

拝殿の大鳥居周辺では、近くの子供会などによる子供みこしや稚児行列も加わって、県指定文化財の御神橋(ごしんきょう)をにぎやかに渡った。

市内在住の中野潤子さんは「つくば市に長く住んでいるが見たのは初めて。筑波山の長い伝統が感じられる」と話した。祭り見物は2回目というインド出身の留学生は「とても興味深い」と目を輝かせていた。

天狗の面を付けた猿田彦役に導かれ進む一行=筑波山中腹

【シルバー団地の挑戦】1 自治会スリム化へ模索 つくば市森の里 高齢化で地域力衰え

0
森の里に隣接する市立第三小学校体育館で開催された自治会総会=3月25日、つくば市小茎

【橋立多美】高齢化が進み、役員のなり手不足や加入率の低下など自治会を取り巻くさまざまな課題が指摘される中、自治会の役割を根本から見直そうという動きが、つくば市内でも始まっている。

深刻な高齢化と人口減少に直面している同市茎崎地区にある森の里自治会は、3月25日に開かれた総会で、これからの自治会のあり方を検討する委員会を自治会内に設置することを決めた。これまでの活動を継続していくほどの体力が地域にはないということが背景にあるという。

総会で、新年度会長の倉本茂樹さん(75)は「高齢化が進む中で、自治会運営を検討する委員会を設置する」とあいさつした。演壇に立った倉本さんは「これからも高齢者支援は続けていくが、役員だけで運営していくには無理がある。検討委員会を含めて住民の力を貸してほしい」と呼び掛けた。

また「夏祭りを続けるか、アンケート調査をした上で決めたい」とも述べ、住民の意見を尊重しつつ、運営をスリム化する考えを示唆した。

空き家に転入も入会断られ

市南端の茎崎地区(旧茎崎町)は、筑波研究学園都市の建設に伴って九つの住宅団地が造成され、純農村地域は首都圏のベッドタウンとなった。

住宅団地の中で市内最大規模の森の里(約1300世帯)は1980年代に約5000人が住んでいたが、今では子どもたちが独立し人口は当時の6割の約3000人に減少した。さらに入居時、働き盛りだった世代が一斉に老いたことで、65歳以上の高齢者人口は4割を超える1388人(2017年4月時点)に上っている。このうち184人が一人暮らしという。

約1300世帯中、自治会に加入している世帯は1071世帯。昨年1年間で退会した世帯は27件、死亡による退会は18件あった。高齢化と人口減少が、自治会加入者の減少と空き家の増加を招いているという。

自治会退会の理由の多くが、会費の徴収や回覧板の配布に歩き回るのが辛いというもの。加入している世帯数に応じて市から補助金(事務委託料)が出るため、退会されると会費収入と委託料を同時に失うことになる。

16年10月から、市が市内全域を対象に実施した「空家等実態調査」では森の里の空き家は55件だった。が、連日団地内の空き家や空き地の見守りをしている自警団は99件あると報告している。最近はリフォームされた家を借りて住む人が出てきた。自治会役員が訪ねて入会を勧めても断られる上にごみ出しのルールを守らない人もいて、役員たちの頭痛の種になっている。

新たな負担次々

自治会活動を担う役員自らも高齢者で、行事運営が負担になってきていることも挙げられる。街路灯のチェックや維持管理、清掃美化、ごみ集積所の管理といった暮らしに関わる活動のほか、7年前から高齢者の見守りや粗大ごみ出し支援、閉じこもりを防ぐための行事や交流サロンなど、高齢者対策を実践している。会員間の親睦を図る夏まつりは恒例の一大イベントだが、後期高齢者が多い実行委メンバーたちは血圧や健康状態を確認して本番に臨むという。

運営をスリム化し、時代に合った役割に切り替えるか。森の里自治会の模索は始まったばかりだ。

◇NEWSつくばは、高齢社会の抱える課題が顕在する森の里自治会の動きに密着し、人口減少と超高齢社会へのアプローチを「シルバー団地の挑戦」とワッペンを付けて報道する。

会員たちに協力を呼びかける新年度会長の倉本茂樹さん=同

【桜花爛漫】 2000本が春の山に彩り 雪入

0
雪入山に咲く山桜(2014年撮影)=雪入ふれあいの里公園提供

【鈴木萬里子】雪入地区はかすみがうら市西部に位置し、雪入山、浅間山を中心とした山地に自然豊かな林が広がる。ここに2000本を超える山桜が点在し、春の山に彩りを添える。雪入山南側の成沢には山桜の自生林があり「茨城の自然百選」に選ばれている。

「山桜がこんなにあるのに注目されてこなかった。たくさんの人に知ってほしい。豊かな自然と山桜をPRしたい」と雪入山麓にあるふれあいの里公園ネイチャーセンター所長の川崎慎二さんは話す。

例年の満開はソメイヨシノより1週間ほど遅い4月10日頃だが、今年は早足に春がやってきているという。訪れるなら早めがお薦め。同センターや三ツ石森林公園もりの小屋で、公園内マップの入手やトイレ使用も可能だ。

山桜は日本に自生する野生種の1種。花は白色や淡紅色が多いが、白色に淡紅色が混じったものなども見られる。葉は最初は赤く、徐々に緑色になっていくが、最初から緑色の葉もある。

自然交配により生まれ、鳥や虫の糞から排出された種が地に落ち芽を出す。交配した条件、根付いた土壌、育った環境により開花時期、花の色や新芽の色など様々な違いが出るのだという。

平均寿命は100~400年。中には500年を超える山桜もあるそうで、寿命60年とされるソメイヨシノの比ではない。山中で芽吹き、たくましく育った山桜に「生命力の強さを感じる」という人の多いのもうなずける。ハイカーの60代女性は「凛(りん)と咲き誇る姿が孤高の人のようでひかれる」と話した。

4月7日に山桜ウォーク

4月7日(土)に開催される今年で6回目となる春の一大イベント。毎回500人もの参加者が桜を愛でながら山里を歩く。山全体の桜を下から眺める「里コース」(5㎞)と、尾根から満開の山桜を眺める「尾根コース」(10㎞)がある。コース途中の三ツ石森林公園で幹回り1mの山桜約200本が迎えてくれる。「眺望大桜」「天空桜」「美肌桜」など、命名木に出合うのもウォーキングの楽しみになっている。

申し込みは▽里コース=定員200人、℡0299-59-7000(雪入ふれあいの里公園)▽尾根コース=定員300人、℡029-862-3500(県立中央青年の家)

=【桜花爛漫】終わり

日当たりの良い場所では開花した山桜も(28日撮影)