水曜日, 7月 16, 2025
ホームスポーツ県勢は5キロで男女優勝 かすみがうらマラソン2019

県勢は5キロで男女優勝 かすみがうらマラソン2019

【崎山勝功】第29回かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン2019(同実行委員会、土浦市など主催)が14日、土浦市川口の川口運動公園周辺を発着点に行われ、県勢は5キロ一般男子で伊藤裕紀(21)=茨城大学4年=が16分26秒で優勝した。5キロ一般女子も県勢の山本侑果(18)が20分33秒で優勝した。

フルマラソン、10マイル(約16キロ)、5キロの各部門と、かすみがうらウォーキング(約19キロ)などで計2万252人がエントリーし、1万6643人が出走した。

5キロで優勝した伊藤はスタートから3キロまでは独走態勢だったが、4キロから2位の走者と競り合う形になり、4秒差で逃げ切った。「風が強くて途中先頭で(レースを)引っ張ることがあったのでつらかった」と振り返った。

5キロ一般男子で優勝した伊藤裕紀(右)と、5キロ一般女子で優勝した山本侑果=同

フルマラソンは男子・上條が初優勝、女子は藤沢が連覇

フルマラソン一般男子は、初出場の上條記男(35)=埼玉県=が2時間24分26秒でゴール。県勢の瀧谷海斗(21)=流通経済大学4年=は、同じく初出場ながらも2時間26分33秒で3位に食い込んだ。

優勝した上條は「36キロぐらいでこれは勝てるかなと思った」と述べ、今年9月15日にオーストラリアで開かれるシドニーマラソン出場権を手にし「2時間18分を目指したい」と目標を示した。

フルマラソン一般の部男子で優勝した上條記男=同

惜しくも3位だった瀧谷は「30キロからちょっときつかった。後半はペースが落ちちゃった。ベテラン勢に(距離を)離された」と振り返った。瀧谷は同大駅伝部に所属し、箱根駅伝の出場を目指して1カ月に約700キロ走っているという。「ベテランに力負けしてしまった」と反省の弁を述べた。

同女子は藤沢舞(44)=北海道、エクセルAC=が2時間46分39秒で連覇を果たした。連覇を狙っていたという藤沢は「目標は5キロを19分間で刻もうと思ったが、30キロからガクンとペースが落ちた。粘り強く頑張った」と話した。タイムは昨年より遅かったことに不満げだったものの「(コース上の)かすみがうら市内の小学校の桜がきれいだった」と、余裕を見せる一幕もあった。

このほか、かすみがうらウォーキング(約19キロ)も行われ、団体で参加した海老原梢さん(27)=牛久市=は「(仲間と)しゃべりながらで楽しかった。今度はマラソンの方に参加したい」と話した。

有森裕子さんらが伴走 国際盲人マラソン

視覚障害者ランナーたちが健脚を競う「国際盲人マラソン」では、五輪銀メダリストの有森裕子さん(52)、女優兼ヨガインストラクターの松本莉緒さん(36)らが伴走を務めた。

このうち5キロ女子では、松本さんが伴走を務めた招待選手の工藤星奈さん(18)=筑波大付属視覚特別支援学校=が28分39秒で優勝した。

工藤さんは「本当にきつくて(レースを)辞めたいと思ったけど、(松本)莉緒さんが励ましてくれた」と語った。「タイムを30分切ったら(松本さんと)一緒にたこ焼きを食べる約束をした」と言い、「28分で走れたので一緒にたこ焼きを食べたい。本当に(自分を)支えてくれた莉緒さんには感謝しかない」と感謝した。

5キロの部でスタートする伴走ランナーの松本莉緒さん(中央右の女性)と工藤星奈さん=土浦市川口の県道

カンボジアの障害者スポーツ支援呼び掛け

有森さんは、19年連続で伴走ランナーを務めた。今年はフルマラソン女子の鎌松美保子さん(35)=兵庫県=の特別伴走ランナーとして10キロ地点まで伴走した。鎌松さんは4時間14分28秒で2位入賞を果たした。

有森さんが代表理事を務めるNPOハート・オブ・ゴールドは、カンボジアで体育教育支援や障害者スポーツ支援などに取り組んでいる。かみがうらマラソン会場でも同NPOのテントでTシャツなどを販売し支援を呼び掛けた。集まった支援は、カンボジアでの障害者スポーツ支援などに活用されているという。

有森さんは「かすみがうらマラソンに19年来させていただいているが『他の人の役に立つ』と思う方が増えてきてありがたい」と感謝した。有森さんはサインや写真撮影に応じ「こうした機会を大切にしていきたい」と語った。

フルマラソン女子B―2の部で2位入賞した鎌松美保子さん(中央)と、鎌松さんの特別伴走ランナーを務めた有森裕子さん(右)=同

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