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土浦 花火 事故 -検索結果
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【土浦市長会見】花火大会事故を改めて謝罪
【鈴木宏子】土浦市、中川清市長の定例会見が29日、同市役所で開かれた。26日開催された第88回土浦全国花火競技大会でけが人が出る事故が発生したことについて、改めて謝罪した。
中川市長は「けがをされた方に心からお詫びとお見舞いを申し上げ1日も早い回復を祈ります」と述べ、さらに事故による中断で予定していた花火全てを打ち上げることができなかったことについて「土浦の花火を楽しみに観覧した皆さま、全国から参加した花火師の皆さま、開催に尽力した関係者には、大変なご迷惑をお掛けしたことを重ねてお詫びします」などと陳謝した。
昨年に続いて2年連続事故が発生したことについては「伝統ある大会でこのようなことがあって大変残念でならない。対策を練って、安全に開かれるにはどうしたらいいか検討していきたい」と話した。
昨年同様、不発の花火が落下した事故だったことについては「原因については現在、いろいろな問題を調査しているところ」だとして明言を避けた。昨年は強風が原因の一つだったが、今年の大会時の地上の風速は平均0.6メートル、最大1.9メートル、上空は2メートルだっとして「昨年と違って風は小さかった。原因は昨年とは違う。風がなかったにもかかわらず事故が起きた。これに対して今後原因を検討したい」と語った。
昨年の事故を受けて今年は、打ち上げ現場に風速計を設置したり、スターマインの打ち上げ場所を桟敷席からさらに15メートル離するなどの対策をとっていた。さらに昨年は打ち上げ筒の傾きが原因の一つとされたことから、打ち上げ当日に筒に水準器を当てて水平であることを確認していた。前日、台風21号の影響により雨が降ったが、打ち上げ場所のグラウンドは前日から排水を万全にし、当日はぬかるんでなかったという。
29日の会見ではほかに、土浦菊まつり菊花品評会(11月1~15日、亀城公園)▽水郷桜イルミネーション(11月16日~来年2月16日、霞ケ浦総合公園風車前広場)▽土浦カレーフェスティバルと市産業祭(23~24日、J:COMフィールド土浦と川口ショッピングモール505)▽市美術展覧会(11月28日~12月8日、土浦市民ギャラリー)▽小町ふれあいまつりと天童フェア(11月30日、小町の館とまちかど蔵)など11月の催しの案内があった。
土浦花火大会でまた事故 不発の花火が落下し破裂 男性1人が軽いやけど
【崎山勝功】26日午後6時35分ごろ、第88回土浦全国花火競技大会が開かれていた土浦市佐野子、打ち上げ会場の桜川河川敷付近の側道に、不発の花火1発が落下して破裂する事故が発生した。土浦警察署や市消防本部によると、破裂の際に近くにいた男性(43)が、花火の火の粉で右小指と首の右側に軽度のやけどを負ったほか、女性(44)が耳鳴りや吐き気などの症状を訴えた。2人は会場の救護所で手当てを受けたが、医療機関への搬送は無かった。
市消防本部によると、さらに事故現場近くにいた女性(43)と男児(6)の衣服が焦げたが、けがは無かった。
事故現場は、会場近くの学園大橋から約100メートル北側の路上で、一般の立ち入りが制限されていた保安区域の外だった。事故当時は複数の花火見物客がいたという。
花火大会実行委員会がある市商工観光課によると、事故発生を受けて打ち上げを一時中断し、安全確認をした上で次の打ち上げを再開した。交通機関への影響から、予定通り午後8時30分には打ち上げを終了した。打ち上げたのは、予定されていた89作品のうち3分の2の58作品だけだった。
事故から一夜明けた27日午前9時ごろ、花火打ち上げ場所の一誠商事市民運動広場(同市佐野子)には、県警の捜査員ら約10人が、花火の打ち上げ筒を調べたり、関係者から事故当時の状況を聞き取るなどしていた。
同市では昨年10月の大会でも、不発の花火が地上付近で破裂して見物客ら10人が軽傷を負う事故が起き、途中で大会が中止となった。このため、事故再発防止策として、現場に風速計を設置して、風速が打ち上げ場所で毎秒10メートルを超えるやや強い風が10分間平均で吹くときは大会を中断するほか、スターマイン花火の打ち上げ筒を観客席より離したり、打ち上げ筒が水平を保ち傾かないように水準器でチェックするなどの対応を取っていた。
市商工観光課は「事故原因は警察と協力して調査している」という。
➡土浦花火大会の過去記事はこちら
風と筒の傾きが複合原因 昨年の土浦花火大会事故
【鈴木宏子】昨年10月に開催された土浦全国花火競技大会で、けが人が出て大会が途中で中止になった問題で、土浦市は15日、事故原因について、強い風や風向きのほか、打ち上げ筒が傾いていたことが複合的に作用したと推定されるとする事故調査報告書を発表した。
今後の安全対策については、打ち上げ場所で毎秒10メートルを超えるやや強い風が10分間平均で吹くときは大会を中断し、さらに中断が30分間以上続いたときや、救急搬送されるけが人が出るなど重大な事故が発生したときは大会を中止するなどの新たな基準を設けた。
事故原因の一つとされる打ち上げ筒の傾きについては、大会当日の打ち上げ前に、市職員などが検査した際は筒の傾きは確認されず、事故後も確認されなかったという。一方、事故当時、花火は半径110メートルの保安区域を超えて観覧者がいる200メートル先に落下した。弾道を計算したところ、当日推測される最大風速の毎秒17メートルの風が吹いたとしても、筒が11度以上傾いていなければ200メートル先に飛ばなかったとした。打ち上げた業者に賠償などは請求しないという。
今後の安全対策として、新たに現場に風速計を設置する。これまでは約1キロ離れた市消防本部の風速計を基に判断していた。
さらに30分間以上中断が続いた場合、大会を中止する根拠について市は、遠方から来る人が多く、打ち上げ時間が交通規制の時間帯を超えると会場周辺が混乱してしまう恐れがあるためとしている。
事故調査は、昨年の事故直後から今年4月上旬まで、気象や弾道計算の専門家、花火師などに意見を求めながら実施した。
今年は10月26日開催
今年の大会開催日は10月26日になる。例年開催している10月の第1土曜日が、いきいき茨城ゆめ国体の開催日程と重なることから、今年は第4土曜日とする。昨年、大会が途中で中止となったのを受けて、桟敷席を昨年購入した人は、今年は優先的に購入できるようにするという。
事故は昨年10月6日午後6時21分ごろ発生した。19番目の高木煙火(岐阜県大垣市)が打ち上げたスターマインの4号玉1発が上空約200メートルで開かず、立ち入りが制限されている保安区域の外に飛び、打ち上げ場所から約200メートル離れた土浦市佐野子の学園大橋北西側で爆発した。花火を見ていた11人がやけどなどのけがを負った。事故後、中川清市長は昨年、安全対策を見直す方針を示していた。
➡2018年10月の土浦花火事故に関する記事はこちら
開催を中止 土浦全国花火競技大会
土浦全国花火競技大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)は1日、あす2日開催予定の第93回土浦全国花火競技大会を中止すると発表した。台風21号の影響により大雨が予報されているほか、雲底の高度が低いことが予報され、安全な打ち上げと競技花火としての観覧環境が確保できないとして中止の判断をしたとしている。
予報では雲底は高度300メートル以下となる。10号玉花火は300メートル上空に上がり、直径300メートルの大きさに開くため、花火の上半分が雲に隠れてしまうとみられるという。
一方大会要項では、荒天の場合は延期とし、3日または9日に順延する予定だった。しかし警備会社の労働者不足が想定より深刻な状況で、観客の安全を確保する警備が困難となり雑踏事故の発生などが懸念されることから、関係機関と協議の上、観客の安全を第一に考え、今大会は中止を決定したとしている。
同大会事務局の市商工観光課花火のまち推進室によると、今大会の警備は警備会社2社と契約し、500人弱の警備員を配置する予定だった。延期する場合、少ない人数しか警備員が確保できないという。延期の場合、これまでは警備会社と再調整して警備員が確保できていた。来年以降、延期の場合も想定してあらかじめ警備員確保の費用を負担するかどうか、課題になる。
大会中止は、コロナ禍で中止になった2020年と21年以来。同推進室は「ひじょうに残念。楽しみにしていただいた方に大変申し訳なく思っています」としている。
大会実行委員会会長の安藤土浦市長は「大会関係者間で協議・検討を重ね、安全な大会開催を最優先に考え、苦渋の決断となったが、中止することとした。開催を心待ちにしていた皆様、煙火業者の皆様を始め、大会開催に向けてご協力をいただいた関係者の皆様に心よりお詫び申し上げます」とするコメントを発表した。
「花火の日」は年に3日もある?《見上げてごらん!》27
【コラム・小泉裕司】5月28日は「花火の日」。8月1日、そして8月7日も。年に3日ある「花火の日」は、それぞれ起源となった出来事や設定目的が異なる。
5月28日:由来は両国の川開き
昨年、4年ぶりに開催された隅田川花火大会は、観客数103万人で過去最多を記録。昨年の国内の花火大会でも最多に違いない。今年の大会(7月27日)も、すでに有料の市民協賛席はほぼ完売状態だ。
この隅田川花火の前身「両国の川開き」は、日本の花火大会の起源とされており、1733年(享保18年)5月28日、徳川吉宗が飢饉(ききん)などの犠牲者の鎮魂や疫病退散祈願のために花火を打ち上げたことから、「花火の日」の由来とされている。
制定団体などの詳細は確認されておらず、しかも、根拠としている徳川吉宗川開き説は、歴史的記録が存在しないことは、本コラム16「日本の花火大会のルーツは?」(23年7月16日掲載)で紹介した通り。
今さら、素人の私が声高に「偽史」を叫んだところで「野暮」と言われるだけ。人は「偽史」に引かれるのだから、これはこれで良し。
8月1日:由来はマルチな出来事
参考文献では、1967年に煙火業者が中心となり、がん具花火の安全な消費運動を目的に制定したとあるが、いくつかの出来事が偶然にもこの日に重なったことに由来するようだ。
一つ目は、終戦後、GHQに禁止されていた花火製造と販売が1948年8月1日に、限定的ではあったが解禁されたこと。
二つ目は、この解禁に伴い、同日から「両国川開き大花火」が再開したこと。三つ目は、1955年8月1日、都内本所厩橋(うまやばし)の玩具花火問屋で大規模な爆発事故が発生し、多くの死傷者が出たこと。
さらに、世界一の花火大会とも称された「教祖祭PL花火芸術」(大阪府富田林市)が開催されていたことも由来とされているが、1953年から66年続いたこの大会は、新型コロナの流行で昨年まで4年続けて開催されていない。
ちなみに、火薬の使用を禁止したGHQは、特別な日に日本の花火職人に基地で花火を打ち揚げさせることもあったようで、日本の花火に魅了されていたGHQが花火業者の訴えに耳を貸し、解禁が実現したという。匠の技は、不変なのだ。
8月7日:由来は語呂合わせ
8月7日は、「ハ(8)ナ(7)ビ(日)」と読む語呂合わせから、日本煙火協会が、おもちゃ花火の文化伝承とマナーの向上を図ることを目的に制定した記念日。2017年に「おもちゃ花火の日」として、日本記念日協会が認定・登録したもの。
煙火協会は6~8月をおもちゃ花火の安全消費月間に定め、「花火は危険である」という他の業種には類がない逆転の発想で、「ルールを守って楽しい花火」をスローガンに、全国で啓発活動を行っている。
8月7日開催の花火大会で人気なのは、「神明(しんめい)の花火」(山梨県市川三郷町)。色彩豊かな花火に魅了されたコアなファンが多い。発売後数秒で完売となる有料観覧席は、今年はふるさと納税に紐(ひも)付けて発売中。
「土浦花火の日」を提案
第1回土浦全国花火競技大会は、99年前の1925年9月5~6日の2日間、霞ケ浦湖畔で開催された。来年は100周年のアニバーサリー。この9月5日を「土浦花火の日」に制定してはどうだろう。記念日協会の登録は経費がかさむので、自称ということで!
本日は、この辺で「打ち留めー」。「シュー ドドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
<参考文献>「花火の事典」(新井 充、東京堂出版、2016年6月刊)「日本の花火のあゆみ」(武藤 輝彦、あずさ書店、2000年10月刊)「花火入門 令和5年度版」(日本煙火協会、2023年6月刊)「花火と土浦」(土浦市、2018年3月刊)
新年度の土浦の花火は?《見上げてごらん!》25
【コラム・小泉裕司】記事「土浦市新年度予算」(2月15日掲載)によると、市は、4月1日実施の機構改革において、花火大会に関する情報発信の強化充実を図るために、「花火対策室」を「花火のまち推進室」に改編するとのこと。
1925(大正14)年の第1回大会から数えて、来年の第94回大会で100年、7年後には第100回大会を迎えるが、新年度は大会以外にどのような企画があるのか、実行委員会事務局に聞いた。
開口一番、新年度も「前年度並みの限られた予算規模の中でのやりくり」と釘を刺された。ちなみに、花火対策室の職員数は、昨年10月、1人減員の状態から3人体制に回復したが、大会に向けた準備に専念、新事業への取り組みはないという。
組織の名称変更についても、100年や100回のアニバーサリーに向けた特別な思いを込めたというよりも、連続した花火事故やコロナ禍を経た後の2大会の無事開催を踏まえ、「対策」という対処療法的イメージからの脱却が主たる理由らしい。
それであっても、「100年」「100回」は、遭遇することなど滅多にない希有(けう)な機会だ。何とかみんなで祝いたいと思う。次年度予算への反映に向けて、知恵を絞りたいものだ。
次の100年に向けて
過去、土浦市は、花火を歴史・文化資産としてとらえてこなかったことで、丁寧な資料の保存などが行われず、図録「花火と土浦」(2018年土浦市発行)の編集に際し、資料調査など苦労があったという。
この機会に、県紙である茨城新聞や地域紙であった旧常陽新聞などの記事や広告、大会運営に関わった市民や煙火業者などのエピソードの数々を、図録を補完するアーカイブとして集約し、次の100年に引き継いでいくことが大切ではないか。周囲の関係者に提唱しているところだ。
3月末に、いわゆる役職定年を迎える佐藤亨産業経済部長は、大会本部長を兼ねる。「本職に就いて、初めて花火の奥深さを知ることができた。若い時期に花火の業務を経験していれば、もっと花火の魅力を究めることができたのかも知れない」と、3年の在職を振り返った。
大会が万端整った後は、大会まで、事務所内に祭った気象神社(東京高円寺)のお札に好天を祈る毎日で、無事終了した後、お礼に参詣したとのこと。歴代の本部長が背負う宿命、最大の憂いごとである。ご慰労申し上げると同時に、今後は、現場を経験した「語り部」として、「土浦の花火」の魅力を拡散していこうぜ。
本日は、この辺で「打ち留めー」。「シュー ドドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
新年度の土浦の花火は?《見上げてごらん!》25
【コラム・小泉裕司】記事「土浦市新年度予算」(2月15日掲載)によると、市は、4月1日実施の機構改革において、花火大会に関する情報発信の強化充実を図るために、「花火対策室」を「花火のまち推進室」に改編するとのこと。
1925(大正14)年の第1回大会から数えて、来年の第94回大会で100年、7年後には第100回大会を迎えるが、新年度は大会以外にどのような企画があるのか、実行委員会事務局に聞いた。
開口一番、新年度も「前年度並みの限られた予算規模の中でのやりくり」と釘を刺された。ちなみに、花火対策室の職員数は、昨年10月、1人減員の状態から3人体制に回復したが、大会に向けた準備に専念、新事業への取り組みはないという。
組織の名称変更についても、100年や100回のアニバーサリーに向けた特別な思いを込めたというよりも、連続した花火事故やコロナ禍を経た後の2大会の無事開催を踏まえ、「対策」という対処療法的イメージからの脱却が主たる理由らしい。
それであっても、「100年」「100回」は、遭遇することなど滅多にない希有(けう)な機会だ。何とかみんなで祝いたいと思う。次年度予算への反映に向けて、知恵を絞りたいものだ。
次の100年に向けて
過去、土浦市は、花火を歴史・文化資産としてとらえてこなかったことで、丁寧な資料の保存などが行われず、図録「花火と土浦」(2018年土浦市発行)の編集に際し、資料調査など苦労があったという。
この機会に、県紙である茨城新聞や地域紙であった旧常陽新聞などの記事や広告、大会運営に関わった市民や煙火業者などのエピソードの数々を、図録を補完するアーカイブとして集約し、次の100年に引き継いでいくことが大切ではないか。周囲の関係者に提唱しているところだ。
3月末に、いわゆる役職定年を迎える佐藤亨産業経済部長は、大会本部長を兼ねる。「本職に就いて、初めて花火の奥深さを知ることができた。若い時期に花火の業務を経験していれば、もっと花火の魅力を究めることができたのかも知れない」と、3年の在職を振り返った。
大会が万端整った後は、大会まで、事務所内に祭った気象神社(東京高円寺)のお札に好天を祈る毎日で、無事終了した後、お礼に参詣したとのこと。歴代の本部長が背負う宿命、最大の憂いごとである。ご慰労申し上げると同時に、今後は、現場を経験した「語り部」として、「土浦の花火」の魅力を拡散していこうぜ。
本日は、この辺で「打ち留めー」。「シュー ドドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
話題は能登地震と羽田事故 土浦で新年賀詞交歓会
土浦市の経済3団体(商工会議所、観光協会、商店街連合会)主催による新年賀詞交歓会が5日夜、市内のホテルマロウド筑波で開かれ、地域の経済人を中心に約300人が参加した。あいさつに立った市長、国会議員、県会議員は、冒頭、年初に起きた能登半島地震と羽田空港航空機衝突事故に触れ、地震被災者にお見舞いを述べ、航空安全の必要性を強調した。
TX延伸、花火大会…
大型新年会は、恒例の土浦鳶職(とびしょく)組合の祝木遣(きやり)唄でスタートした。
3団体を代表して中川喜久治土浦商工会議所会頭があいさつし、地域の交通インフラ充実について「県の活性化や防災対策にも寄与するとして、昨年、TXの土浦方面延伸が決定した。また、常磐高速スマートICの市内設置も、国が調査することになった。これらは、市の20~30年先を見据えて、私たちが要望してきたものであり、大きな喜びだ」と述べた。
また、市長2期目に入った安藤真理子土浦市長も「オール土浦で取り組んだTX土浦延伸の夢が実現に向け一歩踏み出した」と述べたあと、「昨年の全国花火大会はヒヤッとするところもあったが、多くの方に感動を与えた。これからも、先人が培った土浦の文化や宝に磨きをかけ、全国に発信していきたい」と、観光事業の活性化に意欲を示した。
2人の女性議員に注目
議員からは、国光あやの、青山大人衆院議員、上月良祐、加藤明良、小沼巧参院議員、伊沢勝徳、八島功男、高橋直子県議があいさつに立った。
この中で注目されたのは、額に大きな絆創膏(ばんそうこう)を貼った国光議員と、大きなお腹をかかえた高橋県議。医師でもある国光議員は、筑波メディカルセンター病院での夜勤明け、自転車にぶつけられて額にケガをし、同病院に運び込まれたという。また、高橋県議は2月が出産予定で、現役の茨城県議が出産するのは自分が初めてになると話した。
賀詞交歓会は午後8時過ぎまで開かれ、参加者にはお土産に「れんこん焼酎『土浦恋婚』」が配られた。土浦産のレンコンを使い、明利酒類(水戸市)が製造した焼酎は昨年11月に発売された。企画した市は「ほんのり甘く、すっきりした飲み口」とPRしている。(岩田大志)
➡れんこん焼酎の過去記事はこちら
地上で10号玉開き10分間中断 4日の土浦全国花火競技大会
4日行われた第92回土浦全国花火競技大会(実行委員長・安藤真理子土浦市長)で10分間の中断があったことについて、安藤市長は6日の市長定例会見で、10号玉が上空で開かず落下し、地上で開いたためと説明した。一般人の立ち入りが禁止されている保安区域内に落下し、けが人が無かったこと、周囲に大きな損傷が無かったことなど安全が確認されたことから、会場の本部席にいた実行委員らで協議し再開を決めたとしている。
同実行委事務局を務める市商工観光課によると、同日午後6時6分、競技花火29番目の長野県、伊那火工堀内煙火店が、打ち上げ会場になっているイオンモール土浦の駐車場で10号玉を打ち上げたところ、約300メートル上空まで上がったが花火が開かず、そのまま落下し、地上で直径約300メートルにわたり花火が半球状に開いた。
落下場所や花火が開いた場所が保安区域内で、花火業者関係者や事務局の市職員らがいたが、けがは無かった。市職員らが直ちに、けが人の有無、打ち上げ会場の損傷、後続の打ち上げへの影響などを確認したところ安全性に問題が無かったことから、同実行委で協議し、10分間の中断後、同6時16分、打ち上げを再開した。
ただし落下地点のアスファルトに一部へこみが出たなどしたことから、実行委が修繕する。なぜ上空で花火が開かなかったのかについては現在、打ち上げ業者が原因を調べているという。
安藤市長は「けがが無かったので、正直心からほっとしている。過去に事故があって、途中で中断しなくてはならないことがあった。火薬を扱う花火大会は(立ち入り禁止など)保安距離を設け、何かあるかもしれないことを前提に準備を進めている。今回、地上で開いた時、事業者や関係者がきちんと対応してくれた」などと話した。
ドローン飛行、警察が捜査
一方、会場付近ではドローン2機が無許可で上空を飛行していることが確認されたとし、現在、警察が捜査を進めているという。市によると、警察は今年、ドローンに特化した対策チームを編成して対応に当たった。昨年はドローン1機の飛行が確認され、航空法違反の疑いでかすみがうら市の男性が書類送検されている。
4日は約2万発の花火を打ち上げて全競技を終えた。昨年より約15万人多い約60万人が観覧した。安藤市長は「新型コロナの行動制限はなくなったが、3年ぶり開催となった昨年の教訓を生かして、桜川の土手の上には屋台を設置しない、いす席を設けるなどして臨んだ。体感としてお客様が増えているなと感じた」などと話した。
「土浦の花火」の歴史と見どころ《見上げてごらん!》20
【コラム・小泉裕司】再来年の2025年、「土浦の花火」は100年を迎える。1925年9月、神龍寺(土浦市文京町)住職の秋元梅峯和尚が、霞ヶ浦湖畔で開催した「土浦町全国花火競技大会」がルーツ。当時も今と同様、全国から花火師が集ったという。
山本五十六元帥も関係?
この花火大会は、霞ヶ浦海軍航空隊殉職者の慰霊、秋の収穫への感謝や商工業の活性化が開催の趣旨とされている。長岡花火(新潟県)を見て育った山本五十六元帥が航空隊に副長として着任し、神龍寺山門近くに下宿していた時期と重なることから、資料としては確認されていないものの、彼が大会誕生に関わりがあったとしても不思議はない。
戦争や水害、天皇の崩御、最近では連続した花火事故、コロナ禍などによる中止や中断を乗り越えながら、11月4日(土)に第92回大会を迎える。これまで、大会の発展に尽くした先人の優れた知恵や計り知れない苦労があったに違いない。
戦後の大会の再開と発展に貢献したのが、北島義一氏(元土浦火工㈱社長、1908~79)。数々の競技大会で優秀な成績を収めるなど、花火技術の発展に寄与すると同時に、後進の育成にも力を注いだ。義一氏の教えは、山﨑芳男氏(山﨑煙火製造所会長)や今野正義氏(㈱北日本花火興業会長)など、その後の日本花火をけん引する花火師達に引き継がれている。
20回目の内閣総理大臣賞
毎年、大会に前後して、義一氏とゆかりのある煙火業者の面々が神龍寺の北島家の墓所を訪れ、墓前に白菊が手向けられる。その姿を、大会の始祖・梅峯和尚の銅像がかたわらから見守る。もちろん、筆者も大会前後に神龍寺を訪れ、大会の安全を祈願して両所で手を合わせる。
2000年から授与され今回で20回目の「内閣総理大臣賞」には、こうしたご縁に導かれた経緯がある。そもそもは1961年にさかのぼる。この年から、義一氏の努力により「通商産業大臣賞」が授与されることになったが、俯瞰(ふかん)的視野の義一氏の後押しがあって、1964年から大曲花火(秋田県)にも同賞が授与されることになった。
時は流れ、2000年。大曲に「内閣総理大臣賞」が授与される際には、通産大臣賞の恩返しとばかり、大曲から国への働きかけによって、土浦にも授与されることになったという。まさに同志としての「友情物語」が、両大会の発展の礎になっていることは間違いない。
10号玉、創造花火、スターマイン
土浦全国花火競技大会は、打ち上げてから消えるまでのわずか10秒前後の間に幾重もの同心円を描く「10号玉」、花火師のクリエイティブなセンスと新技術が楽しめる「創造花火」、夜空を千紫万紅に彩る「スターマイン」の3部門に分かれて、優勝を目指して競技が展開する。
各部門の優勝者の中から、最も優れた作品を打ち上げた業者に、花火師最高位の名誉である内閣総理大臣賞が授与される。技術力、芸術性、創造性、品質性などで日本最高峰の花火作品が、晩秋の澄んだ夜空に集結する。花火師にとっては、今年1年の集大成とも言うべき頂上決戦が始まる。
今年から審査標準玉を変更
さて、大会進行で変更となる点、注目すべき作品や煙火業者を紹介しよう。まず、競技開始の直前に打ち上げる「審査標準玉」が今年は変更となる。昨年まで、芯が2つ、全体で3つの円を描く10号玉割物「八重芯変化菊」を採用していたが、今年からは芯が3つ、全体で4つの円の「三重芯変化菊」を採用する。
八重芯が初めて登場したのは1928年と歴史も古く、今年の八重芯出品は1玉となっており、妥当な変更といえる。むしろ遅すぎた感も否めない。審査員長が採点した標準玉の点数を参考として、以後89作品の審査が行われるのだが、例年は70点中盤がアナウンスされる。そのわけは、ここで高得点を付けると、実績豊富な業者が登場する後半の採点の際、大いに困ることになるから。
10号玉の注目は、6業者が挑戦する「五重芯」だろう。まさに匠(たくみ)の技。完璧な6つの真円を描いた作品が優勝に最も近いといえるが、目視できなければ意味がない。すべて手作りで作られる粋な花火に、ビデオ判定などもってのほか。
ハートや動物の「型物」に注目
今年の創造花火は、「型物」に注目したい。「型物」は、たとえば、ハートや動物の形などを模した2Dの世界なので、審査員に意図した形が見えるどうかがポイント。今年は「型物の神」と言われる㈱北日本花火興業(秋田県)、㈱芳賀火工(宮城県)、北陸火工㈱(石川県)の女性花火師の作品が要チェックだ。
スターマインの最近の傾向は、レギュレーション(規定)の400発をめいっぱい打ち上げる「スターマインの土浦」ともいわれる「迫力系」と、1玉1玉をじっくり見せる「しっとり系」に分かれる。いずれにしても、すべての作品が音楽付きなので、曲と花火のマッチングが優劣を決めることになる。
打上げ時は人の前を歩かない!
最後に、有料観覧席で見る皆さんにお願いがある。花火が打ち上がっているときは、人の前を歩かないこと。作品は、上空、中空、低空を効果的に、まさに生け花のごとく描き出す。これからという佳境に、「あなたの顔は見たくない」。
花火の公式パンフレットで、作者のコメントを読みながらイマジネーションを膨らますのもよし、何も考えず、ただひたすら音と光の世界に没頭するもよし-。花火の楽しみ方は、それこそ自由。
私は、東京高円寺にある「気象神社」から木箱入りのお守りを取り寄せた。どうか御利益がありますようにと安全祈願。恒例の「打ち留め-」は、大会終了まで、「おあずけー」「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
「土浦の花火」歴史と見どころ《見上げてごらん!》20
【コラム・小泉裕司】再来年の2025年、「土浦の花火」は100年を迎える。1925年9月、神龍寺(土浦市文京町)住職の秋元梅峯和尚が、霞ケ浦湖畔で開催した「土浦町全国花火競技大会」がルーツ。当時も今と同様、全国から花火師が集ったという。
山本五十六元帥も関係?
この花火大会は、霞ケ浦海軍航空隊殉職者の慰霊、秋の収穫への感謝や商工業の活性化が開催の趣旨とされている。長岡花火(新潟県)を見て育った山本五十六元帥が航空隊に副長として着任し、神龍寺山門近くに下宿していた時期と重なることから、資料としては確認されていないものの、彼が大会誕生に関わりがあったとしても不思議はない。
戦争や水害、天皇の崩御、最近では連続した花火事故、コロナ禍などによる中止や中断を乗り越えながら、11月4日(土)に第92回大会を迎える。これまで、大会の発展に尽くした先人の優れた知恵や計り知れない苦労があったに違いない。
戦後の大会の再開と発展に貢献したのが、北島義一氏(元土浦火工㈱社長、1908~79)。数々の競技大会で優秀な成績を収めるなど、花火技術の発展に寄与すると同時に、後進の育成にも力を注いだ。義一氏の教えは、山﨑芳男氏(山﨑煙火製造所会長)や今野正義氏(㈱北日本花火興業会長)など、その後の日本花火をけん引する花火師達に引き継がれている。
20回目の内閣総理大臣賞
毎年、大会に前後して、義一氏とゆかりのある煙火業者の面々が神龍寺の北島家の墓所を訪れ、墓前に白菊が手向けられる。その姿を、大会の始祖・梅峯和尚の銅像がかたわらから見守る。もちろん、筆者も大会前後に神龍寺を訪れ、大会の安全を祈願して両所で手を合わせる。
2000年から授与され今回で20回目の「内閣総理大臣賞」には、こうしたご縁に導かれた経緯がある。そもそもは1961年にさかのぼる。この年から、義一氏の努力により「通商産業大臣賞」が授与されることになったが、俯瞰(ふかん)的視野の義一氏の後押しがあって、1964年から大曲花火(秋田県)にも同賞が授与されることになった。
時は流れ、2000年。大曲に「内閣総理大臣賞」が授与される際には、通産大臣賞の恩返しとばかり、大曲から国への働きかけによって、土浦にも授与されることになったという。まさに同志としての「友情物語」が、両大会の発展の礎になっていることは間違いない。
10号玉、創造花火、スターマイン
土浦全国花火競技大会は、打ち上げてから消えるまでのわずか10秒前後の間に幾重もの同心円を描く「10号玉」、花火師のクリエイティブなセンスと新技術が楽しめる「創造花火」、夜空を千紫万紅に彩る「スターマイン」の3部門に分かれて、優勝を目指して競技が展開する。
各部門の優勝者の中から、最も優れた作品を打ち上げた業者に、花火師最高位の名誉である内閣総理大臣賞が授与される。技術力、芸術性、創造性、品質性などで日本最高峰の花火作品が、晩秋の澄んだ夜空に集結する。花火師にとっては、今年1年の集大成とも言うべき頂上決戦が始まる。
今年から審査標準玉を変更
さて、大会進行で変更となる点、注目すべき作品や煙火業者を紹介しよう。まず、競技開始の直前に打ち上げる「審査標準玉」が今年は変更となる。昨年まで、芯が2つ、全体で3つの円を描く10号玉割物「八重芯変化菊」を採用していたが、今年からは芯が3つ、全体で4つの円の「三重芯変化菊」を採用する。
八重芯が初めて登場したのは1928年と歴史も古く、今年の八重芯出品は1玉となっており、妥当な変更といえる。むしろ遅すぎた感も否めない。審査員長が採点した標準玉の点数を参考として、以後89作品の審査が行われるのだが、例年は70点中盤がアナウンスされる。そのわけは、ここで高得点を付けると、実績豊富な業者が登場する後半の採点の際、大いに困ることになるから。
10号玉の注目は、6業者が挑戦する「五重芯」だろう。まさに匠(たくみ)の技。完璧な6つの真円を描いた作品が優勝に最も近いといえるが、目視できなければ意味がない。すべて手作りで作られる粋な花火に、ビデオ判定などもってのほか。
ハートや動物の「型物」に注目
今年の創造花火は、「型物」に注目したい。「型物」は、たとえば、ハートや動物の形などを模した2Dの世界なので、審査員に意図した形が見えるどうかがポイント。今年は「型物の神」と言われる㈱北日本花火興業(秋田県)、㈱芳賀火工(宮城県)、北陸火工㈱(石川県)の女性花火師の作品が要チェックだ。
スターマインの最近の傾向は、レギュレーション(規定)の400発をめいっぱい打ち上げる「スターマインの土浦」ともいわれる「迫力系」と、1玉1玉をじっくり見せる「しっとり系」に分かれる。いずれにしても、すべての作品が音楽付きなので、曲と花火のマッチングが優劣を決めることになる。
打上げ時は人の前を歩かない!
最後に、有料観覧席で見る皆さんにお願いがある。花火が打ち上がっているときは、人の前を歩かないこと。作品は、上空、中空、低空を効果的に、まさに生け花のごとく描き出す。これからという佳境に、「あなたの顔は見たくない」。
花火の公式パンフレットで、作者のコメントを読みながらイマジネーションを膨らますのもよし、何も考えず、ただひたすら音と光の世界に没頭するもよし-。花火の楽しみ方は、それこそ自由。
私は、東京高円寺にある「気象神社」から木箱入りのお守りを取り寄せた。どうか御利益がありますようにと安全祈願。恒例の「打ち留め-」は、大会終了まで、「おあずけー」「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
【3日午前10時】花火の写真を差し替えました。
事前審査は現職の安藤氏のみ 土浦市長選
任期満了に伴って10月15日告示、22日投開票で行われる土浦市長選の事前審査が26、27日の2日間行われた。8月29日の事前説明会も含め、事前審査を実施したのは現職で2期目を目指す安藤真理子氏(62)の陣営だけだった。
4年前は現職と新人の一騎打ちとなったが、今回は一転して無風状態で、安藤氏の無投票当選の公算が大きい。9月1日現在の同市の有権者数は11万8572人で4年前より約1700人増えている。
元県議の安藤氏は4年前、5選を目指した現職の中川清氏を4000票余りの差で破り初当選した。「暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる土浦市政」を目指し、公約で掲げた家庭用ごみ袋の値下げ、公共交通不便地域でのコミュニティバス実証運行、高校生までの医療費助成の所得制限撤廃、土浦幼稚園の認定こども園としての存続、常磐道スマートインターチェンジの整備推進、新治運動公園多目的グラウンドの人工芝化などを実施し、今年10月からはさらに小中学校の給食費無償化にも取り組む。
昨年11月の土浦全国花火競技大会は、事故による途中打ち切りやコロナ禍による中止に見舞われていた大会を、5年ぶりに成功させた。県によるつくばエクスプレス県内延伸構想では今年6月、延伸先が土浦駅に決まるなど勢いに乗る。
2期目に向けては今年6月議会で一般質問に答え「引き続き市長としてまちづくりの先頭に立ってさらなる市の発展に向けて全力で傾注したい」「これから生まれてくる子供たちが安心して人生のスタートを切り、このまちに生まれてよかったと思えるよう、夢のある、元気のある土浦市の実現に向けて最後までやり遂げることこそが使命だ」などと表明していた。現在、県内唯一の女性市長。
どうする?花火旅《見上げてごらん!》18
【コラム・小泉裕司】煙火業界は、あっちの大会、こっちの大会と大忙し。旅行会社の花火ツアーも好調で、各地の花火会場は赤や黄のツアー旗にワッペンを胸に付けた行列が続く。その人混みをかいくぐり、プラチナチケットを手に観覧席に向かう。今回は、コラム5「…越後3大花火」(2022年8月21日掲載)で書いた「海の大花火大会」(新潟県柏崎市)の会場に到着するまでの「どうする?」お話。
午前11時、JR土浦駅改札口に到着するや、「列車事故のため、土浦駅から取手駅間は運転を見合わせています。復旧の見込み時間は不明です」のアナウンス。この告知がトラウマの読者も少なくないはず。
駅員に確認したところ、「1時間以上の遅れ、取手駅から上野駅方面は通常運転」とのこと。本来、11時25分土浦駅発で上野駅へ向かい、12時46分発「とき321号」に乗車。いったん長岡駅で下車し、ホテルへ荷物を置いてから、柏崎市の花火会場に向かう予定。往復乗車券と新幹線特急券は「えきねっと」の「チケットレス」で、在来線特急は紙切符で予約済み。
遅延に慣れない筆者の心臓はバクバク。「さあ、どうする?」。思いついた選択肢は次のとおり。
① 予約を変更し、運転再開まで土浦駅で待機する。
② 土浦駅まで送ってくれた家族を呼び戻し、その車で取手駅に向かう。
➂ ②と同様、家族の車で上野駅に向かう。
④ 自宅に戻り、新潟県までひとり車で向かう。
⑤ 中止する。
苦手な長距離ドライブ、しかもひとり
選んだのは、④の往復635キロのドライブひとり旅。花火をあきらめる考えなど毛頭ない。最大の理由は「自己完結」であること。家族の車で自宅に戻り、ガソリンを満タンにして、3本の高速道路をノンストップ、長岡市内まで4時間。宿泊ホテルに駐車後、長岡駅から信越本線で柏崎駅に17時50分到着。会場入りは18時20分。打ち上げ開始19時30分まで1時間の余裕だ。「花火を見る」に限れば、正解だった。
選択肢①の場合は? 新幹線予約を変更しようと土浦駅の駅員にたずねたところ、「ネット予約は駅窓口では対応できない。上野駅に着いたら電話で変更してほしい」と、渡された小さな紙切れには「えきねっとサポートセンター」の連絡先がプリント。早速電話したが話し中。この状況は終日続いた。つながったのは翌朝。かの常磐線は1時間20分後に運転再開したとの後日談だが、これでは上野駅に着いたところで、つながらず路頭(駅構内)に迷っていたに違いない。
車で長岡市に到着後、間に合わなかった信越本線柏崎駅までの特急券を払い戻そうと、並んだ長岡駅の窓口では「到着駅で手続きしてほしい」との案内。「花火大会で混雑する柏崎駅にたらい回し?」と切り返すと、「次の方どうぞ」と完全無視。不快な思いを残し、後日、サポートセンターと土浦駅窓口で払い戻しの手続きを完了。交通費に限っての収支は1,000円ほどの黒字で、苦手な長距離ドライブは、やはり正解だったのだろう。
以来、新幹線の予約は、割安な「eチケット」ではなく、「紙切符」に限ることにした。利用日間際に届く発券の催促メールが、少々わずらわしいのだが…。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
どうする?花火旅《見上げてごらん!》18
【コラム・小泉裕司】煙火業界は、あっちの大会、こっちの大会と大忙し。旅行会社の花火ツアーも好調で、各地の花火会場は赤や黄のツアー旗にワッペンを胸に付けた行列が続く。その人混みをかいくぐり、プラチナチケットを手に観覧席に向かう。今回は、コラム5「…越後3大花火」(2022年8月21日掲載)で書いた「海の大花火大会」(新潟県柏崎市)の会場に到着するまでの「どうする?」お話。
午前11時、JR土浦駅改札口に到着するや、「列車事故のため、土浦駅から取手駅間は運転を見合わせています。復旧の見込み時間は不明です」のアナウンス。この告知がトラウマの読者も少なくないはず。
駅員に確認したところ、「1時間以上の遅れ、取手駅から上野駅方面は通常運転」とのこと。本来、11時25分土浦駅発で上野駅へ向かい、12時46分発「とき321号」に乗車。いったん長岡駅で下車し、ホテルへ荷物を置いてから、柏崎市の花火会場に向かう予定。往復乗車券と新幹線特急券は「えきねっと」の「チケットレス」で、在来線特急は紙切符で予約済み。
遅延に慣れない筆者の心臓はバクバク。「さあ、どうする?」。思いついた選択肢は次のとおり。
① 予約を変更し、運転再開まで土浦駅で待機する。
② 土浦駅まで送ってくれた家族を呼び戻し、その車で取手駅に向かう。
➂ ②と同様、家族の車で上野駅に向かう。
④ 自宅に戻り、新潟県までひとり車で向かう。
⑤ 中止する。
苦手な長距離ドライブ、しかもひとり
選んだのは、④の往復635キロのドライブひとり旅。花火をあきらめる考えなど毛頭ない。最大の理由は「自己完結」であること。家族の車で自宅に戻り、ガソリンを満タンにして、3本の高速道路をノンストップ、長岡市内まで4時間。宿泊ホテルに駐車後、長岡駅から信越本線で柏崎駅に17時50分到着。会場入りは18時20分。打ち上げ開始19時30分まで1時間の余裕だ。「花火を見る」に限れば、正解だった。
選択肢①の場合は? 新幹線予約を変更しようと土浦駅の駅員にたずねたところ、「ネット予約は駅窓口では対応できない。上野駅に着いたら電話で変更してほしい」と、渡された小さな紙切れには「えきねっとサポートセンター」の連絡先がプリント。早速電話したが話し中。この状況は終日続いた。つながったのは翌朝。かの常磐線は1時間20分後に運転再開したとの後日談だが、これでは上野駅に着いたところで、つながらず路頭(駅構内)に迷っていたに違いない。
車で長岡市に到着後、間に合わなかった信越本線柏崎駅までの特急券を払い戻そうと、並んだ長岡駅の窓口では「到着駅で手続きしてほしい」との案内。「花火大会で混雑する柏崎駅にたらい回し?」と切り返すと、「次の方どうぞ」と完全無視。不快な思いを残し、後日、サポートセンターと土浦駅窓口で払い戻しの手続きを完了。交通費に限っての収支は1,000円ほどの黒字で、苦手な長距離ドライブは、やはり正解だったのだろう。
以来、新幹線の予約は、割安な「eチケット」ではなく、「紙切符」に限ることにした。利用日間際に届く発券の催促メールが、少々わずらわしいのだが…。本日は、この辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
土浦全国花火競技大会 5年ぶりフィナーレまで完走
色とりどりの花火が大音響と共に土浦の夜空に戻ってきた。第91回土浦全国花火競技大会(主催・大会実行委員会、委員長・安藤真理子市長)は5日、土浦市佐野子、学園大橋近くの桜川河川敷で開かれ、開催を待ちわびた多くの見物客でにぎわった。
内閣総理大臣賞をかけて花火師が技を競う国内最高峰の大会の一つ。2018年と19年は事故により途中で打ち切り、20年と21年はコロナ禍で中止となった。今年はコロナ対策と安全対策を徹底して、3年ぶりに開催された。
大会は、従来より30分早い午後5時30分に最初の一発が上がり、午後8時過ぎまで約2時間半にわたり、音と光のスペクタクルが繰り広げられた。空高く轟音を伴って打ち上がる10号玉、トリッキーでユニークな形状の楽しめる創造花火、土浦の花火名物といわれる華やかなスターマイン、競技大会参加の93作品、広告花火を加えると100近いプログラムが次々に夜空を染めた。
新型コロナ対策として、有料観覧席の入場者を例年より4割減らし約3万5000席に制限し、入場する際は検温と手指消毒を求め、飲食時以外のマスク着用を徹底した。
18年と19年の事故を教訓に、安全対策として打ち上げ場所付近の立ち入りを規制する保安距離を200メートル確保したほか、一本の花火筒に2つ以上の花火玉を入れて打つ「重ね玉」を取り止めて臨んだ。
待ってましたの観客でごった返す
会場周辺は開催を待ちわびたファンで早々に混雑し、ごった返した。午後3時過ぎにはJR土浦駅から会場に向かう人たちで、桜川左岸の堤防道路に長い行列ができた。屋台の仕込みが始まり、堤防下の河川敷では早々にブルーシートが広げられ、場所取りが始まった。
土浦大橋から学園大橋の間の桜川左岸は桟敷席以外も有料の椅子席となり、堤防道路との間は黒い遮へい幕で花火の打ち上げも見られないようシャットアウト、立ち止まらないよう警備員らが早い時間から交通整理に張り付いた。実行委員会は約2000人で誘導など行う警備体制を敷いた。
生田町のスーパーでは仮設トイレを設け、駐車場を開放した。駐車場にシートを敷いて見物する家族連れなどでごった返した。桟敷席対岸の下高津側では市の用意した駐車場が早々に埋まり、1台3000円が相場の民間の駐車場前にも車列が出来た。
あまりの人出と警備誘導にあきらめ、見通しのきく道路の路肩に座り込んで花火見物する人たちも少なくなかった。11月の花火に「やっぱり寒い。10月開催に戻してほしい」との声も聞かれた。
打ち上げが始まると観客の一部は入場が制限されていた河川敷に入ったが、収拾がつかない状況には至らず、草むらから整然と花火を見上げ、歓声をあげた。ほかに目立ったトラブルもなく大会は終了。軽快なビートの躍動と共に繰り広げられる花火のロックンロールで5年ぶりのフィナーレを迎えた。
土浦花火大会復活へのシナリオ《見上げてごらん!》6
【コラム・小泉裕司】土浦の秋の風物詩、土浦全国花火競技大会(11月5日午後5時30分~8時)が戻ってくる。安藤真理子市長は5日の記者会見で、「今年の大会を開催する」と力強い声で発表し、大会は3年ぶりの開催に向け、ついにスタートラインに立つことができた。
11月5日まで2カ月。この時期の決定は、国内最高峰の内閣総理大臣賞を贈るにふさわしい安全な大会としての環境整備にめどが立ったということだろうし、参加業者にとっては、競技大会の「特別な作品」の製造に要する時間を考えると、リミットでもあったろう。
コロナ禍、相次いだ花火大会の中止で危機的な経営状況に陥り、事業の継続性や技術の継承の問題が顕在化していた煙火業界だが、18都道県から55業者が参加するとのことで、まずはほっとしている。今年1年の集大成となる土浦大会で、どんな感動と出会えるのか、期待に胸が膨らむ。
ところで、花火大会はお祭りだろうが競技大会だろうが、何よりも安全第一。観客にとっても、花火師にとっても、主催者にとっても安全でなければならない。花火関係者すべての合言葉であると同時に、今大会を開催に導くためのキーワードでもあった。
イベント報道では、今年前半から、決まり文句のように「3年ぶり」の見出しが急増しており、土浦の場合も同様だ。決して間違いではないのだが、どうも違和感がある。実は土浦大会だけが抱えている「安全」上の深刻な事情があるからだ。
2018年、2019年と、2年続いた花火事故による途中中止に加えて、コロナ禍による2年間の取り止めを加えると、競技大会としての成果は4年連続で残せていない。これは太平洋戦争中の5大会に次いで、史実に残る長期の空白となっている。先人が営々と築いてきた競技大会としての伝統を継承するべく、実行委員会には、安全な大会を再構築し、復活させるという、きわめて重い使命が課せられていたのである。
事故対策では、専門家をはじめ関係機関の協力・理解を得ながら安全対策に心血を注ぎ、再起のめどがついた頃、コロナ対策で出鼻をくじかれた。通常でも大会開催までの準備はほぼ1年を要する土浦市最大のイベントに、未経験の大きな課題が2つも加わっている。それでもこの高い壁を乗り越えなければ、土浦の花火の未来はないのだ。
<具体的な課題対策は、本サイトの記事「3年ぶり 11月5日開催決定 土浦全国花火競技大会」(9月5日掲載)をご覧ください>
ウィズコロナの花火鑑賞
さて今年、私が鑑賞した花火大会は、県内外合わせて2桁に到達したが、心がけているのはコロナ対策である。観覧席、道路や駅など人混みでの距離感が気になる空間では、「時差式発光花火」(4月17日掲載の本コラム)にあやかって、遅めの会場退出や電車予約など時間差で「密」回避策をとっている。
同様の行動パターンをされる方は、結構多いように感じている。一方で、観覧席に持ち込んだテーブルいっぱいに、弁当や酒類を広げて、声を張り上げ宴会を楽しむ観客も少なくない。
花火の楽しみ方は人それぞれでよいのだが、アルコールが進めば、その後訪れるトイレ行列。打ち上げ中にもかかわらず、千鳥足で観客の面前を横切り、花火師の魂の1発を背中で鑑賞する。今年に限り、こうしたお作法はいったん封印をいただき、土浦の夜空を見上げて、珠玉の「全89作品」を見尽くしてみませんか。
もしかすると、苦虫をかみつぶしたようなお顔のお客さんが、お隣でにらんでいるかも知れませんよ。本日はこの辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
土浦花火大会復活へのシナリオ《見上げてごらん!》6
【コラム・小泉裕司】土浦の秋の風物詩、土浦全国花火競技大会(11月5日午後5時30分~8時)が戻ってくる。安藤真理子市長は5日の記者会見で、「今年の大会を開催する」と力強い声で発表し、大会は3年ぶりの開催に向け、ついにスタートラインに立つことができた。
11月5日まで2カ月。この時期の決定は、国内最高峰の内閣総理大臣賞を贈るにふさわしい安全な大会としての環境整備にめどが立ったということだろうし、参加業者にとっては、競技大会の「特別な作品」の製造に要する時間を考えると、リミットでもあったろう。
コロナ禍、相次いだ花火大会の中止で危機的な経営状況に陥り、事業の継続性や技術の継承の問題が顕在化していた煙火業界だが、18都道県から55業者が参加するとのことで、まずはほっとしている。今年1年の集大成となる土浦大会で、どんな感動と出会えるのか、期待に胸が膨らむ。
ところで、花火大会はお祭りだろうが競技大会だろうが、何よりも安全第一。観客にとっても、花火師にとっても、主催者にとっても安全でなければならない。花火関係者すべての合言葉であると同時に、今大会を開催に導くためのキーワードでもあった。
イベント報道では、今年前半から、決まり文句のように「3年ぶり」の見出しが急増しており、土浦の場合も同様だ。決して間違いではないのだが、どうも違和感がある。実は土浦大会だけが抱えている「安全」上の深刻な事情があるからだ。
2018年、2019年と、2年続いた花火事故による途中中止に加えて、コロナ禍による2年間の取り止めを加えると、競技大会としての成果は4年連続で残せていない。これは太平洋戦争中の5大会に次いで、史実に残る長期の空白となっている。先人が営々と築いてきた競技大会としての伝統を継承するべく、実行委員会には、安全な大会を再構築し、復活させるという、きわめて重い使命が課せられていたのである。
事故対策では、専門家をはじめ関係機関の協力・理解を得ながら安全対策に心血を注ぎ、再起のめどがついた頃、コロナ対策で出鼻をくじかれた。通常でも大会開催までの準備はほぼ1年を要する土浦市最大のイベントに、未経験の大きな課題が2つも加わっている。それでもこの高い壁を乗り越えなければ、土浦の花火の未来はないのだ。
<具体的な課題対策は、本サイトの記事「3年ぶり 11月5日開催決定 土浦全国花火競技大会」(9月5日掲載)をご覧ください>
ウィズコロナの花火鑑賞
さて今年、私が鑑賞した花火大会は、県内外合わせて2桁に到達したが、心がけているのはコロナ対策である。観覧席、道路や駅など人混みでの距離感が気になる空間では、「時差式発光花火」(4月17日掲載の本コラム)にあやかって、遅めの会場退出や電車予約など時間差で「密」回避策をとっている。
同様の行動パターンをされる方は、結構多いように感じている。一方で、観覧席に持ち込んだテーブルいっぱいに、弁当や酒類を広げて、声を張り上げ宴会を楽しむ観客も少なくない。
花火の楽しみ方は人それぞれでよいのだが、アルコールが進めば、その後訪れるトイレ行列。打ち上げ中にもかかわらず、千鳥足で観客の面前を横切り、花火師の魂の1発を背中で鑑賞する。今年に限り、こうしたお作法はいったん封印をいただき、土浦の夜空を見上げて、珠玉の「全89作品」を見尽くしてみませんか。
もしかすると、苦虫をかみつぶしたようなお顔のお客さんが、お隣でにらんでいるかも知れませんよ。本日はこの辺で「打ち止めー」。「ドン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)
3年ぶり 11月5日開催決定 土浦全国花火競技大会
コロナ対策と安全対策を徹底
第91回土浦全国花火競技大会(同大会実行委員会主催)について、実行委員長の安藤真理子市長は5日の定例記者会見で、11月5日に開催することを決定したと発表した。同大会は2018年と19年は事故により途中で打ち切り、20年と21年はコロナ禍で中止となった。コロナ対策と安全対策を徹底して、3年ぶりに開催する。
安藤市長は「国内最高峰の大会であることから、3年連続で花火師が作品を発表する機会を失うことは日本の伝統文化である花火の技術を継承していくことに大きな影響を及ぼす」などと開催決定の理由を述べ、「大会を復活させなければならない使命を感じている。最後まで絶対成功させるという思いでいる」と強調した。
無料観覧席なくし有料のいす席に
新型コロナ対策として、観覧者が密集するのを防ぐため、打ち上げ会場近くの同市佐野子、学園大橋付近の桜川畔に設置する有料観覧席エリアの入場者を、例年の約8万1000席から今年は約3万5000席と4割に減らす。6800升設置する桟敷席を1升当たり6席から4席に減らすほか、桜川土手の無料の観覧席をなくし、来場者の情報を把握できるよう、すべて有料のいす席とする。例年なら桟敷席で約4万1000人、無料観覧席で約4万人が観覧できるが、今年は桟敷席2万7000人、いす席8000席になる。
さらに、有料観覧席エリア内では飲食の販売を行わず、飲酒は自粛を求める。ただし観覧席に飲食を持ち込むことはできる。一方、例年、大会時は有料観覧席周辺にも路面にたくさんの露店や屋台が並ぶ。同エリア外での飲食販売は実行委員会の規制の対象外という。
有料観覧席に入場する際は、非接触検温計(サーマルカメラ)による検温と手指消毒を求め、発熱者などの入場を制限する。会場では飲食時以外のマスク着用を徹底し、声援を送ったり歓声を上げるなど大声を出さないよう周知する。
帰宅する際は土浦駅が大混雑することから、駅構内の混雑を減らすため、駅西口への入り口を市役所前の大屋根広場1カ所に制限し、時差式で駅に入ってもらう。土浦駅前には土浦警察署のDJポリスが初登場し、ユーモアを交えながら節度ある行動を呼び掛ける予定だという。
ほかに、土浦駅から打ち上げ会場までのシャトルバスは1台当たりの乗車人数を制限する方向で現在、運行事業者の関東鉄道と協議している。
重ね玉を取り止め
安全対策としては18年と19年の事故を教訓に、打ち上げ場所付近の立ち入りを規制する保安距離を、県規程の110メートルから大幅に広くし、200メートル確保する。さらに4号玉の打ち上げでは、一本の花火筒に2つ以上の花火玉を入れて打つ「重ね玉」を取り止め、一本の筒に一つの玉を入れる一筒一発方式とする。
地域経済に影響
安藤市長は開催決定の理由についてほかに、飲食店や宿泊施設、旅行・交通事業者などたくさんの地域経済活動に影響を及ぼすこと、土浦と並ぶ日本三大花火大会の新潟県長岡と秋田県大曲でいずれも今年、3年ぶりに大会が開催されたこと、国の行動制限が行われない見通しであることなどを挙げた。
開催決定にあたっては、安藤市長自ら8月27日の大曲の花火のコロナ対策などを視察し、8月31日、実行委員会役員会を開いて開催を決定したという。
同大会は1925(大正14)年、霞ケ浦海軍航空隊殉職者を慰霊し、関東大震災で疲弊した商店街の復興を願って開催したのが始まり。コロナ禍で中止となった20年、21年は大会に代わり、霞ケ浦でサプライズ花火の打ち上げ(2020年11月3日付)などが催された。
11月5日の第91回大会は、スターマイン、10号玉、創造花火の3部門で競技が行われ、総合優勝者には内閣総理大臣賞が贈られる。3年前は65万人が観覧したが、今年の参加者について市商工観光課は「今のところ判断が付かない」とする。
◆大会は11月5日(土)午後5時30分に競技開始。有料観覧席のチケット販売は9月中旬ごろ開始予定。料金は、桟敷席が4人で2万2000円、2人1万1000円。椅子席は打ち上げ場所からの距離によって3000円~4000円(金額はいずれも予定、消費税込み)。雨天の場合は同12日(土)または13日(日)に延期される。
四季ごとに打ち上げる 「土浦花火百年の計」商工会議所提言
土浦全国花火競技大会が4年連続中止となっている状況の中、土浦商工会議所(中川喜久治会頭)は25日、「花火のまち土浦の発展に向けて」と題した提言書をまとめ、安藤真理子市長に手渡した。年間を通して四季ごとに特徴のある花火打ち上げを検討する、土浦花火館を創設するーなどを提言し、長期ビジョン「土浦の花火百年の計」を策定するよう求めている。
会場は現行の桜川河川敷が適地
①恒久的・安定的に花火競技大会が運営できる会場の設定②年間を通じた花火のまちの創出③花火に関する拠点とネットワークの整備ーの3点を提言している。
会場については、現在の同市佐野子、桜川河川敷は、全国花火競技大会の中でも日本一臨場感がある、駅から会場まで交通アクセスが良いなどから、現在の会場が適地だとした。一方、近年は開催時期に大雨が相次ぐなどしていることから増水対策など改善を図るよう提言している。
一方、長期的な取り組みとして50年先を見据えて、大会会場を買収し市有地化する、会場を防災公園として整備し、花火大会開催時は、打ち上げ場所、観覧席、保安距離区域などの安全を確保することが考えられるとしている。さらに100年先を見据えて、霞ケ浦湖上、土浦港周辺、霞ケ浦総合公園など会場移転の研究を進め、霞ケ浦周辺自治体と連携した広域大会の可能性も研究するよう提言している。
年間を通じた花火のまちの創出については、春夏秋冬と四季ごとの打ち上げを提言し、例えば、春は桜川畔の夜桜と花火が競演する「桜花火」、夏は土浦新港で二尺玉の打ち上げが見られる「キララ花火」、秋は「土浦全国花火競技大会」、冬は水郷イルミネーションとコラボした「ウインターイルミネーション花火」の打ち上げを提言している。
さらにコロナで中止となった花火大会の代わりに20年と21年に市が打ち上げたサプライズ花火を「コロナ禍、密の回避と共に、沈滞した人々の心を元気づけた」と評価し、これを応用し、企業や個人が記念日や祝い事などにプライベート花火を打ち上げられる仕組みをつくる、花火競技大会のライブ配信を継続するなどを提言している。
常設の資料館創設で拠点化
拠点とネットワークの整備については、総合的な情報発信拠点として「土浦花火館」など常設の資料館を設置し、観光スポットになるような、プラネタリウムなどで実物大のバーチャル花火を体験できるコーナーを設けたり、花火に触れ合えるイベントを開いたり、小中学生が花火の歴史や花火の作り方を学んだりする施設の創設を提言している。
ほかに、花火競技大会の運営をサポートするボランティア団体「土浦花火倶楽部」の創設、市の玄関口となる土浦駅前の市役所庁舎壁面への花火プロジェクションマッピングの実施、花火関連事業者の市内誘致、花火に関する土産品、グルメ、家庭用花火などの商品開発支援、インターネットや雑誌などを活用した情報発信の強化などを提言している。
提言は同会議所創立75周年にあたり、25日市内で開かれた通常総会に合わせて発表された。来賓として総会に出席し、提言を受け取った安藤市長は「提言を重く受け止め、先人が築き上げてきた宝をもっと磨き上げて、チャレンジさせていただきたい」などと話した。具体的には、今後検討したいとしている。
毎年秋に開催される土浦全国花火競技大会は、秋田県の大曲、新潟県の長岡と共に「日本三大花火」と称され、県内のほか首都圏各地から例年70万人が訪れる。一方、2018年と19年の大会は事故によりけが人が出て途中で中止、20年と21年は新型コロナの影響で中止となっている。
こうした状況を踏まえ、商工会議所は昨年8月から企画委員会(大山直樹委員長)で検討を重ね、提言に至った。(鈴木宏子)
また中止された土浦の花火を考える 《吾妻カガミ》116
【コラム・坂本栄】11月第1土曜日に予定されていた土浦全国花火競技大会が中止になりました。コロナ禍の収束が読めない今、2カ月先の催事にGOは出せないとの判断です。昨年もコロナ禍を受けて中止。2年前と3年前は事故で途中取り止め。花火好きの私にとって、中止はもちろん事故も残念です。大音量スピーカーで来観者に挨拶できない土浦市長もさぞ残念でしょう。
桟敷で観るのが正しい作法
中止に至った経緯については「無念の中止決定 土浦の花火 第90回記念大会」(9月6日掲載)をご覧ください。土浦の花火は、地域住人の秋の娯楽であるとともに、全国の花火ファンに楽しんでもらう観光事業であり、煙火会社の意匠と技術を競うコンテストでもあります。競技花火は、伊勢神宮の花火(三重県伊勢市、8月上旬)、大曲の花火(秋田県大仙市、8月下旬)もありますが、土浦大会に参加する会社が最も多く、競技花火の締め役を担っています。
大相撲や歌舞伎と同じように、私は土浦の花火を家族や知人と桟敷席で観るようにしています。日本酒とウイスキーを持ち込み、重箱に詰めた肴(さかな)をつまみながら、大音をお腹に感じ、大声で讃(さん)を送る。これが正しい作法です。
湖面にも映る霞ケ浦打ち上げ
2回の事故と2回の中止を機に、土浦の花火について少し考えました。コロナ禍はいずれ収束しますから、大事なのは事故対応です。2年連続して、導火不良で破片が落下、それが地上で燃え、ケガ人も出ました。打ち上げ場所が桜川の土手周辺、観る場所もその近くですから、火薬の塊を数多く上げる花火の性格上、事故ゼロは容易でありません。といって、ヘルメットをかぶって観るというのも無粋です。
そこで、打ち上げ場所と鑑賞場所を少し引き離すため、打ち上げ場所を霞ケ浦に移し、湖岸に桟敷席を設け、そこから鑑賞できるようにしたらどうでしょう。事故防止のために花火と観客の「密」をなくすだけでなく、湖面に映る「逆さ花火」も観られます。
このアイデア、昨年の花火中止を埋め合わせる「サプライズ花火」(日時と場所を明示しない、観てほしいのかそうでないのかわからない、何かおかしなイベント)の形で試行されました。遊覧船がつながれている土浦港付近から約500メート沖に、タテ約10メートル、ヨコ約25メートルの船台を4つ連結して、打ち上げ場所を造ったそうです。時間は30分と正規の5分の1ぐらいでしたが、霞ケ浦まで徒歩10分の私の家からもよく見えました。
秋のほか春夏冬に縮小版を
湖上であれば、不燃片が鑑賞区域に落ちる可能性はほぼゼロですから、安全面では優れています。また、桟敷席を湖畔に設けることも可能です。さらに、霞ケ浦周辺のどこからも観られるメリットもあります。競技花火の審査員が桜川の土手から湖上の船上に移っても、採点に支障はないでしょう。
問題は、常磐線西側(市街地)から同東側(すぐ霞ケ浦)に移すとなると、大会にやって来る車の流れ、打ち上げ場所に向かう人の流れが変わり、交通整理を全面的に見直す必要があることです。そこで提案。秋の花火は事故対策を整えて従来通りとし、将来の場所移転の勉強と練習も兼ねて、縮小版大会を、春、夏、冬、湖上で催したらどうでしょう? 地元住民の楽しみを増やし、全シーズンで観光客を呼び込むために。(経済ジャーナリスト)
<後記> 執筆に際しては沼尻健・土浦市花火対策室長に情報を提供してもらいました。