木曜日, 5月 8, 2025
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県が地域けん引する中小企業を育成 13日、つくば国際会議場で6社がプレゼン

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いばらきブランド中核企業に選ばれた6社による初の経営戦略プレゼンテーションが開かれるつくば国際会議場

【山崎実】県内の各地域で中核企業を目指す中小企業の経営者が、自社の経営戦略や事業構想などについて発表する「経営戦略プレゼンテーション」が、13日午後1時からつくば市竹園、つくば国際会議場で開かれる。県が昨年度から進めている「いばらきブランド中核企業育成促進」事業の一環として初めて行われる。

地域経済をけん引する中小企業の育成を目的に、地域への貢献性や成長意欲の高い中小企業に対し、経営戦略の策定、実現、研究開発、販路拡大などの取り組みを支援する。公認会計士など専門家チームが、公募方式で支援企業を選定している。

選定基準となるのは、地域経済への貢献度と成長意欲の高さのほか、売上高が概ね5~20億円程度の企業。昨年度はエジソン(つくば市)▽ヒバラコーポレーション(東海村)▽ヨシダ(水戸市)―の3社が選ばれた。今年度は9社の応募があり最終的に、ポテトかいつか(かすみがうら市)▽相鐵(日立市)▽岡田鈑金(小美玉市)―の3社が選ばれた。支援企業には、経営戦略実現に向けた研究開発や販路開拓などに1000万円(上限)の補助が行われる。

経営者自ら戦略を披露、地域ぐるみで活性化へ

プレゼンテーションでは第1部で今年度、第2部で昨年度選ばれた企業計6社の代表者らが自社の取り組みを発表する。

今年度選ばれた「ポテトかいつか」は焼き芋に特化した販売戦略で注目を集めている地域の中核企業だ。焼き芋の原料として、オリジナルブランド芋「紅天使」を全国販売するほか、土浦、つくば市、千葉県流山市などで焼き芋専門店事業を展開。さらに通販事業にも取り組み、その取扱量は年間約1万6000㌧、県産品の約9.1%に上り、業界のリーディングカンパニーを目指すとしている。

「相鐵」は、県外などの製造メーカーから発注図面を丸ごと受注して、図面をばらし、自社や地域内企業などで仕事を分担するビジネスモデル(図面丸ごと受注)を開始。製造業のけん引役として成長が期待されている企業だ。「岡田鈑金」も精密鈑金を核としたDEM(生産受注企業)として、世界の製造業を支える企業に成長する事業を展開している。

プレゼンテーションの開催について県産業政策課は「地域の中核企業を目指す中小企業の経営者自らが、自社の事業構想や経営戦略を披露することで、他の企業の刺激になり、地域ぐるみの活性化につながれば」と期待している。

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高安が豪快に豆まき 土浦の宝積寺に500人

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「福は内」の掛け声で豪快に豆まきする(左から)荒鷲、高安、田子ノ浦親方=土浦市木田余の宝積寺

【谷島英里子】土浦市木田余の宝積寺(飯山孝之住職)で4日、恒例の節分会があり、地元出身の大相撲 大関高安=田子ノ浦部屋=、十両の荒鷲=峰崎部屋=と田子ノ浦親方が豪快に豆まきした。境内には福を求める参拝客や相撲ファン約500人が集まった。

高安らが拝殿に登場し「福は内」の掛け声で豆やお菓子を威勢よくまくと、集まった人たちは大きな歓声を上げ一斉に手を伸ばしていた。その後も写真撮影や握手の求めに応じ、笑顔を送っていた。

節分会は伝統文化を子どもや住民に体験してもらおうと、木田余地区長会、同地区子ども育成会、資源保全会が協力して毎年開催している。

介護施設から訪れたという檀家の女性(83)は「楽しみにしていた。福豆が取れたので良い年にしたい」と笑顔で語っていた。

土浦の雛まつり開幕 商店120軒にずらり 城下町彩る

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華やかに彩られた雛人形とつるし雛=土浦市中央1丁目のまちかど蔵「大徳」

立春の4日、「第15回土浦の雛(ひな)まつり」が土浦市中央1丁目の土浦まちかど蔵を中心に商店約120軒で始まった。明治時代から受け継がれている雛人形のほか創作雛、つるし雛が城下町を華やかに彩っている。

メーン会場となる土浦まちかど蔵では、商家に伝わる、江戸人形の名匠、仲秀英(なか・しゅうえい)作の明治時代の雛人形や、土浦名産のハスの花托(かたく)で作った「花蓮雛(かれんびな)」、十二支の創作雛、花やフクロウをモチーフにしたつるし雛がずらりと展示され、訪れた人たちの目を楽しませている。子どもから大人まで親しみがある「浦島太郎」や「花咲か爺さん」など昔話を題材とした作品も並び、見どころ満載だ。

明治時代の雛人形=同

来場者へのおもてなしとして、一部店舗でお茶やお菓子のサービス、和服来場者へのプレゼント、スタンプラリーもある。期間中には、おしるこやレンコン入りすいとんの無料配布のほか、打ち掛けを羽織った記念撮影なども予定されている。

同市観光協会主催。専務理事の大里雅司さんは「各店の歴史ある雛人形を楽しみながら、春の訪れを感じたり、3月の桃の節句をお祝いしてもらいたいですね」と来場を呼び掛けている。

十二支のひな人形。上段の顔が今年の干支の「亥」=同

土浦の雛まつりは3月3日まで。時間は午前10時~午後4時。各店入場無料。博物館、上高津貝塚は入館料必要(一般105円・小中高校生50円)。問い合わせは市観光協会(電話029・824・2810)。

「グリム童話賞」応募7年目で大賞 美浦の伊東葎花さん

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受賞の驚きと喜びを語る伊東葎花さん=土浦市内

【相澤冬樹】我が子への読み聞かせをアレンジしているうち、お話はいつかオリジナルになり、やがて文章につづられてネットデビュー、作品を積み重ねてついには公募のコンテストで「大賞」を射止めるまでになった。美浦村在住、土浦市内で事務のアルバイトをしている主婦、伊東葎花(いとうりつか=ペンネーム)さんは、「グリムの里いしばし」(栃木県下野市)主催の第19回グリム童話賞で大賞に選ばれ、2月9日の表彰式に臨む。

同賞は400字詰め原稿用紙10枚以内という小品が対象の公募コンテストで、童話作家の登竜門的な存在になっている。伊東さんの受賞作は「コハク日記」。亡くなった愛犬の代わりに少女に贈られたロボット犬の話。講評では「童話として温かさを感じるだけではなく、日本の伝統的な精神性も感じさせ、審査員の共感を集めた」という。

伊東さんは同賞にこれまで7年連続で応募してきたが、入賞歴すらなかった。毎年「月」や「山」などのテーマが設定され、戌(いぬ)年の昨年は「犬」がテーマだった。「犬は飼ったことがないから、リアリティーをもって描けない気がしてロボット犬を視点の中心に据えた。書き上げてみると手応えを感じた」そう。だから新年に入って、主催団体から通知が届いたとき、「やっと入賞できた」と確信して封を切ったのだが、中から「大賞に選ばれました」の紙片が出てきてあっけにとられたという。例年以上の450点もの応募があったと聞いた。

今、23歳になる一人娘の幼少時、枕元で読み聞かせをしたのが童話づくりの原点。自分なりにアレンジして作り替えているうちに「お母さんの話の方がおもしろい」と大喜びしてくれた。娘が小学校高学年になると、文章にするよう勧められ、創作をブログで発表するようになった。仕事のない日や家事の合間に時間を見つけては執筆するスタイルで、約10年間書き続けた。ブログは文章だけのショートストーリーだが、これまでに発表した作品は900本にも上る。

ブログにはファンがつき、コンテストへの応募や出版を勧めるものも少なくなかった。「公募ガイド」誌で小説家の阿刀田高が選者となっているコーナーに応募し、4回ほど最優秀賞をとるなどしており、日本児童文学者協会編「百物語5―奇妙のとびら」(文渓堂)にも作品が収められている。「皆さんの応援で少しずつ長編にも挑戦している」とさらなる意欲を見せている。

今回の受賞作は、2月10日から下野市グリムの里で開催の「第38回企画展」会場で展示され、入賞作品を掲載した「作品集」は電子書籍(pdfファイル)として販売される。今のところ紙媒体での出版計画はない。

▽グリムの里ホームページ:http://www.grimm-no.net/index_p.htm
▽ブログ「りんのショートストーリー」:https://rin-ohanasi.blog.so-net.ne.jp/

地図を頼りにキーワード探し 土浦・神立でトレジャーハンティング

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「神立トレジャーハンティング」の参加を呼び掛ける実行委員長の今井康宏さん

【谷島英里子】地図を手掛かりに商店や銀行、病院などの事業所を巡りキーワードを探す「神立トレジャーハンティング(宝探し)」が1日から土浦市神立地区周辺で開かれている。主催する神立商工振興会に加盟する105事業所(NEWSつくば含む)が参加している。

同トレジャーハンティングは各事業所を巡って、その場所や事業内容を知ってもらうほか、キーワードを掲示している商店などに立ち寄ってもらうことで地域の活性化につなげたいと始まった。同会が地図とキーワードを書き込む台紙を作成し、参加事業所で配布している。

参加者は地図を持ちながら、各事業所の入り口ドアに貼られたキーワードを台紙に記入する。キーワードを集めるとクイズが出来上がる。その答えの頭文字を並べると、ある言葉が完成する。ホームページ「神立手帖」で応募すると、正解者の中から抽選で5人に5000円相当の常陸牛すき焼き用肉など、豪華賞品が当たる。

各事業所に掲示のキーワード入りステッカー

実行委員長の今井康宏さん(44)=ミート今井社長=によると、これまでは、住民が気軽に参加できるよう飲食店メーンのスタンプラリーを開催してきた。しかし、飲食店以外の電気店や、不動産、建設会社、病院、銀行など、さまざまな業種も参加できる内容に変更した。昨年までのただスタンプを押すだけではなく、今回はどのようなキーワードが完成するのか、楽しくワクワクしながらゲーム感覚で楽しめる内容にしたそうだ。今井さんは「特に子どもたちに参加してもらい、地域のお店や会社に親しみを持っていただけたらうれしい」と話している。

開催は4月30日まで。問い合わせは今井さん(電話090-1733-8748)。
▽ホームページ「神立手帖」:https://kandatsu.org/

JA水郷つくば誕生 新組合長に土浦の池田正氏

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開所式で握手を交わす(前列左から)木村透副組合長、池田正組合長、糸賀一男副組合長=土浦市田中、JA水郷つくば本店

【鈴木宏子】JA土浦、竜ケ崎、茨城かすみの県南3JAが合併して1日、JA水郷つくば(本店・土浦市田中、元JA土浦本店)が誕生した。県内2番目の規模になる。同日開かれた理事会で、新組合長に元JA土浦組合長の池田正氏、副組合長に元JA竜ケ崎組合長の木村透氏と元JA茨城かすみ組合長の糸賀一男氏の2人がそれぞれ選出された。

組合員数約2万8100人、貯金残高約2395億円と、JA常陸(本店・常陸太田市)に次いで県内2番目の規模になる。販売品取扱高は年間約100億円。

1日、土浦市田中の本店で開所式が催され、池田組合長と、木村、糸賀両副組合長がテープカットし門出を祝った。

池田組合長は「スピード感ある事業をしっかり展開したい。2月1日はEUとのEPA(経済連携協定)が発効した日でもある。激動の時代にしっかり対応できるJAをつくっていきたい」と抱負を述べ、「管内人口は40万人。首都圏や地元の消費者に安全安心を届けるのにいい場所」と強みを強調した。さらに今後について「国内だけでなく海外にも進出できるよう独自の加工品をもってしっかり発信し、組合員と地域に貢献できるJAを目指したい」と述べた。

具体的には、地元のレンコンパウダーを使ったうどん「れんこんめん」と「レンコンバームクーヘン」をシンガポールやタイ・バンコクなど東南アジアに輸出する準備を本格的に進めるとした。さらに土浦市大岩田にバームクーヘンの加工工場やレストランを併設した直売所を新設する計画も明らかにした。

合併に向けては昨年3月1日、合併協議会を設置し、8月1日、大井川和彦知事らの立ち合いで3JAの組合長が合併の調印をした。しかし8月25日の臨時総代会でJA竜ケ崎が組合員の3分の2以上の賛成を得られずいったん合併を否決。その後9月24日に臨時総会を開き、合併議案を再審議して合併承認にこぎ着けた経緯がある。

農協の合併は、国が農協改革の一環で今年5月までに一定の自己改革の成果を求めていることなどを背景に、JA自らが組織や経営基盤の強化を図る目的で進めている。水郷つくばは県南の中核農協として今後、JAつくば市や他のJAにさらに合併を働き掛けていく方針だ。

【直売所めぐり】5 県外客も訪れる日本一のレンコン産地 JA土浦「さんふれ はすの里」

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JA土浦さんふれ「はすの里」店長の大森恵子さん

【田中めぐみ】JR常磐線土浦駅から車で北へ10分ほど、農産物直売所「サンフレッシュはすの里」を訪れた。優しい笑顔で迎えてくれた大森恵子さんは、6店舗あるJA土浦の直売所で唯一の女性店長。以前の勤め先で身に着けたPOP広告の技術を生かし、かわいいイラスト入りのPOPを描いては店内に並べている。商品についてお客さんから色々と質問されるため、野菜の研究には余念がなく、大森さんは「スタッフも同じ主婦なのでなんでも気軽に相談してもらえれば」と話す。レンコンは今が旬で、甘みが増している。春になるとハウス栽培の真っ白なレンコンが出まわるそう。こちらはさっぱり味と聞いて、違いを食べ比べしてみたくなった。

「はすの里」だけあって、店内にはレンコンを使った加工品が数多く並ぶ。レンコン味噌やレンコンめん、レンコンケーキなど。日曜日には「はすの実工房」(かすみがうら市)が作るお惣菜を買うことができる。レンコンのてんぷら、レンコンの丸煮、レンコン入りメンチ、レンコンの南蛮漬け…とにかくハス尽くしだ。丸煮と南蛮漬け、メンチを初めて食べた。丸煮は柔らかで食べでがあり、南蛮漬けも酸味がほどよく、メンチも歯ごたえが楽しい。どれも毎日食べたくなるようなほっとする味付けだ。

はすの実工房のお惣菜と白菜のベテラン酒井忠熙さん㊨

茨城はレンコンだけでなく白菜の生産量も全国1位。丸々と大きな白菜が店頭に並んでいく。酒井忠熙さんは1966年、国の指定野菜価格安定対策事業で白菜の作付けが本格的になった頃からの生産者で、経験豊か。「今の時期に収穫できるように調整して栽培している。秋からの天気が良かったので今年の出来はまずまず」と話す。

落花生を品出ししていたのは生産者の羽成誠さん。炒(い)る過程を業者に頼らず自分でやっているという。落花生は畑から抜いた株ごと逆さにして網にかけ、天日干しにするうちに味が良くなるそうだ。「味を第一に考えて作っている。落花生の出来に応じて炒り方も変える」というこだわりようだ。

入口わきの「訳あり品コーナー」にニンジンを並べていたのは、生産者の宮下里美さん。「曲がっていたり小さかったりするものを出しているんです」と話すが、規格外とはいえ品物は見るからに新鮮だ。宮下さんが「おすすめの野菜がある」と教えてくれたのは、井坂多加子さんのアイスプラントだ。緑の葉の表面が凍ったように見える。ミネラルが豊富で、生でサラダにするのがおいしいという。シーザーやゴマなどクリーミーなドレッシングと相性がよく、お年寄りにも人気だそうだ。

 

左上から右下へ 落花生生産者の羽成誠さん、ニンジンを品出しする宮下里美さん、アイスプラントや菜の花を品出しする井坂多加子さん、買い物をする常連客の石井丈二さん

開店時間の午前9時過ぎ、お客さんたちが入店し始め、「おはようございまーす」と挨拶の声が飛び交う。笑顔で会釈する石井丈二さんは神奈川県相模原市在住で、月に2回は必ず「はすの里」に買いに来る常連。土浦市で歌謡教室の講師をしており、仕事のついでに買い物に立ち寄るという。

石井さんは「はすの里」の野菜や加工品について「新鮮度が違う。車で来ているので神奈川まで持ち帰っています。レンコンはもちろん、サツマイモ、クリ、草餅などなんでもおいしい。生産者さんと顔見知りなので、作っている人が分かるのも安心」と話した。

サンフレッシュはすの里
住所▽土浦市木田余3140
電話▽029-846-7933
営業時間▽午前9時30~午後6時(11月~2月は午後5時30分まで)
定休日▽無休(ただしお盆・年末年始は休み)

最高裁国民審査投票用紙を誤廃棄 つくば市

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【鈴木宏子】衆院選と同日実施される最高裁判所裁判官国民審査の投票用紙について、つくば市は29日、10年間の保存が義務付けられているにもかかわらず、2009年8月と12年12月実施の国民審査投票用紙を、職員が誤って廃棄してしまったと発表した。

市選挙管理委員会事務局によると、廃棄されたのは09年8月実施分の約10万3000枚と、12年12月実施の約9万1000枚。国民審査と同日実施された衆院選の投票用紙などと一緒に保管されていたため、次の衆院選が実施された後、市清掃工場で焼却処分されたという。

報道機関から問い合わせがあり、投票用紙を保管している豊里庁舎を調べたところ、誤廃棄が分かった。

市は今後、衆院選の投票用紙とは別に保管し、さらに廃棄年月日を記入して、10年保存を徹底するとしている。

つくば発 五感で楽しむツアー紹介 2月2、3日ジオパーク関東大会

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関東大会でユニバーサルデザインツアーを案内する(左から)筑波山地域ジオパーク推進協議会市民活動部会の北村まさみさんと、産総研の住田達哉主任研究員=つくば市東、産総研地質標本館

【鈴木宏子】「日本ジオパークネットワーク関東大会」(筑波山地域ジオパーク推進協議会主催)が2月2、3日、つくば市などで開かれる。地層や岩石を見るだけでなく、触ったり、音を聞いたり、匂いを嗅いだりして五感で体感するユニバーサルデザイン(UD)ジオツアーが同大会で初めて紹介される。市民と研究者らが企画した、障害者も健常者もだれでも楽しめるつくば発のジオツアーだ。

関東地方のジオパーク関係者が一堂に集まり、活動を推進するための方法や手段を考える大会で、持ち回りで開かれている。つくばで開催されるのは初めて。東京都伊豆大島、群馬県下仁田、埼玉県秩父のジオパーク関係者など9団体約200人が参加する予定だ。

UDツアーは視覚障害者や聴覚障害者などが楽しめるよう工夫されている。産業技術総合研究所・地質標本館(同市東)と国立科学博物館・筑波実験植物園(同市天久保)を訪れ、筑波山の立体模型や「まさ」と呼ばれる風化しやすい花こう岩を触ったり、筑波山の植物の分布を手話で学ぶ体験をする。

同推進協議会市民活動部会会員で、市民団体「つくばバリアフリー学習会」代表の北村まさみさんや、地質標本館、実験植物園の研究者らが、取り組みを重ね、工夫した成果を積み上げてきた。

北村さんは「ジオツアーは障害者も健常者も一緒に楽しく学ぶのに適している」と話し、今後ジオパークで広まっていくことを期待する。地質標本館を案内する産総研地質情報研究部門の住田達哉主任研究員は「今回参加するのはツアーを主催する側の人たち。ちょっとした工夫で、体に障害のある人も、お年寄りも、いろいろな人たちが同じように理解する手立てがあることを知ってもらえれば」と語る。

大会はジオパーク関係者が対象。UDツアーのほか、筑波山方面を巡るツアー、霞ケ浦方面を巡るツアーの3つが開催される。2日間にわたって同市竹園のつくばカピオ、つくば国際会議場などで、基調講演、分科会、市内の中学生による学習発表も行われる。

一般市民は、2日午後3時からつくばカピオホールで催される開会式と基調講演のほか、同ホールで午前10時から午後2時まで開かれるジオカフェや各ジオパークのPR動画上映に参加できる。基調講演は日本ジオパーク委員会委員長の中田節也・防災科学技術研究所火山研究推進センター長による「関東地域のジオパークに期待すること」。入場無料、予約不要。

詳しくは筑波山地域ジオパーク推進協議会(事務局・つくば市ジオパーク室、電話029-883-1111)

オリジナルフレーム切手セット発売

関東大会開催を記念して、筑波山地域ジオパークの見どころを収めたオリジナルフレーム切手セット(82円切手10枚つづり)が2月1日から県内の全郵便局465局で販売される。1セット1500円、販売部数1000部。2日午前10時30分から16時30分に同カピオホールでも販売される。

筑波山地域ジオパークのオリジナルフレーム切手セットの一部

給食の干し芋が緑色に変色 児童7人が体調不良 つくば市立九重小

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一部緑色に変色した干し芋(つくば市教育局健康教育課提供)

【鈴木宏子】つくば市教育局は29日、市立九重小学校(同市上ノ室)で28日の給食で出された干し芋に、一部緑色に変色しているものが発見されたと発表した。直ちに児童全員に干し芋を食べるのを止めさせ回収したが、干し芋を食べてしまった児童7人が28日夕方から29日朝にかけて体調不良を訴え、そのうち1人に嘔吐(おうと)や下痢などの症状が出た。同市は緑色の成分を調査し、因果関係を調べている。

市健康教育課によると、個別包装されて提供された干し芋が一部緑色に変色しているのを児童が発見した。同校は学校の判断で校内放送し、直ちに食べるのを止めるよう呼び掛け回収した。一方、児童185人のうち89人が全部または一部を食べてしまったという。回収した未開封の干し芋の中にも緑色に変色したものが十数個確認された。

体調不良を訴えた児童7人のうち6人は翌29日に登校。嘔吐などの症状が出た1人は学校を欠席した。

干し芋は、地産地消を推進する「茨城をたべよう運動推進協議会」(事務局・県農林水産部)が取り組む県民運動「茨城をたべよう」の特別メニューで、県学校給食会が納入した。28日は市桜学校給食センターから小学校4校と中学校1校、幼稚園4園に計3002個提供された。賞味期限はすべて今年の5月6日だった。九重小以外からは体調不良の連絡はないという。

市は納入した県学校給食会に調査を依頼し、県つくば保健所などに報告した。市でも独自に変色部分の成分を調べている。

今回と同じ干し芋は29日に市内の小学校5校、中学校2校、幼稚園2園に出される予定だったが、市は提供を中止した。

引きこもりの若者を支援 経験生かしシェアハウス運営 筑波大出身の木本一颯さん

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シェアハウス「いろり亭-空-SORA」のリビングで入居者と談笑する木本一颯さん=つくば市高見原

【鈴木宏子】筑波大学を卒業した木本一颯(かずさ)さん(26)が、自身が立ち直った体験を生かし、つくば市高見原で、引きこもりの若者を支援するシェアハウス「いろり亭-空-SORA」を運営している。2月2日には入居者が職場体験できるボードゲームバーを新たに開店する予定だ。

5階建てビルの4階部分に居室とリビング、ゲストルームなどがあり、現在20~30代の男性6人と女性2人の計8人が共同生活している。木本さんは「居場所が見つけられない人、生きづらさを感じてどこに行けばいいか分からない人を受け入れたい。将来やりたいことが分からない人、どう生きていけば分からない人が、いったん羽を休め、焦燥感や孤独感を和らげてもらえばいい」と話し、「温かい場をつくって、その中で人と人が交流し、自己肯定感をつくることができれば」という。

就職して1年、鬱状態に

木本さんは千葉県出身。筑波大で哲学を学んだ後、東京・銀座のコンサルタント会社に就職したが、約1年後、鬱状態となった。仕事を休み、坂東市にある友人の実家で何をすることもなく2週間過ごしたことで気分が晴れ症状が改善した。当時「会社を辞めたら人生終わり」と考えていたが、思い込んで視野が狭くなっていただけということに気付いたと振り返る。

会社を辞め、自分のように苦しんでいる人の力になりたいと思い始めた頃、友人に誘われ2017年5月、自身が心を癒した坂東市の友人の実家の2階でシェアハウス「リバ邸茨城」の運営を始めた。1階に住む友人の祖父母と共同生活しながら運営したが、祖父母の体調が悪化し、昨年7月、つくば市に移転し「いろり亭」としてオープンした。

安心できる居場所に

現在、坂東市のシェアハウスから移ってきた若者4人を含め、引きこもりで親との関係が悪化し実家にいられなくなった若者、鬱症状の人、発達障害がある人などが共同生活している。出身は県内のほか、大阪、兵庫、熊本などさまざまで、木本さんのブログを見て連絡してきたり、知人からの紹介だったりする。

入居者は、リビングに集まってゲームをしたり、自分の部屋で思い思いに過ごす。アルバイトをしたり、在宅でITのアプリ開発に携わっている若者もいる。各自、自炊だが、月1回全員が集まって一緒に鍋をつつくという。

木本さんは「対人関係でうまくいかなかった経験がある人が多いので、いつでも『ただいま』『お帰り』と言える、安心できる場所をつくりたい」という。近くいろり亭を運営するNPO法人を設立し、将来はシェアハウスを増やしていきたい考えだ。

入居者の一人で、大学を中退した女性(24)は、いったん大阪の実家に戻り一人で悩んでいたが、シェアハウスの存在を知って入居した。現在、ビデオレンタル店でアルバイトをしながら生活している。「シェアハウスはゆったりできる。親と離れていてもまだ親を頼りにしているところがあるので自立したい」と目標を話す。シェアハウスに在宅しながらITの仕事をしている男性(33)は「共同生活なので人がいてとても楽しい」と語る。

お客さんの笑顔つくる職場体験の場に

2月から同じビルの2階にボードゲームバー「でれすけ」をオープンする準備をしている。オセロや囲碁、将棋、トランプなどのゲームを楽しむバーで、入居者が働く場所としたい考えだ。「来店客と一緒にゲームをすることもスタッフの仕事なので、外に出て、人と話すことを通して職場体験し、自分がお客さんの笑顔をつくれることを感じてもらえれば」という。

ボードゲームバー「でれすけ」のオープンに向け準備を進める木本さん㊨と共同経営者の富樫弘考さん=同

◆「いろり亭-空-SORA」は定員10人。家賃は光熱費込みで月3万円。

◆ボードゲームバー「でれすけ」は2月2日オープン。開店時間は午後1時から11時。火・水曜が定休日。

問い合わせはツイッター@43088、LINE=yuzu721643088、電話090-9808-7668、メールpoohsan7216@gmail.com

V2サンガイア 期待の新人選手が躍動も警視庁に1-3

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第2セットから出場し、すぐさま初得点を決めた新人の鈴木匡教㊨=26日、つくば市竹園のつくばカピオ

【池田充雄】バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA)は1月26、27日、つくばカピオ(つくば市竹園)でのホームゲーム2連戦を迎えた。26日の警視庁フォートファイターズ戦はセットカウント1-3で敗れたものの、新加入選手3人が初めてコートに立ち、それぞれに持ち味を発揮するなど、今後の活躍を期待させた。

警視庁戦の第1セット、つくばはいい立ち上がりを見せるが、中盤で徐々に調子を上げてきた警視庁につかまり、終盤突き放されてセットを失う。第2セットも中盤まではシーソーゲームを演じるが、大事なところでサーブやスパイクにミスが出て主導権を奪えない。またも終盤に突き放されてセットも失った。

「第1セット、第2セットとも後半で自分たちのミスが出て自滅してしまった。警視庁はレシーブなどの手堅いプレーが特徴で、派手さはないがコツコツといやらしい攻撃をしてくる。そこで根負けしないだけの準備ができていなかった」と都澤みどり監督は振り返る。

第3セット序盤は失点先行だが、奥村航の連続サーブポイントをきっかけに息を吹き返す。奥村はスパイクやブロックでも大車輪の奮闘で、ついにセットをものにする。「カギは奥村を生かせるかどうか。第1セットは打数が伸びなかったが、セッターを土井友登に替えてから調子が出てきた」と都澤監督。しかし第4セット、手堅い試合運びを取り戻した警視庁の前に、つくばは力尽きた。

奥村航の剛球サーブが第3セット奪取の原動力となった

あとは細かい踏ん張り
これで今季通算成績は4勝9敗。それでも監督に悲壮感はない。「前半戦はけが人が多かったが、正月休みをはさんでコンディションは回復した。今日から若手も合流し、それぞれにいい働きをしている。フレッシュな力を起用して後半戦を上げていきたい」

この日初めてコートに立ったのは、アウトサイドヒッターの内海聡太、鈴木匡教とレシーバーの関谷拓巳。リベロの野島透も前節の埼玉アザレア戦に続いての出場となった。内海は4得点、鈴木は5得点とすでに結果も出し始めている。「交代選手が活躍し、要所要所で自分たちらしさも出せた。あとは細かい踏ん張りが勝敗を分ける。特に後半の集中を忘れないようにしたい」と都澤監督は前を向く。

内海聡太㊧と関谷拓巳もこの日が初出場

なお、27日のきんでんトリニティーブリッツ戦は、セットカウント3-1でつくばが勝利し、ホームに錦を飾った。鈴木はこの日もアタックとサーブで11得点、内海も同じく4得点という活躍だった。

「いだてん」撮影 大正・昭和初期のセットを一般公開 ワープステーション江戸

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ワープステーション江戸「近現代エリア」一般公開のテープカットをする俳優の阿部サダヲさん(中央)、大井川和彦知事(右から4番目)、小田川浩つくばみらい市長(左から4番目)=26日、つくばみらい市南太田のワープステーション江戸

【崎山勝功】テレビや映画の野外ロケ施設「ワープステーション江戸」(つくばみらい市南太田)に設営された、大正・昭和初期の建物群セット「近現代エリア」が26日から一般公開された。今月6日から放送されているNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の4K=メモ=撮影に使われている。

「いだてん」には、東京高等師範学校(現・筑波大学)出身で、日本人で初めてオリンピックに出場したマラソン選手・金栗四三(かなくり・しそう)や、同校校長で柔道の父と呼ばれる嘉納治五郎(かのう・じごろう)が登場するなど、つくばとも縁が深い。

同セットは2017年10月に着工して翌18年4月に完成した。約1万平方㍍の区画内に大正・昭和初期の街並みが再現されている。石材やレンガなどで建てられた昭和初期のビル群9棟や木造建築の家屋など22棟のほか、実際に動く自走式の路面電車も再現。建物の雨どいのさびや木製電信柱の汚れ具合、くみ取り式トイレの臭突(しゅうとつ)やドブ板など細部にまでこだわっている。同施設を管理運営するNHKエンタープライズ(東京都渋谷区)の担当者は「8K=メモ=撮影も視野にリアルに作り込んだ」と説明した。

セットが完成した当初は大河ドラマの撮影を優先させたが、早期の一般公開を目指して改めてセットの整備を進め公開となったという。

木製電柱や街灯などが立ち並ぶ大正・昭和初期の街並みのセット=同
大正・昭和初期の長屋のセット=同
大正・昭和初期の映画館や寄席などが集まった街並みのセット=同

長屋を見学したつくば市の女性(79)は「懐かしい。長屋は身近にあった」と、かつての風景を思い出しているようだった。つくばみらい市の男性(66)は「何か懐かしく、子どもの頃に見たような感じ。50年前は都内にも(こういう建物が)ところどころあった」と振り返った。同市の女性(42)は「テレビを見るのがもっと楽しくなる。ロケ地がここだったんだなと思うと楽しみ」と話した。

路面電車の前で記念撮影をする来場者=同

阿部サダヲさんと田畑政治の息子が対面

同日のオープニングセレモニーでは、「いだてん」で1964年の東京オリンピック招致に尽力した田畑政治(たばた・まさじ)役を演じている、俳優の阿部サダヲさんが登場し、政治について「僕が聞くところによると、とにかくせっかちで、車で道路が渋滞するのを我慢できずに、前の車を押した」との逸話を紹介した。すると、政治の息子で、元NHK政治部記者の和宏さんが登場し「(逸話は)8割方当たっている。考えるより前に行くのが得意な人」と語った。

和宏さんは父親について「戦争中から戦後にかけて新聞記者をやっていた。当時日本がアジアの人たちを(戦争で)多く殺してしまったことに対する罪の意識があり、世界中からのけ者になった日本を何とか元に戻さないといけない。そういう情熱だけは強い男だった。そのためにスポーツを、オリンピックを、ということで出た人」と、オリンピック誘致に情熱を注いだ背景を明かした。

実の息子から父・政治の逸話を聞いた阿部さんは「今後の役作りに活かしていきたい」と語った。

自身の等身大パネルにサインを書く俳優の阿部サダヲさん=同

◆ワープステーション江戸の公開時間は午前9時~午後4時。月曜日定休。入場料は大人500円、中学生以下300円。同施設でロケがある時は入場や場内通行の一部を制限する場合がある。ロケ情報は公開していない。問い合わせは同施設(電話0297・47・6000)。

※メモ

【4K・8K】現在放送されているハイビジョン放送より高画質の「スーパーハイビジョン」の呼称。4Kはハイビジョンの4倍、8Kはハイビジョンの16倍の画素を使って超高精細映像を映し出す。18年12月1日からNHK衛星放送で4K用と8K用のチャンネルが開設され、本格的な放送が始まった。

土浦のドラゴン、高橋竜也が判定勝ち ボクシング

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【高橋竜也―相川学己】第4R、相川学己の顔面に右ストレートを打ち込む高橋竜也(右)=東京都文京区の後楽園ホール

【崎山勝功】WBOアジアパシフィックバンタム級9位・日本バンタム級10位の土浦のドラゴンこと、高橋竜也(29)=土浦市、ヤマグチ土浦所属=が25日夜、後楽園ホール(東京都文京区)で開かれた「東日本大震災チャリティー・ダイナミックヤングファイトボクシング」(主催・ヤマニ、ヤマグチ土浦ボクシングジム)に出場し、日本S.バンタム級12位の相川学己(25)=東京都、三迫=と対戦。高橋が2―1で相川に判定勝ちを収めた。高橋の通算成績は今回の勝利を含め43戦30勝21KO 8敗5分。

序盤は高橋ペースで試合を展開したものの、中盤辺りから高橋のフットワークが鈍り出し「相手のパンチが見えているけどパンチをもらってしまう」(高橋)状態に陥った。

高橋は第5ラウンド(R)での相川からの攻撃で左目の上を切る軽傷を負ったが、場内からの「タツヤ」コールに応えるかのように粘り強く持ちこたえ、全8Rを戦い抜き、判定となった。結果は3人の審判のうち2人が高橋優位と判定し、2―1で判定勝ちが決まった。

判定勝ちを収めた高橋竜也(中央)=同

試合中に失速した原因について高橋は「減量がうまくいっていなかった」と振り返った。その上で「調整の仕方を変える。今までのやり方じゃダメ」と次戦への改善点を挙げた。

会場には高橋の地元・土浦をはじめ県内からのファンが応援に駆け付け、激戦での勝利を収めた高橋を激励した。高橋は「地元の人にはストレスの残る試合にさせてしまった。また応援してもらえるよう頑張ります」と、ファンの期待に応える決意を見せた。

高橋は、4月15日に後楽園ホール(東京都)で行われる試合に出場が決まっている。

つくばの根本裕也はTKO負け

【根本裕也―鈴木基伸】第2Rで左目上を負傷しながらも試合を続ける根本裕也=同

同日の試合には、根本裕也(32)=つくば市、ヤマグチ土浦=も69㌔契約で出場し、鈴木喜伸(34)=滋賀県、角海老宝石=と対戦。善戦したものの3Rでドクターストップが掛かりテクニカルノックアウト(TKO)負けを喫した。根本の通算成績は14戦5勝1KO 8敗1分。

根本は、第1Rでは優位に試合を展開していたものの、第2Rで左眼上を切るけがを負い失速。2R残り時間28秒ごろに一時ダウンした。立ち上がって試合を続行して2Rを終えたものの、第3R開始直後にレフェリーからドクターストップを宣告され、3R3秒でTKO負けとなった。

根本は「このままのペースでいければ中盤以降にチャンスがくるかなと思った。(2Rで)左目上をカットしたとき、調子が狂った」と試合を振り返った。次戦について根本は「ちょっと休んでから次の試合のことを考えたい」と述べるにとどめた。

【ウェルネスパーク問題】再公募 応募資格を地元に限定 募集期間わずか10日

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つくばウェルネスパーク入り口=つくば市山木

【鈴木宏子】つくば市のスポーツ施設「つくばウェルネスパーク」(同市山木)を4月から管理・運営する市長提案の指定管理者が市議会で否決され、五十嵐立青市長が、改めて事業者を公募し選定をやり直すと表明した問題=1月15日付け=で、同市は24日、新たな事業者の応募資格を地元のみに限定し、23日から2月1日までの10日間、募集を実施すると発表した。募集資格は議会の意向に沿った形に変更となった。

議会で否決された前回の応募資格は「市内に拠点となる事務所を置く」事業者とされ、都内に本店があってもつくば市内に支店などがあれば応募可能だった。今回は「市内に本店を置き継続して2年以上経過している」事業者に変更した。

12月議会で否決された事業者は、都内に本店があるシンコースポーツ。ほかにつくば市内に本店があるグループ企業2者の計3者が応募していた。公募委員を含む同選定検討会議(座長・毛塚幹人副市長)が審査した結果、最も評価点が高かったシンコースポーツが議会に提案された。しかし新たな募集要項では市外事業者は応募自体ができなくなる。

さらに前回の募集期間は、募集要項配布から質問受け付け、現地説明会、申請書類受け付けまで40日間あったが、今回は23日から2月1日までのわずか10日間となる。

募集期間が短いことについて市スポーツ振興課は「(現在の指定管理者の期間が3月末までなので)4月に間に合わせるため」とし、「(前回)7月に公募し(応募があった)3者以外も現地見学会に来ている。今回は応募資格要件以外ほとんど(内容は)変わらないので、(応募事業者は)10日間で十分吟味できる」としている。

応募を2月1日まで受け付けた後は、2月上旬に第1次審査(書類審査)と第2次審査(プレゼンテーション)を実施する。中旬には候補者を決定し、2月下旬に議会に提案する方針で、4月1日からの指定管理期間の切り替えに間に合うとしている。

同施設は温水プール、温浴施設、サッカースタジアムなどがある約9㌶のスポーツ施設。2010年にオープンして以来これまで3年ごとに指定管理者の選定を行い、現在まで9年間、T.P.Hウェルネス推進グループ(代表・塚越産業、つくば市篠崎)が指定されている。指定期間は今年3月末で満了となり、4月から新たに5年間の指定期間となる。

「宝篋山(小田山)」 念願の地図表記が実現

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宝篋山(小田山)

【鈴木宏子】国土地理院の地図に山の名前の表記が無かった筑波山南側の宝篋山(ほうきょうさん)が24日、「宝篋山(小田山=おだやま=)」として、同地理院の電子地図(電子国土Web)に表記された。署名運動などが実を結んだ。

同山はつくば市小田と土浦市東城寺の境界に位置する標高460㍍の里山。年間約10万人が訪れ、筑波山地域ジオパークの自然や歴史・文化を紹介するジオサイトの一つにも指定されている。

登山愛好者などから国土地理院地図への表記を要望する意見が寄せられたことをきっかけに昨年2月、筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が山の名前を地図に表記する署名運動を始めた=2018年2月13日=。昨年8月まで宝篋山周辺やイベント会場などのほか同推進協ホームページなどで署名活動を実施し計1217人の署名が集まった。

一方、スタート時は「宝篋山」という表記を申請する予定だったが、署名活動の最中、地元自治会などから「宝篋山よりも小田山という呼び方の方が聞き慣れている」などの声が数多く寄せられた。

昨年9月、同推進協は臨時総会を開き、急きょ「宝篋山(小田山)」という表記を申請することで合意し、昨年12月、同山を管理するつくば、土浦両市長が国土地理院長に申請した。

地図の印刷物については刊行次第、順次、記載される予定という。

【人が想い 街を育てる】1 つくばワイン育てる土壌つくりたい 地酒専門店スドウ酒店 須藤利明社長

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つくばワインについて語る須藤利明社長=つくば市谷田部、地酒専門店スドウ酒店

【戸田さつき】つくば市内で栽培されたブドウを使った2018年産の「つくばワイン」が今月18日、市内の地酒専門店スドウ酒店など3店で発売された。同市栗原にあるブドウ畑「つくばヴィンヤード」(高橋学代表)の「プティ・マンサン」「Kurihara(クリハラ、赤)」「Kurihara(白)」の3種だ。

高橋代表は14年からワイン作りを目指してブドウ栽培を開始している。現在は県内の醸造所に依頼してワイン造りをしているが、17年、同市がつくばワイン・フルーツ酒特区に認定されたことを受け、ワイナリー(醸造所)開設を目指している。

こうしたつくばでつくられたワインを「つくばワイン」として普及させたいと、市内の地酒専門店スドウ酒店の須藤利明社長が、販売流通システムの構築と認知度向上に取り組んでいる。須藤社長に話を聞いた。

-つくばワインにおける社長の役割は何ですか?

現在、高橋代表のヴィンヤード(ワイン用のブドウ畑)は免許の都合上、自分たちで販売することができません。そこで当店で酒類の卸免許を取得し、代理で卸を行えるようにしました。他に広告やパンフレットを作成し、認知度向上の取り組みをしています。

-つくばワインにはどんな特徴がありますか?

ワインは土地の気候や土壌を表現できます。高橋代表は産業技術総合研究所出身の研究者でつくばの土壌を研究してきました。その結果、国内でも栽培例の少ない品種「プティマンサン」の栽培を成功させました。いかにも「つくばらしい」と思います。今回発売されたワインは、さわやかな酸味と甘みのバランスがよく仕上がっています。高橋代表は一般的なテーブルワインをテーマにしていることもあり、手に取りやすい価格帯なのも喜ばれています。

また商業的に見ると、ワインはイベントに取り入れやすいのが特徴です。今、私の店では市内の日本酒の蔵を巡る酒蔵巡りツアーを開催していますが大変好評です。ヴィンヤードが今後ワイナリーになって、ワイン畑の見学ツアーやバーベキュー等の企画をすれば観光資源になるのではないかと考えています。特につくばは都心からのアクセスも良いので、魅力あるPRチャンスにもなるはず。

-他にどのような観光ができますか?

お酒は宿泊施設との企画もしやすく滞在時間が伸びることで経済効果への波及も期待できます。

-酒販売店の目から見てつくばワインの評判は?

とても好調。というのも、つくば市は商圏が広くこだわりがある商品を求める層が厚い。つくばヴィンヤードは昨年からワインの販売が始まり、今年で2年目。問い合わせも多いです。

-今後の展開は?

当店だけでなく、今後はつくば市内で手に取りやすいようにしたいと思います。昨年秋は、つくば市商工会観光部会の皆さんをヴィンヤードへ案内しました。すでに取引したいと言ってくれているお店もあるんですよ。

高橋学代表(左)から土壌について説明を受けるつくば市商工会観光部会のメンバー=昨年、つくば市栗原、つくばヴィンヤード

-一方で隣の牛久市では牛久シャトーの醸造所とレストランが閉鎖してしまいました。

日本最古のワイナリーが閉鎖と聞いて残念です。ワインを市民が手にし、飲みやすい仕組みを作る必要性を強く感じました。

-つくばワインは須藤社長にとって何ですか?

ズバリ夢ですね。つくばでワインを作って、ビジネスとして成り立つよう酒屋として売りやすい体制を整えてあげたい。そういうことがワイナリーを目指す人が増えていく基盤になっていくはず。そして、ワイナリーが増え、ワインを求めにつくばを訪れる人が増え、市民が誇れるような名物になるまで育てていきたいと思っています。

◆つくばヴィンヤードの18年産の販売量は「プティ・マンサン」422本、「Kurihara(赤)」975本、「Kurihara(白)」163本。3種いずれも720mlで1900円(税別)。市内には筑波山麓の同市沼田に「ビーズニーズヴィンヤーズ」(今村ことよ代表)もあり、18年産が近日中に入荷する予定。

◆現在の取り扱い店

地酒専門店 スドウ酒店
つくば市谷田部2985-2 電話029-836-0079

地酒本舗美酒堂 研究学園店
つくば市研究学園4-2-9 電話029-875-8479

地酒本舗美酒堂 イーアスつくば店
つくば市研究学園5-19 イーアスつくば 1階 電話029-893-2479

障がい者らボランティアでごみ拾い TX万博記念公園駅周辺

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ごみを拾うさくら学園の通所者ら=21日午前、つくば市島名、万博記念公園駅周辺

【鈴木宏子】つくばエクスプレス(TX)万博記念公園駅近くの障害者自立支援施設「さくら学園」(つくば市島名、鈴木富夫施設長)に通う障がい者26人が毎月1回、ボランティアで同駅周辺のごみ拾いをしている。

21日は、2班に分かれて同駅東側と西側周辺約1.5㌔をそれぞれ歩き、歩道や植栽などに捨てられたごみを拾った。約40分間で、吸い殻、ビニール袋、ティッシュペーパー、空き缶、ペットボトルなどが計6袋分集まった。

同学園に通う車いすのつくば市、鶴岡申也さん(22)は「先月と比べて今月はごみの量が多かった」と話し、同市の女性(20)は「ごみ拾いをすることで、捨てる人が少しでも少なくなればいいと思う」と語った。

同学園では週3回、駅周辺でウオーキングをしている。途中、ごみが落ちているのをよく見掛けたことから、昨年12月から月1回ごみ拾いをすることになった。実際に拾ってみると、量の多さに驚いたという。

鈴木施設長は「(通所者が)地元に貢献する姿を見せて、地域の人に声を掛けてもらえるようになれば」と話している。

同学園はNPO法人「明豊会」(飯島喜代志代表)が運営する障害者就労移行支援施設で、つくば市のほか、牛久、守谷市などから、18歳から50代の知的障がい者や身体障がい者が週5日、通所している。日頃は精密機械部品の組み立てや、マンション・アパートの清掃作業などに挑戦し就労の訓練をしている。

同駅東側と西側をそれぞれ約40分間歩いて回収したごみ=同、さくら学園前

【シルバー団地の挑戦】11 小学校に地域交流室ができた!(下) 住民の奉仕活動が結実

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茎崎第三小学校の職員玄関に飾られている南極の石(最長26㌢、重さ約3㌔)を持つ倉本茂樹さん=つくば市小茎の同小

【橋立多美】2013年4月、小池義寿校長が、つくば市立茎崎第三小学校に着任して間もなく、児童数の減少で活気を失い草木が生い茂っていたことにぼうぜんとした。30年前、39学級が各々の級の花壇を持っていたころの環境を取り戻したいと、小池校長の奮闘が始まった。

市教委に環境整備を申し出たが「順番があるので時間がかかる」と言われた。殺風景で季節感のない学校環境では児童に情緒は育たない。「これは俺の仕事」と草刈り鎌と耕運機で中庭の整地に取りかかった。

すると保護者の中にかつての教え子たちがいて「先生がやるなら俺たちも」と声を挙げ、孤軍奮闘を見た地域住民の助っ人も現れた。校舎裏手にはヤブカラシが繁茂した中に古い備品が放置されていた。助っ人たちが不要品を片付け、根気強く整地して駐車場に生まれ変わるなど、彼らの力で中庭を含めて学校はきれいになった。

同校の玄関に飾られていた「南極の石」が取り持つ縁もあった。地域に目を配ると、倉本茂樹さん(76)が12年に森の里自治会長に就き、団地横を流れる東谷田川の堤防に草花を植栽する「堤防美化プロジェクト」と、地域ぐるみの自警団「かわせみパトロール隊」を組織。同隊は同小に通学する児童の見守り活動を行っていることを知った。

「すぐに倉本会長は南極の石を寄贈した人だと分かって親近感を覚え、裏付けもないのにこの人となら協働できると思った」と小池校長は振り返る。学校周辺がきれいになり、次は花壇と思っていた小池校長は倉本さんと連絡を取り、自治会による学校の花壇づくりが始まった。

花壇への植栽に向けた苗の植え替え作業=同

3年後、小池校長と入れ替わりに黒澤美智子校長が着任すると、今度は、毎年文化の日に開催される「三小まつり」への協力依頼が自治会に舞い込んだ。地域住民の知識と経験を児童に伝えてほしいというもの。昨年は輪投げや紙飛行機といった昔遊びの伝承や、プラネタリウムの解説、将棋指導など9種目を住民が受け持って児童たちと世代間交流を楽しんだ。

「三小まつり」では地域住民が児童たちと将棋を指して指導した=同

個別に同小を支援する団地住民もいる。長谷川郁夫さん(73)は職員室に困っている箇所がないかと尋ねて修理から片付けまでをこなす。「日曜大工の簡単な作業だけど、時間の許す限り続けていきたい」と話してくれた。

愛着色あせず

開校時のにぎわいはないが、我が子が巣立った学校への愛着は色あせず、住民らは今も、未来を担う子どもたちの成長を支えようと、学校と連携して登下校の見守りや花壇づくり、学校行事支援などの活動を続けている。こうした地域住民の奉仕活動が結実したのが同小の地域交流室だ。

自治会長の倉本さんは「住民たちの活動が実を結び、鮏川校長の英断で地域交流室ができた。茎崎地区のサークル活動の拠点は茎崎交流センターだが登録団体が多く、2カ月毎の予約日には2時間前からセンター入り口に行列ができる。それだけに地域交流室の開設は有り難い」。また「自治会発行の森の里だよりで周知するなど、地域として全面的に交流室の運営に協力していく」と語った。

地域交流室は小学校の開校時間(平日の午前9時~午後4時)に開放され、現在は琴のほかダンス、詩吟、カラークラフトの4団体が利用している。

【シルバー団地の挑戦】10 小学校に地域交流室ができた!(上) かつての活気取り戻したい

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空き教室に開設された地域交流室で行われている琴伝流大正琴の練習。左は講師の福本敬子さん=つくば市小茎の茎崎第三小学校

【橋立多美】つくば市立茎崎第三小学校(同市小茎)は、高齢化が課題のつくば市南部、森の里団地(1300世帯)に隣接する。昨年9月、同小の空き教室を活用して地域交流室が開設された。

冬休みが間近になった昨年12月13日、同交流室から早春譜を奏でる琴の音が聞こえた。同校は中庭を囲むように3階建ての校舎が建ち、1階にある同交流室には暖かな日が差し込む。

同交流室は隣接する森の里団地の住民に開放され、サークル活動に使われている。この日の琴は「琴伝流大正琴」の講師福本敬子さん(75)が開いた。福本さんは「静かで落ち着いてお稽古ができる」と話す。そして「音が授業の妨げになるのでは、と思ったが、学校は『児童たちに地域の人々の活動が聞こえるのはいいこと。窓を開けて練習してもいいですよ』と言ってくれた」。会員の海野和子さん(69)は「三小は我が子の母校。卒業して縁がなくなった学校に来ることができるのは懐かしさもあってうれしいし、子どもに今度はお母さんが通学すると話している」と交流室の開設を喜ぶ。

開設は、昨春同校に着任した鮏川誠校長が決断した。校長は「これまで県内の多くの小中学校に赴任してきたが、登下校の見守りや花壇の手入れ、学校行事などを快く引き受けてくれる地域住民の姿勢と学校への関心の高さに驚いた。「住民との良好な関係は教師にとって財産で、地域に開かれた学校にしようと地域交流室を思い立った」と話す。

地域交流室を開設した鮏川校長。壁の文字はペットボトルのキャップを使って教員と児童が作った=同

取材を進めると、地域交流室の開設に先鞭(せんべん)をつけた人がいたことが分かった。鮏川校長の2代前の小池義寿校長(現・守谷市立黒内小校長)だ。

30年後の荒れた中庭にがく然

茎三小は、森の里団地の入居が始まった1979年の翌年春、開校した。学齢期の児童数が膨れ上がり、当時、児童数1500人を超える県内屈指のマンモス校となった。現在は当時の6分の1以下の227人だ。

約30年前、教員生活をスタートさせた小池校長が初めて赴任したのが開校したばかりの同小だった。当時25歳。マンモス校で教員数は約40人。同世代の教員と教育について議論を交わす熱血漢で、議論が深夜に及ぶと今では考えられないが畳の敷かれた玄関脇の用務員室で雑魚寝をすることもあった。

ある夜、校舎の玄関に置かれた「南極の石」に目が留まった。当時、海上保安庁に勤務していた保護者の倉本茂樹さん(76)=現在森の里自治会長=が、第22次南極観測隊員として南極に赴いた折りに持ち帰った石を寄贈したものだった。「地域には素晴らしい人がいるな」と思ったという。

歳月は流れ、30年経った2013年4月、校長として同小に再び着任した。同小の中庭に立ったとき、その目に飛び込んできたのは、生い茂った草木と、今にも倒れそうに壊れた時計台と百葉箱だった。新米教師だった自分を育ててくれたふるさとに、校長になって戻って来たという高揚感は消え、うれしさは打ち砕かれた。寂しさが込み上げた。

「茎三小はふるさと」という小池義寿校長=守谷市百合ヶ丘の黒内小学校

=続く