月曜日, 12月 29, 2025
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【新型コロナ】土浦で臨時休校始まる 高校入試も緊張高め

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友達と間隔を空けてすわり、自主学習をする1年生=土浦市立真鍋小学校

新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を防ぐため、土浦市の公立小中学校で4日、臨時休校が始まった。同日、県立高校入試が予定通り行われ、マスク着用の受験生が試験に臨んだ。

登校は8%、真鍋小

【鈴木宏子】市立真鍋小学校(土浦市真鍋、小林知永校長、児童数838人)では1~4年生69人が登校し自主学習をした。

初日に登校したのは全校児童の約8%。保護者が共働きなどで日ごろ放課後児童クラブを利用している175人のうち4割で、5、6年生の登校は無かった。

自主登校する児童は、朝、体温を測定し熱がないことを確認する、保護者が送迎する、弁当を持参するなどが必要になる。同校では「(児童クラブ利用者のうち登校しなかった児童は)子どもの面倒を見てくれる祖父母や親戚などが見つかったのかもしれない」と話す。

登校した子供たちは全員がマスクをして、学年ごとに十数人が特別教室などに集まり、友達と間隔を空けて席にすわり、持ってきた漢字ドリルや計算ドリルなどを広げて自主学習した。

子供たちが飽きないようにと、クラスごとにローテーションを組み、図書館を利用したり、校庭で遊んだりする時間も設けられた。

休み時間の10分間は窓を開けて教室を換気、図書館に行ったり、校庭で遊んで教室に戻ってきたときは必ず手洗いをするなどの対策も徹底された。品薄のため店頭でマスクが購入できなかった児童にはマスクが用意された。

小林校長は「休校の間、子供たちには健康に十分に気を付けて、卒業式や修了式で元気な姿を見せてもらえたら」と話していた。

9日からは放課後児童クラブを利用してない希望者も受け入れるため、自主登校する児童は増えるとみられる。

受験生全員が着席して試験前の注意を聞く=土浦一高体育館

マスクし約450人が受験

【相澤冬樹】県立高校入試の4日、土浦一高(土浦市真鍋、植木邦夫校長)では全日制、定時制合わせ約450人が受験した。

試験に先立ち受験生全員が体育館に集められ、注意事項の説明を受けた。マスクを持参できなかった受験生も少数いたが、改めて支給され全員が着用して話を聞いた。携帯電話の持ち込みなどをチェックする手続きだが、例年と異なり椅子席が用意され着席で行った。受験生同士が近づき過ぎるのを避けるための配慮という。

同高は21年度から中高一貫校になるため、これだけの人数を集める最後の受験機会となった。

グランプリは審査員長絶賛のコメディー作品 つくばショートムービーコンペ

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グランプリ作品「ストレスフルスイング」の1シーン

【池田充雄】つくばからの文化発信と次世代の才能発掘を目指す短編映画祭「つくばショートムービーコンペティション2020」(つくば市、筑波学院大など主催)の審査結果が3日に発表された。応募総数165作品の中から「ストレスフルスイング」(監督/制作・山村もみ夫。)がグランプリに輝き、賞金10万円を獲得した。

グランプリ作の「ストレスフルスイング」は、ストレス解消のためバッティングセンターに来た男のストレスがどんどんたまっていく話。山村監督は「キャスト、スタッフ全員の力で取った賞だと思います。今後も見てくれた方の娯楽になれるような作品を作っていけたらと思います」とコメントした。同作品はつくば市の姉妹都市であるフランス・グルノーブルで開催の「第43回グルノーブル屋外短編映画祭」に出品され、渡航費が補助される。

つくば市長特別賞作品「おもいでの町」の1シーン

つくば市長特別賞を受賞したのは「おもいでの町」(監督・日原進太郎、制作・おだのこ)。旧小田小学校で開かれたワークショップ「こども映像教室~小田のまちを撮ってみよう!」から生まれた。同作品は市施設の大型ビジョンで定期上映される。当初は賞金5万円が予定されていたが、制作者の4人が小学生のため映画鑑賞券に変更された。副賞はつくば市名産品。

筑波学院大学長賞は「適度なふたり」(監督/制作・柴田有麿)。遠距離で暮らしていた新婚夫婦の初めての共同生活を通じて、夫婦になるとはどういうことかを描いた。アニメーション作品が対象のウィットスタジオアニメーション賞は「PIANOMAN」(監督・児玉徹郎、制作・ECHOES)。ショートショート部門賞は「惣菜」(監督/制作・野村穂貴)。高校生対象のワコムスチューデント賞は「蝉の声、風のてざわり」(監督/制作・﨑村宙央)。

佳作は、▽「Share the Warmth」(監督・村田朋泰)▽「LIFE」(監督・設楽馴)▽「Stability Place」(監督・福井優太)▽「裸の男」(監督・井上喜介)▽「つくばランタンアート」(監督・長浜貴男)の5作品(制作者名は省略)。市民審査員賞は今回、上映会の中止により該当なしとなった。

同コンペは10分以内の短編映像作品が対象で、映像ジャンルは自由。つくば市で撮影したカットを含む「つくば部門」、自由なテーマでオリジナリティある作品を作る「自由部門」、3分以内の作品を対象とする「ショートショート部門」からなる。一次審査を経て、2月29日に上映会と表彰式を含む最終審査会を開く予定だったが、新型コロナウイルス感染症予防対策のため中止され、審査会のみ非公開で実施された。

審査員は映画「奇跡のリンゴ」「殿、利息でござる!」などで知られるつくば市小田出身の中村義洋監督、アニメ「進撃の巨人」などで知られつくば市内に制作拠点を持つウィットスタジオ、五十嵐立青つくば市長、望月義人筑波学院大学長、つくば観光大使が務めた。

至福の時間を過ごせた

中村義洋審査員長の話 どの作品も愛にあふれ、そこに「創る意味」を見出すことができ、至福の時間を過ごさせていただいた。グランプリの「ストレスフルスイング」は脚本良し、芝居良し、編集(テンポ)良し、大いに笑わされ、第1回から個人的にこだわってきた「映画が好き! 楽しませるのが好き!」という選出基準を存分に感じさせてくれた。「惣菜」と「蝉の声、風のてざわり」は、これが高校生の作品かと驚かされた。

日原進太郎監督の話 子どもたちと一緒に制作した作品が、ワークショップ内の上映会に留まらず、賞を頂けたことが大変うれしい。子どもたちが作文に書いた思い出も、切り取った風景も、彼らの私的なものに過ぎません。しかし、人々の些細な思い出が詰まった町だからこそ、守り、残して行かなければならない。その想いを踏まえ「おもいでの町」を制作しました。このテーマはどの町にだってある普遍的なもの。小田を越えて、ぜひ多くの人に見てもらいたい。

【新型コロナ】土浦の小中学校で学年最後の授業

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担任から臨時休校中の家庭学習などについて説明された6年生の学級活動

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を防ぐため、土浦市の公立小中学校が4日から臨時休校となるのを前に、市内の小中学校で3日、学年最後の授業が行われた。同市では全国より2日長く準備期間を設けた。

「子供たちに委ねることになってしまった」

市立土浦小学校(同市大手町、児童数626人)では3日朝、小島勝則校長が放送で全校児童にメッセージを送り「生活のパターンを決め、時間を有効に使ってほしい」と呼び掛け、「特に不特定多数が集まる場所、換気の悪い場所、人が密集する場所には行かないで」などと話した。

小島校長は「本来なら3月はこれまでの学習と生活を振り返り、次への準備をするはずだったが、中途半端になってしまい、この部分を子供たちに委ねることになってしまった」と語った。

この日は学年ごとにそれぞれ、授業をしたり、学級活動をしたり、レクリエーションを実施した。6年生は、時間短縮や規模縮小のため例年とはスケジュールが大きく変わる19日の卒業式に向けて練習した。子供たちには、授業で実施することができなかった課題やテストなど、たくさんのプリントが配られた。

「信じられないような3日間過ごした」

6年生の学級活動では担任の高田淳平教諭が「本来ならきょうは最後の校外学習に行っていた日。(政府による臨時休校が発表されから)信じられないような3日間を過ごした」と子供たちに語り掛け、「これから家で過ごす時間が長いので、1日の中で学習時間を決め計画的に学習してほしい。中学生になる準備期間としてしっかり過ごしてほしい」と呼び掛けた。その上で、臨時休校中にどのような学習をすべきかを教科ごとに説明し、毎日、学習した内容や学習時間を書き込むことを促した。

さらに「(臨時休校は)君たちのせいじゃないが君たちも社会の一員。新型コロナウイルスがこれ以上、社会に広がらないようにしっかり過ごしてください。家族の一員として、家族を助けてください」などと話した。

4日からは原則、自宅学習となるが、親が仕事などで面倒を見られない場合は午後2時までは学校で、2時からは学校敷地内の放課後児童クラブで受け入れる。自宅で過ごす子どもたちについては、臨時休校中、担任が家庭を訪問するという。

「学校にいたかった」

臨時休校について6年生の女子児童は「もっと学校にいたかった」と話し、男子児童は「中途半端な感じて終わってしまった」などと述べた。

小学3年生の子どもをもつ母親は「パートを休もうかどうしようか、今まだ悩んでいる。今週は隣町に住む母親が子どもの面倒を見に来てくれるが、父親に持病があるので感染させてしまわないか心配がある。放課後児童クラブに入ってない子も学校で預かってくれるということなので、こちらも考えたい」などと話した。別の母親は「感染を防ぐために(臨時休校は)仕方ないと思うが、共働きの家庭は大変だと思う」などと語っていた。

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4月から屋内全面禁煙へ 県が改正法周知を徹底

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茨城県が作成の全面禁煙ちらし

【山崎実】受動喫煙防止を柱とする改正健康増進法が4月1日から全面施行されるのに伴い、飲食店などが原則、屋内禁煙になるため、茨城県は法改正の周知徹底に取り組んでいる。

同法では昨年7月、学校、病院、保育所・子ども園など児童福祉施設、行政機関の庁舎などでの敷地内禁煙が実施された。

4月からはオフィスや事業所、ホテル・旅館、理・美容室、公衆浴場、百貨店、飲食店、娯楽施設など、昨年7月に実施された以外のすべての施設で原則、屋内禁煙となる。

受動喫煙防止対策が法律で義務化されるわけだが、一方で一定の条件を満たせば、「喫煙専用室」「加熱式たばこ専用喫煙室」、経過措置として「喫煙可能室(店)」などを設置することができる。さらに「喫煙室」には標識掲示が義務付けられる。

これは▽望まない受動喫煙を無くす▽受動喫煙の影響が大きい子供や患者などに特に配慮する▽施設の類型・場所ごとに対策を実施するーことが目的。

一方、改正法の全面施行を前に、不況感や人手不足、新型コロナウイルスなど課題は山積している。隣の福島県では県議会最大会派の自民党議員会が、受動喫煙防止を目的とする条例策定の検討に着手した。改正法施行をめぐる動きは茨城県もこれからが本番だが、各業界関係者からは「経営的に厳しくなる」という声が強い。

支援策として国が、喫煙室の設置など技術的な相談窓口や、財政・税制上の支援制度を設けている。問い合わせは次の通り。

▽受動喫煙防止対策助成金の問い合わせ=厚労省茨城労働局・労働基準部健康安全課(電話029-224-6215)
▽受動喫煙防止対策に関わる相談支援=日本労働安全衛生コンサルタント会(電話050-3537-0777)

県関係では、県保健福祉部健康・地域ケア推進課、県内保健所・健康増進課が改正法の啓発、周知活動を行っている。

るるぶ「つくば国際会議場」発行

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るるぶ「つくば国際会議場」

【山崎実】つくば国際会議場(つくば市竹園)は、首都圏などでの新規顧客の開拓と創出を目指し、従来のパンフレットに加え、新たに「るるぶ特別編集『つくば国際会議場』」を作成した。会議場のようなコンベンションホールやアリーナなどの類似施設が「るるぶ」を作成するのは全国で初めての試みという。

主な掲載内容は、同会議場のホール&会議室ガイドのほか、周辺観光スポット、グルメスポットの案内などで、同会議場ガイドは、会議場がどのような施設で、どのようなことができるのか、会議場にあるホールや会議室などの具体的な利用例を写真を交え、分かりやすく紹介している。

周辺観光スポット「サイエンススポット巡り」は、JAXA筑波宇宙センターをはじめ国立科学博物館・筑波実験植物園、産業技術総合研究所・地質標本館など最新の科学を堪能できる施設を盛り込んでいる。

さらには、つくばに初めて来た人たちのためのグルメスポット(つくばラーメンなど)や、人気の土産品までを網羅し、紹介している。

同会議場は1999年の開業以来、昨年のG20茨城・つくば貿易デジタル経済大臣会合や国際会議、イベントの舞台として、県内外の大学、研究機関、企業などから利用されてきた。新たな局面への事業推進の一環としてガイドパンフレットを作成した。

今後は、JTBの協力で全国90支店での営業活動に今回のパンフレットを活用するという。問い合わせは同会議場(電話029-861-1205)

木造公共施設の整備拡大 森林湖沼環境税を活用

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2018年度に採択され建設されたつくば市春風台の木の家住宅博つくばセンターホール。住宅博終了後は地区集会所となる

【山崎実】茨城県が2008年度から導入した森林湖沼環境税を活用し、木造公共施設の整備促進を図る「いばらき木づかいチャレンジ事業」が県内市町村に浸透して好評だ。今年度も土浦市の認定こども園など4市が同税による補助を受け、県産材の需要拡大に取り組んでいる。

つくばの地区集会所、土浦の認定こども園舎を県産材で

同税は県民1人当たり年額1000円で、県内の森林や湖沼・河川などの自然環境を保全する財源として導入された。18年度からの第3期・森林関係では、林業経営による適切な森林経営と木材利用の推進、森林に関する県民意識の醸成を図ることが目的。

中でも、木づかいチャレンジ事業は、地域材の需要拡大を推進するため、その使い方(非住宅分野)をPRし、木材利用のモデルとなる建築物の木造化・木質化に対する支援制度で、補助額は2分の1(上限1000万円)。

この制度を活用し、18年度はつくば市の木の家住宅博つくばセンターホール(春風台地区集会所)、牛久市の市立第一幼稚園、かすみがうら市の診療所メドアグリクリニックかすみがうらなど、県内6市の事業が採択された。

19年度の事業実施箇所は▽土浦市(もみじ第二こども園、木造2階建て、地域材使用量31.63立方メートル)▽ひたちなか市(はなのわ幼稚園、木造平屋建て、同67.70立方メートル)▽笠間市(すみれこども園、木造平屋建て、同43.51立方メートル)▽常陸大宮市(研修施設、木造平屋建て、同34.04平方メートル)―の4施設。

幼稚園やこども園では、原木に近い丸太をダイナミックに組む丸太組み工法を採用することで、子供や保護者が木の魅力を感じることができる施設になるなど、木の利用のこだわりに人気があるという。

森林湖沼環境税の第3期・森林関係ではこのほか、間伐が3000ヘクタール、再造林220ヘクタール、海岸防災林の機能強化・植栽面積72ヘクタール、森林・林業体験学習の参加5万人ーなどが計画されている。

3月5日まで通常登校 新型コロナでつくば市小中学校 土浦市は3日まで

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つくば市役所

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が3月2日から全国すべての小中高校などを臨時休校するよう要請したのに対し、つくば市は28日、準備期間として3月5日まで通常登校とすることを決めた。6日以降は臨時休校とするが希望者は登校できるようにし、さらに希望者には給食を出す。一方土浦市は3日まで通常登校とし、4日から臨時休校とする。

つくば市 6日以降も登校可能、希望者に給食用意

つくば市教育局教育指導課によると、仕事を休めない保護者の対応を考慮して準備期間を設け、公立小中学校は3月5日まで通常登校とする。この間、学校では、こまめな手洗いなど感染防止対策を十分に講じる。出席に不安がある児童・生徒は登校しなくても欠席扱いにはしない。給食は通常通り提供する。

その後の6日から春休み前の24日までは臨時休校とするが登校可能とする。登校時間は午前8時から午後3時まで。授業は実施せず自主学習をしてもらう。どのような形式で自主学習をするかや、教員の出勤体制については2日に希望をとってから決める。さらに6日以降の給食は、2日に希望を調査し希望者に用意する。

中学校の部活動は6日以降は実施しない。5日までの部活動をどうするかは現在、検討中という。卒業式は日程は変更しないが、時間を短縮したり、出席者を減らすなど規模縮小の対応を検討している。

一方、市立保育所、児童館、幼稚園、学童保育については通常通り行うとしている。

「とりあえずほっとした」

つくば市の対応について、子どもが市内の小学校と中学校に通う40代の母親は「とりあえず月曜から休校にならずにほっとしているが、仕事とどう折り合いをつけようか悩む。学校に行かなければ子ども2人は感染から守れるかもしれないが、親がウイルスを持ち帰るかもしれない」と複雑な思いを話す。

土浦市 4日以降は自宅学習

一方土浦市の公立小中学校は、3月3日まで通常登校とし、給食も提供する。4日からは臨時休校とし、児童・生徒には、不要不急の外出を控えて自宅で学習するよう求める。保護者が仕事を休めず子供だけで自宅に置いておけない家庭への対応については現在、検討中という。教員は臨時休校中も通常通り出勤するが、子供の面倒を見なくてはならない教員がいる場合は家庭の事情を考慮する。

中学校の部活動は、3日までは自粛をお願いし4日からは実施しない。卒業式は予定通りの日程で実施するが出席者を減らすなどの対応を検討中としている。

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「家に帰ってもご飯ない」 無料塾の子ども食堂 当面中止 新型コロナでつくば市

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子ども食堂の厨房(ちゅうぼう)

【山口和紀】新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受けて、つくば市は27日から、生活困窮世帯の子供を対象とする無料塾「青い羽根学習会」での食事提供を当面の間、中止することを決定した。利用している子供からは「家に帰ってもご飯はないと思う」という声が出ている。

市は生活困窮者自立支援法に基づき地域のNPOなどと協働で、青い羽根学習会を市内13カ所で実施しており、そのうち3カ所で食事の無料提供が行われている。しばらくの間、これら無料塾での「子ども食堂」は中止となる。市子ども未来室は「食事はウイルス感染のリスクが大きいため」だと説明する。ただし無料塾そのものは中止せず、マスクの着用や手洗いの徹底で対応してもらう方針だ。

ライフラインの児童・生徒少なくない

「『子ども食堂』がなければ今日の夜ご飯が無くなる子供もいる」と、無料塾を運営するNPO法人「居場所サポートクラブ ロベ」(つくば市島名)代表の森美智子さんは話す。無料塾に通う子供の1人は「子ども食堂が無くなると聞いてがっかり。今日は勉強する気が起きない。感染を防ぐためには仕方が無いとは思うが、お腹が減ったし、家に帰ってもご飯はないと思う」と話した。

ロべは運営する3カ所の無料塾のうち2カ所で塾の子供たちを対象に「子ども食堂」を行っている。小学生から高校生まで70人近くの児童・生徒が利用し、カレーライスやみそ汁、おにぎりなどのメニューを毎回提供していた。市の決定を受け、週に3日間実施していた「子ども食堂」を当面中止する。

ロべに対しては「感染リスクに配慮し、家でも食べられる既製品のパンを無償提供する」という企業からの声掛けも既にあったという。

森代表は「感染拡大を防ぐため中止の対応は妥当だと思うが、中止によって食べるものが無くなる子供がいることもまた事実」だと語る。子ども食堂がライフラインになっている児童・生徒の数は少なくないのが現状だ。

現場は難しい選択

無料塾「青い羽根学習会」の子ども食堂とは別に、市は民間団体が実施する子ども食堂「みんなの食堂」に対しても補助金を出している。みんなの食堂は昨年末時点で市内に6カ所あり、子供から高齢者までだれでも利用できる。みんなの食堂の新型コロナウイルスへの対応は各団体の判断に任されている。感染リスクと福祉的必要性を天秤にかけて、どちらを取るべきなのだろうか。現場は難しい選択を迫られている。

◆居場所サポートクラブ ロベは日頃から食べ物の寄付を募っている。コメや日持ちのする野菜などが必要。生鮮品は要相談。連絡先はafterschool.robe@gmail。

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3月のイベント相次ぎ中止決定 新型コロナでつくば、土浦市

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ほとんどの職員がマスクをして仕事をするつくば市役所=27日、1階健康増進課

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの全国的な広がりを受けて、つくば、土浦市は27日までに、2、3月のイベントを相次いで中止する決定を出した。

つくば市は26日、今後3週間(3月18日まで)の市主催・共催イベントについて、対応方針を決め、屋内での大規模なものは原則中止とする、食事を提供するイベントは提供方法の変更などを検討した上で可否を判断する、屋外開催などその他のイベントは対策を十分に講じ、できない場合は中止する―などとした。その上で中止や延期するイベントや会議などを発表した。

土浦市は21日に対応方針を決定=2月22日付。不特定多数が出席・来場し、感染者が出た場合には市民の安全確保や行政・企業経営上、多大な影響が予測されるものは原則中止することを決めている。

つくば市で26日に中止・延期が決定された市主催・共催イベントや会議は次の通り。

対応 日程 イベント名 会場
中止 2/27 男性の料理教室 東京ガスつくば支社
中止 2/28 自立支援型個別ケア会議
中止 2/28 多世代出前交流教室
中止 2/28 乳児家庭教育学級
中止 2/28、29 チャンレンジアートフェスティバルinつくば舞台発表(リハーサル、本番) つくばカピオ
上映会中止(審査会のみ実施) 2/29 つくばショートムービーコンペティション アルスホール
中止 2/29 児童クラブ保護者説明会 松代児童館
中止 2/29 おはなし会 中央図書館
延期 2/29 日本語講師ボランティア入門講座
中止 2/29、3/1 ミニバス指導者講習会兼県内B新人大会
中止 3/1 市文化協会 芸能祭 市民ホールくきざき
延期 3/1 つくばR8ロゲイイニングin栄 桜交流センター等
中止 3/1 つくばウォークの日 洞峰公園、竹園公園、赤塚公園等
中止 3/1,4,15 ラート教室
中止 3/5 2020年度保健予防事業全体会議
中止 3/6 とよさと落語 市民ホールとよさと
中止 3/7 筑波大テ二ピン体験
中止 3/8 人形劇「河の童」 つくばカピオホール
中止 3/10 とよさと長寿大学閉級式 豊里交流センター
延期 3/12 つくばスタートアップデーイン東京
中止 3/12 小倉良のAll That Music つくばカピオホール
中止 3/14、15 第9回ふるさとつくばゆいまつり つくばセンター広場
中止 3/19 2020年度予防接種協力医療機関説明会
中止 3/20 つくばね落語 市民ホールつくばね
中止 3/20~22 市子どものスキー教室

 

土浦市で中止が決定された市主催・共催イベントは次の通り。27日時点

中止 2/27 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦
中止 2/28 認知症カフェ「ふれあい茶屋笑み気分」 三中地区公民館
中止 2/28 ふれあいSOSネットワーク声かけ訓練事前説明会 コープ土浦
中止 2/29 ウオーキング大会(湖畔サイクリングコース) りんりんポート土浦
中止 2/29 散走:ロードバイクグルメ散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/1 散走:ひなまつり散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/4 認知症カフェ「ふれあい茶屋おらが里」 新治総合福祉センター
中止 3/4 ぶらり★つちまる健康ひろば ピアタウン
中止 3/7 新治総合福祉センター「春まつり」 新治総合福祉センター
中止 3/7 散走:ロードバイクグルメ散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/12 ふれあいSOSネットワーク声かけ訓練 コープ土浦
中止 3/12 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦
中止 3/15 ウオーキング大会(霞ケ浦の風景堪能尾コース) 霞ケ浦環境科学センター
中止 3/15 博物館館長講座 博物館
中止 3/15 散走:ジオパーク散走 つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/16 認知症カフェ「ふれあい茶屋さくら」 市役所
中止 3/18 ぶらり★つちまる健康ひろば ピアタウン
中止 3/20 テーマ展 展示解説会 上高津貝塚ふるさと歴史の広場
中止 3/20~21 プレイアトレ土浦グランドオープン記念BEB5宿泊サイクリングツアー つくば霞ケ浦りんりんロード等
中止 3/22 第41回特別展記念講演会「土浦城と山本菅助」 博物館
中止 3/26 ぶらり★つちまる健康ひろば イオンモール土浦
中止 3/27 認知症カフェ「ふれあい茶屋笑み気分」 三中地区公民館
中止 3/28 第41回特別展 学芸員による展示解説会 博物館

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2期目へ五十嵐市長が立候補表明 11月のつくば市長選

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代表質問に答え立候補を表明する五十嵐立青氏=27日。つくば市役所議場(右)

【鈴木宏子】11月に任期満了を迎えるのに伴って行われるつくば市長選について、現職の五十嵐立青氏(41)は27日開かれた市議会3月定例会で「2期目も引き続きつくば市長として市政運営を担っていくべく強い決意をもっている」と答弁し、再選に向け立候補を表明した。与党最大会派の小久保貴史氏(自民つくばクラブ・新しい風)の代表質問に答えた。

同市では今年、市長選・市議選の同日選挙が行われる。市長選の立候補表明は五十嵐氏が初めて。前回は五十嵐氏のほか、元市議の飯岡宏之氏、元衆院議員の大泉博子氏の新人3人が立候補し、激しい選挙戦が繰り広げられた。

五十嵐氏は「市長に就任する前、周辺地域からは中心部ばかり発展している、行政は何もしてくれないという声が多く、地域の活気が薄れていると感じていた」と前市政を改めて批判し、「周辺市街地振興に向けた取り組みを開始し、市民と行政が一緒に地域の将来に向けて動き始めたことで、地域の新たな未来がつくられ始めている」と実績を強調した。

さらに「処遇改善による保育士確保、公設民営児童クラブの公営化、特別支援教育支援員の大幅増員や、公共交通体系の大幅な改善など市民生活に直結する課題の解決に向けて様々な取り組みを進めてきた」と述べ「科学技術の活用などつくば市ならではの手法により世界が抱える課題への取り組みを進めてきた。官民協働によるRPAを活用した業務の自動化、ブロックチェーン技術とマイナンバーカードを活用したインターネット投票、大規模戸建て住宅街でのドローン配送など全国初となる試みを実施し積極的に進めるスタートアップ政策は、つくばでの多くの新規創業につながっており、全国的にも注目を集めている」などと話した。

一方で「中心市街地の活性化や未利用公有地の活用などまだ道半ばの課題も山積している」と、商業施設クレオやつくばセンタービルなど中心市街地の空き店舗問題や、旧総合運動公園用地問題など未解決の課題も指摘した上で「就任以来の取り組みは着実に身を結び始めており、つくば市は『世界のあしたがみえるまち』に向け歩み始めている。この動きを止めることなく加速させ、持続可能なまちづくりを進めていく」などと強調した。

産学官プラス金融で創業支援 つくばに18団体結集しスタート

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18団体による支援の事業体が組まれた=26日、つくば市役所

【相澤冬樹】約150の研究機関が集積する地の利を生かし、産学官プラス金融の連携で、つくば発の起業をより積極的に支援しようという枠組が26日、つくば市に誕生した。「つくばスタートアップ・エコシステム・コンソーシアム」で、県と市、筑波大学、産総研、物・材機構、農研機構など研究機関、民間の投資家や金融機関など合わせて18団体が参画して設立理事会を開いた。

社会実証の推進へ

コンソーシアムは共同事業体。つくばに集積した研究・事業資源を生かして、創業機会の創出や地域経済の持続的発展につなげるのが狙い。新しいアイデアや技術に基づく創業・起業を有機的に支える環境(エコシステム)の形成を促すため、産学官金の連携により事業の創出支援、スタートアップ企業への実証フィールドの提供など社会実証の推進に取り組むとしている。

会員にはTXアントレプレナーパートナーズ(千葉県柏市)、ベンチャーカフェ東京(東京)などベンチャー企業の支援組織が顔を連ねている。常陽銀行、筑波銀行の地元地銀両行も参画した。

設立理事会では、会長に大井川和彦知事と五十嵐立青市長を選び、筑波大、産総研、物・材機構、農研機構の担当者を理事に選任した。今後、理事会は年1回程度の開催となるが、連携事業等は全体運営会議で決定、複数の部会を置いて個別活動に取り組む。具体的な活動の展開は新年度からになる見込みだ。

冒頭、あいさつに立った五十嵐市長は「いわゆる潜在的起業希望期にある事業者に手を差し伸べる施策が従来なかった。その支援のため、これだけの顔ぶれが1カ所にそろう場所はつくばしかない。手厚い戦略で取り組みたい。そろそろ実証実験は卒業し、社会実装にもっていきたい」と意欲をみせた。

設立の意図を熱く語る五十嵐市長=同

【震災9年】国vs県・漁民の攻防ヤマ場 汚染水海洋放出

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茨城県庁

【山崎実】東京電力福島第1原発のトリチウムを含む処理済み汚染水の海洋放出を巡る国vs県・漁民の攻防がヤマ場を迎えようとしている。内閣府の担当者が去る20日、県庁で大井川和彦知事に政府小委員会(多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会=委員長・山本一良名古屋大名誉教授)の報告書の内容を説明したのに対し、知事は「白紙で検討を」と突っぱねた。

政府小委員会が「現実的な選択肢」として海洋放出を大筋で了承したのが1月31日。これを受け大井川知事は、原発事故発生以降、一部魚種の出荷制限に伴う損失や、風評被害による魚価の低迷など厳しい状況に置かれてきた経緯を指摘した。さらに小委員会の取りまとめ案は「水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢であり、海洋放出の方が確実に実施できる」としているのに対し、「結論ありきの取りまとめは容認できない。より影響の出ない方法はないか、さらなる検討を期待する」とコメント。小委員会の取りまとめ案に”注文”を付けた。

沿岸漁民、怒りを爆発

沿岸漁民の闘いは苦難の連続で、今も続いている。2011年3月の東日本大震災、原発事故発生後、いち早く漁業再開に取り組んだが、茨城沖のコウナゴから暫定規制値を超える放射性セシウムが検出。市場での取引拒否、出荷・販売の自粛要請を強いられた。翌12年4月、新基準値の設定(1キロ当たり100ベクレル)が行われたが、茨城県はさらに厳しく50ベクレルの自主的な自粛基準を設定し、県産魚介類の安全確保に努めた。基準遵守は北部(日立市以北)、県央部(東海村~大洗町)、南部(鉾田市以南)の各海域ごとに3カ所以上検査(期間は1カ月)するという徹底ぶり。

この地道な努力が実り、2017年3月、海面28魚種の出荷制限、生産自粛が取られてきた規制は、やっと解除された。しかし韓国、中国、台湾など一部の国・地域では、いまだに輸入規制が続いている。さらには、内水面関係でも霞ケ浦のアメリカナマズと、利根川・境大橋下流のウナギは国の出荷制限を受けており、原発事故の爪痕は残ったままだ。

政府小委員会が海洋放出の方法を示唆した報告書を10日に公表すると、沿岸漁民は敏感に反応し怒りを爆発させた。間髪を入れず、平潟(北茨城市)からはさき(神栖市)まで県内10漁協で組織する茨城沿海地区漁業協同組合連合会(飛田正美会長)は13日、県庁に大井川知事を訪ね「多核種除去整備等処理水の海洋放出を行わないよう国への働きかけを求める要請書」を提出。

処理水を海洋放出することになれば「風評(被害)の再燃は必至」で、トリチウム以外の放射性物質が残留しているとの報告もあり、事故発生直後に引き戻されるのではと不安を訴える。「海洋放出はこれまでの漁業関係者の努力を水疱に帰し、漁業の継続を断念する状況に追い込む仕打ちであり、絶対に受け入れることはできない」と声高に主張した。大井川知事も「皆さんと同じ気持ち」と同調し、地方から反旗を掲げた。

予断許さぬ神経戦続く

報告書の説明とはいえ、20日の内閣府担当者の知事訪問は、余白に協力要請の思惑が見え隠れする。これに対し、県内の各漁協は市町村や県選出国会議員などへの「処理水海洋放出反対」を働き掛け、漁民運動を進めていく考え。政府小委員会の報告書を錦の御旗に、国や東京電力がいつの時点で海洋放出という選択肢に踏み切るのか、予断を許さない神経戦が続くことになる。

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洋上打ち上げに成功 筑波大の学生団体ロケット

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打ち上げられたBlueROSE(筑波大学STEP提供)

【相澤冬樹】筑波大学の学生団体STEP(ステップ、相沢慧代表)が24日正午過ぎ、茨城県沖の洋上から小型ロケット「Blue ROSE(ブルーローズ)」の打ち上げに成功した。25日つくば市に戻った相沢代表からNEWSつくばに連絡があった。機体の回収ができず、無線通信も正常に作動しなかったため、到達高度や最高速度についてのデータは得ることができなかったが、目視確認などからの判断で、おおよそ高度3~4キロ程度に到達したと見られるという。

機体回収はできず

打ち上げの射場となったのは、ASTROCEAN(アストロオーシャン、本社・東京、森琢磨CEO)が県沖約80キロの船舶に置いた洋上プラットフォーム。新たな宇宙ビジネス創出を支援する「いばらき宇宙ビジネス事業化実証プロジェクト」として県が採択し、打ち上げに約1500万円を補助した。

ロケットを製作したのは筑波大の理工学群の学生ら約20人でつくる宇宙技術プロジェクトSTEP。打ち上げたのは全長2.85メートル、直径120ミリ、重さ17キロの小型ロケットで、エンジンに2相の推進剤を用いるハイブリッドタイプ。機体には2度パラシュートを放出する2段分離機構を搭載した。

24日は学生3人がプラットフォームに乗り込んだ。前日の強風から一転してほぼ無風の絶好のコンディションだったそうで、午後0時24分ごろ、射出したロケットはまっすぐ上空に飛び上がった。

STEPでは、2006年からロケットや模擬人工衛星の製作・運用に取り組み、18年に約1キロの高さにまで打ち上げた。今回は、学生団体の高度日本記録である3160メートルの更新に挑んでいた。機体やデータの回収ができず、正式な記録更新には至らなかったものの、おおむね予想到達高度に達したと見ており、今後さらに分析を進めていくという。

衛星の小型化で、民生分野を中心に小型ロケットの需要が膨らんでいるなか、国内での射場不足がクローズアップされている。相沢代表は「洋上打ち上げは新たな可能性を開くものであり、人工衛星高度にはまだまだだが、十分な手応えをつかむことができた」と今後に意欲を見せた。

筑波大学STEPのロケット洋上打ち上げ映像(動画)

障害当事者がつくばで問う やまゆり園事件で見えてきたものと見えないもの

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講演するノンフィクション作家の渡辺一史さん=15日、つくば市吾妻交流センター

【川端舞】障害者入所施設「津久井やまゆり園」(神奈川県相模原市)で殺傷事件を起こした植松聖被告と面会を重ねているノンフィクション作家の渡辺一史さんが15日、つくば市吾妻、吾妻交流センターで講演した。残忍な事件を起こした被告の異常性が話されるとともに、異常性が作られた背景にある障害者施設の実態も言及された。

渡辺さんは、筋ジストロフィーという難病当事者の地域生活を描き、昨年映画化もされたノンフィクション小説「こんな夜更けにバナナかよ」の著者。これまで13回、植松被告と面会してきた。その中で見えてきた植松被告の人間像を語ってもらおうと、当事者による障害者支援団体「つくば自立生活センター ほにゃら(川島映利奈代表)」が講演会を企画し、約40人が参加した。

事件後、それぞれの思い語り合う

同センターは、どんなに重い障害があっても入所施設ではなく地域で暮らしていける社会を目指して、地域で暮らしている障害者を支援したり、一般の人たちに障害者への理解を広めるために様々なイベントを開催している。やまゆり園事件の直後には、障害者や支援者を集めて犠牲者を追悼し、それぞれの思いを語り合う集会を開いた。センターの事務局長で自身も重度身体障害をもつ斉藤新吾さんは当時「『意思疎通のとれない障害者は安楽死させるべきだ』という植松被告の考えは極端だが、障害者は必要のない存在であるという考えは、無意識のうちに誰もが持ちうるものだと思う」と語った。

それから約3年後の2019年、同センターは、「こんな夜更けにバナナかよ」が映画化されたのをきっかけに、渡辺さんに「なぜ人と人は支え合うのか―『障害』から考える」をテーマに講演を依頼した。その中で渡辺さんはやまゆり園事件にも触れ「『障害者は生きている価値があるのか』という質問は、一見するとデリカシーのないものだが、インターネットの掲示板には多くの人が同じようなことを書いている」と指摘した。

渡辺さんが植松被告と面会を重ねていることを知った同センターは、植松被告の公判が開かれている今、被告がどのような人間なのかを知り、今後同様の事件を起こさせない、障害があってもなくても一緒に生きていける社会をつくるヒントを考えたいと、渡辺さんの講演会を企画した。

なぜ事件を起こしたのか

この殺傷事件が世の中に衝撃を与えた理由の一つに、被告がその施設に3年以上勤務していた元職員だったことがある。これまでの渡辺さんの取材によると、やまゆり園に就職した頃の被告は入所者のことを「かわいい」と言っており、将来は特別支援学校の教員になりたいという希望を持っていた。そのためのステップアップとして障害者施設の職員になったという経緯もあったという。

そのような志を持った青年が、なぜ障害者殺傷事件を起こしたのか。脱法ハーブや大麻を常用したことによる精神障害があったと弁護人は主張している。また、障害者への差別意識は多くの人が持っていても、それを「人を殺傷する」という具体的な行動に移すのには大きな隔たりがある。「被告がそこを越えてしまった原因がまだ理解できない」と渡辺さんは語った。

園内の環境も影響

一方、被告の中に「安楽死思想」が形成された背景には、彼が働いていた津久井やまゆり園内の環境も影響を与えたのではないかと渡辺さんは指摘する。去年6月にNHKで放送されたやまゆり園の元利用者についての報道を機に、やまゆり園の実情が問題視されるようになったといわれる。その利用者は、やまゆり園時代は「突発的な行動もあり、見守りが難しい」という理由で、車いすに長時間拘束されていたが、事件後、別の施設に移り、拘束を解かれた生活をするうちに、リハビリにより歩けるようになったほか、地域の資源回収の仕事までできるようになったそうだ。

また、渡辺さんが元利用者家族から聞き取った話では「居室が集まっているユニットはおしっこ臭かった」「毎日風呂に入れてもらっているはずなのに、フケも臭いもすごい」「部屋が施錠されていたのではないか」など園の実情に数々の疑問が聞かれた。そのような園の状況が、被告の「安楽死思想」に影響を与えたのではないかと渡辺さんは考える。その上で、渡辺さんはこれまでの取材の中で他の施設についての惨状を聞いてきた経験から、「津久井やまゆり園が特別なのではなく、同じようなことは他の入所施設でも起こりうる」と、入所施設の限界を指摘した。

講演会の参加者の一人は「私自身、知的障害の子どもを育てている母親として、この事件にはあまり関わりたくなかったが、事件の本質には被告自身の問題だけでなく、社会全体の問題があり、このまま終わりにしてはいけないと感じた」と話した。

5月の全国集会でもテーマに

今年5月30、31日に、つくば国際会議場でDPI(障害者インターナショナル)日本会議の全国集会が開催される。DPI日本会議とは、現在130カ国以上が加盟し、障害のある人の権利の保護と社会参加の機会平等を目的に活動をしている国際 NGOの日本国内組織である。2日間で全国から多くの障害者が集まる。2日目にはやまゆり園事件の裁判についても取り上げる予定である。この集会の実行委員会をつくば自立生活センターも担っている。

同センターは「3月16日にこの裁判の判決が予定されているが、3カ月程度のスピード判決はこの事件の何を浮き彫りにするのか。検証すべき重要な問題を闇に葬り去ってしまうことにならないか。障害者への差別や偏見を助長したりしないのか。様々な立場から問う機会にしたい」としている。

大規模の入所施設では限界

【記者のつぶやき】入所施設の場合、どうしても一人の職員が担当する入所者の数が多くなってしまい、入所者一人一人に丁寧な個別対応は難しい。被告が「意思疎通のとれない障害者」と称した被害者の方々も、一人一人、時間をかけて向き合えば、身振りや表情など、言葉以外の方法でコミュニケーションをとろうとしていたはずである。彼らが伝えようとしている想いを、周囲が丁寧に受け取れるようになるためには、大規模の入所施設では限界がある。入所施設の限界が浮き彫りになった今こそ、入所施設ではなく、在宅で障害者一人一人と関係性を作りながら支援することに重点を移すべきであろう。

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サンガイア、埼玉に快勝 ホームに勝ち星届ける

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試合前の名物、瀧澤陽紀選手のパフォーマンス

【池田充雄】バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は22、23日、今季最後のホームゲーム2連戦をつくばカピオ(つくば市竹園)で開催。22日はきんでんトリニティーブリッツ(大阪市)にフルセットの末敗れたが、23日は埼玉アザレア(川越市)にセットカウント3-1で快勝。通算成績を10勝11敗とし、12チーム中7位に浮上した。

第3セット、小針選手のライトからのスパイク

埼玉戦の第1セット、つくばは順調な立ち上がりで最大4点をリード。だが中盤、コンビネーションミスを2本続けて同点にされると、サーブレシーブの乱れなどで自分たちの形を作ることができず、相手にリードを許す。終盤の追い上げも届かず、このセットを失う。

第2セットは序盤のイーブンな展開から、瀧澤陽紀のサービスエースをきっかけに5点を連取。波に乗ったつくばはそのまま同セットを獲得。第3・第4セットも序盤からリードを保ち、追い上げられても流れを切って相手に渡さず。安定した戦いで、前回対戦ではストレート負けの相手に雪辱を果たした。

「瀧澤の渾身(こんしん)のサービスエースで流れを引き戻し、自分たちの力を発揮するとともに、ホームの大声援を力に変えて勝利することができた」と、都澤みどり監督。「今季はミスから崩れることも多かったが、今日は粘り強く戦えた。点差がついた後も気を緩めず、しっかり勝ちきれた」と浜崎勇矢主将。

あせりから攻撃が単調になる悪いクセが消え、多彩なアタックやサーブで相手を崩すことに成功。また今節では、セットの際に各選手がポジションを取り直さず、ローテーションの位置から直接攻撃に入ることが多かった。このため最短時間と最短距離で、相手ブロックの薄い部分を狙い打つことができる。

「全体でブロックを引き付け、各選手の状態を見ながらトスを上げている」と、セッターでもある浜崎主将。特に小針幸や奥村航は左右からのスパイクはもちろん、バックアタックでも効果的に得点を重ねていた。

瞬時に相手の弱点を見極める浜崎主将のトスワーク

来週は、他チームよりひと足早く今季最終戦を迎える。29日(土)午後1時から北海道帯広市総合体育館でトヨタ自動車サンホークスと対戦。勝って星勘定を五分に戻し、シーズンを締めくくりたい。

つくば  3-1 埼玉アザレア
23-25
25-20
25-19
25-14

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土浦市立上大津西小、菅谷小に暫定統合 127年の歴史に幕

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29日閉校式が催される上大津西小学校=土浦市手野町

【鈴木宏子】児童数の減少などにより土浦市立上大津西小学校(同市手野、児童数46人)が3月末で閉校になり、菅谷小(同市菅谷、同138人)に暫定統合される。上大津西小は1892(明治25)年11月に開校した。127年の歴史に幕を閉じる。29日、同校で閉校式が催される。

同小は1892年に手野尋常小学校として開校、1907(明治40)年に上大津西尋常高等小学校となり、1918(大正7)年、現在地に移転した。1970年代から児童数が増え、学区を分離して、75年に神立小、86年に菅谷小が分離・新設された。

現在は2、3年生が複式学級となっている。4月からは全員がスクールバスで通学するという。

新たな小学校開校へ、5月に答申

同地区では上大津西小と菅谷小、上大津東小(沖宿町)の3校についてさらに統廃合を進め、2024年4月を目標に新たな上大津地区小学校を開校することが検討されている。①上大津東小に教室を増設して統合する➁土浦第五中学校(手野町)500メートル圏内に小学校を新設する③土浦五中隣接地に、体育館やプールなど同中と施設の一部を共用する小学校を新設して統合する―の3つの方向性が出され、関係小学校の校長やPTA、地元地区長で構成される「市上大津地区小学校適性配置検討委員会」(委員長・樋口直宏筑波大教授)で検討されている。5月に答申が出される予定だ。

21日発表された新年度当初予算案には、新たな上大津地区小学校開校に向け、新校舎建設の検討委員会設置とワークショップ開催、整備基本計画の策定委託料など計約800万円が計上された。

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新型コロナに判断揺れる つくば・土浦のイベント関係者 

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研究会の中止や延期を告げる農研機構のホームページ

【橋立多美】国内で新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、感染者数は日々更新されている。22日現在、県別の感染者に茨城県はないが、都内への通勤や国際交流の機会が多いつくばでは、モヤモヤした不安を抱える人が少なくない。感染の拡大を受け、不特定多数の人が集まるスポーツイベントや会議、集会を中止する動きが広がっている。

ノーベル賞受賞者も来日回避?

農研機構は18日、一般公開施設「食と農の科学館」(つくば市観音台)を当分の間休館すると発表した。19日つくば開催の4つの研究会やサイエンスカフェに加え、21日につくば国際会議場(同市竹園)で予定していた気象環境研究会「近年の猛暑によるイネ高温不稔の顕在化とその対策」を中止とした。

同会議場では3月12日に予定されていた日本学術振興会主催の「第12回HOPEミーティング―ノーベル賞受賞者との5日間」も中止となった。ノーベル賞受賞者3人と著名研究者によるパネルディスカッションが一般に公開される予定だった。パネリストとして招へいの海外のノーベル賞受賞者の1人が直前になって出席を辞退、主催者も「コロナウイルスの影響を考慮」して中止を決めた。

敢行にも中止にも決断力

国が不要不急の集まりを控えるよう呼びかけつつも具体策が示されないなかで、多くの人が集まる会合を開催した例も。つくば市社会福祉協議会は20日、コロナウイルス予防策を練って「地域の絆フォーラム2020」をホテルグランド東雲(同市小野崎)で開催した。230人が参加した。

会場入り口にアルコール消毒液を置き、開演前にマスクを着けていない人にマスクを用意していることをアナウンスして飛沫感染を防ぎ、休憩時間に扉を開けて換気を行った。花粉症の時期と重なってマスクが入手できない現状だが、食事サービスや災害支援向けにストックしているマスクを運び込んだ。

同フォーラムは互いに支えあい、安心して暮らせる地域づくりを目指して8年前から開催。「(開催を)楽しみにしている人がいる」と中止の検討はされなかった。フォーラムを運営した担当者は「できるだけのことをした」と話す。

一方、元開業医の室生勝さんが主宰する、高齢者の居場所づくりを目指す「サロンゆうゆう」(毎週月曜)は、今月初めから活動を中止している。

政府が水際作戦をとったが、室生さんは1月下旬にはすでに国内に無症状患者がいると考えた。周囲からは「そこまでしなくても」という声があったが、医療に携わった者として対策を徹底させた。感染すると重症化する可能性が高い後期高齢者が多いことも背中を押しての決断という。

どうなる?かすみがうらマラソン

土浦市は21日、市が主催するイベント開催の方針を示し、方針に基づいて実施の判断と対応を行うと発表した。

実施するのは出席者や来場者が限定的で特定することができ、イベント会場でのアルコール消毒や手洗い、咳エチケット、換気など、一般的な感染症対策をすることが可能なもの。他方、参加者が不特定多数で感染拡大のリスクが大きく、出席者への感染により、市民の安全確保や行政、企業経営上、多大な影響が予測されるイベントは原則中止とする。

同日、霞ケ浦の湖畔をめぐるウオーキング大会(29日と3月29日)の中止が告げられた。今後は4月19日開催の「かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン」の催行に注目が集まる。エントリー者数2万4000人をこえる。

近隣ではつくばみらい市の「みらいマラソン」(3月1日)の中止が決まった。実行委員会では、大会スタッフ用のマスクや消毒液が確保できないことを中止の要因に挙げている。

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都市計画決定を変更へ 国道6号牛久土浦バイパス第3期

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航空写真を張り出し国交省常総国道事務所が素案を説明=つくば市茎崎交流センター

【相澤冬樹】国道6号牛久土浦バイパスの都市計画決定変更に向けた地元説明会が21日、つくば市小茎の茎崎交流センターで開かれた。2018年度に事業化となった牛久市城中からつくば市高崎までの5.5キロ区間について、最新の道路構造令に基づき設計を変更するための手続き。道路両側の盛土や切土など法面(のりめん)部分を含めて幅員とする考え方で都市計画を設計し直すなどの素案を伝えた。基本的なルートに変更はなく、今後のタイムスケジュールなどは示されなかった。

時期的な見通しは示されず

同バイパスは牛久市遠山町から土浦市中まで延長15.3キロで1994年計画決定された。2011年までに、つくば市西大井地区と土浦市中村西根地区との区間3.9キロが開通(暫定2車線供用)しており、圏央道つくば牛久インターチェンジをはさみ国道408号と学園東大通りとを結んでいる。

牛久土浦バイパスの事業区間=常総国道事務所の資料から作成

今回説明会が行われたのは、同バイパス第3期の事業区間。牛久市側は1月に開催しており、つくば市側2.5キロについて国交省常総国道事務所による説明が2日間にわたって開かれた。県や市の担当課も立ち合い、初日の21日は沿線の住民ら約30人が集まり、質疑応答した。

同事務所による説明では、路肩の自転車道・歩道を広く確保したり、道路本線以外の法面部分も含めた道路設計に変更するのに伴い、都市計画決定エリアを両側に広げる措置が必要になった。牛久市区間は高架橋りょうが連続するが、つくば市区間では盛土と切土が交互に現れる。

さらに道路構造令に基づき、市道と交わるみのり幼稚園付近の交差方式を立体から平面交差に変更するなど素案の説明があった。5.5キロ区間は特に景観重点整備区間と位置づけ、牛久沼や稲荷川など自然環境と調和させる設計で臨むという。

質問では、平面交差に改まる箇所での緊急車両の進入動線、住宅市街地に工事車両が往来することへの環境対策などが質された。

素案は今後、県の都市計画公聴会、広告・縦覧、意見聴取、県都市計画審議会などを経て、改めて都市計画決定される。詳細設計や用地買収などはその先の着手となる。事業化されたとはいえ、建設スケジュールは都市計画の手続きに一旦戻る格好だ。これらの手順の時期的な見通しはついていない。現在進行中の第2期区間についても、起点の牛久市城山地内1.3キロ区間が22年春に供用開始の予定となっていること以外、つくば市1.9キロ、土浦市2.7キロ区間の建設時期も示されなかった。

【土浦市新年度予算】公約実現へ コミュニティーバス運行に調査費

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初の予算編成となる新年度当初予算案を発表する安藤真理子市長=21日、土浦市役所

【鈴木宏子】土浦市の安藤真理子市長は21日、2020年度当初予算案を発表した。昨年11月に初当選し初の予算編成となる。公約に掲げたコミュニティーバス運行に向け調査費約680万円を計上するほか、新治運動公園多目的グラウンドに人工芝を張る調査費約350万円を盛り込むなど公約実現を図る。3月3日開会の3月議会に提案する。

財調基金取り崩し行わず

予算規模は、一般会計が前年度比4.4%減の約506億8000万円、特別会計を含めた総額は同比0.7%増の約924億7100万円。一般会計は過去10年間で3番目に低い規模となる。市民会館の耐震化や学校給食センターの再整備など大規模事業のピークが過ぎたことによる事業費の減額が要因。

さらに昨年の市長戦で基金の枯渇による財政危機の解消を訴えたことから、経費や事業の見直しを徹底して行い、財政調整基金の取り崩しを行わなかった。加えて老朽化している学校や公共施設の改修に向け新たに3億円の基金を積み立てるなど、長期財政見通しで推計されていた財源不足を回避した。

公約実現に向けてはほかに、企業誘致による財源確保のため、流通拠点である常磐道土浦北インターチェンジ(IC)周辺に企業誘致を図るための土地利用状況調査と企業ニーズ調査費490万円を計上する。県が昨年11月に発表した未来産業基盤強化プロジェクトを活用して農地転用などの手続きを迅速化し、ICから半径3キロ圏内に新たに産業用地開発区域の設定を目指す。スマートインターチェンジを新設する公約についても、場所の検討などの調査費580万円を盛り込む。

11月に市制施行80周年

新規事業は、保育料無償化の対象外となっている0~2歳児について利用者の負担額を一部軽減する(6200万円)。通学路や避難路に面する危険なブロック塀の撤去を促進するため、所有者が解体工事を行う場合、費用の一部を補助する制度を開始する(1件当たり上限10万円、総額70万円)。老朽化している小中学校のトイレについては和式を洋式にするなど改修するための設計費約790万円を計上し、神立小、乙戸小、都和南小と都和中の4校で翌年に改修する。

ほかに、11月3日に市制施行80周年を迎えることから記念事業として、NHK公開番組や自転車の祭典などイベント開催を含め約1560万円を盛り込む。つくば霞ケ浦りんりんロードなどサイクリング環境のPRとして、自転車のまちづくりを推進する全国市区町村長の会による全国シクロサミットを今年秋にも市内で開催する(120万円)。高齢者の介護予防については、市内1カ所をモデル地区とし、県リハビリテーション専門職協会の協力を受けて、体力測定を踏まえた集団・個別指導をする介護予防健診を開催する(約60万円)。

土浦港周辺のにぎわいづくりは、ラクスマリーナを含めた3.9ヘクタールの旧京成ホテル跡地について、民間企業を誘致するための用地測量費など980万円を計上する。

一方、歳入については、個人市民税、法人市民税、新築家屋増による固定資産税などの増加するとして、市税3.3%増を見込む。

安全な大会へ花火対策室を新設

4月からの行政機構の見直しについても発表があった。2年連続で事故が発生した土浦全国花火競技大会を安全に実施するため、観光商工課に花火対策室をつくる。交通不便地域を解消するためのコミュニティーバスの運行など公共交通に関する総合的な取り組みを推進するため都市計画課に交通政策室を新たに設置などする。

街なかに流れる児童の歌声 土浦のひなまつり

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土浦小学校の児童の歌声を流す前野呉服店=土浦市中央

【伊藤悦子】第16回土浦の雛(ひな)まつりが始まっている土浦市の街なかに、「うれしいひなまつり」の歌声が流れている。歌ったり演奏したりしているのは、市立土浦小学校(同市大手町、小島勝則校長、620人)の児童たちだ。

この企画を考えたのは前野呉服店(同市中央)の代表取締役、前野有里さん。「ひなまつりを音楽で盛り上げられないか」と思い立ったのがきっかけだ。「ただ音楽を流すだけではなく、地元の子供の歌声がいいのでは」と考え、土浦小の児童たちに歌ってもらえないかと同校の教員に相談したという.

小島校長はこの提案を快諾。「前野さんからは、上手に歌うというより微笑ましい感じの歌声が欲しいと聞いた。そこで低学年の1年生と2年生の各3クラスの児童たちに歌ってもらうことにした」と話す。

土浦小校門と円内は小島勝則校長

日課プログラムである「朝の会」を利用して、児童たちは1月から2週間程度練習を行った。また同小のクラブ活動である環(たまき)合唱団も歌い、金管バンドクラブに演奏も依頼した。前野さんが同小を訪れてCDに録音した。歌う前に児童たちがクラス名を言っているので、聞いた本人や家族がわかるようになっている。

小島校長は「自分たちの歌声を聴きながら、下校する児童がたくさんいる。またひなまつりに連れていってほしいと保護者と出かけている児童もいる。地元の行事に自分たちが参加しているという意識が出て、将来の地元活性化の核にもなるのでは」と話す。

前野さんも土浦小の出身。小さい頃の楽しい思い出がたくさんあるという。「土浦のひなまつりで歌ったことが、子供たちの思い出になってほしい。街を訪れる皆さんにも子供たちの歌声をぜひ聞いていただきたい」と話す。

児童の歌声や演奏は、3月3日までのひなまつり期間中、土浦駅西口ペデストリアンデッキ、土浦駅プレイアトレ土浦2階「ナナイロ」のキッズスペース周辺、まちなか交流ステーションほっとone(土浦市川口)などで聞くことができる。問い合わせは前野呉服店(電話:029-821-0452)