【大山茂】野山に飛び交うチョウをつぶさに観察してください――こんなふれこみで、つくば市稲岡のショッピングセンター、イオンモールつくば敷地内にチョウの観察小屋が完成し、今月から本格的に無料開放した。市内で農産物直売所を運営する農業法人「みずほ」(長谷川久夫社長)が自然に親しむきっかけになればと設置した。
「チョウの楽園えるふ」の看板が掲げられているのは、イオンモールつくばの敷地内にあるみずほ直営の農産物直売所「えるふ王国」の入口脇。幅5メートル、奥行き15メートル、高さ4メートルの広さで、3方が網で囲われている。

中に入ると、日本の国蝶として知られるオオムラサキの幼虫のエサとなるエノキ、ツマグロヒョウモンの止まるスミレやパンジー、アゲハチョウのかんきつ類など、十数種のチョウのエサとなる樹木や草花が数多く植え込まれている。
小屋の中では現在、モンシロチョウやアゲハチョウが飛び交っているほか、オオムラサキの幼虫とサナギも手に取るように見ることができる。その他のチョウの卵や幼虫も葉の裏に隠れるように潜んでおり、梅雨明けの時期には大小のチョウが乱舞する光景が見られるという。
監修したのは、ライフワークとしてチョウの採集や生態の研究を続け、下妻市でオオムラサキの保護活動を続けている土浦市内の元公務員、岡澤貞雄さん(74)。長谷川社長に協力を依頼され、昨年秋ごろから園内の設計を手掛け、筑波山麓などで様々なチョウを採集。併せてチョウの幼虫期や成虫期に葉を食べたり、樹液を吸ったりする植物を探し歩いて植栽した。
岡澤さんは「チョウは卵から幼虫、サナギ、成虫と完全変態するので年間を通してその姿を確認することができる。種類によって食する植物が違うので、じっくり観察して自然を大切にする気持ちを育んで欲しい」と話している。