日曜日, 6月 28, 2026
ホームつくば【夏休み特報】㊤ お勉強モード全開のつくば 初日から研究機関へGo!

【夏休み特報】㊤ お勉強モード全開のつくば 初日から研究機関へGo!

さあ、夏休み。宿題の心配をするには早すぎるが、さすがつくばは頭脳都市。頭っから、お勉強モード全開だ。20日いきなり2つの研究機関が夏の一般公開を行えば、県科学技術振興財団のつくばサイエンスツアーでは「夏バス」運行が始まり、つくば市が事務局となる「つくばちびっ子博士」企画も39施設を結んでスタートする。【構成・相澤冬樹】

開発から25年、アザラシ型ロボット「パロ」特集

【産総研つくばセンター一般公開】20日午前9時30分から午後4時まで。今年の特集は、開発から25年を経て世界中で愛されるアザラシ型ロボット「パロ」が主役。病気やケガに苦しむ子供たちや一人暮らしのお年寄を癒して、今や世界中で5000体をこえるパロが活躍中とか。開発者の柴田崇徳さんによる特別講演(午後1時から、定員400人)と特別展示が開催される。

アザラシ型ロボット「パロ」に会える産総研サイエンススクエアつくば

科学技術を身近にするチャレンジコーナーでは、結晶のお勉強と実験、地質図ライブラリー特別公開など。科学工作コーナー、スタンプラリーもある。

▼産業技術総合研究所はTXつくば駅から無料シャトルバスを運行。電話:029-862-6214(広報サービス室)  https://www.aist.go.jp/tsukuba/ja/pr/2019/

全員に「適応」エコバッグプレゼント

【国立環境研究所「夏の大公開」】20日午前9時30分から午後4時まで。子供から大人まで、楽しみながら環境問題や環境研究について学べる機会。今回は特に気候変動への「適応」をテーマにしており、来場者全員に「適応」ロゴ入りのエコバッグプレゼント。

子供たちに人気のタッチプールが今年もお目見え=昨年の「夏の大公開」から(国立環境研提供)

サメやタコのタッチプール、安全機能が付いた未来の乗り物(G5)、簡単ヒアリDNA検出キットなど体験型イベントはじめ、研究者と話す環境サイエンスカフェ「プラスチック 何が問題?」、最先端実験施設潜入ツアーなど、合わせて60を超える展示、講演会、体験イベントが予定されている。(一部雨天の場合中止)

▼TXつくば駅と常磐線ひたち野うしく駅から無料シャトルバスを運行。電話:029-850-2453(広報室) http://www.nies.go.jp/event/kokai/2019/index.html

路線バスを乗り継いで6つの研究施設を回る

【つくばサイエンスツアーバス「夏バス」運行】路線バスを乗り継いで国土地理院、つくば実験植物園、つくばエキスポセンター、産業技術総合研究所(地質標本館、サイエンス・スクエア)、筑波宇宙センター、6つの研究施設を回る。大人500円、小学生250円、幼児無料(税込み運賃、保護者同伴)で、終日乗り降り自由の循環バスが運行される。

予約で同行スタッフのガイド付き見学もできるサイエンスツアー=特別展「美しい砂の世界」開催中の産総研地質標本館

ツアーバスじたいは土・日・祝日に通年実施されているが、20日から9月1日までは毎週月曜日を除く毎日開催となり11便を運行。7月26日(砂を学び、砂絵と恐竜ジオラマづくり)、8月6日(極低温・液体窒素実験)、8日(太陽・風・鉄~私たちのまわりの地球環境)、21日(草木染めで色の変化を楽しもう)の4日間は特別イベント(各回定員40人、要予約)がある。第1・3土曜日と平日の5日間限定で、スタッフガイドが同乗して解説を聞かせてくれる同行コースも設定されている。こちらもWEBからの予約が必要になる。

▼乗車場所はつくばバスターミナル8番乗り場、ターミナル隣接の関東鉄道つくば学園サービスセンターに券売所がある。電話:029-863-6868(県科学技術振興財団つくばサイエンスツアーオフィス) https://www.i-step.org/tour/tsukuba-science-tour-bus.html

パスポートに5カ所以上のスタンプを集めて

【つくばちびっ子博士2019】20日から8月31日まで、「ちびっ子博士パスポート」を持って、指定された39の見学施設の展示やイベントを見学・体験しながら、ちびっ子博士スタンプを集める企画。5カ所以上のスタンプを集めてパスポートを提出すれば、「つくばちびっ子博士」に認定され、記念品がもらえる。18カ所以上の見学スタンプと400字程度の感想を書いて提出すれば「最優秀つくばちびっ子博士」の認定証、夏休みの勲章だ。

見学施設は研究機関のほか、筑波学院大学や東京ガスつくば支社を会場にした学習イベント、小田城跡歴史広場などの文化施設も含まれる。国立公文書館つくば分館では22日から8月31日まで、企画展「平家物語 変わりゆく時代を学ぼう」を開催。パスポート・チラシの配布場所はつくば市役所1階総合案内所ほか各窓口センター、つくば総合インフォメーションセンターなど。

▼電話:029-883-1111(つくば市教育局教育指導課) https://www.city.tsukuba.lg.jp/kankobunka/event/1004810.html

各施設で多彩なイベント・プログラム

【科学捜査展 科学の力で真実を解き明かせ!】20日から9月1日まで、つくばエキスポセンター。科学技術を使って事件や事故の現場に残された見えない証拠を分析する科学捜査。実際の捜査で使われる鑑定技術を体験装置や映像、パネル展示で紹介。車とバイクの接触事故、放火の可能性ある火災事件など4つの捜査体験シミュレーションで犯人を推理する。
▼当日配布の整理券方式で1回12組。参加は無料だが、入館料が必要。電話:029-858-1100(つくばエキスポセンター)http://www.expocenter.or.jp/?post_type=event&p=41107

【森林総合研究所「夏の一般公開」】27日午前9時30分から午後4時まで。最新の研究成果を解説するパネル展示や、体験型イベント(サイエンス体験、見学ツアー、ウッドクラフト、クイズラリー、昆虫のコーナーなど)を実施する。森林浴のリラックス効果体験、大人限定の木を発酵したアルコールの香りを試すコーナーなど体験会。講演は「茨城にシカがやってきた」岡輝樹(野生動物研究領域長)ほか。
▼電話:029-829-8372(広報係)https://www.ffpri.affrc.go.jp/news/2019/20190727natsukoukai/index.html

 

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

土浦の花火100年の紡ぎ⑹《見上げてごらん!》53

【コラム・小泉裕司】観客動員数の推移について、「土浦の花火オフィシャルカレンダー2026」の6月のページには、「第14回(1946年)の35万人(当時人口の約7倍)から順調に増加し、第77回(2008年)には過去最多の80万人を記録した。当時は土浦駅に入場規制がかかるほどの混雑ぶりだった。その後は70万人ほどで推移している」とある。 2025年(第94回大会)の観客動員数は65万人。この数字の変遷は、大会が歩んできた発展の歴史そのものといえる。こうした発展の裏には、これまであまり功績を紹介されてこなかった業界の著名人がいる。 東大卒の花火師が土浦に 東京帝国大学文学部を卒業した花火師、武藤輝彦氏(1921~2002)は、日本の近代花火を語る上で欠かせない先駆者の1人だ。前回(5月17日掲載)紹介した通り、武藤氏は、かつて「土浦火工」とともに、土浦の花火産業の両輪を担った「昭和火工」の専務として、北島義一氏と共同経営にあたっていた。 その工場は土浦市上高津にあり、玩具(がんぐ)花火を幅広く取り扱いながら、東京浅草橋の事務所を拠点に全国へ営業を展開していたのである。 花火史に残る武藤氏の功績 昭和火工の再興から5年後の1961年、花火を文化財の対象にすべく「日本煙火芸術協会」が設立されると、武藤氏は事務局長に就任した。その事務局は、浅草橋の昭和火工事務所内に同居する形でスタートしている。大学卒業後にさまざまな職を歴任したという彼の多様な経験と広い視野が、この精力的な活動を支えたに違いない。 翌1962年には、花火の安全保安に寄与するため、北島氏とともに「日本煙火協会」の設立にも専務理事として深く携わった。花火師として35年余のキャリアを誇る一方で、武藤氏は生来の文才を生かし、日本の花火を「知」として編み上げた人物でもある。『ドン!と花火だ』や『日本の花火のあゆみ』といった多くの著書がそれを物語る。 かつて、土浦市立博物館が「花火を歴史としては捉えてこなかった」と省みたように、煙火業界において花火はそれまで「門外不出の秘伝や口伝が多く、学術的記録にしにくい芸術」とされてきた。それを丹念に文章化し、歴史、技術、文化を後世に書き残した功績は極めて偉大だ。 花火は安全が絶対条件 武藤氏の歩みは、土浦の地にとどまらない。後に、北海道で廃業の危機にあった火工品会社の経営再建を引き受け、1976年には「海洋化研」(札幌市)を起業した。同社は1978年に初めて第47回土浦全国花火競技大会に出品し、今や常連だ。武藤氏の没後も、北海道唯一の業者として創造花火の部に出品し、今なお土浦の夜空を彩り続けている。 土浦の花火史に大きな足跡を残した武藤氏のモットーは「花火は、安全が絶対条件」であった。それは、北島氏が掲げた「安全なくして花火の発展なし」という信念と、まさに響き合うものだったに違いない。本日はこれにて打ち留めー! (花火鑑賞士、元土浦市副市長) <参考文献>「日本煙火協会参拾年史」(日本煙火協会、1993年刊)「日本の花火のあゆみ」(武藤輝彦、あずさ書店、2000年刊)「新訂現代日本人名録2002」(紀伊國屋書店、2002年刊)「花火と土浦」(土浦市、2018年)「HaNaBi 第4部」(朝日新聞秋田版、2024年6月20~22日)

梅仕事《宍塚の里山》137

【コラム・西川菜緒】春、梅の花が咲き終わると、実が少しずつ大きくなります。花が全て結実してくれるとうれしいのですが、残念ながら、今年は例年と比べ実の数が少なめでした。枝をじっくり観察してみると、実が付いている枝と、付いていない枝があるので、受粉が足りなかったのだろうか?それとも、剪定(せんてい)する枝の選び方が良くなかったのだろうか?など、よく観察して次の冬の剪定に備えます。 5月後半から、青梅の収穫が始まります。実が青いうちは、葉の色と混同して見つけづらい上に、今年は、まばらな梅の実を眺め、少し遠慮気味に収穫しました。青梅は、梅シロップや梅酒に加工します。梅シロップは、氷砂糖で漬けるとスッキリした味わいに仕上がり、きび砂糖やてんさい糖で漬けるとコクが出ます。毎年、種類の違う砂糖をブレンドし、配合を変えながら味を楽しんでいます。 6月に入ると、完熟梅の収穫が始まります。宍塚にある梅の木は大木が多く、手の届かないところにたくさんの実が付いているので、台風や嵐の後は収穫のチャンスです。落ちた梅を拾いに、梅林に向かいます。収穫の際、木から梅をもぎ取る作業は、なんだか申し訳ない気持ちになるのですが、逆に、落ちている梅を拾う作業は「一粒たりとも無駄にしてはならない! ありがたくいただかなくては!」という気持ちに変化します。 ジャム、梅みそ、梅干し 落ちて少し傷みや虫食いのあるものは、ジャムに加工します。完熟梅のジャムは、梅の酸味に加え香りが良いです。みそと砂糖で漬け込む、梅みそもオススメです。生野菜、豆腐、蒸し鶏などにトッピングすると、夏場の食欲のない時期でも、スッキリとした味わいになり食べやすいです。傷のないキレイな梅は、梅干し用にします。梅は、そのままでは食べることができず、一手間かかるのですが、この一手間が保存食として長く楽しめる秘訣です。漬けた梅干しからできる、梅酢も優秀な保存調味料です。しば漬けや、醤油と合わせて梅ポン酢にして楽しみます。 振り返れば、今年もたくさんの梅を収穫することができました。梅雨が明けたら、梅干しの土用干しが始まります。夏の日差しを浴びる、梅干しの景色が楽しみです。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

内山社長が退任、後任は常銀投資会社前社長の池田氏 つくば市のまちづくり会社

つくば市が出資する中心市街地のまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻)の内山博文社長が6月末で退任し、後任に同社取締役で、常陽銀行の投資専門子会社、常陽キャピタルパートナーズ前社長の池田重人氏(63)が就任する。24日開かれた市議会全員協議会で、内山社長が報告した。 内山氏は2021年4月の会社設立時から社長を務め(21年3月4日付)、3期目の任期半ばでの退任となる。昨年3月末には同社のナンバー2として内山社長と共に会社の経営を担った元市職員の小林遼平専務が退職している(25年7月9日付)。専務退職後は内山社長が常勤で経営にあたっていた。新たに社長に就く池田氏は常勤で経営に当たるとしている。 24日、市議会で退任のあいさつをした内山社長は「5年間、大役というか、何とか走ってきた、5年前と情勢が変わったと思うのは、工事費の上昇や人件費の上昇で、当初は予期していなかった。つくばの中心部の開発は思った以上のスピードで様々なことが実施されている。全国のまちづくりを見ている中で、つくばは稀有な街。今後どういう戦略をもっていくかによって、つくばの中心部の見え方、あり方が大きく変わっていくと感じている。会社の役員は離れるが、つくばの中心部のブランドは、どこにもない、つくばらしい街であるということが全国に認知されることを願っている」と話した。今後は外部スタッフとして会社をサポートすると述べた。 一方、新社長になる池田氏は慶応義塾大卒業後、常陽銀行に入行し、常務執行役員、営業本部つくば・千葉・さいたまエリア本部長などを歴任した。2022年から常陽キャピタルパートナーズ社長、再エネ電源の買取・売電事業などを行う常陽グリーンエナジー社長を務め、今年3月、両社を退任した。昨年6月から、つくばまちなかデザインの非常勤取締役になっている。 市議会で就任のあいさつをした池田氏は「40年間、常陽銀行と常陽銀行の子会社で働いた。つくばまちなかデザインには会社立ち上げ当初から関与し、当時、常陽銀行とMINTO(ミント)機構(政府系金融機関の民間都市開発推進機構)が出資したファンドから資金を出させていただいたのと、昨年の(つくばセンタービル4階の旧吾妻交流センターをオフィスに改修する)2期工事で、私がいた常陽キャピタルパートナーズから資金を出させていただいた。そういうこともあって、今回つくば市から(社長就任の)話をいただいた時は、ぜひやってみたいと引き受けた。今回の報告にあったように、会社自体がようやく黒字化していい流れできているので、内山社長から引き継ぎ、ぜひ安定的な経営ができるよう努めたい」などと話した。 5年目で初の黒字 市議会では、同社の2025年度(25年4月-26年3月)事業報告と決算報告が実施され、設立以来4年連続の赤字だったが、25年度は初めて黒字になったことが報告された。年間売上は約1億6029万円、売上高から経費などを差し引いた営業利益は約1928万円、税引き前の当期損益は約1095万円と黒字となった。24年度は約3258万円の赤字だった。 一方、開業時つくばセンタービル1階を貸しオフィスなどに改修した際に約3億1600万円の社債を調達したほか、24年度に2期工事として同ビル4階を貸しオフィスに改修する工事のため社債約5500万円を追加発行した。約3億1600万円の社債は24年度から償還(返済)が始まり、26年度は2500万円、27~30年度は各3000万円、31年度は1億4600万円の償還が求められる。今後償還しなければならない社債は25年度末時点で3億4600万円。 事業別では、つくばセンタービル1階と4階の貸しオフィスとコワーキングスペース(共同オフィス)運営などのco-en(コーエン)事業は、売上が約8128万円、営業利益は約3498万円で黒字になったとし、内山社長は「第2期の内装工事の投資で、貸す面積が増えた分、売り上げが上がった」とする。コワーキングスペースはピーク時で月額会員が70人、ビジター利用が2000人を超えたとし、貸しオフィスは新年度の今年4月からオフィス区画が満室となったとした。 つくばセンタービルの地下駐車場の売上は約1522万円で、前期比微増。2023年度からつくば市の指定管理者となっているつくばセンター広場の管理運営事業の25年度の売上は約971万円。つくば市やスマートシティ協議会などが委託するつくば駅周辺の自動運転モビリティ関連の実証実験(25年11月13日付、12月10日付)などのコンサル受託事業の売り上げは約5187万円。 新年度は、地域の研究者らと開発した子供向けの科学やアート体験型プログラムの実施のほか、貸しオフィスの入居者やコワーキングスペースの利用者にセミナーや情報提供を行うなど、先輩利用者が後輩利用者にアドバイスや情報提供を行うメンター制度の導入、中心市街地の動きや企業を紹介する新たなメディアの立ち上げなどを検討していくとしている、 内山社長は、資本金を1億円以下に減資すると税制の優遇措置を受けられるなどから、現在の資本金1億2100万円を減資して9000万円にすることを検討しているとも話した。 「コンサル受託事業が3分の1」 一方市議からは「1000万円の経常利益ということだが、コンサル受託事業が売上の3分の1を占め、黒字化の手助けになっている。co-en事業は(貸しオフィスが全部埋まるなど)天井まできている」「今後の社債の償還は大丈夫か」などの指摘があった。 内山社長は「コワーキングスペースは毎年春に稼働率が下がって、4月に上がり、余白が残っている。メンター制度を導入して(月額会員)70人から100人を目指したい」「モビリティの実証実験は将来継続的でないので、これを補う企画を2~3年の間で獲得していきたい」などと話した。 ほかに、昨年中止になった市内の小中学生が参加するイベント「ランタンアート」については「(イベントの主催者で、同社が事務局を務める)つくばセンター地区活性化協全体でにぎわいの定義を再構築して、何を行うのか、あるべき姿を1~2年かけて議論していく」、消費期限切れの食品を販売し販売がストップしている冷凍自販機(26年2月4日付)については「運営管理が属人的になっていた。管理体制ができれば再開する」と答えるにとどまった。(鈴木宏子)

公立学校も「経営」の視点を持つ時代へ《よぎさんの眼》2

【コラム・よぎ(P.ヨゲンドラ)】日本の公立学校は今、大きな転換点を迎えている。少子化による生徒数減少、教員不足、教育ニーズの多様化、さらには地域間格差の拡大により、従来型の学校運営では立ち行かなくなりつつある。これからの学校には、単なる「運営」ではなく、学校運営や教育活動に関する情報を数値化したデータとしてフォローする「経営」の視点が必要である。 これまで公立学校では、「前年通り」が重視される傾向が強かった。予算、教育活動、組織体制など、多くが慣例ベースで維持されてきた。しかし、人口減少時代に入り、学校は自然に生徒が集まる存在ではなくなった。特に地方では、学校の魅力そのものが地域の存続に直結する時代になっている。 社会ニーズに応える学びの企業 私は、公立学校も「学びの企業」として再定義する必要があると考えている。もちろん、利益追求を意味するものではない。ここでいう経営とは、「生徒ファースト」を掲げ、「限られた人材・予算・時間を最大限活用し、生徒の成長という成果を高めること」である。あらゆる教育活動を連携し、その効果を最大化するデザイン・シンキングが必要である。 例えば、民間企業では、顧客ニーズを分析し、組織改善を繰り返しながら価値向上を図る。一方、多くの学校では、生徒や保護者が何を求めているのかを十分分析できていない場合も少なくない。大学進学だけでなく、国際教育、探究活動、デジタル教育、キャリア教育など、社会が求める力は大きく変化している。それにもかかわらず、教育内容や学校組織が変化できなければ、生徒の学びと社会との間にズレが生じてしまう。 人材育成こそが教育現場改革の鍵 また、学校経営において重要なのは「教員育成」である。優れた校舎や設備があっても、教員組織が疲弊していては教育の質は向上しない。現在の学校現場では、長時間労働や過剰な事務作業により、教員が本来注力すべき「生徒と向き合う時間」が奪われている。 多くの教育委員会は立派な研修センターを持っていても、教員や管理職育成のための実践的な講座をデザインしていない。教員が必要とする授業のアイディアや道具を研修センターでトコトン研究すべきである。教員の内外研修、業務改善やDX化を進め、教員が創造的な教育活動に力を注げる環境づくりが必要である。 さらに、校長の役割も変わるべきである。従来の管理型ではなく、学校の方向性を示し、人材を育て、外部と連携しながら組織を動かす「経営者型リーダー」が求められる。企業、大学、自治体、海外機関などとの連携を進め、学校を地域と世界につなぐ存在にしていく必要がある。学校の予算は事務長任せではなく、新規調達、維持管理費の妥当性を自ら確認し、業者を増やすことで癒着を解消していくべきである。 「選ばれる学校」への変革 これからの学校は、「ただ存在する学校」ではなく、「選ばれる学校」へと変わっていく。そのために入学希望者のニーズを理解する必要がある。教育改革とは、単なる制度変更ではない。学校という組織そのものの在り方を問い直すことなのである。人口減少社会の日本において、学校経営の改革は避けて通れない課題であり、日本再生の重要な鍵の一つになるだろう。(元県立土浦一高・付属中学校長)