日曜日, 5月 25, 2025
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予防接種委託料を26医療機関に誤振込 つくば市

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市は21日、予防接種を実施した市外の医療機関のうち26カ所に、誤った金額の予防接種委託料を振り込んでしまったと発表した。

誤って振り込んだのは、市内在住の乳幼児や高齢者などが4月に市外の医療機関で予防接種を受けた医療費のうち、市が負担している委託料で、市健康増進課によれば、同月の総額は205万9950円だった。

26カ所のうち12カ所には本来支払うべき額より少なく振り込み、14カ所は多く振り込んでしまった。少なかった医療機関には最大で43万2280円少なく振り込み、多過ぎた機関には最大で38万860円多く振り込まれている。一方、市内の医療機関に対しては、支払方法が異なるため誤りはないという。

4月分の支払い手続きをするため、同課の担当職員が、パソコンの表計算ソフトでデータを並べ替えた際、医療機関名とコード番号だけを並べ替え、委託料の金額を一緒に並べ替えしなかったのが原因と見られる。

20日になって市は誤りに気付き、各医療機関に謝罪した。振込日は21日だったが、すでに金融機関に手続きをしてしまったため振り込みを止められなかった。少なかった12カ所に対して市は21日中に差額分を振り込んだ。多く振り込んでしまった14カ所に対しては24日から差額の返還をお願いしていくという。

再発防止策として市は、書類作成時にあたっては、複数の職員によるチェックを徹底するとしている。

ウェブ上に「自然災害伝承碑」表示 国土地理院が新しい地図記号

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自然災害伝承碑の表示例=常総市三坂町の「決壊の碑」

【相澤冬樹】天災は忘れたころにくる――から、被災地では被害を伝える石碑などを建て後世に引き継ごうとしてきたが、その存在を忘れたころにやってくるのが天災ともいえ、残された教訓が役立たないケースもあった。つくば市の国土地理院は、防災意識の向上につなげようと、「自然災害伝承碑」という新しい地図記号を作り、19日から運用を開始した。過去の災害情報と合わせ、インターネット上の「地理院地図」に表示している。

常総市の「決壊の碑」の所在地が地図記号で表示される=地理院地形図から

「自然災害伝承碑」の地図記号は、石碑をイメージした形のデザインで、洪水や津波、火山の噴火など過去に起きた自然災害について書かれた石碑やモニュメントの位置を示している。新しい地図記号が作られるのは13年ぶりという。

地理院によると、昨年7月の西日本豪雨で被災した広島県坂町には、1907年に起きた大雨で犠牲者が出たことを伝える石碑があったが、地域の住民にあまり知られておらず、教訓が十分に生かされなかったことが被害を大きくした。同様のケースは2011年東日本大震災での津波対策や緊急避難にもみられた。

そこで、新たな地図記号を設定しつつ、自治体などと協力して設置場所や碑文の情報を収集した。まず48 市区町村の自然災害伝承碑158 基について公開準備が整ったため、19 日からウェブ地図「地理院地図」に記号を掲載した。死者数や建物被害などを示す情報を補足し、100字程度に要約したページともリンクしている。記号はこの先、2万5000分1地形図にも掲載される予定だ。

茨城県内からは今回3市計5カ所が登録された。2015年9月の関東東北豪雨で鬼怒川が決壊し、市域の3分の1が浸水した常総市の2カ所はじめ、龍ケ崎市の2カ所、行方市の1カ所、いずれの碑にも水害が記録されている。

地理院では、住民の防災意識の向上、学校での防災教育などに役立ててほしいとしている。今後、約150市区町村について、準備が整いしだい順次公開するとともに、引き続き情報を収集し、定期的に更新、公開をしていく。

➡地理院地図の初期表示画面へのリンク 左の情報リストから「自然災害伝承碑」が表示される

天童発「赤い宝石」土浦着 22、23日にサクランボ販売のフェア開催

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【谷島英里子】土浦市と観光物産協定を結ぶ山形県天童市は22、23日に土浦市内3カ所で「天童フェア」を開き、生産量日本一の同県産サクランボ「佐藤錦」を販売する。

サクランボを収穫する生産者=同

サクランボが日本に伝わったのは明治初期で、各地で栽培が試みられたが、ほとんどが失敗、霜害や台風被害の比較的少ない山形県の内陸部だけが「成果」をあげたという。佐藤錦は同県内で交配育成された品種で、「赤い宝石」とも呼ばれ、見た目がきれいな鮮紅色で光沢がある。果肉はジューシーで、さわやかな酸味と強い甘みが特徴だ。

天童フェアでの販売価格(税込み)は、フードパック1パック(200グラム)600円、2パック1100円、1キロバラ箱入り4700円。宝石箱のように手作業で箱詰めされたパッケージ(3500円)も用意される。

ほかに漬物やお菓子、くだものの缶ジュースなど特産品が並ぶ。一部会場ではサクランボシロップのかき氷を販売する。

山形県東部に位置する天童市は、江戸時代末期に市内の8村が旧土浦藩領だったことなどが縁で、土浦市と相互交流協定を結んだ。天童フェアの問い合わせは土浦市観光協会(電話029-824-2810)まで。

天童フェアの日程と会場は次の通り。

◆土浦まちかど蔵(中央1丁目)=22日午前10時~午後5時、23日午前10時~午後2時 サクランボ、漬物、お菓子、山形の玉こんにゃく実演販売
◆小町の館(小野)=22日午前10時~午後3時、23日午前10時~午後2時 サクランボ、漬物、お菓子、山形の玉こんにゃく実演販売
◆J:COMスタジアム土浦(川口2丁目)=22日午前10時~午後3時 山形の玉こんにゃく実演販売、サクランボシロップのかき氷(天候不良の場合中止の場合あり)

つくばの歴史や文化、楽しく学んで 「秀峰筑波かるた」完成

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秀峰筑波義務教育学校区の歴史や文化が楽しく学べる「秀峰筑波かるた」

【谷島英里子】つくば市北部の小中学校9校の統合による市立秀峰筑波義務教育学校(つくば市北条)の開校(2018年4月)を記念した「秀峰筑波かるた」が、このほど完成した。学校区の歴史や文化を楽しく学べる内容で、生徒や保護者、地域住人など約3000人が協力した。

かるた制作委員会委員長の柿崎優子さん

制作を呼びかけたのは、同校のPTA役員を務めていた柿崎優子さん(47)。旧作岡小閉校の際も記念かるたを作った経験があった。「かるたはシンプルなゲームで誰でも楽しめる」と、多くの賛同により、義務教育学校の開校記念事業としてPTA役員を中心に制作委員会が発足した。

かるたの箱は染色家の柿崎さんが自らデザイン。「あ」から「ん」までの46種類あり、読み札は同校5年生が考え、美術部員が絵札を描き、札の裏側には解説分も加えられた。札には地域の特産品や伝統行事、歴史上の人物、方言が盛り込まれた。例えば、「矢中の杜(もり) 昭和感じる文化遺産」「乱世の世 何度も挑んだ小田氏治」といった文化や歴史にちなんだものや「空高く そびえるバナナ筑波山」など標高877メートルを語呂で学べるユニークな作もあった。

全部で110セットを制作。今後は地域などでかるた大会を開催する考えという。17日には同校で贈呈式が行われた。柿崎さんは「かるたは全て地元ネタなので楽しく笑いあいながらできる。3世代で競い合う姿も見てみたいですね」と話している。

希望者には貸し出しを行う。問い合わせは柿崎さん(メールpuninoie@alpha.ocn.ne.jp)まで。

農福連携 つくばの2社が障害者雇用で取り組み

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農福連携の推進を呼び掛ける茨城県のリーフレット

【山崎実】農業の生産現場で障害者を雇用する「農福連携」の動きが注目されている。今年2月には県農業総合センター(笠間市)で農業経営と障害者雇用をメーンテーマに講座が開かれ、つくば市西高野のHATAKEカンパニー(木村誠社長)など雇用に積極的に取り組んでいる3社と、障害者福祉施設が共同で仕事を受注する窓口となっている県共同受発注センター(水戸市)の関係者が、「農福連携」の現状と課題について意見交換した。

講座に参加したのはほかに、NPO法人つくばアグリチャレンジ(つくば市大角豆、伊藤文弥代表)と、おかの農園。サラダ用の野菜と、季節の有機野菜を生産からパッキング、販売まで行うHATAKEカンパニーは、ハウス14ヘクタール、露地90ヘクタールを経営し、社員は60人。パート100人体制で毎日出荷している。

福祉施設から約10人の利用者を受け入れ、直接雇用も現在4人いる。既に計量や袋とじの作業を任せられるなど、生産性の向上に貢献しているといい、「もっと多くの人に農福連携の情報を知ってもらいたい」(同社)と期待を込める。

畑7ヘクタール、田1.6ヘクタール、養鶏500羽を経営するつくばアグリチャレンジは、3カ所の農場を就労継続支援B型施設として運営する。畑では少量多品目の野菜を有機栽培し、野菜セットを近隣に宅配する。田んぼではコメを栽培、養鶏にも取り組み、3カ所平均で60人以上の障害者が働いているという。

同社は他にもレストラン、体験農園、農家の手伝いなどを引き受け、「障害者の働く場所をつくるだけでなく、地域の人たちと一緒にどのように暮らしていけるかを考えて事業を行っている」(同社)と将来を見据える。

県が運営費を負担し、B型施設(就労機会提供事業所)への仕事をあっせんしている共同発注センターが「農福連携」に取り組んだのは2011年からだが、仕事が少なく成約率が上がらないのが実情だ。昨年度は164件の仕事をあっせんしたが、うち農業関係はわずか11件だった。

同センターのコーディネーターは「農業側、福祉側共に(連携に)手探りであるため、初回に限ったお試し補助金制度があると、より理解と経験が深まるのではないか」と提言する。そのための予算獲得を熱望した。

昨年8月、中央省庁の障害者雇用水増し問題が発覚し、秋以降、2518人が採用されたものの、既に131人が退職していることが明らかになった。雇用促進を率先すべき旗振り役がこの有り様では心もとない。講座に参加した3社の取り組みは地道だが、「農福連携」の未来像を模索しながら多くのハードルを一つひとつ乗り越えて、新たな農業形態を生み出そうとしている。

着なくなった子供服を難民に 県立つくば工科高が取り組み

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出前授業でクイズに答えながら、ジーユーの湊賢吾さんからプロジェクトの説明を受ける県立つくば工科高校1年生ら=つくば市谷田部、同校体育館

【鈴木宏子】着なくなった子供服を回収して世界の難民の子供たちに届けるプロジェクトに、県立つくば工科高校(つくば市谷田部、中澤斉校長)1年生157人が今年度取り組む。カジュアル衣料品ブランド、ユニクロとジーユーが実施している「“届けよう服のチカラ”プロジェクト」に参加し、家族や親戚などに呼び掛けて、たんすに眠っている子供服を集める。

18日、ジーユー(東京都港区)社員の湊賢吾さんらが同校を訪れ、出前授業をして難民の現状やプロジェクトの意義などを話した。湊さんは今年秋にイオンモールつくば(つくば市稲岡)にオープンするGUの店長になる予定という。「世界には日本の人口の半分の6850万人の難民がいて、難民の半数は18歳以下の子供」だとしたうえで、「子供服を1枚届ければ1人の子供が笑顔になる。皆さんの力で子供たちが助かる」と呼び掛けた。

出前授業に参加した機械科の杉田丈さん(15)は「話を聞いて、いらない子供服があったらすぐに届けたいと思った」、ロボット工学科の坂巻翔太さん(15)は「遠い国の難民のために自分でできることや皆でできることを考えたい」と感想を語った。

同校で家庭科を教える塚本美幸教諭が、同プロジェクトに応募したのが取り組みのきっかけという。今後は6月中に各家庭に子供服回収プロジェクトの通知を出して協力を求める。7月の美術の授業で、校内に掲示するポスターや子供服の回収箱を飾り付ける絵などを制作する。実際の回収は9月に行い、11月には段ボールに詰めて指定の倉庫に発送するという。塚本教諭は「地域住民が子供服を持ってきてくれれば学校で受け入れたい。地域の保育所などにも協力を呼び掛けることができれば」と話す。

回収する子供服は赤ちゃん用から160センチまでのサイズで、洗濯してあるものが対象。ただし下着や靴下、帽子などは受け付けない。

同プロジェクトは2013年にユニクロとジーユーが全商品リサイクル活動の一環として始めた。これまで6年間で全国で延べ1445校、約16万人の小中高校生が参加し、223万着以上の子供服を回収した。昨年度は全国で388校が取り組み、県内から7校が参加した。今年度は全国で430校が参加する予定という。回収した子供服は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に従って世界各国の難民キャンプなどに届けられるという。

倍率10倍超!? 想定上回り応募47件 つくば市周辺市街地活性化コンペ

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8カ所の周辺市街地の一つ、北条商店街

【鈴木宏子】周辺市街地を元気にしようと「総額400万円 1件最高200万円」と銘打って、つくば市が5月1日から6月14日まで公募した「つくばR8地域活性化プランコンペティション」の応募者が、市の想定を大幅に上回り計47件あったことがわかった。当初、採択は2~4件と見込んでおり、10倍を超える倍率になる。ただし実際に何件採択するかは現時点で未定という。

市周辺市街地振興室は「周辺市街地を振興しようという取り組みはこれまで市としてやったことがなかった。初めてだったので何件応募がくるか分からなかったが、かなりの数に驚いている」と話す。応募した団体のメンバーの一人は「金額も大きいし、(使途の制限が少ないなど)使いやすい支援金だったからではないか」と分析する。

市内外の45の団体や企業、個人から応募があったという。市は現時点で応募団体や事業内容を公表してないが、1次審査を経て、7月27日に公開コンペによる2次審査を予定していることから、1次審査を通過した応募者の事業案を公開したいとしている。NEWSつくばが6月2日付けで紹介した谷田部地区の「わわわやたべや町民会議」(長塚俊宏会長)などは応募の一つだ。同会議は、江戸時代にからくりや和時計を発明した飯塚伊賀七をシンボルに、演劇公演や寄り合い所を開所するなど、すでに活動をスタートさせている。

「総額400万円」をアピールした市の公募チラシ

8カ所に50万円補助事業も

同コンペは、国の地方創生推進交付金を活用して、人口減少や高齢化などの課題を抱える市周辺地区の旧市街地を活性化しようという試み。合併前の旧町村の中心市街地などだった北条、小田、大曾根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原の8カ所を振興する事業が対象で、採択者には今年8月から半年間で、地域住民と協働で事業を行ってもらう。地域との連携が図れるか、新しいアイデアで独創的か、実現可能性や継続性などが審査されるという。

コンペに向けて市は昨年1月から、8地区でそれぞれ勉強会を開いたり、地域会議を開催するなどしてきた。今回のコンペのほかに市は今年度、周辺市街地活性化事業として、8カ所の地域住民らで構成する各市街地の活性化協議会にそれぞれ上限50万円、計400万円を補助する「周辺市街地活性化チャレンジ補助金事業」、旧小田小学校に約2000万円で地域拠点を整備する事業などに取り組む。

商店街を活性化する取り組みとしては、市内で先輩格なのが北条地区の「北条街づくり振興会」だ。県の「がんばる商店街支援事業」や、2007年の市制施行20周年コンペ事業などを活用し、10年以上前から年4回、青空市「北条市」を開いたり、「北条米アイスクリーム」など特産品を開発してきた。2012年5月の竜巻被害の復興でも底力を発揮した。同振興会の坂入英幸会長(69)は「今回の市のコンペには応募しなかったが、県の事業や市制20周年のコンペで採択されたことが、これまで12年間の活動のはずみになった」と振り返る。

【香害】㊦ 洗濯に注意促すチラシ配布 つくば市教委

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市教育局が柔軟剤などの使用自粛を保護者に呼びかけたチラシ(左が幼稚園向け)

【橋立多美】つくば・市民ネットワークは、子育て中の疑問や悩みを話し合う「子ども部会カフェ」を開いている。この場で、クラスで使いまわす給食当番の白衣の強烈なにおいが話題に上り、2人の母親が子どもの化学物質過敏症の深刻さが周囲に伝わらない苦しい胸の内を明かした。

白衣の匂いで食べられない

白衣の強い匂いで給食が食べられない児童がいる。子どもが持ち帰った白衣は洗濯しても匂いは残り、アイロンをかけたら匂いが立ち上って気分が悪くなったという話もあった。

子どもたちへの影響が懸念され、昨年6月の定例議会で同ネットワークの小森谷佐弥香議員が市の対策を質問した。市は「学校及び幼稚園、保育所の統一した取り組みは行っていないが、強い香りの製品の使用について保護者に配慮をお願いしていく」と回答した。

今年3月、市教育局健康教育課が幼稚園と小・中学校の保護者全員に「強い香りに困っているお子さんがいます」とタイトルを付けたチラシを配付。5月には新入園児と新1年生の保護者を対象にチラシを配った。小中学校向けのチラシには、白衣と貸し出し用ジャージの洗濯に注意を促す一文が書き加えられている。

同課は今後もチラシを配布し保護者への周知を図っていくとする。チラシ配布後、同課に「(香害で)困っていたので助かりました」と電話がかかってきたそうだ。

被害者だから化学物質の怖さが分かるという津谷裕子さん

元凶は揮発性有機化学物質

「香り製品で健康を損ねる香害の元凶は揮発性有機化学物質」と話すのは、NPO「化学物質による大気汚染から健康を守る会」理事の津谷裕子さん(89)。土浦市在住の津谷さんは元産業技術総合研究所の研究者。米国製の測定器を輸入し、科学的視点で環境調査と市民への啓発活動に取り組んでいる。

揮発性有機化合物の一種、イソシアネートは毒性の指摘もある。欧米では製品に含まれるイソシアネートの規制が厳しいが、日本では野放しになっていると津谷さんはいう。多種類のイソシアネートが塗料や接着剤、道路舗装、家具や衣服の防水加工など身近なところで使用されている。

津谷さんによると、柔軟剤や洗濯洗剤などの香りを持続させるためにイソシアネートで出来たマイクロカプセルが使われ、光と熱、摩擦でカプセルが破れ、香りが徐々に出る仕組みだという。ところが破れたカプセルからは中身の香りだけでなく、有害物質のイソシアネートが飛散して空気を汚染するという。

津谷さんは1996年、東京・杉並の自宅近くに建設された不燃ごみを圧縮・積み替えする中継施設からの空気汚染で、ある日突然、化学物質過敏症を発症した。化学物質が付着した家財全てを捨てて土浦に転居した。67歳だった。

「化学物質過敏症は誰もに起こり得る可能性がある。人ごとと思わず、使っている香り製品などが、自分や子どもの体に悪影響を及ぼすかもしれないとの認識に立って買い物をすべき」と警鐘を鳴らす。

これからの季節は制汗スプレーを使う児童生徒が増える。津谷さんは「クーラーで教室の窓を締め切ることが多くなる。制汗剤のにおいで、化学物質に敏感な子どもは苦しいのでは」と心配する。

◆同会がこのほどイソシアネートの調査結果をまとめた冊子「絵でとく 日本におけるイソシアネートのすべて-健康被害、どこにある?どんなふうに?」を発刊。希望者に無料で配布している。先着順。問い合わせはメールvoc@kxe.biglobe.ne.jp(同NPO)。

ホタル狩りに向け草刈りから つくば市の旧田井小跡地

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梅雨の晴れ間をついて草刈りが行われた旧田井小校庭=つくば市神郡

【相澤冬樹】雨天順延から一夜が明けた16日、快晴の筑波山麓、つくば市神郡の旧田井小学校の廃校跡地に地区住民らが集まって、草刈り作業に精出した。田井エンジョイクラブ(杉田敦子代表)が22日に予定する「ホタルが出るかな? 夜の散歩の会」に向けて、集合場所となる廃校跡の校庭に生い茂る夏草を取り除く作業を中心に、校舎回りなどを整えた。

同クラブのホタル観察会は2008年ごろから続く行事、6月中下旬に筑波山麓の細草川沿いに歩いて、光の乱舞を楽しんできた。ずっと駐車場や集合場所に使ってきた同校は、小中一貫の秀峰筑波義務教育学校の開校に伴って18年3月末に廃校となった。校庭の手入れがされなくなり、昨年は同クラブの有志数人で夏草を刈るなどしたが、今季は地区住民にも回覧板などで協力を呼びかけた。

当初の開催予定から雨で1日遅れの実施となったが、刈払機持参の男性や子供連れの女性ら10人以上が参加した。約2時間かけて、チガヤやセイタカアワダチソウなどを刈り取った。杉田代表は「今回はイベントに向けての草刈りだったが、夏草はすぐ生い茂ってしまう。できればもっとひんぱんに手入れできるよう、輪を広げていきたい」という。メンバーの一部からは、子供たちの交流事業などに学校跡地の恒常的な利活用が出来るよう、市への申し入れも行われている。

22日に開催する「夜の散歩」は午後7時ごろから9時くらいの予定。同教育学校の児童やボーイスカウトにも参加を呼びかけている。ちょうどゲンジボタルからヘイケボタルに切り替わる時期で、条件がよければ両種類が見られるという。後は空模様だけが心配だ。

【香害】㊤ 一緒に遊べない、お昼寝できない つくばの保育園児

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梅雨空の下、防犯パトロール隊に見守られて登校する児童たち(つくば市)※本文とは関係ありません

【橋立多美】近年、柔軟剤や洗濯洗剤、制汗スプレーなど、強い香りの製品による健康被害が社会問題になってきた。空気中に漂う有害な化学物質の香り成分にさらされることから、「公害」をもじって「香害」(※メモ)と呼ばれる。中でも化学物質過敏症の子どもにとって、一日の大半を大勢と一緒に過ごす学校や保育園の香害は新たな脅威となっている。

「匂って嫌」

つくば市在住のA子さん(36)が娘のB子ちゃんの異変に気付いたのは2年前、市立保育園に入園したときだった。いつも1人遊びをするため「変わっている子」と言われた。それは幼くて言葉で伝えられなかっただけで、年中クラスになると「ママ、着替えを入れるタンスや、お昼寝ホール、タオルを吊り下げている所が匂って嫌」と理由を説明してくれた。A子さんは「友だちと遊びたくても衣服の匂いがきつくて近寄れなかったんだと思う」と話す。

家ではなんともなく、何が原因か情報を集めて化学物質過敏症だと分かった。半年かけて保育園と話し合った。「香りは好みの問題で慣れれば…」という方針だった園も次第に理解をしてくれ、B子ちゃんの着替えはタンスからかごに、タオル掛けはみんなのタオルと離れた場所に移動してくれた。また、園便りで「香りの強い柔軟剤などの使用の自粛」を呼びかけてくれた。

園の理解は進んだが行事で保護者が保育園に集まると目や鼻をかゆがる、気分が悪くなるなどの症状がでる。帰宅して熱を出したこともある。運動会は園庭に出られず、1人保育室で過ごした。体調不良で登園できない日が多くなり、仕事を辞める覚悟で今年2月に退所届けを出そうとしたが「もう少し様子をみましょう」と園に説得された。

月曜日は香りが強い

4月に年長になったB子ちゃん。A子さんに「保育園に行きたい」とせがむようになった。登園しているが、園児たちの布団が敷かれるホールは洗剤などの香りが充満し、B子ちゃんには耐えられないことから、昼寝時間は家に連れ帰る。仕事をやりくりして保育園と家とを2往復する生活を送っている。週末に布団を持ち帰ってシーツなどを洗濯するため、とりわけ月曜は香りが強くなるという。

A子さんの不安にさらに追い打ちをかけるのが来春の就学だ。小学校内の病弱・身体虚弱特別支援学級を希望するが、市から化学物質過敏症の診断書を求められている。しかし専門の外来は近くにない上、B子ちゃんは診療所や病院の待合室にいると具合が悪くなり、虫歯の治療もできないという。

こうした香害への切実な声を看過できないと、つくば・市民ネットワークの小森谷佐弥香議員が昨年6月、市議会で市の対応について質問した。(つづく)

※メモ「香害」
衣類の柔軟剤などの香りが「不快」を超え、吐き気や頭痛、ぜんそくなどの症状をもたらす。国民生活センターによると、約10年前に香りの強い海外製の柔軟剤がブームになったことをきっかけに、芳香性を強調した製品が増加。その頃から、柔軟剤の香りによる体の不調を訴える相談が増加傾向にあるという。

やる気のある事業主体探してます つくば市が廃校跡地利用でアイデア募集

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耐震強度は十分に保たれている旧筑波東中学校の校舎

【相澤冬樹】つくば市は、廃校跡地を農業関連の事業で利活用する場合、どんなアイデアがあるか、事業主体となる意向のある法人を広く探すための募集に乗り出した。有効活用に向けて、計画のスタートから事業者と市が対話型で組み立てていく「サウンディング型市場調査」という手法を採用したもので、廃校になった旧筑波東中学校(同市北条)を事業化の対象としている。

募集するのは、農業の施設を含んだ利活用のアイデア。応募は事業主体となる意向を有する法人(法人グループ含む)に限られる。農産物生産施設、農産物販売施設、体験施設、地場産物を活かしたレストランなどを想定している。

申し込みは所定のエントリーシートで、応募期間は7月19日まで。今月17日から28日は予約制で、現地見学や個別相談にも応じる。提案書の形で受け付け、市と事業者が対面して、アイデアについて話し合うサウンディングは7月24日から31日まで、同市役所で行う。調査結果概要の公表は8月以降を予定している。

同校は小中一貫の秀峰筑波義務教育学校の開校に伴って18年3月末に廃校となった。敷地面積約3万7000平方メートル、都市計画区分は市街化区域(第1種中高層住居専用地域)。校舎の背後に筑波山が立ち上がる景観や立地から、同校跡地が対象に選ばれた。すでに筑波山地域ジオパークに関する基本的情報の提供、各ジオサイト巡りのための拠点施設として、教室の一部を使用する計画になっている。

担当の市農業政策課によれば、市長公約事業である「廃校跡地等を利用し地域農家が食材提供をするファーマーズビレッジの設立」に沿う形で、昨年来庁内で検討された結果、サウンディング型の採用が決まった。「行政主導の計画策定では限界があり、広くアイデアを求めたかった。1件の応募もないかもしれないし、サウンディングの結果1件も採択されないかもしれない。まったくの手探り」という。

応募の詳細はつくば市ホームページを参照。

➡廃校利活用の調査結果はこちら

➡廃校利活用の意見交換会はこちら

あみプレミアム・アウトレット10周年 21日から記念セール

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6月21日から30日まであみプレミアム・アウトレット入り口のバスロータリー横に登場する高さ6メートルの「カクレモモジリバルーン」(あみプレミアム・アウトレット提供)

【山崎実】7月に開業10周年を迎える「あみプレミアム・アウトレット」(阿見町よしわら)は10周年を記念し、6月21日から30日まで、「10周年アニバーサリー・セール(10TH ANNIVERSARY SALE)」を開催し、各種イベントを展開する。

同アウトレットは2009年7月に開業した。11年12月の第2期増設を経て、現在、約150店舗が出店している。施設規模は敷地面積約21ヘクタール、店舗面積約3万平方メートル。

来場者は県内のほか、圏央道・阿見IC(インターチェンジ)直結の立地条件などから首都圏からも多い。昨年の年間来場者数は約400万人、10年間の総数は約4300万人という。近年インバウンド(訪日外国人旅行)も増えており、昨年は前年比8割増の約1万5000人の外国人観光客が来場した。

10周年記念セールでは、ファッション、スポーツ、生活雑貨などの人気ブランドが多数参加し割引セールを実施する。期間中、3店舗以上、3万円(税込み、合算でも可)以上の買い物をし、レシートをインフォメーションセンターで提示すると、オリジナルマルシェバックをプレゼントする。加えて10周年にちなみ、アウトレットで使える買い物券が最大10万円分当たる抽選会も行われる。

また21日から9月30日までの期間、レストランやカフェで、県内の食材などを使った特別メニューが楽しめる。

目玉企画として幅広い人気を誇る絵本「こびとづかん」とコラボレーションした謎解きゲーム「アウトレットに眠る秘宝・黄金のコビト像の謎」が初開催(期間は6月21日~9月1日)される。インスタ映えするフォトスポットとして高さ6メートルのピンク色の桃の形が特徴の「カクレモモジリバルーン」(6月21日~30日)と、誰もがコビトになれる「なりきり顔出しパネル」(6月21日~9月1日)も登場する。

◆営業時間は午前10時から午後8時。駐車場台数は約3200台、問い合わせは電話029-829-5770。

4年ぶり利用者減に歯止め 土浦のキララちゃんバス 寺院巡りに手応え

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キララちゃんバス=土浦駅西口

【鈴木宏子】3年連続減少していた土浦市のコミュニティバス「まちづくり活性化バス キララちゃん」の利用者が、昨年度、4年ぶりに微増となり減少に歯止めがかかった。昨年から朝7時台の早朝便の運行を開始したほか、昨年12月、初めて、ボランティアガイドの案内でバスに乗り降りしながら寺院を巡るイベントを開催し、定員の2倍の応募があったなど新たな手応えを得たという。

バスを運行するNPO法人まちづくり活性化土浦(同市中央)によると、利用者数は2005年3月の運行開始以来、ほぼ毎年増え続けていたが、14年度の年間約15万9000人をピークに、その後3年連続で減少し、17年度は約12万5000人だった。18年度は歯止めがかかり、微増の約12万6000人となった。

15年9月に運賃を、1回の乗車に付き100円から150円に値上げしたのが主な要因とみられるという。同年9月に市役所が下高津から土浦駅前に移転し、駅から旧市役所を経由するコースの利用者が減ったこと、翌16年3月に土浦協同病院が真鍋新町からおおつ野に移転し、同病院を経由していたコースの乗客が大きく減ったなど、街の変化も追い打ちをかけた。

こうした状況を打開しようと、2017年度に、利用状況の分析と調査に取り組み、乗客や市民へのアンケート調査、ワークショップなどを開催して改善に取り組んだことが今回、功を奏した。18年度から、路線バスが廃止になった土浦駅と霞ケ浦医療センターを結ぶコースで、初めて通勤客向けの早朝便を運行したことなどが、回復の要因になったという。

新たな取り組みにも挑戦した。昨年12月に開催した寺院巡りには、これまでキララちゃんバスに乗ったことがなかった市民が多く参加した。訪れる先の寺院にご朱印の発行を依頼し、参加者のお土産にしてもらった。事務局長の小林まゆみさんは「地元の歴史を知ることができてよかったという人が多かった」と手応えを話す。今年度も引き続き市内巡りイベントを開催する予定だ。

協賛店減少、地域通貨券は3分の1に

「キララちゃん」バスは、市の補助金や市商工会議所の支援を受けて、NPOが運行する全国でも数少ないコミュニティバスだ。市中心市街地を中心に3コースを運行している。6月4日には運行開始から14年2カ月で利用者数200万人を達成した=6月4日付=。運行経費に対する運賃収入の割合は16年度で36.9%と、全国平均の28%を上回り、県内でも上位を維持している。

2007年度から地域通貨券を発行し、中心市街地での買い物を促しているのも特徴だ。協賛店で1000円以上買い物をすれば、100円分の地域通貨券がもらえ、同バスの運賃として利用できる。17年度は地域通貨券による乗車が約70万円分あった。ただし協賛店が減少するなどし、ピーク時の13年度の約236万円と比べ3分の1に減っているという。

「特定技能」外国人材 21日、土浦で受け入れ方セミナー

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セミナーのちらし

【山崎実】県内企業の深刻な人手不足に対応するため、県外国人材支援センター(水戸市千波町)による「外国人材雇用と受入れ方セミナー」が21日、土浦市で開かれる。

今年4月から、建設業、介護、外食、宿泊、農業など14業種で「特定技能」という新たな在留資格が創設されたことを受けて、外国人の就労支援や生活相談などに関する諸制度の内容と活用について、理解を深めてもらおうと開催する。

当日は支援センターの概要について清水伸センター長が、新たな外国人材の受け入れ制度(特定技能外国人)について行政書士の林幹さんが、特定技能制度の活用とモデルイメージを支援センターのアドバイザーがそれぞれ講話する。会場では、企業の個別相談会も行われる。

同センターは今年4月から新たな在留資格が創設されたことを受けて4月1日開所した。制度の周知を図るためセミナーを開いたり、特定技能の資格で就労を希望する外国人と県内企業との就職マッチングを行っている。

◆セミナーは21日(金)午後1時30分から、土浦市沖宿町、県霞ケ浦環境科学センター多目的ホールで開催。参加費無料。定員200人。参加申し込みは14日(金)まで。問い合わせは県労働政策課(電話029-301-3645)または同センター(電話029-239-3304)。

し尿処理排水300トンが流出 つくば市清掃工場

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市は10日、同市水守の市清掃工場(つくばサステナスクエア=旧クリーンセンター)敷地内にあるし尿処理施設から、4日午前11時ごろ、一次処理されたし尿処理排水約300トンが流出し、地中や敷地内、道路などにあふれ出したと発表した。

市環境衛生課によると、古紙や古布などを分別保管する資源化施設を、し尿処理施設から10数メートル離れた敷地内の東側に建設工事中、地中80センチほどの深さに埋まっていたし尿処理施設の配管を、誤って、現在は使われていない配管に接続し、排水が地中に流れ出て、地表にわき出したという。

誤った配管工事は5月31日に行われ、6月4日に地上にあふれ出るまで、地中に漏れ続けたとみられるという。

排水は、水で希釈して生物処理した一次処理水で、糞(ふん)などの固形物は含まれておらず、悪臭はなかったという。本来なら、ますに貯めて公共下水道に流す排水だった。

流出事故を受けて市は4日、し尿処理水の排出を停止。5日、原因が誤接続と判明したことから配管をつなぎ直し、排出を再開した。排水が流出した敷地内と周辺道路の洗浄は6日に実施した。

流出し敷地内で水たまりになっていた処理水と、敷地内の観測井戸の水質を分析した結果、いずれも排水基準と地下水の環境基準を下回っており、周辺環境への影響はないという。

資源化施設は、昨年に解体撤去された旧焼却炉の跡地に建設され、鈴縫・ツクバメンテナンス特定建設工事共同企業体(JV)が昨年12月末から来年3月までの期間で建設工事を請け負っている。

誤接続した配管は、2002年以前の配管布設替え工事で使われなくなり、そのまま地中に残されたとみられるという。市によると、配管を接続する際は通常、正常に流れるかの試験を実施するが、業者は確認作業をしていなかったという。

市は現在、施工業者と施工監理業者に対し、さらなる原因究明と再発防止を指導している。

同清掃工場内のし尿処理施設は1980年に稼働を開始し、し尿や合併処理浄化槽などの汚泥を処理している。処理能力は1日約50トン。

令和に響け 土浦で伝統の「刻の太鼓」

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刻の太鼓を打ち鳴らす保存会メンバーら=10日午前6時、土浦市中央1丁目の亀城公園内にある土浦城址櫓門

【谷島英里子】「時の記念日」の10日、土浦市中央1丁目の亀城公園内にある土浦城櫓門(やぐらもん)=県指定文化財=で、江戸時代に時刻を知らせた「刻(とき)の太鼓」を保存会が響かせた。12日までの3日間、午前6時と午後6時の2回打ち鳴らす。

江戸時代、櫓門の楼上では、午前6時と午後6時に太鼓を打って、城下に時刻を知らせていた。使用された太鼓=市文化財=は胴内に書かれた墨書から1770年に制作されたと分かっているという。

土浦の刻の太鼓は1872年ごろに途絶えたが、市制60周年を記念し、有志らが2000年に復活させた。07年に刻の太鼓保存会が設立され、現在は10~80代の42人が所属している。

保存会は午前6時になると、はっぴ姿で2人1組になり、ばちを太鼓に打ち付けて「ドーン」と約20分間威勢よく響かせた。保存会の須田義之会長は「令和元年、新たな気持ちで伝統を引き継いでいきたい」と話していた。

閣僚声明を採択し閉幕 つくば開催のG20会合

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貿易セッション後の記者会見に臨む(左から)河野太郎外相、世耕弘成経済産業相、石田真敏総務相=9日、つくば国際会議場

【相澤冬樹】つくば市で開かれた20カ国・地域(G20)貿易・デジタル経済相会合は9日、デジタル経済分野と貿易分野をまとめた閣僚声明を採択し閉幕した。世界貿易機関(WTO)改革の在り方や、米中が追加関税の応酬を繰り広げる中で、保護主義への対応について議論がなされた。世耕弘成経産相は「意見一致を見なかった点で議長声明を追加したが、ほとんどの点で合意にもとづく閣僚声明に至った」と成果を強調した。

議長を務めた河野太郎外相、世耕経産相、石田真敏総務相の3閣僚は採択後、会場となったつくば国際会議場で会見した。世界経済の成長を鈍化させる貿易摩擦で、WTOの紛争解決制度がうまく機能していないことが問題をこじらせている。米国とEU(ヨーロッパ連合)との間で意見が対立しており、最近では韓国による水産物の輸入禁止措置をめぐってWTO上級委員会で日本の主張が退けられた―などを背景に、G20は「切迫感をもって」その改革の必要性で一致したという。

保護主義への不公平感は表明されたものの、あくまで「ルールに基づく解決」が望まれた。「貿易と投資の便益が十分に行き渡っていない中小企業や女性たちが参画してこそSDGs(持続可能な開発目標)がいきる」(河野外相)、「人間中心の考え方に立つ『AI原則』で合意できたが、開発や利活用がもたらす生産性向上という果実を十分に行き渡らせることが重要」(石田総務相)などの点でも合意がみられた。

声明に文言こそなかったものの、河野外相は「地元の食材でもてなしていただいた茨城県に感謝」を表明した。「震災から8年、その安全性は確認されているのに、茨城産を含む海産物を依然規制する国がある。その解除に向けて働きかけていきたい」と述べた。

同じく議長会見で、石田総務相は「つくばの高校生のプレゼンテーションに感動した」と並木中等教育学校生徒の提言を記憶にとどめ、28,29日開催の大阪サミットにつなげていきたいとした。

1000人規模がつくばに

会期中、20カ国の閣僚のほか、招待国や国際機関の代表、メディアなど1000人規模の参加者がつくば市を訪れた。夜には歓迎レセプションやカクテルパーティーが開かれ、茨城県産の食材をつかった料理や日本酒などがふるまわれた。

各国の閣僚らによる市内視察も行われ、ロボットスーツを開発する筑波大発の企業サイバーダインやJAXAつくば宇宙センターなどを訪れた。

➡7日の歓迎レセプションの記事はこちら

2日間、つくば市で開かれたG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合を写真で振り返った。

歓迎レセプションであいさつする五十嵐立青つくば市長㊧と大井川和彦茨城県知事=7日夜、オークラフロンティアホテルつくば
8日午前開かれたデジタル経済セッションで、子ども食堂でボランティアをした経験をもとに、ドローンとAI(人工知能)、次世代交通システム「ハイパーループ」の技術を使って、貧困に直面する世界の子どもたちに新鮮な食材を届ける「もったいないシステム」の提案をする並木中等教育学校の高校2年生6人=8日午前11時50分ごろ、つくば国際会議場
デジタル経済・貿易合同会合後、閣僚らが整列して記念撮影=8日午後、同
閣僚らが保護主義への懸念を表明した貿易セッション=9日、同
会期中、会場のつくば国際会議場は緑色のフェンスに囲まれ、警察官や警備員らによって出入りが厳しく制限された=8日昼頃、つくば国際会議場の竹園公園に面した出入口付近
会場周辺の通行を規制する警察官=8日午後1時ごろ、つくば市竹園、つくば国際会議場隣接のオークラフロンティアホテルつくばエポカル前交差点
「たった20カ国で世界を引き回すな」などと訴え大臣会合開催に反対するデモ行進もあった=8日午後4時30分ごろ、つくば市春日

原始の火おこし茨城ゆめ国体へ 土浦の2会場で炬火イベント

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「都和地区の火」の炬火台にトーチで点火する児童たち=土浦市都和の都和公民館

【崎山勝功】9月28日開幕の「いきいき茨城ゆめ国体2019」に向け、市町村ごとにオリンピックの聖火に相当する炬火(きょか)の火種を採る「炬火イベント」が8日、土浦市でも始まった。この日の都和公民館(土浦市都和)と市青少年の家(同市乙戸)を皮切りに、7月20日までの間、市内全8カ所の地区公民館で行われる。

マイギリ方式で火おこしをする児童たち=同

都和公民館では、同公民館チャレンジクラブ所属の小学生19人が4グループに分かれて、「マイギリ方式」で火おこしに臨んだ。縄文時代から火おこしに使われた「キリモミ方式」を改良し、伊勢神宮などで採用されているやり方という。約90センチの長さの火おこし棒を、木の板の上でこすり付けて火をおこす。

イベントは、2019茨城国体土浦市実行委員会が主催。運営に当たった同市国体推進課の担当者は、「採火には反射鏡式もあるし火打ち石もあるが、子どもたちが楽しくできるものとしてマイギリ方式を取り入れた」と説明した。しかし、この日は断続的に雨が降る不安定な天気のうえ湿度が高く、着火は困難を極めた。

子どもたちは滑りやすい木の板に悪戦苦闘、火おこしに成功するグループが出てくるまでに40分ほど掛かった。やっと採れた火種は、ロウソクにともしてから炬火用のトーチに移した。その後、4本のトーチを持った児童たちは、公民館の敷地内でリレーを行い、「都和地区の火」の炬火台に点火した。

火おこしに参加した神林美空さん(10)=都和小5年=は「最初は煙が出てこなかったけど、段々と煙が出て火が点いた。思ったよりも大変で、ちょっとやっただけど腕が痛くなった」と苦労を語った。同じく火おこしに参加した長谷川秀弥さん(10)=同小5年=は「板の位置がずれるのが難しかった。他のみんなは火を起こせたけど、1人だけ起こせなかった」と残念そうな表情を見せた。

炬火の火種は同実行委員会の担当者がカイロで保存する。各公民館の炬火は、キララまつり初日の8月3日に「集火式」で集められ、9月28日、笠松運動公園(ひたちなか市)で開く国体開会式で、他の43市町村の炬火と一つにまとめられる。

公募はなじまない? 市民委員を削除 つくば市政治倫理審査会

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つくば市政治臨時審査会条例とつくば市市民参加推進指針の題字部分

【鈴木宏子】つくば市が、公募の上、内定していた市政治倫理審査会の市民委員を、公募はなじまないとして、議会提案を見送ることがわかった。11日開会の市議会6月定例会に「市民」を削除する同審査会条例改正案を提案する。

同委員は、政治倫理条例に基づいて市長や市議会議員などが、年1回公開する資産報告などを審査する。昨年暮れ、7人のうち2人を公募した。委員になるためには市議会の同意を得なければならず、もともと3月議会最終日の3月20日に提案する予定だった。同日の本会議直前に開かれた議会運営委員会に諮り、その直後、提案自体が見送りとなった。

6月議会に改めて市民委員を提案するかが注目されたが、条例に定められた「市民」委員を削除し、「市民で地方行政に関し優れた識見を有する者」に改める。具体的には部長級市職員や教育委員の経験者などを想定しているという。

議会から意見

市民委員の公募は、五十嵐立青市長が掲げた「各種検討委員会に市民公募委員を必ず導入する」などの公約に基づいて実施している。市は2018年に市民参加推進指針を策定し、市付属機関・懇談会委員の市民公募要綱を作った。要綱に基づいて昨年暮れ、政治倫理審査会でも初めて市民委員を公募し、面接などの審査を経て、今年1月、2人が内定した。

関係者によると、3月議会最終日に開かれた議会運営委員会では市民委員に対し「どのような経緯で公募したのか」「公募するのにふさわしい案件なのか」などの意見が出たという。市民委員に賛成する意見は出なかったという。審議会委員は、議員らの資産報告が正しいことを証明するための預金通帳や残高証明書、納税証明書、源泉徴収票、固定資産評価書、借用証書などを見て審査するため懸念が出たとみられる。

一方、担当の市法務課によると、3月議会の後、市内部で検討した結果「審査会委員は、議員や市長、副市長、教育長などの職務内容に関する知識と市政全般に関する知識を有している人が適任」だとして、条例の条文を改めるという。

「はしごはずされた」

これに対し公募に応募し、今年1月、同審査会の市民委員に内定していた鳥居徹夫さん(69)は「5月下旬に担当課から電話で経過説明と、条例改正をするという説明を受けた。市民参加を言いながら、2階に上げられてはしごをはずされたと感じる。議会に諮って否決されたなら分かるが提案もしないというのが分からない」と話す。「守秘義務については面接のときに説明を受けたし、条例にも守秘義務規定がある」とする。

周辺市町村では、守谷市や取手市が政治倫理審査会委員の公募を実施しており、隣のつくばみらい市は今年度から同委員の公募を開始する。20年近く前から公募を実施している守谷、取手両市は「(公募した市民委員が審査したことによって)これまで問題が発生したことはない」としている。

8日からG20貿易・デジタル経済大臣会合 開催地つくばで歓迎レセプション

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各国大臣らによる鏡開きの後、五十嵐市長の発声で乾杯=オークラフロンティアホテルつくば

【相澤冬樹】G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合が8日からつくば市で始まるのを前に7日、同市内のホテルで歓迎のレセプションが開かれた。大井川和彦知事が歓迎のあいさつ、五十嵐立青市長が乾杯の発声を行い、地酒をはじめとする県産品尽くしのふるまいで、各国代表をもてなした。

もてなしの県産品がところ狭しと並ぶ会場で大井川知事が歓迎のあいさつ=同

歓迎レセプションは午後7時から、同市吾妻のオークラフロンティアホテルつくばで行われた。G20メンバーの国と地域の閣僚はじめ、招待国の首脳、国際機関の代表など約400人が顔をそろえた。大井川知事は「グローバル企業が進出し、世界最先端の研究開発拠点になっている茨城はまた農業が盛んな地域で豊かな食材を用意できた」と歓迎のあいさつ。テーブルには県産レンコンや常陸牛などの料理、イバラキングメロンなどのデザートが並んだ。

各国大臣らが壇上に登っての鏡開きの後、五十嵐市長の発声で乾杯。「あすからの活発な議論を前に今夜はリラックスして交流を」と促した。会場では県内36酒造場から選りすぐりの地酒46銘柄が振る舞われ、歓談の輪が広がった。

9日までつくば国際会議場(同市竹園)をメーンに開かれる貿易・デジタル経済大臣会合は、G20大阪サミット(28、29日に開催)に併せて設定された8つの関係閣僚会合の一つ。自由貿易の推進やIoT、AI等の革新的技術を通じて、経済成長の強化などの取り組みについて議論される予定だ。