水曜日, 11月 12, 2025
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博物館が先陣切る「土浦ひなまつり」 2月からは商店街でも

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「博物館の雛人形」展を案内する関口満さん=土浦市博物館

【伊藤悦子】江戸時代から大正時代に至る3組のひな人形を並べる土浦市博物館(土浦市中央1丁目)の展示を皮切りに、城下町・土浦におひなさまの季節がやってきた。2月4日からは旧市街の商店街を中心に「土浦のひなまつり」が始まる。関係者に話を聞いた。

立春の2月4日から節句の3月3日まで

土浦のひなまつりは、商家などの残る古くからのひな人形やつるしびな、今年の干支「子(ね)」をテーマにした人形、かすみ人形など、様々なおひなさまを楽しむことができる。土浦まちかど蔵(同市中央1丁目)を中心に周辺の店舗128軒に飾られる予定で、昨年より8軒多くなっているそうだ。

まつりの発案者が土浦市観光協会の主任浅川善信さん。2~3月は梅まつりなどで茨城県を訪れる観光客が増える時期だが、土浦は入込客が少なく、寄りたくなるようなイベントが何かないかと考えたのがきっかけだという。

観光協会の浅川善信さん=まちかど蔵

土浦旧市街では、ひなまつりシーズンにつるしびなやひな人形を飾る店舗がすでにあったため、商家に残る古いおひなさまも一緒に展示しようと提案した。2004年に開催した第1回「ひなまつり」のために印刷したポスターは、わずか3枚だったという。地道な活動が実り、おひなさま目当ての来街者も増え、16回目を迎える今年は500枚ものポスターで誘客を図る。

まちかど蔵に展示するひな人形は、江戸時代の人形師、仲秀英(なか・しゅうえい)が作った明治時代のもの。数年前、埼玉県川越市の学芸員が人形を見たときに「もしかしたら貴重なひな人形では? 鑑定をしたい」との申し出があったという。玩具専門の鑑定士が見せた結果、3代目秀英の作と判明した。土浦は湿度が高めだが、人形の保存状態は良好だったそうだ。

浅川さんは「土浦のひなまつりは2月後半からは混むので、前半にいらしていただくとゆっくり見学できます」と来場を呼び掛けている。期間中はスタンプラリーや、和服来場者へのサービスなども実施される。

会期は3月3日まで。問い合わせは土浦市観光協会(電話029-824-2810)

3組並ぶ時代ごとのひな人形

土浦市博物館のひな人形展には、江戸時代後期の「古今(こきん)びな」、明治時代以降の「内裏(だいり)びな」、明治時代から大正時代の「享保(きょうほ)びな」3組が並ぶ。

同館の学芸員、関口満さんに話を聞くと、古今びなは30年以上前、前身の郷土資料館時代からすでに所蔵されていたという。「誰から寄贈されたかなど来歴は不明だが、かなり立派なおひなさま。市内でも1、2番の大きな商家にあったものでは」と話す。

江戸時代、豪商の間でひな人形を飾ることが流行した。過熱して人形がどんどん大きくなっていったため、幕府から大きさを制限するお触れがでたこともあるそうだ。その影響か、同館のひな人形も高さ30センチと大きめ。さらに「玉眼」といって目にガラスが入っているなど細部にもこだわって作られている。

関口さんは「なかなかお目にかかることのできない、一世を風靡(ふうび)した江戸時代のおひなさまに一目会いに来てほしい。時代ごとのひな人形の違いにも注目してほし」と来館を呼びかけている。

「博物館のひな人形展」は3月8日まで。入館料(一般105円、小中高生50円)がかかる。問い合わせは同博物館(電話029-824-2928)

 

つくばR8地域会議「成果報告会」2月開催で参加者募集

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「つくばR8地域会議成果報告会」向けチラシの一部

つくば市は、2月11日に市役所コミュニティ棟で開く「つくばR8地域活性化プランコンペティション2019」採択プラン実証事業の成果報告と周辺市街地活性化協議会のメンバーによるパネルディスカッションの参加申し込みを受け付けている。

R8地域は周辺地区にある北条、小田、大曽根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原の8カ所の旧市街地。市はこれらを対象に今年度、活性化プランを公募し、採択された4団体が実証事業に取り組んできた。その成果報告に合わせ、パネルディスカッションではそれぞれの市街地を盛り上げるために各協議会等で行ってきた活動について議論する。各市街地には今年度、地域住民等が主体となって地域振興のアイデアを自ら実現していくための市街地活性化協議会が組織されている。

4団体は▽わわわやたべや~からくり伊賀七と進める市街地活性化運動(わわわやたべや町民会議)▽「小田山を芝桜でキレイに飾ろう」プロジェクト(小田地域まちづくり振興会)▽R8ロゲイニング「魅力の発見と発信、賑わいの創出、マップづくりとまち歩き」(筑波大学芸術系環境デザイン領域)▽旅する大八車と小さなパレード(studio weekend)。

開催は11日午後1時30分からで、2月4日まで、参加希望者の事前申し込みを受け付けている。定員100人程度、申し込みは専用申込フォームで、つくばR8地域会議運営事務局(電話は029-257-1234、メールはtsukuba-r8@mikami-web.co.jp)まで。

⇒つくばR8に関する既報はこちら

原木シイタケづくりに大はしゃぎ つくばのNPO法人が体験教室

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親子で原木にシイタケの菌を植え込む作業=つくば市中野

【大山茂】シイタケのできる過程を学んでもらおうと、つくば市のNPO法人「里山再生と食の安全を考える会」は19日、同市内のなかのきのこ園で親子を対象に原木となるクヌギなどにシイタケ菌を植え付ける教室を開催した。

この日は市内外から親子連れ約100人が参加。主催者側が用意した長さ1メートル前後のクヌギ200本にドリルで穴を空けることから作業がスタートし、駒と呼ばれるシイタケ菌の入った1センチ四方のカプセルを埋め込んだ。子供たちはスタッフに手を添えられながら電気ドリルを手にし、真剣な表情で穴あけに挑戦。1本の原木に20~30個の穴を空けると、今度はその穴に菌を埋め込んだ。

種菌は駒菌と呼ばれ、あらかじめ培養された菌糸が直系1センチほどの円錐形に加工されている。簡単に穴に埋め込むことができるため、子供たちは大はしゃぎ。幾つもの駒菌を手にしては作業に興じていた。

小学生2人を連れた市内の30代の主婦は「子供はシイタケをスーパーでしか見たことがないので、どういう風に栽培されているのかを知って欲しかった。私も知らないことばかりで、勉強になった」と楽しそうに話した。

お楽しみは1年後

植菌した榾木(ほだぎ)には各自が名前を書いたプレートを取り付け、同きのこ園で水やりなどをしながら管理してもらうという。シイタケが発芽する1年後をめどに再び現地を訪れ、記念に持ち帰ることになる。

参加者らはこの後、従業員らの植菌作業を見学したり、園内の施設でシイタケ狩りを体験。昼にはJAつくば谷田部産直部会のスタッフによるシイタケカレーがふるまわれ、園内の食堂で楽しいひとときを過ごした。

里山再生と食の安全を考える会は、市内の平地林の保全活動を進めており、定期的に集まっては下草を刈ったり、休耕地を借りて草花や野菜を植えたりしている。

「違いの価値観を理解する」 シェイニー校長、水戸へ出前授業

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熱弁をふるうシェイニーさん=水戸市有賀町、妻里市民センター

【相澤冬樹】価値観の違いより、違いの価値観を理解する方が重要かもしれない―。つくばインターナショナルスクール(TIS、つくば市上郷)校長のシェイニー・クロフォードさんが19日、水戸市内へ出前授業、20年を超す日本滞在で身につけた日本語を巧みに操り、国際理解を進めるアプローチ法を体験的に説いた。

シェイニーさんはこの日、同市有賀町の妻里市民センターで開催の「みと好文カレッジ」の講師に招かれた。1995年に来日し、福島県田島町(現南会津町)で足かけ6年間英語教師を務め、2002年からはつくば市で日本語の勉強や翻訳の仕事など、英語・日本語のコミュニケーションに携わってきた。1992年設立のTISは英語を話す子供たちのために、英語をベースとした教育を進めている学校で、2008年から運営に関わり、11年から校長を務めている。

「ちゃんとさ」が壁になる

講座は「今、つくばがおもしろい」をテーマにした連続講演会の2回目で、双方向のSNSツールを使うなどしてユーモアたっぷりに話を進めた。「つくばでは人口統計が地区別に出るのだけど、おもしろいのは『うち外国人』っていう項目まで集計されているところ」など達者な日本語で会場を和ませた。

シェイニーさんの母国、カナダは外国人比率が20%を超え、カナダ人と外国人を区別しなくなっている。外国人とは何か、カナダ以外で生まれた人か、両親が外国人か、パスポートの国籍か、定義が意味をなさなくなっているからだ。ところが日本で一段と国際化が進んでいるはずのつくばでも、「うち外国人」の感覚からは抜け出せずにいる。そんな環境で「いきなり友達になる」のはとても難しい。

大学などで学生同士が交流するにはサークルに入るのが近道だが、実際に「外国人」が入会・入部する例は極めて少ない。「日本人はものごとを皆で『ちゃんと』考えてから行動をする考えがしみこんでいて、この『ちゃんとさ』が壁になっている」という見方を示した。

 

シェイニーさんの身についている流儀は正確さよりスピード、「とにかく早くやるのが大事だ」という考え方で、文化の違いが見いだされる。これが対立して時にケンカになってしまう。友達をつくるのに1年もかかるのは大変に思えた。

いわば外側に殻をもつ卵が日本人で、自分の中に芯をつくる桃が外国人。卵と桃のどちらが正しいということではなく、「違い」に価値があるということを学んだ。これを理解しないと異文化同士で友達を作るのは難しいし、「実は、日本人同士でも友達になれない」と結んだ。

会場の女性からは「興味のあったインターナショナルスクールの話は聞けなかったけど、違いの価値観という見方は自分にはなく、とてもおもしろいと思った」という感想が聞けた。

「土浦」「パリ」「バリ」の3テーマ 吉田正雄の世界展Ⅱが開幕

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テーマ「バリ」で作品に見入る来場者=土浦市民ギャラリー

【伊藤悦子】二科展をメーンに土浦で長く活躍した画家、吉田正雄の作品展が19日から、土浦市大和町の市民ギャラリー(アルカス土浦1階)で始まった。没後翌年の1999年開催された「吉田正雄の世界展」から20年ぶりとなる「世界展Ⅱ」は、「土浦とパリ、バリ」がテーマ。油彩や版画の絵画作品をはじめ、木彫や彫刻作品など全部で63点で構成する。

吉田の子息で、ヨシダ・アート(土浦市永国)代表取締役の吉田薫さんによると「父の友人や後輩から、また吉田正雄展ができないかという声が多く寄せられていたが、展覧会を開くのはなかなか大変なこと。土浦に市民ギャラリーができたことから2回目の『世界展』を開くことにした」。20年も経つと、土浦生まれの偉大な画家を知らない人も増えており、「この機会に土浦の方に知っていただきたい」という思いもあったという。

父の肖像を前に吉田薫さん=同

吉田正雄(1935-1998)は土浦市大手町生まれの芸術家。1954年に19歳で二科展に全国最年少で初入選。1961年にはフランスに渡りアカデミーランソン・アトリエ17に入学し、イギリス出身の画家スタンレーウィリアム・ヘイター氏に学んだ。当時、フランスに行くのは大変なことで「渡仏前日は町内をあげて壮行会を開いた」そうだ。1993年にバリ島へスキューバダイビングに行った際、地元の彫刻集団に影響を受け、2カ月に一度はバリの工房に通って作品を作り続けた。

今回、作品は「土浦」「パリ」「バリ」の3テーマに分けて展示した。「3テーマの作品の違いなどもみていただきたい」と薫さん。見どころは、パリのコーナー天井に飾られた「オンディーヌの天井画」。「天井画として父が描いたものだが、今まで一度も天井に展示したことがなかった。天井に飾られているのを見たいという思いがあった。作品自体はかなり重みがあるため、インクジェットでレプリカを作成することで、今回初めて天井画として展示することができた」と話す。

土浦市の87歳の男性は「作品がどれも立派でとにかく驚きです。すばらしいの一言」と作品に見入っていた。龍ケ崎市から訪れた19歳の男性は「独特の色使いが本当にすごい。彫刻も迫力がある」と感想を話していた。

ナショナルサイクルルートをセグウェイで つくば りんりんロードを初走行

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セグウェイツアーの様子。旧小田駅跡を通過する

【池田充雄】国のナショナルサイクルルートに認定された「つくば霞ケ浦りんりんロード」で18日、搭乗型移動支援ロボット「セグウェイ」の体験ツアー(つくば市主催)が行われた。セグウェイの公道実証実験はこれまで、つくば市の中心市街地や谷田部地区で行われており、りんりんロードの活用は今回が初めてとなった。

今回の会場は、つくば市小田の小田城跡歴史ひろば周辺。各回定員6人で3回のツアーが開かれた。1回の所要時間は90分ほどで、前半は広場の中で基本操作などの講習を行った。

短時間の練習でだれもが乗れるようになる

セグウェイはアクセルやブレーキがなく、乗った人の体重移動を本体が検知し、電動で走行する。今回は公道を走るため自動車かオートバイの免許が必要だが、基本的にはだれでも簡単に操作できるという。

講習では乗り降りの仕方から直進と停止、方向転換、ジグザグ走行やスラローム走行などを練習した後、いよいよツアーに出発。広場を後にしてりんりんロードに入り、直線の道を一列になって1キロほど進む。街中を抜けて水田地帯に入ると一気に眺望が開け、行く手に筑波山が間近に眺められた。

鹿嶋市から来た寺田幸代さん(36)は「もっと難しいかと思ったが簡単に乗れて、すごく楽しかった。もっと遠くまで乗れたらよかったのに」と名残惜しそう。一緒に参加した大川文恵さん(37)も「上り坂は楽々で、下り坂も怖くなかった。インストラクターの教え方が上手で、乗れば乗るほど慣れてきた」と楽しんだ。

「馬に乗るときの感覚と似ている」と話したのは、甲冑武者姿で参加した鴨井宏児さん(48)。同会場ではこの日、地域イベント「第32回小田地区どんど焼きと小田城冬の陣」が開かれ、鴨井さんらはステージで演武を披露した。同イベントには市民ら約2000人が集まり、さまざまな催しで寒中の一日を楽しんだ。

筑波山をバックに記念写真を撮る参加者

異例の真冬開花 世界で最も大きな花 筑波実験植物園

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開花したショクダイオオコンニャク。18日夜時点の高さは2メートル32センチ=筑波実験植物園の温室

【田中めぐみ】世界で最も大きな花の一つ、ショクダイオオコンニャクが18日、国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)の温室で開花した。これまで同園では5~8月に開花しており、真冬の開花は国内で初めて。開花期間は短く、咲いてから3日目にはしおれてしまう。

同園での開花は5度目となる。同じ株が連続して花を咲かせるのも国内初で、世界でも極めてまれな事例だという。

18日午後9時半現在、高さ2メートル32センチ、直径86センチでまだ開いている途中だという。虫を呼び寄せて受粉するため、動物の死骸に似た独特の臭いを放っている。

栽培計画担当の小林弘美さんは「ショクダイオオコンニャクが機嫌よく育つように皆で考え育ててきた。職員総出で手塩にかけて世話をしたことが開花の要因と考えている。しかし、開花スイッチがどこで入るかはまだ分かっていない」と話す。

花の直径を測る小林さん

絶滅危惧種で、インドネシア、スマトラ島の限られた地域にしか生えないサトイモ科の植物。同園では2006年に小石川植物園(東京都文京区)から株を譲り受けて栽培を始めた。02年から2年ごとに花を咲かせ、7年おきや十数年おきにしか咲かないとされていた定説を覆した。

今回は、昨年11月6日に67キロのコンニャクイモを定植。12月16日に地表に芽が出て、年明けの1月2日に花芽であることを確認した。18日、日没とともに花が開き始めた。

できるだけ多くの人に見てもらいたいと同園は19日から21日まで開館時間を延長し、午前8時半から午後5時まで(入園は午後4時半まで)開館する。開花までの成長の様子は同園ホームページで公開している。開花の様子のライブ配信も行う。入園料は一般320円。問い合わせは029-851-5159(同園)

➡筑波実験植物園の過去記事はこちら

「不況型」色濃く 2019年県内倒産件数 5年ぶり140件台

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帝国データバンク水戸支店のデータより作成

【山崎実】民間調査機関、帝国データバンク水戸支店(水戸市)によると、2019年の県内倒産件数は140件(負債総額は170億3700万円)で、前年比18件(14.8%)増。このうち県南地域の倒産件数は56件(構成比40%)、負債額は50億9400万円(同29.9%)と件数、負債額いずれも県内で最多だった。

業種別ではサービス業が33件(構成比23.6%)でトップ、次いで建設、小売業が各30件(同21.4%)と続く。主因別では販売不振が131件と実に93.6%を占め、不況型倒産を色濃くにじませている。

負債額では、1億円未満の倒産が101件と全体の72.1%に上り、裾野が大企業より中小企業に及んでいることを裏付けている。

年間倒産件数が140件台になったのは5年ぶり。米中貿易摩擦問題が、県内の大手製造業の景況感浮揚の足かせになったのを始め、台風19号などで甚大な被害を受けた影響で資金繰りの悪化を誘発した。

さらには一部企業によっては事業継承に問題を抱え、休業や廃業に追い込まれたことも考えられる。

今後の見通しについて同水戸支店では「深刻な人手不足による人件費の高騰、消費税増税による消費不振などの不透明感、米中貿易摩擦などの海外リスクが県内経済に及ぼす悪影響が懸念され、引き続き倒産動向に注視していく必要がある」としている。

伝統の百人一首大会で熱戦 筑波高校

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身を乗り出して札を取るなど熱戦が展開されたクラス対抗百人一首競技大会=17日、県立筑波高校紫峰館

【鈴木宏子】県立筑波高校(つくば市北条、国府田稔校長、生徒数240人)で17日、年始め恒例の「百人一首大会」が催され、クラス代表選手による競技大会や、全校生徒が参加したかるた取りなど熱戦が繰り広げられた。

同高は筑波山麓に立地する。筑波山には「筑波嶺の峰より落つるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる」(陽成院)という百人一首の歌があることにちなんで、1972年から大会が始まった。今年で48回目になる伝統行事だ。

同高ではこの日の大会に向け前年の秋から国語の授業で百人一首を勉強したり、かるた取りの練習などを重ねてきた。

大会には筑波大学歌留多部の学生や、地元、秀峰筑波義務教育学校の児童らも参加した。はかま姿で登場した同大歌留多部の学生らは全校生徒の前で競技かるたの実演を披露し大会を盛り上げた。

クラス対抗の競技大会は代表選手3人が1組となって1~3年生12チームが参加した。筑波大歌留多部員による本格的な百人一首の読み上げに耳を澄まし、互いに身を乗り出しながら取り札の数を競った。

競技大会決勝では3年生と2年生のチームが対戦。接戦の末、2年生の嶺田耕助さん(16)、吉田友希さん(17)、熊野修吾さん(17)3人のチームが3年生を逆転で破り初優勝を果たした。

3人は1年生だった昨年も決勝に進出したが準優勝だった。嶺田さんは「去年は決勝で負けたので、リベンジを果たせてうれしい」と語り、吉田さんは「人生で百人一首に接する機会はなかなか無いと思うので地元の文化に触れる機会になる」などと話していた。

GIGAスクール始動 萩生田文科相がつくばの学校視察

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ロボットが図面上の道を通って早く正確にゴールするにはどうしたらいいかのプログラミングを考える4年生の授業を視察する萩生田文科相(中央)=16日、つくば市みどりの中央、市立みどりの学園義務教育学校

【鈴木宏子】小学校のプログラミング教育が2020年度から必修となり、すべての小中学校の児童・生徒に1人1台のコンピューターを配備する文科省の「GIGA(ギガ)スクール構想」がスタートするのを前に、「学校ICT(情報通信技術)活用フォーラム」(同省主催)が開かれ、萩生田光一文科相が16日、全国でも先進事例のつくば市立みどりの学園義務教育学校(毛利靖校長、児童・生徒数1004人)のコンピューターを使った授業を視察した。

フォーラムは15~17日、京都と東京で開催され、併せて先進的なICT教育に取り組む全国の8校で公開授業が実施されている。萩生田文科相は8校のうち、みどりの学園1カ所を視察した。16日催された同学園の公開授業には全国の都道府県や市町村教育委員会のICT担当者ら約300人が参加した。

萩生田文科相は、2020年度中に全国すべての小中高校などに高速大容量の通信ネットワークを整備し、さらに23年度まで4年間で全小中学校の児童・生徒に1人1台のコンピューター端末を配備する計画を説明し、「ギガスクール構想推進本部を設置し文部科学省を挙げて取り組む。ICTを使うことによって授業が劇的に変わっていく。走ってくれる自治体を全面的に応援するが、どうしていいか分からない自治体は相談してほしい」などとあいさつした。

その後、各教室を回り授業を視察。小型のロボットと英語で会話する1年生の授業や、お話をもとにアニメをつくる2年生の授業、一定の面積の図形の形をさまざまに変形していく8年生の授業など、コンピューターを使った授業の様子を見て回った。

学校の中庭でタブレット端末を操作しドローンを飛ばす6年生の授業=同

国のギガスクール構想を受けて、つくば市も2020年度中に全小中学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、23年度までに児童・生徒1人1台のコンピューター端末を用意する計画だ。今後1人1台のコンピューターを用いて、一人ひとりに応じた学びや、探究したり協働する学び、実社会での課題解決に生かすSTEAM(スティーム)教育の実施などが期待されている。さらに授業の準備や児童・生徒の成績処理など教員の負担軽減、学校の働き方改革も期待されている。

雪不足影響 コハクチョウ飛来数 最少 土浦市乙戸沼公園

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優雅に水面を泳ぐ乙戸沼公園のコハクチョウ=15日

【鈴木宏子】土浦市中村西根、乙戸沼公園に飛来しているコハクチョウが、今シーズンはまだ10羽と、同市が2012年に統計を取り始めて以来、最も少なく、来園者らをやきもきさせている。

同市公園街路課によると、今シーズンは昨年12月16日に1羽が初飛来し、25日に5羽に増えた。年末年始はどこかに飛んで行ってしまって1羽も姿が見えず、年明けの今月6日に6羽が再び飛来、7日に今シーズン最多の10羽が確認された。

15日は家族連れとみられる6羽が、ユリカモメやオオバンなどと一緒に優雅に水面を泳ぐ姿が確認され、ウオーキングや犬の散歩の途中に足を止めて、コハクチョウを観察する市民の姿が見られた。

愛犬とほぼ毎日、同公園を散歩しているという近くに住む主婦、下平節子さん(65)は「毎年ハクチョウがくるを楽しみにしている。去年は20~30羽いて数えるのが大変だったのに今年は少ない。『暖冬のせいかね』と主人と話している」などと語っていた。

同公園はコハクチョウの越冬地の一つで、統計を取り始めた2013年2月には最多の102羽が飛来した。その後70~80羽が飛来する年もあったが、ここ数年は20~30羽の飛来数にとどまっている。

乙戸沼で優雅に泳ぐハクチョウの姿を市民に見てほしいと、同市はえさになるマコモを湖岸に植栽するなど環境整備をしてきた。市公園街路課は「(今シーズンの飛来数が少ないのは)気候の関係があるかもしれないが、多く飛来してきてくれればうれしい」と話す。

東北や新潟にとどまる

県内最大級のコハクチョウの越冬地として知られる菅生沼でも今シーズの飛来数は少なく、例年は300羽ほど飛来するが今年はまだ200羽前後にとどまっているという。

ミュージアムパーク県自然博物館(坂東市)動物研究室の椿本武さんは「今年は(越冬地の)新潟や東北で雪が少なく、えさを食べることができるので、こちらの飛来数が増えないのではないか」とし「積雪の影響を受けており、今後、新潟や東北でドカ雪が降れば飛来数が増える可能性もある」と話している。

羽が灰色がかった幼鳥もいて6羽は家族連れとみられる=同

児童虐待防止へ 県が福祉司、心理司を増員

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茨城県庁

【山崎実】児童、高齢者、障害者など「弱者虐待」が止まらない。さらなるセーフティネットの構築が喫緊の課題となっている。

最悪更新の児童虐待 原則48時間以内に安全確認

2018年度の県内の児童虐待相談対応件数は前年度比1.2倍の2687件と、過去最悪を更新した。このため県は各児童相談所の組織改正を行い、「子ども虐待対応課」を新設するなど対策を強化し、国が求めている虐待通告受理後、原則48時間以内に児童相談所などが安全確認を行う。保護者の拒否などにあった場合は、所轄の警察署に情報提供を行い、警察官同行による家庭訪問、安全確認などを実施している。

一方、児童相談所に配置する専門職員については、児童福祉司69人から83人へ、児童心理司を31人から38人に増員するなどの体制強化を図っている。また、現在は中央児童相談所の分室として設置されている日立、鹿行2カ所の分室の在り方についても検討が進められている。

高齢者虐待 息子が最多

県内の要介護施設従事者による2018年度の高齢者虐待件数は、相談・通報が32件、うち虐待(身体拘束、たたく、怒鳴るなど)が認められたのは県内4件で、県は施設調査を行い改善指導した。

また、養護者(同居人など)による高齢者虐待では、相談・通報が597件で虐待は304件。虐待者(重複あり)は息子が157件(45.2%)で最も多く、次いで夫68件(19.6%)、娘42件(12.1%)の順。虐待を受けた高齢者は314人で、女性が239人と全体の76.1%を占めた。

県健康・地域ケア推進課によると、高齢者権利擁護対策推進委員会を設置し、関係機関と連携を強化。高齢者虐待防止に係る対応マニュアル、リーフレットの作成など各種施設を推進している。

障害者虐待 家庭の相談7割

2018年度の障害者虐待の調査では、家庭、職場内での障害者への虐待は県内で14件、被害者は15人。福祉施設内での虐待はなかった。一方、相談・通報は88件で、うち家庭内が60件と7割弱を占め、虐待と判断されたのは12件、13人だった。

虐待の種類別(複数回答)では、身体的虐待10件が最も多く、次いで心理的虐待6件、ネグレクト(放棄、放置)、経済的虐待各2件、性的虐待1件など。

県障害福祉課によると、障害者虐待防止マニュアルなどを配布して啓発活動のほか、市町村職員、障害者福祉施設の施設長などを対象に研修会を実施している。

レトロな市街地と自然の魅力を体感 桜川遊覧船が「こたつ船」に

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暖かい船内からレトロな市街地の景色を楽しむ観光客=土浦市、桜川

【田中めぐみ】風光明媚(めいび)な桜川の魅力を体感してほしいと、霞ケ浦で遊覧船を運航するラクスマリーナ(土浦市川口)が、桜川を遊覧するサッパ船(小型船)を就航している。桜川のサッパ船が1月から暖かな「こたつ船」となってお目見えした。

こたつ船の船首から見た筑波山

「こたつ船」は、土浦港にあるラクスマリーナから出航。桜川を遡上(そじょう)して土浦港に戻るルートで往復約14キロを約1時間かけて周遊する。船長の坪田哲也さんによると、冬は景色が遠くまで見え、ユリカモメ、カモなどさまざまな種類の野鳥を観察することができる。

河口付近から虫掛方面までの桜川沿いには約500本の桜が植えられている。春には「こたつ船」の暖かな船内で花冷えすることなく桜を楽しむことができるとあって毎年人気を博しているという。

ラクスマリーナ専務の秋元昭臣さんは「かつては桜川に貸しボート屋があり、ボートでデートをするのが若者の憧れだった。桜川には冬にしか見られない景色があり、この地域は筑波山地域ジオパークでもあるので、ぜひ船に乗って体感してほしい」と話す。

乗船し澄み切った冬の景色を満喫

13日、記者は「こたつ船」に乗船し桜川を上った。土浦港から霞ケ浦の沖に出ると冬の澄み切った空気の中、遠く南に牛久大仏が見える。やがて桜川の河口に入り、水郷橋、土浦橋、桜川橋、匂橋と4つの橋の下をくぐり抜けていく。匂橋は人と自転車しか通れない趣ある石橋で、映画のロケ地にもなったという。

橋を過ぎると真正面には徐々に筑波山が見え始め、鳥の群れが水面をたたきながら羽ばたいていく。レトロな市街地と絶景の筑波山、雄大な自然の魅力を感じた。

春に満開の桜の中を遊覧するこたつ船(ラクスマリーナ提供)

◆桜川の「こたつ船」は毎年1月から4月まで限定。乗船料は大人1名3300円(税込み)、飲み物、お菓子付き。飲食物の持ち込みも可。午前10時から午後3時まで1日6便運航している。

◆霞ケ浦の沖合を運航する86人乗りの定期観光遊覧船ホワイトアイリス号も期間限定で「こたつ船」となっている。乗船料は大人1570円、子ども780円。午前10時から午後4時までの運航。

問い合わせはラクスマリーナ(電話029-822-2437)。

➡霞ケ浦や桜川の水辺観光に関する過去記事はこちら

TX延伸で議論活発化 臨海地下鉄相互乗り入れ構想 

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つくばエクスプレス=研究学園駅

【山崎実】首都圏とつくばを直結するつくばエクスプレス(TX)の将来延伸構想・計画をめぐる議論が活発化している。実現には莫大な費用と時間を要するが、県議会の議論から一端をのぞいてみる。

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を背景に、東京・臨海開発に熱い視線が注がれているが、TXの将来計画で提起されたのが臨海地下鉄線との相互乗り入れだ。2016年4月の国の交通政策審議会答申で、これまでの秋葉原から東京までの延伸に加えて、都心部・臨海地域地下鉄構想との一体的整備が初めて盛り込まれた。

この臨海地域地下鉄構想は、将来、交通需要の増加が見込まれる晴海、豊洲、有明などの地域と都心部を結ぶ約5キロの整備構想。臨海副都心とのアクセスの利便性が図られ、TXの東京延伸と一体整備の検討に期待がかかる。

しかし東京都は、その重要性は理解しつつも「他に優先して整備すべき路線があり、現時点では臨海地下鉄整備の方針を固めた事実はなく、構想の段階」だという。今後、関係者間で調整を重ねていく必要があると慎重な姿勢だ。

県は、臨海地下鉄線との相互乗り入れはTXの東京延伸につながるだけでなく、ひいては関西圏など全国各地とのアクセスが飛躍的に増大すると見込んでいる。「東京都からの情報収集に努め、都の今後の検討状況や沿線自治体の意向などを踏まえながら、協議を進めていく」(政策企画部)としている。

TXの延伸構想については県内でも茨城空港への延伸実現への働き掛けがあり、今後、各方面でさらに活発な議論が展開されそうだ。

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【成人式’20】つくばは今年も厳戒態勢 土浦は会場変更に拍手

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つくば市の成人式で新成人の手荷物検査をする市消防団員たち=つくば市竹園のつくばカピオ

【崎山勝功】つくば・土浦両市で12日、成人式が執り行われた。両市とも式典は約40分と短く、会場内外には警察官などが多数配置された。つくば市は今年も厳戒態勢を敷いた。新成人の声を受け会場を市内8カ所開催から1カ所開催に改めた土浦市は出席率が上がった。つくば中央署と土浦署によると、今年は両市とも逮捕者は出なかった。

つくば 厳重警備に苦言も

つくば市の式典は、五十嵐立青市長の新成人向けスピーチと、筑波大学サークル「斬桐舞(きりきりまい)」のよさこいソーラン演舞などを含めて約40分で終了した。会場のつくばカピオ(同市竹園)周辺では、制服・私服警察官をはじめ、市消防団員や民間警備員も多数動員して警戒に当たった。

2017年の式典で壇上に上がろうとした新成人が逮捕された同市では、18年から手荷物検査をはじめ警察官を大量動員した厳戒態勢を敷いた。19年からは会場前の道路を封鎖して車両侵入を防ぐなど警備体制を強化した。

今年は暴走族対策としてビデオカメラを導入したり、「新成人が式典終了後に会場前で滞留して混雑するのを防止するため」(市職員)として、式典終了後に出口付近をロープで規制して会場隣の大清水公園まで誘導する措置を取った。

式典終了後、警備員たちに規制ロープを張られた中で会場を出る新成人たち=同

捜査関係者の一人は「なあなあにはしない」と厳しい姿勢を見せた。私服警察官たちは「茨城県警」「捜査」などの腕章を付け、折り畳み式警棒など装備品を見えるようにして「見せる警備」を実施し、「騒ぎを起こさせない」抑止効果を狙った。

大学で歴史を学ぶ新成人の松崎未有さん(20)=大学2年=は、会場での厳戒態勢ぶりに「ツイッターで(つくば市の)成人式を見ていると『本当なのかな』と思ったけど、実際に会場に来たら警察の人がたくさんいてビックリした」と話した。

手荷物検査を受けた新成人の女性(20)=大学2年=は、コンサート会場での手荷物検査が一般化していることを挙げ「何とも思っていない」と答えた。

一方、会場付近に居合わせた60代女性は「成田空港より(警備が)厳しい。警備が物々しすぎる」と苦言を呈した。近隣住民の一人は「もっとソフトな警備ができないのか。余計に(新成人の)反感を買ってしまう」と不安げな表情を見せた。「たった40分のためにこの警備か」とあきれる声もあった。

会場周辺の道路では、新成人の名前入りののぼり旗を掲げた乗用車が4台程度走行したが、大きな混乱は無かった。

五十嵐市長は式典終了後の取材に対し「基本的には新成人の実行委員会が話し合いをしながらやっている」と述べ「分散(開催)のメリットもあるけど、デメリットもある。新成人が考えて『今年も合同(開催)でやる』と選んでいるので我々としては当然バックアップをしていく」と答えた。市民から成人式の内容見直しなどの意見が出た場合には「彼らが大人になる節目なので、いろんな意見を聞きながら考えていくことはいいことだと思うので、私が『こうするべきだ』と言うつもりは一切ない」として、新成人たちの判断を尊重する考えを示した。

土浦 「みんなが市役所動かした」

「今日は一堂に会して成人式を迎えられて良かったですね」。昨年11月に土浦市長に就任した安藤真理子市長は、あいさつ冒頭で約1000人の新成人たちを前に、成人式会場が霞ケ浦文化体育会館(同市大岩田)1カ所に変更されたことに触れた。会場の新成人からは拍手が起きた。

土浦市の会場に集まった新成人たち=同市大岩田の霞ケ浦文化体育会館

安藤市長は、市長就任当日に成人式実行委員会の新成人たちから面会を求められた件に触れ、2日後に集まった実行委メンバーの新成人全員から「(全員が)一緒にやりたい。でも市民会館は工事中。何とかできないか」との要望が寄せられたことを明かし「みんなが市役所を動かしました。これはすごいことです。皆さんが市役所に電話して『市長に会いたい』。これは中々言えません。皆さんの勇気に『うれしい』という思いを伝えたい」と述べた。

あいさつ途中で、同市出身の女優で新成人の宮崎さやさん(20)が登壇し、楽曲「未来へ」を熱唱した。宮崎さんは取材に対し「12月後半に、(安藤)市長が伝えたい言葉が『未来へ』に詰まっているというのをお聞きしたので、1人の女優として(安藤市長の)思いを伝えられたらいいなと思い頑張った」と語った。

会場入り口では、隣のつくば市と異なり手荷物検査や鉄柵による規制は行われず、警察官や市職員たちが警戒に当たったものの大きな混乱はなく、式典は約40分で閉幕した。「大学で観光の勉強をしている」という新成人の草野孔明さん(20)=大学2年=は「中学校単位での開催だと過去の友だちに会えなくなるので、ここ(霞ケ浦文化体育会館)で一堂に会えてよかった」と喜びの表情を見せた。昨年に男児(4カ月)を出産した、新成人の三井優奈さん(20)=主婦=は「あっという間だった。これから子育てを頑張りたい」と抱負を述べた。夫の三井伸之さん(24)=運送会社勤務=は「責任感が増えて、何事も頑張らなければと思う」と、父親になった重みをかみしめていた。

会場周辺では、不測の事態に備えて土浦警察署員らが、暴走車両の侵入を阻止するために交差点などで警戒に当たった。昨年の会場の市民会館前では暴走行為や、会館前の広場に一斗樽などの酒類を持ち込んだ例があったが、今年は式典開始前の正午過ぎに雨が降ったこともあり、体育館前広場に酒類を持ち込んで騒ぐ行為はほとんど無かったという。

式典終了後、安藤市長は取材に対し、元々は別の団体が使う予定が入っていたのを譲ってもらったことを明かした上で「みんなが『ここ(霞ケ浦文化体育会館)でやりたい』と思ったので、トラブルもなく出席率も良かったと思う」と述べた。その上で「子どもたちが望んだ成人式なので、子どもたち同士で『いい成人式にしようよ』となったのではないか」と、会場内外での迷惑行為が昨年より沈静化した理由を解説した。

捜査関係者の一人は、県警が昨年の稲敷市での成人式後に集団暴走行為をした新成人ら34人を水戸地検に送検(3人は逮捕後に送検、31人は書類送検)した件に触れ「今年の成人式前に(送検の)新聞報道が出たことも抑止につながったのではないか」と話した。

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栃木県立農業高校と連携協定 つくば国際ペット専門学校

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連携協定に調印した(左から)つくば国際ペット専門学校の高橋仁校長と栃木県立農業高校の巻島陽一校長=10日、栃木県立農業高校(つくば国際ペット専門学校提供)

【鈴木宏子】県内最大の動物専門学校「つくば国際ペット専門学校」(つくば市沼田、東郷治久理事長)が10日、栃木県立栃木農業高校(栃木市、巻島陽一校長)と連携協定を締結した。

同農業高校は昨年4月、学科編成を変更し、動物科学科内に、従来の牛豚など畜産を学ぶ生産動物コースに加えて、犬などのペットについて学ぶ社会動物コースを新設した。学科改編後初の2019年度入試では動物科学科の出願倍率が4.00倍と栃木県内で最高となった。

社会動物コースの新設を前に、同専門学校は18年5月から、犬を伴って教員と生徒が同農業高校に出向き出張講義をしたり、中学生対象の学校見学会でデモンストレーションなどを実施した。さらに19年6月から3カ月間、犬などペットについて教える高校教員を育成するため専門学校に内地留学してもらい、専門学校の教員助手として授業に参加してもらったり、隣接の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」で犬の世話を体験してもらうなど連携の実績を積み上げてきた。

連携協定調印式は同農業高校で催され、同専門学校の高橋仁校長は「当校が培ってきたノウハウを生徒さんたちにお伝えし、勉強する中でさらに興味を持っていただき、自分の進路や目指す職業として考えていただければ一層お役に立てる」などと話した。同農業高校の巻島校長は「生徒たちが巣立っていく時は道の先にあっていただいて、いろいろな場面で交流できれば一番。社会動物などの技術、知識もまだ足りない部分があるので、いろいろな部分でご指導いただき生徒の教育ができれば」などとあいさつした。

協定締結を受けて、同専門学校は引き続き同農業高校で出張講義をしたり、高校生の職場体験を受け入れるなど交流や連携を深める。昨年、愛玩動物看護師法が成立し動物病院などで働く動物看護師が3年以内に国家資格になることから、動物看護師を目指す同専門学校の生徒が牛豚などと接したいときは、同農業高校が資源を提供などする。

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つくばこそ「社会実装のモデルに」 筑協新春講演会

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筑波研究学園都市交流協議会の新春講演会=つくば市小野崎、ホテルグランド東雲

【鈴木宏子】つくばの産官学連携組織「筑波研究学園都市交流協議会」(会長・永田恭介筑波大学長)の新春講演会が10日、つくば市内で開かれ、内閣府で科学技術・イノベーションを担当する松尾泰寿・政策統括官が講演した。つくばの役割については「(研究成果を実社会で展開する)社会実装のモデルになってほしい」などと語った。

国が提唱する未来の超スマート社会のコンセプト「Society (ソサエティー)5.0の実現に向けて(我が国の科学技術・イノベーション政策)」と題して、AI(人工知能)や情報科学によって社会がこれからどう変わり、国は今後どのような科学技術政策に取り組むのかなどについて講演した。

これからの社会については、今の子供の6割以上は、現在は存在していない職業に就くとという米国の研究者の予測を紹介し、AIやロボットに代替される仕事とのすみわけが求められ、そのためにどういう社会をつくっていくか、どういう教育をしていくかが課題だと話した。

講演する内閣府の松尾泰寿・政策統括官=同

一方、日本の科学技術の現状に対しては、研究論文の質や量に関し国際的地位が大幅に低下しており、諸外国に比べて創業を通じて研究成果を実社会で実現する力が低調だと危機感を示した。

日本の研究者を取り巻く状況についも、大学の修士課程から博士課程への進学率の減少、40歳未満の国立大教員の任期付きの増加、国立大の若手教員採用割合の低下など課題を指摘し、「日本の大学は民間資金の獲得が乏しいため、大学の基金の規模が米国と比べけた違いに小さく諸外国との格差が拡大している」などと話した。

若手研究者が厳しい環境に置かれている問題に対しては、若手研究者の支援総合パッケージを策定するとし、具体的には、競争的研究費を一体的に見直し、7~10年間、700人~1000人規模で研究者を支援する仕組みをつくること、米スタンフォード大などを例に、大学や国立研究機関が出資して外部化法人を立ち上げ、大学や国立研究機関の共同研究機能を外部化することなどが目玉になるとした。

AI、バイオ、量子技術など強化

日本の産業についても、世界と日本の創業の動向を比較し、日本は国際比較で開業率、ベンチャー投資額、成長企業の創出が低く「周回遅れになっている」と強調。国としての科学技術・イノベーション政策について、政府や民間の集中支援により起業家の聖地になる拠点都市を形成する、AI、バイオ、量子技術、環境エネルギーなどを強化分野にすると話した。

そのための人材育成政策としてAI分野では、小中学校、高校では児童・生徒全員が一人1台の端末を活用する授業を実施する、大学では文系と理系を融合するAIの基盤的・融合的な中核研究プログラムの立ち上げなどに取り組むなどした。

さらに健康・医療、農業、国土強靭(きょうじん)化、交通インフラ・物流、地方創生(スマートシティー)の5分野でAIの社会実装に取り組み世界をリードしたいと話した。

地方創生と大学の役割についても触れ、日本は企業の東京一極集中度が他国と比べても大きいことから、地方大学と自治体が連携し、産業の振興や人材育成を行うなど様々なことに取り組んでいくことが重要だと述べた。

ふたたびの徳一大師 土浦の古代仏教研究家が30年ぶり続編

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内山純子さん=土浦市内の自宅で

【相澤冬樹】神の山、筑波山にお寺を開いた奈良・平安時代の僧侶、徳一(とくいつ)をご存じだろうか。土浦市在住の古代仏教研究家、内山純子さん(85)が「法相宗(ほっそうしゅう)徳一の教化を中心に」をサブタイトルとする著作『古代東国の仏教』(青史出版)をまとめた。内山さんは1990年にやはり徳一を取り上げた『東国における仏教諸宗派の展開』(そしえて)を上梓しており、ほぼ30年ぶりの続編となった。

筑波山を足場に東国教化

著作によれば、徳一は天平勝宝元年(749)生まれ、承和三年(836)- 九年(842)の間に没している。ほぼ最澄、空海と同時代の宗教家だが、平安密教の担い手としで華々しく活動した両大師に対し、徳一は奈良仏教の再生を願い東国に下向、筑波山に拠って論陣を張った。特に最澄と繰り広げた「三一権実論争」は、わが国における大乗・小乗仏教の宗教論争として知られ、徳一関連で今日に残された数少ない文献となっている。

その足跡は筑波山のほか、福島の会津、いわきに残されている。内山さんはそれらの地域を訪ね歩き、記録を再構成して、今回の著作にまとめあげた。

同書では、徳一を藤原仲麻呂(恵美押勝)の末子と特定した。仲麻呂の乱(764)は徳一16歳のときで、配流を経験したのが東国での布教のきっかけになったという見方を示した。当時の常陸は蝦夷(えぞ)征伐など度重なる出兵に疲弊し、さらには地震や水害に苦しめられていた。大同元年(806)には会津磐梯山が大噴火を起こしている。

徳一はぼろをまとい、粗食をいとわずこれらの地域に入り、救済のため仏法を説き、寺院を建立して回った。その足場としたのが筑波山。当時から神の山として知られていたが、藤原氏の氏神である鹿島神宮の許諾をとる形で筑波山に入ったと見られる。

「古代東国の仏教」表紙写真は徳一座像(月山寺所蔵)

筑波山寺(知足院中禅寺)を開基したのをはじめ、東西南北にそれぞれ菖蒲沢東光寺(石岡市)、椎尾山薬王院(桜川市)、東城寺(土浦市)、小幡薬王院(石岡市)を配した「筑波四面薬師」を教化の主な舞台とした。同書巻末には、徳一伝承寺社が一覧表にまとめられており、茨城県内には42寺社を数える。

さらに会津では恵日寺(磐梯町)、勝常寺(湯川村)、円蔵寺(柳津町)などが徳一の建立と伝わる。これらの寺院は徳一没後、早々に真言宗、天台宗に転じて存続を果たすことになるが、内山さんは「訪ねると、稲敷市の逢善寺など多くのお寺の過去帳に徳一の名が残っている。宗派に関係なく大事にされてきたことが分かる」という。

これらの寺の多くは明治の廃仏毀釈(きしゃく)による被害を免れず、特に徳川幕府の篤い庇護(ひご)を受けた筑波山の中禅寺は徹底的に破壊された。所在地だった筑波山神社周辺を訪ねても、寺跡すら見つけにくく徳一についての手掛かりは皆無に近い。

「そのせいか、筑波の徳一研究はあまり進まなかった」と内山さん。30年の間に、西谷隆義さん(故人)や保立道久さん(東大名誉教授)が論考を著すなどしているが、単発的で会津に比べると体系化されてこなかった。「自動車免許を返納し、歩き回るのが難しくなった機会に今一度資料をまとめ直したかった」という。

知足院中禅寺の流れを汲み、本堂・客殿の新築工事を行ってきた筑波山大御堂(おおみどう)が2020年春には完成の見通しになっている。これを機に徳一評価の機運がふたたび高まることを期待している。

◆内山純子『古代東国の仏教 – 法相宗徳一の教化を中心に』(青史出版刊、四六判、131ページ、本体価格3800円)

重度障害もつ高岡杏さん 筑波大の2020年度学園祭実行委員長に

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友人と会話をする高岡杏さん

【山口和紀】筑波大学の学生で重度の障害を持つ高岡杏さん(19)が、2020年度の同大学園祭「雙峰祭」の企画・運営を行う学園祭実行委員会の委員長になることが決まった。次期学園祭をとりまとめる。

高岡さんは人間学群障害科学類1年。重度の脳性まひがある。都内の高校を卒業後、同大に入学した。現在は同大の学生宿舎で1人暮らしだ。車椅子を使って生活する。一人だけでは食事をしたり、トイレに行ったりすることはできない。そのため重度訪問介護などの公的な介助サービスを利用している。明瞭な発声が出来ないため肘(ひじ)を使ってタブレット端末「iPad(アイパット)」に話したいことを打ち込み、聞かれたことには首を振ってイエスやノーを伝えることでコミュニケーションをする。

パワフルさをアピール

次期委員長を決める選挙は昨年12月6日に行われた。「皆さん、はじめまして。高岡杏です。私はうまくしゃべることが出来ないので、こうやってiPadで演説させていただきます」。事前に台本を作っておき、iPadの文字読み上げ機能を使ってしゃべった。

「私には障害があるので、皆さんは『本当にやりきれるのか』と不安かもしれない。けれど、体力には自信がある。テスト期間で徹夜してもへっちゃら。明日も早起きして大阪まで行きます」と持ち前のパワフルさをアピールした。「忙しくてきつい。そんな実行委員のイメージを良くする」「全体の仕事を透明化する」と運営方針も明確だ。

演説後の質疑応答では「『少しでも障害のイメージを良くしたい』とのことですが、障害のある委員長ということをアピールしていくのですか」と質問が挙がった。それに対しては「障害があっても私は普通に大学生。私が障害者であることとは関係なく、普通に委員長をやるだけ。それに意味があると思う」と返答をした。

結果は無事当選。「とても緊張した。改革をして再来年の1年生がいっぱい入ってくれるように頑張りたい」と抱負を語る。

「将来の夢は脚本家」

高岡さんの日常生活を介助するヘルパーの多くは、同じ障害科学類の同期や先輩だ。高岡さんは「気を使う必要がなくて楽で良い」と感じている。アイドルグループ「嵐」の大ファンで「小学生の頃から好き。ちなみに相葉くん推し」と満面の笑み。学生介助者の1人は「高岡さんのヘルパーに入ると嵐に詳しくなれる」と話す。

将来の夢は脚本家。高校の時には英語部に所属し「英語の映画」を作った。大学に入ってからは映画サークルで「ショートフィルム」を撮ったという。「次は障害のある大学生の日常を描く映画を撮る」と意気込む。筑波大で学ぶ障害学生たちの生活を追うドキュメンタリーだ。

卒業論文を執筆中の他の障害学生(右)と会話をする高岡さん(中央)=青山奈央さん提供

介助制度に課題

活動をしていく上での困りごとも少なくない。「(制度の運用上)サークルの時間はヘルパーを使えない」と制度の問題を語る。サークルの時間に介助の必要な場合は「面倒だけれども一旦宿舎に戻って支援を受けて、そこからまたサークルに戻ったりしている」という。

高岡さんは「公的な介助サービス」と「筑波大学が提供する支援」とを組み合わせて生活しているが、問題は制度の間にある「隙間(すきま)」だ。

公的な介助サービスである「重度訪問介護」。自宅のほか外出時も利用できる制度だ。しかし、同制度では厚生労働省が利用要件を制限しているため「学業」や「通学」は支援の対象外だ。

その一方で、同大は障害のある学生の修学のサポートとして、授業中に有償ボランティアが代わりにノートを取る「ノートテイク」の提供や試験時間の延長措置、バリアフリー化などを行う。

しかし、休み時間の「食事」「トイレ」などの介助は、これらの制度を利用できない支援の「空白」になってしまっているという。

支援の「空白」を埋めるため、国は2018年度から「重度訪問介護利用者の大学修学支援事業」を整備した。これにより、学内でのヘルパーの利用が制度上は可能になった。「画期的な制度」とされる。しかし、事業の実施主体であるつくば市がこれを「実施しない」とした。そのため、現在のところ高岡さんはこの制度を利用できていない。

そこで、同大では高岡さんが大学で学べるよう、大学側の負担で授業時間に合わせて必要な介助を提供する。昼休みの「食事」や「トイレ」の介助などだ。ただし同大は「つくば市がサービス実施を決定するまでのあくまで暫定的な措置だ」としているそうだ。この措置においてもサークル活動には支援の提供がなされていないという。

もちろん、公的なサービスであるからには「どこまで支援をするか」という線引きは重要だ。予算が際限なくあるわけではないのだから「つくば市が悪い」「筑波大の対応が不十分」などと断ずることはできない。しかし、「食事」や「トイレ」などの支援は、本人がどこで何をしているかには関係なく必要になる。そして、どこまでが「修学」で、どこまでが「生活」なのか、明確な線引きはできない。

高岡さんは「サークル活動も学生生活の大切な一部だ」と語る。だからこそ「もっと柔軟にヘルパーを利用できる形になっていってくれたら」と話す。

そのうえで「仕方のないことだが学園祭実行委員会の仕事が遅くなったり、突然入ったりするので、(宿舎での)ヘルパーさんの日程調整が難しい。自分勝手に変更は出来ない」と活動をしていくうえでの悩みを語った。

ユリカモメ乱舞 霞ケ浦で初日の出クルーズ

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帰りの航路に就いたころ、ようやく雲間から日差しが届いた=2020年1月1日午前7時10分ごろ、土浦市大岩田沖の霞ケ浦

【相澤冬樹】2020年の幕が開けた。1日未明、土浦市川口の土浦港を出て初日の出クルーズを行ったのはラクスマリーナ社の観光遊覧船、ホワイトアイリス号。ユリカモメ舞い飛ぶ霞ケ浦で初日の出を待った。

初日の出クルーズは約15年続く同社の人気企画。今回は約80人が乗船し、午前6時に出港した。同市大岩田のライトアップされた霞ケ浦総合公園地先の沖合あたりを巡航しながら、朝ぼらけの湖を楽しむ趣向だ。

上空は星空が見えるものの東南の空には低く雲が垂れ込め、スマホで見る気温計は摂氏2度をさした。日の出予定時刻は午前6時50分、船上で振る舞われる豚汁に、温もりを求める行列が出来た。

夜が白みかけると、ユリカモメの群れが現れ、船の周囲を飛び回り始めた。カムチャッカあたりからやってくる冬の渡り鳥だが、年々飛来数が増えているそう。「カモメたちにお年玉をあげましょう」の船上アナウンスで、乗船客による餌付けタイムが始まった。子供たちが大騒ぎになると、大人たちも熱くなり歓声が飛び交う。

ホワイトアイリス号の周辺に、ヨットやら一般のクルーズ船も目立ち始める。なかなか姿を現さなかったお日様が、雲間から日差しを湖面に届けたのは7時10分ごろ。帰港時間が迫っていた。

それでも乗客は大満足。神奈川県川崎市の原田厚子さんは取手市の実家に帰省中、NEWSつくばの記事を見て申し込んだという。「こんな初日の出は初めてだし、カモメさんがすごかった。いい写真もいっぱい撮れた」と喜んでいた。

ホワイトアイリス号に群がるユリカモメ=同

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