土曜日, 7月 12, 2025
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あれから…ん年 土浦一高OB・OG美術展開幕 駅前ギャラリー

県立土浦一高(土浦市真鍋)卒業生による美術展が18日からJR土浦駅西口前のアルカス土浦1階 市民ギャラリーで開かれている。美術展の名称は「あれから…ん年 第5回土浦一高OB・OG展」。美術系大学に進学してデザイナーや彫刻家になったプロや、趣味で水彩画を描いているアマチュア計22人が出展している。22日まで。 作品百数十点は、日本画、水彩画、油彩画、書、建築デザイン画、写真、デザイン、彫刻、陶芸など多岐にわたる。最年長は1956年卒の堀内壹子さん(日本画)、最若手は1994年卒の鳥井旬子さん(備前焼)と年齢の幅も広い。作品発表の場であると同時に、旧知の友人と交流する社交の場にもなっているようだ。 市民ギャラリーは4つの区画に分かれており、同展は2区画を使用。手前区画と奥区画の中央には存在感ある彫刻が並べられた。手前に据えられたのは磯山芳男さん(1973年卒)の「想い」と「告知」(トップの写真)、奥の方に置かれたのは小張隆男さん(1967年卒)の「出を待つ 千代の富士」など3点。 幹事役の高山了さん(1966年卒、シルクロードの写真を出展)によると、出展者は第1回=10人、第2回=16人、第3回=19人、第4回=20人と、回を重ねるごとに増えてきた。 「前回の来場者は約500人だった。今回は出展者も増えたので来場者はもっと多くなるのではないか。現役の土浦一高・附属中学の生徒にも見てもらいのだが、彼らは勉強で忙しいのか少ない。OBとOGが多くなるのは仕方ない」と笑う。(坂本栄) ◆「あれから…ん年 第5回土浦一高OB・OG展」は18日(水)~22日(日)まで土浦市大和町1-1 アルカス土浦1階 土浦市民ギャラリーで開催。開館時間は午前10時~午後6時、最終日は午後3時まで。入場無料。

「当たり前」を問い直す 哲学カフェ 土浦一高生が市民と開催

一つのテーマをめぐり参加者らが意見を出し合い、考えを深める「哲学カフェ」を、土浦一高哲学部の生徒が市内の交流スペースで、一般市民を交えて開いている。イベントの企画、運営、進行は生徒自身が行う。子どもから高齢者まで参加できる開かれた場所で世の中の「当たり前」を問い直そうと、活発な対話が繰り広げられている。 自由って何? 「そもそも『自由』ってどんなこと?」「好きなことをするのが『自由』なの?」「選択肢が多いことが『自由』じゃないかな?」「でも本当に自分が『自由』な選択をしているのかわからないことがある」― 4月27日、土浦市中央のイベントスペース「がばんクリエイティブルーム」2階の和室では、高校生や社会人15人ほどが車座になり意見を出し合った。開かれたのは、土浦一高哲学部の生徒が市民と開く2回目の「市民哲学カフェ『語るカフェ』」だ。午前10時から始まり午後3時半まで、2部制で行われた。 午前中のテーマは「『自由』とはなにか?」。午前・午後を通じたテーマである「我々は『自由』に生きることを求めているのか?」を話し合う前に、まずは参加者各自が思う「自由」について確認し合った。持ち寄られたお菓子や飲み物を口にしながら、自己紹介をしつつ和やかに進んでいく。高校生の孫を持つという市内在住の女性は、「チラシを見て興味を持った。孫がどんなことを考えながら暮らしているのか想像できればと思った」と、参加の動機を話した。 4月に大学生になったばかりだという男性が「大学に入って自由な時間が多くできたが、何をすればいいか悩んだ。大学では自発的に決めなければいけないことが多い」と思いを吐露すると、社会人の男性は「浪人時代に一番自由を感じた」と、自身の経験を語った。年齢も属性もさまざまな初対面の参加者同士が胸の内にある思いを語っていく。 40代の記者も午前中の第1部に参加した。昔の自分を思い出しながら、「大学を中退すると周りの目が気になった。その後、初めて旅した海外で感じた『自由』が今も忘れられない」と述べた。中年の自分が若者を前に自分語りをする気恥ずかしさを感じたが、揶揄(やゆ)する人はいなかった。 参加者にはいくつかのルールが課せられる。「専門用語を使わず、わかりやすく話す」「わからないことがあればその場で質問する」「人の話を最後まで聞く」「自分の意見や信条を押し付けない」「秘密は守る」などだ。人の話に耳を傾けるだけでもいい。誰もが対話の輪の中にいられるよう、工夫が凝らされる。 フランスで始まった哲学カフェ 哲学カフェは、フランスの哲学者マルク・ソーテが1992年にパリで開いたのが始まりとされる。96年にソーテの著書「ソクラテスのカフェ」の邦訳が日本で出版されると、国内の大学や高校、市民グループなどに活動が広がり、全国各地で哲学カフェが開かれるようになった。 土浦一高の哲学部ではこれまで、生徒同士やOB・OGが参加する「哲学カフェ」を学内で開いてきた。学外で行う市民参加型の催しを企画したのは昨年12月が初めて。現在、部員でつくる市民哲学カフェチームのリーダーを務める3年の神谷和奏さん(17)が、会場の関係者と出会ったのがきっかけになった。 同哲学部顧問の飯島一也教諭(57)は「土浦一高の哲学カフェで大切にしたいのが、生徒自身がイベントを運営し、議論を進めるファシリテーターを務めること」だと話す。「教員を介した高校生と市民の交流会ではなく、生徒が直接市民と向き合い、高校生も一人の市民として、多様な参加者のいる対話の場に参加させたかった」と思いを語る。 議論中も、生徒自身が工夫を凝らす。第1部でファシリテーターを務めたのは部長の大野耀大さん(17)。参加者間で議論が白熱し始めると、質問を挟むなどして話し合いのペースを調整する。抽象的な言葉が行き交い始めた際は、チームのサブリーダーで2年の小関凌輔さん(16)が、図やイラストをホワイトボードに描いて議論を整理する場面もあった。議論からこぼれ落ちる人が出ないよう、生徒自身が対話を成り立たせていた。 チームリーダーの神谷さんは「異なる考えを受け入れ合えるのが『哲学カフェ』。私自身、他の人と違う考え方をしても受け止めてもらえることがうれしい。自分が帰属できる居場所だと感じている」とし、一般市民も参加することについては「子どもの私たちに対して、初対面の大人たちが自分の人生観や経験をもとに対等に話をしてくれる。新しい世界の広がりを感じられる」と思いを話す。 市民哲学カフェ運営スタッフで2年の三浦由宇さん(16)は「哲学カフェでは何でも議題にしていい」のが魅力だという。「『当たり前』だと感じていたことを真剣にみんなで議論できる。『これって疑問に思っていいんだ』と感じられる」。2年の小関さんは「参加する人の職業、年代、経験もさまざま。自分だけでは気づけない考え方に出合える」とし、この日のカフェでは「『浪人生時代が一番自由』という話題が衝撃的だった。勉強しなければいけない浪人生こそ一番縛られていると思っていた。参加して良かった」と感想を話した。 勝ち負けではない。 「哲学カフェで大切なことは『対話』。勝ち負けではない」と顧問の飯島教諭はいう。「対話を通じて同じ考え方を紡ぎ出していくプロセスを大切にすることが重要」だとし、「『対話』という形は人間関係のモデルになる」と考える。「社会的な分断が起きている現代社会の中で、多様性を認め合い、共通の言葉を使いながら思索を共にする経験は貴重。土浦一高の哲学部として社会的な意義を見つけることができたら」と話し、「哲学部としてどんな活動ができるのか。部員の中からアイデアがあれば今後も積極的に実現していきたい。他校で哲学をテーマにして活動する部活動があれば情報交換していきたいし、哲学カフェをする他校の生徒たちと交流することができれば」と、今後の活動への思いを語る。 次回の市民哲学カフェ「語るカフェ」は、8月の開催を予定している。(柴田大輔)

土浦一高附属中受験 地元生徒数が減少《竹林亭日乗》28

【コラム・片岡英明】2024年から土浦一高の募集学級が4クラスになり、昨年の土浦市内8中学からの入学者が18人に減少したのには驚いた。土浦一高には附属中(2021年設置、定員80人)から内進生も入るので、今年の市内小学校から附属中に合格する人数に注目していた。 今年の市内小学生の土浦一高附属中への受験者は初年の21年(71人)と比べ3割減の48人、合格者は初年(25人)比5割減の12人となった。市内16小学校で12人だから、1校1人以下である。これは土浦市と土浦一高にとって大きな問題と言える。 地元の受験者減は地域にとって同高が遠い存在となり、学習目標から外れたことになる。それは、土浦一高側にとって新たな魅力発信が必要になったことを意味する。 中高一貫は教師づくりが鍵 茨城県は21年から地域の伝統高校10校に付属中を設置。一方、並木中等、古河中等に加え、勝田高を中高一貫に移行させた。その結果、県内には県立中が13校もある「中高日本一」の県となった。それに見合う教員と施設は十分だろうか。 中高一貫で成果を上げている私立校は、まず教師の個性を認め、個性豊かな教師たちがチームを組み、6年間を見通して指導を行う。卒業生を出すと担任を1年間外れ、次に新しい学年のチームをつくるサイクルがある。だから、自然に20年以上、3サイクルを体験した教師が学年の中核として育つ。 つまり、中高一貫は教師づくりが鍵だ。中高一貫を成功させるには、中心的な教師集団を育て、20年以上同一校に勤務する人事制度が必要である。学校側の安定した指導が地域に見えれば、地元との距離は近くなる。 中学校舎と体育館は必須 付属中が学年1・2学級でも、中学時代は中学の仲間と共に育つ場所が必要だ。同じフロアーに中高同居は安上がりだが、中学用の校舎と体育館は必須である。県内の市立中学では、学年が1・2学級規模でも体育館をはじめ多くの教育施設がある。 付属中を設置しても教室は増やさず、その分の高校定員を削減して調整するという構えでは、受験者減と受験生の苦労につながる。 高校を4学級から6学級に 付属中設置から5年が経ち、土浦一高・附属中の課題が少し見えてきた。「教育は百年の計」であり、始めたものを止めるわけにはいかない。ならば、受験者減の意味を受けとめ、教師の力量を高め、施設の充実をお願いしたい。 すると、県立中の環境改善は少数生徒への配慮であり、公教育としてはどうかという疑問が発生する。そこで、多くの地元の生徒のために、土浦一高の定員を4学級から6学級に戻してはどうか。 定員を増やし、教育環境を改善すれば、地域での魅力は高まる。そうすれば、多くの地元生徒が土浦一高を目標校に定めると考える。(元高校教員、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

土浦一高は地元中学生に遠い存在?《竹林亭日乗》19

【コラム・片岡英明】土浦の中学生は市内に全日制県立高校が5校あり、高校受験には恵まれていた。それが、土浦一高の付属中設置以降大きく変わった。今回はその現状と受験生への応援策を考えたい。ただし、附属中設置の是非については論じない。 2024年の高校受験では、土浦市立中学8校の卒業生1103人のうち、426人(全卒業生の38.6%)が市内の5県立高校に入学。その人数と比率は、つくば市の市立中卒業生2174人が市内の県立高3校に入った人数302人(同13.9%)に比べると、土浦の比率はつくばの約3倍になる。 土浦の中卒生が進学した県立高を多い順に見ると、①土浦三高115人、②土浦湖北110人、③土浦工業99人、④土浦二高84人、⑤石岡一高・二高各35人、⑥土浦一高(定時)28人、⑦牛久栄進25人、⑧土浦一高18人、⑨竹園高16人―となる。 土浦一高は20年まで8学級を募集していたが、附属中学設置に伴い、21年には7学級、22年、23年には6学級になり、24年からは4学級に減った。地域の伝統校として学習面で成果を上げていた土浦一高は、今や土浦の中学生にとってはランク8位の遠い存在となった。 県は近年、地域の伝統校の定員を削減し、受験生を悩ませている。23年で見ると、土浦の中卒生の土浦一高入学はたった37名だった。 そこで我々は、24年の高校募集を4学級にすると、地元土浦からの入学者が20名ぐらいになると心配し、6学級体制を維持するよう県に求めた。しかし、付属中を併設しても中学用の校舎は建てないとの理由で、中学+高校=24学級体制は変えないとして、高校は4学級に削減された。 上の3パラグラフで示したように、今年、土浦の市立中から土浦一高に進んだ生徒が18人とは、ある意味ショックである。 土浦在住者の高校受験の悩み 土浦一高に入学する市町村別出身者(24年)は、つくば70人、牛久27人、土浦18人、かすみがうら11人、取手8人、阿見・守谷各6人―などとなっている。高校4学級移行を受け、土浦の受験生は土浦一高を敬遠し、牛久よりも入学数が少なかった。県は、土浦の受験生の悩みを汲み取ってほしい。 24年、土浦一高附属中Ⅰ期生80人が内部進学した。土浦一高への高入生に附属中からの内進生を加えると、つくばが高入生70人+内進生29人=99人、牛久が同27人+同10人=37人、土浦が同18人+同26人=44人と、土浦は牛久よりも多い。 土浦一高入学後3年間の学習で十分間に合うのに、土浦の中学生には定員が削減された土浦一高を避ける傾向が生まれているのだろうか? 受験生は伝統校の学びをもっと信頼してほしい。 しかし、「高校からでも大丈夫」との励ましも、土浦一高が内進生に焦点を当てた教育をするならば、高入生の学びは不安になる。今後、①高校を6学級に戻す、②附属中校舎を建て、教育環境を改善する、③入学後は内進生・高入生全員に青春・学び・進路に配慮した教育をする―ことを検討してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

土浦一高卒のプロとアマ 駅前ギャラリーで美術展

土浦一高(土浦市真真鍋)卒業生による美術展が12日から16日まで、土浦駅前の市民ギャラリーで開かれている。展覧会のタイトルは「あれから…ん年 第4回 土浦一高OB・OG展」。美術系大学に進みプロになった美術家、趣味で絵を描いているアマチュアなど卒業生19人が出展している。 作品は多岐にわたり、彫刻、水彩画、油彩画、日本画、写真、建築物、陶芸品、書、ミックス・メディア、絵手紙など大小約100点。市民ギャラリー展示スペースの約半分を使っており、作品の発表の場であると同時に、知り合いと交流する場にもなっている。 プロのイラストレーターや彫刻家 幹事役の寺澤徹也さん(元サラリーマン、父は画家)によると、第1回と第2回は土浦一高美術部OB・OGの作品展だったが、コロナ禍後に再開した第3回から美術部出身者以外にも発表の場を開放した。その結果、今回は19人、約100点に膨らんだ。 ただ、後期高齢者となり病気のために新作を出せず、以前描いた作品を送ってきた西丸式人さん(東京芸大デザイン科卒、イラストレーター)のようなプロもいる。一方で、小張隆男さん(日大芸術学部卒、彫刻家)のように、大作をギャラリー中央に数点展示し、来場者の質問に応じる現役の人もいた。 歌舞伎の絵を数点出した寺澤康也さん(元NHKディレクター・プロデューサー、徹也さんの弟)は、放送局時代には古典芸能担当で、歌舞伎中継、伝統芸能入門、歌謡曲などの番組などを担当した。出展作品は現役時代の延長といえそうだ。 寺澤兄弟は「昨年の第3回は若い人の持ち込みがあったが、今回は大学生の出展がなかった。毎年開くので、若い卒業者にも出してもらいたい。必要ならば市民ギャラリーの展示スペースを全部借りてもよい」と張り切っている。(岩田大志)

土浦一高・附属中校長 ヨゲンドラ氏の試み《吾妻カガミ》178

【コラム・坂本栄】茨城県立高校の校長公募で採用されたプラニク・ヨゲンドラ氏が土浦一高・附属中学の校長に就任してからそろそろ1年、副校長時のインタビュー記事「キーパーソン」で紹介してから2年近くになります。2月下旬、所用で土浦一高に行った際、いま何に取り組んでいるのか聞いてきました。 国際性育成と外国留学 「キーパーソン」でも書いたように、インド出身のヨギさん(ヨゲンドラ氏の愛称)が知事と県教育委員会から与えられたミッションは、生徒の国際性育成と外国留学、それから学校改革の3つでした。 国際性育成では、この1年の間に、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、インドネシアの学生に来校してもらい、それぞれ1~3日の交流が実現。また、国内のインド人学校へ生徒が訪問、台湾の学生とはオンラインで交流したそうです。「外国の学生は自己肯定感が高いことがよく理解できたと思う」と、生徒には刺激になったとの評価でした。 外国留学(1年~半年)は、校長就任2年目の来年度に6人が予定されているそうです。留学先は、欧米のほか、オーストラリア、ニュージーランド。「海外経験をすると世界を見る目が変わる。これらの結果を見ながら今後も出していきたい」と、人数と留学先を広げることに意欲的でした。 ITシステムで進路指導 ヨギさんは日本に来てから金融系企業で仕事をしていたこともあり、学校改革には意欲的です。 「学校はいろいろな情報がすべてペーパーの世界。生徒の進路情報や教員の残業状況などが別々の書類になっており、まとまった形で見られない。この生徒はどの時期に成績が落ちたのか、そのとき学校側がどう対応したのか、などの関連が分からない。各種の情報を一覧できるような管理システムが必要だ」 「土浦一高は進学校であり、毎年(少なくとも)東大に20人、医学部に20人ぐらい入れるには(これが一番のミッション?)、ペーパー文化では結果を出せない。今の進路情報管理では、どの生徒が東大に行ける資質を持っているかよく分からないし、適切な進路指導もできない」 ヨギさんによると、昨年秋、生徒・教員情報のIT化を目指し、県教育委に青写真を提出したそうです。教育委もその必要性を分かっているようですから、早晩、土浦一高が導入する新システムが全県立高に広まるのではないでしょうか。 高1は内進と高入を分離 ヨギさんの話を聞いていて、「えっ」と思ったことがありました。附属中の1期生がこの4月に高校1年に上がりますが、その内進生(2クラス)は、高校1年で今春入学する高入生(4クラス)と「混ぜない」というのです。 内進生と高入生の分離は県教育委の指示によるもので、高1年は別々にし、高2・3年になってから「混ぜる」そうです。こういったクラス分けは土浦一高と水戸一高だけに適用され、附属中を持つ他の県立高は高1年時から「混ぜる」ということでした。 どうして内進生と高入生を分離するのか? 内進生は高1で学ぶ数学を中3で学んでおり、繰り返しを避けるというのがヨギさんの説明でした。県教育委は、土浦一高と水戸一高に絞って、附属中から入った優秀な生徒を特別に鍛える方針と言ってよいでしょう。 「起業家精神を育てたい」 ヨギさんの試みで面白いのは探求学習の重視です。具体的には「弁当工場を立ち上げ弁当を販売するといった事例研究をさせて起業家精神を育てたい」といった内容ですが、国際感覚や起業意欲が将来の仕事に必要というだけでなく、こういったセンス・マインドが生徒の進学意欲も高めると考えているようです。(経済ジャーナリスト) <参考> 土浦一高&附属中の学校案内2024に掲載されていた3表にリンクを張りました。  ▽出身小学校別生徒数 ▽出身中学校別生徒数 ▽進学先大学名まとめ

土浦一高・附属中校長 ヨゲンドラ氏の試み《吾妻カガミ》178

【コラム・坂本栄】茨城県立高校の校長公募で採用されたプラニク・ヨゲンドラ氏が土浦一高・附属中学の校長に就任してからそろそろ1年、副校長時のインタビュー記事「キーパーソン」で紹介してから2年近くになります。2月下旬、所用で土浦一高に行った際、いま何に取り組んでいるのか聞いてきました。 国際性育成と外国留学 「キーパーソン」でも書いたように、インド出身のヨギさん(ヨゲンドラ氏の愛称)が知事と県教育委員会から与えられたミッションは、生徒の国際性育成と外国留学、それから学校改革の3つでした。 国際性育成では、この1年の間に、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、インドネシアの学生に来校してもらい、それぞれ1~3日の交流が実現。また、国内のインド人学校を生徒が訪問、台湾の学生とはオンラインで交流したそうです。「外国の学生は自己肯定感が高いことがよく理解できたと思う」と、生徒には刺激になったとの評価でした。 外国留学(1年~半年)は、校長就任2年目の来年度に6人が予定されているそうです。留学先は、欧米のほか、オーストラリア、ニュージーランド。「海外経験をすると世界を見る目が変わる。これらの結果を見ながら今後も出していきたい」と、人数と留学先を広げることに意欲的でした。 ITシステムで進路指導 ヨギさんは日本に来てから金融系企業で仕事をしていたこともあり、学校改革には意欲的です。 「学校はいろいろな情報がすべてペーパーの世界。生徒の進路情報や教員の残業状況などが別々の書類になっており、まとまった形で見られない。この生徒はどの時期に成績が落ちたのか、そのとき学校側がどう対応したのか、などの関連が分からない。各種の情報を一覧できるような管理システムが必要だ」 「土浦一高は進学校であり、毎年(少なくとも)東大に20人、医学部に20人ぐらい入れるには(これが一番のミッション?)、ペーパー文化では結果を出せない。今の進路情報管理では、どの生徒が東大に行ける資質を持っているかよく分からないし、適切な進路指導もできない」 ヨギさんによると、昨年秋、生徒・教員情報のIT化を目指し、県教育委に青写真を提出したそうです。教育委もその必要性を分かっているようですから、早晩、土浦一高が導入する新システムが全県立高に広まるのではないでしょうか。 高1は内進と高入を分離 ヨギさんの話を聞いていて、「えっ」と思ったことがありました。附属中の1期生がこの4月に高校1年に上がりますが、その内進生(2クラス)は、高校1年で今春入学する高入生(4クラス)と「混ぜない」というのです。 内進生と高入生の分離は県教育委の指示によるもので、高1年は別々にし、高2・3年になってから「混ぜる」そうです。こういったクラス分けは土浦一高と水戸一高だけに適用され、附属中を持つ他の県立高は高1年時から「混ぜる」ということでした。 どうして内進生と高入生を分離するのか? 内進生は高1で学ぶ数学を中3で学んでおり、繰り返しを避けるというのがヨギさんの説明でした。県教育委は、土浦一高と水戸一高に絞って、附属中から入った優秀な生徒を特別に鍛える方針と言ってよいでしょう。 「起業家精神を育てたい」 ヨギさんの試みで面白いのは探求学習の重視です。具体的には「弁当工場を立ち上げ弁当を販売するといった事例研究をさせて起業家精神を育てたい」といった内容ですが、国際感覚や起業意欲が将来の仕事に必要というだけでなく、こういったセンス・マインドが生徒の進学意欲も高めると考えているようです。(経済ジャーナリスト) <参考> 土浦一高&附属中の学校案内2024に掲載されていた3表にリンクを張りました。 ▽出身小学校別生徒数 ▽出身中学校別生徒数 ▽進学先大学名まとめ

土浦一高の募集学級削減問題を考える《竹林亭日乗》10

【コラム・片岡英明】牛久栄進高の募集が来年から1学級増えるという、県教育庁のうれしい発表が7月にあった。一方、2020年まで8学級だった土浦一高の募集は、21年に7学級、22年、23年には6学級になり、来年は4学級に減らされることに心を痛めている。 教育庁は11月2日、土浦一高の来年の募集について、付属中からの進級2学級、高校4学級になると発表した。結局、私たちの高校学級削減停止の要望は届かず、土浦とつくばを中心とした県南の高校受験生は大きな苦労をかかえることになる。 そんな中、土浦一高の募集削減の影響を小さくとらえ、「付属中に入る生徒もいるので影響は少ないのではないか」といった疑問に聞くことがある。そこで今回は、高校受験を正確に論じるために、生徒の増減を、県立・私立の中高一貫や県立付属中の生徒を除いた、高校入試の当事者数で考えてみたい。いわば「真水」の分析だ。 中卒者が増えているのに募集削減 先の疑問に応えるため、つくば市の並木中等学校と茗渓学園中学校を除いた「市立中学卒業数」で、土浦一高の高校削減問題を考えてみたい。 23年入試では、つくば市立中学卒業者が入学した県立高校は、多い順に竹園高200人、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人で、これらトップ4校の入学者数は530人。これは、つくば市立中学卒業数2183人の24.3%、茨城の県立高入学1265人の41.9%である。 トップ4校の募集学級数とつくば市立中学卒業数の推移を見ると、以下のようになる。 ▽20年:4校とも8学級、つくば市立中卒業生1928人(32学級) ▽21年:土浦一高7学級、          同 1954人(31学級) ▽22年:土浦一高6学級、          同 2065人(30学級) ▽23年:土浦一高6学級、          同 2183人(30学級) ▽24年:牛久栄進9、土浦一高4学級    同  2175人(29学級) 20年入試は4校とも8学級で32学級だったが、県の「付属中を設置しても総学級数は増やさない」との方針で、土浦一高の募集枠は減っている。24年入試では20年と比べ卒業数は247人増えるが、受験者の多いトップ4校の募集は3学級減となる。 付属中設置と並行して、つくば市の高校受験生が減少しているなら、土浦一高の募集削減の影響は小さいが、実態は逆で、生徒増の中での募集削減になる。 生徒増に対応する募集学級増を 県の高校改革プランでは生徒の3分の2を県立高が担うとしているので、つくば市の増加数247人の3分の2に当たる164人分、つまり県立高4学級増が必要となる。そのうちトップ4校が県立入学全体の41.9%を占めるから、生徒増に伴い、トップ4校にはその41.9%の69人、最低1学級増が必要となる。 これは、20年の土浦一高8学級時代の水準を回復するには、24年時点のトップ4校で4学級増が必要であることを意味する。 以上、土浦一高の4学級削減への対策を考えてきたが、つくばエリアの県立高校不足と生徒増の中で、土浦一高の一層の定員削減は受験生にとって「泣き面にハチ」である。入学者の多いトップ4校を中心に、緊急に募集学級増ができないものだろうか。 11月の土浦一高の定員削減発表で、9月のコラムで書いたトップ4校の10学級体制の必要性がさらに高まったと思う。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

土浦一高の募集学級削減問題を考える《竹林亭日乗》10

【コラム・片岡英明】牛久栄進高の募集が来年から1学級増えるという、県教育庁のうれしい発表が7月にあった。一方、2020年まで8学級だった土浦一高の募集は、21年に7学級、22年、23年には6学級になり、来年は4学級に減らされることに心を痛めている。 教育庁は11月2日、土浦一高の来年の募集について、付属中からの進級2学級、高校4学級になると発表した。結局、私たちの高校学級削減停止の要望は届かず、土浦とつくばを中心とした県南の高校受験生は大きな苦労を抱えることになる。 そんな中、土浦一高の募集削減の影響を小さくとらえ、「付属中に入る生徒もいるので影響は少ないのではないか」といった疑問に聞くことがある。そこで今回は、高校受験を正確に論じるために、生徒の増減を、県立・私立の中高一貫や県立付属中の生徒を除いた、高校入試の当事者数で考えてみたい。いわば「真水」の分析だ。 中卒者が増えているのに募集削減 先の疑問に応えるため、つくば市の並木中等学校と茗渓学園中学校を除いた「市立中学卒業数」で、土浦一高の高校削減問題を考えてみたい。 23年入試では、つくば市立中学卒業者が入学した県立高校は、多い順に竹園高200人、牛久栄進高129人、土浦二高113人、土浦一高88人で、これらトップ4校の入学者数は530人。これは、つくば市立中学卒業数2183人の24.3%、茨城の県立高入学1265人の41.9%である。 トップ4校の募集学級数とつくば市立中学卒業数の推移を見ると、以下のようになる。 ▽20年:4校とも8学級、つくば市立中卒業生1928人(32学級) ▽21年:土浦一高7学級、       同 1954人(31学級) ▽22年:土浦一高6学級、           同 2065人(30学級) ▽23年:土浦一高6学級、           同 2183人(30学級) ▽24年:牛久栄進9、土浦一高4学級     同  2175人(29学級) 20年入試は4校とも8学級で32学級だったが、県の「付属中を設置しても総学級数は増やさない」との方針で、土浦一高の募集枠は減っている。24年入試では20年と比べ卒業数は247人増えるが、受験者の多いトップ校の募集は3学級減となる。 付属中設置と並行して、つくば市の高校受験生が減少しているなら、土浦一高の募集削減の影響は小さいが、実態は逆で、生徒増の中での募集削減になる。 生徒増に対応する募集学級増を 県の高校改革プランでは生徒の3分の2を県立高が担うとしているので、つくば市の増加数247人の3分の2に当たる164人分、つまり県立高4学級増が必要となる。そのうちトップ4校が県立入学全体の41.9%を占めるから、生徒増に伴い、トップ4校にはその41.9%の69人、最低1学級増が必要となる。 これは、20年の土浦一高8学級時代の水準を回復するには、24年時点のトップ4校で4学級増が必要であることを意味する。 以上、土浦一高の4学級削減への対策を考えてきたが、つくばエリアの県立高校不足と生徒増の中で、土浦一高の一層の定員削減は受験生にとって「泣き面にハチ」である。入学者の多いトップ4校を中心に、緊急に募集学級増ができないものだろうか。 11月の土浦一高の定員削減発表で、9月のコラムで書いたトップ4校の10学級体制の必要性がさらに高まったと思う。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

校舎新設や土浦一高の6学級維持など要望 牛久栄進高1学級増受け つくばの市民団体

来春の県立高校入試で、県教育庁が7月26日、牛久栄進高校(牛久市東東猯穴町)の募集定員を1学級(40人)増やすほか、筑波高校(つくば市北条)に進学対応コースを1学級(40人)を新設すると発表したのを受けて、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は31日、大井川和彦知事と森作宜民県教育長宛てに「ここを第一歩として、つくばの県立高校の入学枠を県平均レベルに合わせるため、学級増、校舎新設、県立高校新設を検討してほしい」など改めて要望した。 県教育庁は、つくば、つくばみらい、守谷、牛久市の一部などつくばエリアの中学卒業者数が増加傾向にあることから、牛久栄進高校(普通科)の募集学級数を来春、現在の8学級から9学級に増やすと発表した。県はつくばエリアの中学卒業者について今年3月は4229人だったのに対し30年3月には524人増えて4753人になるとしている。 定員割れが課題となっている筑波高校については、普通科3学級のうち1学級を、四年制大学進学を目指す「進学アドバンストコース」とするとした。 一方、これまでも学級増や高校新設などを要望してきた同考える会は、今回の県の発表について「一歩進んだ」としつつも、「(既存校に)校舎を新設しない、高校を新設しないという縛りがあるなら問題は解決しない」などとして、校舎新設、県立高校新設を検討してほしいと改めて要望した。 さらに来春は、中高一貫校になった土浦一高の募集が6学級から4学級になり、「牛久栄進が1学級増でも、土浦一高の募集が学級減では、全体としては県立高校入学が今年よりも困難になることは明らかだ」などとし、来春の土浦一高の募集定員について「せめて現在の6学級を維持してほしい」と求めた。

320人に入学許可 プラニク新校長の土浦一高・付属中

県立土浦第一高等学校・付属中学校(プラニク・ヨゲンドラ校長)の入学式が7日、土浦市真鍋の同校体育館で行われた。3期生となる中学生80人、高校全日制240人の名が一人ひとり読み上げられ、入学を許可された。定時制を除く同校生徒数は中学239人、高校754人の計993人となった。 創立125年の同校は今春からインド出身のプラニク校長の新体制。茨城県の県立高校長公募の第1回で選ばれ、22年度から同校の副校長に就任していた。 新校長は羽織袴(はかま)の礼装で式典に臨んだ。校訓である「自主・協同・責任」に加え、ポジティブな姿勢、国際的な視野を持って学業やスポーツ、文化活動に取り組むのが「一高スタイル」だとし、新入生には「セルフマネジメントとタイムマネジメントをしっかりと過ごす」よう諭した。保護者には「毎日15分の体操と5分の振り返りを共にする」よう求めた。 新入生たちは大半がマスク着用で式典に臨んだ。高校新入生を代表して大久保祐紀さんは「コロナ禍で制限の多い中学校の3年間だった。乗り越えてきた自信をもって高校生活に臨みたい」と誓いの言葉を述べた。 式には大野金一同窓会長、塚本一也PTA会長らが出席した。在校生は吹奏楽部、管弦楽部、コーラス部の合同編成による校歌演奏で出迎えた。 同校は長く1学年8クラスの編成が続いたが、1学年2クラスの付属中の設置に伴い高校は一昨年の7クラスから、昨年・今年度と6クラス240人定員となった。付属中生徒が進学が始まる来年度からは4クラス160人の募集定員となる。県下きっての進学校のさらなる「狭き門」化は、土浦・つくばの高校進学地図に新たな変数をもたらしそうだ。(相澤冬樹)

高校不足と土浦一高の学級削減 《竹林亭日乗》2

【コラム・片岡英明】学校とは、3月の卒業式の生徒の笑顔のためにある。自分の指導が行き詰ったとき、私は何度も卒業式の生徒の笑顔を思い浮かべた。卒業式は生徒の笑顔に自信を読み取る日でもある。 3月14日は県立高校の合格発表だが、つくばの中学生にはつらい日である。つくばエリアの中学卒業生に対する県立高校の枠を何とか県平均まで高められないか、そんな思いで小さな「高校進学を考える会」で学習を続けてきた。 昨年11月の森作教育長の「中学生の進路選択に影響がないように学級増を行い、その計画を示す」との発言を受けて、私たちは不足学級数を検討した。その不足学級数と改善案を、2月19日の市民のつどいで説明した。この会合には国会議員をはじめ県議の方が5名参加され、多様な観点から深い議論が行われた。 つくば地区、30年までに25学級不足 私たちの会の計算では、県立高校の平均収容率や高校改革プランから、つくばエリア(つくば市、つくばみらい市、守谷市、常総市)で、現時点で15学級、2030年までにさらに10学級、合計25学級増が必要と分かった。 つくばエリアの中学生のために、25学級増を既存の高校でまかなえるのか? それとも学級増のひとつの方法として、高校新設も考える必要があるのか? 学級増と高校新設は対立的なことではないのだから、冷静に生徒数や算定基準を設定し、議論を積み上げれば、必ず着地点はある。 25学級増には、1校2学級として、12~13校の学級増が必要である。つくばエリアには並木中等や茎崎高校を入れても10校しかない。そのため、エリア外の土浦・牛久・下妻の協力を得る必要がある。また、エリア内の高校でも、校舎の増築・校地の拡張・教育の体制などで、2学級増が実際に可能なのかも検討する必要がある。 土浦一高、24年の入試から改善を 今回の改善案では、25学級増の案、10学級の高校新設含む案、10学級と8学級2校の新設を含む案―3案を提示した。その上で、2024年に県立高校の2学級増と土浦一高の定員削減停止を求めた。 手元に「三六会 卒業60周年記念誌 土中三六回同窓会 H8」がある。片岡久会長の発刊の言葉に始まり、恩師永山正先生からの文もある。地域に根差す伝統校の息づかいが感じられる184ページの大著である。 さて、土浦一高は2020年まで8学級募集だったが、2021年に7学級、2022年には6学級となった。それが、2024年から4学級に半減する。以前は、土浦の一つの中学校から10~20人と入学した話を聞くが、2022年は市内8中学で33人だった。これが4学級となれば、20人ぐらいになると心配している。 三六回の記念誌を読むと、卒業生が地域の伝統校としてネットワークを生かし、土浦の産業や文化を支えていることが分かる。高校を広い視点でとらえ、地元の中学生と高校不足のつくばの中学生のため、さらに土浦地域の発展のために、土浦一高の定員削減を停止してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

高校不足と土浦一高の学級削減 《竹林亭日乗》2

【コラム・片岡英明】学校とは、3月の卒業式の生徒の笑顔のためにある。自分の指導が行き詰ったとき、私は何度も卒業式の生徒の笑顔を思い浮かべた。卒業式は生徒の笑顔に自信を読み取る日でもある。 3月14日は県立高校の合格発表だが、つくばの中学生にはつらい日である。つくばエリアの中学卒業生に対する県立高校の枠を何とか県平均まで高められないか、そんな思いで小さな「高校進学を考える会」で学習を続けてきた。 昨年11月の森作教育長の「中学生の進路選択に影響がないように学級増を行い、その計画を示す」との発言を受けて、私たちは不足学級数を検討した。その不足学級数と改善案を、2月19日の市民のつどいで説明した。この会合には国会議員をはじめ県議の方が5名参加され、多様な観点から深い議論が行われた。 つくば地区、30年までに25学級不足 私たちの会の計算では、県立高校の平均収容率や高校改革プランから、つくばエリア(つくば市、つくばみらい市、守谷市、常総市)で、現時点で15学級、2030年までにさらに10学級、合計25学級増が必要と分かった。 つくばエリアの中学生のために、25学級増を既存の高校でまかなえるのか? それとも学級増のひとつの方法として、高校新設も考える必要があるのか? 学級増と高校新設は対立的なことではないのだから、冷静に生徒数や算定基準を設定し、議論を積み上げれば、必ず着地点はある。 25学級増には、1校2学級として、12~13校の学級増が必要である。つくばエリアには並木中等や茎崎高校を入れても10校しかない。そのため、エリア外の土浦・牛久・下妻の協力を得る必要がある。また、エリア内の高校でも、校舎の増築・校地の拡張・教育の体制などで、2学級増が実際に可能なのかも検討する必要がある。 土浦一高、24年の入試から改善を 今回の改善案では、25学級増の案、10学級の高校新設含む案、10学級と8学級2校の新設を含む案―3案を提示した。その上で、2024年に県立高校の2学級増と土浦一高の定員削減停止を求めた。 手元に「三六会 卒業60周年記念誌 土中三六回同窓会 H8」がある。片岡久会長の発刊の言葉に始まり、恩師永山正先生からの文もある。地域に根差す伝統校の息づかいが感じられる184ページの大著である。 さて、土浦一高は2020年まで8学級募集だったが、2021年に7学級、2022年には6学級となった。それが、2024年から4学級に半減する。以前は、土浦の一つの中学校から10~20人と入学した話を聞くが、2022年は市内8中学で33人だった。これが4学級となれば、20人ぐらいになると心配している。 三六回の記念誌を読むと、卒業生が地域の伝統校としてネットワークを生かし、土浦の産業や文化を支えていることが分かる。高校を広い視点でとらえ、地元の中学生と高校不足のつくばの中学生のため、さらに土浦地域の発展のために、土浦一高の定員削減を停止してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

土浦一高、東洋大牛久に惜敗 高校野球茨城大会が開幕

96校93チームが出場する第104回全国高校野球選手権茨城大会が9日、開幕した。開会式は実施されず、試合後の校歌斉唱や校旗掲揚も省略されたが、3年ぶりに観客数制限なしで観戦できる大会となった。5球場で一回戦10試合が行われ、J:COMスタジアム土浦の開幕戦に登場した土浦一は東洋大牛久に競り負けた。 県南勢同士の対戦。土浦一は先発、中里洸介が試合を引っ張った。東洋大牛久は、序盤小刻みな継投を見せ、4回から登板の3番手片倉が好投。9回まで1安打で投げ切った。 3回、土浦一の四番、伊藤敦貴は、左翼フェンス直撃の同点二塁打でスラッガーの片りんを見せた。 6回、東洋大牛久は、三塁打から、犠飛で決勝点を奪った。 敗れた土浦一高の柴沼剛己監督は「選手達は1年間練習でやってきたカットプレー、バント処理など勝つためにやってきたことを全て出し切ってくれた。みんな生き生きとプレーして気の抜いたプレーはなかった。采配に答えてくれて選手は本当によくやってくれた」と選手らを称えた。さらに「中里の先発は早くから決めていて試合をしっかりつくれて100%の出来だった。負けたのは僕の力不足、指導不足を感じている」と振り返った。 竹内敦哉主将は「これまでの試合では実力校相手にまとまった試合が出来ずチーム全体でミスが出ていたが、今日は地に足をつけてチャレンジャー精神で明るく楽しくやる事が出来た。エラーは出たが投手継投やファインプレーもあった。1点差で勝ちきれなかったのが悔しい」とコメントした。 中里洸介投手は「制球で、四球があり絶好調ではなかったがストライクを取って行って低めを意識して打ち取る事を考えながら投げた。今日出来る事はやった」と話した。 2回に先制タイムリーを打った石井雅也一塁手は「追い込まれていたのでくらいついて打った。打ったのは高めのスライダー。私立の強豪校相手に全力で試合に挑んで負けたのは悔しいが、やるべき事はやった。力を出し切った」と述べた。 声出し応援聞かれず 午前10時に30度を超す炎天下のゲーム。スタンドにはブラスバンドなど野球部以外の生徒らが陣取ったが、両校とも全校応援とはならず、声を出しての応援も聞かれなかった。地元校の対戦にしては今ひとつの観客の入りで、コロナ禍の影響をうかがわせた。

コロナ禍超えて「OB展」に馳せ参じ 土浦一高の16人

「あれから…ん年」と銘打ち、半世紀以上もの時を隔てた集まりとなる展覧会が、15日から土浦市民ギャラリー(土浦市大和町)で始まる。「第2回土浦一高OB展」で、19日までの会期に同窓の美術家16人が集結し、油彩、水彩、色鉛筆画、彫刻、陶芸などの作品を持ち寄った。 16人は、県立土浦一高(土浦市真鍋)卒業生というだけの共通項でつながる。高校時代美術部だった者もいれば、芸大出もいるけれど、プロの絵描きばかりでもない―そんなくくりの美術(愛好)家たちによる同窓会展だ。事務局長的立場でまとめ役を務める安東克典さん(74)によれば、「出展するのは87歳から69歳、平均年齢は76歳。卒業年度でいえば1954年から1971年の高齢者そろいなので、若い世代にも参加を呼び掛ける目的で」開く展覧会だそう。 現住所も東京周辺など土浦以外に広く散らばり、全員の相互交流があるわけでもないメンバーが、それぞれの知己をたどり、10人が集まったところで第1回展を開いた。2019年秋のこと。「絵でも何でも持ってこい。審査もコンセプトも何もない」(安東さん)との無手勝流さで盛り上がった。即座に第2回の開催話がまとまったが、新型コロナの感染拡大から早々にとん挫、事務局レベルでの会合も持てなかった。 以来2年半、今回は新メンバー6人を加えての再結集。「あれから…ん年」と銘打って、コロナ禍で集まりにくくなっていた旧友たちに同窓会気分での参集を呼びかけた。 作品搬入日の14日、土浦市民ギャラリーの展示室で、ようやく対面の機会を得た。同級生を中心に半世紀以上前の思い出話に花が咲く一方、土浦の街や母校の変容ぶりに驚きの声があがった。展示作業がなかなか進まないのは年齢のせいばかりではない。 地元土浦市から参加の堀内噎子(えつこ)さん(85)は、水郷公園を描写した日本画を出品する。「東京の美術展に出品しようと描いていたのだけど、コロナで展覧会じたいが中止になってしまった。公開の機会を持ててうれしい」 初対面の堀内さんに「Mixed Media(ミックスドメディア)って何ですか?」とたずねられたのは、つくば市から参加の山中宣明さん(69)。「油絵の具以外の画材もいろいろ使って表現する制作行為です」と大先輩への応答にたじたじ。今回は100号の油彩など3点を出品する。 小は絵手紙サイズから展示され、絵画だけで100点を超す出品数となる。安東さんは「僕らの時代、芸大に進学する者は少なかったが、今は(東京)芸大の取手キャンパスがあるし、筑波大にも芸術系がある。そんな時代の後輩たちに参加を呼び掛けて、土浦の芸術文化の振興に一役買いたい」と今後の広がりと継続に期待を込めた。(相澤冬樹)

土浦一高副校長で着任 インド出身のプラニクさん【キーパーソン】

茨城県の県立高校長公募で、県内きっての進学校である土浦第一高校・付属中学校(土浦市真鍋)の校長に、インド出身のプラニク・ヨゲンドラさんが選ばれた。今年度は副校長として勉強し、来年4月から校長になる。教育についての考え方は? 土浦一高・付属中はどう変わるのか? 旧常陽新聞のインタビューシリーズ「キーパーソン」をネット上に復活させ、その初回に登場してもらった。 名刺には姓(プラニク)名(ヨゲンドラ)のあとに「よぎ」と書かれている。名前を覚えてもらえるように、ヨゲンドラを日本風の愛称にしているという。 多様な国際社会には教育基盤が必要 一番聞きたかったのは、下の経歴にあるように、数学と経済を勉強し、金融・IT系企業で仕事をしてきた「多言語スキルを持ったテクノ・ビジネス・プロフェショナル」(経歴書)が、政治家(東京都江戸川区議→都議に挑戦)を経て、どうして教育の分野に転じたのか? 「自分は、大学、大学院、ビジネス校などで継続的に勉強してきた。仕事に就いてからも、語学を習得した(インドのヒンディー語・マラティー語のほか、英語・日本語は母国語並み、中国語は初級)。教育は自分が育つために必要なツール。多様な国際社会をつくるには教育の基盤が大事。日本もその方向を目指す必要がある」 「インドで3年働いたあと、日本に来て22年になる。仕事生活の90%は日本。そこで思ったのは、日本人は国際社会で自信を持って働けていない。国際感覚を持つ必要がある。企業勤めのあと、江戸川区議になり、都議選で落ちたあとも、都や区に、日本人・外国人半々の国際学校を設けるよう働きかけていた。そんなとき、茨城県が校長を公募していると聞き、応募した」 県の「クリアなメッセージ」3つ 次の仕事は教育と考えていたとき、公募を知ったというわけだ。公募要項や面接などで求められた校長の要件とは何だったのか? 「県のクリアなメッセージの第1は、学生の国際性を伸ばしたいということ。第2は、公募校長を充てるのは優秀校であり、外国に行ける生徒を育てたい、と。第3は、改革に臨める人を採りたい、だった」「ビジネス界では破壊的改革がもてはやされる。しかし私の考え方は、『壊す』ではなく、今ある基盤を活用して、いかにプラス・アルファを出すか」 留学奨学金制度の一覧表を作成 国際性育成、外国留学、改革志向。いずれも大井川知事の考え方と思うが、よぎさんのキャリアや教育への関心とうまく合ったようだ。土浦一高・付属中に着任してから半月。副校長として何をしているのか? 今考えていることは? 「今のところ、具体的なメッセージは県から来ていない。当面は、校長、先生方、生徒から意見を聴き、学校のことを勉強したい。『これを変えたい』という意見はもちろん」 「県のメッセージにもある留学については、内外あちこちの奨学金制度を調べ、その一覧を作りたい。生徒や保護者がもらいに行けるように。それは他校にも役に立ち、県全体の財産になる」「私の息子も中学2年のとき、奨学金を取って英国に留学させた。今、大学1年だが、国連で働きたいと言っている」 【Puranik・Yogendra】1977年生まれ、インド西海岸の大都市ムンバイ郊外出身。インド西部プネ大卒(数学・経済)、同大学院修士取得(国際経済・労働経済)。2012年、日本に帰化。みずほ銀行国際事務部調査役、楽天銀行企画本部副本部長などを経て、江戸川区議(2019~21年)。都議選に出るも落選。母は江戸川区でインド料理店経営。近く土浦に移る。 【インタビュー後記】母校でもある土浦一高に、経営と政治の世界にいた44歳のインド人が来ると聞き、ビックリ。でも話を聞いたあと、面白くなりそうだと。旧帝大、医系大、有力私大への進学数を誇ってきた県立高が、数年後、それに英米有力校を加えることになる?  ものごとを柔軟に考える、型にはまらない生徒が育つことも期待。(経済ジャーナリスト・坂本栄)

電子顕微鏡でミクロの世界体験 土浦一高で科学実験講座

県立土浦一高(中澤斉校長 生徒数911人)の産学連携科学実験講座が3日、土浦市真鍋の同高科学実験室で行われた。電子顕微鏡の日本電子(本社・東京都昭島市)の理科支援チームが走査型電子顕微鏡(SEM)を持ち込んで指導。生徒たちは3時間にわたる講義と実習で「ミクロの世界」に没頭した。 日本電子CEOの栗原権右衛門会長が同高OBという縁で、実現した電子顕微鏡体験の機会。昨年予定されていたがコロナ禍で中止となり、2年越しの開催となった。定期テストの最終日午後に組まれた日程で希望者を募り、付属中学校の生徒13人と高校1年生19人、2年生1人が参加した。 栗原会長自ら来校し、「岸田内閣は科学技術立国をいうが、それを支えるのは、人材と電子顕微鏡などの観測装置だ。こうした機会を増やし、若い人たちの間で進んでいるという理科離れに待ったをかけたい」と後輩たちの授業を見守った。 電子顕微鏡の構造や見え方についての講義を受けた後、生徒たちは顕微鏡写真を見比べるグループ、教室に持ち込まれた卓上型のSEMを操作して実地に観察するグループなどに分かれて、ミクロの世界を体験した。短い波長の電磁波で物体を観察する電子顕微鏡は単色の画像となるが、拡大・縮小したり、焦点深度を変えるだけで多彩な驚異の世界が展開する。 同高では生徒たちがチームを組んで行う探究学習活動があり、「マイクロプラスチック」を研究テーマにした1年生のチームは事前に霞ケ浦で採集した試料を濾紙(ろし)でこしとり、乾燥させて同社に送っていた。試料は検体となって実験室に持ち込まれた。 検体は1000倍に拡大すると様々な物体がクローズアップされるが、プラスチックかどうかは容易に特定できない。SEMは対象を限定すると、瞬時に元素分析まで行ってしまう装置で、生徒たちは表示を見ながら「炭素が多い」「どうも鉄みたいだ」と走査を繰り返し、画像をプリントアウトした。 高校1年の澤出愛美さんは「これがあやしいってところまでしかいけなかったが、とても貴重な体験ができた。今回のデータをもとに専門家の意見を聞いたりして成果をまとめていきたい」と語った。探究学習活動は来年3月に成果発表が予定されている。(相澤冬樹)

土浦一高付属中の人材育成 《令和楽学ラボ》16

【コラム・川上美智子】今年度より中高一貫校となった土浦第一高等学校付属中学校を先日、視察しました。土浦一高は、卒業生の皆様であればよくご存知のように、県南の最難関県立高校であり、このほど設立された付属中も同様に、難関受験を突破した生徒が集う学び舎(や)です。 学校案内には、勉学にいそしみ、友と交流し、高い志と社会の規範となる、自負・自尊・矜持(きょうじ)の「ノブレス・オブリージュ(地位の高い人の義務)の精神」をもって学校生活を送ることが掲げられ、付属中の教育にもこの精神と、目の前のことに全力で挑戦する「一高スタイル」の追求、すなわち6年間を通じて日々の授業、部活動、学校行事をとことんやり抜くことを求めています。 さらに、卒業後、これからの社会が今よりも幸せになるため、日本のどこかで、世界のどこかで、自分が「役立っている」「支えている」「貢献している」と、自ら確信を持てる人材に育つことを願うとしています。 中澤斉(ひとし)校長先生からは、次世代で活躍する礎(いしずえ)をつくるGLP[グローバルラーナーズ(広い視野で学ぶ人)プロジェクト ]の特色ある取り組みについてご説明いただきました。GLPは「知とつながる」「人とつながる」「社会とつながる」の3つの構成から成ります。 「知とつながる」の1つは通常より10分長い60分授業とし、生徒相互で授業内容を振り返る「ピア・レビュータイム」を設け、思考力・判断力・表現力の強化を図るものであり、もう1つは「+English(プラスイングリッシュ)」で全ての教科で自分の考えを英語で表現する英語の発信力を磨くものであります。 「人とつながる」は、生徒主体、生徒が主役の交流活動で、グループで企画する修学旅行や水戸一高付属中との『土水交歓会』などが予定されています。「社会とつながる」は、卒業生との『土一ネットワーク』を活用した探究活動で、プレ海外探究のための国内英語キャンプや、探究活動総まとめの卒業研究発表会のプレゼンなどが企画されています。 授業を楽しむ余裕の生徒 4月に入学したばかりの中学1年生の授業を見学させていただきましたが、社会の授業では、生徒も先生も一体となってICT(情報通信技術)を駆使してグループごとの熱気あふれる真剣な取り組みに、そして英語の授業では短期間の間に立派に英語で自分を表現できるようになった生徒たちの姿に、人材育成の神髄を見た思いがしました。 それでいて、授業を楽しんでいる生徒の余裕の姿も見ることができました。多分野への学びのモチベーションを上げ、学びの質改善に取り組む先生方の熱意にも圧倒されました。 校舎は今までの高等学校の教室をそのまま使用しているため、きれいとは言い難いのが残念でしたが、茨城の全ての子どもたちにこのような学びの機会を与えることができたなら、もっともっと子どもたちの未来は明るくなるだろうなと強く感じました。 最後に、国の重要文化財である旧校舎を見学させていただき、創立124年の歴史の重みも実感し、充実した視察の時間となりました。(茨城県教育委員、茨城キリスト教大学名誉教授)

土浦一高付属中の人材育成 《令和楽学ラボ》16

【コラム・川上美智子】今年度より中高一貫校となった土浦第一高等学校付属中学校を先日、視察しました。土浦一高は、卒業生の皆様であればよくご存知のように、県南の最難関県立高校であり、このほど設立された付属中も同様に、難関受験を突破した生徒が集う学び舎(や)です。 学校案内には、勉学にいそしみ、友と交流し、高い志と社会の規範となる、自負・自尊・矜持(きょうじ)の「ノブレス・オブリージュ(地位の高い人の義務)の精神」をもって学校生活を送ることが掲げられ、付属中の教育にもこの精神と、目の前のことに全力で挑戦する「一高スタイル」の追求、すなわち6年間を通じて日々の授業、部活動、学校行事をとことんやり抜くことを求めています。 さらに、卒業後、これからの社会が今よりも幸せになるため、日本のどこかで、世界のどこかで、自分が「役立っている」「支えている」「貢献している」と、自ら確信を持てる人材に育つことを願うとしています。 中澤斉(ひとし)校長先生からは、次世代で活躍する礎(いしずえ)をつくるGLP[グローバルラーナーズ(広い視野で学ぶ人)プロジェクト ]の特色ある取り組みについてご説明いただきました。GLPは「知とつながる」「人とつながる」「社会とつながる」の3つの構成から成ります。 「知とつながる」の1つは通常より10分長い60分授業とし、生徒相互で授業内容を振り返る「ピア・レビュータイム」を設け、思考力・判断力・表現力の強化を図るものであり、もう1つは「+English(プラスイングリッシュ)」で全ての教科で自分の考えを英語で表現する英語の発信力を磨くものであります。 「人とつながる」は、生徒主体、生徒が主役の交流活動で、グループで企画する修学旅行や水戸一高付属中との『土水交歓会』などが予定されています。「社会とつながる」は、卒業生との『土一ネットワーク』を活用した探究活動で、プレ海外探究のための国内英語キャンプや、探究活動総まとめの卒業研究発表会のプレゼンなどが企画されています。 授業を楽しむ余裕の生徒 4月に入学したばかりの中学1年生の授業を見学させていただきましたが、社会の授業では、生徒も先生も一体となってICT(情報通信技術)を駆使してグループごとの熱気あふれる真剣な取り組みに、そして英語の授業では短期間の間に立派に英語で自分を表現できるようになった生徒たちの姿に、人材育成の神髄を見た思いがしました。 それでいて、授業を楽しんでいる生徒の余裕の姿も見ることができました。多分野への学びのモチベーションを上げ、学びの質改善に取り組む先生方の熱意にも圧倒されました。 校舎は今までの高等学校の教室をそのまま使用しているため、きれいとは言い難いのが残念でしたが、茨城の全ての子どもたちにこのような学びの機会を与えることができたなら、もっともっと子どもたちの未来は明るくなるだろうなと強く感じました。 最後に、国の重要文化財である旧校舎を見学させていただき、創立124年の歴史の重みも実感し、充実した視察の時間となりました。(茨城県教育委員、茨城キリスト教大学名誉教授)

英会話で謎解きゲーム 土浦一高付属中の実践的英語学習

英語教育に力を入れる土浦一高付属中学校(土浦市真鍋、中澤斉校長、生徒数80人)で12 日、外国人と英語のやりとりをしながら謎解きに挑む、初企画の授業が行われた。今春開校したてで1年生ばかりの生徒全員が参加、クラスごとに40人の生徒が4人1組になって、英文の冊子を手がかりに英会話で容疑者探しや聞き込み調査を行う学習に取り組んだ。 小学校5年から週1の英語学習を経験する今の学校教育、中学校では週5時間の英語の授業が組まれるが、付属中ではいきなり高校並みの60分授業となる。加えて理科や数学など他の科目にも英語の要素が盛り込まれて、歩く会などの校内行事の感想や意見を、英語で表現する。学校では独自プログラムを「+English(プラスイングリッシュ)」と呼び、英語発信力を養ってきた。 入学から半年強の学習の成果を実地に試すのが今回の企画。同校に派遣されているALT(外国語指導助手)のほか、ALT人材配置会社のインタラック関東(東京・銀座)所属の外国人講師2人が来校し、実践的な英会話でロールプレイングゲーム仕立ての授業を展開した。 お宝の「黄金の蓮根の彫刻」を失ったという外国人の訴えを聞いて、4人は2組に分かれ、調査に乗り出す。地図やヒントの詰まった冊子から容疑者を探したり、学校やスーパー、駅、病院、市役所などのスポットに向かい聞き込みをする。オンラインで結んだ10人の登場人物がネーティブな英語で生徒の質問に答える。 日本語でやっても難しそうなゲームで、お宝探しか容疑者探しか、絞り込めないまま、中学生らは右往左往。2クラス各1時間のチャレンジとなったが、正解にたどり着く道筋がなかなか見つけられなかった。 松橋隆太郎さんは「消防隊員の話を逆に受け取ってしまった。難しかった」と残念がり、同じチームの塚原雫さんは「全然ダメだったけど、すごく楽しかった」と素直な感想を述べた。 指導したインタラック社の講師、シャー・ケインさん(36)は「お宝が見つかったら最高だけど、そこに至る過程がより大事。英語を通じ仲間が団結してチャレンジしていく姿勢がすばらしい」と意義を語る。 中学校の英語担当教師、山口健作さんは「個人差はあるけど高いモチベーションを持って入学してきた生徒たちで、すでに英検2級を取った子もいる。でも教室と実践の場はまた違うということが今回よく分かったと思う。その意味でいい経験になったし、互いに高め合っていくためのいい機会になった」と講評した。(相澤冬樹)

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