水曜日, 12月 10, 2025
ホームつくば倍率10倍超!? 想定上回り応募47件 つくば市周辺市街地活性化コンペ

倍率10倍超!? 想定上回り応募47件 つくば市周辺市街地活性化コンペ

【鈴木宏子】周辺市街地を元気にしようと「総額400万円 1件最高200万円」と銘打って、つくば市が5月1日から6月14日まで公募した「つくばR8地域活性化プランコンペティション」の応募者が、市の想定を大幅に上回り計47件あったことがわかった。当初、採択は2~4件と見込んでおり、10倍を超える倍率になる。ただし実際に何件採択するかは現時点で未定という。

市周辺市街地振興室は「周辺市街地を振興しようという取り組みはこれまで市としてやったことがなかった。初めてだったので何件応募がくるか分からなかったが、かなりの数に驚いている」と話す。応募した団体のメンバーの一人は「金額も大きいし、(使途の制限が少ないなど)使いやすい支援金だったからではないか」と分析する。

市内外の45の団体や企業、個人から応募があったという。市は現時点で応募団体や事業内容を公表してないが、1次審査を経て、7月27日に公開コンペによる2次審査を予定していることから、1次審査を通過した応募者の事業案を公開したいとしている。NEWSつくばが6月2日付けで紹介した谷田部地区の「わわわやたべや町民会議」(長塚俊宏会長)などは応募の一つだ。同会議は、江戸時代にからくりや和時計を発明した飯塚伊賀七をシンボルに、演劇公演や寄り合い所を開所するなど、すでに活動をスタートさせている。

「総額400万円」をアピールした市の公募チラシ

8カ所に50万円補助事業も

同コンペは、国の地方創生推進交付金を活用して、人口減少や高齢化などの課題を抱える市周辺地区の旧市街地を活性化しようという試み。合併前の旧町村の中心市街地などだった北条、小田、大曾根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原の8カ所を振興する事業が対象で、採択者には今年8月から半年間で、地域住民と協働で事業を行ってもらう。地域との連携が図れるか、新しいアイデアで独創的か、実現可能性や継続性などが審査されるという。

コンペに向けて市は昨年1月から、8地区でそれぞれ勉強会を開いたり、地域会議を開催するなどしてきた。今回のコンペのほかに市は今年度、周辺市街地活性化事業として、8カ所の地域住民らで構成する各市街地の活性化協議会にそれぞれ上限50万円、計400万円を補助する「周辺市街地活性化チャレンジ補助金事業」、旧小田小学校に約2000万円で地域拠点を整備する事業などに取り組む。

商店街を活性化する取り組みとしては、市内で先輩格なのが北条地区の「北条街づくり振興会」だ。県の「がんばる商店街支援事業」や、2007年の市制施行20周年コンペ事業などを活用し、10年以上前から年4回、青空市「北条市」を開いたり、「北条米アイスクリーム」など特産品を開発してきた。2012年5月の竜巻被害の復興でも底力を発揮した。同振興会の坂入英幸会長(69)は「今回の市のコンペには応募しなかったが、県の事業や市制20周年のコンペで採択されたことが、これまで12年間の活動のはずみになった」と振り返る。

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どう発信しどう対処? 一部誤情報と共にSNSで拡散 中学校の不審者情報

つくば つくば市内の中学校が作成した不審者情報が、一部誤情報と共にSNSに投稿され拡散した。教育委員会事務局の同市教育局は、保護者の間に不安を引き起こしているなどとして不審者情報を一部修正し再度、保護者に通知した。SNS時代に、どう発信し、どのように対処すべきなのだろうか。 不審者情報は、11月5日、同市内で、女子中学生が自転車で登校途中、年齢20~30代くらいの外国人風の男性3人が乗る車が停車しているのを確認、そのうち2人が降りてきて女子中学生に近寄り、車が自転車に横付けされたが、近くを通りがかった人が中学生に声を掛け、男性らは車に乗ってその場を立ち去ったーなどの内容。この情報は、スマートフォンアプリを使ったデジタル連絡ツールで翌6日、周辺の各学校から保護者に文字情報で伝えられた。 同月18日、今回の不審者情報が匿名でSNSに投稿された。「誘拐未遂事件が発生」と一部事実でない投稿文が書かれ、中学校が作成した「不審者情報連絡票」の画像が添えられた。連絡票は、学校や市教育局など関係部署間でやりとりするための内部文書だった。連絡票に書かれた情報は、6日に保護者に伝えられた文字情報と同じ。 外国人差別のコメントも SNSでは「外国人による女子中学生誘拐未遂事件」という誤情報の形で拡散した。投稿に対し、外国人に対する差別や偏見とみられるコメントも書き込まれた。SNSでの拡散後、市教育局には保護者や市民から数件、問い合わせがあった。 こうした事態を受けて同市教育局学び推進課は2日後の20日付で、今回の不審者情報の正確な経緯と児童生徒の安全確保の対応について、改めて保護者に通知した。SNSで拡散された内容の一部に誤りがあること、保護者の間に不安を引き起こしていることを「深く憂慮している」と表明した上で、連絡票に書かれた不審者情報の表現が「いろいろな捉え方をされてしまっている」として、表現を一部修正した。 修正箇所は、連絡票の不審者情報が男性3人を「外国籍」と断定していたのに対し、「外国人風」と修正した。男性らが車で立ち去った経緯を連絡票は「車に乗って逃げ、(生徒は)事なきを得た」と表現していたが「車に乗ってその場を去った。生徒は無事だった」に改めた。 同課の小野尚文 学校教育政策監はSNSで拡散した不審者情報連絡票の画像について「内容自体は外に出してもいい情報だが、公文書なので画像になって拡散されたことはまずい。問題意識をもっている」とし「各学校に公文書の扱いについてもう一度指導を徹底したい」としている。内部資料の画像をだれがどこで撮影し投稿したかは分からないという。 学校が不審者情報を発信する必要性については「不審者情報の発信は子どもの安全を守るためで、二次被害を防ぎ、近隣の学校にも注意喚起するため連絡は迅速に行わなければならない」とし「学校や家庭で、知らない人から声を掛けられるなどがあったら、小さい子なら防犯ブザーを鳴らしたり110番の家に駆け込むといった対応方法を教え、子どもが危ない目に遭わない、安全な行動をとれるような指導につなげている」とした。 保護者「怖い気持ちはある」 今回の不審者情報を学校からのデジタル連絡ツールで確認したという市内に住む高校1年と小学6年の姉妹の母親(39)は「まず、怖いと思った」と語り、SNS上で事実と異なる「外国人による女子中学生誘拐未遂事件」として拡散されていることについて「すべての外国人が悪いわけではないので、よくないこと」と言う一方「実際に外国人風の男性に子どもが声を掛けられることはあるので、怖い気持ちはある」と語った。 受け取る側も冷静に 筑波大 秋山助教 今回の問題について、国籍や移民問題、国際社会などをテーマに研究する筑波大学人文社会系の秋山肇助教に話を聞いた。 公文書の画像が拡散を担保 ―外国人風男性の不審者情報がSNSで投稿されたことについてどう思われますか。 秋山 まず大きな問題点として、最初の「不審者情報連絡票」の画像がどういうプロセスで外部に出たかということがある。そもそも内部文書がSNSにアップされたこと自体が問題だ。SNSに「誘拐未遂事件発生」と投稿されたが、「不審者情報連絡票」とされる画像からは事実と確認できないにもかかわらず、「誘拐未遂事件」がSNS上で独り歩きするのを担保してしまったのが、公文書である連絡票だったと思う。 投稿者の文字情報だけだったら『これって本当?』って思う人がいたかもしれない。連絡票の中身を読めば誘拐未遂事件でないことはわかるはずだが、画像の文章まで読まない人もいる。SNSの投稿文だけを読んで「誘拐未遂事件が起きた」と受け取ってしまう人もいる。 そのため「不審者情報連絡票」とされる画像が投稿されることで、外国人による女子中学生誘拐未遂事件が起きたという話が独り歩きしてしまった。尾びれ背びれが付いて、本当に起きているのか分からないことがSNSで広がる怖さはある。 2点目として、つくば市教育局が一部表現を変えて11月20日に保護者宛に二度目の発信をしたことについては、市教育局が、SNSで拡散した内容の一部に誤解を生む表現があったとして「連絡票」に書かれた不審者情報の表現を書き直している。SNSで投稿されている「連絡票」には「外国籍の男性」と書かれているが、本当に外国籍なのかどうかは、本来パスポートなどを確認しなければわからないため正確ではないと思われる。ただ、その場で緊急で不審者情報を聞き取って内部文書を書く場合は、内容が必ずしも正確でないこともある。しかし保護者などの外部に情報を出す時、内部文書と同じ記載で良かったのかというのがもう一つの論点としてあると思う。 人は負の感情に強く反応 ―SNSの投稿に対するコメントで、「外国人が怖い」といったコメントがありました。外国人差別ではないでしょうか。 秋山 子どもを守る立場にある子育て世代などが、心配事が生じた時に「外国人」に不安を覚えるのは仕方のない一面もあるだろう。子育てをしている状況では、子どもは弱い存在だという前提があるので、親からすると子どもを守らないといけない。子育てをしている状況は余裕がない状況ともいえる。人はリスクがあることから逃げたいもの。子どもを守らないといけないと考える親からすると、外国人にリスクがあると考えたら近づかないというのは、本人にとっては合理的ともいえる。「怖い人」は本来、日本人にも外国人にもいるが、「外国人が怖い」と思っている人に、それが外国人差別だと伝えても理解されるのは難しいかもしれない。しかし社会全体への影響を考えると望ましくないだろう。 人は負の感情に強く反応し、「怖い」という気持ちに強く反応してしまうことも認識しておくことが大切だ。「外国人が怖い」というネガティブな感情がある人に「差別すべきではない」といった「べき論」は効果的とはいえない。強い負の感情が拡散しやすいのはSNSの特徴でもある。 ―では「外国人が怖い」という人にはどう対応すればいいのしょうか。 秋山 次の論点になるのは、子どもたちを守るために何が必要なのかということ。外国人でも怖いことをする人はいるが、日本人であっても怖いことをする人はいる。ただ、どういう人が怖いことをするかは現実的に明らかにするのは困難なので、「外国人が怖い」というラベルを貼るのは、恐怖から逃れようとすると合理的かもしれない。そんな中で、外国人が怖いと思っている人に「差別だ」と言ってしまうと、こうした人たちは恐怖からの逃げ場がなくなってしまう。ただ「外国人が怖い」という言葉の「外国人」には、犯罪を犯さない外国人も含まれている。それでいいのか、きちんと考える必要がある。 ではどうすればいいのかということになるが、情報を出す側が誤解のない情報を提供すること、情報を受け取る側が情報をうのみにせずにその正確性を考えることが大切だ。情報を受け取る側は、外国人かどうかに限らず、「怖い」という情報には尾びれ背びれが付くことがあると認識した上で、情報に接する際は「本当は違うかもしれない」という視点を持つことが必要だ。だから、情報を出す側も慎重であるべきだが、受け取る側も、これはどういう情報なのか、冷静に考えなくてはいけない。(伊藤悦子)

武器を持たない勇気と知恵《ハチドリ暮らし》56

【コラム・山口京子】11月中旬、利根町役場のホールで「平和のつどい利根」講演会が開かれました。講師はイスラエル生まれの元空軍兵士で、現在は埼玉県で家具作家をしているダニー・ネフセタイさん。テーマは「武器を持たない勇気と知恵」でした。 イスラエルには徴兵制度があり、高校卒業後、男性は3年間、女性は2年間、兵役に就くそうです。「軍隊がなければ周りの国から攻撃され、生きていけないと思い込まされ、軍隊はすばらしいという価値観を自然に身に付ける。自分もそのように思っていたが、退役後、アジアを旅して日本で暮らすようになり、考えが変わっていった」とのことでした。 そして、「過去のゆがみに縛られるより、今からどうしていくのか、共に生きるのか、共に死ぬのか。共に生きるには、武器を持たない勇気と知恵が求められる」と。 ダニーさんは、戦闘機に乗った若き自分の写真をパワーポイントで映しながら、「これを見てどう感じますか? カッコイイと思う人いますか?」と尋ねます。そして、「戦闘機はある目的のためにだけ優れている。それは物を破壊し、人を殺すこと。その目的って、カッコイイことなのか?」。 「テロは武力では止められない。武力を行使すれば、さらなる憎しみが生まれる。武力によって生まれるのはさらなる武力。憎しみによって生まれるのは憎しみでしかない。戦争は最大の人権侵害であり、環境破壊でもある」 武器が商品に、戦争が商売に 日本の防衛費は年間8兆8000億円。この額を、365日、1日、1時間、1秒に換算すると、1日241億円、1時間10億円。とんでもない金額です。その出所は国民の税金。軍事費に使われるほど生活にしわ寄せが来ます。 ダニーさんは14年前、「原発とめよう秩父人」を立ち上げ、反戦や反原発を訴える講演を各地で行っているそうです。「‘敵’概念はヒトのDNAにはない後天的産物であり、話し合いで解決できないという思い込みは、捨てないといけない。‘敵’とは国が設定するものであり、あおりや脅かしに振り回されないで、お互い、よく見て、よく聞き、よく話すことが必要だ」 東京新聞に「世界の軍需企業24年販売額最高」という記事(12月2日付)が出ました。ストックホルム国際平和研究所によると、上位100社の軍需関連販売額は前年比5.9%増え、6790億ドル(約106兆円)と、とんでもない金額です。武器が商品になる、戦争が商売になる―おかしくありませんか? (消費生活アドバイザー)

和訳 ときどき「みすゞ飴」《続・平熱日記》187

【コラム・斉藤裕之】伸びた庭木の枝でも切ろうかと思うが、まだまだ蚊がいたり天気が悪かったりして。絵を描くのも日がな一日というわけでもないので、さて、何をしようかと…。そこで目に付いたのが分厚い本。表紙カバーは光沢のある青に小さな魚の群れが描かれている。 実は英語で書かれている小説で、かれこれ20年以上前に東京の洋書屋さんで買い求めたもの。「FISH of the SETO INLAND SEA」つまり「瀬戸内海の魚」。このタイトルに引かれて買った。何の話か全く分からず、作者は日本の女性? 何度も読み始めては挫折して、結局放ったらかし。 でも、なんか気になって目につくところには置いてあった。ちなみに、私の英語の能力は高卒程度かつ年齢と共に退化中。 それから、これもノートとしてはかなり厚手のわら半紙製の、多分この先も使う当てのないものを引き出しの中に見つけて、和訳したものを書き始めた。日本の話ではあるし、それも舞台は故郷の瀬戸内海。頭の中に映像が浮かびやすい。それほど難しい言い回しもない。 とにかく、ボールペンでひたすら和訳文を書いていく。そこで今どき大変重宝するのがネット検索。パソコンを開いてわからない単語はもちろん、今一つうまく訳せない時には文章を打ち込むと、なるほどね。おまけにネイティブの発音まで聞ける。 しかし、目的はこの物語を読み切りたいということだから、単語や熟語を覚える気はさらさらないし、英語のお勉強をするという向上心もない。その上、人に見せるためではないので、悪筆走り書きで私自身も読み返すことができないほど。しかし、面白いことにこの方法で和訳をしていくと、ストーリーはもちろん、リアルな映像として頭に残っていく。 そばぼうろ、かりんとう、ふがし さて、楽しみながらの和訳も、いかんせん目が遠くてそう長くはやっていられない。そんな時目に留まったのが「みすゞ飴(あめ)」。いわゆるゼリー菓子。長野の上田にお店があるのは知っていたが、先日、千曲のギャラリーに行った折に初めて買ってみた。 食べるというより、セロファン製の包み紙の色合いが良くて、私の身の回りにはない色合いだから、絵を描こうと思って買ってきた。それを一つ二つ、まずは描いてみた。それから口に入れてみた。「?!」 思っていたよりもいい感じのかみ応え、しかもそれほど甘くない。思っていたゼリーとはちょっと違った。そして、私はみすゞ飴にはまってしまった(茨城のスーパーでも売っているのを発見)。 「みすゞ」とは、「信濃」にかかる枕詞だそうで篠竹のことだそうだ。言葉の響きもいいし、「ゞ」という踊り字もかわいらしい。今度生まれてくる孫は女の子だそうだから、「みすゞ」ちゃんという名前はどうだろう。上田は向こうのお母さんの故郷でもあるし…。 新聞の記事によると、世間ではグミがはやりというが、私はみすゞ飴をひとつ口に入れて和訳再開。この小説の時代設定にも、寒天と水飴でできたみすゞ飴が似つかわしい。さて、果たしてこの本を読み切ることはできるのか…。というか、最近、そばぼうろとかかりんとう、ふがしなんか買ってしまうのは、年齢のせい? 来年につづく。(画家)

6年ぶりに常陸大宮で農村歌舞伎《邑から日本を見る》189

【コラム・先﨑千尋】少し古い話題だが、常陸大宮市で10月25日に行われた「西塩子(にししおご)の回り舞台」を紹介する。 西塩子地区は常陸大宮市にある山間部の小さな里山集落で、戸数は50戸ほど。戸数は減り、高齢化も進む。ここで、江戸時代から地域の娯楽として農閑期の田んぼなどで農村歌舞伎が演じられ、住民らに親しまれてきた。しかし1945年を最後に行われなくなり、道具類は地域の倉などに納められていた。 1991年、当時の大宮町歴史民俗資料館の石井聖子さんらが調査に入り、同地区の組立式舞台が江戸時代後期の文政年間のものと判明した。現存する日本最古の組立式農村歌舞伎舞台で、回り舞台もある本格的な舞台だ。現在は県の有形民俗文化財に指定されている。 舞台は公演後には解体されてしまう。94年に回り舞台保存会が結成された。97年に隣県の歌舞伎伝承者らに指導を仰ぎながら、半世紀ぶりに公演を復活させ、原則3年おきに公演が行われてきた。これまで、定期公演の他に「ふるさと歌舞伎フェスティバル」など多くの催しに出演し、「サントリー地域文化賞」などを受賞している。 前回の公演は2019年。その後、新型コロナウイルスの拡大が活動を直撃した。さらに保存会メンバーの高齢化による担い手不足や資金集めなど課題が重くのしかかり、延期が続いた。 伝統の灯は消えなかった しかし、地域文化の伝統の灯は消えなかった。「ふるさとの伝統文化をなんとか残さなくては」と、有志の市民や茨城大学の学生らでつくるNPO法人が支援の輪を広げ、6年ぶりの公演再開が決まった。昨年10月には再開を支援するためのシンポジウムも開かれた。クラウドファンディングも実施された。 真竹や木材約500本で組み立てられる舞台は、間口、奥行き20メートル、高さ7メートルで、壮麗なアーチ型が大きな特徴。地元の竹林から竹を切り出し、屋根は「いぼ結び」という独特の結び方を駆使して作られる。今回は、高齢化や人手不足により、建設業者やとび職人の手を借りて約1カ月かけて作られた。学生たちも竹の伐り出しや桟敷席の設営などの手伝いをした。 そうして迎えた公演当日。あいにくの小雨模様だったが、客席は満員。午前10時半から子ども歌舞伎を地元の大宮北小の3~4年生が、常磐津「子宝三番叟」と「白波五人男」の稲瀬川勢揃いの場面を演じた。午後は、友好関係にある栃木県那須烏山市の山あげ保存会芸能部会が歌舞伎舞踊「蛇姫様」を演じ、続いて、市内の常磐津伝承教室で小学生が学んだ常磐津「将門」を披露した。 トリを務めたのは、西塩子地区の若手住民と大宮北小の児童らでつくる地芝居一座「西若座」で、「太功記十段目 尼ヶ崎閑居の場」を演じた。観客から拍手や喝さいが沸き起こり、「おひねり」も飛びかった。 保存会の大貫孝夫会長は「高齢化が進み、復活へなかなかやる気が起きてこなかったが、多くの方々に後押しされ、歩み出せた。地域の宝を残すために今後も続けていきたい」と話している。この取り組みはNHKテレビの「小さな旅」でも、11月30日に「常陸大宮市〝西塩子の回り舞台〞復活に向け奮闘する人々の物語」として全国放映された。(元瓜連町長)