木曜日, 6月 12, 2025
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つくば市の翻訳家が出版費募集 自閉症の高校生描いた米国小説

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翻訳出版の寄付を呼びかける林真紀さん

【谷島英里子】発達障害の子どもを育てる、つくば市在住の翻訳家・林真紀さん(42)が、発達障害の一つ、自閉症スペクトラム障害の高校生の成長を描いた米国の小説「Kids Like Us(キッズ・ライク・アス)」(ヒラリー・レイル著、2017年)を翻訳し、日本語版として出版したいと、クラウドファンディングで支援を募っている。

小説は、思春期を迎えた自閉症スペクトラム障害の男子高校生が主人公で、特別支援学校から普通高校へ通うことになり、友人ができたり恋に落ちたりして「普通とは何か?」と葛藤するストーリー。

林さんも主人公と同じ自閉症スペクトラム障害の9歳の長男を育てる。その傍ら、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」のライターとして活躍、発達障害に関わるコラムを連載してきた。子育て中の保護者の集まりで頻繁に耳にするのが「この子たちの思春期はどんな感じなのでしょうか」といった悩み。いろいろな人の希望になるような、でも、リアルな書籍を探したが、マニュアル本や幼少期にスポットを当てた話、そして悲観的な話ばかり。その後も探し続けて3年目、ようやく見つけたのが米国で発行された「Kids Like Us」だった。

林さん自身、子どもが幼いころは将来の不安ばかりが先に立ち、親子共々休む暇なく、言語療法、作業療法、音楽療法、運動療育などに通わせた。ある日、子どもに「僕、疲れた。ママといるときはもっとゆっくりしたい」「自分が『できない子』だと思うのはもう嫌」と言われたことが立ち止まるきっかけになったそうだ。

「自分は一体何をやっているのだろう、子どもの将来のためにはどうすることが良かったのか、我が子にどうなってもらうことを目指していたのか、その答えが見えないままに子育てをすることは本当に辛いことだった」と振り返る。現在は、日ごろから子どもに「頑張ったらいいことがある」という意識付けをし、行動力を身に付けさせているという。

発達障害の子どもの教育環境は、幼児期には病院や療育施設でさまざまな療育が準備され、学校に入ると学習支援があり、親子共々忙しい日々を送る家庭が多い。しかし、その先の思春期以降のビジョンが空白になっているという。「恋をしたり、友情を築いたり、将来の夢について考えを巡らせたり、そんな思春期の子どもたちの毎日を、発達障害の子どもたちがどのように迎え、感じていくのか。保護者は、それが見えてこない不安を抱えながら、とにかく幼少期の療育と支援に奔走せざるを得ない」と林さん。

こうした発達障害の子どもを育てる周囲の保護者たちの声が、この本の翻訳を後押ししたという。

同書の読みどころについて、主人公だけでなく家族や周囲の人たちの葛藤も生々しく描かれて共感する部分も多い。「普通とは何か?」を主人公が自分なりの解を見出していき、その解答には「爽快感や希望を感じられた」。読み終わった後、「私は私のままで、我が子は我が子のままでいい」と思うことができ、「この子と親子でいられてよかった」と感じられるはずと語る。

2020年春の出版を目指す

クラウドファンディングを活用した翻訳出版プロジェクトを数多く立ち上げるサウザンブックス社(東京都渋谷区)に運営を委ねた。購読希望者を事前に募り、プロジェクト成立後、版権購入費や翻訳費、印刷・製本費などに充てて出版していく。

出資額の目標は230万円。募集期限は9月9日。2020年春の出版を目指している。

クラウドファンディン募集を6月に始めて1カ月が経った。驚いたのがLGBTや精神障害者からの反応があること。林さんは「生きづらさを感じている人にも伝わる。普遍的な本なのかもしれない」と手ごたえを感じている。

クラウドファンディング募集のページ⇒http://thousandsofbooks.jp/project/kidslikeus/

30匹に不妊去勢手術 つくば 増える空き家に住みつく野良猫

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捕獲され運び込まれた野良猫たち。麻酔を打たれて毛刈りをした後、手術される=つくば市森の里の自治会公会堂駐車場

【橋立多美】つくば市森の里の自治会公会堂駐車場で16日、野良猫の集団不妊去勢手術が行われた。入居開始から40年を経た森の里は高齢化によって空き家が増加し、管理されていない空き家に住みついた野良猫への苦情が自治会に多く寄せられている。

住民間のトラブルの原因にも

庭の芝生が糞尿や嘔吐(おうと)物で汚されて臭く、衛生上問題がある。花壇が荒らされる、発情期の鳴き声がうるさいといった苦情が続出。さらに、野良猫にとって空き家は繁殖の場所としても最適で、子育て中の母猫の姿にほだされ、餌を与える人に非難の目が向けられるなど、住民感情が二分される状況を生んだ。

移動手術室トレーラーの前に立つ獣医師たち。右から2人目が稲垣将治院長、左端が重松聖子さん=同

増え続ける野良猫に困った住民たちに応えたのが、県南を中心にTNR活動を推進している動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(重松聖子代表)。命の尊さを未来に繋げようと2年前に発足した団体で、県地域猫活動推進事業=※メモ=として不妊去勢手術を実施した。

TNRとはTrap(捕獲)、Neuter(不妊去勢手術)、Return(元の所へ戻す)の頭文字。不妊去勢手術を施す時には手術済みの目印として猫の耳先をV字にカットする。繁殖防止と殺処分の減少に寄与する一方、餌やりをしても増える心配がないので住民同士の対立は和らぐ。

手術前日、団体スタッフが森の里各所に餌を入れた捕獲器をセットして野良猫30匹(雄14匹、雌16匹)を捕獲した。施術したのは移動手術室トレーラーでやってきた、埼玉県越谷市のいながき動物病院の獣医師4人。

不妊去勢手術の普及によって子猫の殺処分を減らそうと、稲垣将治院長をはじめ獣医師たちは土浦分院などで定期的に手術を行っている。手術と3種混合ワクチンを接種された野良猫たちは翌日元いた場所に戻された。

猫を飼っている女性(72)は、強い雨の日に子猫をくわえた母猫を哀れに思って家に入れた。それ以来、餌をもらいに現れるようになったが周囲の目が気になっているという。「これで猫好きな人と苦手な人がぶつかることがなくなるとうれしい」

自治会長の倉本茂樹さんは「1980年代に約5000人が住んでいた森の里だが、今では子どもたちが独立し約2900人にまで人口が減り、2人に1人が高齢者。子どもの元に身を寄せたり施設入所などで空き家は100戸に上る。空き家に住みついた猫に1人暮らしの高齢者が寂しいからと餌をやって近所とトラブルになる。今回の取り組みで好転してくれると助かる」と話す。

Team.ホーリーキャットは活動の一環として毎月牛久市で里親会を開催している。問い合わせは代表の重松さん(電話090-8058-3129)まで。

※メモ 県地域猫活動推進事業

不妊去勢手術の徹底、周辺美化などのルールに基づき、野良猫を地域で飼育する地域猫活動を支援し、手術費用の補助を行う。2018年度は605匹分の手術費用補助を行い、野良猫の減少や糞尿被害に関する苦情の減少などの効果が報告されている。

 

【高校野球茨城’19】圧勝で霞ケ浦と常総学院 ベスト16続々決まる

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2回表2死二塁、相手の足をからめた攻撃でこの回2点を失い、マウンドに集まるつくば国際大ナイン

第101回全国高等学校野球選手権茨城大会は、8日目の15日から3回戦に入った。ノーブルホームスタジアム水戸の第1、第2試合にそれぞれ登場の霞ケ浦と常総学院はともにコールド勝ちの圧勝、ベスト16入りした。ひたちなか市民球場の第1試合では、つくば国際大がAシードの鹿嶋学園に7回コールド負けを喫し、強敵の壁を崩すことができなかった。

つくば国際大は3年連続の進出ならず

【池田充雄】つくば国際大はエースの米崎響が立ち上がりから打ち込まれ、1、2回で合計3失点。この間に許した安打は3本だけだが、4四球、2つの盗塁を決められたのが痛かった。

3回には早くも2人目の中山晴斗が登板し、4回までを1失点に抑えた。球速は110キロ前後だが、ゆったりとしたフォームから速い球離れで投げ込み、打者を振り遅れさせる。「自分は緩急のある変化球をコースに投げ分け、打たせて取るスタイル。この夏は初登板だったが、いつも通りのピッチングで臨んだ。これ以上点を与えられない場面だったので、抑えられてよかった」との感想。

4回裏つくば国際大無死二塁、今野が中前へ適時打を放つ

すると4回裏先頭の米崎が左翼線の二塁打で出塁。今野翔斗は追い込まれた後のアウトローのスライダーを中前へ。「連打で流れを呼び寄せようと、泥臭く内野を抜いた」と話す。これにセンターのエラーがからんで米崎が生還。その後も2死三塁から齊藤颯太の左越え二塁打で1点を追加。「2球目の浮いた変化球を叩いた。ベンチは行け行けムードで、自分もそれに乗った」とコメント。これで2点差まで詰め寄った。

だが、鹿島学園に再度突き放される。3人目の稲沼慧太がマウンドに上がった5回、四球と4連打で3失点。6回は4人目の関口雄大が2失点。対照的につくば国際大打線は、5回以降は継投にかわされ無得点。結果、7回コールドで敗退が決まった。

試合後、選手たちの印象に残ったのは相手打線の強力さ。米崎は「どんどん振ってくる。これが強いチームかと思った。分かっていても力の差があった」。捕手の高田彰久は「相手はアウトコースを強く打つバッティング。そこでまっすぐを見せ球にして、アウトコースの変化球でフライを打たせるつもりだった。だが相手はその考えを上回り、右中間やセンターにうまく打ち返してきた」という。

昨年、一昨年と2年続けて4回戦に進出し、上位定着が期待されたが、今年はまた一歩後退する結果に。「1、2年のときは先輩にベスト16へ連れていってもらい、今度は自分たちが連れて行く番だと思っていた。そこを越えられなかったのが一番つらい」と中山。今野主将は「やりきったので今は悔いはない。3年生の経験と2年生の初々しさがミックスされ、自分たちの特長である全員野球がしっかりとできた」と、きっぱりとした表情で語った。

15日土浦、つくば勢の他の試合結果

▷霞ケ浦10-0水戸桜ノ牧(6回コールド)
▷常総学院11-0日立商(5回コールド)

土浦・久月総本舗の2点が入賞 茨城おみやげ大賞

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上段は旅土産部門で大賞を受賞した(左から)「茨城めろんの片想い・茨城いちごの初恋・茨城さつまいもの出逢い」「すいーとまろん」「木内梅酒」。下段はいえみやげ部門で大賞を受賞した「奥久慈卵のとろ~りクリームパン」「でせ~るふらん」「だるまわら納豆」

【山崎実】茨城県を代表する土産品を選ぶ3年に一度の「茨城おみやげ大賞」がこのほど決まった。土浦、つくばから出品された土産品のうち、いずれも土浦市の久月総本舗(土浦市東真鍋)が出品した米菓「帆引れんこん物語」が旅みやげ部門で、スフレケーキ詰め合わせ「常陸のスフレ」がいえみやげ部門でそれぞれ入賞した。

茨城を訪れる外国人観光客や国内旅行者、一般消費者を対象に、県内の土産品の販売促進を図ろうと実施しているもので、今回は2016年以来、3回目となる。

エントリー総数155商品の中から、試食投票と専門家による審査などを経て、友人や職場の同僚らに勧めたい「旅みやげ部門」と、自分や家族などへの「いえみやげ部門」の大賞各3品が決まった。特別賞として「女子みやげ賞」「外国人OMIYAGE賞」各2品の計10品が選ばれた。ほかに、一次審査(試食投票)を通過した「帆引れんこん物語」など12商品が旅みやげ部門に入賞、「常陸のスフレ」など12商品がいえみやげ部門に入賞した。

大賞6品と特別賞4品は次の通り。価格は消費税込み。

【旅みやげ部門】▽茨城めろんの片想い・茨城いちごの初恋・茨城さつまいもの出逢い=一口サイズの和洋菓子。自家製メロンあめやイチゴジャム、サツマイモあめを使った商品(鉾田市・深作農園、40グラム×6個で各1200円)▽すいーとまろん=栗の産地、笠間産の栗を使った焼き菓子(笠間市・ナガタフーズ、40グラム×5個で972円)▽木内梅酒=創業1823年の木内酒造が県産梅の実を漬け込んだ一品(那珂市・木内酒造、500ミリリットルで1080円)

【いえみやげ部門】▽奥久慈卵のとろ~りクリームパン=ご当地パンとしてメディアで取り上げられる1番人気のパン(那珂市・パン工房ぐるぐる、1個90グラムで195円)▽でせーるふらん=じっくり蒸し上げたハンドメードの蒸し出しプリン(小美玉市・小美玉ふるさと食品公社、1個8グラムで270円)▽だるまわら納豆一本束=県産小粒大豆で作った本場水戸わらつと納豆(水戸市・だるま食品、70グラムで237円)

【特別賞・女子みやげ賞】▽りんごまるごとバウムクーヘン=奥久慈りんごを丸ごと一つ使った食べごたえのある商品(大子町・豊田りんご園未来工房、1個350グラムで1500円)▽干し芋オランジェッタ=茨城県を代表する干し芋、紅はるかに、甘さを邪魔しないチョコをからめ、県産のキンカンをスライスし砂糖で煮詰めたものを添えた商品(筑西市・小野瀬水産、10~15グラムが5枚で1300円)

【特別賞・外国人OMIYAGE賞】▽ほしいもグラノーラりんご味/味噌味=大成女子高(水戸市)の生徒たちが考案した商品(ひたちなか市・ホテルクリスタルパレス、1袋80グラムで各700円)▽茨城県ひたちなか特産ほしいも食べ比べセット=昔ながらの品種から最新の品種までの食べ比べができる(ひたちなか市・クロサワファーム200グラム3袋で2100円)。

大賞、特別賞を受賞した土産品と入賞した土産品は、今後、県の土産品商品のカタログに掲載されるほか、販売フェアなどで県が積極的なPR活動を行い、県を代表する土産品として販路拡大に取り組んでいく。

【土浦駅前「本屋」座談会】㊦ ネットとリアルの本屋は共存できる

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3業態が連携して土浦で何が出来るかを語り合う(左から)つちうら古書倶楽部の佐々木嘉弘代表、市立図書館の入沢弘子館長、天狼院書店の三浦崇典店主。右端は司会の坂本栄NEWSつくば理事長

「アマゾン」はまったく問題ない

実は私、本についてはアマゾンにおんぶに抱っこなんです。現物は宅配、探すのはネット、急ぐときは電子本と。お店に行く必要がない。皆さんどう考えますか。

三浦 まったく問題ないと思います。僕も使っていますし。あんな便利なものはないですね。古本の流通にも便利ですし。われわれにとっては障害とかではなくて、お客さんの利便がすべてだと思っています。本はお客さんが選ぶもので、僕ら提供する側が選んではいけない。僕らが提供できるものは何か、お客さんの要望に注目していればいい。

天狼院もネットを使ったビジネスを何かやっていますか。

三浦 ネットでも売れるときはかなり売れます。いろんなところに真似されちゃったんですけど、「天狼院秘本」という、タイトルを隠して販売するやり方で、1000冊ぐらい売れました。

古本もネット販売が主流になりつつあるということですか。

佐々木 共存と言いますかね。古本カタログに載せる本はネットに出ないので、こういうジャンルでは、店に引っ張るというのが一つの考え方です。

電子書籍の普及で売れなくなったのは、料理本とか趣味の本です。20年前まで、古本屋には、料理本、文庫、漫画は欠かせなかった。それだけで食っていけるぐらい売れていた。そがぴたっと止まった。そのとき私は、くせもの(骨董品)を勉強したんです。古いものの市場に行って、ネットとの差別化を図った。

図書館とネットの関係はどうですか。

入沢 電子書籍の貸し出しをやっています。350タイトルぐらいで多くはありませんが。ほかの公立図書館に聞いても利用者はまだ多くありません。現状では本を手に取って見る利用者が多く、電子本は図書館の主流にはなっていないと感じています。

本の宅配と古本店・図書館のコラボ

―佐々木さんには、土浦の旧家に眠っているものを掘り起こしてほしい。話を元に戻して、3業態のコラボ案、まだありますか。

三浦 まだアイデアの段階ですが、先に触れた配達を始めるときは佐々木さんとコラボできますね。配達先のお客さんから「古い資料があるんだけれど、足腰が立たなくて古書倶楽部に持っていけない」と言われれば、僕らが「いいですよ、一緒に持っていきます」と言える。

実は僕、昔、中堅書店の店長をやっていまして、本の仕事は雑誌とか漫画の配達から始まっているんです。美容室とか歯医者に本を届けるのは、地域の本屋さんが担っていました。今はほとんどなくなっていますが。でも逆に、今やったら面白いんじゃないかと。

そうすると、古書倶楽部とコラボできますよね。「古い資料ありましたよ、佐々木さん」と伝える。「図書館から借りた本の返却が大変」と言われれば、その返却を引き受け、図書館ともコラボできる。

―土浦でそうした分野でトライしてもらい、コラボモデルができると面白い。

土浦市立図書館の「本の通帳」記帳機

「本の通帳」 大人にも広げたい!

入沢 土浦って、小学生が結構、本を読んでいるんです。もっと読んでほしいと思い、去年の秋から「本の通帳」というのを始めました。借りた本を記帳機で通帳に記帳するというシステムです。地元の4金融機関に計120万円を出していただき、通帳を5000冊作りました。

三浦 僕が今、全国的に勧めているのは、給料の1割を使って本を買えということです。「本の通帳」は大人にもすごくいい。

入沢 子どもに本を読んでもらいたいので、小中学生を対象にやっているんですが、大人には「自分で手帳に書いてください」と言っています。(笑)

三浦 だめです(笑)。僕らは、ゼミが終わったら、シールをお渡しする贈呈式を毎月、大人にやっています。修了証みたいなものを発行しているんですが、皆さん、拍手喝采です。「本の通帳」だと活字中毒になりますね。増える楽しみがあるじゃないですか。

なかなか手に入らない高級限定本

キーワードは活字中毒ですね。これからの古書店のキーは何ですか。

佐々木 昭和以前の貴重な本を残していくというのが私の考えです。景気がよかったころ、京王百貨店でやっていた古本市では、1週間で億単位、1日数千万の売り上げがありました。(催事は)駅弁か古本かと言われたものです。開店と同時にお客さんが走ってきて、1冊しかない高級本を奪い合って…。

三浦 本の作り方も、そっちに行った方が面白いかもしれませんね。高級にして、100年残る本にした方がいいかもしれません。

佐々木 そういう本もあるんです。本革装で小口にマーブル加工されて限定10部とか。これからは、貴重だと思う本はそういう作りをした方がいいと思いますが、技術者がドンドンいなくなっているんです。手作り感がすごくあって本当にいいんですが…。

三浦 102歳で亡くなった、カメラマンの熊谷元一さんと本を作ったことがあります。熊谷さんの家に貴重な本、会員にならないと入手できない手作り本があったんです。そういった本は会員じゃないと買えないから、次の人は会員が亡くなるのを待っているんです。そういう世界をもう一回つくったら面白いかな。

―話が大分広がってきました。今日は有益なお話、ありがとうございました。(おわり)

➡土浦駅前「本屋」座談会の㊤㊥はこちら

【高校野球茨城’19】土浦日大がコールド勝ち

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2回裏土浦日大1死一塁、本田が左翼スタンドへツーランを放つ

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会は7日目の13日、J:COMスタジアム土浦の第1試合で、大会2連覇中の土浦日大が登場。茨城キリスト教学園と対戦し、10-1で7回コールド勝ちを収めた。

土浦日大は1回表、1番・鶴見恵大が左前打で出塁し、盗塁で無死二塁とすると、2番・大和田廉太の中越え二塁打で1点を先制。2回にも6番・高根知也が左前打で出塁し、8番・本田光河の左翼アーチで2点を追加。その後も順調に得点を重ねて7回にコールド成立。茨城キリストは6回に投手の代わりばなをとらえて1点を返すにとどまった。

2回にツーランを放った本田は「まっすぐで追い込まれて、変化球でくると読んでスライダーをはじき返した。バットの先かと思ったら風に乗ってくれた」と振り返る。この日は3安打3打点の活躍で、4打席目は気負ってしまい3塁ゴロに終わったが「ランナーを進められ、次につなげるバッティングができた」と意に介さず。

本田は昨秋は4番を打ったが調子を落とし、スタメンを外れた時期もあった。「自分は長打が持ち味。それをテーマにしてこの夏に向かってきた。試合に出られず悔しい思いをした時も、夏は自分が引っ張るんだと、冬の間に何千本とバットを振り込んできた。練習量には自信がある」

投手は荒井勇人、中川竜哉、山崎祐翔の3人でつないだ。先発はエースの荒井。左のサイドスローで、早いテンポと早いステップで投げ、打者にタイミングを取らせない。リズムで流れを引き寄せる投げ方だ。

「今年は昨年のような絶対的な選手はいないが、クレバーなチームで、みんなでつなぐことができ、足もある。今日の試合で夏大会の雰囲気が分かり、調子も上がってきているので、次も気を抜かず自分たちの野球をしたい」と荒井は抱負を述べた。

土浦日大の先発、荒井投手。変則的なフォームで打者にタイミングをとらせない

13日土浦、つくば勢の他の試合結果

▷つくば秀英6―2下妻一

梅雨寒の影響は?「農産物の栽培管理を徹底、例年と変わりない」JAつくば市谷田部

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朝採り野菜が並ぶJAつくば市谷田部の農産物直売所「野っ食べ」

【橋立多美】6月末から梅雨寒が続いている。長雨と日照不足が野菜の生育と価格に影響しないか、JAつくば市谷田部の農産物直売所「野っ食べ」(やったべ)を訪ねた。

国道354号線沿いの同直売所には、生産者から運び込まれた朝採り野菜や食べ頃で糖度の高いスイカなどが並べられ、消費者が思い思いの品を手に取る姿が見られた。入荷量、品質、価格とも例年と変わりはないという。

横田伊佐夫組合長は「多湿だと病害が発生して作物の育成に影響するが、栽培管理を徹底することで防いでいる」と話す。また「コメは穂出時期に天候が不順だと受粉が進まず、収獲量に影響が出る。例年穂出するのは8月1日ごろで、今月20日以降は晴れる日が増える予想で心配はないと思う」と余裕を見せた。

JAつくば市谷田部の農産物は、化学肥料や農薬の使用を極力抑えて栽培し、安全な食にこだわる生活協同組合パルシステムと提携している。直売所では、野菜のおいしさを熟知している生産者が作った漬け物や、低温管理のショーケースで品質が保たれた玄米も販売されている。

核家族化が進展する時代を反映してカット野菜に注目が集まる。横田組合長は、スーパーではスイカ1個を食べきれない消費者のニーズに合わせてカットされたスイカが販売されている。当直売所も消費者の世帯構成に配慮していきたいと話してくれた。

大玉スイカを選ぶ買い物客=同

JAつくば市谷田部 農産物直売所「野っ食べ」
住所▷つくば市谷田部2074-1
電話▷029-836-4101
営業時間▷午前9時30分~午後6時(4月~9月) 午前9時30分~午後5時半(10月~3月)
定休日▷なし(1月1~3日のみ休み)

➡農産物直売所「野っ食べ」の過去記事はこちら

【土浦駅前「本屋」座談会】㊥ 図書館+古本店+新刊店による「ブック回廊」

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(左から)つちうら古書倶楽部の佐々木嘉弘代表、市立図書館の入沢弘子館長、天狼院書店の三浦崇典店主

文化的基盤が厚いまち土浦

歩いて1~2分のところに、3つの本を扱う店・施設が集まっています。そこは駅ビル内とその近隣ということもあり、市内の高校に通う学生がたくさん行き来します。土浦は昔の県南の中心で、知的好奇心が高い方が住んでいる。こういった好環境で本を扱うわけですが、それぞれの立ち位置から3者コラボのアイデアを出してください。

入沢 土浦は古いまちで文化的基盤が厚く、文化人がたくさん出ているまちで、市民もそれを誇りに思っています。本を通じてみんなをつなぎたい。若い子は勢いのある近隣の市に目をとられ、土浦は古くて衰退していると思ってしまいますが、土浦は文化基盤があることに誇りを持ってほしい。

古書店 いまは「本の骨董店」

この座談会を機に、本の3業態の「回廊」のイメージをつくりたい。どうつながり、どうつなげるか、意見を聞かせてください。

佐々木 入沢さんのお話のように、土浦には地元の作家がかなりいらっしゃる。高田保(1895~1952、随筆『ブラリひょうたん』など)とか。うちは、そういった人の手紙とか直筆とか短冊とかを集めています。6月に開催した「第15回古本まつり」で、長塚節(1879~1915、常総市出身、小説『土』など)の手紙などを集め、カタログにしてお客さんに送ったところ、長塚節関係の本をごっそり買った方もいました。私の仕事はそういうことなのですが、それを知っていただく方法が意外とないんです。

つちうら古書倶楽部は、古本屋というよりも骨董屋のイメージですね。

佐々木 本の骨董品屋です。直筆の書簡とか、戦前の子どもの本や古地図とか、そういうものを集めてカタログをつくり、何十年も温めてきた全国の約2000件のお客さんに送っています。

こういう古本屋さんの取り組みは、天狼院さんの営業とは対立しないですね。

三浦 対立しないし、コラボできるところです。いま私は大学で教えていて、大学の先生とコラボして論文ゼミをやっていますが、「役に立たなくていいからテーマを見つけて調べよう」というゼミもあります。まずは古書店のカタログを見て、論文の題材を探そうということをやってもいい。

駅ビル・アトレに泊まり論文書き

学生のゼミの教材としては、古書店は宝の山ですね。

三浦 古書店には作家の手紙とか一次資料もある。それを使った論文の書き方は体験型の「論文ゼミ」で教えます。土浦は東京から近いので、大学の先生に来てもらえますから。もう一つ、天狼院には「小説家養成ゼミ」もあるので、小説の題材を探しに古書店に行きましょうということもやれる。この間、うちのゼミから松本清張賞が出たんです。

大きな古本屋さん、図書館が近くにあるのはメリットで、もう東京から学生と先生に来てもらうしかないですね。僕らは「旅部」という旅行ゼミもやっています。全国から学生を集めて熱海とかに行くんですが、それを土浦にも持ってこようと思っています。

駅ビル「プレイアトレ」に来年オープンするホテルに彼らを缶詰にして、一次資料を調べて論文をつくるとか。僕らはどこでも缶詰になって、集中して書くことをやっているんです。市立図書館の閉架図書を使って調べることもできます。

缶詰をやってリフレッシュしたいと思ったら、自転車で霞ケ浦を回っていけばいいんじゃないですか。戦国武将の気持ちになりたいときは城跡とか行ってもいい。(笑)

店内の黒板に受講案内が書かれた天狼院書店プレイアトレ土浦店の各種ゼミや部活、同好会など

入沢 アトレはサイクリストの拠点ですが、天狼院さんが入られて、そのあたりに特化していくことは考えているんですか。アトレが企画する「散走」ツアーがあって、いろいろなところに行っていますが。

三浦 これまで文科系中心で体を使うことをやっていなかったので、そろそろやりたいと思っています。カメラを携えて行くみたいなこともやりたいですね。何でもやります。手間がかかってもやります。

土浦市内10高校の「学祭」も応援

天狼院さんが「土浦という素材」を掘り起こすことに期待しています。

三浦 出店するということはそのまちに学ぶところが多い。京都とか福岡とかもそうですが、何年もかけて学んで、ようやくフィットしていくみたいなところがあります。

ゼミなどの企画で、土浦に学生を連れてくるのはいつごろになりますか。

三浦 土浦店の第2形態は秋を見込んでいるので、そのあたりから見えてくると思います。スタッフもどんどん入ってきているので、秋になるんじゃないかと思います。例えば「ライティングゼミ」ですが、毎週、2000字の記事を提出するという課題があります。そこでの問題はネタ切れになることですが、土浦でゼミを開けば、図書館でも古書店でも宝さがしができる。ネタだらけじゃないですか。

新刊本屋さんというより、知的な企画をどんどん持ち込むんですね。

三浦 あとは、9000人の高校生がいること、高校が10校あることですよね。工業高校も進学校もあるということは、ここは日本の高校の縮図ですよね。東京に近い地方都市でもある。ここの高校生を活字中毒にできれば、日本全体を活字中毒にできる可能性があるということですね。(笑)

入沢 土浦の特徴は高校生が多いことなので、去年から10校の高校生を集めて「学祭(がくさい)」という催しを駅前でやっているんです。今年は8月3日に開き、各学校自慢の部活披露や、学校案内の展示や相談、美術作品展示などを行います。ビブリオバトルも盛んで、去年も学校対抗で盛り上がりました。

周辺自治体の親子さんも来て、土浦はいいところねとか、土浦の学校に行かせようとか、そういう効果が生まれる。OBやOGもやって来て、後輩を応援しようとか。初回の去年は2000人ぐらい集まりましたが、今年は2万人を目指しています。

三浦 学祭なら僕らもいろいろ応援できますよ。学祭のパンフや雑誌をつくるために、写真や文章から、デザイン・レイアウトまで。高校生用の講座もできます。僕ら、全国を回る「コンテンツサーカス団」だと思っていて、コンテンツをショーにしているんです。(つづく)

➡土浦駅前「本屋」座談会㊤はこちら

【高校野球茨城’19】地元対決は霞ケ浦制す 一高対決は土浦一惜敗

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【霞ケ浦-土浦三】完投勝利を挙げた霞ケ浦の山本投手

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会6日目の12日、J:COMスタジアム土浦では2回戦2試合が行われた。第1試合では優勝候補の一角と目される霞ケ浦が登場、3対1で土浦三との地元対決を制した。第2試合では土浦一が2勝目に挑んだが、0対2で竜ケ崎一との一高対決に敗れた。

霞ケ浦 2年生左腕が完投

霞ケ浦は2年生左腕の山本雄大が、土浦三打線に6安打11三振で完投。「けっこう疲れたが、相手の3、4番には自然にギアが上がった」と山本。「まっすぐのキレが良く、ひと冬を越してボールに勢いが出てきた。今日は後半バテたら交代も考えていたが、キレが落ちず一人で投げきった」と、高橋祐二監督がいま最も信頼を置く投手の一人だ。

【霞ケ浦-土浦三】4回表土浦三、暴投に三走・濱崎が本塁突入するが、打者田口が振り逃げアウトで得点成立せず

打線は期待の1年生・宮崎莉汰を初めて4番に起用。中心選手の天野海斗を1番に回してチームの牽引役を任せた。この期待に天野は「第1打席では冷静さを失い力んでしまったが、2、3打席目では修正できた」と、好機では長打2本で応えた。3回裏は二塁打で走者を三塁に送り、3番・山本のスクイズによる先制点につなげ、自らも5番・仕黒大樹の内野安打でホームに返った。4回裏は2死一塁の場面で登場し、左越えの三塁打を放った。

天野にとって特にうれしかったのは4回の追加点。この回の表で土浦三に2死満塁のチャンスを作られ、暴投で1点を失うところだった。幸いにも振り逃げの打者走者を一塁でアウトにできたが、相手ベンチの盛り上がりは大きかった。「2点のリードでは危ないと感じ、この回が大事だと思っていた」

土浦三は6回に4番・松浦直哉の二塁打と、5番・宮田侑資の振り逃げで無死一、三塁とし、6番・宮城優斗のスクイズで1点を返した。しかしその後は好機を作れず、流れを引き寄せることができなかった。

投手戦 土浦一はヒット5本に抑える

【竜ケ崎一-土浦一】5回表の場面。土浦一の盗塁失敗はこれを含め3つに

土浦一と竜ケ崎一の試合は投手戦の様相を呈したが、大事な場面での経験値などで竜ケ崎一が一枚上手だった。初回表、竜ケ崎一は先頭打者が死球で出塁。内野ゴロで1死一、三塁の場面を作ると犠牲フライを放ち、ノーヒットのまま1点を奪う。8回には2安打1四球で1死満塁とし、ここも犠牲フライで1点を追加した。

土浦一の古宮学樹投手が相手に許したヒットは5本だけ。「古宮はよく投げ抜いてくれたし、試合全体を見ても劣勢という感じは全然なかった」と柴沼剛己監督。古宮自身は「いいピッチングはできたが、四死球でピンチを作ったのが敗因だった」と語る。

攻撃については「いい当たりは出ていたが、変化球とストレートの出し入れで相手にうまくやられた」と黒田堅仁主将。「バントや盗塁のミスでチャンスをつぶしたのが痛かった」と5番打者の佐野翔。たとえば5回裏の場面。先頭が死球で出るも次打者は3バント失敗で送れず、盗塁失敗で走者も失った後にヒットが出るというちぐはぐな攻撃。2つのミスが重ならなければ同点は確実だった。

【竜ケ崎一-土浦一】9回裏、土浦一・古宮のヒットは会心の当たりだったが後続を断たれる

最少失点で終盤につなぎ、怒濤の集中打で逆転という得意パターンも、この日は通用せず。9回2死から4番・古宮の左前打で希望をつなぐが、続く佐野の打球はショートゴロ。一塁に頭から滑り込むが間に合わず、塁上に突っ伏したまま試合終了のサイレンを聞いた。

「自分で終わって悔しいし、一緒に頑張ってきたみんなにも申し訳ない。下の代には堅実な守備と、自分たちやその上の代から吸収したことを生かして、しっかりとした県立らしい強いチームになってほしい」と、佐野は下級生へメッセージを残した。

12日土浦、つくば勢の他の試合結果

▷石岡一5―0土浦湖北

▷水戸啓明5―1土浦二

別人の口座振込済通知を43人に誤送付 つくば市

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市は12日、払い戻し請求があった国民健康保険療養費を請求者の銀行口座などに振り込んだことを知らせる通知書43人分を、誤って別人に送付してしまったと発表した。通知書には口座名義人、振込先の銀行名と支店名、振込金額、療養を受けた人の氏名、療養の内容などの個人情報が記載してあった。

市国民健康保険課によると、払い戻しは、急病や事故などで保険証を持たずに治療を受けたり、ギブスやコルセットなどの治療補装具を購入した場合などに自己負担した分。同課によると、10日付けで同課が払い戻しをした735人のうち、43人分の通知書を別人に誤送付した。口座に振り込んだ金額自体に誤りはなかった。

11日、通知を受け取った市民から、別人の通知書が届いていると知らせがあり、誤送付が発覚した。

氏名と口座情報をそれぞれ別の管理番号でデータ管理していたことなどが原因という。

同課は43人に対し、電話で誤送付を伝えて謝罪。さらに12日から43人の自宅を個別訪問し、謝罪の上で誤送付してしまった通知書を回収している。

再発防止について同課は、ファイルの管理方法を統一し、さらに送付前に複数の職員で通知書を確認するなどして再発防止を図っていくとしている。

【土浦駅前「本屋」座談会】㊤ 駅ビルと近隣で進む「本のまち」づくり

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土浦駅前に集まった(左から)つちうら古書倶楽部、市立図書館、天狼院書店プレイアトレ土浦店

土浦駅ビル・プレイアトレ土浦に5月末、体験型書店「天狼院書店」が出店し、県内一の規模の市立図書館、関東一の売り場面積がある古書店と、次世代の書店といわれる新刊書店が土浦駅前に集まった。本離れや書店の撤退がいわれる中、過去から未来までを見通せる「3つの知の発信拠点」が駅前に集まったことは注目される。土浦市は、人口減少や少子高齢化問題を抱える地方都市だ。本を扱う3業態が連携して土浦で何ができるかを、市立図書館の入沢弘子館長、つちうら古書倶楽部の佐々木嘉弘代表、天狼院書店の三浦崇典店主が語り合った。司会はNEWSつくば理事長の坂本栄。

図書館はまちづくりにも貢献

駅前に図書館と古書店と新刊書店ができました。同じ本を扱っていてもそれぞれ業態が違うので、横のつながりをつくり、(みんながうまくいく)ウィンウィンの関係ができないいかと思い、この座談会を企画しました。まず、お三方に自分のところの売り、これが自慢だということを話していただき、そのあと、3者でどういったコラボが考えられるか、アイデアを出してください。私はアマゾンの電子本と宅配を多用しているので、現物の本を扱う書店や図書館が、ネット書籍や本のネット注文をどう見ているのかにも、関心があります。その辺もうかがいたいと思います。最初に、それぞれの業態の特徴を教えてください。

入沢 土浦市立図書館は県内で3番目に古く、今年で創立95周年になります。延床面積は県立図書館を抜いて茨城県内で一番大きく、5120平方メートル。開館して1年7カ月ですが、これまでに91万人の方にお越しいただきました。この数は図書館業界の中ではかなり早いようで、来館者の多さで評価をいただいています。

全国的に見ても、図書館が古くなり建て替えを検討している自治体が多く、加えて地方都市の駅前が衰退しているという、共通の課題があります。それを解決するために、図書館でまちを活性化できないかと、駅前に図書館を移す自治体が多くなっています。土浦の図書館も、本来の公立図書館としての機能のほか、まちづくりに貢献するという使命が与えられています。私たちはいろいろな取り組みを考えながら、この両輪で図書館を運営しています。

古書倶楽部の購入と販売は10対1

続いて、つちうら古書倶楽部の佐々木さん、お店の特徴をお願いします。

佐々木 うちが普通の書店と違うところは、お客さんの蔵書の買い取りが大きい比重を占めていることです。バブル経済期は古本屋があちこちにあり、土浦にも5~6店ありましたが、ほとんどつぶれてしまいました。私のところのお客さんは、茨城県南のほか、東京や神奈川からも来ますが、本を整理したいという方が多いです。つまり、古本の買い取りが中心で、店で買ってくれるお客さんはガタ減りしています。

アマゾンなどの本の通販や、ネットに載らない戦前の本、特に江戸とか明治時代の古い本とかを扱うことで対抗しています。

買い取る古本と販売する古本は、どういった比率ですか。

佐々木 圧倒的に仕入れが多いですね。だいたい10対1です。古本屋の組合があって、買い取った本のうち、土浦で不用なものは東京の交換会に出します。茨城の場合は水戸にありますが、各都道府県にも古本市場があり、毎月交換会が開かれます。

うちの場合、34年前に自宅で古書店を始め、それから駅前のイトーヨーカドー土浦店(2013年閉店)の中を借りて5年やりました。ヨーカドーが撤退するとき、本をどこに移そうか悩んでいたら、顔見知りのビルオーナーから「うちに入ってください」と言われ、東京、神奈川、福島の古本屋仲間約20人に声を掛け、今の店を立ち上げました。駅前のここ「パティオビル」に移って7年目になります。

土浦の天狼院はオーソドックスな店

続いて、天狼院の三浦さんです。本業界では実物本の販売が落ちているのに、どうして新刊店を出す決断をしたのですか。

三浦 私のところは、池袋で2013年9月にオープンしたのが1店目。その時に掲げたのが「リーディングライフの提供」です。本だけでなく、その先の体験も提供する、次世代型書店をつくろうと立ち上げました。東京、京都、福岡の店はセレクトショップの形をしています。つまり(ジャンルを絞り込んだ)セレクトした本を置く店のことですが、僕はもともとそういう書店はやりたくなかった。時代に逆行していると言われますが、5月末に開いた土浦店のようなオーソドックスな書店をやりたかった。

ということは、土浦店は昔風の本屋ということですか。

三浦 オーソドックスです。60坪の店に、売れ筋の新刊、コミック、参考書、雑誌、文芸書、文庫、新書、実用書、児童書の売り場があります。もちろん、体験を提供するのは得意なので、記事の書き方を教える「ライティングゼミ」とか、写真の撮り方を教える「フォト部」などの企画も持ってきてはいますが…。

でも土浦でやりたかったのは、一般の新刊書店です。お金もかかるし、もうかりませんが、やるからには勝算はあります。目指しているのは、寿命100年時代に、そのまちの知を担う書店であること。もうけるのではなく、存続させること。これが土浦店のコンセプトです。

―参考までに、ほかの天狼院の店の形を具体的に教えてください。

三浦 京都祇園の店は町家を改装した40坪で、坪庭もあります。普段着姿の舞妓さんも来ます。外国人のお客さんも多く、売り上げの半分が外国人客で占めています。併設のカフェも人気です。本はセレクトしており、源氏物語の英訳版などインバウンド向けが売れています。スタッフには本好きを投入していて、京大の文学部出身者や本を書いている人もいます。

福岡の店は自習室カフェ、「いつまでいてもいい書店」です。クリエイターや勉強する人が1日中いて、カレーとか豚汁も売っています。

池袋は4店が散らばっているのですが、(書店ではない)カメラ技術を習得するスタジオや、ビジネス書専門の店もある。池袋は様々な発信基地、放送局みたいなイメージがあります。本店の東京天狼院は、部室のようなたまり場になっています。

その地のニーズに応え、その地その地で店の形が違うということですか。

三浦 すべてカスタムメードです。最初に掲げたコンセプトには「リーディングライフの提供」だけでなく、「iPS細胞のように自在に進化する」というのもあります。お客さんの欲望によって形が変わっていくということです。今の時代、どこに行っても同じというのは無理です。土浦は高校生が多いということなので、これに合わせて変化させていきます。現在は第1形態です。ゴジラみたいに第5形態までいきます(笑)。

高校生を活字中毒にしてしまおう

入沢 土浦は高校が多く、特別支援学校を入れると10校あります。昼間、土浦に来ている高校生は9000人ぐらいいる。駅前に図書館が新築移転して大きく変わったのは、高校生の利用カード(登録者)が旧館時代の82倍になったことです。図書館で勉強するだけでなく、移転前に比べると、6倍近く本を借りるようになりました。

三浦 ということは、僕らのミッションとしては、今の段階で「高校生を活字中毒にしてしまえばいい」ということですよね。(笑)

土浦店は高校生を念頭にカスタマイズした方がよさそうですね。

三浦 そうなると思います。土浦一高をはじめとして勉強熱心な高校生が多いと聞いています。難関大学専門の参考書も入れてほしいとご要望をいただき、なるほどと思いました。土浦店ではここを伸ばせばいい、ここを削ればいいというのが見えてきました。あらゆる方向に伸ばせる可能性がある。今は夢想段階です。

時代逆行と言われるかもしれませんが、土浦では本の配達も始めようかと思っています。今はネットで買うと言われていますが、自分の父親はネットを使わないとか、スマホを使わずガラ携でいいという世代が結構いますから。(つづく)

▶入沢弘子(いりさわ・ひろこ)=土浦市立図書館館長兼土浦市民ギャラリー副館長、土浦市広報マネジャー併任。1962年生まれ。

▶佐々木嘉弘(ささき・よしひろ)=つちうら古書倶楽部代表。茨城県古書籍商組合組合長。1954年生まれ。

▶三浦崇典(みうら・たかのり)=天狼院書店店主。ライター、編集者、劇団主宰、映画監督、大学講師。1977年生まれ。

新時代のハイブリッド道の駅  「グランテラス筑西」オープン

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須藤市長らがテープカット、完成を祝った「グランテラス筑西」

【相澤冬樹】年号が「令和」に改まり、国交省が登録した全国6カ所の「道の駅」の先陣を切って11日、筑西市に「グランテラス筑西」がオープンした。地元産品の直売を中心とした従来型の施設にない機能を組み合わせ、「ハイブリッド道の駅」をめざして同市が整備していた。午前中、関係者らを招いて完成を祝う式典を行った後、正午に一般客を迎えて開場した。

同市川澄、国道50号下館バイパス沿いの総面積4万7709平方メートルの敷地に、3棟からなる地域振興施設(延床面積4216平方メートル)と芝生広場などを市が整備し、国交省がトイレ・情報交流施設(同265平方メートル)を設置した。国交省登録の道の駅としては全国1155カ所目、県内では14番目となるが、運営の第3セクター、ちくせい夢開発(代表取締役・須藤茂同市長)によれば「県内最大級」の規模ということだ。

メーンの物産・直売・レストラン・カフェ棟には農産物・物産直売所のほか、同市産の食材を中心に調理した惣菜の店舗、外食店舗も軒を並べた。屋外には新スポーツのスラックラインエリアや隣接の畑で収穫体験も楽しめるバーベキュー場などがお目見え。駐車場は361台収容(うち大型車43台)で、ドライバー向けのリラクゼーションルームなども整備、さらには水戸線岩瀬駅発の高速バスが同施設経由となり、駐車場に車を止めて東京直行便が利用できるようになった。

同施設は2015年に推進協議会が立ち上がり、構想の事業化が進められてきたもので、18年9月に着工、第3セクターも設立され、今年6月国交省の「道の駅」第51回登録に記載された。完成式で須藤茂同市長は「何とか茨城まごころ国体までに間に合わせたいと念じていたが、夏休み前にオープンできた。地権者はじめ関係者の熱意と理解のたまものと感謝している」と述べた。

地元食材中心に提供する惣菜店もお目見え

 

【高校野球茨城’19】常総は上々の立ち上がり 2回戦 シード校登場

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4回裏1死二塁、常総学院・鈴木の中前打で手塚が生還し3点目

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会は、5日目のきょう11日から2回戦に入り、各球場にシード校が姿を現した。J:COMスタジアム土浦では第2試合にAシードの常総学院が登場、鬼怒商に8対0のコールド勝ちを収め、上々の立ち上がりとなった。

常総学院は打線が一巡した3回から本領を発揮。1番からの好打順でたちまち3安打を放ち2点を奪う。4回は1死二塁から1番・鈴木琉晟が2打席連続のヒット。さらに相手投手の乱れに乗じ1死二、三塁とすると3番・菊田拡和、4番・斉藤勇人、7番・菊地壮太がいずれも長打でこの回一挙5得点。6回にも6番・北澤侑樹の犠牲フライで1点を加えた。

この日、鬼怒商の先発は江原恭真。右打者の多い常総に対し左腕を立ててきた。だがそれも佐々木力監督には想定の範囲。「最初は手探り状態だったが、球種や牽制のタイミングを見抜いてからは、どんどん足も使った。相手投手は、ランナーが出たら走られるのを嫌がってストレートが多くなる。そこを打線が仕留めてくれた」

注目の強打者、菊田はこの日4打数1安打。4回に左中間へ二塁打を放ち2打点を挙げた。「スイングは悪くないし芯で捉えている。打球が上がってくればホームランも出るだろう」と佐々木監督。

投手は3人を試した。先発は昨夏もマウンドに立った菊地竜雅。この日は最速147キロを投げたが、本気になればもっと出せそうだ。「四球とか出さず守備の時間を短くできるよう、コントロール重視で投げた」とのこと。2年生で次期エース候補。今大会でも出番は多そうだ。

188センチの長身から投げ下ろす一條

5、6回を投げたのは一條力真。やはり2年生で夏の大会は初経験。四死球でランナーをためる場面もあったが、野手陣の励ましで立ち直った。身長188センチの恵まれた体格を生かし、伸びのある直球で打たせて取るピッチングだ。7回は下手投げの池田隼彦が登板、3人を10球で打ち取った。このほか投手陣にはエース級の塙雄裕や岡田幹太も控えている。戦力の全貌が明らかになるのは、まだまだ先になりそうだ。

※11日土浦・つくば勢の他の試合結果は

▷磯原郷英2―3つくば国際

土浦市内10高校が集結 「学祭」今年は8月3日

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「学祭TSUCHIURA2019」企画検討会議のメンバー=土浦市役所

【谷島英里子】土浦市内にあるすべての高校(10校)が集結するイベント「学祭TSUCHIURA2019」が今年は8月3日に開催されることが決まった。市、市教育委員会が主催して昨年11月に初めて開かれ約2000人が来場した。今年は土浦キララまつり(8月3、4日)や学校説明会の開催時期に合わせ、より多くの来場者を狙う。

学祭は小中学生に向け土浦での高校生活のイメージ向上を図るとともに、市民や高校OB・OGの愛着心を喚起するのが目的。土浦は県内で水戸に次ぎ高校が多く、毎日約9000人が市内に通学しているという。会場はJR土浦駅西口周辺のうらら大屋根広場やアルカス土浦などで行う。

参加するのは県立土浦一、土浦二、土浦三、土浦工業、土浦湖北、土浦特別支援。私立は土浦日大、土浦日大中等教育、常総学院、つくば国際大高校。

11日には各校代表生徒で組織された企画検討会議のメンバーが記者会見を開き、企画内容を説明した。昨年に引き続き、目玉となるステージを使った部活動紹介のほか、本の魅力を紹介し合う学校対抗ビブリオバトル、絵画や書の作品展示などをする。新たに、会場4カ所を巡るスタンプラリーを開催し、模擬店を出店するという。

企画検討会議では他校とのつながりを高めたり、近隣の小中学生に各校の特色を知ってもらいたいとこれまで5回の打ち合わせを行ってきた。生徒たちは学祭の良さを「学校説明会は1日に1校しか行く時間がないが、学祭なら1日に10校も見られる」「いろいろな部活動を地域の方にも見ていただける」などと語った。

ポスターは、小中学生を意識した可愛らしく元気なデザインで、お祭りをイメージさせようと、つちまるに法被を着せ、各校の校章を入れた。生徒が案を出して市内在住のイラストレーター、ふるやまなつみさんが制作した。

土浦工業3年の狩谷燎亮さん(18)は「明るく元気でさわやかなイベントなので老若男女が楽しめる。ぜひご来場ください」と呼びかけている。

全面建て替え工事完了 ジョイフルアスレティッククラブ土浦 15日オープン

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全面建て替え工事が完了し15日午前11時オープンする「ジョイフルアスレティッククラブ土浦」=土浦市中村南

【山崎実】全面建て替え工事が完了した「ジョイフルアスレティッククラブ土浦」(土浦市中村南)が15日、オープンする。

土浦店はつくば科学万博が開催された1985年にオープンした。以来、スポーツコミュニケーションの場として親しまれてきたが、35年の節目を迎え、老朽化が進んだこともあり、全面的に建て替えた。新施設の延床面積は約7400平方メートルで県内最大級。

新施設の主な特徴は、スポーツクラブでは類をみない540平方メートルのアリーナを新設した。プールは子ども用(25メートル、8コース)、大人用(同、6コース)のほか、水中歩行専用のコースを整備。男女とも約30基のシャワー、3種類の浴槽(女性は4種類)を用意した。施設全体を周回できる1周230メートルの室内ウオーキングコースも新設した。

540平方メートルのアリーナ。卓球、バドミントン、バレーボール、バスケットボール、フットサルなどができる。子供の体操教室なども開催しアリーナ横のギャラリースペースから子供の姿が観覧できる(ジョイフルアスレティッククラブ提供)
25メートル×8コースの子供用プール(同)

また県内では初出店となる、富士山溶岩石の床プレートから放つ遠赤外線効果と薬石の鉱物ミネラルで脂肪燃料などが期待できるマグマスパスタジオ(店名「J-HOT」土浦店)も同時にオープンする。500台以上の駐車が可能な駐車スペースは。8月に全面オープンの予定。

同店はスポーツ関連のほかにも、現在実施しているカルチャー教室に、9月から英会話教室を開講する予定で、子どもから大人まで幅広い層のコミュニティの場を目指している。

2011年の東日本大震災の際は地域住民に浴室を開放した経験から、7月末には、土浦市と災害時における施設開放協定を締結し、プールやシャワーを提供するなど地域貢献にも力を入れる。

ジョイフルアスレチッククラブ(安達幸生社長)は「コンセプトは『人と人とがつながるクラブ』で、地域の健康づくりとコミュニティの拠点として利用していただきたい」と話している。

約100台のトレーニングマシンがそろうトレーニングジム(同)。テレビやインターネット接続可能なマシンや、ゆったりしたラウンジ、芝生エリア等を備える(同)

【高校野球茨城’19】筑波、待望の1勝ならず

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4回表、ヒットを放つ吉田

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会4日目の9日、ひたちなか市民球場の第1試合で筑波が東海と対戦し、7対8で敗れた。終盤で4点のリードをひっくり返され、目前に迫っていた単独チームでの待望の1勝が、手の中からこぼれ落ちた。

筑波は初回表、先頭の田中康太主将が内野安打で出塁すると、2番・森田雄登の送りバントで相手が処理を誤った隙に、一気にホームを狙い1点を先制。3回にも満塁押し出しで1点を追加。その裏に相手のランニングホームランなどで3点を失うが、4回に4点を挙げて再び試合の主導権を握った。

4回の攻撃の白眉は、2死満塁の場面で走者一掃となった、3番・市川龍之介の中越えスリーベース。「少しでも先輩を返したいと思って打席に入った。外の低いストレートで好きなコースだった」と振り返る。

投打でチームの中心となった田中

3年の田中と吉田拓海、そして2年の市川は、昨年の秋冬は3人だけで練習に励んできた。昨夏は連合チームで記念すべき1勝を飾ったが、それでも単独チームへの思いは強かった。

春になって人数が増え、チームらしくなったときの様子を吉田は「他を気にせずできるところまで練習し、だめなところはだめと言えるようになった」とうれしそうに語る。「連合チームでは選手にとまどいもあった。単独なら負けても自分たちの経験として積み重ねになる」と田嶋一彦監督。6月からは助っ人選手も加わって練習を積み、試合ができるまでになった。

しかし鍛えきれない部分も残った。実戦経験だ。練習試合でもコールド負けがほとんどで、9回まで競り合うのは今回が初めて。「自分の力を出せていると実感でき、楽しかった」と田中は言うが、疲れは確実にのしかかっていた。

相手に大きな当たりが出るようになり、8回を終えた時点で7-7の同点。9回にはストライクが入らず満塁とされ、ついにサヨナラのヒットを許す。「打球がショートの頭上を越え、涙が出た。だが後悔は全くない。いままでの中でいちばんいい試合だった。仲間一人一人が試合の中で成長できた」と田中は試合後、落ち着いた表情で語っていた。

試合後、ベンチ前で相手校の校歌を聞く

「装具難民なくしたい」 つくばの2社が福祉機器情報管理システムを共同開発

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福祉機器の補装具に貼り付けたQRコードのシールを紹介する幸和義肢研究所の横張巧副社長㊧とペンギンシステムの仁衡琢磨社長=つくば市役所コミュニティ棟

【鈴木宏子】「装具難民」をなくしたいと、つくば市の義肢装具メーカー、幸和義肢研究所(同市大白硲、横張和寿社長)とソフトウェア開発会社、ペンギンシステム(同市千現、仁衡琢磨社長)が、福祉機器のトレーサビリティー(履歴管理)システムを共同開発した。車いすや義足などの耐用年数や、不具合が起こったときの修理方法などがQRコードで分かり、利用者と製造会社などが情報を共有して、いつでも適切なサポートを受けることができる。

車いすや義足、杖などの福祉機器を使い始めても、その後、壊れたり、耐用年数を超えたり、体の状態が変化して合わなくなることがある。福祉機器は使う人によって一つひとつ異なるため、それぞれに応じた適正なサポートが必要だが、使って数年が経過し、利用者が、いつ、どこで、だれが作ったかが分からなくなると、正しいサポートを受けられない場合があるという。高齢者社会が進行し福祉機器を使う人が増える中、福祉機器が壊れたまま自宅で埃をかぶっていたり、合わないのに使い続けたりしている状況が「装具難民」として医療や福祉の分野で問題になっている背景があるという。

QRコードによるトレーサビリティーシステムは、利用者と、福祉機器製作会社、医療・介護関係者などが常に情報を共有して、利用者が正しいサポートを受けられるようにしようと開発された。「ぽーさぽーと」という商品名で、QRコードを車いすなどに貼り付け、読み取れば、ウェブサイトに保管してある、処方した病院、福祉機器を製造した会社、製造日、型式、目的や効果、仕様、耐用年数などの情報がすぐに分かる仕組みだ。

同システムは、市内中小企業の技術マッチングを応援しようとつくば市が7月に開始した「提携締結・協業成果情報発信事業」の第1号に選ばれた。今後、市が関係する技術展示会などで展示してもらいPRするという。

さらに両社は、13~14日に仙台市で開かれる第35回日本義肢装具学会学術大会で発表するほか、10月に神戸市で開かれる第17回国際義肢装具協会世界大会にも参加し、国内だけでなく海外展開もしていく方針だ。

開発したシステムは今後、幸和義肢研究所が福祉機器製造会社を対象に販売する。導入費用は製造会社に負担してもらい、利用者には経済的負担がないようにする。価格は、QRコードラベルを発行する「ぽーさぽーとアプリ」などを導入する初期費用が15万円、月額利用料は1万6000円。システムを導入すれば、製作会社は何件でも製品情報を登録し、QRコードを発行できる。製品の情報や操作履歴は自社で管理できる。

幸和義肢研究所の横張巧副社長は「今まで関東しか営業エリアがなかったが、このシステムで国内だけでなく世界に商品提供できる企業に成長していけたら」と述べ、ペンギンシステムの仁衡社長は「つくばの2社が世界に旋風を巻き起こすことができたら」と話している。

◆問い合わせは電話029-875-7627(幸和義肢研究所内ぽーさぽーとプロジェクト)

【高校野球茨城’19】土浦一が逆転勝利 土浦二も初戦突破

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8回裏土浦一無死三塁、暴投で三走・酒井が本塁突入し同点とする

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会3日目の8日、ノーブルホームスタジアム水戸の第2試合で、土浦一が太田一と対戦し3対2の逆転勝ちを収めた。ひたちなか市民球場の第1試合では土浦二が那珂湊に9対4で競り勝った。

土浦一、8回裏に一挙3点

土浦一は2点ビハインドで迎えた8回裏、長短打4本の固め打ちで一挙3点を奪った。

試合は序盤、投手戦の様相。6回表に太田一が先に2点を挙げて均衡を破った。ここまで土浦一は5回の三塁打1本のみ。7回には単打と四球、失策で無死満塁の絶好機を作るが、拙攻で無得点に終わっていた。

ところが8回、打線は驚くほどの勝負強さを見せた。先頭の2番・藤又俊介が左中間へ二塁打。3番・酒井省吾は右翼フェンス直撃の三塁打。この長打2本でまずは1点。続く4番・佐野翔がファールと選球で粘ると、これが相手の暴投を誘い、走者・酒井がホームを踏んで同点とする。

さらに2死二、三塁の場面で、途中から8番に入っていた高橋脩造が逆転打。「前の打席では、真ん中を打とうとして高めへ伸びてくる相手のストレートに手が出てしまっていた。次は絶対打ってやろうと思い、低めを意識してセンター前へ運んだ」と振り返った。

8回裏無死二塁、酒井が右翼フェンス直撃の適時三塁打を放つ

7回と8回で何が変わったのか。「何も変えた部分はなかった。あせり始めていたことは事実だが、自分たちがやってきたことを信じ、絶対逆転できるから、あせらずに行こうと確認した」と黒田堅仁主将。「これまでも最少失点に抑えながら終盤勝負に持ち込み、逆転で勝ってきた。特に勝負どころでの集中力には自信がある。それを出すことができた」

先発の古宮学樹も、6回を2失点で乗り切ってからは危なげないピッチングで完投勝利。「体力には自信があり、球速も最後の方が上がる」という。こういう信頼できるエースがいることも、終盤勝負に懸けられる理由の一つのようだ。

次戦は12日第2試合、J:COMスタジアム土浦で竜ケ崎一と対戦する。柴沼剛己監督は「このチームらしく野球の楽しさを感じながら、全力で最後まで食らいついていき、見ている方々に元気と感動を与えられるプレーをしたい」と意気込みを語る。

土浦二、粘る那珂湊を突き放す

1回裏、相手の捕逸の間にホームインした葉梨主将

土浦二は、序盤から先行しては追い付かれる展開が続いたが、7回裏に一挙5点を奪って突き放した。6回表に3-3と同点にされ、その裏の攻撃でも盗塁を2度失敗するという、悪い流れを見事に断ち切った。

7回裏1死、9番・中澤恭聡の左越え二塁打に始まり、7人で6安打の固め打ち。「序盤は低めの緩い変化球に崩されていたが、回を重ねるうちに慣れ、引きつけて強い打球を返せるようになった」と、坂本武司監督は分析する。

勝ち越しの2点殊勲打は2番・葉梨琉良主将。1死二、三塁の場面で、高めに浮いたカーブをセンターにはじき返した。「下位がチャンスを作ってくれたので、上が打たなくてはと思った。相手は内野が前へ出て二遊間が空いたので、打ち上げないよう気を付けてライナーで抜いた」

葉梨はこの試合3安打3打点の活躍。初回には足でかき回して先制のホームを踏み、8回にも右前打で1点を追加。「ここへ来て、初めて主将らしいことをチームのためにできた」と、プレッシャーからも解き放たれた様子だ。

初戦のマウンドを守ったのは庄司大翼。立ち上がりがよく、初戦でも落ち着いたピッチングができると見込まれた。6回以降はピンチが続いたが、二つのダブルプレーなど守備にも助けられた。「途中から足がつりかけて球威が落ちたが、あと少しだと思って捨て身で投げていた」と、苦しみながらも完投。

次戦では最速138キロを誇る左腕のエース、堀越優貴が登板予定だ。12日の第1試合、県営球場で水戸啓明と対戦する。「最近は2回戦で強い相手に当たることが多く、ここを突破するのが一つの目標。うちは苦しい中で勝って落ち着けたが、相手は初戦で緊張もある。やってきたことを全て出して食らいついていきたい」と、坂本監督は意気込む。

苦しみながらも完投勝利を挙げた庄司投手

【高校野球茨城’19】土浦三、湖北がJ:COMスタジアムで初戦突破

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1回裏土浦三、宮田の先制打

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会2日目の7日、J:COMスタジアム土浦の第1試合で土浦三が牛久と対戦し3対2で初戦を突破した。第2試合、土浦湖北対水海道二の試合は5対1で土浦湖北が勝利した。

土浦三、エース濱崎が自らのバットで同点

8回表牛久2死一、三塁、ホームへ向かう三塁走者をタッチアウト。三塁手・宮城優斗

土浦三は1回裏2死一、二塁の場面、5番・宮田侑資の右中間適時打で1点を先制。「初回からリズムを作れるよう、高めのストレートをいい感じで打ててよかった」と宮田。

エースで主将の濱崎鉄平は、1~3回を1ヒットに抑える安定した立ち上がりだったが、4回に足をすべらせた影響からコントロールが乱れ始め、5回表に3安打などで2点を失う。だがその裏に1死満塁のチャンスを作ると、濱崎が自らのバットで同点。「とにかく1点が欲しかった。追い込まれていたので、短く持って当てていった」

そして7回裏2死一、二塁の場面で、四番・松浦直哉のヒットで勝ち越し。アウトコースの直球を力を抜いて振り抜いた打球は、一、二塁間を抜けてライト前へ。「前の打席まで凡退が続いていたが、チャンスだったので濱崎のためにも打ちたかった」

牛久には7、8回にも得点機を作られるが、土浦三は慌てず濱崎を中心とした守りでしのぎきった。「思い通りに投げられなくても気持ちで抑えられた」と濱崎。12日の2回戦では、同地区の強豪である霞ケ浦と対戦する。「相手はいい選手がそろっている。ローカル大会などでは負け続けてきたが、全員野球で倒したい」と、気持ちを高める。

牛久:高橋宏、仙田-中谷 土浦三:濱崎-松浦 ▽三塁打=古川(牛)▽二塁打=栗山(牛)

湖北、代打・川崎がツーラン

ツーランを放ちダイヤモンドを回る川崎

土浦湖北は1回表、5番・郡司翔琉の中前タイムリーで2点を先制。3回裏の水海道二に1点を返されるが、6回表に代打・川崎歩のツーランホームランが飛び出しリードを広げ、9回にも高野隼主将のタイムリーでダメ押しした。守りではエースの大坪誠之助が本来の調子ではないものの6回を1失点に抑え、7回からはリリーフの天野宮拓夢が2安打無失点で締めた。

土浦湖北の小川幸男監督は「水海道二は戦力が充実しており、手こずると思っていたが、初回いい形で得点でき、よもやのホームランも出た。その後もいい場面を作れたが、バントなどでチャンスを広げられなかった」と課題も口にする。

事実、2回から5回までは8三振1安打に抑えられてしまった。「相手投手はカットボールなどを使った中の攻め方がうまかった」と小川監督。高野主将は「小さく変化するボールに手こずったが、つなぐバッティングへと意識を変え、一丸となって点を取ることができた」と話した。

6回のホームランについて川崎は「外のストレートを逆方向へ運ぶプランだったが、狙い目のスライダーが来たので思い切りいった。少しこすってしまったが風で伸びてくれた」と胸をなで下ろす。代打での登場が多いが、2年生でホームランはすでに8本。「次も大事なところで打てるよう頑張りたい」と気構える。

次戦は12日、ひたちなか市民球場の第1試合で石岡一と対戦する。春の甲子園を経験した岩本大地投手をどう打ち崩すか、これからの1週間で対策を練るという。

7回から好投した救援の天野宮投手
土浦湖北:大坪、天野宮-郡司 水海道二:柴、瀬尾、柴-張替 ▽本塁打=川崎(湖)▽二塁打=大坪(湖)舘野(水)

土浦、つくば勢のほかの試合結果は以下の通り。

▷つくば国際20-1つくば工科(5回コールド)

▷土浦工0-15麻生(5回コールド)

「わたしが障害者じゃなくなる日」 つくばの自立生活センターが読書感想文コンクール

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課題図書「わたしが障害者じゃなくなる日」を紹介する「つくば自立生活センターほにゃら」の斉藤新吾代表=つくば市天久保、つくば自立生活センターほにゃら

【鈴木宏子】夏休みを前に、つくば市の障害者自立支援団体「つくば自立生活センターほにゃら」(同市天久保、斉藤新吾代表)が、小学校3~6年生を対象に独自の読書感想文コンクールを開催する。課題図書は、NHK・Eテレ「ハートネットTV」などに出演している重度障害者、海老原宏美さんの「わたしが障害者じゃなくなる日―難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた」(旬報社、税抜き1500円)。

著者の海老原さんは小中高校、大学と車いすで普通学校に通い、自分から「手伝ってほしい」と周りに話し掛けることで周りを変えていった。課題図書は、海老原さんの子どもの頃からの体験をつづり、子どものころ母親から言われた五つの教え、車いすを押してくれたクラスメートとの思い出、韓国で経験した野宿の旅などが記されている。海老原さんと子どもたちとの対話が各章にあり、海老原さんの体験を通して、障害とは何か、平等とはどういうことか、思いやりと人権との違い、人間の価値とは何かなどを、子どもたちと一緒に考える内容となっている。

コンクールは、ほにゃらと水戸市の「自立生活センターいろは」が共同で開催する。開催を前に両団体は、つくば、水戸、ひたちなか、那珂、龍ケ崎5市の教育委員会に同書を計100冊寄贈している。5市の全小学校の図書室などに置かれる予定だ。100冊の購入費などはクラウドファンディングなどを通して今後集めるという。

著書の海老原さんは斉藤さんの友人でもある。重度障害者の斉藤さんはつくばで、海老原さんは東京・東大和市でそれぞれ障害者の自立を支援する当事者団体を設立した。つくばのほにゃらが2016年に15周年を迎えたときは海老原さんが祝いに駆けつけ講演をしてくれた。

斉藤さん(44)は「障害者権利条約が批准され県障害者権利条例が施行された中、『障害』の定義が変わってきたことを、本を通して子供たちに知ってもらいたい」と話し、「著者の海老原さんは、障害をもっていても、人に手伝ってもらったり工夫しながら生活している。のびのびと生きることが難しくなっている状況の中で、生きるヒントとなり、子どもたちに自分らしく生きていていいんだよということが伝えられたら」と語る。

◆応募締め切りは9月10日。読書感想文の字数は3・4年生が1200字以内、5・6年生は1600字以内。送り先は〒305-0005 つくば市天久保2-12-7 つくば自立生活センターほにゃら。審査委員は、「こんな夜更けにバナナかよ」の作者、渡辺一史さんなど4人務める。問い合わせは電話029-859-0590(ほにゃら)。