水曜日, 11月 12, 2025
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さらに2人感染、計15人に つくばの高齢者施設 新型コロナ

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茨城県庁

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は6日、さらに2人が感染していることが判明したと発表した。同施設での感染者は計15人になる。

2人は、土浦市に住む同施設職員の40代女性と、つくば市に住む入所者の90代女性。いずれも2日に発熱し、現在、咳などの症状がある。

6日は施設の入所者と通所者、職員と家族の計24人のPCR検査を実施し、22人は陰性だった。県は濃厚接触者をさらに調べている。

「施設関係者は首都圏の人との接触自粛を」

一方、大井川和彦知事は6日の記者会見で、県内でこれまでに発生した4つのクラスターのうち、つくば市の筑波記念病院と社交ダンススクールのクラスターについて、経過観察期間が過ぎたのでこれ以上の感染拡大はないとした。

その上で、県内のこれまでの感染状況について、茨城県の場合、知らないところで感染が拡大しているということではなく、県外からやってきた人と濃厚接触者の範囲でとどめていると強調した。

6日昼時点で県内で64人の感染者が出ていることについては、感染者の数を増やしているのはクラスターだとし、福祉施設、障害者施設、病院で集団感染が発生したことでものすごく数が増えてしまったと話した。

施設で感染者が出ると、入居者の手当てが健常者と比べてマンパワーを要し、手当ての質も難しさを極めているとして、「介護施設、福祉施設の関係者が首都圏に行くことの自粛、首都圏から来る人との接触の自粛を強くお願いしたい」と述べた。

一転、5月6日まで休校 県南の県立高校 新型コロナ

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茨城県庁

6日新学期が始まった県立高校について、大井川和彦知事は同日、東京への通勤者が多いつくば、土浦市などの県立高校や中等教育学校を、ゴールデンウイークが終わる5月6日まで臨時休校にすると発表した。

3日時点で大井川知事は、県内の新型コロナウイルス感染者の発生状況から感染の連鎖を止められているとして、県立高校は6日から通常通り再開するとしていた。しかし新学期スタート初日に方針を見直す。東京との交流人口が多いことから県が「感染拡大要注意市町村」に指定した、つくばエクスプレス(TX)や県南の常磐線沿線など10市町に立地する県立高校32校をさらに1カ月間、臨時休校とする。

7日は通常通り入学式を実施し、8日からゴールデンウイーク明けまで臨時休校となる。

大井川知事は方針を一転させた理由について、3日の発表後、インターネットやその他で心配する声が大変多く寄せられたとし「恐怖心、心配、不安が強い中でこれ以上無理に学校を再開しても、逆に不安な心理の中で通常の学校生活が送れないのではないか」と判断したと説明した。

TX沿線や県南の常磐線沿線市町の住民に3日、平日夜間と週末の外出自粛を呼び掛けたことに触れ「予防的な措置として外出自粛を要請したが、それが引き金となって不安感が増して休校を求める声が多くなっていった」とし「不安な心理の中で学校を続けることはマイナスの方が大きい」とした。

休校期間については夏休みを短縮することで取り戻すことを検討しているという。

さらに、ゴールデンウイーク明けに学校を再開した後も、感染予防のため登校したくないという理由で自主的に休む生徒を欠席扱いとしない。休む生徒には、学校が学習課題を提示し、学習状況を確認しながら家庭での学習ができる体制を整える。インターネットを通じた授業の配信などを含め対応策を検討していくという。

一方、特別支援学校は、感染するとリスクが高くなる児童・生徒がいるため、全県の23校を5月連休明けまですでに休校としている。

つくば市長、受け入れに難色 日本財団9000床整備計画

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記者会見で公共施設提供モデルについて話すつくば市の五十嵐市長=6日、市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を防ぐため、日本財団がつくば市南原、つくば研究所跡地に軽症者向け病床約9000床を7月末までに整備すると発表した問題で、地元の五十嵐立青市長は6日の定例記者会見で、「住民理解が不可欠だが、プロセス構築が極めて困難」だなどとして、受け入れに難色を示した。

五十嵐市長は「すでに医療崩壊が起き始めており7月末では間に合わない。筑波大附属病院は800床、9000床は全国どこにもない規模。移送体制や医療従事者はどう確保されるかなどさまざまな課題をクリアしなくてはならない」などと話した。

課題として①研究所跡地に残っている建物を取り壊すので7月末までという時間が掛かってしまう②施設に他地域の患者や医療従事者を移送することに課題がある③大規模施設は住民理解が不可欠だが、市役所職員は市内の感染拡大防止に集中しており、住民理解を得るためのプロセス構築は極めて困難ーと指摘した。

これに対し日本財団経営企画広報部は「ご理解いただいた上で、つくば市や茨城県と協議しながら進めていきたい」としている。

新型コロナウイルス感染者の軽症者向け施設として県に提供された、ゆかりの森 宿舎あかまつ森のセンター=つくば市遠東

ゆかりの森が軽症者施設に

一方、五十嵐市長は、医療崩壊を防ぐための軽症者などの受け入れ施設として、市の自然体験施設「ゆかりの森」(同市遠東)を県に提供すると表明し、公共施設は風評被害によって倒産する心配が不要なので、全国の自治体が公共施設を提供するというモデルを推進したいと強調した。

「各自治体が50床提供すれば県内だけで2000床以上になる」なるとし、日本財団には公共施設提供モデルを支援してもらえるよう協議したいとした。

軽症者向け病床となるのは、ゆかりの森内の宿泊棟、あかまつ森のセンター(36床)。今回は第1弾でさらに提供施設を増やす予定という。

県内4カ所に160室確保

現在、新型コロナウイルスの感染者は、軽症だったり症状がなくても入院することになっている。一方、感染者が増加すると医療崩壊する危機が指摘されていることから、 軽症者は宿泊施設や自宅など別の施設に移り、病院は重症者に重点を移した治療をすることが求められている。

軽症者について厚労省は2日、宿泊施設の療養環境マニュアルを出した。これを受けて大井川和彦知事は6日、軽症者向けの隔離施設となる宿泊施設を同日までに、県内に4施設160床を確保したと発表した。県の施設やつくば市の施設という。県は4カ所の施設名を公表しなかったが、そのうち1カ所がつくば市のゆかりの森となる。

軽症者向け施設については、県が入所先の施設を割り当てる。大井川知事は「神栖を中心に差し迫った状況のところがあるので、今週中のなるべく早い段階から(施設の運営を)スタートしたい」とした。現在病院に入院している軽症者や無症状者が退院して、軽症者向け施設に移ることも今後あり得るという。

県によると、軽症者向け隔離施設については、国のマニュアルに基づいて公共施設を優先して確保の調整をしていく。施設には、保健師または看護師が日中常駐する。医師は呼ばれればいつでも対応できるようにし、ICTツールも活用して毎日の健康状態を把握できる療養環境を整える。食事の提供や清掃など、施設をどのような形で運営していくかは県と施設設置者の間で今後、個々に協議し調整していく。療養にかかる経費をだれが負担するかについては国がまだ方針を示しておらず現時点で未定という。

➡日本財団のつくば市9000床整備計画の過去記事はこちら

新社員寮が土浦に完成 関彰商事 ライフスタイルの変化に対応(上)

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完成した新社員寮「至誠館」=土浦市真鍋

【池田充雄】総合商社の関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)が、新しい社員寮「至誠館」を土浦市真鍋4丁目に完成させ、1日から本格稼働が始まった。

社員寮の場所は旧国道6号沿い、県立土浦一高の北側。かつては国道125号入口と呼ばれた丁字路の前だ。同社系列のガソリンスタンドの奥に以前の寮があったが、それらをまとめて取り壊し、敷地を広げて建て直した。旧寮から移った入居者からは「新しくきれいになって気持ちいい。駐車場も広くなって通勤に便利になった」と喜ばれている。

建物の概容は、延床面積約1500平方メートル、鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造の2階建て。男子寮21室、女子寮7室、女性家族寮2室という内訳だ。内外装ともコンクリート打ち放しのモダンなデザイン。1階南側は全面ガラス張りで開放感があり、2階部分は外装のルーバーがシャープな印象を高め、個室のプライバシーを守りつつ採光も確保している。

家族寮以外はいずれも1人用のワンルーム。男子寮はベッドとトイレ付き、浴室は共用だがライフスタイルの変化に対応し、大浴場ではなくシャワー4基とユニットバス3基になった。ランドリーには大型の洗濯機と乾燥機が3台ずつ置かれ、利用時間の短縮も図れそうだ。女子寮では全室にキッチンとユニットバスを完備した。

室内の様子

希望者には朝食と夕食の賄い付き。残業や遅番勤務でも食堂に自分のご飯があるのは独身者にはありがたい。寮母の平岡牧子さんは「前の寮より人数は増えるけれど、10人前でも20人前でも手間は一緒」と頼もしい。物価上昇でやりくりには苦労するが、若い人にも野菜をしっかり摂ってもらえる献立を心掛けているという。

新型コロナでeラーニング

男子寮のうち一般用20室はすでに満室。ただし新入社員は荷物を運び込んだのみで、本人は自宅待機中。新型コロナの影響で初出社が13日に延期されたからだ。例年この時期は、2週間の合宿によりビジネスのマナーや基礎知識を身に付け、社会人としての目標設定や意識啓発などしていたが、今年はeラーニングによる自宅研修に切り替えた。「当社としても過去に類を見ない事態であり、手探りで対応を進めている」と、山口政美広報部長は話す。

同社は地域密着企業で、基本的に単身赴任はなく、自宅から通える範囲で勤務するのが原則。このためUターンを希望する学生にも人気が高いという。ただし本社機能のあるつくば地区はさまざまな業務が集積し、人の交流も盛んなので、遠くから来ている社員が比較的多い。そういった人たちも、ゆくゆくは地元に戻す方針だという。(続く)

ソファも置かれた食堂

《吾妻カガミ》79 善政?つくば市のコロナ対応

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春の筑波山=土浦の霞ヶ浦畔から撮影

【コラム・坂本栄】コロナウイルス禍は厄介なことになってきました。欧米の指導者はコロナの来襲を戦争事態と宣言。国境の往来が抑えられ、内外の経済は縮みつつあります。日本では安倍政権の危機管理力が衰えているときだけに、困ったものです。

コロナの攻撃に対する防御策はある意味シンプルといえます。迎撃策(治療薬)の開発が肝心であることは言うまでもありませんが、それまでの間、人に潜んで来襲する敵に対する基本作戦は二つです。一つは国・県の境で阻止すること。もう一つは、侵入を許してしまった場合、戦域でのコロナの活動(蔓延)を抑えることです。

つまり、阻止線を設け(人の移動を抑え)、敵の活動を許さない(コロナを運ぶ人が群れない)ことです。このため、国は非常事態を宣言し、国民の行動(移動する、群れる)を制限することが必要になります。

米も英も独も伊も準戦時体制を立ち上げました。ところが、「森友と花見」で政治力が衰えた安倍さんは、急ぎ特措法をいじったもの、国民に自制を求めるにとどめました。先の大津波の教訓を踏まえ、平時に非常事態法体系を整えておくべきだったのに、初期対応は緊張感に欠け、その後も準戦時の形にはなっておりません。

「移動するな」「群れるな」

市域でコロナが顕在化する前、つくば市でもナイーブな施策が見られました。政府の要請を受け、小中校を休みにする(群れる場をなくす)と言いながら、自習の登校は認める(群れる場を別の形で用意する)と、父母に配慮したことが一つ。市内の宿に泊まり飲食する人におカネを出す(人の移動を促す)という、業者さんへの配慮がもう一つです。

詳しくは「新型コロナでつくば市小中学校…」(2月28日掲載)、「ホテル・旅館宿泊者に最高7000円補助」(3月13日掲載)をご覧ください。前者は父母の負担を軽くする策、後者は市民の消費を刺激する策(業者への間接支援)といえます。善政ということでしょうが、「人を群れさせない」「人の移動を抑える」という、対コロナ作戦の基本に穴を開けることにならないでしょうか。

ある潜水艦映画にこんな場面がありました。魚雷攻撃を受け1区画が浸水、修理するも間に合わず、別区画に海水が流れ込みそうになる。そのとき艦長は修理員を作業区画に残し、隔壁扉を閉じて全艦に海水が回るのを防ぐ―。2~3の修理員を犠牲にし、残り20~30の艦乗員を救うという冷酷な判断です。

父母や業者を軽視しても構わないと言っているのではありません。作戦目標(コロナ蔓延阻止)に留意すべきではないかと言っているのです。善政を施すのであれば、教職員による児童宅巡回、宿屋・食堂への直接支援を考えるべきでしょう。

財政で経営と家計を回せ

国民の信が薄くなっている安倍政権が、対コロナ戦で国民に不便を強いるのは難しいかも知れません。でも政権を担っている以上、非常時宣言とセットで戦時国債を発行、企業経営と国民生計を維持する策を繰り出すべきです。天変地異や金融危機に比べると、コロナ危機の構造は単純です。敵を破る間、財政支援で経営と家計が回っていれば、V字復興が可能でしょう。(経済ジャーナリスト、戦史研究者)

【追記】この稿を送る直前、つくば市は①4月7~19日も小中学校を休校にする②(今度は)自習の登校も受け入れない―と発表しました。善政の一つを②に切り替えたことを評価します。

「市の理解得ながら進める」日本財団 つくばに軽症者病床9000床整備 新型コロナ

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9000床の軽症者病床を整備することが発表された、つくば市南原の日本財団つくば研究所跡地

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を防ぐため、日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)は3日、つくば市南原2番地、つくば研究所跡地に軽症者向け病床約9000床を整備すると発表した。

発表に対し、つくば市の五十嵐立青市長は3日夜「市には事前連絡や調整は一切なかった。市にとって極めて大きな影響のある発表内容で、情報収集を進める」などのコメントを市ホームぺージで発表した。これに対し同財団経営企画広報部は「ご理解をいただけるよう説明していきたい。つくば市を始め、厚労省や関係機関の理解を得ながら進めていきたい」としている。

東京・船の科学館は4月末開設

軽症者向け病床は、東京都品川区の船の科学館とつくば市の2カ所に計約1万200床整備する。船の科学館は約1200床で4月末から受け入れを開始する。つくばは7月末に開設する予定。

同財団によると東京の船の科学館には、約1万2200平方メートルの敷地内に大型テント9張とコンテナハウスなどを整備する。ほかに、2020東京パラリンピックに向け日本代表選手がトレーニングするために18年に建設された体育館「パラアリーナ」約2000平方メートルにも病床を整備する。4月末から受け入れ開始できるようすぐに整備に着手し、テントは順次、建設していく。

つくば研究所跡地約5万7000平方メートルには、現在、角水槽棟や回流水槽棟などの研究施設などがある。まず現在ある建物を解体などして、7月末から軽症者の受け入れが開始できるようにする。今後の具体的な解体や整備のスケジュールは今後検討するという。

2カ所にはそれぞれ病床のほか、医師や看護師の休憩場所、食事場所、宿泊場所も整備する。家族4~5人が過ごせる場所なども検討している。施設は冷暖房を完備し、換気をよくする。

船の科学館では主に東京都などの軽症者、つくばでは、東京ばかりでなく茨城県内を含む関東地方の患者を受け入れる方針だ。

日本財団は施設を整備し、整備費用と運営費用全額を負担する。同財団は熊本地震の復興支援で120億円を超える支援を行った。今回は両施設の整備等を合わせても、熊本地震支援を下回るのではないかと見ている。

施設の運営に同財団は携わらない方針だ。運営主体は厚労省や東京都などと今後協議し決める方針だが現時点では未定。ただし協議の結果によっては変更になる場合もあるとしている。医療スタッフの確保も現時点で未定だが、軽症者の場合、1人の看護師で40~50人対応できる見通しだという。

笹川会長は3日の記者会見で「患者のためのあらゆる施設、医師、看護師の給料、多くの方の食事、必要とされるあらゆる経費は日本財団が全額負担する。使われないで終わるのが最大の願い。備えをつくっていくことが重要だと決断した」と表明している。

病院は重症者に重点へ

新型コロナウイルスに感染しても8割は軽症といわれる。感染症法では、感染が判明したら軽症だったり、症状がなくても入院することになっている。一方、東京都などで感染者が増加し、医療崩壊の危機が指摘されているなどから、 国の対策本部は3月28日、病院での治療は重症者に重点を移し、軽症者は自宅療養しながら医師が遠隔診療したり、宿泊施設など別の施設に滞在する体制を整備するという基本方針を出している。

日本財団つくば研究所跡地に敷地内の運動場(日本財団提供)

レンコン黒皮病、徐々に拡大 県が対策へ本腰

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種ハス用に掘り起こされたレンコン=土浦市手野

【山崎実】レンコンの商品性を損なう黒皮病が全国的に発生し、生産量日本一を誇る県内でも徐々に被害が拡大していることから、県は生産者団体などと協力し実態調査に着手した。

黒皮病は、レンコンネモグリセンチュウ(線虫)によって引き起こされ、被害を受けたレンコンは肌に黒い小斑点が発生する。全体的にやや黄変し、一節目(頭)の肥大が悪くなり、形状が三角形に変形してしまう。品質維持の大敵で線虫駆除が重要になる。

既に県は、農機具の洗浄や健全な種バスの使用、農薬としての石灰窒素の施用、収穫後の残さの除去など総合防除法をまとめ、2017年以降、講習会などを通して生産者に指導を行ってきた。

しかし、被害の程度が地域やほ場によって異なるほか、具体的な防除対策の判断を生産者個々の対応に任せてきたため、実効性に疑問符が付き、県も本腰を入れて黒皮症対策に取り組む。

具体的には、レンコン産地での発生状況を正確に把握するため、生産面積の大きい土浦市やかすみがうら市などで生産者団体と調査に着手した。今後、3年以内を目途に他の市町村にも拡大していく方針で、その結果を地図に落とすなどして可視化する。被害程度の大きい地区は直接、個別指導を行うなど、重点的に防除対策を実施していく。

また収穫後の残さ処理についても、集団的・組織的な堆肥化の取り組みなど、出来るだけ早くほ場から持ち出して処理する方策を検討するとしている。

県内のレンコンは約1600ヘクタールに及ぶ生産面積と、全国シェアの46.8%を占める収穫量(2016年)を誇る。

《続・気軽にSOS》58 「過ぎる」感情のデメリット

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【コラム・浅井和幸】前回のコラムでは、不安にも憂鬱な気分にもポジティブな意味があるということをお伝えしました。ネガティブに思える感情や感覚も、適切に作用すれば、それは大きな利点があるものです。しかし、「過ぎる」感情や感覚は、短期的にも長期的にもデメリットが大きいので、対処が必要ということになります。

例えば、不安についてです。不安は、これから起こるかもしれない「嫌なこと」に対する警報機のようなものです。それは、まるで「この先に行ったら電車にひかれてしまうよ」と呼び掛けているような作用です。

踏切の警報機の音は、人が聞いて嫌だなと感じる不協和音が使われているらしいですね。他の警報音も、なんとなく気持ち悪いな、怖いな、不安だなと感じる音になっているはずです。

不安があるから、なんとなく嫌な感覚だから、そこを避けられるわけですね。ですが、電車も来ないのに、この警報機が鳴りっぱなしだったらいかがでしょう。もしくは、まだまだ電車は遠くかなたで、踏切に到着するには1時間以上もかかるような時点から、遮断機が下り、警報機が鳴り続けたらどうでしょうか?

この文章を書いていて、具体的に想像してしまい、今、私は背筋が「ぞくっ」とするような感覚です。とても怖い状況であるからです。

不安をコントロール

警報機が鳴っている。不安になることは必要なことです。踏切に入らなければ安全だという事を知っていれば、不安はコントロールしやすいですね。音がうるさくて耳が痛いのであれば、警報機から少し離れたり、耳を少し塞(ふさ)いだりしてもよいでしょう。

少し、友達との会話の声を大きくして、楽しい話しに気を紛らわしてもよいかもしれません。カーラジオの音量を少し大きくしたり、鼻歌を歌ったりしてもいいですね。別の道を探したり、そもそも踏切を使わずとも、好い生活スタイルを計画したりしてもよいかもしれません。

どこから危険な電車か何かが自分にぶつかってくるかもしれないということにパニックにならないようにするには、知り合いや専門家などとコミュニケーションをとり、対処法を模索することが必要です。

私たち人間は、正確な現在の状況や未来を感じたり考えたりすることはできません。さらに私たちの脳は、勘違い、思い込みもドンドンするようにつくられているそうです。そのなかで、有効な心の警報機の聞き方と、対処法を繰り返しバージョンアップしていくことで、自分の行きたい生き方に近づけて行けるとよいなと思うのです。

あなたは、幸せになるために生きていますか? 不幸になるために生きていますか? 楽しむため? 苦しむため? 日々、選択の繰り返しですね。(精神保健福祉士)

つくばの高齢者施設でさらに3人が感染 新型コロナ

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茨城県庁

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は3日、さらに施設入所者3人の感染が判明したと発表した。同施設での感染者は計13人になる。

3人は、いずれもつくば市に住む90代の女性2人と80代の女性1人。3人とも症状はないという。

3日は入所者68人、通所者20人と職員26人の計114人についてPCR検査を実施した。111人は陰性だった。県はさらに濃厚接触者の調査を進めている。

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桜も寂しげな入学式に つくば・土浦 小中学校再開はさらに2週間延期

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入学式の「お花見集会」が中止になった土浦・真鍋小の校庭は児童クラブの遊び場になっていた(3日撮影)

小中学校の新学期の授業開始時期について、つくば、土浦両市は3日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため2週間、臨時休校することを決めた。授業開始は早くて20日となる。

両市とも感染者が発生していること、県南のつくばエクスプレスと常磐線沿線は、東京など都市部との行き来が多い感染拡大要注意市町村であるとして、県が2日、平日夜間と週末の不要不急の外出自粛を10日まで要請したことなど受けた措置となる。

両市とも新学期自体は6日から始まるが、その日は教科書などを受け取るだけで短時間で帰宅する。翌日から2週間の休校となる。

つくば市、今度は給食なし

つくば市は、小中学校いずれも在校生は6日登校し教科書などを受け取る。7日から19日まで休校となる。入学式は小中学校とも7日予定されていたが実施せず延期する。ただし新小学1年生と新中学1年生は7日、保護者と登校し、教科書などを受け取る。

臨時休校中、保護者が働いていて家庭で面倒を見ることができない家庭については、児童クラブでのみ子供を受け入れる。3月の臨時休校期間は学校で受け入れ、給食も提供したが、今回は感染者が増加しているリスクを踏まえ学校では受け入れないという。児童クラブに登校する子供は弁当を持参する。

臨時休校期間中、保護者には休暇取得を依頼する。休暇を取得できない場合は子供を児童クラブで受け入れるが、受け入れ人数に限界があり過密化を防ぐため利用を断る場合もあるという。

20日に授業を開始できるか休校を延長するかについては、さらに15日までに判断するという。

土浦市、入学式は簡素に

土浦市も在校生は6日に登校し、教科書などを受け取って短時間で帰宅してもらう。入学式は小学校は7日、中学校は8日に保護者も参加して実施するが、式典を簡素にして時間を短縮する。

臨時休校期間中に、自宅で子供の面倒を見られない家庭に対しては、3月の臨時休校中と同様、午前8時から午後2時までは各学校で子供たちを受け入れる。午後2時以降は各学校の敷地内にある児童クラブで面倒をみる。

同市立真鍋小(小林知永校長、児童数825人)では毎年、入学式後の日程で行われてきた「お花見集会」が中止となった。1981年に始まり、震災の2011年にも途切れなかった伝統行事が40年目にして初めての中断。校庭には県指定天然記念物のソメイヨシノの巨樹が5本あり、樹齢113年とも。お花見集会では6年生の児童が新1年生を背負って満開のサクラの周りを一周するのが恒例になっていた。4日に予定されていた地域住民との「真鍋の桜を楽しむ集い」も中止になっている。

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イベント相次ぎ中止も予約に列 つくばカピオ「春の椿事」!?

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消毒用のアルコール容器を随所に設置するつくばカピオ=つくば市竹園

【日竎若菜】新型コロナウイルスの感染拡大により全国でコンサートや舞台公演などが中止となる中、つくば市のノバホール(同市吾妻)やつくばカピオ(同市竹園)でもコンサートやイベントの中止が相次ぎ、両館の3月の収益は約半分となり、今後数百万円の減収が予想されている。その一方で、スポーツの練習や習い事のレッスンで使用するため、つくばカピオでは予約が増加し、最近では開館前に予約のための列ができるという珍しい現象も起こっている。

ノバホール 予約の2/3がキャンセル 

ノバホールでは3月26日~31日の5日間(休館日を除く)に予約されていた36件中、 3分の2の21件がキャンセルとなった。カピオでもキャンセルの届けが昨年1年間で60件だったのに対し、今年は3カ月間だけで138件と2倍以上となっている。つくばカピオの山田和穂館長によると、2~3月のイベントはほとんど中止となり、4~5月にかけてもキャンセルが出始めているという。

ノバホール入り口=つくば市吾妻

両施設を運営するつくば文化振興財団理事長の飯野哲雄つくば副市長は、主催者だけでなく両館の窓口などで入場券を購入した観客への返金の対応にも追われていると話す。カピオではイベント開催の有無に関する入場券購入者などからの問い合わせが、これまで数百件にも上るという。

施設は対策を徹底

つくばカピオでは、施設としてイベント中止の要請はしておらず、対策を徹底して行っている。消毒用アルコールを施設内7、8カ所に設置し、利用者に手洗い、マスクの着用、アルコール消毒を呼び掛けている。

座席にすわる間隔を空けるよう呼び掛けたり、休憩時間に換気をするなどの対策も積極的に行っている。同施設は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行を受けアルコールやマスクを備蓄しており、従業員のマスク着用や清掃員によるアルコール消毒の徹底など、イベントを開催する施設として早めの対策を行ってきた。利用者も、大人数での演奏や集合写真を控えているという。

施設使用料を全額還付

貸し館公演のキャンセルが相次ぐ一方、つくばカピオのアリーナや会議室などではスポーツの練習や習い事のレッスンで使用するため、予約が増加している。他の施設の閉館による影響とみられるという。アリーナは毎日予約が入っている状態となっている。

両施設では現在、2月26日から3月31日までの間に新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由として使用を中止したものを対象に、施設使用料を全額還付している。4月以降も実施するかは現在つくば市に照会中ということだが、4月末まで延長する方向だ。この場合、新型コロナウイルスを理由として、既に4月予約分のキャンセル手続きを済ませた人にも全額還付する予定だという。(ひび・わかな=筑波大学1年、ドットジェイピーインターン生)

◆施設使用料還付についての最新情報はつくば文化振興財団ホームページから確認できる。

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《くずかごの唄》58 コロナ対策 医療崩壊をくい止めるために

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イラストは筆者

【コラム・奧井登美子】 Sさんからの電話。

「コロナが怖くて、電話で再診察をやってもらいました」
「大学病院のホームページに、再診に限り、電話診察をするってあったけれど、それを受けたの?」
「そうです。あの混んだ待合室に行きたくなかったので、電話診察にしました」
「わかる。わかる」
「いつもと同じ薬の処方箋が、大学病院からおたくの薬局にファクスで届くと思います」
「ファクス? 処方箋は公文書だから、FAXでの調剤は違反です。やったことがない。困っちゃうわ。本物の処方箋はどこへもらいに行けばいいんですか?」
「そのことについては、病院側から薬局に説明があると思います」

ファクス調剤が、法律的に許されるのかどうか。薬剤師になって以来、初めてのことなので、私もどう対応していいかわからずに、少なからず惑ってしまった。

薬を扱う私たち薬剤師は、薬事法の厳しい規制に従って仕事をこなしている。新型コロナ肺炎のウイルスをくい止めるためには、医療関係者の1人として、かなりの努力が必要であることは覚悟しているものの、頭が変化のスピードについていけない。

処方箋が病院からファクスで届く

間もなく、病院から処方箋のファクスが届くと同時に、電話がかかってきた。コロナ肺炎の収束時まで、期間限定で厚労省が許可したとのこと。ファクスを受け取った人の氏名まで聞かれて、病院側も、臨時の処置とはいえ事故があったら大変なので、煩雑さも大変だろうと思う。

「本物の処方箋はどこに取りにいけばいいのですか?」
「病院から郵送されますのでご心配なく」
「郵送の費用は?」
「病院で持ちます」

コロナ禍での医療崩壊をくい止めるためには、病院内の医療関係者も、病院外の関係者も、患者さんも、一時的な変化のスピードと厳しさについていかなければならないのだ。(随筆家、薬剤師)

県立高は通常通り6日再開 つくば、土浦は夜間・週末の外出自粛要請 新型コロナで県

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茨城県庁

大井川和彦知事は2日、新型コロナウイルスの県内の現在の発生状況から、クラスター(小規模な感染者集団)は発生しているが感染の連鎖は止められているとして、県立高校は来週6日から通常通り学校活動を再開すると発表した。

一方、東京など首都圏から感染が入ってくることが脅威になっているとして、つくばや土浦市などつくばエクスプレス(TX)と常磐線沿線などの9市町に対して10日まで、平日の夜間と週末の不要不急の外出自粛を要請した。

つくば市内で発生したクラスターの一つで、計6人の感染者が出た筑波記念病院と社交ダンススクールについては、濃厚接触者73人を調査し5人が陽性、68人が陰性だったとした。イタリアから帰国したダンス講師から感染したのではなく、東京で開かれたイベントに参加した社交ダンス関係者が最初に感染してクラスターを形成したとみられるという。

計10人の感染が分かった介護老人保健施設アレーテルつくばは、濃厚接触者66人を調査し、9人が陽性、57人が陰性だった。施設職員が東京に行った際に感染したとみられるという。

学校の再開については咳エチケットやこまめな手洗いなど感染症対策を十分に実施した上で、始業式は基本6日、入学式は7日に実施する。部活動も感染症対策を十分に行って実施するとしている。

つくば市は市施設を休館に 平日夜間と週末

平日夜間と週末の外出自粛要請を受け、つくば市は、各地区の交流センターや図書館、体育施設、ノバホール、カピオなど市の施設を、10日までの平日夜間と週末の4、5日に休館とすると発表した。市役所の市民窓口は4日と5日開庁する。

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9月末まで教室使わずオンライン授業へ 新型コロナで筑波大

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【山口和紀】新型コロナウイルスの感染が首都圏で急速に広まっていることから、筑波大学(つくば市天王台)は2日までに、4~9月の春学期について、教室での授業は行わず、オンライン授業を基本にすると発表した。

同大学はこれまで、入学式を中止し、さらに学生には2週間以上、宿舎やアパートなどで健康観察をした上で、新学期の開始を3週間遅らせるとしていたが、大幅な見直しとなる。

同大は3日、学生に対し帰省を促すのではなく、現在の居住地(実家も含む)に待機し、できるだけ移動を避けるよう改めて呼び掛けた。春学期は基本的に、宿舎やアパートまたは帰省先の実家など遠隔地からパソコンを通して授業を受けることになる。

一方、実験などどうしても対面での授業が必要な科目については、大学の新型コロナ感染症リスク対応チームの指示が出るまで実施できないとしている。ただし教員が日常的に学生の健康状態を把握している研究室など少人数での実験や演習の場合は、マスクを着用し、検温を行った上で、換気をし、密閉された空間でないことを条件に実施できるとしている。

一方、実家などに帰省せず、やむを得ず宿舎やアパートにとどまる場合は、不要不急の外出を避け、健康管理を徹底して生活するよう呼び掛けている。

4月、5月に学生宿舎に新たに入居を予定していた新入生などに対しては3月28日時点では、2週間以上の健康観察期間をとるため4月6日までに引っ越してくるよう要請していた。しかし今回、引っ越しを延期して自宅待機を要請している。荷物を宿舎宛てにすでに送ってしまった学生に対しては大学が荷物を受け取り各部屋に届ける。すでに引っ越してきた新入生への資料など配布物は各学群などで受け取ってもらう。受け取りに来られない学生には実家などに郵送するという。

その上で全学生に対して、手洗い励行やマスク着用などのほか、人混みには行かない、毎朝体温を測り平熱であることを確認することなどを求めている。

オンライン授業の形式について詳細は明らかになっていない。形式によっては、パソコンを所有していない学生やデータ通信量に制限があるモバイルルーターなどを使用する学生に大きな負担をかけることになる。また大学には、手に麻痺がある、耳が聞こえないなど障害のある学生も多く在籍している。誰ひとり取り残さない授業環境をオンラインでどのように作るのか。懸念点も多い。

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つくば市は9月末まで無料 新型コロナに医療相談アプリLEBER

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LEBER登録画面を操作してみせる多賀世納さん=つくば市谷田部、AGREE社

【相澤冬樹】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅・遠隔医療のAGREE(アグリー、本社・つくば市、伊藤俊一郎社長)が始めた医療相談アプリLEBER(リーバー)による無料相談は、10日のサービス終了が迫るなか、つくば市については9月30日まで無料期間を延長している。

LEBERは、スマホを操作して医師と相談するアプリで、2018年1月にリリースされた。登録ユーザーはチャットスタイルの自動問診で、「痛い」「かゆい」などの症状を伝えると、これを見た医師から最速3分で回答が届き、最寄りの医療機関や適切な市販薬などがアドバイスされる仕組み。24時間365日相談できる。

通常、登録ユーザーは相談1件ごとに120円、360円、600円の3種類から料金を選んで相談するスタイルだが、同社は2月12日、伊藤社長の即断で4月10日までの無料相談を打ち出した。横浜港にクルーズ船、ダイヤモンドプリンセス号が入港した直後の対応だった。

登録ユーザー・医師数とも増加

同社CMO、多賀世納さんによれば「2月中は発熱から新型コロナとの関連を疑うような相談が多かったが3月に入ると病院に行くこと自体のリスクを心配して幅広い医療相談に変わってきた」という。該当診療科の医師による回答となるが、病名を断定して診断をくだすものではなく、「感冒の疑いがあります」「インフルエンザの疑いがあります」などの表現で、病医院での診察や保健所への相談が促される。処方箋を出すこともないが、不安の解消に役立っていると見ている。

2月以降新たに4020人が登録し、4月1日現在の登録者数は1万2700人に達した。ここで注目されるのは登録の医師数も増加していることで、153人(診療科目45以上)になった。「医師の側も、なるべくなら対面を避け不用意な感染から逃れたい意向があるようだ」(多賀さん)

つくば市内の登録者数は現在25人。 同市については「つくばソサエティ(Society)5.0社会実装トライアル支援事業」に採択されていることから、同様に内閣府の「近未来技術等社会実装事業」で実証実験に参加している常陸大宮市と共に、9月30日までを無料提供の期間としている。

無料相談には事前登録が必要。同社のLEBER無料相談登録ページで登録し、アプリのダウンロード後、相談に進む。家族単位での登録制度、法人向けサービスもある。問い合わせ電話029-896-6263

左から部位選択、問診、解答例の画面=AGREE提供

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つくばの高齢者施設でさらに5人感染 新型コロナ

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茨城県庁

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は1日、調査の結果さらに5人の感染が確認されたと発表した。5人は80代から90代の施設入所者。同施設での感染者は計10人になる。

5人は、つくば市在住90代男性、つくば市90代女性、桜川市80代女性、つくば市80代女性、つくば市90代男性。3人に熱などの症状があるが、2人は症状がないという。

1日は入所者14人と職員16人の計30人にPCR検査を実施した。25人は陰性だった。県は濃厚接触者をさらに調べている。

県内初の死者、70代の2人

県は同日、県内で新型コロナウイルスによる初めての死者が発生したと発表した。県内の医療機関に入院していた70代女性と、12月から別の病気で入院していた70代男性の2人で、遺族の意向で詳細は公表しないとしている。

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《ことばのおはなし》20 私のおはなし⑨

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【コラム・山口絹記】サイドテーブルに妻の電波時計と、私のメモ帳とペンケースが置かれていた。寝ている間に妻が届けてくれたのだろう。

深夜0時。失語発症から約7時間。文庫本に書かれた文字は全く認識できない。とにかく、今は勉強だ。寝ている場合ではない。

左手人差し指を挟んでいた脈拍測定器を右手に付けかえ、左手で鉛筆を持ち、少し考えて文字を書いた。

“Cogito ergo sum. I think therefore I am.”

左手で第2言語を書くことはできた。思考が鈍る様子もない。しかし、私には英語よりも使いこなしていた言語があったはずなのだ。それがどのような言語だったかがわからないことが問題だ。

今度は左手で右手に鉛筆を握らせてみる。深呼吸をして何かを書こうと試みるも、腕はあらぬ方向に動いてメモ帳の上に置くこともできない。掛け布団の上で右手がもぞもぞと動いている。

左手で右手を導き、両手でメモ帳のマス目をなぞる。まだ痺れている右手に感覚を集中させ、右手だけで線を書いているとイメージし続ける。

1時間ほど、いびつなアルファベットを書き続け、試しに左手を離してみた。右手は意志とは関係なく文字を書き続けるものの、腕が動かずに同じ場所に文字を書き続けてしまった。壊れたタイプライターのようである。手ではなく、紙を動かしながら書いてみると、どうにか判読できる文字が書けた。

忘れないうちに失語発症からのことを断片的に記録し始める。ちょうど記録が現在に追いついた3時頃、何の前触れもなく部屋の明かりが消えた。

今の私のことばを書きたかった

「停電嗎?」私の口が唐突に中国語を発した。「我想…」暗闇でつぶやきながら、世界の認識に再起動がかかるのを感じた。今、頭の中に思い描いているのは、漢字だ。さっきまでどうしてもイメージできなかった漢字が頭の中に溢れてくる。

江碧鳥逾白
山青花欲然
今春看又過
何日是帰年

なぜ杜甫の絶句が頭に浮かんだのかはわからないが、暗闇に慣れてきた目と両手で必死にメモ帳に書きつけた。文庫本の文字に目を凝らすと、さっきまで何もわからなかった文字列の所々にぼんやりと意味を感じた。今私は、言語を学ぶ上で最高に楽しい瞬間を、自分の母語で味わっているのだ。看護師の巡回が来るたびに寝たふりをしてやり過ごし、ページをめくる。

本に挟まれた、かつての自分が書いたメモを見、それを右手と左手交互に使いながら書き写し始めた。ペンケースに入っていた鉛筆すべての芯が潰れてしまい、万年筆を取り出した頃には、外が明るくなり始めていた。唇を噛み切って眠気を堪える。

文字を書き写すのではなく、自分で新たに文章を書くことはまだできなかった。「今日は…」と書き写して、続きを書こうとすると、「今日は今日は今日は…」と1ページ書きつくしてしまうのだ。

私は、今の私のことばを書きたかった。過去の私のことばを書き写すのではなく、今の私のことばを。

再び深呼吸をして、頭の中を真っ白にする。どこかまだ自分のものではないような右手が書いたのは、娘の名だった。-次回に続く-(言語研究者)

つくば-水戸高速バス 1日から平日20便に

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4月1日から増便されたTMライナー=つくばセンター

【山崎実】研究学園都市つくばと県都水戸を直結する高速バス(TMライナー)が、4月1日から増便され、通勤や通学、出張、レジャーなどさらに利便性向上が図られる。

TMライナーは昨年10月から増便が行われ今年3月までは平日が16便(8往復)、土日祝日は8便(4往復)だった。4月から平日に4便(2往復)増やし20便(10往復)となる。

朝夕の時間帯は現在、30人前後が利用している。「今回の増便でつくば-水戸間の通勤・通学、観光など多方面の利便性向上と、都市間連携の相乗効果が期待できる」と県交通政策課。

その裏付けが今回のダイヤ改正で、つくばセンター発では朝6時55分発を新たに増便し、朝6~7時台が2便から3便に増える。水戸駅南口発では午後8時台を増便し、午後5~10時台が3便から4便に増える。

つくば-水戸間の通勤・通学などを意識した改正になっており「交流人口の拡大と、地域全体の活性化につながれば」(同課)と増便の意義を話している。

国内初、化粧室付きバスを導入

運行する関東鉄道(土浦市真鍋、松上英一郎社長)は4月からの増便に合わせ、国内発の化粧室付き60人乗り高速バスを導入し、運行を開始する。従来の40席から客席を48席に増便、補助席を12席配置し、従来車より1.5倍の60席を実現した。化粧室は車両後方に設置されている。

TMライナーと同様、Wi-Fi環境や充電用USBポート利用のほか、バスの現在地が分かるバスロケーションサービスもある。この車両は通勤・通学利用の多い混雑時間帯を中心に運行するという。

つくばの高齢者施設で新たに3人が感染 新型コロナ

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茨城県庁

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は3月31日、新たに入所者2人と職員1人の計3人の感染が判明したと発表した。

同施設での感染は40代女性職員と90代女性入所者を含めて計5人になる。県はクラスター(小規模な集団感染)発生の可能性が高いとしている。

新たに感染が分かった3人は、つくば市の80代男性と、桜川市の70代男性の入所者2人と、つくば市の20代女性=外国籍=施設職員。いずれも最近の海外渡航歴はない。

80代男性は3月29日、70代男性は30日、それぞれ38度台の発熱があった。20代女性は29日咳などの症状が出た。3人とも今後、入院予定という。

県は31日、濃厚接触者30人にPCR検査を実施した。17人は陰性だった。今後さらに濃厚接触者を調べる。

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懐かしい楽曲1万枚揃う つくばにお目見えレコードカフェ

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「レコードカフェ ミナミ」店主の神戸和則さん=つくば市大砂

【池田充雄】店内のコレクションを自由に試聴できる「レコードカフェ ミナミ」が、つくば市大砂にオープンして1カ月が経った。店主の神戸和則さん(69)は「昭和のレコードを聴いて、青春を思い出して」と呼び掛ける。

レコードの在庫は約1万枚。ジャンルはクラシックから主に60~80年代のロック、ジャズ、ポップス、イージーリスニング、歌謡曲、演歌など全般、講談や浪曲までカバーしている。テレビ番組の主題歌や企画盤、有名人の演説など珍品も並ぶ。「だれもが一度は耳にしたような曲はだいたい揃っている。昔こんなのあったよね、聞いたよねなどと盛り上がってもらえたら」と神戸さん。

ヘッドホンで聴いたりパーティーしたり 

既存の名曲喫茶やジャズ喫茶との違いは、ジャンルを限定せず、好きなレコードを自分で選んで聴けること。「10人いれば10人とも聴きたい曲は違う。リクエスト制では店主や常連への気兼ねも多い。当店では好きなものを思う存分楽しんで」と話す。どちらかというと資料館や博物館に近いシステムだ。

大音量で聴ける個室

選んだレコードは、店内に5カ所あるブースに持ち込んでヘッドホンで聴く。1枚のレコードを2人で聴けるペア席もある。個室(約8畳)ではスピーカーを使って大音量で聴け、パーティー的な利用も可能だ。

神戸さんは筑西市(旧関城町)出身。中学時代のビートルズを出発点に、さまざまなジャンルの音楽に幅広く接してきた。50代のとき一人でキャンプをしながら思い出のレコードを聴き、「いい曲がたくさんあるのに聴かないのはもったいない」と思ったことが、再収集のきっかけだった。

東京で営んでいたセレクトショップを閉じ、つくばに戻ったときコレクションは4万枚に膨れ上がっていた。奥さんには「何とかして」と言われたが、今どきレコード店を開いても売れるものではない。気軽に来てもらい居心地のいい時間を過ごしてもらおうと、この業態に行き着いた。

一人用の試聴ブース

試聴利用料は1人500円。カフェ利用の場合は単品かドリンクバーが選べ、いずれも500円(税込み)。今後は軽食やビール等も用意する予定。場所は県道56号つくば古河線を西に向かい、大砂吉沼バイパスと分岐するY字路を、旧道側へ入ってすぐ。芝生畑の中に立つ黄色の外観が目印だ。

◆レコードカフェ ミナミ つくば市大砂1072-1(営業時間/正午~午後7時 定休日/水・木曜日)電話080-1115-8302