水曜日, 11月 5, 2025
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島の赤いレンガの建物 《平熱日記》84

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【コラム・斉藤裕之】レンガの建物は珍しい。地震が多く多湿な風土にも不向きなのだろう。ゆえに示準(しじゅん)化石のようでもあるし、その当時の経済や文化の状況を示す示相(しそう)化石のようでもある。横浜の赤レンガ倉庫や牛久シャトーのようにその時代の繁栄を象徴するかのように残っているものもあれば、忘れられたかのようにひっそりと佇(たたず)むものもある。

京都南禅寺で出会った水道橋や、引っ越してきた当時見つけた龍ケ崎のレンガの門がそうだった。

それにしても、幼少期から何度もこの島を訪れていたのに気が付かなかった。夏に展覧会を予定している、ホーランエー食堂のある郷里の粭島(すくもじま、山口県周南市)を訪れたのはまだ桜の残るころ。半分は釣り目的。打ち合わせが終わって、車窓からちょっとだけ見えた赤い建物。

言われなければわからないほどの、短く平たんな橋で半島とつながっている小さな島、粭島。ちなみに粭とは籾殻(もみがら)のことで、名前の通り籾殻の山のような形をしている。島の南側は険しい岩場で、なおかつ波や風がもろに当たるのだろう、民家は島の北側の海っぺりに集まっている。

今は廃校となっている2階建ての小学校も、学校にしては珍しく北向きの校舎だ。その建物も十分趣があるのだが、そのすぐ近くに1棟のレンガ造りの建物があるという。「これが売りに出ちょるんよ」と運転席の弟。

瀬戸内海は穏やかな海だ。埼玉育ちのカミさんなどは、初めてこの海を見たとき、「みずうみ?」とこぼしたほどだ。実はこの内海でシーカヤックを駆って釣りを楽しむ弟は、常々この島でのシーカヤックでのレジャーの可能性を考えていたという。その拠点としてこの赤いレンガの建物に目をつけたらしい。

また、最近はサイクリングの目的地として、この島までは市街地から程よい距離にあり、最高に気持ちのいいコースとのこと。実際、私たちがホーランエー食堂で名物の「ジャコ天そば」をごちそうになっていたとき、サイクリングのユニフォームを着た女性が入って来た。

いよいよ斉藤画伯の美術館か?

そういえば今から30年ほど前。「赤レンガの東京駅を残す運動」というのがあって、当時有名な文化人に混じって大学の恩師がそこに名を連ねていた。その保存活動の一環として、赤レンガの東京駅の絵を描いた子供たちの絵を隣接する百貨店に展示する手伝いをしたことを思い出した。そうやって東京駅も今の姿を残した。

そこで急にイメージがわいてきた。あの建物に展示スペースも作ろう。シーカヤックは天候や季節の影響も受けるだろうし…。いよいよ斉藤画伯の美術館か? 弟の長女が最近描いているボールペンによる作品の展示もいいな。先立つものはないけど、夢想するのは絵描きの得意とするところだ。

まれに、考えていることが世の中の出来事とシンクロすることがある。今日も暗闇の中の散歩を終えて新聞を開くと、日立の高校生が「カラミ煉瓦で町おこし」なる記事を見つけた。やはりレンガの赤は人を引きつけるらしい。(画家)

土浦市などを感染拡大市町村に追加 県全体をステージ3に引き上げ

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

県内で新型コロナウイルスの感染がさらに拡大しているとして、大井川和彦知事は26日、土浦市など9市町を感染拡大市町村に追加指定すると発表した。併せて県全域の感染状況の判断指標を1段階引き上げ、感染が拡大している状態のステージ3とした。今後さらに悪化した場合は、国にまん延防止重点措置の適用申請を検討するという。

感染拡大市町村は、直近1週間の陽性者数が人口1万人当たり1.5人を超える自治体。土浦市は同1.89人、つくば市は同0.73人。22日にすでに6市町村が指定されており、今回の9市町に加えて計15市町になる。

19日指定の6市町は、水戸、かすみがうら市、阿見町など。今回の追加指定は土浦市のほか、常総、石岡、守谷市などで、期間は29日から5月12日までの2週間。

県は、指定された市町のすべての飲食店に対し、営業時間を夜8時までとし、酒類の提供を午後7時までとするよう要請している。協力店に対しては、1店舗当たり売上高の規模に応じて1日2万5000円から7万5000円の協力金を支給する。ただしテイクアウトは午後8時以降も可。

ほかに感染拡大市町村に対して、不要不急の外出自粛、イベントは参加人数を収容人数の50%以下にするーなどを呼び掛け散ている。

特に大型連休中は、他県との往来を極力控えるよう県全域に呼び掛けている。

県全体の現在の感染状況は、12~18日の週は新規感染者数が1日平均45.6人だったのに対し、19~25日の週は同65人と1.24倍に増えた。そのうち経路不明者は同20人から26人と1.1倍に増加しており、水戸市を中心にひじょうに大きな感染が広がっている状況だとした。

それに伴って病床稼働率も急速に増え、県全体で180床を超えた。大井川知事はコロナ専用病床を現在の410床体制から、順次、600床体制に切り替えたいとしている。

「気軽にクラシックを」つくばリサイタル10周年 5月22日、筑波大生主催

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昨年冬につくばカピオホールで催されたリサイタルの様子(つくばリサイタルシリーズ実行委員会提供)

筑波大生有志が主催するコンサート「つくばリサイタルシリーズ 一流奏者が贈る 色とりどりの世界」が5月22日、同市竹園、つくばカピオ ホールで開催される。同リサイタルは、同大の学生有志でつくる、つくばリサイタルシリーズ実行委員会が「学生に気軽にクラシックを楽しんでもらいたい」と毎年行っている公演会で、今年で10周年を迎える。

10周年の節目となる今公演では、若い演奏家の発掘を目的とする「ヤングコンサートアーティスト国際オーディション」で2019年度第1位を獲得するなど国内外で評価の高い弦楽四重奏団「カルテット・アマービレ」と、都内のオーケストラで活躍するメンバーらが2012年に結成した木管五重奏団「アミューズ・クインテット」の2組が出演する。

これまでの公演では1回の公演につき1組が出演していたが「今回は10周年記念ということで、過去に出演したアーティストから2組に出演を依頼した。10周年に相応しい2組」と実行委員会で同大3年の岩永彩花さんは話す。

公演では5曲が披露される。いずれも企画の創設者である同大人文社会系、江藤光紀准教授(主たる研究テーマは芸術を巡る公共性)が作曲した。江藤准教授は学生時代に独学で作曲の勉強を始め、これまで多数の室内楽曲を作曲してきた。過去のリサイタルでも江藤准教授が書き下ろした曲が毎回演奏されており、10周年となる今公演ではその中から4曲と新作1曲の計5曲が披露される。

江藤准教授は「回を重ねるごとに、実行委員の皆が演奏会運営の能力を向上させ、経験を蓄積し、後輩たちに引き継いできた。その姿勢が評価されて、著名な、あるいは将来を嘱望されたアーティストの方々がスケジュールを調整して出演してくださるようになった。それとともに、多くのお客様に足を運んでいただけるようになった」とこれまでを振り返る。

昨年12月には新型コロナウイルスが感染拡大を続ける中、感染対策を入念に行ったうえで第9回(20年12月2日付)を開催した。当日のアンケートには「久々にコンサートを聞いた。大変だけど来てよかった」という声が多数寄せられた。岩永さんは「アンケートを見て、大変な状況だったが、来てくださった方に楽しんでいただけたことが実感できた」と話す。

コロナ禍での開催について江藤准教授は「パフォーミングアーツ(実演芸術)は、演者と観客が同じ場所・時間で感動を共有する点に、最大の魅力がある。コロナはそこに深刻なダメージを与えた。困難な状況を積極的に乗り越えることで、実行委員会も大きく成長していると思う」と話した。(山口和紀)

◆開場は5月22日(土)午後1時15分、開演は2時。入場料は学生無料、一般1000円(消費税込み)。チケットの詳細は公式ホームページまで。

昨年冬のリサイタルは、感染防止対策のため観客席の間隔が空けられた(同)

福島第1の汚染水、海洋放出へ-問題点は 《邑から日本を見る》86

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18日、いわき市で開かれた「廃炉・汚染水・処理水対策福島協議会」の様子

【コラム・先﨑千尋】政府は今月13日、東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質を含んだ処理水を海洋に放出する方針を決め、18日にいわき市で「廃炉・汚染水・処理水対策福島協議会」を開き、地元市町村長、漁連、農協など関係者にその方針を伝えた。県内の首長や団体代表から意見を直接聞いたのは初めて。

それに対して、「放出には反対。政府の方針は関係者の理解を得ておらず、国、東電への信頼性に疑問がある」(野崎哲県漁連会長)という声をはじめ、「方針を決めた後で説明するということは、結論ありきではないか。海洋放出は、漁民だけでなく県民全体にも影響を及ぼす。正確な、透明性のある情報を出してほしい。海洋放出による損害は、風評ではなく実害だ」など、政府の方針に批判的な意見が多く出された。

しかし、政府や東電の答弁は「今回の意見は今後の検討に反映させたい」などというもので、具体策には触れなかった。今回の経過を取材したが、そのなかで私にはいくつか疑問が湧いた。

東電は2015年に県漁連に「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と文書で約束している。今回の政府の決定では、このことには触れていない。地元との約束を守らず、「丁寧な説明をする」と言われても、誰が信用するのだろうか。「国が決めたのだからそれに従って放出する」と、東電は主役のはずなのに脇役に回って、他人事のようだ。

第一番に、被害を受ける漁業関係者らが反対しても、国と東電はそれを無視して海洋放出する。沖縄・辺野古への新基地建設と同じ構図ではないか。

もう一つは、風評被害(実害)に対する賠償問題だ。東電は16日に公表した賠償方針で「期間や地域、業種を限定せずに賠償する」と明記した。商品やサービスの取引量の減少、価格の下落などに基づき、損害額を算定する。しかし、その基準はまだ決まっていない。風評と損害の因果関係を厳しく審査され、被害があっても救済されないこともあり得る。

事故賠償と同じことの繰り返し?

東京電力福島第1原発の事故に伴う賠償を求める方法は、東電への直接請求と、国の原子力賠償紛争解決センター(ADR)への提訴、訴訟の3つがある。

このうちADRへの申立件数は、2020年末現在で約2万2000件。このうち約6000件は和解に至っていない。私と交流のある飯舘村の菅野哲さんらは、ADRが示した和解案を東電が拒否したため、訴訟に持ち込んだ。この10年の経過を見ていると、賠償するかどうか、またその金額は、東電が決めること、としか思えない。

今度の汚染処理水の海洋放出がなされれば、原発本体の事故の際の賠償と同じことが繰り返されるのではないか。

朝日新聞は19日の紙面で「処理水を放出しても、雨や地下水の流入で増える汚染水が処分量を上回るので、(処理水をためる)タンクの増設は避けられない」と報じている。そうだとすれば、「廃炉作業のスペースを確保するために処理水を放出する」という政府の方針とは食い違うことになる。国、東電はどうするのだろうか。(元瓜連町長)

90回目の奉納選書会 土浦・中城天満宮で始まる

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入選作が掲示された中城天満宮=土浦市中央

90回目を迎える土浦市中央の中城天満宮奉納選書会(天満宮奉賛会主催)が25日始まり、市内15の小学校から集まった書道作品の入選作が天満宮境内に掲示された。26日からはメーン会場を中城通りのまちかど蔵「野村」袖蔵に移し、商店街店頭への展示と合わせ来月5日まで行われる。

学問の神、菅原道真公をまつる中城天満宮では、毎年4月25日の天神例祭に合わせて書道展を開いている。今回は市内17小学校のうち15校から合わせて1046点の応募があった。市内在住の書家、平田洋香さんらが審査して、市長賞、土浦商工会議所会頭賞、土浦市議会議長賞などを選んだ。

市長賞には、小笠原衣桜里さん(下高津小6年)、宮本こうえいさん(土浦小3年)、大せきこうたろうさん(都和小2年)の3作品が選ばれた。

上位入選すると、例年は地区の老舗割烹、霞月楼を会場に行われる表彰式に招かれるが、コロナ禍で昨年に続き、2年続けて休止となった。奉賛会では中城通りから天満宮に入る天神通り側に受付を設け、賞状と副賞の引き換えを行った。折からの好天で、商店街には珍しく家族連れが目立った。

90回目を迎え、奉賛会の佐藤陽一会長は「毎回1000点を超す応募があって熱意を感じている。選書会を巣立った人たちによるシニア会を作ろうかという話も出た」との話題を紹介する。

霞月楼には書の大家、中村不折(1866~1943)の扁額が収められており(2020年9月6日付)、書画の収集がさかんに行われた。中城通りではこの春から、週3日ペースで書道教室も開かれるようになった。沼尻墨僊(1775~1856)ゆかりの琴平神社に隣接して開設された「寺子屋亀楽(きらく)」の教室で、児童向けばかりでなく、成人向けにも熱心な参加者が集まっているといい、機運が高まっている。(相澤冬樹)

宇宙が観光地に 《食う寝る宇宙》84

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【コラム・玉置晋】先日、映画館に行きました。どうしても、映画「シン・エヴァンゲリオン」を見たくて。ウチの奥様はエヴァには全く興味なくて、休日朝イチの回にオッサン1人で行きましたとも。僕はオッサンだけれども学生証を持っていますので、映画は学生料金で見ることができます。

ところが、今回、映画館のアルバイトスタッフの方に「学生ですか?」と、けげんそうに止められてしまいました。「学生証を見せてください」と言われたので、「はいはい、どうぞ。オッサンだけど社会人学生なのです!」と、学生証を確認してもらいました。すると、このスタッフさん、「おお、すごい、私も将来、社会人学生をやってみたいです」と言ってくれました。

社会人学生というステータスも悪くないね、とニコニコしつつ、自分がオッサンと認知されて止められたことに、ちょっぴりセンチになりました。

「シン・エヴァンゲリオン」の宇宙描写

新世紀エヴァンゲリオンが最初にテレビで放映されたのは、1995~96年でした。僕が高校生のころです。巨大ロボット兵器エヴァンゲリオンに少年少女が乗り込み、使徒と呼ばれる謎の敵から人類を救うという、シンプルなお話では済まず、大変に難解なストーリ展開をしていきまして、実に25年にわたり僕の心をわしづかみにしてくれました。

95~96年の作中では、エヴァンゲリオンが「ロンギヌスの槍」を投てきし、衛星軌道上の使徒をせん滅しました。しかし、槍は地球の重力圏を脱して、月の周回軌道に移行し、現代の技術では回収不能であるというくだりがありました。

しかし、2009~21年にリビルドされて公開された「シン・エヴァンゲリオン」では、普通に衛星軌道上での作戦行動が描写されています。今や衛星軌道上の活動はSFでも何でもなくて、ひと昔前までの「宇宙開発」のブランドは「月軌道および月面開発」になるのかしら。

じゃあ、ひと昔前の「月面探査」ブランドは「火星探査」になるのか。今は宇宙開発のフィールドが変わる過渡期にあるのでしょう。

じゃあ、「衛星軌道」の立ち位置はどうなるかというと、南極が探検の地から観光地になったのと同様の運命をたどるでしょう。10年以内に高度400キロぐらいまでは、観光地になるに違いない!と思っていたら、旅行雑誌で「宇宙旅行」が特集されたり、ワクワクする時代です。(宇宙天気防災研究者)

教育も医療も役立たない「時代の変化」 《くずかごの唄》84

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】今の中学1年の時、疎開先で敗戦を体験した私は、3年生の時に都立校の転校試験を受けるために、母、妹、弟よりも一足早く東京に帰ることになってしまった。

父と兄と3人の生活は精神的に大変だった。慶応大生の時、学徒動員で土浦海軍航空隊(阿見町)に入隊し、軍隊の訓練を受け、敗戦で家に帰って来た兄は、どういうわけか昔の兄ではない。まったく別の人間になってしまっていた。航空隊で何か重大な事件があったらしいが、何も言わないので皆目見当がつかない。「死にたい」とだけ言って、家を出てしまう。

航空隊に入る前、彼には結婚を約束した恋人、明子さんがいた。しかし、戦争に駆り出されて死ぬ覚悟なので、彼女を一生しばりつける結果になってしまうと、婚約を解消してしまった。夏休みには、安房大原にあった彼女の家の別荘に連れて行ってもらった。明子さんは、私が集団疎開する時も、少女向けの本を10冊送ってくれた。この本にどれだけ慰められたかわからない。私も大好きな人だった

「死にたい」と墓地を歩き回る兄

兄自身、死を覚悟して、婚約も解消し、入った軍隊。友達がたくさん死んだのに、自分だけおめおめと帰って来て、どうしていいかわからない。焦り、いら立ち、「死にたい、死にたい」と言って、墓地を放浪する。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、出てきてください」。兄の名を叫びながら、真夜中の多摩墓地を歩きまわって兄を探したこともあった。多摩墓地がこんなに広いとは思わなかった。喉がカラカラになり、怖かったが、怖いとも言えない切迫感があって、兄の死をくい止めるために、何とかするしかない。15歳の私には歩き回るしか知恵がなかった。

父もほとほと困りはて、父の尊敬する先輩・小泉信三氏に相談。彼の形だけの私設秘書として採用してもらい、話し合ってもらう作戦に出た。教育も医療も役立たない時代の、大きな変化の中の若者の心理。「性格の合う人、歴史の変化を読める人、そういう人を見つけて、少しずつ歩み寄ってもらうしかない」と、考えたのだろう。(随筆家、薬剤師)

日本の子どもは可哀そう 《ひょうたんの眼》36

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踊り子草

【コラム・高橋恵一】青年海外協力隊員として東南アジアに派遣された青年の経験談である。優れた日本農業技術で作物を育てたところ、高温多湿の気候の効果もあって、半年でそれまでの1年分の収穫ができた。現地農民は、大喜びをした。次に、協力隊員は、後半の作付けに取り掛かろうとしたところ、農民は動かない。1年分の収穫ができたのだから、もう働く必要がないというのだった。30年前のことだ。

青年海外協力隊員は、苦笑しながら、現地農民の経済感覚を伝えてくれたが、今なら、ゆとりのできた時間や資金をどう使うかを考えたかも知れない。

日本では、高度成長期から、成果をひたすら企業資金力の強化に回し、労働時間の短縮やセーフティーネットの構築、地球環境の改善・保護に回すことはほとんどなかった。

それから30年。日本の幸福度ランキングは、世界で56位。韓国とピッタリ寄り添って、ロシア、中国の少し上位に位置しているが、OECD(経済協力開発機構)37カ国のうち最下位レベルだ。

我々の生活レベルを考える時、「昔」と比べると、格段に忙しさが変わって来ている。拘束された忙しさ、義務的な忙しさである。

日本の幸福度を改善するためには、就業時間を短縮し、最低賃金を思い切り上げればよい。毎日の労働時間を7時間、週35時間以内にすれば、全く違う世界が見えてくる。当然、フレックスタイムが導入され、満員電車も解消する。生産力を維持するためには、雇用を拡大しなくてはならない。女性の役割が大きくなり、より多様性が拡大する。変化への原動力は、格差社会の解消である。

授業の内容は詰め込み過ぎ

ところで、日本では、子どもも忙しい。授業時間中の学習内容は、詰め込み過ぎであろう。高校や大学の入試の時まで覚えておけばよい「知識・学力」を、詰め込まれるのだ。児童生徒の学力は、小学5年生までと中学2年生までをしっかり押さえておけば、その後の進学や社会生活に対応して行けるといわれている。

それ以上、宿題や学習塾で忍耐力を養う意味があるのだろうか。一時「ゆとり教育」の取り組みもあったが、結果の評価もされないうちに、また逆戻りしてしまった。親たちが子どもの自立能力を信じられなかったことと、教師の側に「ゆとり教育」を遂行する力量がなかったということだろう。

学校の授業が終了すると部活である。部活は、児童生徒の個人的趣向というより、スポーツや合唱・管弦楽など、競争的成果を求められる分野が多い。学校対抗の各種大会が行われ、必然的に過度の練習と勝利への忠誠が求められる。

スポーツ部門をはじめ、多くの部活の集団活動、団体行動の端々に、旧日本陸軍の行動規律を見てしまうのは私だけだろうか。楽しむより、勝つこと。勝つことより、指導に従うことになってはいないか。

近年は、皆勤賞もなくなりつつあるというが、例えば、ゴールデンウイークや夏休み以外の時に、家族旅行などの欠席を認めたらどうか。欠席時間の補習体制を整えれば、真の体験学習ができるだろう。(地図好きの土浦人)

高齢者施設にワクチン配送 65歳以上4万7000人に接種券郵送も つくば市

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新型コロナウイルスワクチン

高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの配送が22日、つくば市で始まった。同日午前、第1便となるファイザー社製のワクチンが、市内の介護老人保健施設に1カ所に届けられた。併せて同日、市内の65歳以上の高齢者約4万7000人にワクチン接種券が郵送された。23日以降、各家庭に届く。

マイナス70度の超低温冷凍庫から取り出したワクチンを必要な数だけ素早く配送用の保冷箱に移す作業員=22日、つくば市役所

配送されたワクチンは、17日に国から届いた2箱(1950回接種分)のうちの一部で、市役所内に設置された超低温冷凍庫でマイナス75度で保管されていた。

4月26日から5月3日の週には5箱(4875回接種分)が国から届く予定で、医療機関のほか、特別養護老人ホーム10カ所とグループホーム18カ所にも届けられる予定だ。

接種開始は5月24日

一般の65歳以上の高齢者に同日発送された接種券には、予診票、接種できる約100カ所の医療機関の一覧表、接種の流れの説明資料などが同封されている。

市では、新型コロナ協力医療機関の医療従事者に次いで、高齢者施設の入所者と職員の接種を優先することにしており、介護老人福祉施設8カ所のうち、接種体制が整った施設から順次、ワクチンを届ける。

22日、65歳以上の高齢者約4万7000人に発送された接種券など=つくば市役所

接種するには市のコールセンターまたは各医療機関に予約することが必要で、5月17日から、市ホームーページまたは市コールセンター(電話029-883-1391)、各医療機関で予約受け付けを開始する。

実際の接種は5月24日から市内約100の医療機関で開始する予定だ。市新型コロナウイルスワクチン接種対策室によると、5月24日の週にかなりの量のワクチンが国から届く予定だが、現時点で、何人分のワクチンが確保できるかは未定という。(鈴木宏子)

開園25周年 つくばわんわんランド 「人とペットが共存する拠点に」

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つくばわんわんランドで犬と散歩するつくば国際ペット専門学校の生徒

日本最大級の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田、東郷治久社長)が27日、開園25周年を迎える。1996年4月27日、現在の3分の1ほどの面積でスタートした。ペットは家族の一員であるという価値観が浸透すると共に、犬を見せる施設から犬と触れ合う施設へとコンセプトを変化させてきた。現在、約90種約500匹の犬がいる。

寺崎修司園長は「日本のペットに対する意識は、ペット先進国と比べまだまだ遅れているところがあるので、正しい知識をもって人と動物が共存する社会を目指す拠点になれれば」と話す。

珍しい大型犬、ナポリタンマスティフをなでる寺崎園長

25周年を記念して26~28日の3日間、25歳の人と小学生以下の入園料が100円になる特別イベントが開催されるほか、ゴールデンウイーク(GW)中の29日から5月5日まで、グループ法人のつくば国際ペット専門学校講師による犬のお手入れ教室やしつけ教室などが開催される。

園のシンボル 黄色い木造犬は4代目

同園のシンボル、高さ11メートルの木造犬「モックン」は開園の年の7月に初代が完成した。現在の黄色い木造犬は4代目。

翌97年に、グループ法人のつくば国際ペット総合学院(現在のつくば国際ペット専門学校)が開校した。2012年に園内に猫と触れ合える「ねこハウス」がオープンし、14年には老犬になった飼い犬を預かる老犬ホームひまわりができた。これにより計約66ヘクタールの敷地に、ゆりかごからペット霊園まで一貫して備える施設となった。

一方、2019年秋には台風19号により隣接の桜川が増水し、園内ほぼ全域が冠水するなど自然災害の脅威に見舞われた。

台風被害を乗り越えつつあった矢先の翌20年は、コロナ禍により、GWを含む4、5月の1カ月間、休園を余儀なくされた。

台風とコロナの二重の被害を受け、昨年、クラウドファンディングにより支援を呼び掛けを実施した。1235人から計977万3116円の支援が寄せられるなど、全国のファンの応援が集まった。

現在は感染防止対策を徹底して開園しているが、コロナ禍が続き、来園者数はまだ例年の8割ほどにとどまっているという。

犬と触れ合える園内の「わんわんパーク」

◆開園25周年記念特別イベントとして▽26~28日=今年25歳になる人(1996年生まれ)と、3歳から小学生までの入園料100円▽23日まで募集=同園の昔の写真や思い出の写真と、同園のイラストを募集し、応募作品をGWから年末まで園内で展示する。入選者には同園の無料招待券を各10枚を贈呈する。

◆GWの特別イベントとして▽4月29~5月5日=つくば国際ペット専門学校講師が、犬のお手入れ教室、しつけ教室、アジリティーを開催する。

◆園内で唯一の屋内施設である「ねこハウス」は、新型コロナ対策のため、混雑が見込まれる26日から5月5日まで休館する。

詳しくは同園(電話029-866-1001)。

別の学校も臨時休校 つくば市教員が新型コロナ

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つくば市役所

つくば市は21日、市立学校教員が新型コロナウイルスに感染していることが分かり、この教員が勤務する学校を22~23日の2日間、臨時休校にすると発表した。

市教育局学び推進課によると、20日に感染が確認された教員が勤務する学校とは別の学校という。

21日感染が分かった教員の濃厚接触者は現在、保健所が調査している。この教員の症状や、いつまで勤務していたかなどは公表しないとしている。

一方、20日に教員の感染が確認され、21~22日の2日間、臨時休校としていた学校は、23日から通常通り授業を開始する。

里山の春はにぎやか 《宍塚の里山》76

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写真は、①シュレーゲルアオガエルの卵塊、②鳴くアマガエル、③里山の上空を飛ぶサシバ、④アマガエル。⑤シュレーゲルアオガエル

【コラム・及川ひろみ】本格的な春、里山はとてもにぎやかです。谷津田(やつだ)で明るくコロコロ鳴くのは、シュレーゲルアオガエル。姿はなかなか見られませんが、目の高さの樹木の葉の上、枝に鎮座しているのが見られます。アマガエルより大きく、時に黄色の水玉模様が体全体に見られるものもいます。

また、田んぼの縁をよく見ると、アメリカザリガニが空けた穴に真っ白な泡の塊を見つけたら、しめしめ。このカエルの卵塊。多くのカエルは水の中に卵を産みますが、このカエルの仲間は突き出た枝や湿地の枯草の隙間などに生みます。シュレーゲルアオガエルの小さなオタマジャクシは、雨降りのときに田んぼに滑り降ります。

このオタマ、他のカエルの卵と異なり、卵塊の中のたまごの色は黄色。生まれたオタマジャクシは、最初は薄茶、間もなく色が濃くなります。

木の上で大きな声でケケケケケと鳴くのは、ニホンアマガエル。汗ばむような暑い日に、よくこの声が聞かれます。夜になると、あちこちで「ゲロゲロゲロ」とにぎやかに鳴きます。人が近づくと、ピタッと一斉に鳴き止みますが、そっと探すと鳴いている姿が見られます。口の下の皮膚を風船のように大きく膨らませ、懸命に鳴くアマガエル。

田んぼは平らなようでも、懐中電灯で照らして探すと、あちこちに水の上にできたわずかな陸が方々にあり、その上や、草が茂る根際などで懸命に鳴くカエルが見られます。

今年も「田んぼの学校」がスタート

それにしても、昼間は樹上でケケケ、夜は田んぼでゲロゲロと、日中と夜では居場所も声も全く異なります。若いころ、木の上でケケケと鳴く生き物の正体が知りたいと、よく目を凝らし探したものです。ようやく正体が分かった時の驚き、今も新鮮によみがえります。

今ごろの田んぼをのぞくと、♪型のオタマジャクシがたくさん泳いでいます。ニホンアカガエルのオタマジャクシ。寒い時期に産み付けられた卵から生まれたオタマジャクシは、もうすぐ子ガエルになって陸に上がります。

上空からは、里山の鷹「サシバ」が春を謳歌(おうか)しています。サシバがひなを育てるときには、カエル、ヘビがたくさん必要です。里山では毎年、複数のサシバのひなが育っています。

認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」では、親子で田んぼ体験、食育、自然学習などを行う「田んぼの学校」が今年も始まりました。参加者は41組の親子約100名。密にならないよう数回に分け、種もみをまきました。近隣の幼稚園、保育園の子どもたちも里山の自然を求めてやって来ます。

春の里山には、子どもの声がこだましています。よい季節になりました。皆さまもお越しください。(宍塚の自然と歴史の会 前会長)

市立学校を22日まで臨時休校 つくば市の教員が新型コロナ

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つくば市役所

つくば市は20日、市立学校教員1人が同日、新型コロナウイルスに感染したことが判明したとして、教員が勤務する学校を21日から22日まで2日間、臨時休校にすると発表した。

市教育局学び推進課によると、休校はこの教員の濃厚接触者のPCR検査結果が判明するまでの措置。学校での濃厚接触者が何人いるかについて、保健所が調査しているとしている。

この教員の感染経路は不明、同課は、教員がいつまで出勤していたかや症状があったかなどは公表しないとしている。

一方、同市では14日、市立学校の非常勤職員1人が、新型コロナウイルスに感染していることが確認された。今回休校になった市立学校は、別の学校だという。

たゆたう歌物語① 都鳥 《遊民通信》15

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水墨画都鳥

【コラム・田口哲郎】
前略

コロナ禍になる前は、本郷キャンパスに通うのに、JR上野駅から上野公園、不忍池の弁天堂を通って、池之端門から構内に入っていました。東大病院の裏手にその門はあり、坂を登ると安田講堂の裏に出ます。さらに坂を登ると法文1号館という建物があり、文学部の講義は主にそこで行われているのです。

さて、不忍池の鳥の話です。池にはハトやスズメ、カモが集まり、さながら鳥の集会所のようですが、その中でひと際目を引く鳥がいます。ユリカモメです。東京は臨海都市ですが、上野辺りに海沿い感はありません。

でも、カモメがいる。吉本ばななが銀座に行くと潮の香りがする、とどこかに書いていましたが、カモメを見ると淡水の不忍池にも潮の香りが漂ってくるようです。ユリカモメは東京都の鳥になっていますから、特段珍しい鳥ではないのでしょう。少し釣り上がった目が愛らしく、立ち止まって眺めていました。ふと、口をついて出たのは、

名にし負はば いざ言問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと

という和歌です。これは『伊勢物語』第九段「東下り」と『古今和歌集』に収録されている在原業平の歌で、京都から下った業平が隅田川沿いで都に残してきた恋人に想いをはせて詠んだ歌です。

郷愁を誘う鳥?!

そういえば都鳥ってどんな鳥なんだろう、とスマホで検索してみると、ユリカモメだと分かりました。都鳥は郷愁を誘う鳥なんでしょうか。なんだかしみじみしてきて、私の故郷はどこなんだろう? と考え始めました。

当時、宗教学の講義を受けていたのだと思います。人はどこから来て、どこへ向かうのだろうか? 人間には霊魂というものがあるんだろうか? あるとしたら死後どこへ行くのだろう? もし霊魂などなくて、死んだら体が原子に分解されるだけだとしたら…。

あらゆる宗教は死後の生命を前提に成り立っています。死んでも「わたし」は「わたし」なのです。人はそう思いたいのです。はかない命は終わらない、と。でも、死んでも「わたし」が存続することが本当に幸福なんでしょうか? 死んだら、超新星爆発した星の欠片が宇宙空間に飛び散るように、我々の体も原子になって地球上を風に乗ってさまようのだとしたら。それはそれで救いのあることなんじゃないか?

いや待てよ、やっぱり「わたし」は「わたし」でいたいんだな…。揺れ動く心で、都鳥ことユリカモメを見ていると、1首浮かびました。

都鳥 告げて鳴くのは わたつみの 果てにあるらむ 極楽のさま

やはり、どこか遠くに、霊魂が帰ってゆく楽園があってほしいと思います。愛らしい都鳥はキョトンとしていますが、ちゃんと楽園を知っていて、我々に知らせているのかもしれません。不思議な鳥です。

ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

スタジオで配信体験、誰もがYoutuberに 土浦のインターネットテレビ局

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番組放映中のフクタローさん=Vチャンネルいばらきサテライトスタジオ(土浦市川口、モール505まちなか交流ステーション内)

2021年版「小中学生の将来就きたい仕事」に関する調査で男子の1位となるなど、がぜん注目のYoutuber(ユーチューバ―)を、手軽に試せる場所が土浦にお目見えした。インターネットテレビ局「Vチャンネルいばらき」(土浦市川口、菅谷博樹代表)が、Youtube(ユーチューブ)配信を始めてみたい個人や団体に、スタジオや機材の無料体験を呼び掛けている。

体験ができるのは原則的に土・日曜日、午後1時~6時のうちの1時間程度(スタッフがロケなどで不在の場合を除く)。業務用の本格的な機材やスタジオ設備を使い、オリジナルの動画コンテンツが作れる。撮影した動画は自分でユーチューブなどに投稿するほか、後日、Vチャンネルいばらきの番組の一つとして公開することもできる。

内容は、スタジオ内でできるものなら何でもOK。一例としてはトーク、セミナー、実況、音楽なら弾き語りや歌ってみた動画など。2階の貸しスペース「VBOX」(料金別途)を使えば、本格的なライティングやPAシステムで、バンドのライブやダンス・演劇などのステージも配信できる。

代表の菅谷さんは「未経験の人でもやりたいことができるよう、スタッフがお手伝いする。番組制作の雰囲気を知るだけでも刺激になるのでは」と呼び掛ける。

裏方は全部スタッフにお任せ

動画配信は最低限スマホ1台あればできるが、スタジオを使えるメリットは大きい。複数のカメラを切り替えたり、背景や別画面を合成したり、効果音やテロップを入れたりなど、さまざまな広がりが生まれる。機材のセッティングや操作はスタジオのスタッフがしてくれるほか、教えてもらって自分でやることもできる。

「自分一人で配信するときは、画像はちゃんと撮れているかな、音はどうかなとか、いろんなことが気になって、なかなか集中できない。スタジオなら裏方は全部スタッフにお任せできるので、自分はただただ配信だけを思いきり楽しめる」と話すのは、同チャンネルの番組「木曜3時のマイジェネ」で構成とキャスターを務めるフクタロー(本名・川合福太郎)さん。

「木曜3時のマイジェネ」番組画面=Vチャンネルいばらき提供

「木曜3時のマイジェネ」は、夢を追う若者たちを紹介する番組。昨年7月に始まり、すでに40回を超えた。フクタローさんは当初、裏方としてVチャンネルいばらきに参加。動画制作のさまざまな技術を身に付け、今では自身の音楽活動もミュージックビデオやライブなどの形で配信している。

配信の楽しさについては「対面とはまた違う。目の前にお客さんがいなくてもオンラインで視聴者とつながり、一緒に盛り上がれる。メッセージが直接届くなどダイレクトな反応もあり、やりがいを感じる」という。

菅谷さんは「今はだれもが発信する側になれる時代。特に若い人たちが新しい土浦の魅力を発見し、それを動画にして発信すれば、伝わり方や届く相手もいままでとは変わると思う」と期待をふくらませている。

体験費用や機材使用料は原則無料。まず希望日時を伝え、打ち合わせを経て利用となる。申し込み・問い合わせはVチャンネルいばらき(電話029-875-7255、Eメールinfo@vchannel-ibaraki.com)。(池田充雄)

観光シーンにアウトドア向け新商品 筑波山・霞ケ浦エリア

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写真上段左から陣中油ハンドクリーム、リップクリーム、イラスト手ぬぐい、下段左からパイスティック、帆引き御膳=県観光物産課提供

茨城県が企画提案を募った「筑波山・霞ケ浦をもっと楽しむ!アウトドア層向け新商品企画開発」によるツアープログラムが、春からの観光シーズンに続々デビューする。登山やサイクリングなどアウトドアの観光シーンに、地域資源を活かすグッズや土産品などの提供をめざしたもので、昨年度入賞したプランが商品開発を終えた。今後、筑波山・霞ケ浦エリアでの定番商品を目指して、販売戦略を展開していく。

企画提案は新たな定番商品の開発と、アクティビティーツアープログラム企画の開発の2部門で募集された。昨年10月の最終審査には12事業者14プランが残り、公開プレゼンテーションで商品開発に4プラン、企画開発で2プランが選出された。

定番商品の入賞は、▽筑波山江戸屋(つくば市筑波)の「陣中油ハンドクリーム・リップクリーム」ガマの油のパッケージデザインをリニューアル(ハンド1800円、リップ900円)▽筑山亭かすみの里(土浦市おおつ野)の「霞ヶ浦名産を使用した帆引き御膳」帆引き船をイメージした船盛で霞ケ浦名産の白魚、川エビなどが味わえる(1980円)▽ケーズグラフィック(つくば市平沢)制作の「筑波山麓歴史めぐりイラスト手ぬぐい」TAMARIBAR(タマリバ、つくば市小田)、平沢官衙(かんが)遺跡案内所(同市平沢)、一期一会(桜川市羽田)で販売(1200円) ▽美影グルテンフリーベーカリー(つくば市小田)の「宝篋山パイスティック」筑波山麓の農産物(小田米、オーガニック卵、ブルーベリーなど)を使用しスティック状で食べやすく携帯性のある商品に開発。TAMARIBARで販売(1本250円、1缶5本入り1200円)の4商品。(価格はすべて税込み)

アクティビティーツアープログラム企画の開発では、ラクスマリーナ(土浦市川口)の「カヌー遠足」と、こもれび森のイバライド(稲敷市上君山)の「満喫アウトドア!イナシキライド」が入賞した。

土浦市の新川で2020年11月実施されたカヌー遠足のモニターツアーの様子

カヌー遠足は、土浦港を出発してレンコン畑の側などをカヌーで巡るガイド付きの湖上旅で、初心者でも気軽に楽しめるのが魅力。またアウトドア・イナシキライドはサイクリングやバードウオッチング、キャンプなどが楽しめる1泊2日のツアーで、稲敷市を舞台に人気を集めているという。両企画とも昨年からすでに実証ツアーを実施しており、今年度以降も継続して行っていく。

筑波山・霞ケ浦広域エリア観光連携促進事業に関する問い合わせは、県観光物産課(電話029-301-3617)。(山崎実)

本田圭佑氏率いるファンドなどから資金調達4億円 筑波大発ベンチャーのワープスペース

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「WarpHub InterSat」 小型光中継衛星群(イメージ)=ワープスペース社提供

筑波大学発宇宙ベンチャーのワープスペース(つくば市吾妻、常間地悟CEO)は19日までに、第三者割当増資による4億円の資金調達を実施した。引き受け先にはスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー(東京都港区、見學信一郎代表取締役)が設立・運営する宇宙フロンティアファンド、プロサッカー選手の本田圭佑氏が率いるKSK Angel Fund 合同会社(米国カリフォルニア州)、SMBCベンチャーキャピタル産学連携2号投資事業有限責任組合(東京都中央区)が名を連ねた。

ワープスペースは、宇宙空間光通信ネットワーク構想「WarpHub InterSat(ワープハブ・インテルサット)」の実現をめざしている。3月には国際宇宙ステーション(ISS)から超小型通信衛星の軌道投入に、県内の民間企業では初めて成功(3月15日付)した。今回の資金調達はシリーズAラウンド(初回募集)のファーストクローズとなり、5月ごろをめどにセカンドクローズを実施する予定。

左からワープスペース常間地CEO、KSK Angel Fund本田圭佑氏、宇宙フロンティアファンドの大貫美鈴氏=同

同社は、3月8日付けで取締役会設置会社に移行。宇宙フロンティアファンドの投資担当で宇宙産業関連団体の委員・理事なども務める大貫美鈴氏が社外取締役に就任し、経営体制を強化した。一連の取り組みによって2022年末の打ち上げを予定している、世界初の衛星間光通信ネットワークサービス向けの小型光中継衛星の開発を加速させていくという。

常間地CEOは「人類の空間利用の拡大や持続的発展は、常に強力かつ安定した通信インフラの実現によって達成されてきた。私たちは引き続き、宇宙空間光通信ネットワークサービスを世界に先駆けて実現することで、宇宙通信におけるトップキャリアの地位を確立し、地球経済圏の拡張および持続可能な発展を支えいく」とコメントしている。

KSK Angel Fund(エンジェルファンド)の本田圭佑氏は「2つの可能性を信じて出資した。1つ目はワープスペースの宇宙光通信ネットワークが、貧困や環境問題など色んな社会問題を解決しうる可能性。2つ目は宇宙産業の開拓にも貢献できる可能性。今の時点で可能性が低いなんて思うことは当たり前。それでもいつの時代でもそんなわずかな可能性を信じて行動し続けた人だけが夢を実現させてきた」とコメントを寄せた。

つくば市の注目案件 2つの変な話 《吾妻カガミ》104

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】今回はつくば市政の注目案件、総合運動公園用地処理とセンター地区再生会社を取り上げます。それぞれ、4月初めにある動きがあり、何か変だな~と思ったからです。市政モニターを売りにするこのコラム、ネタが尽きることはありません。

「防災倉庫」案はまだ生きている?

市は4月1日、運動公園計画用地をどう使ったらよいかアイデアを出してくださいと、民間の業者さんに呼び掛けました。市は「サウンディング」と言っていますが、市には知恵がないので活用法を教えてくださいと、業者さんにお願いしたということでしょうか。入札の一つの形である「プロポーザル」(案件に対する企画提案)ではなく、あくまでもご意見拝聴です。

詳しいことは、本サイトの記事「民間へ、また市場調査開始」(4月1日掲載)をご覧ください。見出しに「また…」とあるように、市長2期目の五十嵐さんは1期中にも同じようなことをしていますから、この案件では2度目のサウンディングになります。

何か変だなと思ったのは、アイデア募集要領に「敷地全体の一体的活用法、または分割しての利活用法などをお示しください」と書かれていた点です。運動公園用地については、2月19日、敷地の3分の1ぐらいを防災倉庫とヘリポートに活用する市案が議会に提出されており(「市長の手法に異議相次ぐ」=2月20日掲載)、この構想は一体どうなったのでしょうか?

五十嵐さんに確認したところ、防災施設案はまだ生きているそうです。そうであればそうと募集要領に書いておかないと、業者さんは防災施設案をどう扱うべきか迷ってしまいます。それとも、「防災倉庫+ヘリポート」案はあまり評判がよくないので、無視しても構わないと暗に言っているのでしょうか。

センター地区再生会社社長のお仕事

もう一つの注目案件、センター地区再生会社も4月1日に動き出しました。市が筆頭株主になった再生会社の概要については、「まちづくり会社社長に内山博文氏」(3月4日掲載)と「まちづくり会社 1日設立」(4月1日掲載)をご覧ください。

こちらの「何か変」は、社長に選任された内山氏のことです。上のリンク記事にもあるように、同氏はTXつくば駅前ビル「クレオ」(主テナントは撤退した西武百貨店)の再生計画を市の委託で策定した方です。ところが五十嵐さんは、その計画では議会の賛意が得られないと読み、関連予算案の議会上程を見送りました。

つまり、内山氏は「ボツ」になった計画の策定者です。それなのに、クレオを含むセンター地区再生を使命とする新会社の責任者に起用されるとは、実に不思議なことです。

しかも、先の記事によれば、内山氏は「つくば市には最低限、週1回は来て、指揮を執る」という仕事のスタイルのようですから、社長というより顧問に近い役回りではないでしょうか。業務を切り盛りする事実上のトップは、市から派遣された小林遼平専務と考えた方がよさそうです。お疲れさまです。(経済ジャーナリスト)

新入生ら「筑波大に入ってよかった」 つくばの食料無料配布に240人

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食料を受け取る大学生たち=つくば市天久保の松見公

「筑波大に入ってよかった」。無料配布の食料を受け取った筑波大の新1年生たちから歓喜の声が上がった。つくば市天久保の松見公園で18日、食料の無料提供会(学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)主催)が開かれ、入学したばかりの筑波大学1年生をはじめ、大学生や家族連れなど約240人が食料を求めて集まった。

無料配布会の情報をツイッターで入手した新入生らは、入学後に新しくできた友人らと一緒に並び、米(1袋2キロ)やカップラーメン、レトルト食品などの保存食、ネギなどの生鮮野菜、日用品などを受け取った。新入生らは仲間内で「こんなにたくさんもらえた」「筑波大に入って良かった」など喜びあった。

食料無料配布会を告知する主催団体の公式ツイッターは在学生や新入生の間では広く共有されており、多くの大学生らが「ツイッターで(無料配布を)知った」と口をそろえた。会場では、生理用品への出費が負担となる「生理の貧困」に悩む女子学生に向けた無料配布も行われた。

食料の無料配布を求めて並ぶ大学生たち=同

特に他県からつくばに転入した新入生の間では、食料無料配布は非常に喜ばれた。栃木県出身の筑波大1年生男子(18)は「主食から何までもらえた」と感謝した。「来たばっかりなのでお金も大変。引っ越しにあたって家具も揃えないと」と、つくばでの新生活を始める際の経済的な負担を訴えた。

愛知県出身の筑波大1年生男子(18)は「入学したばかりなのでうれしい。愛知県だと(食料無料配布会が)中々ない。お米もいただけたので助かった」と語った。「こんなに(食料を)もらえるとは思ってなかった」という群馬県出身の筑波大1年生男子(18)はと驚きを隠せない様子。「もう少し生活が安定してゴールデンウイーク過ぎからアルバイトを始めようと思っていた」という。

主催団体によると、今回来られなかった大学生のために、19日午前11時と午後4時の2回に分けて、追加の食料配布(各回先着20人、要事前申し込み)を行い、5月にも同公園で食料無料配布会を再度実施する。

「市長も視察に来てほしい」

食料無料配布会は昨年12月6日から始まり今回で6回目。回を重ねるごとに市民有志からの寄付も集まっている。常総市内の会社経営者からコメ600キロが寄付されたほか、土浦市内で家庭菜園を営む市民からネギの寄付を受けたという。

一方で生活に困窮する大学生らは後を絶たず、主催団体では「18歳以上の市内在住の学生に現金か商品券を配布する」生活支援を求める陳情の署名活動を進めている。

主催団体代表の冨山香織さん(40)=同市天久保=は「市議会に請願を届けたいし、学生を連れて市長に面談して、生の声を直接届けたい」と五十嵐立青市長に、食料無料配布会の視察に来てほしい旨要望した。(崎山勝功)

越冬ヒメトビウンカの防除を 田植え控える県西・県南に警告

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田植え前の苗代。近年ではビニールハウスを利用する農家が多い(資料写真)

田植えシーズンを控え、茨城県病害虫防除所(笠間市、農業総合センター病害虫防除部)は、県西、県南の一部地域で水稲被害のイネ縞葉枯病(いねしまはがれびょう)の多発傾向がみられると警告している。同病は発病してから治療方法がないため、田植え前のイネの苗に薬剤施用を行うことが重要だとしている。

イネ縞葉枯病は、ヒメトビウンカという体長約3~4ミリの害虫により媒介されるウイルス病。イネはこのウイルス(RSV)をもった保毒虫に吸汁されると同病に感染し、葉の緑色がかすり状に黄化したり、生育不良となったり、出穂期には穂が奇形となり実らなくなるなどから減収を余儀なくされる。

発病の警戒には、ウイルスを保有するヒメトビウンカの割合(保毒虫率)が大きく影響する。県では、ヒメトビウンカ越冬世代幼虫のRSV保毒虫率(ウイルスを持った虫の割合)5%以上を、葉剤の育苗箱施用による防除を推奨する目安にしているが、今年の調査では県西地域11地点中10地点、県南地域ではつくば市などを含む4地点中2地点で、5%以上の高い保毒率を示している。

ヒメトビウンカはRSVに感染したイネを吸汁すると保毒虫となり、死ぬまでウイルスを媒介し続け、また保毒虫が産卵した卵から生まれた幼虫はウイルスを保毒している。幼虫はイネ科の雑草などに生息して越冬するため、翌年も発生する可能性が高くなるという。

同防除所は、田植え期前のイネの薬剤施用に加え、6月中・下旬に水田に薬剤散布を行うと防除効果が期待できるとしている。

問い合わせは県病害虫防除所(電話0299ー45ー8200)。(山崎実)