水曜日, 4月 2, 2025
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《食とエトセトラ》8 大掃除~正月準備 年末の思い出

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【コラム・吉田礼子】いつの間にか冬に足を踏み入れている。今年の紅葉は美しかった。特に真紅の赤に心奪われ癒された。寒いと赤がきれいだと祖母が話していたのを思い出した。今年はコロナに翻弄(ほんろう)された1年だったように思う。来年こそこの閉塞感から脱したいと願うのみである。

子どものころ、12月の行事と言えば大掃除から始まるお正月に向けての準備。少しずつ整えていく日々が思い出される。12月の半ばごろは不思議と晴れの日が続き、大掃除にも適していた。

障子を貼ったり畳を上げて陽に当てる。母のモンペ姿、手拭いの姉さんかぶりが目に浮かぶ。昭和の風物詩だった。きれいになったところでいよいよおせち作り。献立や段取りを考える。

少しずつ買い出しが始まる。25日過ぎたころから黒豆を煮たりする。故郷の宮城県ではあんこ餅を必ず食べる。大きなシャモジであんを練っていた姿が忘れられない。商家の大みそかは、みそか振る舞いと言って、細やかなご馳走で1年の労を労う。31日は忙しくなるので30日にしていた。

お正月は生ものや四足ものは食べないので、年内のご馳走にはお刺身が付く。それにナメタカレイの煮魚。茶碗蒸しもこの日の付き物。おせちやお雑煮の準備をして年越しそばを食べる。

紅白歌合戦を見たり、年賀状を書いたり、おせちの準備をしたり。除夜の鐘を聞くころには、何とか1年の仕事が終わる。

人気の公民館「おせち料理」講座

今年はコロナの影響もあり家で過ごす時間が増え、お料理や家庭菜園など、家族と一緒にする家庭が増えたという。色々なことに気付くきっかけになったという若い方の感想はうれしい。

お正月は家族そろっておせちを食べるお宅が多いということで、売れ行き好調のニュースも流れていた。今年の公民館講座「おせち料理」には定員の4倍の希望者があり、関心の高さを感じている。

節目=季節の区切りに神様にお供えをし、そのお供えを下げていただく御節供(おせちく)が、おせちの始まりと言われている。

年末年始の家庭行事は各地方や各家庭で千差万別。また時代の流れで変わる。その精神性をよく理解したうえで取捨選択していきたい。先ずは先輩の方々から譲り受けたことを、次の世代の方々に語り部として伝えたい。(料理教室主催) 

第9弾 13億のコロナ経済対策など提案 土浦市議会30日開会

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土浦市役所

土浦市の安藤真理子市長は30日開会の市議会12月定例会に、第9弾となる総額約13億1400万円の新型コロナ緊急経済対策事業が提案する。

現在、感染拡大が深刻化している第3波に対応し今後に備えるため、避難所、緊急診療所、学校、保育所、市役所本庁舎などで使用するマスク、非接触型体温計、感染防護服、消毒液、アクリルパーテーションなどの感染予防対策物品を追加で購入するほか、救急搬送や消防団の活動で使用するサージカルマスクなどの感染防護敷材をさらに購入する(事業費は約6800万円)。

市民生活支援策として、家庭ごみの排出費負担軽減のため、市内全世帯約6万7500世帯に30リットルのごみ袋10枚の無料引換券を配布する。5月に実施したごみ袋無料配布の第2弾となる(約4100万円)。

民間の保育施設に対しては、国の第2次補正による慰労金支給事業の対象外となった未就学児を預かる民間保育施設などに勤務する職員約1000人を対象に、慰労のため3万円分のプレミアム付き商品券を配布する(約2100万円)。

新しい生活様式を踏まえた地域経済活性化に関する事業として、小中学校と、避難所となる神立地区コミュニティーセンターの和式トイレを蓋付きの洋式トイレに改修するほか、小中学校の特別教室にもエアコンを整備する(約11億9900万円)。

在宅を有意義に 電子書籍1100冊購入

ほかに、まちかど蔵「大徳」、きらら館、小町の館の観光施設に、接触機会を減らすキャッシュレス機器を導入する(約46万円)。

在宅の時間を有意義に過ごしてもらおうと、市立図書館では新たにインターネットで貸し出しができる約1100冊分の電子書籍を購入し、外出抑制につなげる(約270万円)。

コロナ禍での災害発生に備え、被災者が情報収集をしやすくするため、福祉避難所と指定避難上など計12カ所の避難場所に公衆無線LAN(wi-fi)の環境整備を行う(約200万円)。

芸術文化活動の支援では、新たな暮らしのスタイル確保に向けて、コロナ禍の芸術文化活動の発表機会を確保するため、クラフトシビックホール土浦(市民会館)のインターネット配信環境を整備する(7万円)。

新しい旅行スタイルの環境整備の一環として、市内のサイクリング環境やまちの見どころを掲載したサイクリング環境PR誌を作成などする(95万円)。

12月議会に提案する一般会計補正予算案は総額17億3700万円。そのうち13億円がコロナ関連になる。

公約のごみ袋値下げを提案

同議会にはほかに、1年前の市長選で安藤市長が公約の一つに掲げた県内一高い指定ごみ袋を値下げする条例改正案を提案する。現在15リットル10枚入りごみ袋150円を100円に、30リットル同300円を200円に、45リットル同500円を300円に値下げする方針だ。ただし値下げ時期は来年10月1日からになる。

報告案件では、市立土浦六中で2017年9月5日実施された体育祭の練習の際、生徒が頸椎(けいつい)を負傷する事故が発生し、10月9日に和解が成立したことが報告される。馬になって並んだ生徒の背中の上を、クラス代表が渡って往復するクラス対抗の「人間橋渡り」という種目の練習時、上を渡った生徒が、行きと帰りに計2回落下した際、下で馬になっていた生徒と接触し、下の生徒が頸椎を負傷した。学校の安全管理が不徹底だったとして、けがをした生徒に市が約750万円の損害賠償を支払うことで和解した。けがをした生徒には後遺症などが残る恐れがあるという。

一般質問中止へ

12月定例会の会期は30日から12月18日まで。同市では新型コロナの感染が拡大していることから今期は一般質問を実施しない予定だという。

《霞月楼コレクション》11 リンドバーグ夫妻 土浦で名残りの一夜「人生最良の日々」

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霞月楼

【池田充雄】1931(昭和6)年9月12日、リンドバーグ夫妻は、霞ケ浦を発つ前の最後の1日を土浦で過ごした。錦秋の筑波山をケーブルカーで登り、夜の土浦の街でそぞろ歩きも楽しんだ。午後6時30分に霞月楼に戻って入浴後、霞ケ浦海軍航空隊の松永寿雄副長主催による歓送会が松の間で開かれた。

霞月楼での歓送会の様子。中央にチャールズと松永副長、その右にアン。外国客向けに特注した高脚の膳が並ぶ

宴を待つ間、満寿子女将が夫妻に茶を立てており、当時10歳の恒二(後の霞月楼3代目)が迎えに行くと、アン夫人が歩み寄り、頬に優しくキスをしてくれたそうだ。芸者の白粉とは違う、初めて嗅ぐ香水は少年にとって忘れられない思い出になり、集まった記者団に感想を聞かれ「とてもいい匂いがした」と答えたという。

1カ月の長旅の末に霞ケ浦へ

霞月楼で歓送会を前にくつろぐ夫妻

チャールズ・オーガスタス・リンドバーグは1902(明治35)年米国ミシガン州デトロイト生まれ。曲芸飛行士や郵便飛行士などを経て、1927(昭和2)年に愛機スピリット・オブ・セントルイス号でニューヨーク・パリ間を飛び、世界初の大西洋単独無着陸横断飛行に成功した。1929(昭和4)年に駐メキシコ米国大使ドワイト・モローの息女アンと結婚。1931(昭和6)年に北太平洋航路の調査飛行に乗り出し、アン夫人も無線通信士として同行した。

夫妻は7月27日にロッキード社のシリウス高速連絡機でニューヨークを出発。ワシントンDCを経由し、カナダのハドソン湾やノースウエスト地方を抜け、アラスカからベーリング海を横断。カムチャッカ半島を海岸線沿いに南下し、千島列島を伝って8月24日に北海道へ到達した。根室に2日間滞在後、26日午前8時21分に離水し、午後2時6分に霞ケ浦上空へ飛来。航程1万2000キロ、80時間33分の飛行で17地点をたどる長旅だった。

空の大使として多忙極める

シリウス機は午後2時10分霞ケ浦に無事着水。フォーブス駐日米国大使、安保清種海軍大臣、杉山元陸軍次官、小泉又次郎逓信大臣ら日米の政府高官や海軍関係者など約1000人が出迎え、国内外からの取材陣は200人を超えた。

霞ケ浦海軍航空隊水上班の中央滑走台に到着したシリウス機

霞ケ浦海軍航空隊第一士官宿舎食堂で歓迎会の後、来賓と共に自動車約30台を連ねて土浦駅へ向かい、午後4時40分発の常磐線汽車に乗車。6時28分に上野駅を降り、リンカーンのオープンカーで沿道の大観衆の喝采に応えながら、7時15分に築地明石町の聖路加病院トイスラー院長邸へ到着。ここが夫妻の東京での拠点になった。

27日から31日まで多数の歓迎式典や表敬訪問をこなし、9月1日から4日までフォーブス大使の軽井沢別荘で休養。5日は日光を周遊し金谷ホテルで1泊、6日に東京へ戻った。7日以降も各種行事の合間を縫って、チャールズは逓信省航空局で飛行計画の打ち合わせや、霞ケ浦で愛機の点検と試運転など出航準備を進め、アン夫人は博物館の見学や茶道・華道の体験などをして過ごした。

最新技術が搭載された名機

ロッキード・シリウスの開発にはリンドバーグ自身も加わり、彼の要望が細部まで反映された。全長8.38メートル、翼幅13.7メートルの木製モノコック構造で、当時としては珍しい低翼単葉機。P&W社の425馬力空冷9気筒エンジンを搭載し、最大時速282キロ、航続距離1700キロという高性能を誇った。日本の海軍関係者は「わが国は10年以上の遅れがある」とショックを受けたという。

空を行くシリウス機。褐色の翼に紫色の胴体、ジェラルミン製の白いフロートという姿だった

シリウスの整備は水上班第16格納庫で行われ、エンジンや機体の秘密を探る絶好の機会になった。霞ケ浦航空隊の整備員と、同隊内に分社があった中島飛行機の技師らも参加して修理に着手。破損個所の修繕や塗り替えによって見違えるようになり、リンドバーグは日本の整備技術の優秀さに舌を巻いたそうだ。

欧米では1930年代半ばに技術革新が進み、ドイツのメッサーシュミットや英国のスピットファイアなど新鋭機が次々に登場。一方、日本ではその頃もまだ複葉機が全盛で、総金属製の低翼単葉機というと海軍では1936(昭和11)年の九六式艦上戦闘機、陸軍では1937(昭和12)年の九七式戦闘機が最初。その後は陸軍の「隼」や海軍の「零戦」が世界を驚かせることになる。

アン夫人が見た日本の宴席

再び9月12日に話を戻す。霞月楼での歓送会の詳細は不明だが、根室で初めて受けた日本式接待の様子をアン夫人が手記に残しており、土浦でも同様の印象だったかと思われる。

「畳の敷いてある大きな部屋にロの字型に座布団が置かれ、チャールズは光栄な場所にあたる床の間の前に座りました。一人一人に小さなお膳が運ばれ、そこにはいろいろな大きさと形のお皿が載せられ、20枚以上の違ったお皿があったと思いますが、どれも私が見たことのないものでした。その後、華やかに装った芸者たちがお酌をして踊りを舞い、臨席の人たちを楽しませました。不思議なポーズをとる舞踏で、顔は人形のようで表情がなく、足でステップを踏むというよりは、どちらかというと手と長い着物の裾で踊るのです。ゆっくりとした短調の歌に調子を合わせた、とても美しいもので、両手の指は絶対に開きませんので、単純な仕草でも気が散ることはありません。鳥が飛ぶ時のように、敏捷で真っ直ぐな動きです」(アン・モロー・リンドバーグ著「輝く時、失意の時」より抜粋・構成)

夫妻は霞月楼で1泊し、9月13日午後0時21分霞ケ浦を離水、大阪市の木津川飛行場に着水後京都に入り、14日から16日まで京都・奈良を堪能。17日に大阪から福岡市の名島水上飛行場へ移動し、19日朝に福岡から中国南京へ向けて飛び立った。

佳日の思い出はそのままに

霞ケ浦にて愛機を背に記念写真

1970(昭和45)年の大阪万博ではシリウスがアメリカ館に展示され、来日していたリンドバーグが当時10歳の浩宮徳仁親王(今上天皇)を操縦席へ案内した。シリウスは現在、ワシントンDCのスミソニアン国立航空宇宙博物館に、スピリット・オブ・セントルイス号などと一緒に展示されている。

晩年の夫妻はハワイのマウイ島に住み、チャールズは1974(昭和49)年に72歳で死去。アンは2001(平成13)年にバーモント州パサンプシックで94歳の天寿を全うした。

霞月楼では1989(平成元)年の創業100年祭に際し、アンを式典に招待するべくマウイ島に訪ねた。彼女は「当時のことはよく覚えている。私の最も幸せな時期だった。だが式典には行かない。思い出はあのときのまま、自分の心の中に置いておきたい」と話したという。

●取材協力・参考資料
陸上自衛隊武器学校▽陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地▽土浦市立博物館▽ジョイス・ミルトン「リンドバーグ」(中村妙子訳、1994年、筑摩書房)▽アン・モロー・リンドバーグ「輝く時、失意の時」(中川経子訳、1997年、三好企画)▽アン・モロー・リンドバーグ「翼よ、北に」(中村妙子訳、2002年、みすず書房)▽「霞月楼百年」(1988年、霞月楼)▽東京朝日新聞、讀賣新聞、いはらき各1931年8月26日~9月19日付▽夕刊フジ1974年8月30日付▽ウィキペディア

シリーズ協賛 土浦ロータリークラブ 土浦中央ロータリークラブ

《令和楽学ラボ》10 リンゴ狩に行こう 茨城は南限産地

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水戸市木葉下のりんご園

【コラム・川上美智子】リンゴの生産量のランキングをみると、青森、長野、岩手、山形、福島などの市町村が上位を占め、100位以内に茨城の市町村は入っていません。平均気温10度前後の冷涼な気候を好むリンゴにとり、茨城は南限に位置するので、商業ベースに乗りにくいのであろうと思われます。

茨城では、大子町がリンゴの主産地として有名ですが、日立市、水戸市、石岡市、城里町などでもおいしいリンゴが生産され、観光リンゴ園では手軽にリンゴ狩を楽しむことができます。

リンゴの品種改良が世界一の日本では、本当に多くの品種が栽培されていますが、現在の品種の主流は、「ふじ」「つがる」「王林(おうりん)」「ジョナゴールド」です。子どものころに食べた「国光(こっこう)」や「紅玉(こうぎょく)」は、料理に使いたいと思ってもなかなか手に入れることができません。

先日、蜜が多いことで「幻のりんご」として人気上昇中の「高徳(こうとく)」を食する機会がありました。大子ではこのリンゴを木で完熟させ「奥久慈りんご」として販売しています。実は固めですが、リンゴ本来の甘い香りをもち、甘味も強く感じられました。

この甘い蜜の正体は、ソルビトールという糖アルコールです。リンゴは、葉で光合成の作用で作られたでんぷんをソルビトールに転換して、果実に転流(運ぶ)させる性質があります。運ばれたソルビトールは、果実の中でブドウ糖や果糖に変えられ細胞内に蓄積し、甘さを増して行きます。

完熟のころには、ブドウ糖や果糖が飽和状態になり、芯の部分にソルビトールが蜜となって残ります。そのため、葉がたくさんついた木ほど、蜜がよく入ると言われています。

茨城のリンゴは隠れたブランド品

このソルビトールは、リンゴの機能性成分の一つです。ソルビトールのような糖アルコールには吸熱作用があるので、口に入れたときに冷涼感が感じられます。また、ブドウ糖などの糖分に比べ、腸内で吸収されにくいので血糖値を上げにくく、糖尿病予防効果があります。さらに、リンゴの果実や果皮に含まれる水溶性食物繊維のペクチンは、腸内の善玉菌を増やし、血清コレステロールを抑制します。

また、褐変(かっぺん)の要因物質であるカテコールやエピカテキンなどのポリフェノールは、強い抗酸化活性をもち、がん予防や老化防止が期待されます。英ウエールズのことわざ「An apple a day keeps the doctor away(1日1個のリンゴは医者を遠ざける)」に合点です。

大学の研究室で、大子産の完熟ふじと青森産のふじの香りを比較分析したことがありました。

大子産のふじは酢酸ブチル(butyl acetate)や酢酸イソバレル(2-methylbutyl acetate、3-methylbutyl acetate)、酢酸ヘキシル(hexyl acetate)などの甘いリンゴ臭をもつエステル類とフレッシュな青臭もつ(E)-2-hexenyl acetateや青葉アルデヒド((E)-2-hexenal)が数倍含まれていることがわかりました。茨城のリンゴは、実は隠れたブランド品なのです。(茨城キリスト教大学名誉教授)

※高徳:青森で1985年に品種登録されたリンゴ。青森では「こみつ」と命名し販売

《宍塚の里山》71 コロナ禍で野外活動参加者が急増

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子ども田んぼ 三密状態の「かかし」

【コラム・及川ひろみ】新型コロナ感染がまた広がっている。春ごろから、秋~冬には再拡大が心配と言われていたが、いきなり起こった拡大。私たちの会の活動に参加している会員も濃厚接触者になり、近隣施設でも感染者が出たそうで、コロナ禍が身近に迫っている。今回は、里山で何が起こり、会はどのように対応したのか、まとめてみた。

3~6月、全国の小中高が休校になり、保育施設なども休園した。そのころから、里山にやって来る人が急増。散策、写生、釣りを楽しむ親子が増えた。と言っても程よい程度で、その姿から、日ごろ「ゆっくり」「のびのび」することに飢えている人が多いように感じた。

会の活動は野外が主で、「三密」を心配するようなことは少ない。しかしコロナ禍で、月例テーマ観察会などに参加する親子が急増し、危険な状態になった。そこで、参加希望者は会のホームページから申し込んでもらい、参加人数を制限した。その際、在学校をまんべんなく選び、初参加者を優先した。活動人数は、スタッフを含め40人ほどに抑えている。

収穫祭など大イベントは中止

「大池の魚の観察会」には250人以上の申し込みがあり、自然体験欲求が強いことを感じた。多田多恵子さんを講師に依頼した「実と種観察会」では、「植物のたくさんの秘密を、実物を見ながら学べるなんて、なんて幸せなんだろう」との感想も寄せられた。

今年は特に、「田んぼの学校」(年間を通して田んぼに関する親子の活動)も参加者が増えた。三密にならないように、田植え、稲刈り、かかし作りも複数回ずつ行った。参加する親子に、モノの本質を見て考えてもらう活動の大切さを感じた。

散策路や雑木林の管理などの活動では、誰でもが楽しめる里山になってきたと、うれしそうに語る地元の人にも出会えた。とはいえ、コロナ禍の活動は神経を使う。コロナ注意パネルを掲示し、注意喚起を徹底させた。

今年は、収穫祭などの大きなイベント、企業との協働活動、法政大学グループの活動などは中止。この状態がいつまで続くのか。遠方からやって来た大勢の人との再会はいつのことか。(宍塚の自然と歴史の会 元代表)

土浦・つくばなど8市町 不要不急の外出自粛、深夜営業自粛を要請

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの感染状況が県南部などで深刻化しているとして、大井川和彦知事は27日、土浦、つくばなど8市町を感染拡大市町とし、8市町の住民に対し12月13日まで不要不急の外出自粛を要請するほか、酒類を提供する飲食店などに夜10時以降の営業自粛を要請すると発表した。

8市町は、土浦、つくば市のほか、つくばみらい、牛久、取手、かすみがうら市、阿見、境町。

特に土浦、つくばみらい市、境町の3市町は、直近1週間の人口1万人当たりの新規感染者数が、土浦市4.27人、つくばみらい市5.88人、境町4.98人と、2.5人を大きく上回り、国の指標で、爆発的な感染拡大が起き医療提供体制が機能不全に陥ることを避けるための対応が必要な「ステージⅣ」に相当する状況だとした。

つくば市など5市町は、同1.5人を超え、国の指標で、感染者数が急増し医療提供体制に支障が出ることを避けるための対応が必要な「ステージⅢ」に相当するとした。5市町の同新規感染者数はつくば市2.30人、かすみがうら市1.98人、阿見町2.09人、牛久市2.48、取手市1.73人。

県全体でも直近1週間の新規感染者は人口1万人当たり1.04人となり、千葉県を上回った。新規感染者数が集中している県南が県全体を押し上げた形だ。11月以降の新規感染者の感染経路は、家庭内などが30%、職場が29%、会食が23%、他県で感染が13%。

病床稼働率は現在52%に上っている。冬場は心疾患などが増える傾向にある中、病床がひっ迫しているとした。一方、県南を中心に、コロナ患者用の病床を現在の316床(重症者用44床)から12月中旬までには416床(重症57床)に増やす。

大井川知事は「茨城県の感染状況は危機的状況に突入している。今行動を変えないと医療体制が大変な状況になってしまう。今行動を変えて未来を守ることが必要」だと強調し、国の指標でステージⅢ以上に相当する市町村で対策を実施するとした。

8市町の住民に対しては、28日から12月13日までの16日間、不要不急の外出自粛を要請する。

さらに8市町の居酒屋、カラオケ店、スナック、バーなど酒類を提供する飲食店と接待を伴う飲食店には、30日から12月13日までの14日間、夜10時から朝5時までの営業自粛を要請する。協力店には県が1店当たり28万円(1日2万円)を支給する。対象は8市町で約1500店になるという。

深刻な状況に至った原因について大井川知事は「土浦でクラスターが発生し、夜の街で感染した後の広がり方が今までに例がないほど大きかった」とし「繁華街での飲食などを通じて感染が拡大している。第1波、第2波のときよりもスピードが速過ぎて数が減らない」などと話した。その上でマスクの着用、換気の徹底など感染防止対策を改めて呼び掛けた。

土浦 水郷イルミ点灯延期、つくばセンター広場 ソトカフェ休止

知事の発表を受けて土浦市は28日から12月13日まで、入浴施設などがある老人福祉センターなど5館(湖畔荘、つわぶき、うらら、ながみね、新治総合福祉センター)を休館にする。さらに28日に予定されていた水郷桜イルミネーションの点灯を12月14日まで延期する。28日、市役所前うらら大屋根広場で開催予定だった「コロナ禍における今後の飲食店等の営業のあり方」にかかわる勉強会も開催を延期する。現時点で開催日時は未定。

つくば市は、つくば駅前のつくばセンター広場にテーブルやいす、ソファーを並べ、屋台を出店する「ソトカフェ」を28日から12月13日まで休止する。つくばセンター広場のリニューアルに関し、BiViつくば2階イベントスペースで開く予定だったオープンハウスも開催期間を変更する。同オープンハウスの開催期間は未定。

市役所のクラスター発生を謝罪 安藤土浦市長

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会見する安藤真理子土浦市長=27日、同市役所

【鈴木宏子】土浦市、安藤真理子市長の定例会見が27日、同市役所で開かれた。市役所で新型コロナウイルスのクラスターが発生したことに対し改めて謝罪し、「市役所は市民の安全と安心を守るため、感染対策の模範となるべき立場であるにもかかわらず、このような事態を招いてしまい深く反省している」「一部窓口閉鎖など市民に迷惑と心配を掛け、心からお詫びします」などと述べた。

同市役所では本庁舎職員約680人全員がPCR検査を受け、25日までに本庁職員20人と消防本部職員1人の計21人の職員の感染が確認されている。その後27日までの新たな感染者はいない。

会見では、なぜ市役所内で感染が広がったのかについて、一端が明かされた。6日に桜町の飲食店で計6人で会食後、最初に発症した職員は、翌7日から症状が出て、週明けの9~11日の3日間は勤務を休んだ。しかし熱はあったが症状が軽かったことから、12日に出勤してしまったことが感染拡大につながったという。この職員は翌13日に再び休み、14日にPCR検査を受けて15日、感染が分かった。12日の出勤については、課長もコロナかもしれないという疑いを持たず、出勤を承認してしまったという。

6日に一緒に会食をした別の課の職員も、症状があったことから9~11日の3日間休んだ。10日に掛かり付け医を受診したところ、季節性のかぜだと言われたことなどから、12日に出勤した。13日から再び休み、15日、PCR検査を受け、感染が分かった。

市では現在、市職員と産業医などで構成する安全衛生委員会が、感染が拡大した原因などを検証し、職員間の感染拡大防止策や職場の環境整備をなど改めて検討している。かぜの症状であってもコロナの疑いが少しでもあれば、所属長が勤務を承認しないなどの基準をとりまとめて、近く市長に提言する予定だという。

安藤市長は「会食した6人は(感染拡大防止策をとっている)アマビエちゃん登録店でなかった店に行ってしまった。これまで感染者が出ていなかったので緩みがあった。今回のことで市役所皆が危機感を持っている。この危機感をずっと持ち続けることが大事」だと話した。職員の感染が分かった16日、同市は市職員同士の会食自粛を要請していたが、27日からは当面の間、職員同士の会食を禁止するという。

一方、現在、窓口を閉鎖している4階はこれまで以上の感染対策を講じた上で、予定通り12月1日から開庁する方向。

市内は感染爆発懸念状況続く

安藤市長はさらに市内の状況について、市内では桜町1、2丁目、神立中央2丁目の飲食店のほか、障害者福祉施設などでクラスターが発生し、感染爆発が懸念される状況が続いているとした。

桜町1、2丁目の飲食店を対象に県が実施しているPCR集中検査は26日までに1058人が受け付けし、964人が検体を採取、26人が陽性で、938人が陰性だった。

桜町では接待を伴う飲食店で36店で構成する桜町飲食業振興協議会が17日から自主休業し、現在、自主休業している飲食店は50店以上に増えているという。

一方、障害者施設でクラスターが発生したなど市内で感染が急拡大している受けて、県は11月下旬から、高齢者と障害者が利用している同市内の福祉施設65カ所の従事者約1800人を対象に抗原検査を実施している。対象は特別養護老人ホーム20カ所、介護老人保健施設7カ所、有料老人ホーム14カ所、障害者支援施設4カ所、サービス付き高齢者向け住宅20カ所で働くスタッフらが対象。1日600件検査でき、結果も約1日で判明する。

《ひょうたんの眼》32 コロナ感染対策 今の選択肢

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【コラム・高橋恵一】冬季のインフルエンザ流行と重なると恐れられていた第3波の新型コロナ感染拡大の様相があらわになって来た。欧米や東アジアでの再感染拡大と軌を一にしており、さらに本格的な対策が必要である。しかし驚くべきことに、今日に至っても我が国の検査体制、医療体制の不足が報告され、従事者は極限に達している。

新型コロナ感染の情報を察知したのが1月。一斉休校や緊急事態宣言などを経ながら、5月中旬になると、医学的にも、論理的にも、有効な対策の方向も見いだせず、右往左往しているうちに、運よく落ち着いた。当然、次の感染拡大に向けて、医療体制、感染防止対策の万全を期すことと、感染拡大によって引き起こされた収入減と雇用崩壊の救済策が最重点策であった。

一方、経済対策としてGoToキャンペーンを推進し、観光や飲食業界へのテコ入れ、人々の消費マインドの振興のための補助金の給付、ポイント還元などの実質的値引き支援などが実施されているが、何よりも、コロナ感染の恐怖と不自由を抱えたままで経済活動が回復するとは思えない。

もともと、我が国の経済不振は、コロナショックで始まったわけではない。1990年代のバブル崩壊後、不況が繰り返され、失われた20年を取り返すとしてアベノミクスを推進したが、効果が無く、失われた30年へまい進している。個人消費が回復しないのだ。税の優遇策はなどで大企業の業績を上げれば、トリクルダウンして広く個人所得も増大するなどというのは、妄想だということが明らかになった。むしろ、個人所得の格差は拡大するばかりだ。

医療体制を立て直し国民生活の安定を図れ

多くの分野でIT化デジタル化が進み、業務の効率化が図られたが、その成果は、労働時間の短縮、休暇の拡大など労働環境の改善に向けず、雇用人員の削減につなげてしまった。公務員の世界でも、アウトソーシングの拡大により正規職員を削減した。働き方改革などの掛け声の下で、これらの流れが非正規職員の拡大、不安定な雇用の拡大になり、この点でも低所得層が増えてしまった。

また、高齢化社会の進展により増額が当然なのに、社会保障負担の抑制を図り、医療介護費の増額を抑えた結果、その分野に働く人たちの賃金を低水準にしてしまい、慢性的な人手不足が続いている。

個人消費を改善するには、低所得層の所得、賃金を上げることだ。医療も介護も政府が従事者の給与額をコントロールできる職種であり、年金や生活保護費、雇用保険の拡充なども政府が決定できるのだ。ベーシックインカムも検討する。もともと足りない所得層にカネが回れば、消費にまわる率が高く、経済の好循環が実現するのだ。

コロナ感染の中で、エッセンシャルワーカーの頑張りを称賛したりしても、賃金などの改善が無ければ、長続きしない。長期的な格差社会の是正を目標に置きながら、医療体制を立て直し、国民の生活の安定を図ることが、新型コロナ感染の現状で選択すべき道であろう。(地図好きの土浦人)

【追悼】取手二、常総学院で甲子園V3 名将・木内幸男さん

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生前の木内幸男さん、小学生のファンに書いたサインは「一球入魂」

【伊達康】高校野球の監督として取手二高で夏1度、常総学院で春1度・夏1度の甲子園優勝を飾った名将・木内幸男さんが24日午後7時ごろ、肺がんのため取手市内の病院で亡くなった。89歳だった。

甲子園では取手二高で春2回、夏4回の出場で8勝5敗(優勝1回)、1984年秋に常総学院に移ってからは春5回、夏11回の出場で32勝14敗(優勝2回・準優勝2回)と歴代7位の通算40勝を挙げた。なお、異なる2校を甲子園優勝に導いた監督は、原貢さん(三池工、東海大相模)、上甲正典さん(宇和島東、済美)、木内さんの3人しかいない。いずれも故人となった。

今でも伝説のように語り継がれるのは1984年に取手二高を率いて県勢初の甲子園優勝に導いた決勝戦だ。当時最強といわれた桑田真澄、清原和博を擁したPL学園に、決勝戦で延長戦の末8対4で勝利。甲子園で躍動するスカイブルーのユニフォームに全国の高校野球ファンが魅了され、勝利監督インタビューのユニークな受け答えと相まって木内幸男の名前は瞬く間に全国区となった。その後、常総学院を全国区の名門校に育て上げた手腕はいわずと知れたところである。

これほどの名将でありながら、初めて甲子園で指揮を執ったのが46歳のときだというから驚きだ。取手二高の監督に就任して20年後にようやくつかんだ甲子園であった。そこから80歳の常総学院第2期木内政権の終了まで34年もの間、甲子園での勝ち星を積み重ねていった。

常総学院はここ3年間、甲子園から遠ざかっていたが、元プロの島田直也新監督のもと先日の関東大会で準優勝、来年春のセンバツ出場を確実とした。木内さんも久しぶりの出場を楽しみにしていただろう。また、25日東京ドームで行われた都市対抗野球では、常総学院時代の1年夏まで木内さんの教えを受けた飯田晴海投手(日本製鉄鹿島)が先発登板した。惜しくも3回で降板となったが、マウンドに歩み寄り交代を告げたのは取手二高V戦士・中島彰一監督であった。さらにプロの世界では仁志敏久が今秋から横浜DeNAベイスターズの2軍監督に就任。金子誠が日本ハム一軍野手総合コーチを務める。木内チルドレンが今もなお指導者や選手として野球界を賑わせている。

最後にご本人から伺ったエピソードを一つ紹介したい。「土浦市営球場(現・J:COMスタジアム土浦)で第1号ホームランを打ったのは俺なんだかんな」と木内さん。もう60年以上前のことで本人の証言以外に証明できるものはないが、きっとそうであって欲しい。

1984年の甲子(きのえね)の年に甲子園で優勝を果たし、奇しくも89歳(やきゅう)で鬼籍に入られた木内さん。高校野球ファンはあなたのことを忘れません。感動と熱狂をありがとうございました。天国で安らかにお眠りください。

《遊民通信》5 これでいいのだ―罪の意識とカタルシス

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【コラム・田口哲郎】
前略

日本人には罪の意識がないと言われます。しかし一体なぜこんなことが言われるのでしょう? 自分たちが悪いと思っていないから、日本人は過去の過ちを認めず、心のこもった謝罪をしないと言いたいのではありません。罪の意識というときに焦点になるのは、日本人と西洋人との違いについてです。西洋人というのは古い言い方ですが、キリスト教圏の欧米人という意味です。さて、西洋人と比べたときに日本人に罪の意識がない、と言うことができると思います。

罪の意識とはなんでしょうか? キリスト教には原罪という考え方があります。人間は生まれながらにして罪を負っているという思想です。禁断の果実を食べたことで神の怒りを買い、エデンの楽園からアダムとイブが追放されました。以来、人間には死が与えられ、食うために労働しなければならなくなりました。

これは創世神話に過ぎないと言われるかもしれません。でも、アダムとイブの過ちにまでさかのぼらなくても、人間は生きていれば大なり小なり罪を犯します。夏目漱石の『こころ』の「先生」は、労働不要の遊民でしたが、横恋慕(よこれんぼ)と略奪愛のせいで親友Kを自殺させてしまったという罪の意識によって自死に追い込まれます。

罪意識がいかに人間を不安にさせるかが分かります。罪の意識は人間が生きている限りつきまとう、どうしようもない不安なのです。この厄介な不安は現代社会にもまん延し、大勢の人がうつ病に苦しんでいます。

罪の意識とキリスト教

西洋人は原罪と二千年以上も付き合ってきました。キリスト教は、人間の原罪をキリストが代わりに背負ってくれたと考えます。キリストの犠牲のおかげで、人間は神と和解し、原罪から解放される、と。これは贖罪(しょくざい)思想と言われるものです。贖罪思想という強烈な浄化装置を西洋人は持っていることになります。

「これでいいのか?」を「これでいいのだ」にするカタルシスです。ニーチェの言う超人(強く生きる人)になる秘訣です。

人生の始まりから罪を背負っているなんて日本人は考えもしませんでした。西洋人のやり方を無理してまねる必要はありません。しかし、西洋人の方法論を知ることは、コロナ禍を生き抜くヒントになると思います。

アフターコロナの新様式社会では、社会のITC(情報通信技術)化が急激に進展し、個々人が主体的に選択をすることが求められるでしょう。自由である分、不安も増大します。選択が成功することもあれば、失敗することもあります。罪の意識に苛まれるかもしれません。そのときこそ罪を浄化するカタルシスは大いに役立つと思います。

自分は悪くないと開き直れと言っているのではもちろんありません。たとえ自分に都合の悪い状況でも、目をそらさないことです。そして、苦しみや悲しみが自分の罪に対する罰などではないと悟ることが大切です。それでは、ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

つくば市職員2人が新型コロナ感染

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つくば市役所

つくば市は25日、同市の公立保育所職員と、し尿処理施設職員の2人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。

市幼児保育課によると、保育所職員はすでに感染が判明した陽性者の濃厚接触者で、PCR検査を実施し、24日陽性が分かった。現在、本人に症状はないという。保育所の職員や子供たちなどに濃厚接触者はいないが、念のため25日と26日の2日間、保育所を休所とし消毒作業を実施する。

一方、市サステナスクエア管理課によると、し尿処理施設職員は、同市菅間のサステナスクエア南分所の50代男性職員。数日前から発熱があり、23日から入院している。入院時にPCR検査を実施したところ、感染が分かった。職場には男性職員を含め計5人が勤務し、男性職員は20日まで出勤していることから、同じ職場の4人も26日以降、PCR検査を実施する。男性職員は事務職のため、し尿を搬入する業者との接触はないという。同南分所は26日と27日の2日間、休所とし、この間は同市水守のサステナスクエア(ごみ処理施設)で、し尿の搬入を受け付ける。

《県南の食生活》19 保存性が高い野菜カボチャ

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【コラム・古家晴美】少々、先のことになるが、正月までに10日ばかり残すころに、1年のうちで昼が最も短くなる「冬至」がやって来る。このときにカボチャを食べてきた地域は多い。カボチャを粥(かゆ、岩手県)や小豆汁(あずきじる、鳥取県)に入れる所もあるが、多くの地方では、砂糖や醤油を加え甘く煮たものを、この日に食べると中風にならないと言われている。茨城県内でも、同様の慣習は広く見られる。

カボチャはアメリカ大陸原産のウリ科の植物だが、16世紀にポルトガル船によってカンボジア経由で日本にもたらされたことから、この名がつけられた。

その野菜がどこで中風と結びつくのか明確な証拠はない。一つの可能性として考えられることは、冬至に食べられる自家用国産カボチャは、ある程度、季節外れの希少性を帯びていたという点だ。夏~初秋に主に収穫され、2~3カ月とっておくことができる保存性が高い野菜だ。

しかし、さすがに12月半ば過ぎとなると、寒冷地域では5個のうち1~2個が腐っていなければよい方で、納屋の隅に転がっているものを持って来て冬至に煮て食べた、との記録も散見される。

旬をうろ覚えの現代人にとって、旬を外した農作物の価値というのは実感が湧いてこないかもしれないが、24節気に当たる「冬至」の季節の変わり目に、カワリモノを食べるということは、新たな力を得るとともに厄払いの意味があったのかもしれない。

瓢箪から駒の「江戸崎かぼちゃ」

ところで、県南で「カボチャ」と言えば、「江戸崎かぼちゃ」を思い浮かべる方も多いかもしれない。江戸崎(現稲敷市)で出荷用のカボチャを生産し始めたのは、昭和40年代のことだ。

「江戸崎かぼちゃ」誕生には一つのエピソードがある。昭和44~45年ごろ、複数産地からのカボチャの出荷が重なり、値崩れの可能性があった。そこで、江戸崎では、これを避けるため、通常、着果後45日で収穫し1週間追熟させて出荷していたものを、50日くらいまで先延ばしに完熟させてから収穫した。

まさに「瓢箪(ひょうたん)から駒」で、これを食べてみたら、甘くておいしいカボチャになっていることが判明。それから約5年かけて、着果後55日の数字を割り出したという。「江戸崎かぼちゃ」は現在、厳しい基準をクリアし、地理的表示保護制度(GI)に登録され、ブランドを確立した茨城県自慢の一品だ。

今年の冬至は、奮発して「江戸崎かぼちゃ」を買って、中風除けとともにコロナの厄払いをしてしまおうか。(筑波学院大学教授)

文化に触れたらお茶しない? 土浦で「@カフェ」始まる

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「@カフェ」のきっかけとなったカフェ胡桃=土浦市中央

【伊藤悦子】土浦市の文化施設と市内カフェのコラボ「@(あと)カフェ」が12月1日から始まる。市立博物館(同市中央)、上高津貝塚ふるさと歴史の広場(同市上高津)、市民ギャラリー(同市大和町)を利用したあと、チケット半券など入館証明を持って協賛の喫茶店やカフェに行くと、各店のオリジナルサービスが受けられる。

NPO法人まちづくり活性化土浦(同市中央、大山直樹理事長)が企画した。好きなドリンク50円引きや、1000円以上の利用で10パーセントオフなどのサービスが用意されている。

各種サービス提供に17店参加

土浦市立博物館
土浦市立博物館入館料は一般105円、小中高生50円

企画の原案を考えたのは、カフェ胡桃(くるみ、同市中央)の店主石島良修さん(40)。土浦で生まれ育った石島さんは、子供のころ博物館でよく遊んだという。「当時は50円で入館できたのでしょっちゅう行っていた。館内ではクイズなどがあって本当に楽しかった。年を重ね、何か恩返しがしたいと思っていた」

石島さんは「建物も立派で展示もよいものばかり。たくさんの人に行ってほしい」との思いから、博物館に行った人にお店でサービスしたいと考えた。

そこで、同法人事務局長の小林まゆみさんに相談、賛同した小林さんが市に打診したところ、快諾を得、上高津ふるさと歴史の広場、市民ギャラリーも企画に加わった。キララちゃんバス運営の同法人が協賛店を募り、運行ルートの沿線を中心に17店から参加を取り付けた。

石島さんは「17店も参加してくれたと知って驚きうれしかった」という。「新型コロナ感染対策はアルコール消毒や密にならない対策など、どのカフェもしっかり行っている。土浦の文化に触れたあとはカフェでゆっくりしてもらえれば」と参加を呼び掛けた

@カフェ実施は12月1日から22年3月31日まで。サービス内容は店舗によって異なる。博物館・上高津ふるさと歴史の広場、市民ギャラリーのチケットなど入館証明が必要。利用日から1カ月以内のチケットが利用できる。協賛店は随時募集している。

11月21日現在の協賛店は次の通り(順不同)

▽カフェ胡桃(中央1-14-4)▽城藤茶店(中央2-15-8)▽カフェ・ドゥ・ランクル(中央1-12-15)▽ヴェルデ(桜町3-14-16)▽未来氷カフェ(大和町3-18)▽和風カフェしゅしゅ(大和町9-1)▽タリーズコーヒー(有明町1-30プレイアトレ土浦1階)▽ナナイロイートアットホーム(有明町1-30プレイアトレ土浦2階)▽スロージェットコーヒー(有明町1-30プレイアトレ土浦3階)▽パルケ(生田町5-17)▽ニコニコ珈琲(下高津1-21-50-103)▽コーヒーハウスアモル(大岩田1771-1)▽洋食キッチンツカダ(上高津916-1)▽おうちカフェ Try Try Try(トライトライトライ)(桜ケ丘町13-3)▽ニューシャルム(真鍋新町18-13ピアタウン内)▽カフェ&スタジオマナ(千束町9-3)▽喫茶ロータス(蓮河原新町13-24)

問い合わせは、まちづくり活性化土浦(電話029-826-1771)

《続・平熱日記》75 画家の目「老眼思考」

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【コラム・斉藤裕之】自分の絵が掛かっている以外何もないギャラリーでじっとしているのは正直耐えられない。しかし有難いことに、このギャラリーはカフェに併設されている。いつものカウンター席でコーヒーを飲みながら客人を待つことができる。

平熱日記展も終盤にさしかかったころ、「若い女性がいらしてますよ」とオーナーに耳打ちされた。はて、若い女性に知り合いはいない。なにせ、日ごろ付き合う女性はおおむね16歳以下か50歳以上なのだから。それでも、もしかしたら知り合いかもしれないと声をかけてみた。

やはりはじめてお目にかかる。聞けば、ご自身は日本画をお描きになるそうで、私の絵はネットで知ったとか。ほぼ娘と同じ年ごろで、電車に乗ってやってきたとのこと。絵についてご質問を受けたが、「肩の力が抜けていてとてもいいですね」と褒められた。「はあ、なにせ平熱日記というぐらいですから…」。

時を同じくして、もうひとりの女性が入ってきた。知り合いの絵描きさんだ。私が小さな絵を描くからだろうか、最近目が悪くなったという話になった。

「私なんかほぼぼんやりした世界で暮らしていますが、それはそれでいいと思っているんですよ」。事実、老眼のせいで新聞以外の文字は読まなくなったし、視力も多分衰えているので、若いころのように鮮明な世界にはいない。だから、たまに老眼鏡でテレビの画面に目をやると、映っている人の歯茎さえも鮮明に見えてドキッとしてしまう。

だが、実は見える世界だけではなく色んなことがぼんやりしていて、世間が私から遠ざかっていくようだ。

例えばテレビの中の人の名前もわからない。新聞の広告チラシもわが身にほとんど関係ない。野球やサッカーの勝敗も気にならないし、はやりの歌も右から左へ流れていく。実はそれが妙に心地よい。「老荘思想」ではないが、私の「老眼思考」である。

あっけらかんとした絵

私の故郷の絵描きさんで松田正平という人がいる。山口県の瀬戸内海に住まわれて、周防灘をテーマに絵を描かれ、ずいぶんと長生きをされた。お目にかかったことはなかったが、それこそ、これ以上力の抜けた絵を描く人がいるだろうかと思うほど達観した絵を描かれる。

あるとき、大学の尊敬する先生が松田正平さんの絵を褒められたのを覚えていて、私もいつかこのぐらいあっけらかんとした絵を描きたいと思ったことがある。

絵はある意味で、画家の眼を通した世界であるともいえる。その世界観を共有できたとき、つまりそれがリアリティというものだ。

「また発表されることがありましたらご案内ください」。そう言って若い女性は出て行った。「もちろんです」。われながら弾んだ声で答えてしまった。マスクをしていたということもあって、すでに彼女の顔はぼんやりとしか覚えていないが…。(画家)

つくばFCレディース、なでしこリーグ2部に加入の方針

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試合終了後に観客に向けてあいさつする、つくばFCの石川慎之助代表=22日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアム

【崎山勝功】女子サッカー、つくばFCレディース(事務局・つくば市稲岡)の石川慎之助代表は22日、なでしこチャレンジリーグEAST(イースト)の今季最終戦を終えての観客あいさつで、来年秋から発足する女子プロサッカーリーグ「WE(ウィー)リーグ」参戦をめざし、まずは全国リーグのなでしこ2部リーグに加入する方針を示した。

現在は3部相当のチャレンジリーグ所属のつくばだが、WEリーグのスタートに伴うリーグ再編で、「希望すれば、なでしこ2部には上がれる」(石川代表)状況という。取材に石川代表は、なでしこ2部入りには「改めて年会費と入会金が必要。リーグの年会費がトータルで1000万円ほど増える。それをどうねん出していくかがクラブの課題になる」と語った。

WEリーグは、2021年秋から参加11チームで発足する女子プロサッカーリーグ。日本の女子サッカー界ではこれまで、アマチュアリーグのなでしこ1部リーグが最高峰扱いだったが、WEリーグがなでしこリーグの上位に位置付けられる。

10月15日時点で、WEリーグにはなでしこ1部リーグ所属の日テレ・東京ヴェルディベレーザ(東京都)など計11チームの参入が承認された。これに伴いなでしこリーグは、これまでの「1部・2部・チャレンジリーグ」から、1部・2部に再編される案が出ており、加盟チームの大幅な入れ替えが起きると予想されている。

ホームゲーム最終戦は0-4で完敗 リーグ5位

つくばFCレディースは22日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムでホームゲーム最終戦に臨み、静岡SSUアスレジーナ(静岡県)に0―4で完敗した。最終節の第10節を終え、同レディースの通算成績は1勝4分5敗で、同リーグ参加6チーム中5位が確定した。

【つくば―静岡】後半45分、最後まで静岡陣地内で競り合う、つくばFCレディースのMF藤井志保(青色ユニホーム)=同

つくばは前半18分、静岡に先制点を許した。MF岸川りなが相手陣地に切り込むも堅守に阻まれ、同41分には静岡に2点目を奪われた。

後半も10分と同22分に静岡に得点を決められ点差が広がった。主将のMF菊地さやか、ゲームキャプテンのMF藤井志保、MF廣田愛たちが果敢に攻め上がったが得点には至らず、ホームゲーム最終戦は0-4の完敗で終わった。

試合後、菊地主将は「ホーム戦で勝利が無かったので勝ちにいくぞと、まとまっていたと思う。相手の方がゲームを支配していたし、私たちも反省する余地がある」と試合を振り返った。

小山勇気監督は約110人の観客を前に「本当にこの1年間応援してくださり、ありがとうございました」と感謝の意を示した。

コロナ禍に見舞われた今シーズンの試合運営について、石川代表は「選手が不安の中、シーズンを通してコロナを気にしながら試合をやっていた。病院勤務の選手もいるし大変な状況の選手もいた」と困難だった状況を振り返った。

《邑から日本を見る》76 いきなり権力者が出てきた

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常陸農協瓜連支店でのそば打ち講習会

【コラム千尋前回取り上げた日本学術会議の任命拒否問題。初めは「総合的、俯瞰(ふかん)的に判断した。6人を外したのは人事のことだからその理由は言えない」と木で鼻をくくったような、説明にならない説明を続けてきた菅総理。だが国会の論戦などで少しずつ化けの皮がはがれてきた。

10月26日の国会開会の日、菅総理はNHKの「ニュースウオッチ9」に生出演した。その終わり際に、「説明できることとできないことがある」とキャスターをにらみつけた。翌日、内閣広報官からNHK報道局に「総理、怒っていますよ。あんなに突っ込むなんて、事前の打ち合わせと違う」という電話がかかってきたという(『週刊現代』11月14、21日号)。

前回、「私たちに説明できないことを、総理が自分の判断でやってしまう」ことは恐ろしいことだと書いた。広報官がNHKにクレーム電話をかけたことはもっと恐ろしいことだと思う。異論を許さない空気をつくり、電波を意のままにしようとすることだから。

国会の質疑では、任命拒否の理由を「総合的、俯瞰的な活動を求める」から「多様性が大事」に変わり、さらに日本学術会議は「閉鎖的で既得権益」だとし、支離滅裂、それぞれの答弁はつじつまが合わないことが暴露された。

また政府に、安全保障関連法や特定秘密保護法に対する過去の言動を問題視し、「学術会議内で『反政府』の影響力を行使することを危惧した。学術会議を政府批判の先鋭的な集団にさせてはならない」という考えがあることも報道されている。6人の業績が学術的に劣ると判断したのではなく、政府に楯突くとこういうことになるという見せしめであり、人格の否定でしかない。

作家の保阪正康さんは「明治、大正、昭和にかけて最高権力者が前面に出て学者をパージすることはなかった。これほどわかりやすい形で任命拒否をする中に菅首相の傲岸(ごうがん)さ、市民意識の欠如、すべてが象徴されている」と言っている(『世界』12月号)。「煽動(せんどう)者、攻撃者、威圧者が出てきて、最後に権力者が出るのが普通だが、いきなり権力者が出てしまった。本丸は学術会議潰し」とも語っている(同)。

政府は好き勝手なことをできる!

もう一つ、今回の任命拒否で問題なのは、学術会議から推薦があった者を政府が法律上拒否できるのかということだ。政府はこれまで「形式的な任命を行う」と国会で答弁してきた。今回はそれをひっくり返し、「必ずそうしなければならないというわけではない」と言っている。

解釈は変えていないと言っているのだ。「法律にはこう書いてあるけれど、必ずそうしなければいけないというわけではない」。政府はなんでも好き勝手なことをできる。それは法治国家ではない。過去の政府答弁を覆すのなら、明確で具体的な理由を説明しなければなるまい。

政府が日本学術会議の人事に介入したいのなら、それを可能にする法改正を行えばよい。あのヒトラーですら、「全権委任法」の制定など、形式的には整えていた。法律に書いていない任命拒否の理由を認めてはいけない。元通産官僚の古賀茂明さんは「日本学術会議が犯罪者を会員候補に推薦した場合でも、菅首相は任命を拒否してはならない」と言っている(『週刊朝日』11月20日号)。(元瓜連町長)

夜空を埋めるスカイランタン つくばJC演出のクライマックス

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夜空に舞い上がるスカイランタン=つくば市小田城跡歴史ひろば

【相澤冬樹】クライマックスは最後にやってくる―つくば青年会議所(JC、神田哲志理事長)の「つくばの夜空に輝きを」が22日、つくば市小田の小田城跡歴史ひろばで開かれた。市内全域から集まった100組以上の親子が、思い思いの祈りや願いを込めたスカイランタンを放って、深まる秋の夜空に浮かべた。

イベントは、つくばで初めての企画。参加者が願いや絵画を描き込んだランタンの中に、電飾と風船を仕込んで夜空に放出するスタイルで行われた。風船はヘリウムガス入りだが、手元の紐で結んで会場外へは飛んでいかないようにした。

1月-12月を事業年度とするJCにとって、春先からコロナ禍に見舞われた20年度はつらい展開となった。まつりつくばをはじめとするイベントの中止が相次ぐ一方、善後策を協議しようにも対面での会議や相談もままならない状況。やっと11月になってめぐってきたこのイベントは「最後のチャンス」となった。

感染対策から「密」になりやすい研究学園地区での開催を避け、参加者間の距離がとれる広い会場を探して、同歴史ひろばを選定。開催が決まっても、事前の広報は行えず小学校を通じ親子100組限定で募集をかけるなど慎重に進めた。しかし、応募は1日で所定数に達してしまう反響ぶりだったという。

神田理事長は「こういう機会だからこそ周辺地区での開催に目を向けられたし、親子して1日を楽しむイベントを待望していたことも分かった」と会場で陣頭指揮に当たった。

コロナの終息を願うランタンを作ったつくば市の姉妹=同

22日は午後2時からの開催で、参加者にはマスクと検温を義務付けて入場させた。「コロナ退散」ばかりでなく、「メリークリスマス」も「合格祈願」もありのランタンアート。作り終えると、後は日没を待つだけ。市内から家族5人で来た青木さん一家は「距離を大きくとってランタンづくりをさせてもらえてひとまず安心した。最後まで楽しみたい」という。

そんな会場を盛り上げたのは筑波大学のYOSAKOIソーランサークル「斬桐舞(きりきりまい)」。メンバーが交代でステージを務めた。同サークルも、学園祭やまつりつくばなど市内外のイベントが激減し苦境に立たされた。練習もオンラインで重ねるという試練のなか(9月13日付)、学年最後の出演機会になるかもしれないというイベントで熱演をみせた。

筑波大学のYOSAKOIソーランサークル「斬桐舞」のパフォーマンス=同

日没は午後4時半過ぎ。参加者は次第に増え300人を超す盛況となった。参加者らは列を作って互いの距離を十分にとり、カウントダウンから一斉にランタンを放った。舞い上がったランタンの光は明るさを増し、寄り添うように上空を埋めた。

上弦の月が高みに輝く秋の夜空を見上げ、参加者らは「最後は感動だったね」「このイベントは記憶に残る」などと口にし、コロナ禍からの浮揚を願っていた。

創作紙芝居「花火物語」を初披露 土浦の石原さん、締めは神龍寺で

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「土浦花火物語」を披露する石原さんは「土浦の人の元気と笑顔の応援団」を自任する

【池田充雄】土浦市自慢の花火「全国花火競技大会」を紹介する創作紙芝居が、同市内外を巡回する形で開かれている。21日に土浦駅前うらら大屋根広場で開催のイベントを皮切りに、12月まで4カ所での上演が予定されている。

土浦市の壽(ことぶき)ちんどん宣伝社座長、石原之壽さん(61)による街頭紙芝居活動。21日の子ども広場イベント「つちうら駄菓子屋楽校」のステージでは、マジックや腹話術、ちんどんショーなどが繰り広げられるなか、「土浦花火物語」が初披露された。

土浦が誇る「土浦全国花火競技大会」を紹介する。大会の歴史や概容のほか、見どころになっているワイドスターマイン「土浦花火づくし」や日本3大花火と並び称される新潟・長岡や秋田・大曲の大会との関係など、幅広い内容を会場に集まった親子連れに熱く語りかけた。

作品の構想は以前からあったが、コロナ禍を契機にこの春から本格的に取り組んだ。「今年の花火大会は開催できそうにないなと感じ、だったら自分が紙芝居で打ち上げようと作り始めた。周りを見て自分にできることをするという姿勢をコロナに気付かせてもらった」という。作画の上渕翔さんはじめ、花火鑑賞士の小泉裕司さん、土浦ケーブルテレビの花火中継で解説を務めた湯原洋一さんなど、大勢の大会関係者の協力で完成させた。

つちうら駄菓子屋楽校で、子どもたちを引き連れて練り歩くちんどん隊=21日、土浦市大和町

「今日もコロナの影響で難しさがあったが、大勢の人が来てくれてよかった。今の時代、私たちのような活動が必要ではないかと思う。昭和から平成、令和になりアナログからデジタルへと環境も大きく変わってきた中で、人と人がリアルに出会い、学び楽しむことの重要性を感じている」と石原さん。「私自身も人が集まってくれる喜びが大きくて活動している。土浦の中で楽しさや元気を創造する大きな磁石になりたい」とも話す。

土浦をテーマとした創作紙芝居は「ツェッペリン伯号物語」「カレーフェスティバル物語」に続き3作目。地域に根差した活動を目指している。来夏のお披露目に向け「霞ケ浦物語」にも取り組んでおり、ゆくゆくは予科練(海軍飛行予科練習生)の話なども今の子どもたちやその親の世代に伝えていきたいという。

今後の街頭紙芝居の上演予定は、23日午後1時~午後5時つくばセンター広場(つくば市吾妻)、28日午後1時~午後3時中城通り不動院境内(土浦市中央)と続き、12月12日と13日午後1時~午後3時には「お寺で紙芝居」と題し神龍寺(同市文京町)開催で締めくくる。土浦の花火は、同寺の住職だった故秋元梅峯師の尽力により1925(大正14)年の初開催に漕ぎつけた。いわば発祥の地への里帰りだ。開催予定の詳細はこちらへ。

《食う寝る宇宙》74 野口さん打ち上げ時の宇宙天気は?

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【コラム・玉置晋】11月16日9時27分(日本時間、米東部時間は15日)、野口宇宙飛行士が乗ったスペースX社の新型民間宇宙船「Crew Dragon」が米ケネディ宇宙センターから同社のFalcon 9ロケットで打ち上げられました。10分後には国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)に向かう軌道に投入され、打ち上げ成功となりました。

ちなみに1段目ロケットは海上のドローン船に「着陸」し、再利用されるという凄技も成功させています。その後、Crew Dragonは、27時間かけてISSに接近し、11月17日13時すぎにドッキングに成功しました。

Crew Dragonは、2019年3月に「Crew Dragon Demo-1」という無人テスト飛行(宇宙服を着たダミー人形を搭載)、2020年5月に「Crew Dragon Demo-2」という有人最終テストを成功させました。そして、今回、実運用初号機に野口さんが搭乗しました。このコラム「かっこいい宇宙船の打ち上げ!」(6月5日掲載)でも書きましたが、この宇宙船はとにかくカッコいい。昭和生まれの僕としては、ようやく21世紀がやってきたと、やや興奮気味です。

プロマネは宇宙天気キャスター候補

野口さんの打ち上げ時の宇宙天気はどうだったか? ニュースなどでも全く話題にならず悔しいので、せめて「NEWSつくば」には書かせていただきましょう。

太陽には目立った活動領域(黒点)はなし。太陽フレアなどの爆発現象の発生もなし。地球周辺はどうだったかというと、オーロラ活動は低調で、磁気嵐の発生はなし。「実によい宇宙飛行日和(びより)」でした。メディアのみなさん、宇宙天気も注目しておいた方がよいと思いますよ。

僕はABLabという宇宙ビジネスサロンで「宇宙天気プロジェクト」リーダ-をしています。そこでは、近い将来、宇宙天気キャスターといった新たな職域つくり出そうと熱い議論をしています。このたび、プロジェクトマネージャーをお迎えすることになりました。この方は地上の天気予報士、天気キャスターとしてテレビや講演会で活躍している方です。

この方に「宇宙天気キャスター」という肩書が加わる日は遠くないでしょう。このコラム「求ム!宇宙天気防災カリスマリーダー」(1月26日掲載)に書いたことが着々と実現しています。僕たちはこの強力なカリスマリーダーとともにミッションを実現していきます。(宇宙天気防災研究者)

山中ブルーふたたび つくば美術館で30年ぶり個展

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300号の作品と山中宣明さん=つくば市東のアトリエで

【相澤冬樹】独特の深い青「山中ブルー」で、抽象画壇に新境地を開いた山中宣明さん(68)=二科茨城支部長=が25日から、つくば市吾妻の県つくば美術館で30年ぶりの個展「残響reverberation(リヴァーバレイション)」を開く。ほぼこの30年間の画業で制作された作品約100点を準備、同市東のアトリエと美術館を往復しながら「色彩のキャンバスから音の余韻を感じ取ってもらえるよう」な展示の構想を練っている。

「西洋的な心象風景とは異なる、自分にとっての抽象画を模索してきた」という山中さんの制作スタイルは独特だ。アトリエには数百枚のCDがあり、下塗りにマイルス・デイビス、イメージを深めるのに武満徹などの音楽をかけながら、それらとコラボレーションをするかのように作品を生み出してきた。

音に色彩が見える音楽家がいるように、色彩から音が聞こえてくる絵画との交感。「絵を見終わったとき、残響のように余韻が聞こえてくる」は作家生活を通じて目指した境地であり、今回の個展のタイトルとなった。

そのなかで「青」の発見もあった。「染料や絵の具、下塗りの仕方を含め、色の出し方は一定していないが、重ね塗りをしているうちに同じトーンの青に行き当たる。一言でいえば深い青で、落ち着きがあるが決してマンネリとはならない」。この「山中ブルー」で2004年の二科展総理大臣賞など受賞歴を重ねた。

出展作「An-anonym」

つくばでの個展は、つくば美術館開館の1991年に1回目を開催して以来30年ぶり。この間、県や同市の巡回展、グループ展への出展はあったものの、今回のように300号(約2×3メートル)、500号(約4×5メートル)の大作が並ぶ機会は貴重。過去の二科展出品作をはじめ、約100点が展示される。

アトリエから美術館までは5トン車2台で運ぶという大がかりなものになり、山中さんは会場の展示レイアウトにも細大漏らさぬよう意匠を凝らしている。「一堂に並べることで、これまでの作品の見直しとこれからの展開を考える機会としたい」と語っている。

個展は12月6日まで。11月29日には日本近代美術思想史研究家の宮田哲也さんとの対談、作家自身による作品解説が28日と12月5日、いずれも午後2時から予定されている。県つくば美術館(電話029-856-3711)。