土曜日, 4月 19, 2025
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10年目も被災企業に影 第2期復興・創生期間へ

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つくば駅前

信用調査機関、帝国データバンクは、東日本大震災発生直後の2011年3月から21年2月末まで10年間の倒産動向調査結果をまとめた。

震災被害が、直接または間接的な要因となった倒産は、10年間で県全体で122件発生し、負債総額は累計で478億4100万円となった。復旧・復興が進む中、8年目と9年目に各2件、10年目になっても1件の倒産が発生するなど、大震災と原発事故が現在でも企業経営に影を落としていることが分かった。

震災倒産のうち、累計件数で最も多かったのは「小売業」の26件、次いで「建設業」「製造業」「サービス業」が各21件、「卸売業」が18件と続いている。「小売業」の約半数(12件)は飲食店関係。

この傾向を同バンクは「震災による設備損壊や(原発事故による)風評被害で客足の落ち込みが長引き、借入金の返済猶予など資金繰り支援を受けながらも、売上回復や収益環境の改善につながらず倒産に至ったものと考えられる」と分析している。

今後の取り組みについては、政府は3月末に終了する「復興・創生期間」を引き継ぎ、第2期「復興・創生期間」を2026年3月まで定めるが、被災企業でも今後は本来の自主経営を求められることになる。

ただ現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営環境が激変している。これらの要因を背景に同バンクは「業界によっては震災前の水準まで回復しないことも想定され、11年目以降も震災に起因した『息切れ型倒産』のリスクがくすぶり続けるのでは」と予測している。(山崎実)

本当は楽しかった高校時代 《電動車いすから見た景色》16

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【コラム・川端舞】私は小学校から高校まで、普通学校に通い、体に障害があるのは自分一人だけという環境で育った。高校の卒業式の夜、「友達がほしかった。養護学校に行きたかった」と、母の前で大泣きした。でも、それは勘違いだったと、11年の歳月が経った今思う。

高校時代、本当は私には友達がいたし、楽しい思い出もたくさんあった。卒業時にそれを思い出せなかったのは、嫌なことだらけだった中学時代の記憶が強すぎて、人間不信になっていたせいだろう。高校3年生の1年間は受験勉強で必死になり過ぎていたのかもしれない。でも、高校3年間は大変なこともあったけれど、楽しかったことも同じくらいあった。

中学時代まで、私が学校にいるときは常に介助員がそばに付いていて、必要なサポートは全て介助員にやってもらうように言われていた。教科書を開いてもらうなど、簡単なことでも近くの友達に頼むと、「介助員にやってもらいなさい」と言われた。

高校に入学すると、介助員は付かなかった。その代わり、「困ったことは友達に手伝ってもらいなさい」と、それまでとは正反対のことを言われた。最初は同級生にどう頼んだらいいか分からなかった。特に教室から体育館に行く廊下に段差があり、数人に車いすを持ち上げてもらわないと体育館に入れなかった。入学したばかりの頃は、誰にも声を掛けられず、置いていかれてしまうこともあった。しかし、だんだんスムーズに声を掛けられるようになり、同級生からも「一緒に行こう」と声を掛けてもらえるようになった。

私も参加できるルール

体育の授業でバドミントンやバレーボールをするとき、私も一緒にできるような特別ルールを教員が考えてくれ、私も他の生徒と対戦する機会をつくってくれた。それを参考に、どうやったら私も学校行事である球技大会に参加できるか、クラスメートと話し合い、休み時間に体育館で練習をした。

避難訓練のとき、エレベーターが使えないことが分かり、誰が私をおんぶして逃げるかをシミュレーションしたこともあった。さすがに生徒同士でのおんぶは危険だと注意され、クラスメートが職員室に教員を呼びに行くことになったが…。

今振り返ると、卒業式の夜になぜ思い出せなかったのか不思議なほど、全部が大切な思い出だ。あの夜、大泣きしていた自分に言ってあげたい。「大丈夫。この高校に通ってよかったと思える日が来る。高校時代のあなたは大切にされていたよ」と。高校時代に受けた教育が、私にとってのインクルーシブ教育なのかもしれない。(つくば自立生活センターほにゃらメンバー)

土浦の老舗と女子高生がコラボ「Wこんにゃく釜めし」新発売

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商品発表会の様子=2月17日、水戸市五軒町の大成女子高

つくだ煮とうなぎの老舗、土浦市大和町の小松屋食品(柳生剛社長)が、大成女子高(水戸市五軒町)と共同開発した新商品「Wこんにゃく釜めし」の発売が、3月から始まった。県北地域に伝わる伝統食材「凍みこんにゃく」を手軽に食べてもらおうと、レトルトパックの炊き込みご飯の素として考案された。

凍みこんにゃくは、厳冬期の外気と天日でこんにゃくを凍結乾燥させた珍しい食材。江戸時代に県北の山間部に伝わり、今では3社だけが製造を続けている。

これに着目したのが、大成女子高で「地域デザイン」を受講する3年生20人。地域デザインは、将来の自分に必要な能力を、社会と関わりながら身に付ける、同高独自の教科「キャリアデザイン」の中の1コース。地域の魅力を再発見し、発信するための一つの手段として、特産品を使った商品開発をしている。

生徒たちは2年次から、凍みこんにゃくを製造するクリタ(大子町上岡)の栗田晋一社長に話を聞き、製造の様子などを実際に見学し、歴史や食べ方、苦労や課題などを学んできた。

その後、イノベーション教育で習得したアイデア発想方法やプレゼンテーション技術を活用し、さまざまな商品プランを考えて栗田さんに提案、その中から「これはぜひ」と選ばれたのが「Wこんにゃく釜めし」だった。

右手に凍みこんにゃく、左手に「Wこんにゃく釜めし」を持つ柳生さん=土浦市大和町の小松屋店舗

このアイデアを形にしたのが小松屋食品の柳生社長。生徒たちの要望を基に試作を重ねて期待に応えた。「今回はコロナ禍の中、直接会うことが難しく、試作品を送って学校で炊いてもらい、試食した感想を送り返してもらって詰めていった」という。

凍みこんにゃくの独特な食感を生かし、普通のこんにゃくも入れて「しっとり」と「ぷるぷる」という2種類の食感を味わえるようにした。ほかにニンジン、シイタケ、ゴボウ、鶏肉などの具材が入っている。こんにゃくの存在感が引き立つよう、機械を使わず職人が手で刻んでいるものもある。

味付けは醤油とみりんだけで、原材料由来以外の添加物は不使用。シイタケの戻し汁でだしを利かせ、風味豊かに仕上げた。凍みこんにゃくのほど良いかみ心地が楽しく、食事としての満足感を高めてもいる。

「凍みこんにゃくは低カロリーでカルシウムや食物繊維が豊富。ヘルシーな食品としても注目を集めている。煮物や揚げ物、炒め物などさまざまな料理に使えるが『食べ方が分からない』などと言われ、手が出にくいようだ。この商品があることで、家庭料理にも取り入れてもらいやすくなる」と栗田社長。

小松屋の柳生社長は「今回初めて食べたが面白い食材。地域の食文化を再発見するきっかけにもなった。県内には魅力ある食品がほかにもさまざまあるので、もっと知られてほしい」と話す。(池田充雄)

◆「Wこんにゃく釜めし」は2合炊き用1パック入り、税抜き770円。土浦駅前の小松屋店舗およびオンラインショップのほか、水戸駅構内の「常磐・水郡 MADE STATION」、大子町池田の「道の駅奥久慈だいご」で販売されている。

高校進学阻む言葉の壁を越えたい つくば市国際交流協会が日本語勉強会

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日本語勉強会で漢字を勉強する外国人生徒(左)=つくば市吾妻、市産業振興センター

つくば市国際交流協会(布浦万代理事長)が昨年11月から、外国にルーツを持つ小中学生を対象に週2回、無料の「こども日本語勉強会」を開催している。日本人中学生の高校進学率は約97%だが、外国人の高校進学率は6割から8割しかない。日本語の習得が難しいため高校進学の壁があるといわれることから、日本語を習得するための新たな支援をスタートさせた。

これまでは長期休暇に勉強会を開催していた。新たに認定NPO法人リヴォルブ学校教育研究所(つくば市、本山裕子理事長)と協働し、年間を通して定期的に勉強会を開催する。「それぞれの子どもに合わせた支援ができるようになった」と、同協会の中村貴之さん(48)は話す。

日本語の支援必要な子 200人以上

市内には、幼稚園や小中学校に通う外国人の子どもが現在約700人いる。そのうち、日本語を理解するための支援が必要な子どもは200人以上という。

同協会では4年前から、夏休みなどの長期休暇に日本語勉強会を開催してきた。だが長期休暇のみでは5日間程度しか子どもたちに関わることができず、一人一人にどのような支援が必要か把握できなかった。

一般的に外国人が生活に必要な日本語を習得するのに4年、学習に必要な日本語を習得するのに7年かかるといわれるため、日本語を身に付けるためには継続的な支援が必要だった。

長期休暇のみの勉強会に限界を感じていた時、異文化交流等で親交があった同NPOから、「国籍に関わらず、様々な子どもたちを支援したい」と声を掛けられた。

同NPOは昨年10月から、同市吾妻の市産業振興センターで、市と協働し不登校児童生徒の学習支援事業「むすびつくば」を実施している。「むすびつくば」の活動が終わった夕方に、同じ教室を使い、国際交流協会が日本語勉強会を開催する。同勉強会は県の提案型共助社会づくり支援事業の助成金を受ける。

現在、勉強会に通っているのは、同市吾妻地区に住む小学生6人と中学生4人。インド、マレーシア国籍や、どちらかの親が外国出身である子どもなどだ。

勉強会では、それぞれの子の要望に沿って、学校の宿題をしたり、漢字や算数などの勉強をする。例えば、「満月」などの漢字を学ぶ際、日本語としての理解が難しい場合は、理科の教材を使い、月の形を確認しながら、言葉の理解を深めていく。

中村さんは「今後は、小中学校内の日本語教室やボランティアとも連携しながら、子どものニーズを多面的に把握し、より適切な支援ができるようにしたい」と話す。

新1年生にサバイバル日本語

3月中には、市内の小中学校に在籍する外国人児童生徒に加え、春に小学校に入学する外国人児童を対象にしたオンライン勉強会を、市教育委員会と共催する。

特に新小学1年生や転入生は、「先生」「友達」などの学校生活でよく使う日本語や、「おなかが痛い」など学校生活を生き抜くためのサバイバル日本語を勉強したり、学校生活の様子を説明したりする。高校進学を希望する中学生には、小中学校との違いや入学試験の情報を伝えるという。(川端舞)

コーヒー専門店「とむとむ」《ご飯は世界を救う》33

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【コラム・川浪せつ子】県独自の新型コロナ緊急事態宣言も解除されてヤレヤレです。ですが、期間中いろいろな行動が制限され、閉塞(へいそく)状態から、私はかなりウツウツになりました。

2月は私の誕生日。この歳まで生きた自分にご褒美をあげたくて、お誕生日に閉塞感を少しでも取っ払いたくて、1人で「COFFEE HOUSE とむとむ」つくば店さん(つくば市高野台)に行き、ささやかにハッピバースデー。これって、今はやりの「ソロ活」かな。

おいしいものを選ぶときほど、幸せなことはないですね。私は、特にメニュー表が大好きです。注文し終わっても「メニュー、見たいので置いておいて下さいますか」。じっくり眺めて「次はどうしようかなぁ」「コレって家でも作れるかしら?」「〇〇さんと来たら一緒に食べたいな」。メニュー表で、空想、妄想のてんこ盛り。

ここは、朝早くからモーニングもやっています。行ったことはないのですが、かなり好評のようです。午前11時半までやっているので! そして、お値段がお手軽の割にはリッチ。あ、あ、行きたい~。

ランチもオシャレで、セットにするとコーヒーはサイホンで入れたもので、カップ2杯分になります。スイーツセット(この絵のほかいろいろ)でも、2杯飲めるので、ユックリ、マッタリ、天井の高いログハウスの空間で、時間を過ごせます。命の洗濯~!!

コロナ禍で「ソロ活」を楽しむ

そしてコロナ時代。こちらのお店は、大きなテーブルにアクリル板がたくさん立ち、仕切られています。だから、今回も安心してお寄りしました。お手ふきも「感染予防のため、ご自分で会計の所のダストボックスにお願いします」と説明されて。

うんうん、頑張っていらっしゃるよね。座席数も半分になっているし、大変と思いますけど、これからもおいしいお店でいてくださいね。

「ソロ活」とは、あえて1人で行動し、楽しむこと。「ぼっち」「おひとりさま」とは、少し意味合いが違います。(イラストレーター)

県全域に「まん延防止警戒期間」 21日から4月10日まで

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの感染防止対策として大井川和彦知事は16日、県全域を対象に、21日から4月10日までの21日間を「県まん延防止警戒期間」とすると発表した。3月下旬の年度末や4月初旬の年度初めに人の移動や会食の機会が増え、第4波につながると予想されることから、感染防止対策の徹底を改めて呼び掛ける。

歓送迎会は4人まで 花見は宴会無し

①卒業式や入学式後に家族以外と会食や歓送迎会をする場合、いつも近くにいる4人までとする②花見は宴会無しとし会食を控える③春休みの旅行は、国の緊急事態宣言地域やまん延防止重点措置区域との往来を自粛するーなど3点を要請する。

大井川知事は、これまでの感染拡大傾向を踏まえると、4月中旬以降に第4波が到来し、第3波の2倍のスピードで感染が拡大、現在の新規感染者数(1日当たり30人程度)の6倍に当たる、180人の新規感染者が出る恐れがあるとした。

1月の第3波は、年末年始の大規模な人の移動により到来したこと、1都3県の緊急事態宣言が21日に解除された場合、人出が増えると予想されること、ワクチンの本格的な接種は高齢者も含め5月にならないと進まないことなどから、変異株の懸念もある第4波の到来を前に対策を打つ。

現在の県内の感染状況は、感染が概ね抑制できている状態のステージ2(県の判断指標)で、新規感染者は1日30人程度で下げ止まっているという。(鈴木宏子)

協力団体が支援 コロナ禍の学生に食品無料配布 筑波学院大

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学内食堂に並べられた食品や日用品を受け取る学生=つくば市吾妻、筑波学院大学

コロナ禍でアルバイトが減り生活に困っている学生を支援しようと、筑波学院大学(つくば市吾妻)で16、17日の2日間、学生に食品や日用品を無料で配布する「フードパントリー」が開かれている。

つくば青年会議所OB有志(小椋直樹代表)と市民団体「竹園土曜ひろば」(毛利正英代表)の協力を受けて開設した。両団体は、学生が地域に出て社会活動を実践する同大の教育プログラムの学生受け入れ団体として、長年、同大と関わってきた。

今年1月、同青年会議所の関係者から、教育プログラムを担当する同大教員に「筑波大生を対象とした食料支援はやられているが、学院大生は大丈夫でしょうか」などの問い合わせがあったのがきっかけ。

教員らは、昨年9月から市内で大学生への食糧支援を実施してきた「竹園土曜ひろば」に支援方法のノウハウなどを尋ね、同大地域連携センター(高嶋啓センター長)が取り組むことになった。

無料配布する食品や日用品は、飲料水、野菜、コメ、レトルト食品、カップ麺、トイレットペーパー、生理用品など約100品目。事前に申し込みを受け付けた30人分を含め計50人分を2団体が準備し、提供した。イスラム教徒の留学生もいることから、豚肉などを使用していない加工食品なども特別に用意した。

16日、同大の学内食堂に食品や日用品がずらりと並べられ、訪れた学生は必要な食品や日用品をそれぞれ持ち帰った。

市内に住む同大4年の女子学生は「バイトしようと、去年、飲食店の面接を3~4社受けたが、1社しか受からなかった。今年1月、面接に受かったお店で仕事を始めた途端、県の緊急事態宣言が出て、『お客さんの予約がある日だけ来て』といわれた。アルバイトが減って大変」だと語った。

市内の4年男子学生は「4月から都内で一人暮らしをする。引っ越し費用がかさむので、生活必需品がもらえて、ありがたい」などと話していた。

食品や日用品の無料配布は同大生を対象に17日も実施される。(鈴木宏子)

霞ケ浦二橋構想25年「莫大な費用と時間要する」

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霞ケ浦湖畔(土浦市立総合公園から望む)

霞ケ浦に二つの橋を架ける「霞ケ浦二橋架橋整備構想」ー。霞ケ浦二橋建設促進期成同盟会を構成する土浦市など8市町村は昨年11月、県議会に陳情書を提出し、二橋構想の早期具体化などを要望した。

この構想は、霞ケ浦の土浦入りと高浜入りの二つの入り江に橋を架け、北は茨城空港、東関東自動車道水戸線の茨城空港北インターチェンジ(IC)を経て茨城港常陸那珂港区へ、南は圏央道と利根川に架かる若草大橋を経て幕張新都心までをつなぐという壮大な構想だ。

土浦市、小美玉市、河内町など8市町村が、1996年に「霞ケ浦二橋建設促進期成同盟会」を設立し、以来、県はじめ関係機関に建設促進を訴え続けてきた。しかし未だ奏功せず、25年が経過している。

陳情書はほかに、美浦栄線バイパスと竜ケ崎阿見線バイパスの整備促進、千葉茨城道路と百里飛行場連絡道路の整備促進の早期実現を訴えた。

この問題について、開会中の県議会第1回定例会(2月26日~3月24日)で論戦が展開され、県側は、美浦栄線、竜ケ崎阿見線バイパスのほか、霞ケ浦周辺では、石岡小美玉スマートICと茨城空港をほぼ直線で結ぶ茨城空港アクセス道路などを整備し、さらに圏央道の4車線化、東関東道水戸線の整備などにより、霞ケ浦周辺地域は産業立地(企業進出)や、茨城港・鹿島港湾物流の増加、茨城空港による国内外との交流の促進など、地域振興のポテンシャルが極めて高いと指摘した。

その上で、現時点で霞ケ浦二橋構想は「その整備に莫大な費用と時間を要する構想」であり、公共施設の老朽化対策など、他の財政需要の拡大見込みを踏まえつつ、沿線開発の状況、費用対効果などを勘案しながら、「長期的な視点で取り組む必要がある」(知事答弁)との考えを示唆するにとどまった。

期成同盟会設立からすでに25年。霞ケ浦二橋構想は新たな視点からの練り直しが求められている。(山崎実)

東日本大震災のとき私は…《 晴狗雨dog せいこううどく 》1

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金村別雷神社=つくば市上郷
鶴田真子美さん

【コラム・鶴田真子美】東日本大震災の3.11から10年が経ちました。災害関連死も含めて1万9600名の方が亡くなり、2528名の方がまだ見つかっていません。けがをなさった方、最愛の人や家族を失った方、飼い犬猫と離れ離れになった方、家を失い故郷を失った方、本当につらい10年だったかと思います。

私は音楽大学やNHKでイタリア語を教える教員をしながら、NPO法人を立ち上げ、つくば市内で犬猫の保護ボランティアをしておりました。3月11日も、小貝川のほとりの犬捨て場に作られた小さなシェルターにいて、6頭の犬の世話をしていました。

よい天気で、爽やかな午後でした。犬たちはドッグランの中で寝そべり、暖かな日差しを浴びてまどろんでいました。私は順番に犬を連れ、原っぱを散歩していました。すると突然、誰も来ないのに犬たちが一斉に立ち上がり、見えないものを追うように、ほえながら駆け回ったのです。

誰か来たんだと、思いました。神社を自分たちの縄張りと思っていた犬たちは、参拝客の車が土手向こうから来るたびに、警戒してほえていましたから。でも車も来ない、人影もいない、静かな河原ふちの原っぱです。と思ったら、強い風が吹きました。それまで明るかった空が突如として暗くなりました。山のてっぺんみたいに。

誰もいない河原の中央にいた私は、次の瞬間、大きく揺さぶられ、地面に倒れたのです。金村別雷神社(かなむら わけいかづち じんじゃ、雷神様)の鳥居や石碑が、地響きを立てて崩れ落ちました。

命さえあれば何とかなる

この10年は、福島県だけでなく、常総市や熊本県などの被災地で保護活動をしながら、たくさんの思考を重ねました。福島第1原発の汚染水は海洋に垂れ流すとされ、廃炉もまだ見えないまま、東海第2原発の再稼働に向けて県政は前のめりとなっています。

福島の人々は置き去りにされ、東京オリンピックの準備に向けた騒ぎのなかで、新型コロナウイルスが世界を凍りつかせています。10年前のあのとき、私のなかの時計の針は止まり、今も時々動いたり止まったり。

でも私たちは生きていかなきゃならん。命さえあれば後は何とかなる。人間だけの地球ではないさ。200匹の犬猫と人間の仲間たちと暮らしている筑波山のふもとの「CAPINシェルター」から、日々の活動を発信していきます。(犬猫保護活動家)

【つるた・まこみ】1990年、東京外語大イタリア語学科卒。同大学院博士前期課程修了後、後期課程単位を取得。日伊協会講師、東邦音楽大、慶応義塾大などの非常勤講師を歴任。2008年からNPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」理事長。東日本大震災後の福島第1原発警戒区域、鬼怒川水害後の常総市などに入り活動。19年から茨城県の犬殺処分ゼロを目指し活動中。21年、土浦市に「パルTNR動物福祉病院」を開設。神戸市生まれ。土浦市東城寺に殺処分を免れた200頭の犬猫と暮らす。

小規模事業所も排水基準順守を徹底 4月1日から霞ケ浦流域

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霞ケ浦にそそぐ新川河口にある霞ケ浦流域下水処理施設「霞ケ浦浄化センター」と排水口(左側)

霞ケ浦の水質浄化対策として4月1日から、排水基準の順守義務などが徹底され、飲食店やコンビニ店などの小規模事業所も、基準超過に対しては、改善命令・排出一時停止命令が出される。

県霞ケ浦水質保全条例などの3つの条例を改正し取り組む。改善命令に従わなかった場合は、最大100万円の罰金など罰則が適用されることになる。

水質浄化対策は、「泳げる霞ケ浦」を取り戻すため、森林湖沼環境税(年間約17億円)を活用し、森林資源の保全・整備と、霞ケ浦など湖沼、河川の水質保全事業が実施されている。

対策のうち、生活排水対策については、2008年度の同環境税導入時から19年度までの12年間で、約1万基の高度処理型浄化槽の設置補助、約7000件の下水道への接続を促進した。工場・事業場排水対策では、19年度に「霞ケ浦水質保全条例」を改正した。

県は4月からの改正条例施行に先立ち、立ち入り検査による指導を強化してきた。結果、水質汚濁のバロメーターといわれる霞ケ浦のCOD(化学的酸素要求量)は、税導入前の07年度が1リットル当たり8.8ミリグラムだったのに対し、19年度は6.9ミリグラムまで低下した。

しかし、1998年度以降、CODは霞ケ浦の西浦より北浦流域で高い状態にあり、2011年度に策定した第6期霞ケ浦湖沼水質保全計画では、西浦、北浦独自の施策目標を定めて推進した。近年は特に北浦流域を重点化し、単独処理浄化槽から高度処理型浄化槽への転換補助基数が、今年度は前年度の約3倍になるなどの成果を収めつつある。

これらの事情を背景に県は、21年度までの第3期森林湖沼環境税を活用した水質浄化対策などに引き続き積極的に取り組むほか、現在策定作業を進めている第8期の同水質保全計画の議論を参考に、「着実かつ効果的な水質浄化対策を、スピード感をもって進めていく」(県議会第1回定例会、知事答弁)としている。(山崎実)

メイドインつくばの赤い衛星 「きぼう」から軌道投入成功

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紅い衛星放出の瞬間。左から2人目が常間地悟CEO=14日午後8時50分、つくば市吾妻

筑波大学発宇宙ベンチャー、ワープスペース(本社・つくば市吾妻)開発の超小型通信衛星「日輪」(2月17日付)が14日夜(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)から放出され、県内の民間企業では初めて、軌道投入に成功した。同社があるつくばスタートアップパークの特設会場で中継を見守った五十嵐立青市長は「メイドインつくばの技術でここまでやれた価値は大きい。おめでとうと言いたい」と祝福した。

衛星は、正式名称を「WARP-01(ワープゼロワン)」といい、同パーク2階にある同社で、通信基盤などが組み込まれ、一辺が約10センチ角の立方体サイズに組み立てられた。重さ1.3キロの超小型衛星で、外枠に赤のカラーリングが施されていることから「日輪」の愛称がついた。

ISSへ向かう補給船に搭載され、2月21日に米国から打ち上げられた。ISSでは日本実験棟「きぼう」に移され、放出のタイミングを待っていた。「きぼう」には宇宙飛行士の野口聡一さんが滞在中で、放出には直接関わらないが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターが管制業務に当たった。

14日は放出の模様をJAXAがYoutubeで配信したことから、同社がサテライトビューイング会場を開設。常間地悟(つねまち・さとる)CEOが五十嵐市長、県の伊佐間久技術振興局長らと放出の瞬間を見守った。「日輪」には同市のふるさと納税者3人の名前が刻字されている。

放出予定時刻は午後8時50分、「きぼう」の射出口から衛星が飛び出た瞬間には「あ、赤くない」の声が上がった。常間地CEOは「一瞬別の機体かと思った」そうだが、軌道上の衛星を追った画像で赤い色を確認すると「赤く見えたぞ、やった、やった」の歓声が上がった。

手塩にかけるように衛星を制作し、「日輪」の名付け親ともなった同社のエンジニア、木村洋平さん(26)は「感無量」と喜んだ。JAXA配信の画面では放出証明書の発行による成功が伝えられた。

「日輪」はほぼ地上400キロの高度で、1周約90分をかけて地球を周回する。推進装置を持たないため次第に高度を下げて、大気圏に突入し使命を終える。早ければ半年、最長で2年という寿命だが、この間に衛星運用の訓練を積むことにしている。

ワープスペースではこれをベースに、光通信モジュールを搭載した中継衛星を高度1万メートル軌道に打ち上げる計画でいる。1メートルサイズの小型衛星で、2020年末に1号機を打ち上げ、23年に2機を追加し計3機によってネットワークを展開。地上局とユーザーの低軌道衛星との間を24時間365日にわたって常時接続できるシステムの構築を目指している。

常間地CEOは「今回もクラウドファンディングなどで筑波大OB、OGをはじめ、つくばの皆さんのお世話になった。この先もつくばにこだわり続けたい」と飛躍を誓った。(相澤冬樹)

つくば市長の金看板にゆがみ 《吾妻カガミ》102

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市長の五十嵐さんは「市民による合意形成」を市政運営の金看板にしていますが、最近、その看板にゆがみが生じました。施策Aについて市民の声を聴く手続きを進めている最中に、その議論の選択肢を事実上封じるような施策Bの具体案を公表し、合意形成の目玉ともいうべき「パブリックコメント(市民の意見募集)」を操作してしまったからです。

パブリックコメントを軽視

施策Aとは、2月10日の記者会見で公表された陸上競技場構想(高校廃校跡に400メートルトラックを持つ競技場を整備)です。詳しくは「そろそろ決着? つくば市の2大案件」(2月1日掲載)をご覧ください。五十嵐さんは会見で「市民の意見を反映させるため、3月7日まで基本構想案についてパブリックコメントを実施しています」と、同案について市民に意見を求めました。

ところが、意見募集中の2月19日、施策B=総合運動公園用地利用の具体策として、そこに防災倉庫と災害時ヘリポートを設ける案を公表しました(関連記事は2月20日掲載)。この案を聞いて、運動公園用地に陸上競技場を造ったらどうかと考えている市民は「防災倉庫を建てる計画があるのなら、陸上競技場を持ってきたらと言ってもダメかな」と思ったことでしょう。

また、「災害時ヘリポートを造るなら、運動公園用地よりも、陸上競技場のトラック内フィールドを活用した方がよいのではないか」といった対案の提出も控えられたでしょう。このように、施策Aのパブリックコメント中に、市が防災倉庫・ヘリポート案をぶつけたことで、合意形成のプロセスがゆがめられました。

防災倉庫・ヘリポート案の公表が意図的なものなのか、それとも意図せざるものなのか、よく分かりません。前者であれば、金看板の「市民による合意形成」を軽視して、市民の意見を市案に誘導するような行為です。後者であったとしても、金看板の信頼性を傷付けることになります。

政治課題の最終解決で焦り?

五十嵐さんの市政スタイル「市民による合意形成」は、前市長の「リーダーシップ型」市政の失敗を踏まえたものでした。前市長は市民によく説明せずに、総合運動公園計画(約370億円の総事業費で陸上競技場など3施設を整備)を推進。ところが、市民の反対に遭い、計画は廃止に追い込まれました。五十嵐さんの合意形成スタイルは、前市長の失政を教訓にしたようです。

市長2期目に入った五十嵐さんは、政治的な課題となっている「総合運動公園用地の最終解決」(具体的には陸上競技場の整備と運動公園用地の活用・処分)を焦るあまり、「市民による合意形成」をお留守にし、金看板の枠組みをゆがめました。看板を修理するのか、それとも降ろすのか、ウォッチしていきましょう。(経済ジャーナリスト)

つくばセンタービル舞台に 筑波大生らアーティスト12人が作品

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つくば市の公務員宿舎跡の室内写真を連続描写する作品「Apartment」を出展した河津晃平さん

「廃墟」としてのつくばセンタービルを舞台とした美術展示会「狢PLAY(むじなプレー)―複数性のすみか」が14日、つくば駅前のつくば市吾妻、同センタービル1階アイアイモールとセンター広場で開幕した。筑波大学の学生グループ「平砂アートムヴメント2020」(阿部七海代表、芸術専門学群4年)が主催する=3月8日付。12人の若手アーティストの作品が展示されている。

旧公務員宿舎 室内を連続描写

市内の国家公務員宿舎跡の室内写真を連続的に描写する作品「Apartment(アパートメント)」を出展したのは生物資源学類4年の河津晃平さんだ。作品のコンセプトは「無人の空間」。「コロナ禍で大学から学生がほとんどいなくなってしまって、無人の廃墟的空間に興味を持つようになった。これまで市内の空きテナントや廃墟化した大学の様子などを撮ってきた。今回は大学の授業で訪れたある意味で廃墟となった公務員宿舎のあり方を表現しようと思った。(廃墟や空き店舗で展覧会を開いている)平砂アートムーヴメントは『廃墟の中でのアート』という意味で通底するところがある」という。

河津さんは同大を卒業後、東京芸術大学大学院に進学する。「環境に興味があり生物資源学類に入った。関心は変わらないが芸術という形で表現してみたいと思うようになった。誰もいない無人の空間とその美しさをこれからも探求していきたい」と語る。

頃安祐輔さんの「sound bugs」の一部。コンピューターでプログラムされた不規則なリズムで、食器やフライパン、湯飲みなどが鳴っている

食器やフライパンなどを小型のバイブレーターで鳴らす作品「sound bugs(サウンドバグズ)」を出展するのは情報メディア創成学類3年の頃安祐輔さん。食器や調理器具にバイブレーターがたくさん付けられていて、それが振動することで、食器などが一定の間隔で鳴るようにプログラムしてあるという。コンセプトは作品名の通り「バグ」。「コンピューターの意図しない誤動作(バグ)」と「小さなたくさんの虫」という意味が込められている。

頃安さんはメディアアーティストとして著名な同大の落合陽一准教授のゼミに所属している。落合研究室のゼミ生が複数所属しているというアーティストグループ「TParty(奥山裕大代表、総合メディア創成学類3年)」の一員として活動しており、「オーディオデザインに関心があり、そうした方向性の作品を作りたいと考えていた」という。

つくられた街のアイデンティティを見る

つくば市内6地域から集めた土で作られた作品。「人工的に6町村を合併したことを象徴している」という

つくばセンタービルの「虚構性」と、人工的に計画された街の中心としての「つくばセンター広場」に向き合う作品「Representation(Tsukuba)(リプリゼンテーションつくば)」を出展するのは、東京大学学際情報学府修士1年の阿部修一郎さんだ。町村合併前のつくば市の6つの地域の土を集め、一つの作品に表現した。背後には阿部さんが市内各地域で「あなたにはつくば市民としてのアイデンティティはあるか、ないか」と問い掛け、インタビューした音声が流れ続けている。

「つくば市はすごく人工的な形でつくられた街。もともとバラバラに存在していた6町村を無理やり人工的に覆った、そういう場所。その中心に会場であるつくばセンター広場があるが、それは上がただ言っているだけの『虚構』であって、そのことに向き合おうと考えた。人々がどのように『つくば市』というものをとらえているのかが知りたい」と語る。

インタビューは、阿部さん自身がさまざまな立場の人から話を聞いたもの。「話を聞いていく中で印象に残った話があった。筑波大学を出てそのままつくばに住んでいる人が『子どもができてはじめて地域のネットワークの中に入れたような気がする』と話してくれた。人工的につくられたこの街で、どういうアイデンティティを人々が持っているのか、そういうことを考えたいし、見た人に考えてもらえればいい」。作品の手法については「自分は文化人類学を専攻していて、そこに住む人々に話を聞くということ自体は普通の手法。それをたまたまこういう形で表現しているに過ぎないと思う」と話す。(山口和紀)

◆同展は31日まで。入場無料。開催時間は正午から午後8時まで。

さくらの杜ショッピングセンター 19日誕生 つくば市中根・金田台

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開店準備が本格化しているさくらの杜ショッピングセンター=つくば市さくらの森

【相澤冬樹】つくば市東部のニュータウンにこの春、大規模ショッピングセンターが誕生する。つくばエクスプレス(TX)沿線開発事業の一つ、中根・金田台特定土地区画整理で生まれた新街区、さくらの森に、地元デベロッパーが店舗面積約1万3600平方メートルの「さくらの杜ショッピングセンター」を整備した。複合店舗の先陣を切って19日、核テナントのスーパーがオープンする。

ショッピングセンターは、県道土浦大曽根線沿いの敷地約8万6700平方メートルに、3棟からなる店舗で構成される。核店舗となるのはスーパー、ヨークベニマル(本社・福島県郡山市)とホームセンター、コメリ(本社・新潟市)で、ドラッグストアや100円ショップなども軒を並べる。別のテナント棟にはコインランドリー、美容室、ゴルフスクールなどが入居する。駐車場は967台収容で整備された。

新型コロナ対策から、華々しいオープニングセレモニーは控えられるが、ヨークベニマルつくばさくらの森店が19日午前8時40分、テープカットを行い同9時に開店する。同日、ドラッグストアのマツモトキヨシ、25日にコメリパワーつくば東店が開店し、各テナントも3月中に順次オープンする。

さくらの杜ショッピングセンター全景=3月3日撮影(クラフト提供)

コロナ禍で店舗開発

開発したのは建築・不動産業のクラフト(土浦市中高津、稲村冨士男社長)。スーパーやドラッグストアなどの単独店舗は手掛けてきたが、複合型ショッピングセンターは初めて。都市再生機構(UR)から事業用地を取得したのは2017年だったが、埋蔵文化財調査などのために引き渡しが2019年となるなど船出に手間取った。

ようやく造成に着手できたのは昨年3月、今度はコロナ禍の中での店舗開発を強いられた。「関係者集まっての会議は毎月のように22回ほど開いた。25~30人が集まるので、新型コロナの緊急事態宣言が出てからは参加者の体温チェックをし、テーブルの間隔をあけるなどの対策を講じての協議となった」(クラフト・坂本淳課長)という。

中根・金田台は、都市再生機構により地区面積約190ヘクタール、計画人口8000人で開発された。「緑住農一体型」の住宅地整備を行うなどしてなど2018年までに竣工、同年11月の住居表示で春風台、さくらの森、流星台の3行政区に編成された。同年10月に328世帯846人だった人口は、ことし2月には1165世帯2600人になった。この1年は特に「東京脱出組」を含めた移入が目立って増えているという。

急増する流入人口には待望の商業施設であると同時に、就業の場ができた形。コロナ禍にあってもスーパーやホームセンターなど流通業は客足を伸ばしていることもあって、今回出店の各テナントとも競うように大量求人に乗り出した。

課題は交通環境。TX沿線整備事業ながら、最寄りのつくば駅へアクセスするのに、土浦学園線と学園東大通り線へつながる道路が共に途切れていて使えない。買い物客はマイカー頼みだけに週末などの渋滞が懸念される。クラフトの稲村社長は「都市計画決定はしているのだから、県と市には早急な事業化をお願いしたい」と話している。

《食う寝る宇宙》81 衛星のクリーンルームに住みたい

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【コラム・玉置晋】2月の上旬くらいからでしょうか、目の腫れぼったさを感じて、僕の花粉センサが反応する季節がやってきました。今年はあらかじめ病院で薬をもらって準備していたので、例年に比べて症状は軽めなのですが、つらいものはつらい。つい先日は夜中に鼻がつまって、呼吸困難に陥って死ぬかと思いました。

職場では、鬼の形相で「窓を開けるな!」とオーラを出しますが、コロナ禍ですから換気も大事です。家では花粉症とは縁のない奥様はちゅうちょなく窓を開放します。布団は豪快に外に干します。僕はこれを「花粉症DVだ!」と抗議をしますが、「それが何か?」と却下されます。

「べんぞうさん」大分元気に

本コラム79(2月14日掲載)で、人工衛星の地上試験について書きました。人工衛星は大変繊細な機械の塊ですので、試験はクリーンルームの中で行われます。僕は以前、地上試験中の人工衛星のデータを収集して、評価する仕事を担当したことがあります。

このときは、専用の靴に履き替え、専用の防塵(ぼうじん)服を着て、エアシャワーでホコリを吹き飛ばした上で試験設備に入室しました。今、僕はクリーンルームに住みたいです。

前回のコラムで、ウチの大事な家族である犬の「べんぞうさん」の体調がすぐれないと書いたら、何人かの方から心配のメッセージをいただきました。大分、元気になってまいりました。どうもありがとうございます。(宇宙天気防災研究者)

<3分宇宙天気>2021年2月28日から太陽の「コロナホール」から流れ出した高速太陽風が地球周辺に吹きつけ、3月1日~3日にかけて磁気嵐が発生しました。新たな「コロナホール」の影響が3月12日ごろから出てくる可能性がありますので、宇宙天気に注意の上で宇宙旅行をお楽しみください!

コロナ禍乗り越え143人卒業 つくば国際ペット専門学校

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卒業生を代表して答辞を述べるペットケア総合コースを卒業した荻野真美さん=13日、つくば国際会議場大ホール

【鈴木宏子】つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、高橋仁・学校長)の2020年度卒業式が13日、同市竹園、つくば国際会議場大ホールで催され、犬の訓練士や動物看護師、トリマーなどを目指して、4つのコースで2年間学んだ143人が卒業した。

高橋校長は「今年度は新型コロナの影響で大変な1年となり、さまざまな我慢や不自由な生活を経験したが、家族や仲間を思いやる大切さを再認識したはず。自分の責任を果たし、他人を認め、人を思いやり、尊重する気持ちを忘れないでほしい」と式辞を述べた。

続いて、同校を運営するつくば文化学園の東郷治久理事長は「皆さんは平成最後の入学生。令和に変わり、1年間はコロナ禍の渦中で、約1カ月の休校や様々な学校行事の延期、縮小を余儀なくされた。卒業式までも実施すべきか、中止すべきか迷い悩んだ」と話し、「コロナ禍で動物たちに癒されたこともあったと思う。日々動物に触れ、感じ、学んだこと、さらに真のプロフェッショナルになるのに必要な愛情、根気を胸に、羽ばたいてほしい」などと話した。

卒業生を代表してペットケア総合コースの荻野真美さんが答辞を述べ「2年生になり、見えないウイルスに生活を一変させられたが、この学校で学んだ知識や技術、先生方、仲間たちやパートナードッグは一生の宝となり心の支えになる。卒業したことを誇りに思い、これからは立派な社会人として精進していくことを約束します」などと述べた。

ソーシャルディスタンスをとって卒業式に臨んだ卒業生たち

同校は、全国トップクラスの動物系専門学校で、動物の美容師を目指す「ドッグトリマー」、訓練士を目指す「ドッグトレーナー」、動物病院の看護師を目指す「動物看護福祉」、動物分野で総合的に活躍する人材を目指す「ペットケア総合」の4つのコースがあり、県内のほか全国各地から300人を超える学生が学ぶ。卒業生は全国各地のペットショップ、動物病院、ペット関連企業で活躍し、ペット業界を支える教育機関として注目されている。

例年、卒業式は、同国際会議場の多目的ホールで開催していたが、今年はソーシャルディスタンスが確保できるよう、会場を大ホールに移した。式典には父母らも参加した。式典では、全日本愛犬技術者指導協会の松島美夫理事らから、トリマーや小動物衛生看護士、ペットケアマネージャー、ホームドッグトレーナーなどの資格が卒業生にそれぞれ授与された。

オンラインで寄せ書きできる 筑波大4年生が考案の色紙アプリ

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左が発案者の寺本さん。右がアプリを開発した才田さん=寺本さん提供

【山口和紀】オンラインで寄せ書きをつくれるアプリ「シキシ―」が近くリリースされる。制作したのは筑波大学で学ぶ2人の筑波大生。工学システム学類4年の才田さんと知識情報・図書館学類4年の寺本さんだ。制作した寄せ書きは画像データをダウンロードするか、色紙に印刷されたものを郵送で受け取ることが可能だ。接触をすることなく、あたたかみのある寄せ書きをオンラインで作ることができる。

シキシ―着想までの経緯について、寺本さんは「自分のバイト先は在宅勤務いわゆるテレワークが進んでいた。去年の10月ころに寄せ書きの色紙を書く機会があったが、皆が在宅勤務なので一人ひとり書いてもらうのが難しかった。シキシ―を思い付いたのはその時。大学生活最後に何かをしたいという気持ちだった」と振り返る。

あったかくて高品位!

実際に集まることなく高品質の寄せ書きを簡単に作成できるのが強みだ。寄せ書きを書くメンバーがアプリをインストールして、自分の書き込みたい内容をそれぞれが入力する。入力された情報をもとに書き込みの配置や大きさ、フォントの種類などがデザインされ、データが送られてくる。データのダウンロードは低画質版が無料で、高画質版は500円。色紙に寄せ書きを印刷し郵送するサービスも行う。一枚につき2480円(税・送料込み)で利用できる。

アプリ画面のイメージ(左)。色紙の新規作成と色紙への書き込みボタンが表示されている。右は完成品のイメージ画像=寺本さん提供

最終的なデザインを人間の手で行うことが大きな特徴だ。オンラインで寄せ書きを作るサービスは既にあるが「(既存のサービスでは)書き込みの位置や大きさが最初から決まっていて、きっちり、かくかくとした印象になってしまう。手で書いたときのやわらかさ、ほがらかさみたいなものを表現するために、一つひとつのデザインを自分たちで行うことにした」と寺本さん。

アプリのプログラミングを担当した才田さんは「こういうアプリを作ることは初めての経験だった。決済システムやデータベースとの連携も、お金を出せば簡単に解決できた部分もたくさんあったが、大学生でお金がないので工夫しながらなんとか実装した。プリンターも奮発して良いものを買ったが、それも大変だった」と語る。現在はサービスの公開に向けた最終調整中で、早ければ「今月中旬にリリース」するという。 資金集めのためにクラウドファンディングを行っている。目標金額は20万円で、今月28日まで支援を募る。「シキシ―」公式ホームページはこちら

《茨城鉄道物語》10 祝 水郡線全線開通

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水郡線車両=水戸駅ホーム

【コラム・塚本一也】2019年の台風19号によって、茨城県は県北を中心に大きな被害を受けました。特に水郡線の第6久慈川橋梁(きょうりょう)は橋脚ごと根こそぎ流出し、台風の威力のすさまじさをまざまざと見せつけました。JR東日本の尽力により、その鉄橋も復旧し、3月27日に全線開通となる見込みです。今回は久しぶりに水郡線に乗車し、開通前の袋田の工事現場を見学してきました。

1月29日午後、水戸駅から上菅谷(かみすがや)駅まで乗車しました。水郡線は平成初期に「合築化」または「コンパクト化」という、JR東日本の施策のもとに積極的に各駅を建て替えました。中でも、このコラム(昨年8月7日掲載)でも取り上げた磐城塙(いわきはなわ)駅は、駅舎としては日本で初めてブルネル賞を受賞しました。

その後、全国のJRでローカル線駅舎の建て替えが始まりましたが、水郡線の個性あふれる各駅はそのお手本となったように思います。

水戸駅の懐かしい水郡ホームに降り立って、水郡線に乗り込みました。まず驚いたのが、車両の内装が非常にきれいであることです。このところ、本コラムの取材のために、県内のローカル線を体験乗車しましたが、水郡線の内装は首都圏の通勤列車と比べても遜色(そんしょく)がないくらいに洗練されていました。

さらに、その走りも快適で、気動車とは思えぬ乗り心地です。金曜午後ということで学生も多く乗っており、茨城県北の公共交通としての重要性を改めて認識しました。

20億円かけ第6久慈川橋梁を復旧

第6久慈川橋梁の視察は2月17日に行ってきました。橋梁は桁も接続され、鉄道設備の整備が終盤を迎えているところでした。予定していた工期を3カ月も短縮して工事を完了させたのは、本体に技術スタッフを抱えるJRの強みが発揮されたものと思います。

工事が進む第6久慈川橋梁

特筆すべきは、約20億円の復旧費用をJRが自己資金で全て負担したということでしょう。私は正直言って、久慈川の橋梁が流されたというニュースを聞いたときに、復旧は難しいだろうと思いました。100円を稼ぐのに最大で180円も費用がかかる区間を持つローカル線を、JRが積極的に設備投資するとは思えなかったからです。

自治体との協議を繰り返し、得意の寝技に持ち込んで、BRT(専用道を走るバス)などのバス輸送が落としどころではないかと予想していました。しかし、JRは全額自己資金で、赤字路線である水郡線を全線復旧させたのです。

災害の規模に違いはあるものの、同じように橋梁が流出した只見(ただみ)線(福島県会津若松市―新潟県魚沼市)が10年かかっても復旧できていないことを思うと、水郡線は非常に恵まれています。地域を思うJRの懐の深さを改めて実感しました。水郡線に少しでも多くの人が乗車して、JRの経営に寄与することが恩返しになるでしょう。(一級建築士)

新たなステージへ 贈る言葉は「おいあくま」 筑波学院大学で卒業式

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答辞を述べる卒業生代表、ビジネスデザイン学科4年の里館泉帆さん=筑波学院大

【伊藤悦子】筑波学院大学(つくば市吾妻)の2020年度卒業式が12日、行われた。経営情報学部ビジネスデザイン学科と経営情報学科の留学生を含む123人が卒業した。

新型コロナ感染拡大の影響で、昨年と同様、式は卒業生と教職員のみで行われた。全員がマスクを着用、検温、アルコールで手指の消毒をしたあと入場した。スーツやはかま姿の卒業生らは1席ずつあけて着席した。今年は壇上の演台にもアクリル板が設置された。

告辞で望月義人学長は、新型コロナ感染防止の観点から特別な方式で卒業式が実施されたことに触れ、「わが国でもワクチン接種が始まり、暗く長いトンネルの先に明るい光が見えてきた。感染を抑えながら前向きに、新たな道を開くときを迎えつつある」と述べた。

その上で「はなむけの言葉として、かな文字5文字で呼び掛けたい」と「おいあくま」という言葉を紹介し、「おごるな、いばるな、あせるな、くさるな、まけるなの頭の一文字をとった。壁にぶつかったときや得意になっているときに思い出してほしい。日本や母国の新しい時代を切り開く志を抱き、新たなステージに臨んでほしい」とエールを送った。

卒業生代表として答辞を述べた里館泉帆さんは「新型コロナに負けず2020年を乗り越えたことを自信に変え、自分らしくたくましく生きていく。仲間や教職員と共に過ごした時間は今もこれからもかけがえのないもの。感謝と敬意を胸に、これからも精進したい」と述べた。

式では成績優秀者として、塚原太一さんに大学の創立者である大江スミさんの名前を冠した大江賞が、加瀬晃大さんに学長賞、根本あやさんに理事長賞がそれぞれ贈られた。

大江賞を受賞したビジネスデザイン学科4年塚原太一さん=同

PR不足などが課題に つちうらMaaS実証実験をシンポジウムで総括

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「MaaSで土浦を盛り上げる」と題したパネルディスカッション=県南生涯学習センター(土浦市大和町)

【池田充雄】観光客の周遊促進や市民の移動手段確保を目的に実施された「つちうらMaaS(マース)実証実験」の活動発表が11日に行われた。この日、県県南生涯学習センター(土浦市大和町)で開かれた「つちうらMaaSシンポジウム2021」プログラムの一つとして、つちうらMaaS推進協議会の松上英一郎会長(関東鉄道社長)が報告した。

実証実験は2月15日から3月12日まで、4種類の事業で展開された。

利用実績は目標の半分強

活動報告するつちうらMaaS推進協議会の松上英一郎会長

そのうちの1つ、ジョルダン「乗換案内」アプリによるキャッシュレス化実験は、ジョルダン社(本社・東京)の経路検索アプリ「乗換案内」の付帯サービス「ジョルダンモバイルチケット」を使い、土浦市内のバス、遊覧船、観光施設、物販・飲食店の支払いをキャッシュレス決済する。「アプリを利用し、複数の公共交通やモビリティーを最適に組み合わせ、検索・予約・通信・決済などを一括して行うサービス」というMaaS本来の定義に最も則した実験といえる。

実施期間は2月15日から3月12日まで。市のプレミアム付商品券「コロナに負けるな!応援チケット」の利用期間との重複を避け、さらに外部からの観光客が増える「土浦の雛まつり」や「筑波山梅まつり」の開催期間に合わせる意図があった。しかし結果的に、新型コロナウイルス感染症に伴う県独自の緊急事態宣言のため、これら観光イベントとの相乗効果は見込めなくなった。

当初、推進協議会が目標としていた利用件数は1000件。これは人口80万人の浜松市で行われた同様の実験で、1週間という実施期間で500件の利用結果が得られたため。だが人口14万人・26日間の条件で行われた今回の実験では、目標の半分強に相当する559件(3月10日現在)の利用件数に留まった。

不調の原因としては住民・利用者へのPR不足のほか、利用開始までの登録手続きや、購入したチケットの決済確認などの煩雑さ、利用者への特典の少なさなどが挙げられた。また決済時におつりが出ないので、切りのいい金額設定をした店とそうでない店とでは、平均利用件数に2倍の開きが生じたという。

4つの実験を通して、PR不足から利用者の掘り起こしに精彩を欠いた。これらを踏まえ松上会長は「昨年7月のスタートから、半年間でこれだけのことができ、地域の底力を感じた。各方面のご理解ご協力に感謝する。21年度はコミュニティーバスの自動運転と、マイナンバーカード認証を使ったキャッシュレス化の実証試験を計画している」と話した。(次ページにつづく)