日曜日, 12月 28, 2025
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義務教育で「キャリア」を考えさせよ 《地方創生を考える》21

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ダイヤモンド筑波(筑西市)

【コラム・中尾隆友】現在の小学校から高校までのカリキュラムでは、児童や生徒は自分がどのような仕事に向いているのか、考えさせられる機会が全くと言っていいほど与えられていない。私の経験からも、高校の時は大学に入るのが大きな目標だったし、大学に入学後も自分が本当に何をしたいのか、よく分かっていなかった。

本稿をご覧になっている多くの人々が私と同じような経験をしているとは思うが、いまの先生方はとにかく忙しく、キャリア教育にまでが手が及ばない状況だ。

保護者対応や事務作業、部活だけでなく、新教科(英語・道徳)やプログラミング必修化への対応にも追われ、児童や生徒の将来の方向性について一緒に話し合ったり考えたりする余裕がないのだ。

しかしながら、これからのデジタル化の時代では、しっかりとしたキャリア教育の体系を確立していく必要がある。そのためにも、初等教育(小学校)から中等教育(中学校・高校)の受け持つ役割は、決して軽視できるものではない。

「自分は何に向いているのか」

そういった意味では、自分が何に興味があるのか、自分が何に向いているのか、児童や生徒は教師とコミュニケーションを取りながら、自らも自問自答する機会を与えられる教育が求められているように思う。

個人個人がそういった過程を経ながら、中学生か高校生のうちに得意分野や適性を伸ばす教育に変えていかなければ、大学生になって自分が本当に何をしたいのかと考えても、なかなか答えは見つからないだろう。

通常であれば中学生から、遅くとも高校生から、生徒が自分で自分のキャリアについて夢を持って考える機会を育んでいく必要がある。

企業と学生の不幸なミスマッチを減らすようにするためにも、学生が大学を卒業する時に「自分はこういう仕事がしたいから、大学でこの専門を選んで勉強をしてきたのだ」と言えるような教育にしてほしい。

つくば市など教育で先進的な取り組みをする自治体では、義務教育でこういったキャリア教育の導入をしてみてはどうだろうか。(経営アドバイザー)

子孫が土浦市に寄付「一色家住宅」 観光や文化振興に活用へ

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一色家住宅玄関=土浦市西真鍋町

江戸時代末期の武家住宅の面影を残す、土浦市西真鍋町の登録有形文化財「一色家住宅」の土地と建物が昨年12月、土浦市に寄付された。所有者で牛久市在住の彫刻家、一色邦彦さん(86)が寄付した。市では壊れた部分の補修を行い、観光や文化振興に活用していく予定だ。

一色家住宅は、土浦藩年寄格で、1878(明治11)年に県内初の国立銀行「第五十国立銀行」(常陽銀行の前身の一つ)を創設した一色範疇(はんちゅう)の居宅だった。茅葺屋根の主屋(面積201平方メートル)は2001年に国登録有形文化財となっている。

主屋は、江戸時代末期につくられた土浦藩士、西川右近家の主屋を、範疇が明治時代に移築したと伝えられている。内部は8畳間が4室、田の字型に配された書院造で、正面側と庭園側は縁側になっている。主屋の北側には築山と池のある日本庭園がある。1989年に南側に離れが増築されている。

市内で唯一、武家住宅の面影をとどめる建物で歴史的価値が高い。2019年まで和食店として使われていた。現在、内部は非公開となっている。

寄付は一色邦彦さんが市に申し出て実現した。邦彦さんの父で彫刻家の五郎さんは一色家住宅で生まれ育った。

邦彦さんは東京生まれ。戦時中に空襲を逃れて土浦市に移り住んだ。現在は牛久市にアトリエを持ち、彫刻家として活躍を続けている。邦彦さんは「国の登録文化財であり、雰囲気がよく、心を癒す場所。価値ある建物なので市民の癒しの場として活用してほしい」と話す。

市文化振興課は、文化財である主屋部分に壊れているところがあるため、補修を進めていくという。今後どのように活用していくかは未定だが、自転車道のつくば霞ケ浦りんりんロードから500メートルほどの位置にあり、サイクリストが立ち寄りやすい立地であるため、土浦の歴史と文化を伝える観光スポットとしての活用も検討する考え。補修後は限定的に内部を公開することも検討中としている。(田中めぐみ)

真夜中の高速を走る 《ことばのおはなし》42

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【コラム・山口絹記】これは、昨年、真夜中の東北自動車道での出来事。

この日、私は、大学時代の同期2人と、自分の娘を車にのせ、4人で岩手山のふもとを目指していた。岩手山を登ろうというわけではない。世の中も少し落ち着いてきたということで、そこに住む旧友を訪ねようという、かねてからの計画を実行に移したのだ。

同行したのは、大学の経済学部非常勤講師とプログラマー兼フリージャズドラマー。向かう先に待っているのは、元パン屋さんで現役大工さんという、共通項といえば、今でも変わらず好きなことをやって生きているくらいの面々だ。

興奮のせいか、なかなか寝付かない娘もようやく寝静まった深夜3時ごろ。後部座席からも豪快ないびきが聞こえるので、ミラーに目をやると、講師の彼のほうは静かに景色を眺めている。

「あら、起きてたの?」

「いや、山口くんひとりじゃ寂しいかと思って」

いいヤツなのだ。大学時代から私は彼の下宿先に泊めてもらっては、おいしいコーヒーをごちそうになっていた。副業としてジャズ喫茶で働く彼は、当時から音楽を愛していた。今も昔も、彼の周りは音楽とコーヒーの香りがする。

道沿いに、放射線量を示す電光掲示板が見えてきた。原発事故があったのが、ちょうど私たちが大学を卒業した年。卒業式が中止になったため、皆で奔走して手作りで行った卒業式。学生代表の挨拶をしたのも彼だった。

未曽有の災害、原発事故、世界的なパンデミック。かつてSFの題材として扱われたこれらの事象は、すべて身近な現実となって日常の風景になりつつある。

ジョージ・オーウェルの「1984年」

いつしか話題は、SFで扱われる全体主義に対する、一般読者とアカデミックの世界での認識の違いという、学生時代に戻ったようなものになった。私たちはいつも通り、和気あいあいと話しているのだが、問題は車がはいているオールシーズンタイヤ。これが非常にうるさい。

いつもであればテーブルをはさんでコーヒーを飲みながら、小声で話すような話題だ。しかし、窓を閉め切っても鳴り響く走行音に、後部座席の彼は身を乗り出し、私は話すときだけ口をむけては大音声で話さなければならない。口調もだんだん荒々しくなる。

「んなこたぁわかるけどサァ! フィクションとしてぇ! 面白いのが!大切じゃん! 1984からこっち全体主義って言ったら」

ゴォー(走行音)

「えぇ?なぁに?」

「だからぁ! オーウェルの1984!」

「あぁ! ジョージ・オーウェルね! それはわかるよ! でもねぇ! 当時から学校ではきちんと」

ガタガタゴォー(走行音)

「あぁ? なんつった?」

思い返せばこのとき、いびきが聞こえなかった気がするのだ。朝方到着した盛岡の朝市で、眠そうにしているドラマーの彼は目をこすりながら言った。

「いやぁ、てっきりケンカしてるのかと思ってさ。やべぇと思って寝たふりしちゃったよね」

彼もいいヤツなのである。

おはなしというのは、やさしくするものだと改めて感じ入る出来事だった。文章だって、きっとそうだろうと思う。(言語研究者)

手と耳と鼻で自然を観察 《宍塚の里山》85

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講演する北村まさみさん

【コラム・森本信生】私たち「宍塚の自然と歴史の会」では、毎月、里山について学ぶ「土曜談話会」を開いています。昨年10月の談話会には、手話通訳者の北村まさみさんを招き、「障害者と里山」の題で話してもらいました。今回はその内容の一部を紹介します。

講演では、障害者と共に行う様々な行事についての話がありました。例えば、雄蕊(おしべ)と雌蕊(めしべ)や、受粉の様子を手話でどう表現するか―などです。植物の様子を的確に捉えていて、大変面白いものだったそうです。

また、暗闇の道を、目が不自由な人が目の見える人をリードする話。さらに、話をせずに情報をどのように他人に伝えるかを、言葉が不自由な人から教わる話。北村さんによると、このような活動を、つくば市の産業技術総合研究所など、いろいろな所で行ってきたそうです。

この流れで、北村さんに企画をお願いし、私たちの会でも「手と耳と鼻で楽しむ観察会」を開きました。木々を触り、植物の匂いを嗅ぎ、なめて味を確かめ、鳥の声を聞き、その気配を感じる―といった、他では体験できない観察会です。視覚以外で自然を感じる面白い観察会でした。

障害を持つ方も楽しめる里山

講演では、「障害は社会がつくる」という言葉が印象に残りました。車いすで移動ができないとか、視覚や聴覚が不自由なために危険を感じるのは、バリアフリーでないからです。社会の仕組みが、障害をより深刻化させているのです。そういったことは、仕組みを変えることで改善できます。

目が不自由で文字を読めなくても、情報機器の発達で軽減されつつあります。文字が直接書けなくても、スマホの音声入力やパソコンのキーボードで可能になっているからです。

事故や病気によって、いつ障害者になるかはわかりません。また、だれでも老化します。障害者が住みやすい社会は、高齢者にも住みやすい社会です。私たちは、障害を持っている方でも里山を楽しめるよう、活動を続けたいと思います。(宍塚の自然と歴史の会 理事長)

公有地売却に見る つくば市の牽強付会 《吾妻カガミ》125

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市の「高エネ研南側未利用地土地利用方針」を読んで、「牽強付会(けんきょうふかい)」という四字熟語が浮かびました。「自分の都合がいいように強引に理屈をこじつけること」という意味です。市はこの未利用地を民間に一括売却する方針を打ち出し、市民に意見を求めましたが、強引に大方の市民は賛成とこじつけたからです。

運動公園用地 強引に民間一括売却へ

つくば市長の五十嵐さんにとって、高エネ研南側未利用地(総合運動公園用地)問題をどう片付けるかは最大の課題です。そこで、市民の声を聴いて市政を進めるという「五十嵐スタイル」に沿って、民間一括売却案を市民がどう思っているか、パブリックコメントの手法を使って意見を聴取しました。

その内容が議会に配られた「…土地利用方針」に出ています。その概要や市議と市側の質疑応答については、記事「『反対は一部』と民間一括売却 パブコメ受け最終方針…」(1月11日掲載)をご覧ください。

意見を寄せた77人のうち、A:明確に賛成した人が2、B:賛成も反対もせず別の利用法を提案した人が57、C:明確に反対した人が6、D:反対して別の利用法を提案した人が7、E:その他が5人―と分類されています。市は、Bの57人は反対ではないから基本的に賛成とこじつけて解釈、「民間一括売却は支持された」と結論付けたそうです。

何が何でも民間一括売却を押し通そうと、パブコメを曲解する「牽強付会」の見本のような整理の仕方です。常識的には、賛成(A)2人、反対(C+D)13人、対案(B)57人―と分類。対案提出者は賛成ではないのだから、反対多数(B+C+D=70)と集約すべきでしょう。

市民の声を知るには住民投票が一番

「クロ」を「シロ」と仕分けした市も、鋭い市議から「その分類はおかしい」と指摘され、まずいと思ったのか、記事「民間一括売却『明確に賛成』は2.5%…」(1月12日掲載)にあるように、対案提出者(B)57人を賛成に分類することを取り止めたそうです。

それでも、民間一括売却は強行するそうですから、思考経路はどうなっているのでしょうか? 何のためのパブコメだったのでしょうか? 市民の声を大事にする市政を捨て、市民の声を軽視することにしたのでしょうか?

市の最初のパブコメ分類は問題ですが、それに応じた方々が市民の代弁者であることは間違いありません。でも、少ないサンプルで市民の声を計るのは正しくありません。そこで提案です。市民の声を広く聴くため、市長発意による住民投票(総合運動公園の是非で実施)か、サンプル数が多い無作為抽出調査(土浦市との合併の是非で実施)をやったらどうでしょうか?

五十嵐さんは、市民発意(署名活動)による住民投票で、前市長の総合運動公園計画を撤回に追い込んだ活動家です。そのスタイルを貫くには、どちらかの方法で民間一括売却に賛成か反対か聴くのが一番です。(経済ジャーナリスト)

<参考> パブコメの対案と市の対応

▽対案:防災施設、公園・緑地、道の駅、学校、カフェ・レストラン、キャンプ場、再エネ施設、研究所、テーマパーク、商業施設、陸上競技場など。

▽対応:「提案は(土地を買う)事業者が地域に資する施設を敷地内の一部に配置する上での参考資料になる」と、事業者に取り入れを要望。

プーチンはウクライナ侵攻を決断するか 《雑記録》32

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【コラム・瀧田薫】ウクライナ情勢が緊迫の度を増しています。1月27日、米政府とNATO(北大西洋条約機構)がロシア側の要求「NATOの東方拡大の停止」を拒否したことで、米ロ間の外交交渉は行き詰まりつつあります。すでに昨年12月の時点で、プーチン・ロシア大統領は「米欧がロシアに対する攻撃的路線を続ける場合、適切な軍事技術的対応策をとる」と述べましたが、「適切な軍事技術的対応策」の具体的中身は明らかではありません。

プーチン氏の強硬姿勢は、裏返せば彼の焦りでもあるでしょう。クリミア半島の併合はロシア国内でこそ高く評価されましたが、ウクライナ国内の反ロシア感情に火を付けました。ウクライナ政府はこれを受けてNATO加盟の意思を表明、米欧諸国に急接近しています。この流れを止めなければとの思い、それがプーチン氏をせき立てています。

プーチン氏の強硬策には好材料もあります。米国は国内の分断があって、外国に対する軍事的介入に出る余裕がありません。アフガンにおける米軍の失敗を見て、プーチン氏が「米国の軍事対応はない」と判断しても不思議はありません。

また、米国と欧州、特にドイツとの間には、対ロシア政策において不協和音があります。ドイツはロシアのエネルギー資源への依存度を強めてきており、ロシアとの関係をこじらせたくないのです。中国については、米欧による対ロシア経済制裁をカバーする役割を期待できます。中ロは米国の弱体化を望む点で一致していますし、中国はいざとなれば、全力でロシア支援に向かうでしょう。

戦わずしてNATOから妥協を引き出す?

以上、プーチンの強硬策を後押しする材料はそろっているようですが、これだけで彼がルビコンを渡ることはないでしょう。彼の政策判断のもう一つの条件は、ウクライナ侵攻の費用対効果の問題です。ロシア軍と米軍が直接衝突する可能性は低く、問題はロシア軍とウクライナ軍の衝突にほぼ限定されます。

しかし、この衝突がウクライナ全土に波及するのか、親ロシア武装勢力が実効支配するウクライナ東部に限定されるのか、あるいは、クリミア半島併合時のハイブリッド戦の再現になるのか、それとも英国の情報部(MI6)が示唆する「ウクライナに親ロシア派指導者を擁立する政治的謀略」が発動されるのか、プーチン氏が何をいつ選択するかによって、その後の結果は大きく違ってきます。

そして問題が複雑になればなるほど、その問題のはらむリスクも大きくなります。ウクライナ侵攻はリスクが大き過ぎるとし、プーチン氏は武力侵攻を避けると予想する外交・軍事専門家もいます。プーチン氏の真の狙いは、戦わずして米国とNATOから妥協を引き出すことにあるとの見方です。

結局、プーチン氏がどう出るか、今の時点で予想はできません。ただ、武力侵攻のあるなしに関わらず、ウクライナ危機が長期化し、国際紛争の火種であり続ける事態を覚悟しておく必要はあると思います。(茨城キリスト教大学名誉教授)

浄化槽設置補助金431万円を過大交付 国・県に返還へ つくば市

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つくば市役所

台所の排水やトイレのし尿を処理する合併処理浄化槽を住宅や事務所に設置する場合に国や県から交付される補助金について、つくば市は28日、会計検査院による国の会計実地検査の事前調査で、2019年度の設置事業について、国と県から過大な交付を受けていたことなどが分かったと発表した。最大で8件分、約431万1000円が過大に交付されたとみられるとして、市は金額を確定した上で、補正予算に計上して3月議会に提案し、県と国に返還するとしている。

市環境保全課によると、高度処理型合併処理浄化槽の費用は家族5人用の場合、工事費も含め100万円前後で、霞ケ浦、牛久沼、小貝川のどの流域に住んでいるかや、浄化槽の性能によって、38万4000円~87万6000円の補助金が国・県・市から交付される。

過大に補助金の交付を受けていたとみられる8件のうち4件は、実際は設置工事が延期されたり中止されたことにより19年度の申請が取り消されていたにもかかわらず、実績報告に含め、国や県から、つくば市が補助金を受けていたという。残り4件は、霞ケ浦・牛久沼流域か小貝川流域か、どの流域にあるかの判断を誤り、本来とは異なる金額で実績報告してしまったという。

流域の確認を誤った4件は、設置者にすでに補助金を交付している。このうち3件は、本来より高い補助金を交付してしまったことから、設置者3件に対し計51万7000円を返還請求する。一方、本来より低い補助金を交付したケースも1件あり、8万9000円を返還するという。

合併処理浄化槽の設置補助金を受けるには、市に交付申請書を提出することが必要で、申請者はどの流域に住んでいるかを書類に記載する。流域が入り組んでいる地区からの申請書類に流域の記載誤りがあったにもかかわらず、市が確認することを怠ったなどが原因という。

同課は再発防止策について、今後は特に注意を要する項目をリスト化し複数人で確認するなど、確認体制の強化を図るとしている。

19年度は同市で合併処理浄化槽の補助金申請が年86件あり、国と県から総額で約3200万円の補助金が交付された。一方、翌年以降について、過大交付がなかったか調査したところ、20年度と21年度分についてミスはなかったという。

小学校 臨時休校に 2月10日まで 県が要請

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新型コロナウイルスの感染が急拡大し、県教育委員会が、県内すべての小学校にリモート学習と分散登校の併用などを要請したことを受けて、つくば、土浦市の小学校はいずれも1月31日から2月10日まで、臨時休校となる。

リモートとプリント授業 つくば市

つくば市は27日、市内すべての小学校と義務教育学校前期課程を臨時休校にすると保護者に緊急メールで連絡した。

県教委が26日、県内の小学校で複数のクラスターが確認されていることなどを踏まえ、リモート学習など感染拡大防止の取り組みを徹底するよう市町村教委に要請。これを受けてつくば市教委がリモート授業の実施を決めた。

つくば市では1月に入ってから毎日感染者が判明し、小学校は2校が休校、6校12学級で学級閉鎖となった。

31日から2月10日までは原則登校はせず、オンラインを活用した授業とプリントなどの学習を行う。ただし、保護者が医療や介護、保育、消防などに従事する場合や仕事の都合などで児童の面倒を見ることが困難な場合、自宅にインターネット環境のない児童は学校が受け入れる。

休校中に登校する児童は、集団で登校する登校班が機能しないため、保護者が学校に送り、午後3時までリモート学習を含めて自主学習となる。登校前の体温測定は必須。給食の提供はされず弁当を持参する。

市は児童クラブや児童館についても利用自粛を求めている。

保育園などの保育施設も感染者が急増して休園する施設が増加傾向にあることから、家庭での保育が可能な保護者に利用自粛を呼びかけている。

中学校の部活動も29日から2月13日まで活動中止となる。

保護者「火事が心配」「受験控える中学も」

31日から、小学校高学年の女児を1人残して仕事に行くという母親(45)は「2年前や昨年夏の休校の時も父親、母親共に仕事を休めなかった。子供は感染リスクを考えて家に居させることを選んだ。学校からタブレット端末が配布されていたが、音が出ない、突然画面が消えるなどの不調があった。今回もタブレットでの授業は大丈夫か、暖房が欠かせないので火事も心配」と不安を口にする。

一方、県立高校受験を控える中学3年の男子生徒の母親(38)は「中学も休校にしてほしい」と言う。「受験に向け、学校で感染しないかビクビクした毎日を送っている。コロナ禍での登校拒否は欠席扱いになるのか担任に聞いたところ、はっきりした返事はもらえなかった。欠席日数は受験する高校に提出され内申書に響くから登校させるしかない」と話す。

同市では2020年春に全国一斉休校し、21年9月には緊急事態宣言下で市内の小中学校が休校した。市教育局学び推進課によると、その経験からか、緊急メールを送信後、保護者からの問い合わせなど混乱はないという。

同課の横田康浩課長は「インターネット環境のない家庭の児童には学校を解放し、すべての児童が公平に授業が受けられるよう配慮している。児童の安全確保のため、自宅での学習に協力をお願いしたい」としている。

1,2年はプリント、3~6年はリモート授業 土浦市

土浦市も原則、登校せず、1、2年生はドリルやプリント学習、3年生以上は学校が用意するタブレットを利用したリモート学習を実施する。

ただし保護者が仕事で日中、自宅にいない家庭や、自宅にインターネットを使える環境がない家庭の児童などは午後2時まで学校で受け入れる。休校期間中、集団登校が実施されないため登校は保護者の送迎で登校し、給食がないため弁当を持参することが必要になる。

放課後児童クラブは、希望者を午後2時から午後6時30分まで受け入れる。

市教育委員会によると28日時点で、市内の小学校と義務教育学校計16校のうち、1校が休校、2校の2学級が学級閉鎖を実施しているという。

保育園や認定こども園など保育施設については、公立、私立いずれも開所を続けるが、保護者が仕事を休める家庭など自宅での保育が可能な園児については、登園を自粛するよう要請している。登園を自粛した場合の保育料は日数に応じて減額する。

公立幼稚園は原則休園とする。ただし保護者が日中自宅にいない家庭の園児は受け入れる。私立幼稚園は各園の判断になるという。

県内は27日から2月20日までの25日間、まん延防止等重点措置が適用されている。県は重点措置の対策を発表した22日時点では、学校の対策は部活動の大会中止などのみだった。その後、県内で小学生の1日の感染者が100人を超えた日があったこと、小学校で複数のクラスターが確認されていることなどから、県は26日、対策を追加した。

県内の27日時点の感染状況は、つくば市の新規感染者は県内で最も多い97人、土浦市は28人。27日の県全体の児童の感染者は、新規感染者の12.6%の98人、未就学児の新規感染者は9.4%の73人となっている。(橋立多美)

カスミの新業態「BLANDE」つくば並木店オープン ウエルシアと売場融合

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開店時刻を前にオープンを待つ行列ができたBLANDEつくば並木店=つくば市並木

食品スーパーのカスミ(つくば市、山本慎一郎社長)が28日、つくば市並木4丁目に新業態のスーパーマーケット「BLANDE(ブランデ)つくば並木店」を開店した。ドラッグストア大手のウエルシア薬局と売り場、レジを一体化したのが特徴で、医薬品を除く化粧品や日用品などを食料品とまとめて決済することができる。「フード、ヘルス、ビューティー&ウエルネス」をコンセプトにし、より利便性の高い新しいスーパーマーケットの形を目指す。1号店は売場面積2353平方メートル、年商目標は16億円。

早速にぎわう果物売り場=BLANDE店内

食料品ではカスミのプライベートブランド「MiiL KASUMI(ミールカスミ)」でオリジナル商品を作り、地元ならではの品やこだわりの品をそろえる。総菜売り場ではアジアン、エスニックなどさまざまな国のメニューのデリカを用意。お酒売り場ではアプリを活用して好みのワインを探せたり、有料でワインテイスティングしたりできるコーナーも展開する。つくば市手代木のイタリアンレストラン「TRATTORIA E PIZZERIA AMICI(トラットリア・エ・ピッツェリア・アミーチ)」が監修した焼きたてピザも提供する。

レジを通らずに買い物できるスマートフォンアプリ「Scan&Go Ignica」を利用した会員制プログラム「BLANDE Prime」の導入も新しい試み。ブロンズ、シルバー、ゴールドと3つの会員グレードを用意し、有料会員はオンラインデリバリーの配送料無料やカスミの管理栄養士による健康相談、コーヒー1杯無料などのサービスが受けられる。

有料会員用の管理栄養士によるヘルスサポートコーナー=同

カスミによると、「ブランデ」は「混ざり合う」の意味で、人や食、文化が、商品・サービスを通じて交じり合うことを目指している。山本社長は「カスミは開業61年目となった。次の時代に合わせてスーパーマーケットをメタモルフォーゼさせていく必要がある」と話す。ウエルシアにはカスミ側から呼び掛け、協業が実現したという。「BLANDE」ではつくば市にこれまで出店している「カスミフードスクエア」とは違った新しい店舗づくりをしていくという。

同ショッピングセンター敷地内の「BRANDE」東側には4月に無印良品がオープン予定。「BLANDE」2号店は2月に同市研究学園にオープンを予定している。2号店はウエルシアとの協業ではなく、「食」に特化した滞在型の店舗を想定しているという。(田中めぐみ)

高田保の「ブラリひょうたん」 《ひょうたんの眼》44

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あの花もこの花もみな春の風 高田保の句碑(土浦市・亀城公園)

【コラム・高橋恵一】高田保は、土浦出身の劇作家、映画監督、舞台演出家、随筆家である。旧土浦町の旧家に生まれ、子供のころから気遣いができて話も面白く、同級の者以外とも交流するなど、人望が厚かったそうだ。

旧制土浦中学(現在の土浦一高)を経て早稲田大学の英文科に進み、頻繁に銀座に現れるなど生活を謳歌(おうか)したという。中学の入学試験はトップだったが、2位には阿見町出身の下村千秋がおり、その後、2人とも文筆の道に進んだ。

保は、大学在学中から新劇運動に参加。戯曲に取り組んだり、劇団の脚色、演出、小説の執筆など、幅広い分野で活動。人柄もあって幅広い付き合いがあった。

東京日日新聞(現・毎日新聞)の学芸部長だった阿部真之助から、菊池寛を顧問とした学芸部社友に、大宅壮一、横光利一,吉屋信子らとともに招かれ、活躍。彼らの文章を評して、「マクラの阿部真之助、サワリの大宅壮一、オチの高田保」と言われたこともあるという。

戦時中から体調を壊し、大磯(神奈川)に住まいを移し、晩年は、同じ大磯の志賀直哉の旧居に住んだ。

戦後、1951年の12月から、東京日日に、1日1文「あとさき雑話」を書き始め、新年からは表題を「ブラリひょうたん」に改めた。なぜ、ブラリなのか? なぜ、ひょうたんなのか? 1951年元旦のテーマは、「ブラリズム」だった。立つ位置を縛られず、真実と平和を、軽妙な文章で追及する意思、と私は読んだ。

この随筆では、保の豊富な才能がいかんなく発揮された。政治・社会から、文化・芸術まで、軽妙に取り上げ、菊田一夫(劇作家)と紙上で手紙を交換したり、廣津和郎(小説家、評論家)からは、他の記事を読まず、「ブラリひょうたん」だけを毎日待っていたと言われたりしている。

保と母の葬儀は土浦で一緒に

「ブラリひょうたん」で、私が気に入っている一つに、「税金と文化」に登場する奈良の「日吉館」という宿屋の話がある。古美術研究者など、金のない研究者たちが滞在できる宿屋として有名だった。

そこに、学生たちがコメだけは背負って来たから、安く泊めてくれと言ったら、50円でよろしい、その代わり、他の客より1時間早く起き、できるだけ沢山観て回りなさい、と答えたそうだ。

日吉館に居候のように巣食って、その後、有名な学者になった人も少なくない。古都の奈良美術を誇りとしている宿屋の気概を紹介するエピソードだが、この宿屋に、他の高級旅館並みの税金が課されて、宿屋の存続が危うくなったので、課税のあり方を考え直すべきだという内容である。

保の一面に、母親とのかかわりがある。旧士族の妻として、毅然(きぜん)とした振る舞いが、活け花の話題などで紹介される。

大船の母親のところには、30日か31日には年の暮れの挨拶に行き、元日にも年頭の辞を述べるために、大磯から行ったそうだ。その後、母親は土浦に疎開したのだが、「ブラリひょうたん」を休むと、母上が心配するからと、休みなく書き続けたという。

母親危篤の電報は、保の大喀血(かっけつ)の前日に届き、双方が死を知らなかった。2人の葬儀は、土浦で同時に行われたという。(地図好きの土浦人)

内臓脂肪に機能性成分 農研機構開発ミールセット、3月発売へ

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おかず4種類、もち⻨ご飯、緑茶で構成される「NARO Style PLUS」ミールセット(解凍した個食パック)

超高齢社会に向け、健康維持に配慮した食事を摂ってもらいたいと農研機構(NARO、つくば市)の設計したミールセットが近く、売り出される。26日、お披露目されたのは「NARO Style PLUS(ナロスタイルプラス)」。特に内臓脂肪の低減が期待される献立になっている。

ミールセットは50%もち麦ごはん、おかず4種類、緑茶粉末から構成される。β-グルカンを含むもち麦「キラリモチ」、カテキン豊富なお茶「べにふうき」など機能性成分を盛り込んで10メニューを用意した。

機能性表示食品制度の始まった2015年から、農研機構はその科学的根拠を確認する研究を推進してきた。陣頭指揮に当たったのが食品研究部門の山本万里エグゼクティブリサーチャーで、機能性成分を多く含む農産物を使用した弁当メニューの「NARO Style」を設計。18年からは肥満傾向にある被験者を対象にヒト介入試験を行い、平日の日中1食を一定期間継続して食べることで、内臓脂肪面積の減少が認められたと報告した。特に女性がもち⻨ごはんを摂取すると、他の機能性農産物より顕著に内臓脂肪が低下した結果が得られたという。

ヒト介入試験(2017)の結果 試験開始内臓脂肪面積が100〜127㎠の被験者や女性被験者が50%もち麦ごはんを摂取すると、他の機能性農産物群より顕著に内臓脂肪面積が低下した=農研機構提供

今回の「- PLUS」は製造、販売にフローウィング(本社・兵庫県姫路市)の参画を得て、量産体制を整えた。献立は、おかずを弁当の3種類から4種類に増やした。酢鶏などをメーンに豆類を素材とした副菜を追加している。管理栄養士によれば、10メニュー平均で1食当たり584キロカロリー、たんぱく質28グラム、脂質17グラムと栄養バランスを整えた。食塩相当量は1.35グラム、通常販売されているお弁当の約2.5グラムと比べ大幅な低塩分を実現した。

ミールセットは現在、三重県亀山市で市民100人に8週間継続して食べてもらう社会実証試験に提供されている。ここでも医療負担の増大が懸念される超高齢社会に向け、生活習慣病対策、特に内臓脂肪を増加させない摂食を通じた健康維持がテーマになっている。

フローウィングは、1日20万食を提供する体制を整備中。家庭などへ配達する個食パック、社員食堂や施設など配膳で利用する業務用の2つのパッケージを用意し、それぞれ冷凍食品、冷凍湯せんパックとして3月にも売り出す。

小売価格は、おかずパックが546円(税別)から。もち麦ごはん、緑茶粉末を加えたセット価格は1食880円程度からになりそうだが、フローウィング田中勝久社長は「価格優先だと安かろう悪かろうとなる恐れがある。栄養と量を落とすことのないよう価格設定をしていきたい」としている。

Amazon、yahooなどのほか、調剤薬局や介護施設などを通じた新たな流通チャンネルへも展開していく構えだ。(相澤冬樹)

関東にも降灰の影響 巨大噴火火砕流の分布図公開 産総研

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噴火の規模と過去の事例=産総研地質調査総合センター提供

南太平洋の島国、トンガで起きた海底火山の噴火で津波が日本まで押し寄せ、大規模噴火の影響が広範囲に及ぶことを示した。日本には過去10万年でトンガの噴火の100~10000倍もの爆発を起こした火山が数多く存在する。それらの巨大噴火により火砕流がどれくらい広がったのかを示す図が「大規模火砕流分布図」として産総研活断層・火山研究部門(つくば市東)からシリーズで刊行されることになり、第1号として約3万年前の姶良(あいら)カルデラ(鹿児島)の巨大噴火により噴出した入戸(いと)火砕流の分布図が25日に公開された。

姶良カルデラの巨大噴火は火山爆発指数7で、トンガの噴火の約100倍(体積比)も大きかった(上図)。シリーズ刊行に当たり新たなボーリング試料や海底での火砕流分布のシミュレーション結果も検討した結果、入戸火砕流と火山灰の総噴出量800〜900立方キロメートルであることが明らかとなった。これは従来の推定値より約1.5倍大きい。図幅では火砕流に伴う降灰分布も示しており、関東地方では10センチ程度積もったと推定されている。

関東地方では姶良カルデラ以外にも、巨大噴火による火山灰が積もっている(下図)。

関東地方に降灰をもたらした噴火と推定降下範囲。ピンク色が入戸火砕流にともなう姶良Tn火山灰、緑色が阿蘇4火砕流に伴う火山灰、青色が鬼界カルデラ起源の幸屋火砕流にともなうアカホヤ火山灰、オレンジ色が阿多火砕流に伴う火山灰の分布=同

姶良カルデラは約3万年前の噴火しか確認されていないが、鬼界カルデラ(鹿児島)は約7000年前と約9万5000年前の2回、阿多カルデラ(鹿児島)は約10万年前と約24万年前の2回、阿蘇カルデラ(熊本)は約27万年前、約14万年前、約13万年前、約9万年前の4回の巨大噴火が確認されており、いずれも火山爆発指数は7、約9万年前の阿蘇カルデラの噴火の火山爆発指数は8と推定されている。これらの火山についても順次、大規模火砕流分布図が公開される予定で、関東地方に具体的にどれくらい降灰があったかについても最新の知見が公開される。

下司信夫研究グループ長は「降下火山灰の対策については難しいところがあるが、どうやって除去するかが大きな課題になる」としている。(如月啓)

洞峰公園の薔薇とイギリス文化の香り《遊民通信》33

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【コラム・田口哲郎】
前略

初夏のころ、つくば市にある洞峰公園のプール棟前には薔薇(バラ)の花が溢(あふ)れます。ローズガーデンさながらの種類と本数です。この薔薇園を特に入場料を払わずに鑑賞できるのは、とてもありがたいと思います。色とりどり、鮮やかさなど、さまざま楽しめるのはもちろん、香りがとてもよいのです。あまり強くなく、かすかですが、ふわっと心地よく、非日常に連れていってくれるような匂い。デパートに売っている高級な香水を思わせます。

さて、私は夢中で写真を撮ったのですが、ある写真を見返して思わずつぶやきました。「こりゃ、イングリッシュだな」と。マリーナという品種が、プール棟のレンガ風外壁とガラス屋根を背景に濃いオレンジ色に咲きほこっています。

西洋の伝統を感じさせるレンガと近代を物語るガラスに薔薇とくれば、水戸偕楽園の好文亭に梅林といったおもむき。イングリッシュの本体もそばにありました。クィーン・エリザベス。「われらが女王陛下のために」と、どこかで聞いたことがある言葉が思い浮かぶほど、その薔薇は我こそ薔薇なりと言わんばかりに堂々と咲いていました。

クィーン・エリザベスで思い浮かんだ言葉は、シャーロック・ホームズのセリフだった気がします。19世紀、大英帝国華やかなりし時代の物語です。シャーロックは犯罪者を推理のすえ、いよいよ追いつめようと、相棒のワトスン君とベーカー街の部屋を飛び出すときにそう言います。そういえば、NHK BSでイギリスのグラナダテレビジョン制作の「シャーロック・ホームズの冒険」が絶賛再放送中です。

大西洋の島国と太平洋の島国の文化

主演は大手菓子メーカー、キャドバリー社の御曹司ジェレミー・ブレット。イギリス紳士を演じさせたら右に出る者はいないハマリ役です。テレビドラマを含めてシャーロック・ホームズ好きは、シャーロキアンと呼ばれて日本全国に大勢いるのはご存知の通り。ホームズが人気があるのは、推理小説としての面白さもさることながら、その背後にあるイギリス文化をぷんぷん匂わせているからでしょう。

思えば、イギリス文化は日本に絶えることなく入ってきますね。ザ・ビートルズをはじめとするロック・ポップスから、レ・ミゼラブルのようなミュージカル、シェイクスピア演劇、ブロンテ姉妹、ジェーン・オースティンの小説、モンティ・パイソン、ミスター・ビーンのようなコメディまで、数えればきりがないです。

慶應義塾の政治思想の講義で、イギリスは島国で、文化がゆっくり独自の特徴を持つようになった、それは島国の日本も似ている、と聞いたことがあります。派手ではなくとも渋くて味のある文化が、洋の東西に位置する島国に蓄積しているのは愉快です。ヨーロッパ文明の波はますます押し寄せます。

今さらですが、英国から学ぶことは多いでしょう。そして日本もあちらに文化を大いに輸出するべきです。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

雪の降った日に 《続・平熱日記》102

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【コラム・斉藤裕之】新年早々降り始めた雪。たまたま初売りで買った長靴がこんなに早い出番を迎えるとは…。犬のハクは散歩が待ちきれない様子。歌にあるように、犬は雪の中でテンションが上がることは間違いない。ただ喜んでいるのかどうかは分からない。とにかく白い雪の中を狂ったように走り回る。

白い犬だからハクという名前なのだが、真っ白い雪の中にいると白くもなんともない。むしろ小汚くさえ見える。

白という色を初めて意識したのは…。自分の才能も顧みず、親や先生の忠告を無視して絵を描こうと決めた高3の夏。門をたたいた絵画教室で私を待ち受けていたのは、石膏(せこう)像と呼ばれる白い胸像たち。そもそも、黒い木炭で白い物を描くという時点でお手上げなのだが、朝から日没までひたすら石膏像を描く日々。

そして、絵を褒められることはついぞなかったが、「斉藤はがんばっちょる」という先生の一言で夏は終わった。

それからどのくらいたったのだろうか。白い石膏像が美しいと思えたのは、黒い木炭が影を自在に描く道具だと分かり、しかもその影は暗いのではなく仄(ほの)明るいと分かったとき。石膏像は柔らかな白だと分かったとき。なるほど「日」と「白」という漢字は関係があるような気がする。

群れてしまうと灰色になる?

それから、アトリエを少しだけ模様替えした。少しだけというのは、そもそも半分以上は物置のようなものだから、部屋全体に手を付けるにはそれなりに覚悟しなければならないからだ。何年分かのガラクタ?ゴミ?

いや、かつてはモチーフだったものや、描こうと思ってほったらかしたものたち。ハチの巣、鉄の部品、磁石、松ぼっくり、ハスの実、削りかけのさじ、抜けた歯…。どれもホコリまみれ。ホコリは、もともと様々な色の繊維などが集まっているものが光学的にグレーに見えるらしい。

子供のころ、パレットに余った絵具を混ぜるとなんだか汚い色になった、あれと同じ理屈だ。いろんな色を持った人も、群れてしまうとグレーになってしまう?のかな。

都会で知ったスノッブな白

さて机の位置も変えたし、新鮮な気持ちで描き初め。まずはお水取り。何年も使っている半分にカットしたペットボトルに水を入れる。それから新しいパレットを用意。これはもう長いこと牛乳パックを半分に切ったものを使用。牛乳パックの白は色がよく分かるし小さな絵を描くのにはちょうどいい。

日本海側では記録的な大雪らしい。物質の三態から言えば、水、水蒸気、氷。そうすると、雪はなに? 空から降ってくる不思議な白いもの。

「ねえ、ハクは少しずつ茶色くなってない?」と、カミさん。言われてみればそんな気もする。「これって何色って言ったらいいの?」「……」。そうだ、オフホワイト! 都会で知ったスノッブな白。私には似合わない白。(画家)

カエル像36体の物語 つくばテクノパーク桜 住民ら絵本づくり

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まわしを付けポーズをとる「はっけよいカエル」=つくば市桜

つくば市桜のまちづくり団体、テクノパーク桜まちづくりを考える会(水谷浩子代表)がこのほど、地区内のあちこちに36体あるカエルの石像を主人公に、絵本『36ぴきのかえるちゃん』(A4判、20ページ)を制作、発行した。同会の古場容史子(よしこ)さんが朗読を担当し、YouTubeでも読み聞かせ動画を配信している。

36体のカエルの石像が会議をし、音楽のあるまちづくりをしていく物語。代表の水谷さんを中心に会員らが考え、筑波大学卒業生の高橋理恵子さんが絵本のイラストを描いた。

テクノパーク桜は1997年に、土地区画整理事業により完成した。筑波大学の東に隣接し、商業施設や住宅、研究施設が立ち並ぶ。同会は2009年に地域の良好な環境を守り、まちの活性と交流を目指すことを理念として発足。桜まつりや街角音楽会などさまざまなイベントを実施してきた。

地区内には事業の完了時点で、さまざまなポーズの36体のカエル像が設置されていた。腕を組んだり、ほおづえをついたり、一体一体ポーズが異なる。

代表の水谷さんは1998年からテクノパーク桜に住んでいる。当時はカエル像を気に留めていなかったが、ある時、数を数えたら36体あることが分かり、また1体ずつポーズが違っていることから興味を持ち始めたという。絵本の制作について「コロナ禍で会の活動がなかなかできなかったので、カエルの本を作ってお店に置いてもらったら街のことを知ってもらえるのではないかと思った」そう。

当時、石像を製作したのは桜川市に住む岩瀬照夫さん(72)だ。岩瀬さんは「ずいぶん前のことで記憶があいまいだが、注文を受けて制作した。カエルのデザインについては一任されていた」と話す。両国国技館(東京・墨田区)前に設置する四つに組んだ力士の像を手掛け、その制作のすぐ後にテクノパーク桜のカエル制作を始めたため、力士の姿をしたカエル像を思いついたという。

同会ではカエル像を皆に知ってもらい、地域の宝にしたいと、2019年に「カエルまっぷ」を制作した。一体ずつポーズの異なる像を「まねきカエル」「かたつむりカエル」「まんぷくカエル」などと名付けた。相撲のまわしを付けてポーズをとるカエル像は「はっけよいカエル」と名付けて、イラストを付けて36体をマップで紹介した。イラストは絵本と同じ高橋さんが描いた。

36体のカエル像をモチーフにした、マップに続く第2弾の取り組みとなる。カエル像は歩道に車が入ってこないようにする車止めの役割を果たしているものもあるが、36体作られた理由や配置については謎のまま残された。

「テクノパーク桜まちづくりを考える会」左から代表の水谷さん、会員の古場容史子さん、古場泉さん=ウェルネスシティつくば桜内クラブハウス

「テクノパーク桜は新しい街なので伝統がないけれど、ここで育つ子どもたちが絵本を見てふるさとを思い出せるよう、ふるさとへの愛着を持てるようにしたい。テクノパーク桜にあるお店の人たちにも愛着を持ってもらいたい」と水谷さん。

絵本は500冊制作し、地区内の商店に置いてもらうほか、保育園などの施設にも配布するという。

動画の朗読を担当した古場さんは「絵本を見ることで、こんなカエルがあるんだよとみなさんに知ってもらいたい。春になって暖かくなったらみんなでカエルを巡り散歩して、楽しみながら興味を持ってもらえたら。とにかくカエルちゃんのしぐさがいい。カエルは他の場所にはない貴重な存在」と話している。(田中めぐみ)

YouTube『36ぴきのかえるちゃん』読み聞かせはこちら

サツマ苗などの自家育成が許諾必要に 《邑から日本を見る》104

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天日乾燥で干し芋づくりを続ける那珂市の船橋芳江さん

【コラム・先﨑千尋】茨城の冬の風物詩はなんといっても干し芋づくりだ。寒風にさらされ、日の光を浴びた干し芋をこたつでお茶を飲みながら口にする。のどかな感じがする。もっとも最近では、天日乾燥は少なく、ほとんどが機械による人工乾燥になっているので、昔ながらの風景は少なくなっている。

今月13、14日には、ひたちなか市で2年ぶりの干し芋品評会が開かれ、干し芋ファンの人気を呼んでいる。その干し芋、最近は見た目がきれいで、軟らかめが好まれ、昔からの作り手は「これは干し芋ではない」と不満たらたらだ。

その干し芋の原料であるサツマイモは、3月になれば畑にイモを伏せるなど今年の準備に取りかかる。大体は、昨年収穫したイモから良質のものを選び種イモとするが、今年は今までと大きく事情が違う。

それは、昨年の国会で種苗法が改正され、つくば市にある農研機構などが育成し、登録した品種を対象に、農家が作ったものの一部を育てる自家増殖を原則禁止することになったからだ。この改正は、登録品種の海外への流出を防止するのがねらいだと国は説明している。

背景には、ぶどうのシャインマスカットやサクランボの紅秀峰(べにしゅうほう)などが大量に中国、韓国、オーストラリアなどに流出していることがある。サツマイモでは、人気が高い干し芋用の紅はるかが同じように海外に流出している。中国でのシャインマスカットの生産は、国のデータでは、栽培面積が日本の30倍以上、韓国でも日本の栽培面積よりも多い(2018~2020年)。

この種苗法の改正によって、生産農家が自家で苗を採る時にどうすればいいのか。これまでだったら、手続きは要らないし、カネもかからない。

農家にとっては一大事なのに

4月からは、稲や麦類、大豆、ソバなどは許諾の手続きは要らない。サツマイモ、イチゴ、バレイショ、茶は無償だが、手続きが必要となり、ブドウ、柑橘類、柿、クリ、リンゴなどの果樹類は有償で手続きが必要となる。

サツマイモでみれば、紅あずまや泉13号などの古い品種は手続きが不要だが、紅はるかやクイックスイートなどは該当する。許諾の場合、第三者に譲渡しない、海外に持ち出さないなどの条件が付く。許諾が必要な上に、直売所などで苗を売ることもできなくなる。種苗店で買えば、当然高くなる。

こうした動きは農家にとっては一大事なのだが、何人かの干し芋生産者にこの話をしたら、そういうことは知らないと言っていた。行政やひたちなか市の干し芋対策協議会、農協からは何の情報も流されていないようだ。

農研機構は国の機関だ。育種などは当然税金で行われてきた。それを、いまさら許諾申請、有償などとはおかしな話、ふざけた話ではないか。海外流出が問題だというなら、それはそれらの国で品種登録すれば済むことだ。問題のすり替えでしかない。違反すれば刑事罰ということも聞いているが、それなら農家に周知徹底をしなければなるまい。

それなのに、大部分の農家はそのことを知らないでいる。この国のやることとは思えないのんびりした話だ。4月からの農村での混乱が目に見えるようだ。(元瓜連町長)

【訂正(26日付)】第6段落「(これまでは苗を)他人にあげたり、売ったりしても構わなかった」の部分を削除しました。種苗法改正前も登録品種の苗を意図的に他人にあげたり販売することは禁じられていました。お詫びし訂正します。

花粉症に新型コロナが紛れ込むリスク《土着通信部》50

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スギの雄花

【コラム・相澤冬樹】杉木立を歩く。花粉症の気が多少はあるみたいだが、そうそうひどい症状に悩まされたことはなく、森の中にも平気に入っていける。今ごろの時期になると、飛散のタイミングをうかがっているのだろう、スギの雄花がたっぷりと花粉をまとって、枝葉が重たげだ。

立ち止まって見上げていると、鼻の奥に引っかかるものがある。出そうで出ない、くしゃみ。不意に疑問が浮かんだ。

新型コロナの感染拡大が初めて伝えられたのは2年前、ちょうど今頃の時期だった。あの時、風邪の諸症状のなかで、熱や咳や倦怠感にコロナを疑っても、くしゃみと鼻水だけならまず大丈夫、と聞いて安心したように思う。感染症怖さに、軽度の花粉症ぐらいでは医者に行きたくない気分が支配的だった。

2年経って、今度はオミクロン株である。一般に重症化のリスクは低いといい、無症状の感染者が多いとの報告もある。それこそ風邪の諸症状どころか花粉症と見分けがつかないとしたら、逆に厄介だ。今度ばかりは、くしゃみも気にかけた方がいいのだろうか。

そうそう、くしゃみが出そうになるとマスクを外したくなる。くしゃみの飛沫のかかったマスクは使い続ける気にならないから、つい外そうとするのだが、飛沫をおびただしいほど周囲にばら撒く行為で感染対策上、好ましいことではない。

花粉症患者の中に、新型コロナが紛れ込む可能性とリスクが高まっている。常識的にはマスクをきちんと装着し、うがい・手洗いの励行、不安を覚えたらかかりつけ医師に相談をということだろう。

例年「並」なら多く飛ぶ?

この春、花粉(スギ、ヒノキ)の飛散はどうなのだろう。この1、2年コロナ禍に押されるように、メディアもすっかり花粉症の動向を取り上げなくなった。

環境省が昨年暮れに発表した「スギ雄花花芽調査」では、2021年6月から7月の日照時間が前年より大幅に増加した東北南部から北陸、関東でスギ雄花は前年よりかなり多くなっていたと報告した。猛暑の翌年には、春の花粉飛散量が増えるのが相場だから、気になる報告だった。

日本気象協会の2022年春の花粉飛散予測は、第3報(1月20日)まで出ている。「花粉シーズンは2月上旬に九州や四国、中国、東海、関東の一部からスタートする見込みで、1月のうちから花粉対策が必要となりそうです。飛散量は東海や北陸、関東甲信、北海道で前シーズンより多いでしょう」とある。茨城県についての飛散量は例年比、前年比とも「並」としている。

「並」なら、やっぱり多く飛ぶってことだよね。ううむ、鼻の奥がすっきりしない。不意に――ックション。

くっさめ、くさめ 誰か噂をしている。(ブロガー)

AIが通院や受診を支援 高齢者ら参加しつくばで実証実験

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実証実験の乗り合いタクシーに乗車し、車内でタブレットに顔をかざして顔認証で病院の受け付けを済ませるデモンストレーションをする五十嵐つくば市長=22日、筑波大付属病院

つくば市内で、AI(人工知能)などの先端技術を使って、高齢者や障害者の通院や受診を支援する「つくば医療MaaS(マース)」という実証実験が17日から実施されている。

スマートフォンの専用アプリで自宅に乗り合いタクシーを呼び出し、同じ方面に向かう人同士が乗り合わせて最短ルートで病院に向かったり、タクシーの車内で顔認証により病院の受け付けを済ませたり、病院の玄関から自動運転の車いすに乗って受診する診療科まで連れて行ってもらうなどだ。

国交省の事業に採択され、茨城県、つくば市、筑波大、民間企業など74者が参加する「つくばスマートシティ協議会」(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組んでいる。

高齢化率が高い小田と宝陽台の2地区を中心に、筑波大付属病院や筑波学園病院など市内6病院を結ぶ経路上にある98地区から参加者を募って、2月14日まで約1カ月間実施している。

対象地区の住民なら、専用アプリを自分のスマートフォンにダウンロードして登録すれば、だれでも実証実験に参加することができる。実証実験に参加しているタクシーは2台。期間中に98地区から6病院までを行き来するタクシーの乗車料は無料。22日時点で約180人が登録し、44人が実際に送迎などを利用したという。

AIによる乗り合いタクシーの通院ルート最適化が公共交通政策に反映できるかや、顔認証による受け付けで患者の待ち時間や病院の事務がどのくらい軽減するか、自動運転車いすが患者や付き添い者の負担をどのくらい軽減できるかを検証などする。ほかに病院内の防犯カメラの映像を使って、個人情報を除いた上で院内の人の流れの解析などをしている。

デモンストレーションで、五十嵐市長(中央)を病院の玄関から院内の採血場所に連れて行く自動運転の車いす=同

22日、五十嵐市長らが参加して筑波大付属病院で実証実験のデモンストレーションが催された。乗り合いタクシーと自動運転車いすに乗った五十嵐市長は「何の迷いもなく安心感をもって乗ることができた。ひじょうにスムーズ」と感想を話した。

同協議会幹事の鈴木健嗣筑波大教授は「病院にどうやって行ったらいいかとか、採血室はどこだろうとかなど、患者の不安を少しでも軽減できたら」と述べ、西山博之同病院副院長は「付属病院の1日の外来患者2000人のうち、杖をついていたり、荷物を持っていたりして補助が必要なケースが1日5~10件ある。(自動運転車いすなどで)自動化されれば(介添えなどの)マンパワーを他のところに充てることができる」と実用化の期待を話し「自動化された未来の病院像の設計を考えていくためにも実証実験は重要になる」などと語った。

◆実証実験の参加方法はつくば市ホームページへ。

まん延防止重点措置の適用を国に要請 知事

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの新規感染者が急増しているとして、大井川和彦知事は21日、国にまん延防止等重点措置の適用を申請したと発表した。

対象地域は1週間当たりの新規感染者数が人口1万人当たり1.5人以上の市町村で、21日時点で44市町村のうち、つくば、土浦市を含む41市町村が対象となる。対象地域は状況を見ながら柔軟に変えていく。

オミクロン株が主流の今回は、医療崩壊の危険までまだ余裕があるが、新規陽性者の急増の度合いが第5波の3倍の速さで拡大し、社会経済活動が危機にさらされる恐れがあるとして、従来より早めの申請をしたとしている。

学校の対策を強化

特に20代以下の感染がひじょうに増え過半数を占めているとして、学校の対策を強化する。重点措置が適用となった場合、対象市町村の学校は、部活動の練習試合は県内の学校同士2チーム以内、県内大会は原則、延期または中止、関東大会や全国大会などは全参加者の陰性を確認した上で実施するよう要請する。合宿など宿泊を伴う活動は自粛、修学旅行は、旅行先が重点措置の対象地域であった場合は延期または中止を要請する。

適用されれば、飲食店に対しても再び営業時間の短縮を要請する。ただし今回は①酒類を提供せず午後8時以降、営業自粛とするか、または②酒類を提供し午後9時以降、営業自粛とするか、どちらかを選んでもらう。協力金はどちらを選ぶかによって異なり、①酒類を提供せず午後8時以降の営業自粛の場合は中小企業は1店舗1日当たり売上高に応じて3~10万円②酒類を提供し午後9時以降の営業自粛の場合は2万5000円~7万5000円となる。大企業の飲食店も算定方法は別だが協力金の支給対象となる。

ただし会食は、同一テーブルでの飲食は4人まで、イベント開催は感染防止安全計画を策定した場合に限り2万人までとするよう要請する。

県民に対しては、第5波までは不要不急の外出自粛を要請していたが、今回は、リスクの高い場所への外出や移動の自粛、移動先でのリスクの高い行動を避けてもらうよう要請する。

県民を対象に県内旅行費用の一部を補助する「いば旅あんしん割事業」は、新規予約を22日で停止する。既存の予約分については、ワクチン接種証明ではなく検査の陰性証明を条件に割引をそのまま使うことができるようにする。

2月中に高齢者の3回目ワクチン接種を完了へ

一方、3回目のワクチン接種率は現在、県内の病院の医療従事者が64%、福祉施設従事者と入所者が15%にとどまっている。県は、全力で前倒し接種の働き掛けをしていくほか、一般の接種も前倒しして加速させ、高齢者の接種を2月中に完了させ、64歳以下についても順次、前倒しで接種を開始したいとしている。

21日時点の県内の感染状況は、1日当たりの新規感染者数は1週間平均で363.7人と、県独自の判断指標で「感染爆発・医療崩壊のリスクが高い」のステージ4の状況、一方、県内の病床稼働率は132床で「感染が概ね抑制できている」ステージ2、重症者は2床と「感染が抑制できている」ステージ1の状況。総合的には現在、ステージ2の状況となっている。

新規感染者数の年齢は、20代が29%と最も多く、次いで10代が15%、30代が14%、40代が13%。10歳未満も9%あり、20代以下が過半数を占める。一方、60代以上は10%だが、入院患者は70歳以上が過半数を占めている。

今後は、ピークとなるとみられる2月上旬くらいに1日当たりの新規陽性者数が2000人を超え、病床稼働数は500床を超える可能性があると推計されるという。

「しゅぅ〜ぅ〜シャッ」 《写真だいすき》4

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雑貨屋で埃をかぶっていた昔のカメラのミニチュアモデル

【コラム・オダギ秀】「今日はチャチャ」かな。「しゅぅ〜ぅシャ」かな。仕事に行く前には、こんな会話がされていた。これ、なに? 昔、カメラは暗箱なんて言い方をしていたが、そんな時代のこと。

昔、カメラのレンズの前には、ソルントンシャッターというようなシャッターを取り付けた。外付けだ。

ネジが付いていて、巻くとシャッター幕という黒い布がレンズに入る光を遮った。それにはゴムの管と球が付いていて、ゴム球を握ると黒い布は光を通し、ゴム球の握りを離すと、また黒い布が、レンズに入る光を遮る仕掛けになっていた。

つまり、カメラのレンズから入る光を入れたり閉じたりした。それがシャッターだったのだ。

年配の方なら覚えがあるだろう。学校で記念写真を撮るときなど、写真屋さんは「はあい、撮りますよう」とか言って、手に何かを持って握っていたことを。あの持っていたのが、シャッターを開け閉めするゴム球だ。

今のカメラは、そのシャッターを、電子機構などによって、カメラに光を入れる時間を数百分の一秒とか数千分の一秒とかにコントロールしている。カメラやフィルムの感度も、比較にならぬほど高くなった。

ところが、この昔のシャッターの時代には、数百分の一秒なんて、短い時間のシャッターは切れなかった。そんな仕組みは出来ていなかったから、当初の、「チャチャ」になるのだ。

どういうことかと言うと、シャッター速度、つまりカメラに光を入れる時間は、撮影者の手の動きで決めたのだ。空を仰いで、今日は晴れているから、チャっと開けてチャっと閉めるか。チャチャだ。

今日は天気が悪くて少し暗いから、しゅぅ〜ぅと開けていて、シャッと閉めるか、ということなのだ。師匠からは、この口癖のようなシャッターと明るさの関係を仕込まれた。何分の一なんて、キザなことは教わらなかった。「しゅぅ〜ぅシャッ」なんて、呪文のようなことを覚えさせられた。

木製・金属のカメラ三脚の使い方

カメラは木製だった。見事な細工だった。三脚も軽い木製。持ち歩きには便利だった。それがいいとか、味があるとか、そんなことは言わない。そんな時代だったのだ。

だが、木で作られたそんな三脚は役に立った。今はマナーなどまったく気にしない者が多いが、撮影にいい場所取りをするときなど、いい場所を確保した順番は絶対に守らなければならないマナーだった。

自分のカメラの前に後から来たマナーを守らぬ者が出ようものなら、周囲の皆で懲らしめた。そんなときに、木製三脚は木刀になり、渡り合う道具にできたのだ。金属三脚では、懲らしめ過ぎて、大けがしたのがいたなあ。(写真家、土浦写真家協会会長)