月曜日, 12月 29, 2025
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「公平な利用基準を」「予算平等か」不登校支援めぐり議論 つくば市議会

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「むすびつくば」がある市産業振興センター=つくば市吾妻

つくば市議会予算決算委員会(山本美和委員長)が17日開かれ、市が4月から2カ所で委託事業を実施する不登校の学習支援事業をめぐって改めて議論が行われ、「利用希望者への公平な選定基準を設けてほしい」「不登校児童生徒にだけ予算を使うのは平等か」などの意見が出された。

つくば市がNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)と協働で運営している不登校の学習支援拠点「むすびつくば」の契約が3月末で終わることから、市が新年度からの運営事業者を昨年11月に公募した結果、学習塾のトライが1位となり、リヴォルヴが2位となった。市は3月議会が開会した2月14日、トライへの委託事業費として約2100万円を当初予算として議会に提案した。

一方、公募結果を知ったむすびつくばの保護者会が、リヴォルヴによる事業継続を市長らに陳情し(1月20日付)、五十嵐立青市長は3月3日の本会議で、リヴォルヴによる事業を現在と同じ場所で新年度も継続するための事業費など約2300万円を追加提案した(3月3日付)。

紆余曲折する中、市議会文教福祉委員会(木村清隆委員長)の審議を経て(3月9日付)、17日、市議全員がメンバーの予算決算委員会で改めて不登校支援事業に対する審議が行われた。

川久保皆実市議(つくばチェンジチャレンジ)は、不登校児の保護者から出された「不登校児童生徒への公平な公的支援を求める」要望書を引き合いに、「リヴォルヴとトライが受け入れる人数は合計80人で、市全体の不登校小中学生400人の2割しか公的な支援を受けられない。また家庭状況をポイント化した点数で認可保育園の入所が決まるように、利用希望者への公平な選定基準を設けてほしい」とした。川村直子市議(つくば市民ネット)も「公的な不登校支援施設『つくしの広場』の20人を入れても足りない。多くの支援の場を広げてほしい」と発言した。

文教福祉委員会で審議を重ねてきた市議からは、支援を受けられない児童生徒への支援策の検討を求める声のほか、課題は多いが致し方ないという声も上がった。

五頭泰誠市議(つくば自民党・新しい風)は「不登校児童生徒にだけ予算を使っていいのか、通学している子どもと平等か」と発言し、「多様化が言われる今、不登校の子どもは弱者という捉え方はおかしい。学校へのサポートは万全とは言えず、公平に教育費の配分を考えていく必要がある」と述べた。

審議の末、4月から委託事業として2カ所で実施される不登校学習支援事業はいずれも賛成多数で可決された。3月議会最終日の23日も可決される見通し。

文教福祉委員会の委員でもある金子和雄市議(新社会党つくば)は閉会後、NEWSつくばの取材に対し「当初予算が出されていたのに間際になって補正予算を組んだのは例を見ない。しかし議会は子どもたちの立場に立って補正予算を受け入れた。さまざまな意見があるが支援の芽を育てていくことが大事だと思う」と話した。(橋立多美)

土浦で震度5弱、つくば震度4 5人がけが 両市で8万6000世帯が停電

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非常灯以外の明かりが消え闇に包まれた土浦市街地=小松丘陵から3月16日午後11時48分撮影

16日午後11時36分、福島県沖の深さ57キロでマグニチュード7.3の地震があり、土浦市で震度5弱、つくば市で震度4を観測した。

土浦市消防本部によると17日午前9時30分時点で地震による救急出動が計13件あった。16日午後11時50分、同市大和町の商業ビルでエレベーターが停止し2階に閉じ込められていると119番通報があり、救急隊員が出動して20代男性を救出した。転倒しけがをしたなどの通報が5件あり、4人を市内の病院に搬送した。ほかに自動火災報知機が鳴った、水が噴き出すなど消防設備が故障したなどの通報もあった。

つくば市消防本部によると、地震によるけがや事故などの出動は17日午前9時50分時点でないという。

東京電力パワーグリットの停電情報によると、地震により16日深夜から17日未明にかけて、土浦市内で最大4万9030世帯、つくば市内で3万7100世帯が停電した。

JR東日本の運行情報によると17日午前10時現在、常磐線は品川-いわき駅間の上下線の一部に送れと運休が出ている。首都圏新都市鉄道の運行情報によると、つくばエクスプレスは平常通り運行している。

小学6年生の東京大空襲 《くずかごの唄》104

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【コラム・奥井登美子】半藤一利氏の著書に「15歳の東京大空襲」というすさまじい内容の体験本がある。私たちは、小学6年生の夏休み、空襲に備えて東京に子供がいてはいけないと、3~6年生が強制疎開させられた。

学校ぐるみで学童疎開した6年生は、疎開中は寮母さんが足りないので、下級生の面倒をみたり、お医者さんに薬を取りに行ったりと、班長さんと言われながら雑用をこなした。

1945(昭和20)年3月。中学の受験日に備えて、何日か前に一斉に帰京しなければならない。まさか3月10日に東京大空襲があるとは知らず、2~3日前に帰京した人が多い。東京大空襲では、墨田区、台東区、江東区などに、334機の爆撃機が爆弾を落として8万5000人が焼死している。

敗戦から3年経って、小松川高校に転校した私は、友達が空襲体験を語りたがらないのに驚いた。あまりに過酷な体験なので思い出したくないのだ。

やけど跡を懸命に隠す少女

家族が全員壕(ごう)の中で亡くなったのに、自分は生き残ったという人も何人かいた。防空壕という名の、手堀り壕の中は狭い。10人ぐらいでいっぱいになり、中から蓋を閉められてしまう。疎開していて防空壕の仕組みの分かっていない6年生は、火の迫ってくる中、どうしてよいかわからずに立っているうち、蓋が閉まって、中に入れなくなってしまった。家族は壕の中で蒸し焼きになったが、1人生き残ることができたという。

火をよけてガード下に逃げ、3歳の弟の手を握っていたら、手が冷たくなってくる。不安になってよく見たら、弟は死んでいたという友だちもいる。酸素の少ない空気が3歳の子供の背の高さに流れて、酸欠で亡くなってしまったのだろう。背の高さで生死が分かれてしまうこともありうるのだ。

やけどの傷跡を、懸命に隠している少女も何人かいた。みな残酷な体験を忘れようと、必死になって楽しいことだけを探し回っていた。はしゃぎ屋の敏ちゃんが、30年後に「ガラスのうさぎ」を書いて話題になった、高木敏子さんだ。彼女と同じような体験をした少女たちがたくさんいたことを忘れてはいけない。(随筆家、薬剤師)

創薬研究に産学連携拠点 筑波大 クライオ電子顕微鏡お披露目

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300キロボルトのクライオ電子顕微鏡は4メートルの高さ。岩崎憲治教授が指さしているのは試料の投入口=筑波大学TARAセンター

筑波大学生存ダイナミクス研究センター(TARAセンター、つくば市天王台、林純一センター長)は16日、クライオ電子顕微鏡施設のオープニングセレモニーを開いた。競争激化する創薬研究で必須となっている構造解析に不可欠な装置で、セレモニーには研究者ばかりでなく産学官の関係者が集まり、研究の加速、利用の拡大への期待を語った。つくばにおける2号機、3号機となる2台がお披露目された。

クライオ電顕は、液体窒素温度条件下(クライオ)でタンパク質などの生体分子に対して電子線を照射し、試料の観察を行うための装置。タンパク質の立体構造を高分解能で決定する手法として、目覚ましい技術革新を遂げている。2017年その開発に貢献した研究者3人にノーベル化学賞が授与された。以来、日本でも関心が広がり、つくばでは2018年4月に高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所に最初の1台が導入された。

タンパク質の構造解析に威力

TARAセンターには、電子を200キロボルトと300キロボルトにそれぞれ加速する2台の装置が導入され、このほど稼働を開始した。国の2020年第3次補正で総額32億円、全国3拠点に6台のクライオ電顕を措置したうちの2台。新型コロナウイルスや創薬研究のための構造解析に向けた基盤構築を早期に実現するのを目的に、日本医療研究開発機構(AMED)が導入先を選んだ。

導入を指揮した岩崎憲治教授らによれば、クライオ電顕は試料を凍結したまま観察することができるため、タンパク質などの壊れやすい生体高分子、特に分子量の大きなタンパク質複合体の観察に適しているという。創薬研究では治療の標的物質に薬が「くっつくか」の見極めが極めて重要で、特に結晶化というプロセスを介さずにタンパク質の立体的な構造解析が可能なクライオ電顕の可能性は大きい。

装置や撮影技術の高度化の一方、測定試料の事前調製に精緻(せいち)な作業と膨大な労力が必要なのが課題だ。タンパク質の構造決定で自動化が実現すれば、下処理などにかかる回数や時間の大幅な改善が期待できる。遠隔化が可能になればパンデミックのような状況でも研究が継続できると見られている。

本格運用は7月から

今回導入の2台はともに日本電子(本社・昭島市)製。セレモニーであいさつした同社、栗原権右衛門会長は「世界でクライオ電顕を手掛けるメーカーは2社しかない。出遅れていた米国社にようやく追いつき、自動化、リモート化で盛り返してきた。わが社がYOKOGUSHI(ヨコグシ)と呼んでいる産学連携のいっそうの推進を図りたい」とした。

筑波大学に納入した2台のクライオ電顕について説明する日本電子の栗原会長=筑波大学総合研究棟

KEKの千田俊哉構造生物学研究センター長は「KEKでも今回、実験棟を新設、クライオ電顕を移設した。筑波大、物質・材料研究機構と組んで立ち上げたTCEF(クライオ電顕フィート)チームで、利用の一体的な体制整備を進めたい」とした。つくば地区に研究所を構える製薬メーカーからは「勘や経験に頼っていた探索にビッグデータやAI(人工知能)を活用する時代。クライオ電顕の共同利用に期待は大きい」との声も聞かれた。

岩崎教授は目標として稼働の50%を企業支援に当てたいとする一方、「大学は教育機関なので、学生やインターン、電子光学を志す専門家の研修にも役立たせていきたい」とした。筑波大では6月ごろまではトライアル期間として、7月以降課金しての本格運用を目指している。(相澤冬樹)

21日で解除を要請 茨城県 まん延防止重点措置

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

21日で期限を迎える茨城県に対するまん延防止等重点措置の適用について、大井川和彦知事は15日、21日までで解除するよう国に要請したと発表した。

県内の新規感染者数は高止まりが続いている一方、高齢者の3回目のワクチン接種が進み、病床稼働数は2月下旬から減少し低い水準を維持していること、社会経済活動に与える影響を総合的に判断したとしている。

今後の対策の在り方については、飲食店を中心とした経済活動の制限は効果が薄れてきており、ワクチン接種対象でない未就学児や、接種が開始されたばかりの児童に、対策が移ってきているのではないかとの見方を示した。

保育所や小学校で幅広い検査再開

現在の県の感染状況については、新規感染者数が前週と比べ1.02倍と高止まりし、自宅療養者数も若干増加傾向にあるとした。

要因として、特に小学生や未就学児など20歳未満の感染が増えているとし、それが家庭内で親の世代まで広がり、全体として感染者数が減らない状況にあるとした。

対策として、検査能力が足りず一時中断していた濃厚接触者以外の幅広い検査を16日から保育所や小学校などで再開し、検査を徹底して症状がないケースも早期に発見するとした。

さらに職場などのワクチン接種を促進するため、4月中旬までに職員全員の3回目の接種が完了するよう、企業や大学などに接種の促進を要請する。

「いば旅あんしん割」を再開

重点措置の適用が21日までで解除になった場合、飲食店への営業時間短縮要請を解除する。

観光事業者を支援するため、県内に宿泊の際、割引が受けられる「いば旅あんしん割事業」を再開し、16日から予約を再開する。ただし期間は今月31日まで。4月以降の利用は国の補助金の延長が決まり次第、改めて発表する。今回「あんしん割」を利用できる条件は、3回目のワクチンを接種済または検査で陰性の県民。

年度末、年度始めは人の移動がひじょうに増える時期であることから県はさらに、歓送迎会などの会食は少人数、短時間とする、花見は2メートル以上の距離を確保し、会話の際はマスクを正しく着用するーなどを呼び掛けている。

トナリエキュート1階の「魚丼屋」《ご飯は世界を救う》45

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【コラム・川浪せつ子】TXつくば駅を上がったところの商業施設「トナリエキュート」。1階にあるパン屋さんのカフェにはよく寄りました。ところがそのお店が2月中旬で閉店。コロナ禍でお客さんが減ったためなのでしょうか。悲しい出来事でした。1階のフードコートに入ったことはありませんでした。

2月19日午後、つくば市主催の「ショートムービーコンペディション」(2月26日付)がつくばエキスポセンターのプラネタリウムで開かれました。私はその選考委員。その前に食事をしようと、フードコートに立ち寄りました。私はちらし寿司が好きなのですが、外食ではあまりお目にかかれません。でも、ありました。「魚丼屋」さんが。

注文したのは「漬けばらチラシ・アボカド丼」。お値段はとってもお手頃。大好きなちらし寿司に、これまた大好きなアボカド! かわいいお魚の小さな入れ物にお醤油。何とも言えない幸福感。お味もグー。

コロナで映像業界も美術業界もピンチ

今回のコンペはグレードが高く、プロの方が多く出展してくださったようです。審査委員長の中山義洋監督さんが「コロナでは、飲食業界より映像業界の方が大変です。失業率ほぼ70パーセント」とスピーチ。これには驚きました。そのため仕事が減ってしまい、プロの方がこのコンペに出展して下さったのかなと。

コロナで仕事が激減したのは映像業界だけではありません。美術業界もピンチです。画家さんたちの出展するギャラリーも、閉鎖する所が増えています。絵が売れない。そして有名な先生が教えるカルチャー教室も人が減っています。

暗い話で終わりたくないな。

広島に原爆が落ちた翌年、がれきの中に若木が伸びてきたそうです。植物は強いですね。あの日、広島にいた実父がそう話してくれました。希望は捨てないでください。(イラストレーター)

5年越しのリベンジへ 国際ナノカーレース参戦のつくばNIMSチーム

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ドライバーを務める川井さん。右手に持つのがナノカーの分子模型、左手のSTM探針から電流が流れる=つくば市並木、物材機構

直径8ミリの金(きん)の表面をレース場に、全長2ナノメートル(10億分の2メートル)の分子マシン「ナノカー」が走るー。24日から、フランス・トゥールーズで開催の国際ナノカーレースに参戦する物質・材料研究機構(NIMS、つくば市並木)のチームが15日会見し、リタイアした第1回大会の雪辱を期し、意気込みを語った。

国際ナノカーレースⅡは、開催国のフランスをはじめ世界6カ国から計8チームが参加。24日から25日にかけ、24時間の制限時間内にどれだけ走れたか距離数で勝敗を争う。物材機構からは国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)副拠点長の中山知信さん(60)をチームディレクターとするNIMS-MANAチームが連続参戦する。2017年に開かれた第1回は、制御用コンピューターの不調からリタイアしており、チームメンバーも分子マシンの設計思想も一新し、レースに臨むことになった。

前回は、参加6チームがフランスに集まり、1台の走査型トンネル顕微鏡(STM)内に設置された金のコース上で競走した。100ナノメートルの先着で競ったが早々に決着してしまい、今回は24時間の走行距離を争う方式に変更された。各チームのドライバーはフランス国立科学研究センターに集結するが、現地のコンピューター端末からそれぞれの所属先にあるSTMを遠隔操作するスタイルで行う。

レースに使われる走査型トンネル顕微鏡(STM)を前にチームメンバー。左から2人目が中山チームディレクター=同

陣容も設計思想も一新

チームのトップドライバーは先端材料解析研究拠点ナノプローブグループでグループリーダーを務める川井茂樹さん(45)。電子顕微鏡操作に長けている。分子マシンは超高真空、極低温環境下に置かれ、STMの探針から発せられる電気的な刺激によって前進させる。

ナノカーは100-1000程度の原子で構成し、前後の区別が必要というレギュレーションが設けられている。最先端の分子合成技術を駆使してマシンを設計・合成し、さらに操縦のために新たな科学的手法を開発する必要がある。分子を車輪のように設計し、回転させて前進を図ったりする。

「Slider-Spider(スライダー・スパイダー)」と名付けられたNIMS-MANAチームのマシンは、前回から設計思想を一新。金表面を滑るように移動する「超潤滑現象」に目をつけるという新機軸を採用した。平べったいものがクモのように移動するという。設計に当たったのはコンストラクターリーダーとしてチームに加わったMANA光機能分子材料グループリーダーのヒル・ジョナサンさん(53)。環状構造を持つ有機化合物ポルフィリン(porphyrin)を中心に置いて炭素やフッ素を有機合成し、まったく新しい物質を作り出した。

分子式にするとC64H34CuF6N4。原子の個数は109個、全長約2.5ナノメートル。「ナノカーと金表面の間の相互作用(摩擦)をいかに減らすかがポイントになった」。溶剤中で分子の組み合わせを変え、7回のステップで0.5%ほどが採取できるという。この材料をSTM内に入れ、温度設定を変えながら8回目の反応でレースマシンに仕立てあげるということだ。

ドライバーの川井さんは「STMは日本にあり、フランスの端末からの遠隔操作となると、わずかながら時間差が生じ、ヨーロッパのチームに比べるとハンデがある」としつつ、秘策を練って渡仏する。

日本に残る中山チームディレクターは「分子の動きを理解・統制する研究を加速させる科学的な挑戦。大会は知見の共有、交流というところに意義がある。NIMS-MANAの存在感を示したい」という。(相澤冬樹)

◆大会の模様はオフィシャルYouTubeでライブ配信(英語/フランス語)の予定。日本語解説付きのライブ中継は24日午後6時45分から、ニコニコ生放送で随時、公式配信される。NIMS-MANAチームの公式サイトはこちら

「遺贈」で提携 筑波銀行と日赤茨城

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協定式に臨んだ筑波銀行の長嶋明伸営業本部長(右)と日本赤十字社茨城支部の服部隆全事務局長

筑波銀行(本店 ・土浦市、生田雅彦頭取)が15日、日本赤十字社茨城県支部(水戸市、日赤茨城)と「遺贈寄付に係る業務提携協定」を締結し、締結調印式を、同日、筑波銀行つくば本部ビルで行った。「遺贈」とは、遺言により遺言者の財産を特定の個人や団体に無償で譲ること。今後、双方の連携を通じて、遺贈寄付の希望者へのサポート体制を充実させる構えだ。日赤茨城は、災害救護をはじめとする活動資金確保の多様化を期待する。

社会貢献意識高まる

会見で、筑波銀行取締役の長島明伸営業本部長は、協定締結の背景について、高齢化社会の中で多様化する顧客のニーズや、社会貢献意欲の向上をあげ、顧客の要望に応えるためのサービス手段の一つとして、今回の協定締結に至ったとした。

日赤茨城の服部隆全事務局長は、高まる社会貢献意識の背景として「阪神淡路大震災や東日本大震災を通じて、助け合いの気持ちが強くなった。また間近で支援する人々の姿を見る機会が増えた」ことをあげる。さらに遺贈寄付については、昨年、同社に31件の相談が寄せられたとし、「年々増加傾向にある。高齢化社会で、子どもが少ない家庭や単身世帯の増加など、社会構造の変化がある」と指摘した。

寄付の市場規模拡大

2021年11月、認定NPO法人「日本ファンドレイジング協会」が、国内の寄付市場調査をもとに「寄付白書2021」発表した。それによると、2020年の個人寄付の総額は、名目GDPの0.23%に相当する、1兆2126億円であり、2016年の調査から1.5倍以上増えたとしている。また、NPO法人「国境なき医師団日本」の2018年の調査によると、「遺贈」の認知度は70代で85.5%におよび、「遺贈してもよい」と考えるのは全体の49.8%と、半数にのぼっている。また同調査では、「遺贈の魅力」の上位に、「遺産の託し先を自分で決められる」「遺贈先によって相続税の控除が受けられる」ことがあがっている。

要望かなえる

協定締結により、今後、両者は連携を密にしながら、遺贈希望者に対して双方を紹介し合い情報提供するなどし、遺贈希望者の要望をかなえていくとした。筑波銀行では、遺言書作成や保管、必要時の提携信託会社との仲介など、顧客に寄り添ったサービスを充実させていくとした。(柴田大輔)

「気軽に豪華なキャンプ」を記者が体験 19日、土浦にオープン

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記者が宿泊したスタンダードドーム。広い窓から風景を一望できる

グランピングヒルズ「アウテラス茨城」

「気軽に豪華なキャンプを楽しむ」をコンセプトに、全棟独立型で完全プライベート空間を実現したグランピングヒルズ「アウテラス茨城」(にしがき、本社・京都府)が19日、土浦市東城寺にオープンする。関東平野を見渡す山の斜面に、白いドーム型テントと、コテージが点在する。都心から車で1時間、土浦、つくば市街地から10キロほどの場所にある。周囲には、県内外から多くの観光客が訪れる筑波山や、パラグライダー、ハンググライダーなどスカイスポーツが楽しめる朝日峠がある。

家族で気軽に ペット同伴も

オープンに先立ち、メディア向けに施設が公開され、記者も宿泊体験をした。

以前からキャンプには関心があったが、テントをはじめとする装備をそろえたり、設置したりといった手間を負担に感じていた。それがここでは着替え一式あればよく、バック一つで気軽に行くことができる。

記者が泊まったのはドーム型テント。幅約8メートルの窓からは、周囲の山と関東平野を見渡せ、床はカーペット敷きで、そのまま寝転ぶこともできる。各部屋にある専用浴室で、いつでも汗を流すことができるのもありがたい。たき火セットもレンタルでき、夜は各棟でさらにキャンプ気分を満喫できる。

遮音性にすぐれたコテージもあり、小さな子どもがいる人も安心して泊まることができる。犬同伴で宿泊ができる「コクーンテント」は、犬が走り回れる屋外スペースや、犬用アメニティも準備されている。「ペットと泊まれる場所が少ないという飼い主たちの思いに応える取り組み」と、アウテラス茨城の広報、森下めぐみさんは話す。

敷地内の路地には桜の木が植えられ、春には桜を満喫できる

豊富な地元食材を堪能

バーベキューは、食材の準備、火起こしや加減の調節、後片付けなど、手間がかかる。ここでは、各部屋のダイニングキッチンにはバーベキューコンロが設置され、届けられた食材を焼くだけでよい。

食材は常陸牛、ローズポークのスペアリブ、土浦産レンコン、貝類など、豪華な茨城の味を堪能できる。アヒージョやラタトィユなど、手のこんだ料理もスキレット(鉄製のフライパン)ごとコンロに入れるだけ。後片づけも任せられるので、家族や友人とゆったり過ごすことができる。ビールやハイボール、つまみなどをそろえた無料のフリードリンクバーもある。野菜をたくさん食べたい人は、共有スペースに用意された茨城産の野菜(無料)を部屋に持ち帰り、焼くこともできる。

地場産の豊富な食材でバーベキューを楽しめる

素泊まりプランで、好みの食材を持ち込むなど、予算や場面に応じて自由な楽しみ方も可能だ。森下さんは「女子会などでも気軽に使ってほしい」と言う。このほか、ピザづくりやヨガ、貸し切りサウナなども体験できる。幅広い年齢層が楽しむことができる。

ポテンシャル高い地域

新型コロナ対策に関し、森下さんはこう話す。「当施設は全棟独立型で、他のお客様との接触も少なく24時間換気を行っているので、比較的安心してご利用いただけるのではないかと思います。希望によっては、チェックイン、チェックアウトをそれぞれのお部屋で行うこともできますし、食材も冷蔵庫に入れておくなどして、接触を減らすことも可能です」。こうした機能的な背景から「コロナ禍でもグランピングの需要は伸びている」という。

全国グランピング協会によると、新型コロナ感染拡大により影響を受ける中小企業への支援策として2021年3月から始まった事業再構築補助金制度には、200件以上のグランピング事業が採択されており、コロナ禍、グランピング施設の増加が予想されているという。

「この地域は首都圏からのアクセスが良く、気軽にアウトドアを楽しむ機会をつくりたい」とし、森下さんは地域の魅力をこう話す。「霞ケ浦も筑波山も近く、豊かな自然と、山と海の食材が豊富な茨城は、ポテンシャルの高い地域。そして何より人がやさしい。そこに助けられている。皆さんに支えてもらい、私たちも茨城に貢献できたらと思っています」。(柴田大輔)

敷地内は、職員が運転する専用カートで移動することができる

◆客室は全15棟、それぞれに冷暖房が完備され、シャワー・バスルーム、トイレ、個別食事スペースがついている。料金は、1泊2食付きグランピングBBQプランが2万3430円から(消費税込み)、素泊まりが1万2980円から(同)。予約や詳細は、公式サイトにて。また、その他の問い合わせは、電話050-3198-5845にて受け付けている。

コロナ対策避難所を検証 つくば 水素燃料バスで電源供給も

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新型コロナ対策のため1~2メートルずつ間隔を空けて敷かれたブルーシートに移動する避難者役の職員(右)=つくば市北条、旧筑波東中学校体育館

つくば市の指定避難所となっている旧筑波東中学校体育館(同市北条)で14日、新型コロナウイルス対策を施した避難所レイアウトの検証が実施された。併せて、災害時の停電を想定した水素燃料電池バスによる電源供給の実証実験も実施された。

つくば市と筑波大、茨城県が共同で実施した。避難所感染症対策の検証は、筑波大医学医療系感染症内科学の鈴木広道教授がアドバイスなどした。水素燃料電池バスによる電源供給は内閣府の戦略的イノベーション創出プログラムの一環で実施された。避難所の新たな電源供給の在り方として今後、同大システム情報系の鈴木健嗣教授らが国に提案などしていくという。

ブルーシート敷き区切る

感染症対策をした避難所のレイアウトとして、体育館1階の床に、単身用、2人家族用、3人家族用と大きさが違うブルーシートを敷いて並べ、それぞれ2メートルまたは1メートルの間隔を空けて区切り、家族ごとにまとまって過ごせるようにする。

感染の疑いがある人が避難してきた場合は、入り口に近い、換気のよい体育館2階に間仕切りテントを設置し、非感染者とは別の場所で、家族ごとに過ごせるようにする。

感染の疑いがあることが分かり、体育館2階に設置された間仕切りテントに誘導される避難者役の女性職員=同

感染症が専門の鈴木広道教授によると、避難所の感染症対策は、感染の疑いがある避難者と非感染者の動線を分ける、避難所内で感染者が移動する距離を短くする、空気の流れをつくるため2方向の窓を開けて換気する、トイレが1カ所しかない場合、感染者と非感染者で使用時間を区切り、感染者が使用した後は避難所の職員が消毒するーなどがポイントになるという。

ただし感染症対策をした場合、200人が避難できる体育館であっても、収容人数は3分の1ほどの60~70人になってしまう。市は、避難所への避難だけでなく、自家用車による車中避難や被災の恐れのない親戚や友人宅への避難、宿泊施設への避難などさまざまな避難を呼び掛けたいとしている。

一方、感染者専用の避難所を別に設ける予定で、指定避難所に一時滞在した後、自家用車で専用の避難所に移動してもらうことになるとしている。

14日は、避難所に来た後、具合が悪くなった患者役の職員を、非感染者用の1階のスペースから、2階の間仕切りテントに誘導する訓練なども実施され、避難所の職員が対応の方法を確認などした。

専用アプリで残りの電気量把握

避難所の脇に駐車し、避難所に電気を供給する筑波大学の水素燃料電池マイクロバス=同

停電を想定した避難所への電源供給は、今年1月に開発された小回りのきく水素燃料電池マイクロバスが出動した。同体育館に新たに非常用電源盤を設置して、マイクロバスから電気を供給した。

同体育館の場合、点灯する天井の照明の数などを3分の1ほどに減らせば30時間ほど電源を供給し続けることができるという。専用アプリで、供給可能な残りの電源供給量も把握できることから、残りの電気を確認しながら、避難所でお湯をわかしたり、避難者の携帯電話を充電したりできるという。

人工知能などを研究する鈴木健嗣教授は「バスだけでなく、水素燃料電池の乗用車からも電源供給できるので、住民、市民の力を借りて避難所で電源供給をやっていけるようなことも発信したい」と話している。(鈴木宏子)

原子力施設攻撃は人類への犯罪行為だ 《邑から日本を見る》107

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門出彩るサイネリア =那珂市のしどり農園

【コラム・先﨑千尋】プーチンのとどまるところを知らないウクライナへの侵略。強大な核戦力を背景にし、2月末には核兵器運用部隊を戦闘警戒態勢に置くよう命令した。さらに停止中のチェルノブイリ原発を占拠し、今月4日にはウクライナ南部のザポロジエ原発を武力で制圧した。同原発は6号機まであり、欧州で最大。ウクライナ総電力の2割を供給している。同国のクレバ外相は「爆発すればチェルノブイリ事故の10倍の被害になる」と警告している。

運転中の商用原子力発電所への軍隊による攻撃は史上初めて。国際法やジュネーブ条約・議定書に明確に違反する行為だ。運転員はロシア軍に銃口を突き付けられながら運転を続けている模様だが、心身ともに疲労して、正常な運転操作やトラブルへの対応ができなくなる可能性が高い。また、運転を素人が強制的に止めれば、最悪の場合、東京電力福島第1原発事故の時のように原子炉が炉心溶融後に原子炉建屋が爆発・崩壊することもあり得る。変電所や送電網が破壊されれば原発の運転も不安定になり、不測の事態が起きることも想定される。

最新の情報では、チェルノブイリ原発では外部からの電源が切断され、非常用電源で動かしているようだが、放射能漏れなどが懸念される。ザポロジエ原発で外部電源が遮断されたら、ロシアも含めてヨーロッパ全体に被害が及ぶ。ロシアは、訓練を受けた原子炉操作員を制圧した発電所に配置し、ウクライナの操作員から引き継ぐことを考えているのだろうか。誰でもわかるように、素人は手を出せない。

原発は何よりも「おっかない」代物

プーチンの狙いは何か。原発の制圧で、電力という市民生活の要を押さえ、ウクライナのゼレンスキー政権に圧力をかけ、核戦力に言及し、欧米に圧力をかけるねらいのようだ。毎日、ウクライナの人たちが殺害され、街が破壊され、他の国に避難する映像をテレビで見せつけられているが、プーチンはよその国に「中立化、非武装化、政権交代」を要求し、住宅や病院、学校までも破壊している。聞く耳を持たない彼の暴虐をどうすれば止められるのか。胸が痛むばかりだ。

IAEA(国際原子力委員会)のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、2020年に原子力の安全と防護の7つの柱を表明した。それは、原子炉、核燃料プールなどの施設の物理的な安全性が維持されなければならない、運営スタッフは安全及びセキュリティの義務を果たし、不当な圧力から解放された意思決定を行う能力を有するなど、基本中の基本なのだが、それがプーチンにいとも簡単に破られてしまった。「人が作ったルールは人によって破られる」ということだ。

わが国の原発はどうか。当然だが、今回のような戦争を想定した防御策は講じていない。自然災害も含めて有事の際、原発は巨大なリスクになると肝に銘じる必要があることをウクライナ情勢は教えている。本県には日本原電東海第2発電所があり、会社は再稼働を目指しているが、すぐ近くに住んでいる私にとっては、原発は何よりも「おっかない」代物である。(元瓜連町長)

ホーム最終戦で白星 サンガイア 

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満生はレシーブ成功数でもチームトップの23本(撮影/高橋浩一)

若手の力かみ合う

バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は12日、今季最後のホームゲームを桜総合体育館(同市流星台)で開催。千葉ゼルバ(ZELVA、千葉市)と初対戦し、セットカウント3-1で勝利した。つくばの現在の成績は10勝12敗で8位。次節は19日、アウェーの和歌山県で警視庁フォートファイターズと対戦する。

2021-22 Vリーグ2部男子(3月12日、つくば市立桜総合体育館)
つくば 3-1 千葉
22-25
25-20
25-21
25-18

第3セット、鎌田が技ありのスパイクを決める

今季3部から昇格した千葉は、高さと選手層の厚さを強みとするチーム。初顔合わせの難しさもあってか、つくばは立ち上がりにややもたつき、序盤から千葉に3点のリードを許す展開。今季初先発となった新人セッターの堀夏央哉は、味方に幅広くトスを散らすものの、相手のブロックやレシーブを振り切ることができず、チームのアドバンテージを生かしきれない。結局、最初の点差が響いたまま、第1セットを落としてしまう。

だが第2セット、つくばは明らかにリズムが良くなった。右の鎌田敏弥や左の満生大輝らアタッカー陣が、自らの高さや滞空時間の長さを生かし、豪快なスパイクを気持ちよく打ち込む。堀自身も相手の意表を突いてフェイントを決めるなど、終始先手を取ったままセットを奪い返す。

第3セットもつくばがリードする展開だが、終盤、千葉は4連続得点で追い上げ、21-20と1点差まで詰め寄ってくる。だが曹海倫のブロックで相手の流れを断つと、最後は一気に押し切ってセットを連取。第4セットは序盤の競り合いから中盤以降は徐々に点差を伸ばし、結局3セット連取で逆転勝利を収めた。

ブロックなどの活躍でMIPに輝いた曹(左)

五十嵐元監督は「立ち上がりは小さなずれや反応の遅れなどがあり、ちょっとずつかみ合わなかった。選手たちが同じ絵を描きながら迷いなくプレーできるよう、考えを整理して伝え、2セット目からはよく対応してくれた。順位を考えると落とせない試合なので、勝ててほっとしている」と、胸をなでおろす。

今季初めての1試合フル出場で、攻撃の中心を担いつつ守備でもよくチームを救った満生は「スタートからチームを引っ張るつもりで臨み、自分の役目を果たすことができた。第1セットは相手の流れを断ち切れなかったが、第2セット以降は堀がしっかりと修正をかけてくれた」と振り返った。

セッターの堀は自らのプレーについて「相手の守備とこちらの攻撃が、悪い意味でかみ合ってしまった。ブロックを翻弄(ほんろう)しつつ、攻撃を決められるトスを上げることが目標。残り試合も出場機会を得て、全部勝てるようできる限りのプレーをしたい」とコメント。

「残り3試合、上位との対戦も残っている。苦しい試合が予想されるが、このリーグは力が均衡しているので、うまく調整できれば勝機はあると思う。練習を重ねて完成度を高めていきたい」と、五十嵐監督は締めくくった。(池田充雄)

コロナ禍も「共に成長し合えた」 つくば国際ペット専門学校で卒業式

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はかまやスーツ姿で卒業式に臨む卒業生ら=つくば市竹園、つくば国際会議場大ホール

つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、高橋仁校長)の2021年度卒業式が12日、つくば国際会議場(同市竹園)大ホールで催され、ドッグトリマー、ドッグトレーナー、動物看護福祉、ペットケア総合の4つのコースで学んだ141人が卒業した。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年度に入学し、コロナ禍が収まらない中、卒業の日を迎えた。

高橋学長は「入学式が中止、緊急事態宣言の中、休講、自宅待機で始まり、皆さんが顔を合わせたのが6月。制約を強いられた学校生活だった」と振り返り、「2年間、先が見通せない日々の中で、自分だけでなく家族や友人を思いやりながら研さんを積んだ。卒業してからも夢に向かって歩んでください」と式辞を述べた。

卒業生代表として答辞を述べる秋葉若奈さん(左)とはなむけの言葉を贈る東郷治久理事長

東郷治久理事長は「入学当初から新型コロナの拡大により想定外の不自由を余儀なくされたが、現場で培った様々なスキルは今後の力になり自信につながっていく。今やペットは家族同然。飼い主の心に寄り添い、今まで学んだことを今後に生かしてください」とはなむけの言葉を贈った。

卒業生を代表してペットケア総合コースの秋葉若奈さんが「見えないウイルスの恐怖と隣り合わせだったが、1日1日を有意義に過ごすことができた。新型コロナの影響で思い描いていた学生生活とは少し異なることもあったが、日々を全力で楽しみ、皆と共に成長し合えた」と感謝の答辞を述べた。

高橋仁学長から卒業証書の授与を受ける卒業生

式典では高橋学長から一人ひとりに卒業証書が手渡されたほか、資格試験合格者に、全日本愛犬技術者指導協会の松島美夫代表理事からトリマー1級、ペットケアマネージャー1級などのライセンスが授与された。

同校は全国トップクラスのペット専門学校。4月からはペット専門学校として全国初の通信制学科「通信制ペット学科」がスタートする。

困難を乗り越える指針「ロールモデル」 筑波学院大卒業式の学長告示

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答辞を述べる大久保璃奈さん=筑波学院大(つくば市吾妻)

筑波学院大学(つくば市吾妻、橋本綱夫理事長)の2021年度卒業式が11日、行われ、経営情報学部ビジネスデザイン学科の学生108人が卒業した。望月義人学長は「(困難にぶつかった時に)ロールモデル、つまり生き方の模範となり生き方や考え方に共感し尊敬できる人物、そういった人の価値観や人生観を自分の生き方の指針にするという方法が解決策になる。自らを磨くために常に努力を続け、進化を遂げていく人の姿はいつも輝いている」と告示した。

卒業式は感染拡大防止のため、スーツや袴姿の列席者は1席ずつ離れて着席し、換気のため式典の最中は窓や扉が開けたまま、約40分間執り行われた。学位記の授与は卒業式の終了後、各教室で行われた。

望月学長は「この約2年間はオンライン授業であったり、対面授業であっても感染を気にしながら受講したり、サークル活動を制限されたり、と思い描いていたキャンパスライフを満喫できなかったと思う。大学生活としてはマスクとパソコンと我慢だらけの思い出などという人も多いかもしれない」とコロナ禍を振り返り、「厳しい状況の中、課題提出物の増加などを乗り越え、単位を取得して立派に卒業し学士の称号を得られたみなさんの努力を評価したいと思う」と苦難の大学生活を乗り切った卒業生たちを労った。

望月学長の話に耳を傾ける卒業生たち=同

橋本綱夫理事長は「一人ひとりの努力が結実して卒業となった。これまでたくさんの人の恵みを受けて今がある。たくさんの人に恵みを送り、たくさん返ってくる、それが幸せということだと思う。大変なこともあるかもしれないが、人生は楽しくすばらしいもの。幸せに満ちた人生が待っていることを祈っています」と挨拶した。

卒業生代表として答辞を述べた大久保璃奈さんは「学院大で学び、小学生のころから夢だった父と同じ会社に内定をいただくことができた。大学で出会った友人の存在は何物にも代えがたく、学生生活を豊かにしてくれた。この先も多くの新しい出会いがあると思うが、全てを大切にしていける人間になれるよう精進して参ります」と述べ、恩師や友人、家族への感謝の気持ちを述べた。

卒業生の今野奈々瀬さんは式典後、「単位を取るのがとても大変だったので卒業できてうれしい。今後ももっと勉強し、やりたいことを探していきたい」と卒業の喜びを語った。(田中めぐみ)

『男と女』 2つの続編 《映画探偵団》53

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【コラム・冠木新市】フランスの映画監督クロード・ルルーシュが28歳のとき、自分のプロダクションで作った『男と女』(1966年)はざん新で衝撃的だった。望遠レンズで撮った仏北西部ドーヴィルのきらめく海辺の景色。ロング―アップと、自由自在に構図を変えた短なカット割り。全編に流れる新人作曲家フランシス・レイのジャズ調音楽。若者たちで作られたこの作品によって、世界の映像表現は一変したと言っても過言ではない。

お話は、妻を亡くしたレーサーのジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)と夫を失った映画の記録係アンヌ(アヌーク・エーメ)との出会いを描いた恋物語。30代の2人は、ドーヴィルにある同じ寄宿舎に子どもを預けている。色々あって、ラストは駅のホームで抱き合う2人を捉え、ぐるぐる回るカメラワークにテーマ曲が流れ、ストップモーションで終わる。ハッピーエンドで幸せな気分にさせてくれる作品だった。

続編『男と女Ⅱ』(1986年)が、同じ監督とキャストで20年後に製作される。ところが、1作目で感動した観客はギョツとしたと思う。2人は一緒にならず、駅で別れたという皮肉な設定で始まるからだ。

ジャンはレーシングチームの監督で、息子の結婚相手の妹と恋仲。一方、アンは映画プロデューサーとなり、年下の恋人がいる。戦争映画の興業で失敗したアンは、昔の自分の恋物語をミュージュカルにしようと企画し、ジャンの許可を得るために20年振りに再会する。

50代になった2人の再会シーンを見ると、1作目の幸せな気分がよみがえる。また1作目を再現する撮影風景はとても奇妙で面白い。だが出来上がった映画を試写すると、皆が納得せずお蔵にしてしまい、今度は全く別の実録犯罪映画を作り始める。ルルーシュ監督はまるで1作目を否定するようなドラマ展開を見せるのだ。しかし結局、2人は年下の恋人と別れ、一緒になるハッピーエンドを迎え、1作目の観客に満足感を与えてくれる。

研究学園都市スーパーサイエンスシティ

そして2作目から33年後。やはり同じ監督とキャストで第3作『男と女 人生最良の日々』(2019年)が公開される。80代後半となった2人はあれからどうなったのか。

今では雑貨店を営むアンヌのもとに、ジャンの息子が訪ねて来る。施設にいる認知症の父親がしきりに昔の彼女のことを思い出すので、会ってもらえないかとお願いに来たのだ。2作目を見た観客はアレッと思う。

なんと、3作目は2作目の続きではなく1作目の続きで、53年後の別のお話だからである。ルルーシュは3作目を作るに当たり、2作目の存在を消してしまった。だから、1作目に直接つながる続編は2作目と3作目と2つあるわけだが、どちらの続編を好むか私はまだ決められないでいる。

筑波研究学園都市建設の閣議了解(1963年)に始まって、科学都市つくば市(1987年)となり、今ではつくばスマートシティ(2019年)、つくばサイエンスシティ、つくばスーパーサイエンスシティが作られるみたいだ。1作目が研究学園都市だとすると、次につながるシティはなんなのだろうか。私は、53年たっても変わらない映画のドーヴィルみたいな街であってもらいたいと思っているのだが…。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

それぞれの夢を胸に6人が巣立つ 日本つくば国際語学院で卒業式

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卒業証書を手に笑顔の卒業生たち=山水亭(つくば市小野崎)

つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長)の卒業式が11日、行われた。今年度の卒業生は6人で、4人が式典に臨み、恩師や在校生に見守られながら学びやを巣立った。

卒業式は山水亭(つくば市小野崎)を会場に開かれ、卒業生は青いガウンに帽子とマスクを着けて入場、列席者に感謝の意を述べた。卒業生の出身国はメキシコ、タジキスタン、ウズベキスタン、スリランカ、中国、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国。卒業後は大学や専門学校などに進学し、興味のある専門分野を深めるという。

東郷理事長は「将来どのようなことがあるが分からないが、困ったことがあったら母校であるつくば国際語学院を思い出してほしい。教職員があたたかく迎えてくれるでしょう」と話し、卒業証書を一人ひとりに手渡した。授与された卒業生は、それぞれ日本語で学院の思い出を話したり、後輩たちにエールを送ったりした。

答辞を述べるアルメイダさん=同

卒業生代表でメキシコ出身のアルメイダ・ミチェルさん(23)は、「私たちはかけがえのない経験をし、大きく成長することができました。学びの場と貴重な経験、機会をくださったすべてのみなさまに感謝の気持ちを伝えます。私たちは本当に恵まれていました。今日まで本当にありがとうございました」と答辞を述べた。

アルメイダさんは、中学3年生の時に趣味で日本語を学び始めたのが高じ2017年に来日した。同学院で勉強し、日本語を母語としない人の日本語能力を測定する「日本語能力試験(JLPT=Japanese-Language Proficiency Test)」の最高レベルであるN1とそれに次ぐレベルN2の両方に満点で合格。特にN1は日本人でも満点を取るのが難しいと言われている。卒業後は筑波大学人文・文化学群比較文化学類に進学し、日本文学やジャーナリズムについて勉強するという。

同じく卒業生でタジキスタン出身のキムサノブ・アズィズさん(21)は、東京国際大学国際関係学部に進学する。キムサノブさんは中学と高校で合わせて5年間日本に住んでいた経験がある。来日した当初は日本語が分からず苦労したことから、自分と同じような境遇の外国人に向けた教育について勉強し、教育関係の仕事がしたいと話す。

ウズベキスタン出身のサミタガニエフ・ムスタフォ・トジベクウギリさん(22)は、栃木県にあるビジネスの専門学校に進学予定。「(卒業式で)緊張していますが、卒業できてとても嬉しいです」と話し、日本とウズベキスタンの文化、技術の懸け橋となる仕事をするのが夢だと希望をふくらませた。

同学院の森山英熙本部長によると、新型コロナの水際対策による入国制限で日本に入国できずにいる学院入学予定者が57人いるという。入国を2年待っている人もおり、中には留学を取りやめて就職するというケースもあるため、留学の夢をあきらめることがないようオンラインで課題を配信するなどの対応を行っている。今後の水際対策緩和で、4月から5月末までには新入生が入国し、来年度の新入生受け入れの手続きが進むのではとの見通しだ。(田中めぐみ)

入札の設計額に誤り つくば市

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つくば市役所

つくば市は11日、市が昨年4月に実施した水道配水場の草刈り業務の一般競争入札で、市が計算した設計金額に誤りがあり、本来より少ない予定価格及び最低制限価格で入札を行っていたことが判明したと発表した。正しく設計額を計算していれば、別の業者が落札していた可能性もあるという。

誤った設計額で入札を行ったのは、昨年4月23日に入札を実施した、市内30カ所の配水場の植栽維持管理委託で、計18社が入札に参加し、最低制限価格を上回った業者が、予定価格の93.14%の1057万1000円(消費税を含まない)で落札した。

30カ所の草刈りや剪定(せんてい)などは昨年5月14日から今年3月15日までに実施され、11日現在、ほぼ終了した。

市水道工務課水道監視センターによると、共通仮設費、現場管理費、一般管理費と呼ばれる3つの経費を計算する際、端数の処理を誤ったり、対象とするべき費用を加えなかったなどして、本来よりも29万7000円少ない金額で設計していた。同センターが、間違った計算式のフォーマットを使って設計金額を計算したのが原因という。前年度も同じ計算式のフォーマットを使って設計しており、2020年度も設計金額を間違っていた。

情報開示請求をした一般の人から指摘があり、今年2月24日、設計金額の誤りが判明した。

市は、入札に参加し落札できなかった17社に謝罪した。さらに落札し業務を実施した業者に対しては、現在の契約金額のまま業務を進めることで了承を得たとしている。

再発防止策として同センターは、設計時に積算システムを活用して経費を審査するなど、確実に設計できる体制を整備することで再発防止に努めるなどとしている。

巻き返しのキャンプイン 新監督の下、茨城アストロプラネッツ始動

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選手を指導する松坂賢監督(左から2人目、サングラスをかけている)=笠間市民球場

独立リーグの茨城県民球団、茨城アストロプラネッツ(県南事務所・土浦市)のキャンプが10日、笠間市民球場でスタートした。実戦を想定した練習、対外試合15試合をこなし、開幕前日の4月8日まで行われる。

チームは、ALL OUT(オールアウト、すべてを出し切って)勝利を目指して頑張るーをスローガンに掲げる。松坂賢新監督(30)の下、 新戦力として練習生を含み24人が入団、所属選手は38人となった。昨年東地区22勝8分け35敗と最下位に終わったチームの巻き返しを図る。

茨城アストロプラネッツ。監督、コーチ、選手、練習生の集合写真=同

松坂監督は「昨シーズンは思うように勝てなかったが次のステージに5選手を送ることが出来たのが収穫」という。昨年NPBドラフト会議で、2選手が育成ドラフト指名されるなどしている。今シーズンは「もっと多く上のステージに発進し、優勝を目標にしていく」と抱負を語った。

活躍が期待されている霞ケ浦高出身の2年目、市毛孝宗投手=同

霞ケ浦高校出身の2年目、市毛孝宗投手(26)は昨年の背番号1からエースナンバーの18に変わった。「気持ちが引き締まり責任を感じる。結果を出していきたい」と語る。昨年は後半にかけて調子が上がってきたが、「今年はキャンプでしっかり調整し、4月からいい結果を出したい」と意気込む。「球数を少なくして完投目指して2ケタ勝ちたい」の目標を掲げた。

筑波大学から今年入団した野中大輝外野手(22)は、学生野球でプロを意識しはじめた選手だ。「卒業後も野球を続けることが出来たのがうれしい。長打力が持ち味なので力を発揮したい」と語った。

開幕戦は4月9日、栃木県営球場で栃木と戦う。ホームでの開幕は29日に笠間市民球場で栃木と対戦、9月中旬まで62試合の熱戦を繰り広げる。(高橋浩一)

原発再稼働阻止訴え つくばで市民集会【震災11年】

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震災11年3.11集会の様子=つくばセンター広場

東日本大震災から11年目の11日、「さよなら原発! 守ろう憲法!」をテーマに、つくば市の市民団体「戦争をする国づくりNO@つくば」(山本千秋代表)など3団体が、つくば駅前のつくばセンター広場(同市吾妻)で市民集会を開いた。「脱原発をめざす首長会議」メンバーの村上達也元東海村長が参加し「(東海第2原発の)再稼働を何としても阻止するため、我々市民が頑張らないといけない」などと訴えた。

2011年の東日本大震災の翌年から、毎年3月11日に開催している。今年は約90人が参加した。

東海第2原発の再稼働阻止を訴える村上達也元東海村長

村上元村長は、東海第2原発の現在の状況について「再稼働に向けて盛んに工事をやっている。人家にすぐ接するところでクレーンが林立し、ダンプカーがばんばん走り回っている」などと話した。

昨年3月に出された水戸地裁判決後の東海村の動きについても「避難計画ができていないので運転してはならんという判決が出て、議会では早く避難計画を策定せよという請願が出てきた。何でもいいから形だけ作れとなっている」と述べた。

原発の耐震性については「東海原発のところは元々砂浜で岩盤が深い。原発は岩盤の上に建てることが基本だが、東海原発は岩盤が深すぎて、原電が人工岩盤といっているコンクリートを固めた上に建っている。原子力規制庁でも最後までもめた」と原発建屋の耐震性に疑念を呈した。

東海第2原発を所有する日本原子力発電(日本原電)が再稼働に向け約3500億円の投資を東京電力などから受けていることについても言及し「日本原電は破綻している。再稼働しても元がとれないところまできている。3500億円の投資を回収するためには無理に無理を重ねる」などと指摘した。

さらに「ハード面の心配がたくさんあるが、一番心配なのは10年間一度も原発を動かしてないこと。運転技術が継承されていない」などと話した。

山本代表は「福島原発事故の被災者3万8000人がまだ帰還できていない。被災者の要望に応えた継続的な支援を要望したい。人間の手で制御不可能な原発を一刻も早くなくしていかなくてはならない」などとあいさつした。

ロシアのウクライナ侵攻に抗議にウクライナ国旗を掲げる参加者

会場では、ロシアのウクライナ軍事侵攻に抗議し、参加者が青と黄色のウクライナ国旗を掲げるなどの抗議行動も実施された。

TX延伸ルート 県が調査開始 《茨城鉄道物語》21

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つくばエクスプレス

【コラム・塚本一也】2月10日付で「TX延伸、調査費1800万円」という見出しの新聞報道がありました。「ついに来たか」と思った方はたくさんいたのではないでしょうか。これまでの茨城県の総合計画には、TX延伸先として、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4案が書かれていました。これを一つに絞り込むため、2022年(令和4年)度予算に調査費を計上するという内容です。

私はこれまで、つくば駅が終点のTXを北部に延ばす必要性を訴え続け、自費で「つくばエクスプレス最強のまちづくり」(三省堂出版、2014年刊)という本まで出しました。県議という立場になってからも、あらゆる場面でその必要性を説いてきました。来年度、県が北部延伸に向け一歩踏み出すことになり、感慨無量です。そこで今回はこの問題について少しおさらいします。

本コラムでTX延伸について論じたのは、「つくばエクスプレス延伸論に思う」(2018年6月21日掲載)が最初です。TXの次のステップの議論には、南部(東京駅方向)延伸論と北部(つくば駅より先の県内)延伸論があります。両論は関係していますが、分けて考えた方がよいと思います。また県内延伸については、TXの原点である「第2常磐線構想」がなぜ必要だったのか―そこまで戻って考える必要があります。

つくば市が主導して地元をまとめよ

第2常磐線構想は「常磐線混雑緩和対策」として生まれました。それから社会情勢も変化しましたが、基幹鉄道=大型インフラの必要性は変わりません。常磐線のバイパス(迂回路)の役割が求められたTXは、その機能を満たすためにも、どこかで常磐線とクロスさせなければいけません。これがTX県内延伸の大前提です。

TX県内延伸図

2005年のTX開通までの間に、栃木県や群馬県には新幹線が開通。在来線は湘南新宿ラインや上野東京ラインによって、東海道線との相互乗り入れになりました。全国的には、北海道や九州に新幹線が開業し、それぞれ次のステージに向かっています。山形新幹線はフル規格化を、北陸新幹線は新幹線ルート環状化を目指しています。

このような状況下、TX(秋葉原駅―つくば駅)開通から16年間をへて、茨城県はようやく次のステップに動き出しました。首都近郊の鉄道計画で大事なことは、準新幹線ともいうべきTXの機能を損なわないような線形を確保しつつ、東京への通勤可能な「1時間圏内」をどこまで広げられるかということです。

さらに重要なのは、TX延伸が県内のみならず、県外の沿線地域や国土開発に意味のある貢献ができることです。そういった広い視野と連携があってこそ、茨城県が孤立しないで延伸計画を進めることが可能になります。そのためには、TXの名前にもなっている、つくば市が主導して、関係地元の熱意をまとめ上げることが必要です。(一級建築士)