筑波銀行(本店・土浦市、生田雅彦頭取)は12日、2022年3月期連結決算を発表した。1年間の純利益は前年比50.5%減の20億9500万円で4年ぶりの減益となった。特定の大口取引先の貸し倒れに備える引当金の計上により、与信関係費用が当初予想を大きく上回ったことが減益の主要因になった。
経常収益は前年比1.1%増の370億9800万円。預け金や有価証券の利息、配当金は減少したが、貸出金利息や役務取引等収益などの本業の収益、株式の売却益などが増加した。
営業経費は減少したが、外貨調達コストの上昇に伴う資金や外国債の売却損などから、経常利益は前年比66.1%減の17億6000万円にとどまった。特定の大口取引先については、「再建中」であるとして社名や金額は明らかにされなかったが「コロナ禍と原材料費の高騰が経営悪化を招いた」という。
預金残高(2兆5130億円、うち個人1兆8560億円)、貸出金残高(1兆9512億円、うち住宅ローン4950億円)はいずれも期末としては過去最大となった。
会見で生田頭取は新年度に向け、「コロナは収束しても借り入れは残る」と地域企業と共に困難を乗り切る姿勢をみせた。新型コロナ対策の無利子・無担保融資として政府が始めた「ゼロゼロ融資」の返済が2023年度から本格的にスタートしている中、早くから借り手企業との相談に当たってきた。資金の借り換えや返済期間の見直しなどを進めており、現在のところ倒産などの目立った事例は起きていないという。(相澤冬樹)
4年ぶり減益 筑波銀行決算
貸しギャラリー建て個展 つくば市の水彩画家 佐々木量代さん
つくば市桜が丘の水彩画家、佐々木量代さん(73)が、自宅近くの住宅団地内に、貸しギャラリー「アート・スペース コリーヌ」を建て、個展「樹々たちのざわめき」を14日まで開催している。
これまで描きためた自身の作品を展示したり、地域の人が作品を発表する場に使ってほしいと、自宅近くの空き地を購入しギャラリーを建築、コロナ禍の昨年6月、オープンさせた。
ギャラリーは平屋建て、展示スペースは約25平方メートル、ほかにアトリエや収納スペースがある。
オープン後の昨年は、自身の個展や、自身が主宰する水彩画教室受講生の作品展を開くなどした。「知られてない」ため、まだ一般の利用はあまりないという。
普段は水彩画教室を開いているほか、常時、自身の作品を入れ替えながら展示しており、佐々木さんは「気軽に立ち寄ってほしい」と話す。
佐々木さんは福島県相馬市出身。南フランスの農村風景を描いた筑西市出身の水彩画家、柳田昭(1948-2012)に師事し、2012年、武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業。現在、現代美術家協会や水彩画連盟に所属する。風景、花、樹木、静物などをモチーフに創作活動を続け、個展やグループ展を開いている。
貸しギャラリーについて「地域の高齢化が進み、絵を見る機会が遠のいていると思うので、発表したい方々に利用してもらって、気軽に立ち寄れる場所になれば」と話す。
開催中の「樹々たちのざわめき」で展示されているのは、大木のごつごつした根っこや、枯れ葉、冬枯れの樹木などをモチーフにした作品など。ハガキほどの大きさから縦横1.5メートルほどの大作まで約30点が展示されている。
◆貸しギャラリー「アート・スペース コリーヌ」はつくば市桜が丘15-4。問い合わせは電話029-876-0080。詳しくは同ギャラリーのホームページへ。
潮来の「あやめまつり」 《日本一の湖のほとりにある街の話》11
【コラム・若田部哲】周囲を霞ケ浦の西浦・北浦、外浪逆浦(そとなさかうら)、利根川などの水に囲まれ、古くから水路が生活に根差していた水郷地帯、潮来市。同市の「水郷潮来あやめ園」では、季節になると色とりどりのアヤメが咲き誇ります。その数、何と500種100万株! 1952(昭和27)年より始まり、例年5月から6月中旬ごろまで行われる「あやめまつり」では、日本情緒あふれるその美しさを、様々な演出とともに楽しむことができます。
まず彩りを添えるのが、この地域でかつて生活手段として利用されていたサッパ舟の運行。かつて当地では、水路を道路代わりに移動経路として用いていました。その際に用いられたのが「サッパ舟」と呼ばれる小型の舟。家から田んぼへの往来や、近隣への移動など、様々な場面で日常的に用いられていたそうです。まつり期間中は、この舟が川を行き来し、水上観光を楽しむことができます。
さらに毎週日曜日には「潮来囃子(はやし)演奏」として、お囃子を演奏しながら運航する舟が行きかいます。水郷の情緒とお囃子の音の相性は抜群。古き良き日本の情緒を味わうことができるでしょう。
また2022(令和4)年度より、お隣の千葉は香取市の「水郷佐原あやめパーク」とも連携し、両園のあやめ祭りを結ぶシャトルバスの運行を行うなど、県を超えて地域の魅力を発信しています。
サッパ舟による嫁入りを再現
そして何と言っても最大の見どころは、100万株のアヤメが咲き誇る中行われる、サッパ舟による嫁入りの様子を再現した「嫁入舟」! 一時は途絶えたこの風習ですが、1985(昭和60)年のつくば万博の際にイベントとして行ったことがきっかけとなり、その後は地域を代表する行事へと発展しました。
舟に乗り込むのは、公募で選ばれた本物の花嫁さん。あやめ園から船頭さん、ご両親と共に嫁入り舟に乗り込み、多くの観光客の祝福を浴びながら水路を進みます。鮮やかな新緑ととりどりのアヤメが織り成す初夏の色彩の中、白無垢(むく)姿の花嫁さんが舟で水路を進むさまは、神々しいほどの美しさ! 太鼓橋の上から、沿道から、お愛想でなく本物の祝福が込められた喝采が上がります。
日本情緒と水郷ならではの美しさを存分に味わえるこのお祭りに、ぜひ足をお運びください。(土浦市職員)
<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

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社会人にも門戸開きオープン模試 茗渓学園
論理的思考力や発想力を採点
中高一貫の私立校、茗渓学園(つくば市稲荷前、宮﨑淳校長)で、一般参加もOKなオープン模試が行われている。中学校で習う出題範囲ながらも国語・数学・英語・理科・社会の5教科について、論理的な読解力、判断力、推論力、表現力を問うオンライン試験だ。29日まで、「ChatGPT(チャットGPT)では解答も採点もできない」という難問へのチャレンジャーを広く受け入れている。
模試は「茗溪オープン2023」と銘打った。同校教育構想推進部、谷田部篤雄部長(35)によれば、学校オリジナルの模試で全国的にも例がないという。
「なるほど、わかった、と学習で得られる感動があって、学びは人生の基礎となる」を掲げた同校の「アカデミアクラス(AC)」設立がきっかけだった。教鞭(きょうべん)をとっていると「学校で習ったことが企業に入ると使えない」現実があった。社会に出てからも学び続けることがますます必要になるこれから、学校で身に着けておくべき学力とは何か? との模索から同校に21年、開設されたのがACだった。
その開設から3年目。中学校の全学年に2クラスずつACがそろい、志願者数を伸ばし、カリキュラムも整った。同校を特色づける教育となり、その趣旨を具体化する校内模試は中学生ばかりか、高校生も希望すれば受けられるようにした。22年度の模試では保護者にも門戸を開くと、約80人が参加したという。
今回は学校外の中学生、高校生に限らず、一般社会人にも門戸を開いて初開催、その真価を世に問う形になった。
その出題方針の1つは、東京大学をはじめとする難関大学の入試で求められる「論理的・抽象的な文章の総合的な読解力」「論理的・分析的な思考力」「試行錯誤的な総合的・創造的思考力」を問う。解き方を変えひねり出すための発想力が問われ、 中1生で解ける者もいれば、高3生でも解けない者も出てくるレベルの問題だ。
逆に初歩的な知識の有無を問うだけの、授業や学校を離れたら意味を失うような、論理的な発展可能性の貧弱な問題は出題しないという。「理論的な基礎」を厳しく判定するために、記述形式はもちろんのこと、選択形式であっても初歩的な選択に誤ると一切の加点が得られない「地雷問題」のような採点をすることで、学習者の到達段階に対して多様なフィードバックを可能にするそうだ。
各教科には制限時間があり、それぞれ100点満点(理科は2分野選択だと各50点)で採点。出題者を中心に教員が採点し偏差値まで通知するが、合否判定は特に行わない。「チャットGPTで試したが解答にならないことが多く、採点にも使えない」(谷田部部長)という。
募集は4月1日から始まり、29日までが申し込み期間、受験時間となっている。所定のメールアドレスを通じ、試験問題と答案提出用紙をダウンロード、印刷して受験後に答案を返送する。これまでに約40人が申し込んでいる。(相澤冬樹)
◆申し込みのURLはこちら。
娯楽は世につれ、世は娯楽につれ 《遊民通信》64
【コラム・田口哲郎】
前略
マカロニえんぴつというバンドの「なんでもないよ、」という曲を聞いて衝撃を受けました。ラブソングらしいのですが、歌詞の一部はこうです。「会いたいとかねそばに居たいとかね守りたいとか そんなんじゃなくてただ僕より先に死なないでほしい そんなんでもなくて ああやめときゃよかったな なんでもないよ なんでもないよ」とあります。
ラブソングですから、恋人に会いたいとかそばにいたい、守りたいと歌うのは当然ですが、そうじゃないというのです。俺より先に死ぬなというところは、さだまさしの「関白宣言」が思い出されます。関白宣言は新婚夫婦の夫の妻への思いを歌ったものですが、マカロニえんぴつはそんなんじゃない、とやはり言います。
いまテレビ神奈川で1971年放送の「たんとんとん」というドラマとBS11では1980年放送の「心」というドラマが再放送されています。
「たんとんとん」は森田健作主演、脚本山田太一、木下恵介プロ制作の青春ドラマ。「心」は宇津井健主演、橋田壽賀子脚本、石井ふく子プロデュースのホームドラマです。ふたつとも、庶民の日常を描いたほのぼのとしたドラマです。そこでは若者の成長や職業的な困難の克服など、いわゆる人生の悲喜こもごもが盛りだくさんです。しかし、そうしたいろいろな出来事をつらぬくテーマは男女の出会いと結婚です。
以前、小津安二郎監督の映画のことを書きました。小津映画の主なテーマは、妻に先立たれた男のひとり娘の結婚です。娘が年ごろになったので「どこかにやらなきゃならないよ」と父親役の笠智衆が言います。
人びとの素直な気持ちが世を変える
日本にはいままで無数のラブソングや映画やテレビドラマがありましたし、いまもあります。そのなかで一番多いテーマは男女の恋愛と結婚なんじゃないでしょうか。バブル期にはやったトレンディー・ドラマもおしゃれな恋愛がテーマでしたが、結婚が前提でした。
こうした娯楽が男女の恋愛・結婚をテーマにしてきたということは、何を意味するのでしょうか? それはこの社会が結婚によって、家族が再生産され、世代を後世につないできて存続してきたということです。それほど社会の構成員が結婚して家族を増やすことが大切ですし、人間はそのために時間と労力を惜しまずにきたということでしょう。
でも、そのあたり前だったことが、あたり前でなくなっているのが今なのかもしれません。
男女の恋愛と結婚が当然の価値観に、そうではない価値観が加わる社会はどうなるのでしょうか? それは分かりません。人類が経験していないからです。でも、流行歌が歌うことは、いまの社会に生きる人たちが感じている素直なことなのは確かです。昔の歌や映画やドラマも人びとの素直な気持ちでした。素直な気持ちは社会を変えますね。ごきげんよう。
草々
(散歩好きの文明批評家)
チャットGPT「ほぼ毎日使ってる」 五十嵐つくば市長
政策課題の整理やあいさつの素材探し
対話型人工知能(AI)の「チャットGPT」について、つくば市の五十嵐立青市長(44)が、ほぼ毎日チャットGPTを使用し、自分の頭の中で政策課題を整理したり、あいさつの素材を考えるなどに利用していることを明らかにした。10日開かれた定例記者会見で記者の質問に答えた。
五十嵐市長は、昨年12月から使い始めたと述べ、具体的には、地方創生のパネルディスカッションでチャットGPTを使用し、課題などを整理したなどと話した。議会の答弁に使用したことは無いとしている。私生活では家族のご飯を作る際に利用したという。

職員同士のネットワークに導入
一方、市役所では五十嵐市長の提案で、職員同士が対話したり資料をやりとりしたりする対話型ネットワークシステム「ロゴチャット」に4月25日からチャットGPT3.5ターボを導入した。
プログラム同士をつなぐAPIをチャットGPTと連携させ、職員が入力した質問などをチャットGPTに吸い上げられないようにしたり、チャットGPTが出した回答の出典を表記する機能を付けた上で、市スーパーシティ構想の全体統括者(アーキテクト)を務める鈴木健嗣筑波大教授が4月10日、同市のロゴチャットに実装した。
実装されたチャットGPTは鈴木教授の名前にちなんで「AI顧問けんじくん」と名付けられ、4月25日から市職員全員が利用できるようになっている。個人情報と機密情報は入力しないという条件を設けているが、職員がどのようにチャットGPTを利用するか、制限は設けていない。
ロゴチャットを使用している市職員約2150人のうち、ゴールデンウイークを除く約10日間でこれまで約250人の職員がチャットGPTを利用。施策のアイデア出しや翻訳などに利用されたという。
市政策イノベーション部の藤光智香部長は「今後、チャットGPTの使い方の指針を策定し、基礎自治体にふさわしい使い方は何かを検討したい」と話す。
チャットGPTはインターネット上の膨大なデータを収集し、利用者の質問などに即座に回答するAI。欧米では、個人情報の収集や著作権侵害などについて懸念が出され、G7デジタル・技術相会議でも在り方が議論になった。(鈴木宏子)
霞ケ浦の魅力伝えたい 「うなぎ村」に飲食店 6月オープン
かすみがうら市の漁師
霞ケ浦と天然ウナギの魅力を伝えたいと、霞ケ浦のウナギ漁師「麦わら村長」こと外山厚志さん(44)が6月初め、湖畔にあるかすみがうら市安食に飲食店をオープンする。外山さんは昨年から、実家敷地内の倉庫にウナギの漁業体験ができる体験拠点「うなぎ村」をつくり活動してきた。今回飲食店を併設する。
うなぎ村は、霞ケ浦で伝統的なウナギ漁を体験してもらったり、獲った天然ウナギの調理体験をして味わってもらう拠点。実家周辺に元々ある栗林やミカン、キウイ畑などで、収穫体験もできる。
昨年夏、調理場を増設したいとクラウドファンディングで支援を呼び掛け、329万円が集まった。今年1月から、飲食スペースを併設した調理場の増築工事を実施、5月中に完成する予定だ。ほかに、祖父が乗っていた船を修理しウナギの水槽にして、庭先に設置する計画もある。

祖父のような漁師に
外山さんの祖父も父親も霞ケ浦のウナギ漁師だった。幼い頃から祖父の船に乗せてもらい、仕掛けの竹筒を水中に沈めて引き上げウナギを獲る「竹筒漁」などを体験してきた。いつかは、尊敬する祖父のような漁師になることを夢見ていた。
現在、会社員の傍ら、実家の倉庫をうなぎ村と名付け、土日に天然ウナギのかば焼きを焼いて、釜で炊いたご飯と一緒に提供したり、仕掛けの竹筒を引き上げるウナギ漁体験会を開いたりしている。
2021年8月、霞ケ浦で1.4キロの大きなウナギを獲り、SNSやyoutubeで発信したところ大きな反応があった。「こんなに反応してくれるのだったら、ぜひ現地に来て食べてもらいたい。一緒に漁業体験もしてもらいたい」という思いから、うなぎ村づくりに取り組み始めたという。
今年4月下旬には、石岡市若宮の石岡イベント広場で開かれた野外物産イベントに出店し、霞ケ浦の天然ウナギのかば焼きなどを提供。ブーズには行列ができた。

外山さんは「利益が目的というよりも、霞ケ浦産のウナギや霞ケ浦の魅力を伝えていきたい」と話す。6月にはさらにウナギ養殖の申請をし「将来的には自分でウナギを育て、霞ケ浦ブランドとして付加価値を付けて販売できれば」と夢を語る。
かつて国内有数の産地
霞ケ浦・北浦のウナギ漁獲量は1960年ごろ400トンを超えるなど国内有数のウナギ産地だった。塩害防止のため設置した逆水門を完全閉鎖した70年代後半以降、霞ケ浦のウナギは急激に減少した。現在の漁獲量は、福島第1原発事故による天然ウナギの出荷制限が解除された2016年から19年は1~5トン、20年、21年はいずれも500キロ以下だった。獲れた天然ウナギは近隣の飲食店や近県に流通している。(榎田智司)
◆「うなぎ村」はかすみがうら市安食3006-2。開店は土日のみ。かば焼き等の料金は量り売りになる。問い合わせは電話090-5446-4173。
日本の食料自給率の話 《ハチドリ暮らし》25
【コラム・山口京子】テレビをいつもつけっぱなしにしている母が、「最近のテレビは、食べ物のことばっかりでつまらないよ。それに、宣伝の時間が前と比べて長くなっているみたい」と。わたしは「きっと、食べ物の番組は安く作れるのではないかな。その割に視聴率が取れればいいものね。宣伝の時間が長くなったのは、スポンサーの意向かな」と答えました。
気になって広告がどうなっているのかを調べました。2022年の総広告費は7兆1000億円を超えたといいます。7兆円という額をどう評価するのか。買いたい気持ちを喚起させる映像が大手を振ることに違和感を抱きますが、コマーシャルのイメージとは裏腹に業界の厳しい競争があるのでしょうか。
私たちが購入する商品の価格に占める広告費の割合はどのくらいなのかしら…。何にいくらかかって、その値段になっているのか―が価格に書いてあったらと思いますが、それは企業秘密なのでしょう。庶民としては、ちゃんと作られた商品を適正な値段で購入したい。そう願うとき、ちゃんと作られた商品とはなにか、適正な値段とはなにかと…。
母が「こんなに食べ物の番組が多いってことは、日本は食べ物があふれているのかね」と独り言。わたしは「あふれているように見えるのは、外国から買っているからだよ。日本の食料の自給率は4割もないよ。家畜のエサもほとんど輸入だよ。だから、輸入が止まったら日本は大変だよ」と言うと、「日本は外国からたくさんの食料が買えてすごいんだ」とびっくりしていました。
食料や飼料作物の超輸入大国
正確には、カロリーベースの自給率は38%(1日1人当たり国産の918カロリー÷1日1人当たりの必要カロリー2426カロリー×100)、生産額ベースでは66%(年間国内生産額10.3兆円÷食料全体の年間供給金額15.7兆円×100)です。日本は食料や飼料作物の超輸入大国だと聞いたことがあります。できればカロリーベースでも生産額ベースでも、100%を目指してほしいと願います。
今までは世界的な農産物過剰があったようですが、そういう前提条件はなくなりつつあります。農産物過剰を支える工業的大規模生産の弊害が目立ち、水不足や土壌の劣化、農薬や化学肥料、化学物質などによる食品汚染の問題、環境汚染などが深刻と言われています。これからの日本は「買い負け」の時代に入るのではと心配する専門家もいます。
「食」を取り巻く事実を知って考えて、選択しなくてはと気づかされた母との会話でした。(消費生活アドバイザー)
私たちは何を食べさせられるのか 《邑から日本を見る》135
【コラム・先﨑千尋】「食べたものが私になる」。堤未果『ルポ 食が壊れる―私たちは何を食べさせられるのか』(文春新書)の終わりに出てくるこの表現を見て、「ああ、私の考えと同じだ」と思った。
「人間の身体は食べものと飲みものから成り立っている。その食べものが農薬、化学肥料漬け、不健全な土から生産されていたら、私たちの身体もおかしくなるではないか」。私は大学の講義や農協などの集まりで、農業や食べものの話をするとき、決まってこう語ってきた。
堤さんのこの本は、3月30日に東京で開かれた有機農業運動のトップリーダーだった埼玉の金子美登さんと鹿児島の大和田世志人さんを偲(しの)ぶ集まりで、堤さんの夫で薬害エイズ事件のリーダー・川田龍平さんからいただいた。
堤さんは国際ジャーナリスト。これまでに『貧困大国アメリカ』(岩波新書)、『政府は必ず嘘をつく』(角川新書)、『日本が売られる』(幻冬舎新書)などで、アメリカと日本の政治、経済、農政、エネルギー、公共政策などの分野で、現地取材に基づく鋭い視点で私たちに考える素材を提供してくれている。
本書は、「人工肉」は地球を救う?、フードテックの新潮流、土地を奪われる農民たち、<デジタル農業計画>の裏、世界はまだまだ養える、など6章から成る。本のカバーには「あなたの食べ物は知らぬ間に入れ替わっている。巨大資本が仕掛ける強欲マネーゲーム、<食の文明史的危機>を描き出す衝撃作」とある。
本書には、もう牛は殺さない「人工肉バーガー」、粉ミルクはもう古い、赤ちゃんは培養牛乳で、ふるさと納税にデビューしたゲノム編集魚、注射嫌いな子も「ワクチンレタス」でOK、<原子力ムラ>の次は<ゲノム編集ムラ>など、最新の食とその周辺の新潮流が、これでもか、これでもかと描写されている。
有機農業運動にのめり込んでいる私には遠い世界だが、知らないと言って済まされないほど、食の世界はカネと欲の世界に汚染されている現実を突きつけられ、恐ろしさを感じた。
生態系を乱せば私たちも傷を負う
京都府宮津市のふるさと納税には、2021年にゲノム編集技術で開発された「22世紀ふぐ」が加わっている。レタスにワクチンを移植して毎日そのサラダを食べれば、注射をしなくとも感染予防ができる。
ネットで検索したら、NHKの「クローズアップ現代」は2019年9月24日に「解禁!〝ゲノム編集食品〞-食卓への影響は?」を放映し、血圧を下げる成分が多いトマト、アレルギー物質が少ないタマゴ、食中毒を起こさないジャガイモ、身の量が多いマダイなどを紹介している。
では、救いはないのか。第6章「日本の食の未来を切り拓け」では、加速する有機給食革命、「食の予防原則」のトップランナーになった愛媛県今治市、アメリカに潰された国産小麦を取り戻せ、ゴミなんかない宝の山だ、など参考になる各地の事例が紹介されていて、やればできるという想いが浮かんでくる。
堤さんは最後に、「地球の生態系は土壌も人間の腸も本来完璧に調和が取れており、乱せばその一部である私たちも必ず傷を負う」と警鐘を鳴らしている。(元瓜連町長)
筑波大が連覇 天皇杯県代表決定戦
第25回県サッカー選手権兼天皇杯JFA第103回全日本サッカー選手権県代表決定戦は7日、ひたちなか市新光町の市総合運動公園陸上競技場で開催され、筑波大蹴球部が流通経済大ドラゴンズ龍ケ崎を2-0で破り、昨年に引き続き天皇杯本戦への出場を決めた。
筑波大 2-0 流経大
前半0-0
後半2-0
強い雨風による難しいコンディションの中、筑波大が我慢の勝利を手にした。「相手の狙いははっきりしていたので、じれずに戦えるかがカギだった。出方を見極めながら柔軟に取り組み、選手たちが落ち着いてゲームを進めてくれた」と小井土正亮監督は評する。
筑波大は前半から圧倒的に攻めながら、流経大の堅い守りに阻まれ、時折鋭いカウンターを浴びるという展開。だがリスクマネジメントも怠りなく、前半は相手にシュートらしいシュートを打たせなかった。

攻撃の面では「風でしんどい部分もあったが、中途半端な攻め方よりも、やりきってクロスの方が相手は嫌がっていた」とボランチのMF山内翔主将がみたように、サイドのFW山崎太新やFW角昂志郎から押し込む形を多く使った。もう一人のボランチMF加藤玄は「相手の守備裏へのパスで、中央のFW内野航太郎へボールをしっかり届けようと意識した」という。またトップ下のMF瀬良俊太は「点が取れないと気持ちがマイナスな方向に行きがちだが、じれずにやればいつかは取れると、やることは変えずにとにかく継続した」と話す。

得点が生まれたのは後半6分。加藤の左サイドからのクロスが追い風に乗り、相手ゴールに突き刺さった。「ここも前に人がいるのは分かっていて、速いライナー性のボールを出すつもりで蹴った。前半よりも早いタイミングで、FWが抜け出す前にノールックで出そうと意識していた」との振り返り。
追加点は後半20分。コーナーキックのこぼれ球を瀬良が右足アウトサイドで蹴り込んだ。「こぼれて来るのを予想してニアサイドで待っていた。自分は左足より右足アウトの方が得意。いい感じで打てて、相手GKのすぐ左側を抜いた」

天皇杯本戦では、5月21日に市原市のゼットエーオリプリスタジアムで千葉県代表のブリオベッカ浦安と対戦する。昨年も1回戦で戦い、土壇場で追い付きPK戦で勝利した相手だ。2回戦に進むと6月7日、横浜市のニッパツ三ツ沢球技場でJ1の横浜F・マリノスと対戦することになる。「ブリオベッカとは今年も難しい試合になると思う。マリノスはJクラブとの貴重な真剣勝負の機会。去年の柏レイソル戦と同様、戦って得られるものは大きいと思う」と山内主将は意気込む。(池田充雄)
古民家改修終えお披露目 土浦 宍塚の自然と歴史の会
里山保全活動の拠点に
使われなくなった古民家を再生・活用する「百年亭再生プロジェクト」に取り組んできた認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」(森本信生代表)が7日、改修を終えた「百年亭」をお披露目した。土浦学園線沿いの土浦市宍塚に建つ。家屋は8畳2間の広さ62平方メートルで、キッチン、トイレ、シャワーが新設された。
プロジェクトは昨年3月にスタートした(2022年3月28日付)。クラウドファンディングを利用して寄付を募り、県内外の223人から目標金額を17万5000円上回る317万5000円が集まった。この日は雨が降る中、会のメンバーや支援者ら約30人が集まり、プロジェクトを請け負った建築家らの話に耳を傾けた。

「売りに出されていた古民家を、会の活動拠点に利用できないかと考えたのがプロジェクトの始まりだった」と、プロジェクトリーダーで同会顧問の佐々木哲美さん(70)が振り返る。同会は1989年の発足以来、宍塚大池と周囲に広がる約100ヘクタールの里山を保全するために、野鳥観察や田んぼ・畑作業などを通じて県内外から人を呼び込み幅広い活動をしてきた。
家屋は長年放置され雨が漏り、基礎は腐食し傾いていた。再生事業を担ったのは、土浦市在住の建築士、児玉理文さん(32)。プロジェクトへの支援を求める会の活動を知ったのがきっかけだった。児玉さんは学生時代、京都の宮大工に技術を学び、現在は県内の設計事務所で古民家再生に携わる。「『百年亭』を残すことは、里山を残すという会の趣旨と合致する」と考えた。プロジェクトには、児玉さんの学生時代からの友人で建築士の久保順司さん(31)と潤井駿司さん(32)が協力し、改修工事は、行方市で工務店を営む宮内久志さん(53)が請け負った。

児玉さんらが大切にしたのは、元の姿を尊重しつつ新しい技術を入れること。古民家の歴史的価値の保存だけでなく、実用性を重視した。欄間や付け書院などがある和室と縁側は、建設当時の姿に再生することを目指した。台所周辺の水回りは一新し、作業の後に汗を流せるようシャワーとトイレを新設して利便性を意識した。キッチンカウンターと床板には、隣接する里山からナラの木を切り出して使用した。児玉さんは「里山は人の暮らしと共にある。家屋も里山から切り出した木材を利用したと考えられる」と言い、その伝統を現代に応用した。壁下の地中には鉄筋コンクリートの基礎を設けて耐震性を確保した。

「歴史を掘り起こし、読み解きながらじっくり時間をかけて仕事に向き合ったことは、今後につながる大切な経験」と、1年に及んだ仕事を児玉さんは振り返る。また児玉さんからの依頼で建築を請け負った宮内さんは「若い人たちが本当によく勉強していて、私も勉強になった」と笑みを浮かべた。
プロジェクトリーダーの佐々木さんは「丁寧な仕事に感謝している。私たちも彼らの思いを後押しできよかった」と話し、「文化事業に価値を見出し、さまざまな人が力を合わせられたことが一番の成果。みんなで実現させたプロジェクトを、里山全体の保全につなげたい」と期待を述べた。

141年前に建築と判明
解体した玄関から木片が見つかり、「明治十四年 六月 佐野子 伊助作」の文字が墨で書かれていた。同会の森本代表(66)は「この家屋が建てられた年と、手がけた大工の名前。この家が、141年前に建てられたことがわかる」と言い、「この古民家が里山のほとりにあることに意味がある。若い人たちにも、里山がある暮らしを知ってもらうための拠点になればと考えている」と話し、「これまでにも、大学生などがボランティアに来てくれていたが、着替えをしたり、汗を流したりする場所がなかった。これからは、合宿、勉強会などに活用してもらうことで、環境保全の活動に取り組む若者の育成に繋げていきたい」と思いを語った。(柴田大輔)
「平熱日記 in 千曲」後記その1《続・平熱日記》133
【コラム・斉藤裕之】さて、80余点の作品を無事にかけ終わり、「平熱日記 in 千曲」は小雨の中、初日を迎えた。ギャラリーと接する母屋のリビングにはいつの間にかお手伝いの方々が集まり始め、にぎやかに準備が進んでいく。今まで経験したことのない、こうなるともはやギャラリーのオープニングというより、親戚一同が集まった何かの慶事のようだ。
そうこうするうちに、アーティストトークの時間となった。見ての通り、特に何を説明する必要もない作品だと思うのだけれど、オーナーのかおりさんの提案で簡単な実演をすることになっていた。
持参した筆や絵具を使ってイリコを描く。光の具合や机の高さなど、いつもとは違う条件の上、周りを多くの人が囲んでいるのでやりにくかったけれども、漆喰(しっくい)に金網を塗る様子も見てもらって、イリコを描いてみた。それから、かおりさんの質問に答えながら作品にまつわる話などをした。
近隣の方々、東京から来てくれた姪(めい)夫婦、かつての教え子。ファンとおっしゃる方は富山から、なんと茨城からもいらしてくれた方もいて…。実に久しぶりに打ち上げなんていう経験もして、にぎやかな初日を終えた。
次の日、人のいないギャラリーに座る。壁に展示された絵はすでに私には何ともしがたいものとなってしまっていて、壁の絵に見られているような気になる。やがて扉を開けてお客さんが入ってきた。そして一つの絵を見つけて話を始める。
私は、その人が私の絵について全てお見通しのような気がするので、聞かれることに子供のように素直に答えることしかできない。ただ、多くの方から「とても小さな絵なのに大きな広がりを感じる」という感想をいただいてうれしかった。私としても小さな絵を描いているつもりはなくて、描いている絵が小さいだけなのだ。
運転と演歌のリズムは相性がいい
3日目、金髪の次女とネールアーティストの友人、チエピーがわざわざ新幹線でやってきてくれた。寒の戻りでダウンジャケットを着た外国人観光客が目立つ中、まずは善光寺にお参り。先日無事に戻られた「賓頭盧(びんずる)様」のお体も触ることができた。ちなみに、チエピーのカラフルな付け爪は鉛筆のキャップほどの長さがあって、先が鋭くとがっている。賓頭盧様もその爪にはさぞかし驚かれたはず。
せっかくなので、信州そばを食べてからギャラリーに向かう。子供のころから絵を習っていたチエピーはとても熱心に作品を見てくれた。
さて、暗くなる前に2人を乗せて高速で茨城まで帰らなければならない。チエピーは運転する私を気遣ってか、ブルートゥースで音楽を流してくれた。その選曲が「心の旅」、「神田川」から始まって、「帰ってきた酔っ払い」、山崎ハコの「織江の唄」、「木綿のハンカチーフ」…。
お父さんがよく聞いていたという、なんとも渋すぎる選曲だが、私には中学の修学旅行や上京したころなど、その当時の光景が懐かしく思い出されて、眠気をみじんも感じない快適なドライブとなった。
余談だが、長距離トラックの運ちゃんが八代亜紀やサブちゃんファンだという理由が何となく分かった。車の1人旅にはしゃれた音楽よりも演歌が合う。ハンドルと演歌のリズムは実に相性がいい。眠くもならないし長いトンネルも一曲唸(うな)ればあっという間だ。(画家)
➡斉藤裕之さんの過去のコラムはこちら
草刈りの休憩に草刈り《続・気軽にSOS》132
【コラム・浅井和幸】つまるところ疲労とは、作業、行為の継続です。重労働や難しいことを考えると疲れると捉えられがちですが、違います。ゴールデンウイーク中に車の運転を長時間すると、目も疲れますし、腰や膝が痛くなりますよね。これは、同じ距離を見続けるとか、同じ姿勢を取り続けることで疲れるのです。
寝過ぎても腰が痛くなったり、褥瘡(じょくそう)が出来たりします。なので、寝返りをうてない方の解除をヘルパーさんがする必要があります。これと同じように、嫌なことを考え続けても疲れます。
何もせずに横になっていようが、リラックスできる椅子に座っていようが、嫌な仕事を続けたり、嫌な人のことを考え続けると疲れがたまります。そんなときは、ゆっくり寝ているよりも、嫌な考えを無理やりなくそうとはせずに放っておきます。そして、凝った料理を作るとか、掃除をするとか、おしゃべりをするとか、おいしいスイーツを味わうとか、別のことをするとよいでしょう。
また、嫌なことを考え続けても、疲れて飽きたり眠くなったりして、止まりやすいですが、好きなことややりがいのある事は続けられてしまいます。これは、疲れを感じることに対する感度が鈍くなって、余計に疲れがたまってしまう「マスキング効果」といって、危険なことにつながることがあります。
好きなゲームをしていたら、食事やトイレも忘れていたという経験をしたことはないでしょうか。嫌な仕事や勉強を続けるとよくないことは理解しやすいですが、好きであったりやりがいがあったりして疲労がたまり、それに気づかず心の病に至ることもありますし、最悪のケースに至ることもある事実は見落とされがちです。
ヘンテコな踊り、結構おすすめ
じゃあ、疲れを取るには何をすればよいのかとなります。旅行に行けばよいのか?(実は旅行は疲れるので疲労回復には向かないという部分もあります)人生を一変するようなすべてを打ち込めるような素晴らしい趣味を持てばよいのか?(そんなことが出来るはずがないだろうと言われます)
いえいえ、気分転換、神経や筋肉の疲労回復は、今とは別のことをすれば何をしてもよいです。近くばかり見ているのであれば遠くを見て、一点を見ているのであれば周りを見回し、腕立て伏せで疲れたのであれば走ればよいのです。
私は小さな畑を借りているのですが、草刈りが結構大変なんです。柄のついた大きめの道具で草刈りをしていると、息が切れて腰が痛くなってきます。そこで、しゃがんで手で小さな雑草を抜きます。今度は膝が痛くなってくるので、また柄のついた道具を使って…。
そう、草刈りの休憩で草刈りをするのです。それで疲れたら、木陰で空を見上げて、ゆっくりと呼吸をします。
最近、深呼吸をしたり、空を見上げたりしていないであれば、してみてください。それだけで、ほんの少しの休息になります。あと、ヘンテコな踊りを踊ってもよいですよ。ヘンテコな踊り、結構おすすめです。(精神保健福祉士)
常総、タイブレーク制し2年ぶりV 春季高校野球
第75回春季関東地区高校野球茨城県大会は5日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で決勝が行われ、常総学院が延長10回タイブレークの末に5対3で土浦日大を破って、2年ぶりの優勝を決めた。

決勝は土浦市勢同士の対戦。常総学院が9回二死から追いつき、延長の10回タイブレークを制し、逆転勝利を果たした。
先手を取ったのは土浦日大。1回2死三塁から松田陽斗の左前打で先制。さらに2連打で満塁にし、投手の牽制悪送球で1点を追加した。

日大の先発、藤本士生は初回に2安打を許したものの、その後は6回まで2四球無安打の好投。対する常総学院は2回から2番手の飯塚遥己がマウンドに上がり、6回まで2四球2安打でまとめた。

7回の常総は先頭打者の武田勇哉が初球を左中間スタンドへ運び、日大の2番手、小森勇凛をマウンドへ引きずり出した。また常総もこの回から諸星蒼空を登板させ、以後は両エースの投げ合いとなった。
常総は9回2死二塁で一ゴロとなったが、ベースカバーの呼吸が合わず、その間に走者・立野翔聖が本塁を陥れ、ついに追いついた。
大会規定で延長10回からタイブレークに突入。表の常総はバント攻撃の後、若林の中前への適時打で1点を勝ち越す。「速いストレートに詰まったが、いいところへ落とすことができた」との談話。さらに1死満塁から石井恭悟が左前へ2点適時打を放ち、突き放した。その裏、日大は重盗でチャンスを広げ、代打・飯田将生の犠牲フライで1点を挙げるものの、その先へつなげることはできなかった。

日大の小菅勲監督は「接戦は予想していた。投手陣が粘り強く投げてくれていい野球ができた。打線があと1、2点奮起してくれれば。夏に向けてどんな投手にも対応できるようにしていきたい」と敗因を語った。
島田監督「甲子園で勝てるチームになる」
常総の島田直也監督は「最後まであきらめなかったことが良かった。失点しても追加点を与えず、勝ち切れたことは自信になる。もう少し細かいミスやボールの見極めなどをしっかりできれば、甲子園で勝てるチームになる」と選手を讃えた。また澤田主将は「序盤から相手投手に球数を投げさせ、見えない努力が結果に表れた。前半は打たされたが10回の攻撃では割り切って、みんなで低い打球を打つことができた」と打撃陣の取り組みを語った。
両校は20日から神奈川県で開催される関東大会に出場する。常総の初戦は20日午後2時30分から関東一高(東京2位)と、日大は21日10時から健大高崎(群馬1位)と、それぞれ対戦する。会場はともに横須賀市の横須賀スタジアム。(池田充雄)
つくば生きもの緑地から始める30by30 国立環境研「自然共生サイト」に名乗り
新緑の候、4日はみどりの日。キンランの花咲く所内の保全区域を足場に、国立環境研究所(つくば市小野川)が「自然共生サイト」を地域に広げる取り組みに乗り出している。
同研究所は所内の植生保全優先区域のうち5.1ヘクタールを「つくば生きもの緑地」と名付け4月、国の認定制度がスタートした「自然共生サイト」に申請した。同サイトは、民間が主体となって生物多様性の保全が図られている区域を国が個別認定する。国際的な目標30by30(サーティ・バイ・サーティ、※メモ参照)に基づく取り組みだ。
国は今年度中に100カ所以上の認定を目指している。国立・国定公園などを除く企業の森、ナショナルトラスト、自然観察の森、社寺林などが対象。認定には生物多様性の価値(絶滅危惧種の生息、渡り鳥の飛来地、環境教育の実践など)に加え、普段の管理や維持が適正に行われていることが基準になる。
研究所のサイトについて生物多様性領域、石濱史子主任研究員は、伐採・除草はあまりせず、適宜手を入れる管理法で、適度に明るさを保つ林を維持してきたという。木漏れ日のさす林では今の時期、環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に掲載のキンランが育つほか、ジュウニヒトエ、ツリガネニンジン、ワレモコウなどの植物を見ることができる。所内では、ノウサギ、ニホンアカガエルなどの生育も確認されている。

筑波研究学園都市の建設初期に立地した研究機関は、敷地の30%以上を緑地として保全した経緯があり、同研究所にも在来の植生を生かした林や原野が残ることになった。その後も、コナラを主とした在来種からなる落葉広葉樹林の育成と区域の特性に合わせた頻度での草刈りなど、絶滅危惧種を含む草地性の動植物種の個体群維持を図っているという。
今回が初認定となる「自然共生サイト」への申請は5月8日に締め切られ、審査して8月ごろ認定される見込み。市域からは、つくばこどもの森保育園(同市沼崎)も申請している。
緑地ネットワークも再始動
研究所は「自然共生サイト」を地域に広げる取り組みにも乗り出している。2019年にスタートしたものの、コロナ禍から休止していた「つくば生きもの緑地ネットワーク」の活動をこの春から再開させた。農研機構や防災科研に改めて参加を呼び掛けており、相互の緑地見学会や交流セミナーなどを開催、生物分布に関する情報共有を行いたいとしている。
また同市では生物多様性つくば戦略(仮称)の策定を進めており、石濱主任研究員は策定懇話会に委員として参画している。第3次つくば市環境基本計画の重要施策のひとつで24年度の策定をめざしており、30by30の目標に歩調を合わせる。さらに機会をとらえて「自然共生サイト」の趣旨に沿った情報、知識の発信をしていく構えだ。(相澤冬樹)
※メモ 30by30(サーティ・バイ・サーティ)
2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるゴールに向け、海域を含む国土の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際目標。2018年のCOP14での採択などに基づく。環境省はオールジャパンで目標を達成するためのプラットフォーム「生物多様性のための30by30アライアンス」を立ち上げた。
絶版書を翻訳する《ことばのおはなし》57
【コラム・山口絹記】読書家にとって、「絶版」というのは目にしたくもない、恐ろしいことばだ。手放した本が後に絶版となり、電子化もされずにもう手に入らない、なんてことは決して珍しいことではない。だからこそ、一度手にした本を手放せない方も多いはず。私もそんなひとりだ。
手放せないのはもちろんだが、すでに絶版になってしまった海外文学を、自分のためだけに翻訳して楽しむ。というのが、私のひそかな楽しみでもある。
以前こんなことがあった。
母が小さい頃に読んだ児童書を翻訳してほしいと言うのだ。どういうことかというと、その児童書は海外文学を翻訳したものだったのだが、あとがきに『こみいって、わかりにくい部分をすこしはぶきました』という旨が書かれており、とても悔しい思いをした、ということらしい。もっともな感想だ。
しかし、実はこういったこと(翻訳者のさじ加減で作品の一部が翻訳されない)は珍しくない。半世紀ほど前に書かれた書籍で、今となっては原書も翻訳版も絶版。作者も挿絵も翻訳作家も、それなりに有名な方々なのだが、こういったこともまた、決して珍しくない。
結局、私がヨーロッパから原書を取り寄せ、すべて翻訳し、母にプレゼントした。半世紀ぶりの謎が解けたようで、喜んでもらえた。翻訳しながら、私自身が内容に心を動かされたこともあり、当時6歳の娘に読み聞かせたところ、娘もとても気に入った様子だった。
とりあえず簡単に印刷したものを自宅に放置していたのだが、いかんせん大人用に翻訳したものなので、今では小学生になった娘でも読むのが難しい。
児童文学の文章経験はゼロだった
そこで考えたのだ。児童文学なのだから、児童文学風の文章に書きかえたらどうだろうと。なんとなく、簡単なことに思えたのだ。着手するまでは。
とんでもなかった。まったくもって歯が立たない。こうなってみて初めて、私は意識して児童文学のような文章を書いたこともなければ、そういった意識で児童文学を読んでこなかったことに気がついたのだ。
今までどれだけの児童書を読み、どれだけの文章を書いてきたかわからないが、つまるところ、意識して書かなければ何も身につかない。私の児童文学的文章に関する経験値はゼロだったのである。
無知を嘆いても仕方がない。時間の無駄である。ということで、自分の中で名作と思う児童文学をピックアップし、文章の作り方を真似(まね)しながら書き直し始めた。
次回の連載までに制作が完了するかわからないが、現在進行形で苦しんでいる翻訳、というものについて、次回は書いてみようと思う。(言語研究者)
消防団40カ所に誤った金額を送金 つくば市
つくば市は2日、市消防団員964人分の2022年度年額報酬の後期分総額約2009万円を、支団や分団など計59カ所に振り込んだところ、40カ所に対し誤った金額を送金していたと発表した。誤った金額は総額で約1502万円分という。
同市の消防団員の年額報酬は、階級に応じて1人当たり年間3万7000円から13万円が支給され、半年ごとに2回に分けて、市消防本部から各支部や分団などに送金される。
市消防本部地域消防課によると、22年度の後期分(22年10月~23年3月分)を4月28日、市消防本部が59カ所に送金したところ、年額報酬の集計表と、振込集計表の2つの表にずれがあり、ずれに気付かず、誤った金額を送金してしまった。
2日夕方、市内の分団長から送金金額が違うなどの指摘があり、誤送金が判明した。
同日、市消防本部は40カ所の支団長、分団長に電話で謝罪した。今後の対応については連休明けに、各支団や分団に改めて連絡するという。
再発防止策として同課は「今後、振込先と金額に誤りがないか、複数の職員で確認し再発防止を徹底します」としている。
ファンの支援受け再起動 石岡・ギター文化館
コロナ禍で演奏会が開けず昨年、存続の危機に直面したクラシックギターの殿堂「ギター文化館」(石岡市柴間、池田由利子館長)が、全国のギターファンの支援を受けて再起に向け歩み始めた。
4日にはギターのフリーマーケット初開催
今年からは、コロナ前も開催してきた演奏会や貸しホール、音楽教室に加えて新たに、同館が所蔵する貴重なギターの館内貸し出し、演奏会の動画配信などに取り組み始めた。4日には出店者を募って、自宅に眠っている思い出の中古ギターやお宝ギターを販売してもらうフリーマーケットを初めて開催する。専属ギタリストを地域イベントに派遣する回数も増やし地域全体の音楽文化の振興にも力を入れる。
2020年から演奏会が相次いで中止となり、21年末、運営母体の東京労音(事務局・東京都新宿区)から、30周年を迎える22年11月以降は運営費の補助が難しいと通告を受けた。存続を賭け、昨年4月と5月、年間運営費の700万円を目標にクラウドファウンディングを実施した(22年5月2日付)。
全国各地のギターファンなど445人から計745万円が集まり、400人を超えるファンから「大切な施設」「存続させてほしい」などのメッセージが寄せられた。池田館長(62)は「こんなにも愛されていることを改めて感じ、感銘を受け、運営する東京労音が、何とか維持し運営を続ける方向にかじを切ってくれた」と振り返る。
昨年6月からは、中小企業の無料経営相談所「県よろず支援拠点」(水戸市)で10回近くオンラインで相談に乗ってもらいながら、昨年末、経営改善企画書を練り上げ、新規事業を一つずつスタートさせている。

感染防止の行動制限が大幅に緩和された今年度は、館主催の公演を復活させ、新たに石岡駅から往復の送迎バスを運行する。貸しホールのイベントはコロナ前より増える見通しで、8月には首都圏のギター愛好者団体が、石岡市内に宿泊しながら1日中、同館でギターの練習をする2泊3日のギター合宿を開催したり、9月開催の館主催のギターコンクールの翌日、過去の優勝者らが自ら出演料を払って演奏するなどのイベントが企画されている。
池田館長は「危機を知ったファンが、ギター文化館に少しでもお金を落とそうと応援してくれているのだと思う」と感謝の意を現す。
経費節減にも取り組む。これまで開館時間はいつでもホールや所蔵ギターの見学ができ、常時、全館で冷暖房を使用していたが、館内を見学できる日を制限し、光熱費を節約する。
一方、新規事業を加えても年間運営費の700万円の収入には届かないことから、来年度以降もさらに、中古ギターのシェアリングサービスや受託販売、周囲の景観も含めた音楽イベント以外の結婚式や芝居、撮影などでの施設貸し出し、所蔵するアナログレコードや楽譜などの活用にも取り組む計画だ。

池田館長は「ギターの聖地というイメージを大切にしながらさらに魅力あふれるブランドを構築し音楽文化の発信地を目指したい」と意気込みを語る。
同館は1992年、八郷地区の自然豊かな小高い丘の上に開館した。スペインのフラメンコギターの巨匠、マヌエル・カーノが収集した貴重なギター18本を収蔵し、ギターを響かせるために特別に設計されたドーム型のホールがある。
◆ギター文化館(石岡市柴間431-35)第1回ギターのフリーマーケットは4日(木・祝)午前10時~午後3時。7組が出店し30本以上のギターなどが展示・販売される。入館料500円(税込み)。詳しくは同館ホームページ。問い合わせは電話0299-46-2457(同館)。
「チャットGPT」の登場と新聞業界 《雑記録》47
【コラム・瀧田薫】新聞報道によると、囲碁7大タイトルの1つ「本因坊戦」が、主催する毎日新聞によって大幅縮小される(朝日新聞4月17日付)。本因坊への挑戦権を争う8人総当たりリーグ戦が廃止され、タイトル料はこれまでの3分の1以下に大幅減額となるという。
毎日は「伝統ある本因坊戦をなんとか維持するための苦渋の選択だ」としているが、確かにそう言わしめるだけの事情はある。レジャー白書によれば、日本の囲碁人口は1980年代には約1000万人だったが、2021年には150万人まで落ち込んでいる。
また、日本の新聞の総発行部数も2000年に5300万部あったものが、2022年には3084万部(日本新聞協会公表)まで減少している。新聞社の経営陣にしてみれば、囲碁人口数も発行部数も背筋が寒くなるようなデータであり、これでは「背に腹は…」の心境にもなるだろう。
ところで、新聞業界は今、さらなる試練に直面している。対話型AI(人工知能)「チャットGPT」(以下GP)の出現である。GPは高度な言語処理能力を持つ「大規模言語モデル(LLM)」に大量のデータを学習させ、人間と見分けがつかないぐらいスムーズな文章を作る。
すでに、紙媒体としての新聞は、ネット環境の爆発的発展によって追い込まれ、さらに膨大なフェイクニュースに追い討ちをかけられている。その上、得体(えたい)の知れないGPの登場である。これへの対応をあやまると、新聞社の存続自体が危うくなる。それどころか、人類の生存さえ危ぶむAI専門家まで出てきている。ただ事ではない。
言語活動や創作活動の一部を補完
東京大学副学長の太田邦文氏が、GPに向き合う方法について、東大のウェブサイト「ユーテレコン」に見解を載せている。以下、その要点(抜粋・筆者)をまとめてみた。
「GPは検索ではなく、相談するためのシステムである。書かれている内容の信憑(しんぴょう)性には警戒が必要であり、個人情報などをGPに送るのは危険だ。将来、著作権や文書を用いた試験・評価に問題が発生する可能性がある。社会に対する悪い影響もあり得る。東大の学生や教職員に対して、今後、GPについて逐次情報を伝え、かつ議論の場を設ける。学内外の対話を通じて、GPを有効な道具としつつ、より良い世界の構築に貢献していこう」
太田氏の見解の肝心な点は「GPを平和的かつ上手に制御して利用すれば、人類の言語活動や知的創作活動の一部を補完し、私たちのwell-being(ウェルビーイング)向上に大きく寄与するだろう」と述べていて、GPに対して警戒しながらも、基本的には楽観していることだ。
この認識が正しいかどうか、現時点ではなんとも言えない。幸い、すでに多種多様な領域の専門家がGPについて検証を開始している。筆者が望むのは、新聞業界が一丸となってこの検証の先頭に立ち、まとめ役を果たすことだ。それが出来るか出来ないか、まさに「新聞の存在意義」が問われるプロジェクトとなるだろう。(茨城キリスト教大学名誉教授)
「土浦方面・土浦駅接続」で意見を募集 TX延伸で茨城県
つくばエクスプレス(TX)県内延伸について、茨城県のTX県内延伸第三者委員会が3月31日、延伸先は土浦方面が最善だとする提言書を大井川和彦知事に提出した(3月31日付)のを受けて、県は1日、延伸先を「土浦方面とし、JR常磐線と接続する駅は土浦駅として、県内延伸構想の具体化に向けた検討を進めていく」とする県の方針案をまとめ、同日からパブリックコメント(意見募集)を開始した。30日まで広く県民の意見を募集し、6月下旬ごろ県の方針を決定する。
土浦駅に延伸する場合、約1400億円の事業費がかかり、つくば駅-土浦駅間(8.4キロ)の1日当たりの乗車人数は約8600人で、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測され、第三者委から、需要の呼び起こしや事業スキームのさらなる検討が課題だと指摘されたことなどから、県方針案は今後の進め方について①関係機関との調整に向けて県としての素案を策定する②国の交通政策審議会答申での位置づけを目指す③事業主体となる鉄道事業者と共同して延伸事業の許可取得を目指すーの3段階に分けて進めていくとした。
第1段階の素案策定時期について県交通政策課は、2025年度に県の総合計画が改定されることから、改定に間に合うよう国やTX沿線都県、延伸市の土浦、つくば市などと調整を進め、素案策定を目指すとし、その後、第2段階として、国の審議会答申で位置付けられることを目指すとしている。
ほかに意見募集では新たに、年間運営費として経費や人件費に計22億円かかる一方、運賃収入などは19億円にとどまるなど年間3億円の赤字になる根拠となる数字や、1以上が望ましいとされる費用便益比が0.6にとどまるとされた算出データについて、30年間の合計を現在の価値で評価すると、総費用が718億円なのに対し、時間短縮や費用節減、混雑緩和、環境改善などの便益は415億円にとどまるなどのデータも公表されている。
◆パブリックコメントの詳細は県交通政策課のホームページへ。方針案に対する意見は郵送、ファクス、電子メールなどで提出することができる。











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