木曜日, 11月 5, 2026
ホームつくば大学生が作る小さなお風呂 筑波山の古民家宿泊施設に今秋完成

大学生が作る小さなお風呂 筑波山の古民家宿泊施設に今秋完成

筑波山の南麓から関東平野を一望するロケーションに、法政大学デザイン工学部建築学科の学生が乗り込んで、小さいながらも解放感いっぱいのお風呂を作っている。築130年の古民家をリフォームした宿泊施設「旧小林邸ひととき」の前庭だ。約10平方メートルの広さだが、宿泊客やコワーキングスペース利用の滞在者のみならず、地元住民や観光客の利用も想定、ことし秋の完成を予定している。

旧小林家は江戸時代から続く米問屋で、明治時代に筑波山のケーブルカーや筑波鉄道を作ることに尽力した資産家という。空き家となっていた古民家をGoUp(野堀真哉社長)が買い取り、リノベーションして2020年にオープンした。2階建ての母屋で宿泊ができ、ハナレにはコワーキングスペースを置いている。

赤松研究室の学生たち=旧小林邸ひとときの母屋前(法政大学赤松研究室提供)

お風呂建設に携わるのは法政大学デザイン工学部建築学科、赤松研究室(赤松佳珠子教授)の学生で、ゼミの一環として作業を進めている。延べ人員は37人だが、1日に3、4人が代わるがわる筑波山に来て、工事に当たっている。大学の決まりで泊まることが出来ないので少し効率が悪いという。

現場は斜面地のため狭あいで、建物配置には苦労する(同)

お風呂には「ゆりゆら」と名前をつけた。現在、建屋の作成中で、枠組みが出来た段階。脱衣所と浴室の面積は約10平方メートルと小さめだが、浴室には3人が入れる。外気浴の出来る約11平方メートルの中庭を介して2棟に別れた構成とし、小さいながらも開放的なおふろ空間を作り出す。竹、筑波石、瓦屋根、竹あかりなど、つくばの地元ならではの素材を用い、地域産業に根付いた計画をした。

設計にあたり、研究室では2021年から1年かけて、7つのグループに分かれてプロポーザルを行い、設計・プレゼンをした。赤松教授や地元の専門家の意見を参考にし、議論した上で最優秀を決めた。最優秀になったプレゼン案は全員で細かいプランに落とし込み、具体的に進めていくことになった。22年度にはクラウドファウンディングを呼び掛け、50万円の目標に対し約75万円が集まり、建設の一部に充てられる。

建築の仕事は初体験「道具は重いし…」

赤松研究室では10年前から「つくばプロジェクト」と称し、筑波山の中腹、通称「西山道」と呼ばれる登山道周辺の地域おこしに取り組んできた。つくば道から分岐して直線的に中腹の筑波山神社直下まで上る急斜面の一帯だが、ここからの展望を好んだ資産家たちが建てた古民家が所在する。

旧小林邸を少し上ったところには古民家「大越邸」があり、1960年代以降、使われず廃れてしまっていた。子の杉原洋子さん、孫の由樹子さんの代から手を加えることで、新しく生まれ変わらせようという試みが始まった。由樹子さんは赤松研究室1期生で、改修工事を申し出て、学生が定期的に筑波を訪れるようになった。クラブハウスとして、春秋の筑波山神社御座替祭には休憩所として利用されるようになった。

法政大学大学院1年の太田一誠さん

つくば(旧豊里町)生まれの野堀さん(38)は2015年に、同神社参道入り口近くで「Cafe日升庵」の営業を始めた。さらに、日帰りしない観光地とされる筑波山にあって、ホテルに泊まり1日筑波山を楽しんで欲しいという意図から「旧小林邸ひととき」に取り組んだ。開業以降、赤松研究室の大越邸での活動を見ていた野堀さんから声を掛け、今回建設に賛同を得た。

実際に工事にあたっている、大学院1年の太田一誠さん(23)は「本来は設計が専門なのだが、建築の仕事は初体験だったので作業は大変だった。道具は重いし、扱い方も難しい、改めて職人の凄さを痛感した。現場の仕事を体験したことによって、将来必ず役に立つと思う。筑波山麓秋祭りでワークショップを開催するのでそれまでは完成したい」と述べる。(榎田智司)

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