水曜日, 8月 10, 2022
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「電話再診」低調 筑波大付属病院が積極利用呼び掛け 新型コロナ

【相澤冬樹】新型コロナウイルスによる院内感染のリスクが高まるなか、筑波大付属病院(つくば市天久保、原晃院長)が、再診患者を対象に電話での診察を呼びかけている。 厚生労働省の通知に基づき、同病院は3月4日から「電話再診」を始めた。慢性疾患に対する医薬品が必要な場合に、電話などによる診察と処方を行うもの。しかし、1カ月を経過しても低調な申し込みにとどまっていることから、いっそうの積極的利用を呼び掛けている。 面会も原則禁止 同病院は、高度医療を提供する県内唯一の特定機能病院。39診療科、800床を備える。地域の医療機関では対応の難しい患者を受け入れているが、外来患者や付き添いの家族らが新型ウイルスを持ち込むと医療崩壊にもつながりかねない。高度な医療を提供する機能維持のため電話再診を取り入れ、3月27日からは入院患者への面会も原則禁止した。 電話で診察する対象は、慢性疾患で経過観察中の容体が安定している患者ら。インターネットで申し込むと、予約時間に担当医から電話がかかってくる。問診後に薬の処方箋がかかりつけの薬局にファクス送信され、翌日以降に薬を受け取れる仕組み。再診料は次回の通院時に清算する。 県内では県立中央病院(笠間市)、牛久愛和病院(牛久市)、県立こども病院(水戸市)などが同様の取り組みを行っている。

《雑記録》10 コロナ危機と人間の安全保障

【コラム・瀧田薫】WHO(世界保健機構)が新型コロナウィルスのパンデミック(世界的流行)を宣言した。危機の核心は「感染が何処まで広がるか、どれほど深刻か、そしていつまで続くか」にあるが、フィナンシャルタイムス紙が最悪の場合を想定(2020年3月20日付)している。すなわち、世界人口の最大80%が感染すると予測し、致死率を1%とした上で、対応策(隔離、治療薬やワクチン)の効果を折り込み、死者3000万人程度になると予想している。 この数字をどれだけ減らせるかは、「時間との勝負」ということだろう。しかし、公衆衛生の専門家の間に、パンデミック終息時について確たる見通しはないようだ。東京オリンピックは1年程度の延期とされたが、これは「希望的観測」に基づく判断であろう。 それにしても、この国の防災システムと政府の危機管理はお粗末だ。グローバリゼーションのもたらすパンデミックの危機を何度も指摘されながら、対応策は閑却された。その結果、難民はもとより、外国人観光客まで国外排除の対象と成り果て、観光立国政策はほとんど破綻状態にある。当面、ウィルスとの闘いに集中するにしても、それと並行して、この国の防災そして危機管理の抜本的な見直しが必要であろう。 ちなみに、1994年、国連開発計画(UNDP)が「人間の安全保障」の理念を提示している。この理念の狙いは、グローバリゼーションに伴って登場してきた21世紀型の危機(難民、テロ、地域紛争、武器や薬物の密輸、飢餓、経済・金融危機、環境破壊、感染症など)に対処するため、国家中心の安全保障という従来の枠組みを見直すことにあった。 中村哲氏と緒方貞子氏の実践 意外なことに、当時、この国の政府は他国に先駆けて、この理念の具体化に動いている。1998年、小渕首相が「人間の安全保障基金」を立ち上げ、2000年、森首相がこの理念を外交政策の柱の一つに位置づけている。何はともあれ、この原点に一度立ち返ってみるべきだろう。そして、原点から約20年が経過した今、「人間の安全保障」の理念がこの国においてどこまで実現されたのか検証する必要がある。

さらに2人感染、計15人に つくばの高齢者施設 新型コロナ

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は6日、さらに2人が感染していることが判明したと発表した。同施設での感染者は計15人になる。 2人は、土浦市に住む同施設職員の40代女性と、つくば市に住む入所者の90代女性。いずれも2日に発熱し、現在、咳などの症状がある。 6日は施設の入所者と通所者、職員と家族の計24人のPCR検査を実施し、22人は陰性だった。県は濃厚接触者をさらに調べている。 「施設関係者は首都圏の人との接触自粛を」 一方、大井川和彦知事は6日の記者会見で、県内でこれまでに発生した4つのクラスターのうち、つくば市の筑波記念病院と社交ダンススクールのクラスターについて、経過観察期間が過ぎたのでこれ以上の感染拡大はないとした。 その上で、県内のこれまでの感染状況について、茨城県の場合、知らないところで感染が拡大しているということではなく、県外からやってきた人と濃厚接触者の範囲でとどめていると強調した。

一転、5月6日まで休校 県南の県立高校 新型コロナ

6日新学期が始まった県立高校について、大井川和彦知事は同日、東京への通勤者が多いつくば、土浦市などの県立高校や中等教育学校を、ゴールデンウイークが終わる5月6日まで臨時休校にすると発表した。 3日時点で大井川知事は、県内の新型コロナウイルス感染者の発生状況から感染の連鎖を止められているとして、県立高校は6日から通常通り再開するとしていた。しかし新学期スタート初日に方針を見直す。東京との交流人口が多いことから県が「感染拡大要注意市町村」に指定した、つくばエクスプレス(TX)や県南の常磐線沿線など10市町に立地する県立高校32校をさらに1カ月間、臨時休校とする。 7日は通常通り入学式を実施し、8日からゴールデンウイーク明けまで臨時休校となる。 大井川知事は方針を一転させた理由について、3日の発表後、インターネットやその他で心配する声が大変多く寄せられたとし「恐怖心、心配、不安が強い中でこれ以上無理に学校を再開しても、逆に不安な心理の中で通常の学校生活が送れないのではないか」と判断したと説明した。 TX沿線や県南の常磐線沿線市町の住民に3日、平日夜間と週末の外出自粛を呼び掛けたことに触れ「予防的な措置として外出自粛を要請したが、それが引き金となって不安感が増して休校を求める声が多くなっていった」とし「不安な心理の中で学校を続けることはマイナスの方が大きい」とした。 休校期間については夏休みを短縮することで取り戻すことを検討しているという。

つくば市長、受け入れに難色 日本財団9000床整備計画

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を防ぐため、日本財団がつくば市南原、つくば研究所跡地に軽症者向け病床約9000床を7月末までに整備すると発表した問題で、地元の五十嵐立青市長は6日の定例記者会見で、「住民理解が不可欠だが、プロセス構築が極めて困難」だなどとして、受け入れに難色を示した。 五十嵐市長は「すでに医療崩壊が起き始めており7月末では間に合わない。筑波大附属病院は800床、9000床は全国どこにもない規模。移送体制や医療従事者はどう確保されるかなどさまざまな課題をクリアしなくてはならない」などと話した。 課題として①研究所跡地に残っている建物を取り壊すので7月末までという時間が掛かってしまう②施設に他地域の患者や医療従事者を移送することに課題がある③大規模施設は住民理解が不可欠だが、市役所職員は市内の感染拡大防止に集中しており、住民理解を得るためのプロセス構築は極めて困難ーと指摘した。 これに対し日本財団経営企画広報部は「ご理解いただいた上で、つくば市や茨城県と協議しながら進めていきたい」としている。 新型コロナウイルス感染者の軽症者向け施設として県に提供された、ゆかりの森 宿舎あかまつ森のセンター=つくば市遠東

《吾妻カガミ》79 善政?つくば市のコロナ対応

【コラム・坂本栄】コロナウイルス禍は厄介なことになってきました。欧米の指導者はコロナの来襲を戦争事態と宣言。国境の往来が抑えられ、内外の経済は縮みつつあります。日本では安倍政権の危機管理力が衰えているときだけに、困ったものです。 コロナの攻撃に対する防御策はある意味シンプルといえます。迎撃策(治療薬)の開発が肝心であることは言うまでもありませんが、それまでの間、人に潜んで来襲する敵に対する基本作戦は二つです。一つは国・県の境で阻止すること。もう一つは、侵入を許してしまった場合、戦域でのコロナの活動(蔓延)を抑えることです。 つまり、阻止線を設け(人の移動を抑え)、敵の活動を許さない(コロナを運ぶ人が群れない)ことです。このため、国は非常事態を宣言し、国民の行動(移動する、群れる)を制限することが必要になります。 米も英も独も伊も準戦時体制を立ち上げました。ところが、「森友と花見」で政治力が衰えた安倍さんは、急ぎ特措法をいじったもの、国民に自制を求めるにとどめました。先の大津波の教訓を踏まえ、平時に非常事態法体系を整えておくべきだったのに、初期対応は緊張感に欠け、その後も準戦時の形にはなっておりません。 「移動するな」「群れるな」 市域でコロナが顕在化する前、つくば市でもナイーブな施策が見られました。政府の要請を受け、小中校を休みにする(群れる場をなくす)と言いながら、自習の登校は認める(群れる場を別の形で用意する)と、父母に配慮したことが一つ。市内の宿に泊まり飲食する人におカネを出す(人の移動を促す)という、業者さんへの配慮がもう一つです。

つくばの高齢者施設でさらに3人が感染 新型コロナ

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は3日、さらに施設入所者3人の感染が判明したと発表した。同施設での感染者は計13人になる。 3人は、いずれもつくば市に住む90代の女性2人と80代の女性1人。3人とも症状はないという。 3日は入所者68人、通所者20人と職員26人の計114人についてPCR検査を実施した。111人は陰性だった。県はさらに濃厚接触者の調査を進めている。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

桜も寂しげな入学式に つくば・土浦 小中学校再開はさらに2週間延期

小中学校の新学期の授業開始時期について、つくば、土浦両市は3日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため2週間、臨時休校することを決めた。授業開始は早くて20日となる。 両市とも感染者が発生していること、県南のつくばエクスプレスと常磐線沿線は、東京など都市部との行き来が多い感染拡大要注意市町村であるとして、県が2日、平日夜間と週末の不要不急の外出自粛を10日まで要請したことなど受けた措置となる。 両市とも新学期自体は6日から始まるが、その日は教科書などを受け取るだけで短時間で帰宅する。翌日から2週間の休校となる。 つくば市、今度は給食なし つくば市は、小中学校いずれも在校生は6日登校し教科書などを受け取る。7日から19日まで休校となる。入学式は小中学校とも7日予定されていたが実施せず延期する。ただし新小学1年生と新中学1年生は7日、保護者と登校し、教科書などを受け取る。 臨時休校中、保護者が働いていて家庭で面倒を見ることができない家庭については、児童クラブでのみ子供を受け入れる。3月の臨時休校期間は学校で受け入れ、給食も提供したが、今回は感染者が増加しているリスクを踏まえ学校では受け入れないという。児童クラブに登校する子供は弁当を持参する。

県立高は通常通り6日再開 つくば、土浦は夜間・週末の外出自粛要請 新型コロナで県

大井川和彦知事は2日、新型コロナウイルスの県内の現在の発生状況から、クラスター(小規模な感染者集団)は発生しているが感染の連鎖は止められているとして、県立高校は来週6日から通常通り学校活動を再開すると発表した。 一方、東京など首都圏から感染が入ってくることが脅威になっているとして、つくばや土浦市などつくばエクスプレス(TX)と常磐線沿線などの9市町に対して10日まで、平日の夜間と週末の不要不急の外出自粛を要請した。 つくば市内で発生したクラスターの一つで、計6人の感染者が出た筑波記念病院と社交ダンススクールについては、濃厚接触者73人を調査し5人が陽性、68人が陰性だったとした。イタリアから帰国したダンス講師から感染したのではなく、東京で開かれたイベントに参加した社交ダンス関係者が最初に感染してクラスターを形成したとみられるという。 計10人の感染が分かった介護老人保健施設アレーテルつくばは、濃厚接触者66人を調査し、9人が陽性、57人が陰性だった。施設職員が東京に行った際に感染したとみられるという。 学校の再開については咳エチケットやこまめな手洗いなど感染症対策を十分に実施した上で、始業式は基本6日、入学式は7日に実施する。部活動も感染症対策を十分に行って実施するとしている。 つくば市は市施設を休館に 平日夜間と週末

つくばの高齢者施設でさらに5人感染 新型コロナ

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は1日、調査の結果さらに5人の感染が確認されたと発表した。5人は80代から90代の施設入所者。同施設での感染者は計10人になる。 5人は、つくば市在住90代男性、つくば市90代女性、桜川市80代女性、つくば市80代女性、つくば市90代男性。3人に熱などの症状があるが、2人は症状がないという。 1日は入所者14人と職員16人の計30人にPCR検査を実施した。25人は陰性だった。県は濃厚接触者をさらに調べている。 県内初の死者、70代の2人 県は同日、県内で新型コロナウイルスによる初めての死者が発生したと発表した。県内の医療機関に入院していた70代女性と、12月から別の病気で入院していた70代男性の2人で、遺族の意向で詳細は公表しないとしている。 ...

つくばの高齢者施設で新たに3人が感染 新型コロナ

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の40代女性職員の濃厚接触者について、県は3月31日、新たに入所者2人と職員1人の計3人の感染が判明したと発表した。 同施設での感染は40代女性職員と90代女性入所者を含めて計5人になる。県はクラスター(小規模な集団感染)発生の可能性が高いとしている。 新たに感染が分かった3人は、つくば市の80代男性と、桜川市の70代男性の入所者2人と、つくば市の20代女性=外国籍=施設職員。いずれも最近の海外渡航歴はない。 80代男性は3月29日、70代男性は30日、それぞれ38度台の発熱があった。20代女性は29日咳などの症状が出た。3人とも今後、入院予定という。 県は31日、濃厚接触者30人にPCR検査を実施した。17人は陰性だった。今後さらに濃厚接触者を調べる。

90代女性入所者が感染 つくばの高齢者施設 新型コロナ

つくば市内で新型コロナウイルスの感染が確認された同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)職員40代女性の濃厚接触者について、県は30日、同施設に入所している90代女性が感染していることが判明したと発表した。県内17例目の感染者になる。 90代女性は28日、38度台の熱が出て、30日、PCR検査を実施した。現在症状は安定している。今後、病院に入院予定。 40代女性の濃厚接触者について県はこれまで、女性の家族2人、施設入所者3人、施設職員1人の計6人のPCR検査を実施した。家族2人と入所者2人、職員1人の計5人は陰性だった。 県は引き続き濃厚接触者の調査を行っている。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

つくば市の高齢者施設職員が感染 新型コロナ

つくば市内で28日、新型コロナウイルスの感染が確認された県内16例目の40代女性について、県は29日、同市北条、介護老人保健施設アレーテルつくば(運営・恵仁会)の施設職員だと発表した。 同施設は現在、新規受け入れを中止し、消毒を実施した。27日から通所リハビリテーションを中止、28日からショートステイの利用を中止、訪問介護についても中止を予定している。 女性は24日、37度台の発熱や咳などの症状が出た。26日まで勤務し、26日の夜勤明けに38度台の熱や関節筋肉痛があったため近隣の医療機関を受診。27日帰国者・接触者外来を受診し、28日感染が分かった。現在入院しており、症状は安定している。最近の海外渡航は無いという。 県は感染経路や濃厚接触者を調査している。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

桜は満開 人垣できず静かな花見 土浦、つくば

【鈴木宏子】土浦、つくばで28日、桜が満開になった。例年なら桜の名所は満開を迎える週末、多く花見客でにぎわうが、28日はほとんどの名所で人垣ができず、マスクをして静かに花見をする家族連れなどが見られた。 都の外出自粛で花見気分無くなった? 名所の一つ、土浦市城北町の新川で同日、手漕ぎの花見貸しボートを出したラクスマリーナの秋元昭臣専務は「28日は天気がよくなかったこともあるが、新型コロナウイルスの関係で東京都が不要不急の外出自粛を要請しているので、県民も花見に出歩く気分で無くなったのかもしれない」と話す。桜の季節はフナなどが産卵のため浅い支流に上ってくる「のっこみ」と重なり、新川は例年、釣り人も多いが、この日は釣りをする人の姿も少なかった。 亀城公園、乙戸沼公園、桜川堤、新川堤など市内にたくさんの桜の名所がある土浦市では今年初めて、生田町付近の桜川堤と城北町付近の新川堤で歩行者天国を実施したが、28日の花見客は例年ほどではなかった。同市観光協会は「天気が雨模様だったのが一番(の原因)。新型コロナと両方ある」と話す。29日は悪天候のため歩行者天国は実施しない。 同市中村西根の乙戸沼公園は桜の下で飲食ができる公園だ。例年なら、園内の芝生に花見客のシートが所狭しと並び、露店が立ち並ぶ。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため宴会や露店を規制した。来園者はマスクなどをして写真を撮ったり公園内を散策、花見の様子は例年と様変わりした。 同市真鍋、市立真鍋小学校の真鍋の桜は樹齢100年を超え天然記念物に指定されている。例年、地元住民や卒業生らが集まって手作りのイベント「真鍋の桜を楽しむ集い」を開催し桜をめでるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため集いを中止した。今年はさらに一般車の立ち入りを規制したこともあって人影はまばらだった。 つくば市の桜の名所、筑波農林研究団地のさくら通り(同市観音台)は約1.5キロにわたってソメイヨシノや八重桜、山桜など500本の桜並木が続く。28日午前は、多くの花見客でにぎわい、通りを散策したり写真撮影する姿が目立った。 筑波山麓の北条大池(同市北条)の周囲では250本以上のソメイヨシノが満開となったが、花見客は例年ほどではなかった。 ➡桜の過去記事「読者発マイ桜」はこちら、「桜花爛漫」はこちら

《ひょうたんの眼》25 原発事故対応の失態を教訓に

【コラム・高橋恵一】クラスター。パンデミック。オーバーシュート。ロックダウン。新型コロナウィルスの感染拡大に伴って登場した「用語」である。行き過ぎた感染拡大、市民の移動や生活・経済活動が制限される都市封鎖。つまり、日本も武漢やイタリアのようになる可能性があるということだ。メッセージは明解さが必要だ。 新型ウィルス感染は、治療薬も予防ワクチンも無いので、国民はどうしたらよいのか分からない。人混みは避けて手洗い、うがい、マスクを使用する。風邪の症状が出て、体温37.5度が4日間続く間は自宅で静かにしている。それまでは感染の有無の検査もしない。ただし、重症化している人は医者にかかる。つまり、仮に感染しても重症化する人は少ないから、少々の発熱や体調不良の人は我慢していろというわけだ。 日本の初期対応は、武漢封鎖は中国国内の問題と見て、感染者が出た大型クルーズ船の乗客を上陸させず、水際作戦で感染を封じ込めるはずが、日本におけるクラスターの第1号にしてしまった。酒と美食のパーティー、社交ダンスあり、カジノあり。豪奢(ごうしゃ)だが不健康な環境下で、当然のように感染拡大した。情けないのは、政府もマスメディアもこのクルーズ船だけを見ていた。 国内での感染が出始め、国民の不信感を感じとると、首相は突然、小中高学校の休校を言い出し、続く記者会見では、検査体制の整備とマスクなどの供給体制を「次の週」までに整えると発言した。メディアも国民も、少なくとも「スグ」と受け取った。 結果、検査は増えず、店頭にはマスクも消毒用アルコールも並ばなかった。首相は「スグ準備に取り組む」と言ったのだという、「得意のご飯論法」だが、なんと記者会見から2カ月になろうというのに、まだ準備体制のままだ。このようなときのトップリーダーの言動は国民の命にかかわる。マスコミの追及も緊迫感がない。 新型コロナ 危機を見据え全力対応を 東京オリンピックについても、首相は「完全な形での開催」と、意味不明のことを言い出した。どうやら延期の伏線だったようだ。オリンピックも気になるが、新聞もテレビもそこに集中してしまう。感染拡大の危機から逃げようとしているみたいだ。いずれにしても、世界が新型感染症との「戦争」を終えなければ、オリンピックができないのは明らかだ。優先されるのは地球人民の生命の安全だ。 武漢の感染情報から2カ月半、首相の記者会見から2カ月。日本のナノテクノロジーを動員すれば、万能のマスクを生み出せるかも知れない時間だ。検査の完全実施による感染者の実態把握、感染爆発に対応できる医療体制の確保、国民の感染防止活動の徹底。野党も含めた政治とマスメディアは、危機を正面から見据え、全力で対応すべきだ。耳障(ざわ)りのよい「掛け声」ではなく、施策として。 9年前の津波による原発被災で、旧型の原発の廃炉を惜しんで、海水による冷却の決断ができなかったときのような、大失態を起こさないことだ。なにが大切か。国民の命を守らなければならない―政府とマスメディアの真価が問われる。(元茨城県生活環境部長) ➡高橋恵一さんの過去のコラムはこちら

つくばで院内感染なし 新型コロナ

新型コロナウイルスの感染が分かったつくば市80代男性が入院した筑波記念病院(同市要)について、大井川和彦知事は25日、家族らのほかに、医療従事者や入院患者など計35人にPCR検査を実施した結果、感染していたのは家族ら3人だけで、医療従事者と入院患者など32人はすべて陰性だったと発表した。同病院の院内感染の疑いは無くなったとした。 男性の家族らについては、妻と娘、付き添いの家政婦の3人が24日、新型コロナウイルスに感染していることが分かった。 県はさらに男性の濃厚接触者である医療従事者22人と、同じ病棟に入院していた患者8人などを調査し、全員感染してないことが確認された。 80代男性は妻と一緒に、イタリアに渡航歴のあるつくば市40代男性の社交ダンス講師からダンスのレッスンを受けていたことから、ダンス講師から感染した可能性があるという。ダンス講師の濃厚接触者については現在調査中。 土浦の女性は都内で院内感染 一方、23日感染が発表された都内の医療機関に勤務する土浦市40代女性については、都の調査で24日までに、同医療機関の入院患者3人、医療従事者1人の感染が判明した。院内感染が発生していることが分かったとして、大井川知事は25日、40代女性が勤務していた医療機関名を公表した。東京都台東区東上野のライフ・エクステンション研究所付属永寿総合病院という。 24日発表の牛久市在住ゴルフ場従業員の40代男性については、都内で飲食や飲酒をし、遊技施設で過ごしたという。 都内通勤者はテレワークやフレックスタイム活用を こうした状況から大井川知事は、県内では、感染源が明らかでない事例が増加している状況にはないとした。その上で、海外のほか、東京など茨城より感染拡大が進んでいる地域からのウイルス持ち込みを極力防止するため、海外からの2週間以内の帰国者は自宅待機し、帰国者・接触者相談センターに連絡するよう改めて協力を求めた。さらに、感染が拡大している都内などへの移動は慎重に判断し、都内への通勤者はテレワークによる在宅勤務や、混雑を避けるためフレックスタイムを積極的に活用するよう協力を求めている。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

80代男性の妻など3人が感染 新型コロナ

肺炎で筑波記念病院(同市要)に入院し23日、新型コロナウイルスの感染が確認されたつくば市80代男性の濃厚接触者について、県は24日、PCR検査を実施した結果、70代の妻と40代の娘、70代の家政婦の3人が陽性であることが判明したと発表した。県内の感染者は計8人になった。 計6人の濃厚接触者を検査した。残り3人は医療従事者で、入院中の男性を看護していた看護師2人は陰性と分かった。残り1人の検査結果は24日午後8時時点でまだ出ていない。 80代男性の妻は18日から、娘は21日から咳などの軽い症状があった。家政婦は症状はないが、3人共、今後、入院する予定という。 妻は症状が出た18日以降は、自家用車で自宅と病院を往復しただけ。娘は県外に居住しているが、男性が入院した11日から付き添いなどをし、症状が出た21日以降は実家と病院を自家用車で往復しただけという。家政婦は桜川市在住で週3回、男性の付き添いをしていた。 イタリア渡航の40代ダンス講師 80代男性夫妻にレッスン 一方、つくば市在住、社交ダンス講師の40代男性が新型コロナウイルスに感染していることが24日、新たに判明した。県内感染者は9人目。 男性は1月20日から2月1日までイタリアに渡航していた。筑波記念病院に入院した80代男性と妻に、ダンスのレッスンを行っていたという。 男性は3月14日から咳が出始め、16日から37~38度の熱が出て、23日病院を受診し、24日感染が分かった。 県は今後さらに、ダンス講師の濃厚接触者を調べる。 県内10例目は牛久市在住のゴルフ場従業員 県はほかに、県内10例目の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。牛久市在住、ゴルフ場従業員の40代男性。キッチンを担当していたという。 男性は20日、38度台の熱と全身の倦怠感、寒気などが出て、21日に診療所を受診し解熱剤を処方された。22日、さらに呼吸が苦しくなるなどの症状が加わり、23日、別の医療機関を受診、24日感染が分かった。 県は今後、男性の濃厚接触者を調べる。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

5例目感染者はつくば市の80代男性 新型コロナ

県は23日、県内5例目の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。つくば市在住の無職80代男性で、現在、同市要の筑波記念病院に入院している。最近の海外渡航歴はないという。 男性は11日、37度台の熱があり肺炎のため同病院に入院した。肺炎の改善がみられなかったことから23日、同病院から県の帰国者・接触者相談センターに相談があり、検査の結果、陽性が判明した。現在容体は酸素吸入を要する中等症。個室に入院しているため他の患者との接触はないという。 男性は同病院の元職員でアドバイザー的な仕事をしていた。現在、軽度の認知症があり、入院前は自宅と病院、病院付属リハビリ施設の3カ所を行き来しているだけだった。感染経路は現時点で不明。県は濃厚接触者の妻や病院関係者のPCR検査や健康観察などを実施する。 市内で集会、会食自粛要請の可能性も 大井川和彦知事は会見で「今回の5例目はこれまでの4例と質的に異なる。(男性は)つくば市内で限定的に行動しており、我々が把握していない感染源がある可能性がある。どのくらいの広がりがあるか、かなり危機感をもってみている」とし「今後数日間、感染経路を調査し、つかめない場合、場合によっては、つくば市内での集会や会食などの自粛要請も可能性として出てくる。クラスター的な可能性がゼロではない」などと話した。 同病院は23日、ホームぺージで感染確認を発表し、男性について「入院当日から個室で、他の患者への接触はしてない」などと説明、「当院として患者の健康、安全を第一に考え、万全の対策をとっていく」など理解を求めている。病院は通常通り診療している。 つくば市の五十嵐立青市長は「県と密に情報を共有し対応を検討する」などのコメントを出し、市が備蓄しているマスク約3000枚を同病院に届けたと発表した。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

筑波大、新学期開始延期あるか 五輪対応で難しい選択

【山口和紀】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の大学で新学期の開始時期を数週間から1カ月程度延期する動きが始まっている。すでに入学式の中止を決定した筑波大学はどうなるのか。NEWSつくばの取材に対し大学は、新学期開始時期の延長措置を「検討中」だと回答した。 筑波大は春学期と秋学期の2学期制を導入している。東京オリンピックの時期に授業が行われないようにするため、もともと春学期をおよそ3週間短縮し土曜授業を行う変更措置を行っていた。 首都圏では、東京理科大学が開始を5月に延期することを決定した。その他、早稲田大学や明治学院大なども既に延期の決定をしている。 筑波大も難しい選択を迫られる状況だ。厚労省の専門家会議は、3つの条件が重なる場合に感染リスクが高く、これらの環境を出来る限り避けるべきと発表した。①換気の悪い密閉空間②多くの人が密集③近距離での会話や発声―の3条件だ。大学の授業はこれらの条件が重なることが多いため、授業の開始時期をずらす大学が多い。 しかし、筑波大には開始時期を後ろにずらすことが難しい事情がある。大学は昨年3月にオリンピック期間中に授業や試験を原則行わないと発表。例年よりも3週間ほど春学期を短縮し、代わりに計8回の土曜授業を行う。元々春学期は変則的なスケジュールを組んでいた。 学生の3/4が土曜授業に反対 筑波大の学生組織「全学学類専門学群代表者会議」が2019年10月に行ったアンケートによれば、回答した学生の75%がオリンピックに伴う土曜授業に「反対」している。さらに、筑波大学新聞の調査によれば工学システム学類、情報科学類の2学類は「予習や復習に学生が使う時間が減ることなどを考慮」し土曜授業を行わないことを既に決定している。 オリンピックに伴う土曜授業の決定によって特に大きな影響を受けるのは教職課程の履修者だ。例年、教職課程科目は土曜日に集中講義という形で授業を行う場合が多くあった。特に小学校教諭免許に関わる科目は土曜日に行っていた。 それらの授業は、今年は日曜日と、オリンピックに関わる変更後に空いているいくつかの土曜日に移されたり、春学期の授業を秋学期に移したりすることで対応する。 このような状況の中、新型コロナウイルスの影響でさらに春学期の開始時期を遅らせるとなれば混乱は必至だ。 NEWSつくばの取材に対し、筑波大は春学期の延期措置は「検討中。現時点で公表可能な情報は無い」と回答。オリンピックに関わるカリキュラムの変更を行っている以上は開始時期の延期措置は難しいのではないか、という質問にも「検討中」と回答している。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

【新型コロナ】かすみがうらマラソン中止 土浦

【鈴木宏子】かすみがうらマラソン大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)は17日、4月19日開催予定の第30回記念かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2020(同実行委、土浦市など主催)を中止すると発表した。 2万人を超えるランナーや約4000人いるボランティアの感染拡大リスクを排除できないためという。中止は東日本大震災が発生した2011年の第21回大会以来2回目。 事務局の市スポーツ振興課によると、テントを立てて設置する更衣室が閉鎖された空間になってしまうこと、さらに約4000人のボランティア全員に配布するマスクの入手が見込めないことなどから中止を判断したという。 大会実行委では、2月半ばごろから感染症対策について検討してきた。大会まであと1カ月に迫ったことから16日夕方、会長、副会長らによる臨時会議を開き中止を決めた。 3月1日の東京マラソンのほか全国でマラソン大会が中止になっていることから同課にはこれまで、多くて1日10件ほどの問い合わせがあり、ランナーからは「開催すべき」、一般市民からは「開催されると不安」だなどの意見が寄せられていた。 30回記念の今年の大会には、昨年とほぼ同数の2万558人が出場する予定だった。出場予定者にはメールまたははがきで中止の連絡をする。 出場予定者は、一般の部フルマラソンが7000円、10マイルが5500円、5キロが3500円の参加費をすでに支払っているが、規定により返金は行わない。一方、30回記念のオリジナルエコバッグと参加賞(大会オリジナルアームポーチまたは地元名産品)などを後日発送するという。 同実行委会長の安藤市長は「感染症対策を講じた上での開催の可能性を模索してきた。中止は断腸の思いだが、健康を第一に考えた結果」だとするコメントを出し理解を求めた。 「予想していた」「残念」 中止決定に、ランナーや地元からは「予想していた」「残念だ」などの声が上がる。 フルマラソンに出場予定だったつくば市の会社員、橋本ひとみさん(38)は「17日に発表があるので気になって2、3日前からホームぺージを見ていた。残念だが、全国でももっと小規模な大会が中止になっているので予想はしていた。かすみがうら市の沿道では(ランナーに提供するため)前の年から梅干しやラッキョウなどを作って準備してくれるボランティアがおり、とても残念がっているのではと思う」と話す。 霞ケ浦で遊覧船を運行するラクスマリーナは、土浦入り対岸のかすみがうら市、歩崎公園湖岸に3月末、桟橋が完成することから、マラソン大会に合わせて4月19日、土浦と歩崎を結ぶ新航路を就航し、マラソンと同日開催される「かすみがうらウオーキング」の参加者を土浦から歩崎に運ぶ予定だった。さらに同マリーナ敷地内で天然温泉が湧き、ゴール地点のJ:COMスタジアム(川口運動公園)に隣接していることから、毎年ゴールしたランナーらに無料の足湯を提供してきた。秋元昭臣専務は「歩崎までの新しい航路を知ってもらったり、温泉をPRするいい機会だったのに残念」と語る。 ➡新型コロナウイルスの関連記事はこちら

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つくば市から3人目のロータリー茨城代表、大野さん【キーパーソン】

茨城県にはロータリークラブ(RC)が55ある。つくば学園RCの大野治夫さんが、これらクラブを代表するガバナーに就任した。任期は7月から来年6月までの1年間。つくば市東光台で不動産管理業を営む大野さんはRC歴18年。業務区と住宅区から成る開発地域・東光台(合併前の豊里町と谷田部町の一部)の土地持ちでもある。ガバナーとしてやりたいこと、つくばの最新土地事情について聞いた。 つくば学園RC会員、目標100人超え RCは地域の名士が参加する奉仕組織だが、週1回の例会を通じ、会員たちが親睦を図り、いろいろな情報を交換する場でもある。つくば学園RCの会員は現在89人。土浦市では最多の土浦南RC(85人)を上回り、つくば・土浦地区では一番の会員数になった。大野さんによると、来年6月までに100人超えを目指す。 つくば学園RCがガバナーを送り出すのは、約20年前の吉岡昭文さん(筑波山神社前の旅館「江戸屋」現会長)、約10年前の野堀喜作さん(東光台の不動産管理会社「ツクバ企画」現会長)に次いで、3人目になる。 10月末、つくば市内で茨城大会開催

シンプル イズ ベスト? 《続・平熱日記》115

【コラム・斉藤裕之】わけあってこの猛暑の中、アトリエの大掃除をすることになった。学生時代からの習作や、いつか出番があるだろうと思って集めたガラクタなどを思い切って処分することにした。市の焼却場に軽トラで何度か往復して、捨てるに忍びないものは知り合いの骨董(こっとう)店にトラックで持っていってもらった。 ちょうどこの7月でこの家に住み始めて20年になる。20年間、家族の足の裏でこすられた1階の杉の床は、夏目と呼ばれる年輪の柔らかいところが削られて冬目の硬いところだけが残って、凸凹になっていて妙に足触りが心地よい。夏涼しく冬暖かいとても住みよい家だと思うのだが、それには少しコツがあって、戸の開け閉めやエアコンの入れ方、ストーブのことなど、大げさに言えば家の中の環境への理解と手間が必要なのである。 2人の娘も家を出てこの家には帰って来るまい。だから将来は人に貸すなり売るなりしなければと思うのだが、少し変わった家なので、この際「斉藤邸取説」でも、を書き残しておこうか。 さて20年分のホコリを払って、広々としたアトリエの床に布団を敷いて寝てみることにした。見上げると、20年前に故郷山口で弟が刻んだ梁(はり)や柱がたくましく見える。昔ながらの複雑な継手も、20年の間にやっとしっかりと組み合わさって落ち着いたように見える。特に2階の柱を支えくれている地松(じまつ)の梁は、自然な曲線が力強くカッコいい。 それから、2階の床になっている踏み天井。こちらは200枚だか300枚だか忘れてしまったが、ホームセンターで買ってきたツーバイ材全てに、「やといざね」といういわば連結するための溝を電動工具で彫ったことを今でも思い出す。酷使した右手は、朝起きると硬直して箸も握れなかったっけ。 「いい景色だなあ。木の色がきれいだなあ。このぐらいの広さの住まいがちょうどいいのかもなあ」。20年目にして改めて見入ってしまった。

言葉の壁を越え患者と医師の信頼関係築く つくばの医療通訳士 松永悠さん【ひと】

つくば市で暮らす外国人は、2022年度の統計で137カ国9457人。医療機関を受診する外国人患者も増えているが、病名や器官の名称などの専門用語が飛び交う診察で、患者が内容を理解するのは難しい。タブレット端末による通訳サービスを導入する病院もあるが、個別の質問や細かいニュアンスの伝達に対応するのは依然として困難だという。市内の病院を中心に、中国語の医療通訳士として働いている松永悠さん(48)は、30代後半から医療通訳の世界に飛び込み、やりがいを見出している。 一人の女性患者との出会い 松永さんは1974年生まれ、中国北京市の出身。松永さんが医療通訳のボランティアを始めた38歳の時、最初に担当したのは、同じ30代の末期がんの女性患者だった。中国の地方出身者で、お見合いで国際結婚して日本の農家に嫁いだが、がんを原因に離婚を切り出され、日本語も分からず頼る人がいない状況だった。 女性の境遇に衝撃を受け、「同じ女性、自分の力で助けられるのなら」と感情移入してしまったそう。女性も辛い闘病の中、「お姉さん、お姉さん」と松永さんを慕った。この女性との出会いから苦しんでいる在日中国人がいることを知り、興味で始めた医療通訳の仕事に使命感を持つようになった。 医療通訳士は国家資格ではない。医療通訳として働くには、民間が主催する養成講座を受講し、選考試験に合格後、ボランティアや医療通訳の派遣会社に登録して依頼を待つ。養成講座では通訳の技術のほか、守秘義務などの倫理規定、医療専門用語などを学ぶ。医師の説明に通訳者が勝手に補足することはしてはならず、治療法について患者が本当に理解しているかの確認をその都度行っていく。患者は文化や宗教、思想、持っている在留資格などの社会的背景が個々で異なり、その理解と医療機関への仲介の役割も医療通訳士に求められる。重い病気を抱える人への告知の場に立ち会うこともあり、精神的な重圧も大きいという。

「真実が知りたい!」 赤木雅子さんが水戸で訴え 《邑から日本を見る》117

【コラム・先﨑千尋】森友学園問題に関する公文書改ざんを強いられ、それを苦に自死した元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんらの講演会が7月30日、水戸駅前の駿優教育会館で開かれた。この講演会は、旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)の元職員6人が同機構に損害賠償を求めている訴訟で、原告を支援する団体が主催したもの。 雅子さんは、夫が自死した真相解明を求めて、国と、改ざんを指示したとされる元財務省理財局長の佐川宣寿氏を訴えてきた。この日は、雅子さんの裁判などを支援してきているジャーナリストで元NHK記者の相澤冬樹さんと対話する形で、別室からのオンラインで登壇した。私はそれを会場で聞いた。 雅子さんが起こした2つの裁判のうち、国は、昨年12月に雅子さんの賠償請求を全面的に認める「認諾」の手続を取り、改ざんが行われた経過などは不明のまま、いわば「肩透かし」の手法で国に対する請求を終結させた。残る佐川氏への訴訟は、氏への尋問は行わずに7月27日に大阪地裁で結審し、11月25日に判決が下される。 雅子さんはこの日、佐川氏に2度手紙を書いたが返事はなく、法廷にも姿を見せなかったことを非難し、「私は、夫がなぜ改ざんさせられたのかを知りたいから裁判を起こした。法廷で佐川さんにそのことを証言してもらいたかった。しかし佐川さんは姿を見せなかった。あまりにも悔しい。夫は日頃、公務員は権力を握っている人のためにではなく、国民のために仕事をするのだと言っていた。佐川さんは誇りを持って仕事をしてきたのか。佐川さんが本当のことをしゃべらない限り、私は幸せになれない」と怒りをあらわにした。 国、無慈悲、無機質な組織 この雅子さんの話を聞いて、相澤さんは「佐川さんはこの事件に関わったので、もうエラくなれない。ホントのことを話した方が、気持ちが楽になれるはずだ。ホントのことを話せない佐川さんはかわいそう。哀れだ」と語った。