水曜日, 4月 24, 2024
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鈴木宏子 -検索結果

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初級者にも本格派にも つくば流星台にスケードボードパーク

初中級者向けのスケードボート施設「流星台スケードボードパーク」が30日、つくば市流星台にオープンした。スケートボード人口の増加に伴う要望を受けて、市が総事業費約5000万円で整備した。初級者向けの平らなゾーンと、湾曲した滑走面などで本格的な競技が楽しめる2つのゾーンを備える。 旧桜庁舎近く、面積約760平方メートルで設けられた。市内の本格的なスケートボード施設は、大舟戸、古来、南中妻にある民間の3施設に続いて4カ所目。公設施設は東京五輪で日本選手が活躍したことなどをきっかけに、笠間市のムラサキパークかさまのほか、坂東市、境町、など県内各地に相次いで整備されている。 年内にナイター設備も つくば市の施設は18歳未満は無料、18歳以上は1回200円(税込み)で利用でき、年間約3000人程度の利用を見込んでいる。利用料金は近隣の同規模の公設施設と合わせたという。用具は持ち込みが必要。利用時間は5~8月は午前9時から午後7時、9月以降は午後5時まで。12月までにさらにナイター照明を設置する計画で、照明設置後は夜9時まで利用できるという。 30日には、五十嵐立青市長やヘイズ・ジョン県議、市内のスケートボード愛好者らが参加してオープニングイベントが開かれた。五十嵐市長は「ヘイズさんがしつこく、しつこく市議会で言ってくれ、いろんな人が言ってくれ、すばらしいコースができた。つくばのスケードボードコミュニティーからいろいろなつながりができれば」などと話した。 この日、デモンストレーションを披露したプロスケートボーダーで、市内の民間スケートボード施設に勤務する千葉県市川市の会田奈生さん(23)は「(滑走する)面が良くて、ちょうどいい感じの大きさ。シンプルで分かりやすくつくられていて、初心者も中級者も上級者も練習の拠点になる」と話している。 同施設は、中根・金田台地区の土地区画整理事業を実施したUR都市機構が、同市に無償譲渡した歴史的緑空間用地の一角にある(18年2月22日付)。スケートボードパークの隣には、子どもたちが自然の中で自由に遊べる「プレイパーク」が設定されているほか、2月には無料のマウンテンバイクコースがオープンした。一方、金田官衙遺跡や貴重な自然が残されている歴史的緑空間用地約52ヘクタール全体の保全や活用の計画はまだ策定されていない。(鈴木宏子)

4年ぶり つくばでメーデー集会

5月1日のメーデーを前にゴールデンウイーク初日の29日、TXつくば駅前の中央公園(同市吾妻)で、第94回つくば中央メーデー集会(同実行委員会主催)が開かれた。市内の研究機関や県南・県西の民間企業、自治体の労働組合19団体、215人が集まり、「働く者の団結で希望の持てる社会を次世代につなごう」などのメーデー宣言を全会一致で採択した。 研究機関の労働組合、筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会(学研労協)などがつくる同実行委員会が主催した。コロナ禍で2020年から3年連続開催を中止しており、4年ぶりとなった。 集会では学研労協議長で、同実行委の窪田昌春委員長(54)が、コロナ禍の医療関係者の労働環境やウクライナの戦禍など昨今の状況に触れ、「一人ひとりが意見を述べ、忌憚(きたん)のない議論ができるよう民主主義を守り、最優先事項である平和についてよりより議論ができ、よりよい答えが出れば」と話し「一人ひとりの悩みや生きにくさなどの解決に向かえるよう、団体間でも交流を深め、仲間同士のコミュニケーションの再開のきっかけにしたい」などと呼び掛けた。 集会では参加者から、研究機関や大学への運営費交付金が毎年削減され基礎的な研究費が削られる中、エネルギー価格の高騰で中断を余儀なくされた研究があったことや、秘密に縛られる防衛研究圧力への懸念なども表明された。 続いて、すべての労働者の大幅賃上げと労働条件の改善、雇用の安定や、ジェンダー平等、東海第2原発の再稼働反対、国の基礎的研究費の拡充などを求めるメーデー宣言を読み上げ採択した。 一方、コロナ前は毎年600人規模で開催してきたが、4年ぶりの今年は参加者が大きく減少したという。窪田実行委員長は「コロナ禍が明け、世の中の状況がだいぶ変わってきた。対面で顔を合わせながら交流し、新たな労働運動の始まりをつくっていければ」などと話した。(鈴木宏子)

「まずサイエンス高をテコ入れ」 つくばの市民団体要望に県教育庁

学級増はトーンダウン 人口が増加するつくば市で県立高校が不足している問題で、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は26日、森作宜民県教育長宛てに①現時点でつくば市周辺エリアの県立高校は学級数が15学級不足しているとして、高校改革プラン期間中の2026年までに15学級増やし、30年までにさらに10学級程度増やすこと②中学生が安心して進路選択できるよう学級増の計画を早急に示すことなどを求める要望書を提出した。 要望書を受け取った県教育庁高校教育改革推進室は「サイエンス高校の(定員割れの)状況がひじょうにショッキングな状況だったので、まずはそこをテコ入れしていかなくてはならない」とし、考える会が強く求めたつくば市周辺の県立高校の定員増に対しては「つくばエリア(の中学生)が増えていることは理解しているが、周辺地域を含め総合的に判断させていただき検討したい」との回答にとどまった。 昨年11月の県議会一般質問で森作教育長がつくば市周辺の県立高校について「中学生の進路選択に影響が出ないよう検討する」「適切な時期に県立高校の定員を増やしていくことが必要」と答弁したことを受けて(22年11月4日付)、市民団体が改めて学級増を要望した。一方、今年4月に開校したつくばサイエンス高校(旧つくば工科高)が、定員を2学級80人増やしたにも関わらず定員240人に対し72人の志願者しかなかったなど大幅に定員割れした事態を受けて、今年3月の県議会で森作教育長は「既存高校の魅力化を図ることにより志願者確保に努める」「つくばエリアの増よりも周辺エリアのマイナスの方が大きい」と答弁するなど、学級増に対する答弁をトーンダウンさせている(3月8日付、4月9日付)。 26日要望書を受け取った同改革推進室の増子靖啓室長は「要望について真摯に検討させていただくが、県の考えとしては、つくばサイエンス高校や筑波高校に欠員が出ており、我々のPRがうまくいなかったと反省しているが、魅力化を図って、来ていただける学校にしたいということが我々の取り組みの第一」だと強調した。 さらにサイエンス高について「『(普通科を希望する中学生が多いという)ニーズと離れているんじゃないか』というご指摘を(考える会から)いただいたが、つくばには研究機関がたくさんあり、大学進学のニーズもあることを踏まえ、学校を変えて定員増をしたが、結果として大変厳しい結果となったことは反省すべき点だと思っている」とし「一番残念だったのは、昨年の段階でPRした時、説明会にはたくさん来ていただいたが、(校舎が改修工事中だったため)実際の教室とか実習室とか、科学技術のために新しく整備したところを一切見せることができなかった。実際にこういう場でこういう授業ができるということを実際に見ていただければ中学生や保護者も違うのかなと思う」と話し、今年はサイエンス高のPRを強化するとした。 考える会の片岡代表はこれに対し「定員割れしている学校の魅力を高める問題と、歴史的に県立高校や学級数が削減された中で人口が増えて7人に1人しか市内の県立高校に入れないという問題を混同している」とし、定員割れの問題と県立高校不足問題を別々に検討するよう迫ったが、同改革推進室は「周りの県立高校に影響が出るので切り分けるべきではない」と答えるなど、平行線に終始した。(鈴木宏子)

TX県内延伸先は土浦方面 第三者委が知事に提言

接続は土浦駅が優位 つくばエクスプレス(TX)県内延伸先の絞り込みについて検討してきた県TX県内延伸第三者委員会(委員長・岡本直久筑波大社会工学域教授)は31日、第4回委員会を開き、効果と費用のバランスなどから延伸先を土浦方面とする提言をまとめ、同日、岡本委員長が大井川和彦知事に提言書を手渡した。 併せてTXつくば駅からJR常磐線に接続する駅について、土浦駅か神立駅かを検討し、需要予測や採算性などから、土浦駅に接続する方が優位性が認められるとした。 コスト最小も事業費1400億円 第三者委は昨年12月から計4回の会合を開き、新たな人の流れの創出、県全体の発展可能性、実現可能性など5つの判断基準を元に、土浦、茨城空港、水戸、筑波山の4つの方面から1方面への絞り込みを検討してきた。 まず筑波山方面は、つくばと水戸の交流拡大やJR常磐線の事故や災害時などの代理機能に寄与するとは言えず効果は限定的だとして退けた。水戸方面は影響が極めて大きいが、常磐線経由であってもつくばと水戸の交流拡大に一定の効果が得られるとし、土浦方面で接続されれば茨城空港方面や水戸方面への延伸に期待される効果が一定程度得られるとした。茨城空港方面は各自治体からの要望も多く将来性は考慮すべきだが、期待される将来の姿と現況とのギャップが大きく実現可能性があるとは言い切れないとした。 その上で土浦方面について、常磐線への接続が直線距離で8.4キロと最短でコストも最小となり、特急も停車するなどから、土浦方面以外での接続は現実的ではないとした。 第三者委はさらに接続駅についても土浦駅か神立駅かを検討し、土浦駅は神立駅に比べて駅前の市街地が発達し難工事が想定され、概算事業費は土浦駅よりも神立駅の方が低い一方、採算性や費用対効果は土浦駅の方が高いとし、土浦駅に接続する方が実現可能性は高いとした。 県は同日、土浦方面の概算事業費や需要予測を明らかにし、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人で、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測されるとした。鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しが示された。 1400億円の算出根拠としたルートについては、つくば駅から土浦駅方面に向けて、台地部は地下、その後地上に出て桜川をまたぎ南側から土浦駅に入るルートで算出したという。 東京延伸などとパッケージで働き掛けを 第三者委員会の提言はさらに、実現に向けた課題についても踏み込んだ。土浦方面に延伸しても費用便益比は1.0を下回り、事業採算性も赤字が見込まれるとして、従来通りの沿線開発にとどまらず、さらなる需要増加と費用削減の方策を検討する必要があるとした。国の交通政策審議会の答申にも位置付けられているTX東京延伸や都心部・臨海地下鉄構想などの動向に留意し、一体的なパッケージとして国などに働き掛けていく必要があるとした。 提言を受け取った大井川和彦知事は「延伸実現による県内経済の発展、社会的な利便性の向上などさまざまなメリットはつくばの発展をみても実証されている。提言をしっかり受け止めて、課題についても、提言を踏まえた形で一歩一歩克服していきたい。方面を最終決定した上で国に対してもアプローチしていきたい」と話した。 第三者委の岡本委員長は「費用対効果の数字(費用便益比)が基準に達しておらず、実現に向けてはさらなる公共交通志向の生活スタイルが浸透していく必要がある」とし、将来、茨城空港方面や水戸方面についても改めて議論すべきだとした。 提言を受けて安藤真理子土浦市長は「TXの土浦延伸は長年にわたる私たちの悲願。正式決定はまだ先だが、私たちの熱い思いが実を結んだもので大変喜ばしい。土浦延伸は今やっとスタートラインに立ったところ。今後も茨城県を始め、各関係機関との十分な協力・連携を図ってまいりたい」などとするコメントを発表した。 6月目途に決定 県は今後、提言についてパブリックコメントを実施し、県民の意見を聞いた上で、6月を目途に方面を決定する。県はさらに2023年度、当初予算に2600万円を計上し、延伸ルートや事業の枠組みなどを検討する。土浦市は、沿線を中心に土地開発が活発化すると見込まれるなどから、330万円を計上し、効果を最大限に発揮させるため様々な波及効果を検討、調査する。(鈴木宏子) 【TX県内延伸をめぐるこれまでの動き】▽2017年8月 知事選で橋本昌前知事と大井川和彦現知事が共に公約に県内延伸を掲げる▽2017年12月 初当選した大井川知事が「新しい茨城づくり政策ビジョン」に「TXの県内延伸に向け検討を進める」と明記▽2018年5月 TXをつくば駅から茨城空港(小美玉市)まで延伸しようと、つくば、土浦、かすみがうら、石岡、小美玉、鉾田、行方7市の市議会議長がTX茨城空港延伸議会期成同盟会を設立▽2018年11月 県総合計画「新しい茨城への挑戦」に2050年頃の将来像として、TX延伸ルートの一つに〝茨城空港ルートを描く▽2022年2月 県が22年度当初予算にTX県内延伸の調査費を初めて盛り込み、22年度内に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込む方針を掲げる▽2022年12月 県がTX県内延伸第三者委員会を設置

7月着工、来年3月ごろ開業へ つくば市旧茎崎庁舎跡地ドラッグストア

ドラッグストアの開業を提案した大和ハウス工業茨城支社(つくば市)を優先交渉権者に決定した、つくば市の旧茎崎庁舎跡地(同市小茎)の利活用について(22年9月26日付)、同市は24日、同茨城支社と23日、30年間の定期借地契約を締結したと発表した。 市公有地利活用推進課によると、今年7月に本格着工し、来年3月ごろまでにオープン予定という。当初、年内オープンを見込んでいたが、コロナ禍で契約締結協議などに時間を要し、開業が約3カ月遅れる見通しだという。 定期借地契約は今年7月1月から2053年6月末までの30年間で、土地賃借料は年約90万円。固定資産税評価額の改定があった時は見直す。 店舗予定地の敷地面積は約2700平方メートル、店舗面積は約1100平方メートル。 周辺住民から要望があった、青果や精肉などの生鮮食品を取り扱うほか、店内に約30平方メートル程度のフリースペースを設け、テーブルといすを置き、来店客が自由に利用できるようにする。さらに敷地内の店外に緑のあるオープンスペースを設け、テーブルといすを置き、来店客がバスを待ったりできるようにする。 茎崎庁舎は2010年4月に閉庁、16年1月に解体され、跡地は更地のままになっていた。(鈴木宏子) →つくば市旧茎崎庁舎利活用の過去記事はこちら

富岡町出身者の交流団体立ち上げ 小園治さん、喜英子さん【震災12年】

福島県富岡町出身の小園治さん(72)と喜英子さん(67)は、つくば市の研究学園駅に近い新興住宅地に2016年から夫婦2人で暮らす。翌17年には、つくば市内に住む30世帯ほどの富岡町出身者に声を掛け、避難者同士が交流し親睦を深める「つくばさくら会」を立ち上げた。現在コロナ禍で活動を休止しているが、3カ月に1回ほど集まり、芋掘り、ブルーベリー摘み、料理教室 ボウリングなどのイベントを開催してきた。 「おなかの底から笑えるのは地元の人じゃないと。かしこまらなくて済むし」と喜英子さん。「富岡から来て、外に出にくかったり、自宅にこもりがちになっている人に声を掛けて、少しでも外の空気を吸ったりして、皆で楽しんでいる」と治さんは話す。 「つくばに来て、右も左も分からなかったが、外に出て何かやらなきゃいけないと、筑波大学のゴルフ講座に申し込んでそこで友達ができた」と治さん。喜英子さんは「つくば市役所の相談窓口で卓球サークルを紹介してもらって卓球を楽しむようになり、今も週1回、谷田部総合体育館で続けている。夫婦で大穂交流センターのいきいき体操教室に参加したお陰で友だちも増えて、『畑やらない?』って誘われて、豊里の畑でジャガイモをつくったりしている」と話す。 ただ、今年に入り、配偶者の死をきっかけに「ここにいる意味が分からない」と、福島県内に土地を見つけ、引っ越していった会員もいるという。 車庫の車の中で一夜 12年前の3月11日、喜英子さんは、福島第1原発から8キロほど離れた富岡町で、次女と2人で暮らしていた。夫の治さんは当時、電力会社の関連会社に勤務し、神奈川県川崎市の会社寮に単身赴任。東京電力社員の長男は、大熊町の社員寮に入り、BWR(沸騰水型軽水炉)の運転員を養成するためのBWR運転訓練センターで研修を受けていた。 次女は隣の双葉町役場で保健師として勤務していた。3月11日は送別会の予定があり「なるべく早く帰っておいで」と言って次女を送り出した。しかし次女と再会できたのは1週間後。保健師の次女は町民と一緒にバスでさいたまスーパーアリーナに避難し、さいたまで次女の無事を確認することができた。 余震が続く3月11日、近所の人たちは近くの体育館に避難した。次女と連絡がとれない中、喜英子さんは「娘が帰ってきたら自分を探すのではないか」と、車庫に止めてあった車の中で、時折エンジンをかけてラジオを聞きながら、一夜を過ごした。 翌日、避難するよう言われ、着の身着のまま隣接の川内村の小学校に避難した。すぐに帰宅できるだろうと、飼っていたビーグル犬を庭先につないだまま、容器に水とえさをいっぱい入れて自宅に残した。 避難先で、福島市の友人と電話がつながり「水は無いけど電気があるからうちにおいで」と誘われ、川内村の避難所から福島市の友人宅に2泊した。栃木県の那須塩原駅までなら新幹線が通っていることが分かり、タクシーで那須塩原まで行き、震災から5日後、東京駅で治さんと会うことができた。その後は治さんが単身赴任する川崎市のワンルームの寮に身を寄せた。 町民と医師の板挟みに 次女は双葉町民と共にさいたまスーパーアリーナから加須市の旧騎西高校に避難し、保健師として勤務を続けた。夜中、次女から喜英子さんに電話がかかってきたことがあった。社会人1年目だった次女は、住民と医師の板挟みになり憔悴している様子で、トイレの個室から泣きながら電話を掛けてきた。 数日後、休暇をとるよう夫婦で次女を迎えに行ったところ、男性用のももひきをはき、よれよれの格好をして、咳込んでいる次女の姿があった。次女はその年の7月に双葉町役場を退職、都内の大学病院や総合病院で勤務した。 感動の再会 富岡町の自宅は当時、居住制限区域に指定された。一時帰宅した際、自宅の駐車場にビーグル犬を保護したと書かれた動物愛護団体の貼り紙が貼ってあった。喜英子さんは一人になる日中、インターネットを検索し、ビーグル犬を探し始めた。 やがて「ブルーの真新しい首輪をしたよく吠える犬です」と紹介された被災犬のサイトを見つけた。掲載されていた写真は飼い犬そっくり。同じ川崎市内の動物病院にいることも分かり、そんなに吠えるなら飼い犬に違いないと、翌日、動物病院に見に行った。 朝早かったことから、動物病院はシャッターが閉まっていて、犬の鳴き声もせず静かだった。すると看護師が犬を3頭ほど連れて散歩から戻ってきた。そのうちのビーグル犬が喜英子さんを見つけて突進してきて、ワンワン吠ながら喜英子さんの顔をぺろぺろなめ、感動の再開を果たした。 喜英子さん夫婦は単身寮から駅近くのマンションに引っ越していたが、犬を飼うことはできず、千葉県内に住む長男の妻の実家で引き取ってもらうことになった。ビーグル犬はその後、2016年8月まで生き、17歳で死んだ。「最期は幸せだったと思う」と治さんはいう。 根無し草ではいられない 2015年2月、富岡町で近所だった喜英子さんの同級生が、つくば市内に住む長女と同居することになり、「日中何もしてないから、つくばに遊びにおいで」と連絡があった。初めてつくばに来た喜英子さんを、友人があちこち案内してくれ、分譲住宅を見て回った。 治さんは翌年1月に会社を退職することが決まっていた。富岡町の自宅はすでに解体していた。再び治さんとつくばの分譲住宅を見に行き、「1人でも知っている人がいたら心強い」と2カ月後、つくばに家を購入することを決め、治さんが退職した16年1月、つくばに転居した。 「家が決まるまでは夢中で、私たちどうなっちゃうんだろう、いつまでも根無し草ではいられないと、気持ちばかり焦っていた。どこかに落ち着かなきゃ、腰をすえなきゃと、富岡のことは考えられなかった」と喜英子さんは当時を振り返る。「今つくばに落ち着いてみると、富岡で生まれ育ち、富岡で子育てをして、富岡しか知らない私にしてみると、なんで富岡に帰る選択をしなかったのかなとも思う」とともいう。 富岡町の家は解体したが、お墓が残る。治さんは千葉県柏市出身。長男だったので、富岡町に家を建てたとき、千葉の両親のお墓を富岡町に移した。喜英子さんは「もしものことがあったら、富岡のお墓に入れてねって、子どもたちには言ってある」という。(鈴木宏子) 終わり

「国策に分断され悲しみ生まれた」福島の自主避難者訴え つくばで市民集会 震災12年

東日本大震災から12年目の11日、「さよなら原発!守ろう憲法!つくば集会」と題した市民集会がTXつくば駅前のつくばセンター広場で開かれた。福島原発被害東京訴訟原告の鴨下美和さん(52)が、子どもの健康被害などを訴える福島県の避難者らが受けてきた中傷や非難などについて話し。「原発は国策だから、たくさんの分断が生じて悲しみが生まれた。放射能に汚染されない未来をつくっていくため、バッシングされても訴え続けたい」などと語った。 つくば集会は、市民団体「憲法9条の会つくば」など11団体が、震災翌年の2012年から毎年開催している。鴨下さんは横浜市出身。震災当時、福島県いわき市から自主避難し、現在、都内に住む。鴨下さんの長男の全生(まつき)さんは高校2年だった18年、ローマ法王に手紙を送り、翌19年、家族でバチカンに招かれ、直接被害を訴えた。 集会で鴨下さんは、震災直後、福島県いわき市から家族5人で実家のある横浜市に自主避難した。当時の状況や、横浜や都内を転々とした避難生活について語り、「避難所や避難住宅ではうちの子に限らず鼻血を出す子が多くいて、綿を詰めても綿が出てきてしまうような大量の鼻血だったり、綿やティッシュでは追い付かずスーパーのレジ袋でぽたぽたと出る鼻血を受け止めて歩く子もいた」と話した。 2014年には、福島第1原発を訪れた主人公が原因不明の鼻血を出す場面が描かれたマンガが出版され、当時の環境大臣が被ばくと鼻血の因果関係は無いなどと発言したことがあった。これ触れた鴨下さんは「子どもに鼻血が出ていると言った人が嘘つきにされてしまい、お母さんたちは子どもに鼻血が出たと言う勇気が無くなってしまった」と語り、「原発は国策なので、世の中がゆがんでいくだけだと思った」と振り返った。 国連人権理事会でも課題に挙がった母子避難の状況についても話し、「いわき市や郡山市などから無数のお母さんが子供を抱えて自主避難しているが、自主避難者は支援を受けられなかったので、お父さんは福島に戻って働かないといけなかった」などと述べ、「12年経っても当時を思い出すだけでつらい。言えばバッシングされたり、ノイローゼだとののしられるので、ほとんどのお母さんは口を閉ざしている」と話した。 長男がローマ法王の前でスピーチをした際、「原発は国策だから、それを維持したい政府によって被害者の間に分断が生じ、傷ついた人同士が、互いに隣人を憎み合うよう仕向けられてしまった」とする一節を、事前に削るよう言われたが、長男は削らないでそのまま読んだエピソードも披露した。 市民集会を主催した山本千秋代表は、原則40年とされていた原発について60年超の運転を認める政府方針に対し「廃炉になるはずの古い原発があちこちで動くことになる。世界有数の地震国で、方針の大転換は決して許されない。一刻も早く自然エネルギーに切り替えるべき」などと話した。 集会では、原発をなくし、憲法を守って、平和で安心できる社会をつくろうなどと訴えるアピールを全会一致で採択した。(鈴木宏子)

最短で7月、市と県で条例改正必要 洞峰公園無償譲渡で知事

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、つくば市が16日付で「無償譲渡に向け正式に協議を開始したい」と県に文書で依頼したのを受けて、大井川和彦知事は21日の定例記者会見で「つくば市からの今回の申し出に、しっかりと意向を尊重する形で話を進めたい」と話した。今後のスケジュールについては「条例改正が必要なので最短でも7月かなと感じている」との見通しを示した。 1月31日までに市から文書による正式な回答が無かったことから進めるとしていた、グランピング施設を公園内の野球場に建設するための事前協議手続きについては「(事業者に)とりあえずストップしていただく」とした。 会見で大井川知事は「(つくば市が無償譲渡を受けることを)決めていただいたからには、スピーディーに、いつまでに譲渡を行うのか、その辺についてもしっかり詰めて、なるべく早くつくば市の意向を実現するよう努力していきたい」とした。 議会での無償譲渡の手続きについて大井川知事は「条例の改正を、お互い、市と県とそれぞれでやらなければならない」とした。その上で「所有権の移転は7月のタイミングになるのかなと思っている。それまでに細かい様々な手続き、あるいはスケジュール感なども調整していく必要がある」と説明した。 県都市整備課によると、新年度の洞峰公園の維持管理については前年度と同じ約9000万円の指定管理料を計上するという。 洞峰公園の無償譲渡をめぐっては、大井川知事が昨年12月の記者会見で「つくば市が自ら公園を管理するのであれば、県としては洞峰公園を無償で市に移したい」「今後のつくば市側の出方を注視したい」などと述べ、大きく動き出した。五十嵐立青つくば市長は同8日の記者会見で、県から無償で公園の譲渡を受け市が管理することも選択肢の一つだと応じ、今月14日、市議会に説明し、16日、県に正式な文書を出した。 一方、市が無償譲渡を受ける場合、新たに市が負担する費用として、維持管理費が年間約1億5000万円、体育館や温水プールなどの大規模修繕費が2027年度までに年平均7800万円、年間で合計約2億2800万円かかることが想定されるほか、28年度以降の大規模修繕にいくらかかるかは不明であることから、市は議会や市民にさらなる説明が求められる。(鈴木宏子)

費用負担 年2.3億円 無償譲渡受ける方針を議会に説明 洞峰公園問題でつくば市

市議会「情報そろってない」 つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、五十嵐立青つくば市長は14日、県から無償譲渡を受け市が管理する方向で県と協議を進める方針を市議会に改めて説明した。近日中に県に正式に伝えるという。 無償譲渡を受ける場合、新たに市が負担する費用は、維持管理費が年間約1億5000万円、体育館や温水プールなどの大規模修繕費が2027年度までに年平均7800万円、年間で合計約2億2800万円かかることが想定されるとし、28年度以降の大規模修繕にいくらかかるかは施設状況の調査が必要になるとした。 3月議会開会日の14日、本会議終了後に全員協議会を開き、説明した。議会から出た意見も含めて県に正式に伝える。今後のスケジュールがどうなるかは明らかにしなかった。 一方議会からは、28年度以降の大規模修繕費がいくらかかるのかなどの質問が出たほか、「まだ情報がそろってない」など慎重な意見が相次いだ。 五十嵐市長は全協後の記者会見で「議員から明確に無償譲渡に反対するという声はなかったが、議会として承認いただいたという話ではない。議会との対話は継続して行っていきたい」とした。 年間2億円を超える新たな費用負担が生じることについては「費用はありとあらゆるものにかかる。費用をどう考えるかを含めて議会や市民と対話する機会があれば価値がある」などと述べ、明言を避けた。 無償譲渡を受けることは市民の総意か否かについても記者から質問が出て、五十嵐市長は「多くの住民が洞峰公園の環境を守ってほしいと思っているということがアンケートや説明会から読み取れるが、さまざまな市民がいて、既存の公園の修繕が必要だという声もある。何か一つやれば、他にこういうことをやるべきだという考えの方がいる。私としては無償譲渡は望ましいことだと考えた」などと述べた。 一方、県は、無償譲渡を受けるか否かについて1月31日までに市から正式な回答が無かったとして、2月1日から、洞峰公園内の野球場にグランピング施設を建設する建築基準法の手続きのための事前協議の準備に入っている。今回、市から回答を受け取れば事前協議手続きを止めるか否かについて、県公園緑地課は「市の回答を確認してからでないと判断できない」(1月31日付、2月1日付)などとしている。(鈴木宏子)    ◇   ◇   ◇ 14日の市議会全員協議会のやりとりは以下の通り。敬称略 飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)市民にはどのような方法で説明するのか。市全体でアンケートを行うのか。早急に市民に説明すべき。 五十嵐立青市長 これまでもさまざまな形で対話してきた。全協で話を伺ってその方向性を県に伝える。譲渡を受けることを伝えて県の返事を待ってその上で検討していく。協議会を設置し、どのような管理運営が望ましいか皆さんと議論するプロセスを踏みたい。 飯岡 維持管理費が年1億5000万円、温水プールやアリーナがある施設の大規模修繕費は総額8億6000万円(2017-27年度)、23年度から27年度までにあと3億5600万円かかる。建物は築43年、体育館やプールはまだ耐震補強されていない。27年度からさらにどれくらいの修繕費がかかるのか。 建設部長 その部分は県に確認が済んでいないのでお答えできない。 飯岡 県に聞いて分かり次第、議会に報告してほしい。利用料金値上げは議会と市民に問わなければならないということでよいか。 市長 無条件に値上げするとは考えてない。 山中真弓市議(共産)県から無償譲渡される場合、パークPFI事業者との契約はどうなるのか。 部長 県と事業者との契約なので市としては承知していない。 山中 県の方で契約を破棄した上で無償譲渡を受けるのか。 部長 無償譲渡となったら県と事業者との契約は無くなると認識している。 山中 建物の修繕費が今後かかると予想されている。建物の管理と公園の維持管理を分けて考えることは選択肢の中にないか。 部長 建物の小規模修繕は、指定管理を仮定した場合、指定管理費の中でお願いする。大きな修繕は市で対応すると考えている。 山中 体育館やプールの大規模修繕など、今後、市の予算の大きな負担になることが考えられる。大規模修繕は県にお願いし軽微なものは市がやるなど、県と協議する可能性はあるか。 部長 道路が県から市に移管されることがある。その場合、目に見える修繕が想定されるものは事前に修繕してもらう。そういった形が望ましい。 山中 分かる範囲の修繕は県にお願いすることが可能だが、想定されてない大規模修繕は市がやるのか。 部長 今後、県との協議の中に入ってくる。 小森谷さやか市議(市民ネット)この間の知事のやり取りはあまりにも強引だ。報道等でも無償譲渡と移管という言葉が混在して使われている。無償譲渡と移管の説明をお願いしたい。 部長 無償譲渡は所有権まで市の所有になる。移管は所有は県、管理は市になる。 小森谷 今回、管理も所有も市になるということか。 部長 その通り。 小森谷 全協で議会の意見を聞いてから県に返事をするということだが、全協は何かを決定する場ではない。全協で各議員が質問や意見を言う中でどうやって意見をまとめるのか。決め方がわからない。議会に議案として出るのか。 市長 現時点で議決をいただくものは想定してない。無償譲渡を受けるのに議会の議決は必要ない。今後、維持管理費など予算をいただくものは議会の議決を受ける。県は県議会の議決が必要になるのではないか。 小森谷 全協で皆の意見を聞いて、どのように県に持っていくかが見えない。 市長 無償譲渡を受ける方向性を考えていることを県に正式に伝えたい。本日、皆さんからどんな意見があったのかも県にお伝えしていく。市としてこのような形で進めたいと(県に)お話したい。 皆川幸枝市議(市民ネット)今後のスケジュールは見えてないのか。1年(ぐらいかかるの)か。スケジュール感はどう考えているか。 市長 期限を区切ることは難しい。県議会の議決が必要かどうかは県の中で精査すること。詳細は県が方針を出していただくことだと考えている。 皆川 市民への説明だが、周辺部の住民からは「いつも中心部ばかり」「何でも中心部にばかりお金をかける」という指摘がある。維持管理費は結構かかる、大規模修繕はこれから調査するということだが、各地域で説明会を行い、しっかり説明して理解を得るよう進めてほしい。 川久保皆実市議(チェンジチャレンジ)市が仮に無償譲渡を受ける場合、協議会を設置して進めていくということだが、大きなコンセプトしとして洞峰公園をどうしていきたいのか。県の整備方針にインクルーシブ遊具の設置があり、ニーズはある。白紙に戻すとインクルーシブ遊具をゼロから検討するのか。 市長 大きな方針だが、洞峰公園は完成された環境にあり、多くの人にとって重要な場所。市が管理することになれば新たな費用がかかるが、洞峰公園への市民の思いやアイデアが可視化されたと思っている。環境を守りながら、一方でどうすれば費用負担を最小限に抑えていけるか、新しく事業をやる余地があるのかなど協議会などを通して協議したい。インクルーシブ遊具は白紙になるが、市としてインクルーシブ遊具を増やす方向で進めている。 川村直子(市民ネット)大規模修繕費の算出根拠だが、部長の説明では、道路の維持管理で県から市に移管されるときは目に見えて分かる部分は修繕を済ませてから移管を受けるということだった。2023年度から27年度に県の方で想定される大規模修繕費は3億5600万円と明確に示してある。この辺は県の方で修繕してから譲渡を受けると考えられるがいかがか。 部長 できればそういった形が望ましいが、今後の県との協議の中での話になる。 川村 市から県にまだ伝えてないということか。 部長 これからになる。 塚本洋二市議(自民党政清クラブ)(配布された)資料によると県との協議は2021年からということだが、2021年10月以前に県から問い合わせはあったのか。最初いつぐらいから問い合わせがあったのか。県と市との協議の内容を示してほしい。 部長 2021年10月に県の事業者選定会議に出席した。オブザーバーとして参加依頼があった。夏頃、事業者の公募がされている中で、市建築指導課に問い合わせがあった。2020年10月、サウンディング調査を行う話を聞いている。グランピングなどの中身はその頃は無かった。事業者公募の際、何社かから建築関係で質問がきて、グランピングは建設できないと市建築指導課が回答した。 塚本 2020年12月にサウンディング調査の話があって、当時、市の方では内容を把握してなかったということだが、これまでの県との協議の流れと内容を示していだだくようお願いしたい。 小野泰宏市議(公明)きょう説明をいただいたが、議員の方も内容を精査しないと、意見はアウトラインぐらいにしかならないと思う。こういう機会をもっとしていただくか、会派で意見をまとめる等、こういう機会をもっとつくっていただかないと双方向にはならない。双方向でやらないと、議決の時に、納得した形で我々は判断しないといけない。きょうは第1弾の説明という感じしか受けない。そういう機会をもっと増やしていただけるようお願いしたい。 橋本佳子市議(共産)市が移管を受ける場合、協議会を設置するのはひじょうに大事。このままいけば皆が望まない方向で洞峰公園が運営されてしまうという中で、県の方から「それなら無償譲渡するから市の方でやってね」的な提案だと感じている。今、無償譲渡という形で協議を進めているということでいいのか。無償譲渡なら無条件でOKといえるかというと、情報がまだ何もそろっていない。例えばパークPFI事業者との契約が本当に破棄されて、きれいにして市に渡されるのかなど、あくまでもこちらがそうだろうと言うだけで、県の確認がとれていない。住民への説明も「お金がかかるのにどうしてあそこの公園に」という声もある。(無償譲渡が)決まりましたよということではなく(協議を)進めているということでよいのか。 市長 県としても譲渡となれば正式なプロセスが必要になる。市としては譲渡を受ける方向で協議していくということを正式に県に伝えるプロセスになる。併せて議員からさまざまな意見をいただいていることを県に伝える。(きょう)議会で承認されたということではないので、今後も随時、県との情報を共有していきたい。協議会の設置もしながら、どういうことができるか考えていくことが今後のプロセス。県には正式に譲渡を受ける方向で考えてます、ということをお伝えしていきたい。 あさのえくこ市議(市民ネット)建築基準法48条の特例、グランピングの建設について知事が、特例許可を受ける手続きに入ると、一種のどう喝発言をされている。今日、無償譲渡を受けますという判断にはならない状況にある中で、特例手続きはいつ消えるのか。 市長 譲渡を受ける方向性を県に正式にお伝えしたい。常識的に考えれば、そこで一旦止まるのではないかと考えている。 鈴木富士雄市議(自民党政清クラブ)議会で議決するのは維持管理費の時になるということだが、その前に経過をもっとよく説明してもらいたい。今日は(無償譲渡を受ける方針で)検討していくという話だが、協議していくことは結構あると思うので、議会に丁寧に何回も説明していただきたい。 市長 おっしゃる通りの方向性でやりたい。対話をきちんと積み重ねていくことは重要。進ちょくについてご相談させていただきながら、契約関係はどうするとか、適時適切に議会に報告し協議したい。市民ともプロセスを踏んでいきたい。

5年連続で過去最大を更新 つくば市23年度当初予算案

中根・金田台で小学校建設に着手 五十嵐立青つくば市長は3日、新年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比6.9%増の約1085億1000万円、特別会計などを含めた総額は同比5.1%増の約1705億1000万円で、5年連続で過去最大を更新する。14日開会予定の3月議会に提案され審議される。 児童生徒数の増加に伴い学校施設の建設が続いているのが増加の主な要因。▽新たに、住宅開発が進む中根・金田台地区で小学校建設に着手し2026年4月開校を目指して用地取得と設計などを実施する(約14億8000万円)。前年度からの継続事業としては、▽TXみどりの地区に24年4月開校予定のみどりの南小中学校建設費に約51億2000万円▽主にTX沿線の小中学校などが利用する24年度オープン予定のみどりの学校プール建設費に約17億円▽25年4月稼働開始予定の新桜学校給食センター(供給能力7000食)建設に約19億円を計上する。 高齢者に電動自転車や芸術鑑賞チケットを補助 高齢者を対象にした新規事業として、▽免許返納などによる代替移動手段の確保や介護予防、社会参加の促進のため、70歳以上の高齢者が電動アシスト自転車を購入する場合、2輪自転車は最大5万円、3輪や4輪自転車は最大12万円を新たに補助したり(予算総額約3700万円)、▽70歳以上の高齢者が市と市文化振興財団が共同主催する演劇や音楽などの文化芸術公演を鑑賞する場合、1回当たり1000円を助成したり(約200万円)、▽高齢者や障害者を自家用車で移送する福祉有償運送サービスを実施しているボランティア団体を支援するため、運転者に必要な講習会を市が新規に実施(66万円)などする。 交流センターを地域コミュニティ拠点に 市民に最も身近な施設である地域交流センターの機能拡充として、17館ある交流センターを地域コミュニティの拠点とすることを目指し、全交流センターに無料Wi-Fiを整備するほか、ソファやテーブルを置いて用事がなくても居場所としてだれでも利用できるようにしたり、全館で相談業務を行えるようにする(約2750円)。 ほかに、つくばセンタービル南側を改修し、市民活動拠点(約9760万円)や国際交流拠点(約5100万円)を整備したり、つくば駅前の商業施設BiViつくば2階のつくば総合インフォメーションセンター交流サロンを改修し今年12月の開設を目指して、住民票などの交付を受けることができる市民窓口を新たに開設などする(約2700万円)。 五十嵐市長は「新型コロナの影響でこれまで内向きになっていたが、新年度は市民の活動や地域の交流を後押しし、静から動への転換を図りたい」などと話した。 市税収入6.8%増 一方、歳入は、全体のほぼ半分を占める市税収入が、前年度当初と比べ6.8%増えると見込む。内訳は人口増により納税者がさらに増え、個人市民税が同比7.9%増、立地企業の収益の伸びが続き法人市民税が同28.2%増、新築の戸建て住宅や分譲マンションの建設が続き固定資産税が同2.9%増えると見込む。 当初予算により、市の借金である市債残高は総額で22年度末と比べ約71億円増え、23年度末は約1176億3000万円になるとみられている。市の貯金である基金残高は、全体で約4億6000万円積み立てる一方、約41億6000万円取り崩し、22年度末の約224億4000万円から23年度末は約187億4000万円に減る見込み。(鈴木宏子)

「無償譲渡を前向きに調整」ツイッターでつくば市長 洞峰公園問題

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、1月31日に行われた大井川和彦知事の定例記者会見を受けて、五十嵐立青つくば市長は同日夕方、ツイッターで「現在市として県から無償譲渡を受ける方向で前向きに調整している」などと発信した。 ツイッターはさらに「維持管理の詳細等もう少し詰めていく内容があるが、これまで県が適切に管理し魅力的な環境を維持してくれて今の洞峰公園があり、今回も県の関係者に様々なご配慮をいただいている。その環境をいい形で引き継げればと考えている」などとしている。 市公園・施設課によると、県から無償譲渡を受けるか否かの回答については、30日に電話で、市担当者が県担当者に「無償譲渡を受ける方向で検討していきたい」などと回答したという。同課は「県が求める正式な回答が文書での回答なのか分からないが、30日の電話での回答が(回答期限内の)市の回答だと思っている」などとし、「議会や市民に説明をしないと正式な回答は出せないと思う」としている。 無償譲渡を受ける時期がいつになるかは未定で、正式に決まっていない中、新年度予算案に市が同公園の維持管理費を計上することはないとしている。 無償譲渡は、公園内の野球場にグランピング施設とバーベキュー施設を建設するパークPFI事業者の計画に対し、五十嵐市長が昨年11月、計画撤回と利用料値上げを県に要望。それに対し大井川知事が12月「つくば市が自ら公園を管理するのであれば、県としては洞峰公園を無償で市に移管したい」と発言し、つくば市が「選択肢の一つ」だとして検討していた。 洞峰公園の維持管理費は年間約1億8000万円という。温水プールやアリーナがある体育館の大規模修繕については県が2017年度から27年度までの計画で現在修繕を実施中で、費用は総額8億6100万円。県は23年度から27年度までにあと3億5600万円かかると発表している。 体育館は築43年。28年度以降さらにどれくらいの修繕費がかかるかについて市は「分からないことは随時、県に確認している」などとしている。 公園内の筑波新都市記念館と体育館は著名建築家の故・大高正人が設計した。つくばの名建築の一つで、記念館は1976年、体育館は1980年に竣工した。 県、事前協議へ準備 【1日午後3時55分・追加】一方、県公園緑地課は1日、つくば市に求めているのは正式な回答だとし、1月31日までにつくば市から(文書による)正式な回答が無かったので、公園内の野球場にグランピング施設を建設する建築基準法の手続きのための事前協議の準備に入るとした。(鈴木宏子)

都市計画変更を可決 旧総合運動公園用地と吾妻70街区 つくば市都計審

つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)と吾妻70(ななまる)街区 国家公務員宿舎跡地(同市吾妻、約6.4ヘクタール)の都市計画変更について審議する市都市計画審議会(会長・大村謙二郎筑波大名誉教授)が30日、同市役所で開かれ、いずれも異議無く可決した。2月上旬に県と協議し、同中旬に都市計画変更を決定する予定という(22年11月11日付、10月11日付)。 旧総合運動公園用地は2015年、住民投票で計画が白紙撤回され、昨年、市土地開発公社が外資系物流不動産会社グッドマンジャパンつくば特定目的会社に約110億円で一括売却した。データセンターや物流拠点が建設される計画。吾妻70街区は土地所有者の財務省と市が、イノベーション拠点と中高層住宅などのスマート街区を誘導する計画。 都市計画審議会では、旧総合運動公園用地を、現在の第2種住居地域から倉庫などが建設できる準工業地域に変更する用途地域変更に対して、市民4人から意見書の提出があり、「売却先の企業の便宜のために都市計画変更をすることは、事実上の利益供与に当たる。これが許されるなら市民からの同様の要求の場合でも都市計画変更が可能になる。都市計画変更はマスタープランに合致している必要がある。当該地は研究拠点都市の研究・教育施設用地として規定されており、準工業地域にすることは趣旨に反する」などの反対意見が出されたことなどが報告された。 委員からは「環境アセスメントはどうなっているか」「第三者に譲渡された時、防災拠点施設が維持される担保はあるか」「(データセンターや物流拠点の配置等の)レイアウトはどの程度進んでいるのか」などの質問が出て、市担当者は「環境アセスの対象ではない」「仮に事業者が変わっても協議の中で継承的なものを定めていく」などと答えた。 現在の進ちょくについて市は「グッドマンジャパンと日々連絡をとっている」とし「(配置は)基本的にプロポーザル提案の計画案がベース。北側2棟が物流拠点で、データーセンターが全部で7棟、南側の1割が防災拠点」になると説明し、現在、事業者のグッドマンは(用地の整備、開発方針など)マスタープランの作成、実施測量、エンドユーザー(入居企業)の意向確認などを進めていることを明らかにした。マスタープランは早ければ年度内か年度初めに出来上がるとし、開発行為の手続き後に、樹木の伐採や伐根を進めていくと認識しているとの見通しを示した。 一方、吾妻70街区 国家公務員宿舎跡地の都市計画変更に対しては市民から意見書の提出は無かった。委員からは、今後のスケジュールなどについて質問が出て、市担当者は「二段階一般競争入札(22年3月22日付)を行う時期などは確定してない」などと答えていた。(鈴木宏子)

回答めどは「今月いっぱい」 つくば市への無償譲渡で知事 洞峰公園問題

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、大井川和彦知事が昨年12月の知事会見で、つくば市が自ら管理するのであれば洞峰公園を無償で市に移管したいなどと述べ、これを受けて五十嵐立青市長が市長会見で、無償移管を受けて市が管理することも選択肢の一つだと応じたことについて(22年12月8日付)、大井川知事は今月13日の定例会見で「今月いっぱいをめどにつくば市の方から何らかの回答をいただけるようにお願いをしているところ」だと話した。 大井川知事は「今はつくば市の方から、つくば市が無償で洞峰公園の移管を受けた場合に、どのような費用がかかるのかということの詳細を知るための様々な情報提供の依頼をいただいており、それについて提供させていただいている」とした。 その上で「無償でつくば市に譲渡するか、あるいは我々が譲歩できるところは譲歩した案に切り替え、ある程度修正した案で(パークPFI事業によりグランピング施設を整備するなど)洞峰公園の改修を進めるか、その両者のいずれかだと考えている」などと強調した。 一方、五十嵐立青つくば市長は今月6日の定例会見で、県から無償譲渡を受けるか否かの判断について「(現在)担当課レベルで正確な管理費がいくらか、情報共有をしている。(維持管理や大規模改修の)費用が分からない中で、情報がないと判断に入らない。(市が県に回答する)時期的な縛りはないと思っている。必要な情報が得られるまで協議を続ける」などの考えを示していた。 回答期限について市公園・施設課は16日「今(県と)協議している段階なので、1月中(の回答)はちょっと難しいと思う」とし、県から維持管理や大規模改修費用の詳細について資料提供を受け、不明な点について県に問い合わせており、現在、県からまだ回答をいただいていない状況だとしている。 市が県から無償で譲渡を受けた場合の洞峰公園の維持管理費用などについて県は、昨年8月の説明会などで、維持管理や運営のための指定管理料が年約1億5000万円、23年度から2027年度までの大規模修繕費用として3億5600万円かかるとしている。 市議会一般質問はいずれも慎重論 昨年のつくば市議会12月定例会では3人が洞峰公園問題について一般質問した。それぞれ「つくば市はこれから公共施設を整備するお金がすごくかかる。県として責任をもってもらいたい」(山中真弓市議=共産=)▽「移管は多額の維持費をつくば市が負担することになる。もっと詳細なデータをいただく必要がある。総合運動公園の基本計画が反対に終わったのは、総工費のみならず毎年3億円の維持管理費に疑問や拒否感があったからだと思っている」(あさのえくこ市議=つくば市民ネット=)▽「市と県で共同管理を行うなど、口も出すけど金も出す折衷案で県と話し合い、洞峰公園の維持を行う考えはないか」(飯岡宏之市議=自民党政清クラブ=)など、3人いずれからも慎重な意見が出た。(鈴木宏子)

住民の安心、安全前提に広報サポート 国立環境研の除染土実証事業でつくば市

原発事故に伴う福島県の除染土壌を再生利用する実証事業を、環境省がつくば市小野川の国立環境研究所などで計画している問題で、五十嵐立青つくば市長は6日の定例記者会見で「地元の住民の理解、安全、安心の確保が大前提の中で、今後、調整が整い次第(環境省が)住民説明会を実施する予定と聞いている。(説明会の)広報等のサポートをしていきたい」と述べた。 つくば市として除染土の実証事業を受け入れるか否かについて記者から質問が出て、五十嵐市長は「受け入れる、受け入れないではなく、拒否する権限もない」とし「国の事業を国の研究所内でする。除染土の問題は、福島県だけの問題ではなく全国的に取り組まなくてはならない課題」だと話した。 市によると、昨年10月19日、環境省からつくば市に、除染土壌の実証事業の候補地の一つになっているとの説明があった。昨年の報道後、近隣住民から市に対し「賛成、反対でなく候補地に選ばれたことを前もって教えてほしかった」などの意見が1件寄せられたという。 五十嵐市長は「あくまでも実証事業の候補地の一つという話を聞いている。正式に決定したものではないという認識でいる」とした上で「住民の理解が重要。説明会の範囲をきちんと決めていただい上で(日程などが)決まったらきちんと周知できるようにその方法を環境省と協議していきたい。市として必要な情報の周知は一緒に行っていく必要があると思っている」とし「環境省には安全性の丁寧な説明や事業プロセスの透明性の確保、実証実験に関する積極的情報開示について真摯(しんし)に対応いただきたい。環境省も当然そのつもりだと認識している」と述べた。 福島第1原発事故に伴う除染土壌は、東京ドーム11杯分が福島県内で中間貯蔵されており、2045年までに県外で最終処分することになっている。環境省は最終処分量を減らすため、1キロ当たり8000ベクレル以下の除染土を土砂やアスファルト、コンクリートなどで覆って盛土など公共工事で利用したり、5000ベクレル以下を土砂で覆って農地などに利用する計画を立て、福島県内では2018年から農地の盛土などの事業が実施されている。 国立環境研究所でこれから行う実証事業は福島県外では初めてとなり、ほかに埼玉県所沢市の環境調査研修所、東京都の新宿御苑の計3カ所で実施する計画。実証事業では各施設の広場や花壇、駐車場などに除染土を埋設し、土で覆って、植栽などへの影響を確認するなどとされている。(鈴木宏子)

高校新設めぐり押し付け合い? 知事「市立を」、つくば市長「県の仕事」

人口増加が続くつくば市で、市民団体が県立高校の新設を求めている問題で、大井川和彦知事が「つくば市立の高校をつくってはどうか」と昨年12月の県総合教育会議で発言したのに対し、つくば市の五十嵐立青市長が「県立高校をつくるのは県の当然の仕事」と6日の市長定例会見で反論するなど、県と市が押し付け合う形になっている。 昨年12月8日の県総合教育会議の議事録によると、大井川知事は「つくばにおける高校の問題は我々としても非常に注意を払って検討している」と述べた上で「(つくば市の)通学圏の周辺をみると、今後生徒数が減っていく中で、定員割れがどんどん増えてくる状況が予想される。通学圏にある高校を生かすことも検討しなければならないので、単純につくば市の中心部に新設校ということにはならない」などと述べた。 一方「通学圏の中でクラスを増やすなど、対応できるように県としても努力する」とし、高校新設について「我々からもつくば市に、市立の高校をつくってはどうかということも逆に提案させていただいている。その際には県として、教員の配置等含めて全面的に協力したいということも記者会見の場で申し上げている」と話した。 大井川知事はさらに「今後きちっとつくば市側に我々の意図をお伝えし、状況を理解いただいて、最善の選択肢ということを、我々としても努力しているということを、ご理解いただけるよう努力していきたい」などと述べた。 同教育会議で県教育委員の市原健一前つくば市長が「(市の)中心部ではお子さんがどんどん増えて、今後やはり高校に入りやすい環境をつくってほしいという意見もどんどん強くなっている」「ここは県と市が協力し合いながら、私はつくば市立の高校を設置していただくのが一番いいのかなということを、以前から感じている。その中で実態調査をお願いしたい。実態調査をきちんとやって、市と連携をとって、用地の提供であるとか、人事でも協力するというような姿勢を見せていただきたい」と県に投げ掛けたのに、大井川知事が答えた。 市は六つの小中学校つくる これに対し五十嵐市長は6日の会見で記者の質問に答え、「県立高校をつくるのは県の当然の仕事。これだけ人口が増加しているつくば市において、県として県立高校を責任をもってつくっていただきたい。市としては目先だけでも六つの小中学校をつくっていく。県で県立高校の一つをつくっていただくことができないということはないと思っている。県の責任で進めていただきたい」と述べた。 記者からは「県と市のはざまで父母が谷間に落ちてしまう。突っ張り合いでは問題は解決しないのでは」などの質問が出たが、五十嵐市長は「市立高校ニーズが出てくるのは、本来、県立高校がきちんとつくられていれば必要ない話。県がつくる意思があれば、市立高校の議論すら始まらない。私どもとしては基礎自治体の責任である小中学校、義務教育の学校をきちんとつくっている。県には当然の責任として県立高校をつくってほしい」と強調した。 さらに「県立高校をつくるのは県の仕事。本来果たすべき責任を果たさないで何かを提案するのではなく、責任を果たしてから次のステップになる。それをしないで、つくらないから市で、という発想になって、しょうがないねという発想になっていたら、自治体間の関係や県としての使命はどこにいってしまうのだろうと考えている。市は市としての責任を果たす。県は県立高校をつくるという県の責任を果たしてほしい。県が県立高校をつくれば解決する、県にできない理由はまったくない。県としての優先順位を高めていただければ回避できる問題」だと繰り返した。 県方針は既存県立高の定員増 つくば市の県立高校問題をめぐっては、市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が、つくば市では2021年、中学3年生の6人に1人しか市内の県立高校に入学できなかったこと、つくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総市など)の中学卒業生が2030年には21年より1000人増えることなどから、県に対し、つくば市やつくばエクスプレス(TX)沿線に全日制県立高校の新設や既存校の定員増などを求めてきた。 これに対し県教育庁は、つくばエリアの中学卒業者は2030年までに約700人増加するが、周辺のエリアでは約1400人減少すること、つくば市の生徒が多く通学している土浦、牛久、下妻の3市に限れば、つくばエリアの中学卒業者数は2030年までに現在より約700人増加するのに対し、3市は約500人減少し、つくばエリアの増加が約200人上回る状況となるーなどとして、つくば市内の既存の県立高校の魅力を高め志願者を確保する、通学可能な範囲で進学先が確保できるよう適切な時期に既存の県立高校の定員を増やしていくなどとしている。(鈴木宏子) ➡つくば市の県立高校問題の過去記事はこちら

日本財団つくば研跡地に新年5日開所 新型コロナ 県の臨時医療施設

新型コロナ第8波の感染拡大に備えた茨城県による臨時の医療施設(12月2日付)が来年1月5日、つくば市南原、日本財団つくば研究所跡地に開所する。併設の発熱外来は来年1月10日開始予定。開所を前に27日、報道関係者に施設が公開された。 約5.7ヘクタールの敷地に、木造移動式住宅の病棟15棟(計200床)とナースステーション、事務局棟などを備える。24時間、医師2人が常駐するほか、日中は看護師、介護士、事務職員などが計70~80人、夜間は50~60人が常駐し、酸素投与や点滴治療が必要なコロナ患者や、介護が必要な高齢のコロナ患者に医療や介護を提供する。 医療従事者は27日までに全員確保でき、主に県外の首都圏から通勤してくるという。 各病棟は1棟当たり面積145平方メートルで、14床のベットが設置され、看護師が各棟に常駐する。ナースコール、バイタルモニターのほか、監視カメラなども設置され、入院患者の症状を見守る。 病棟の移動式住宅はホテルなどとしても使用されている建物で、車いすでも利用できるようすべてバリアフリーになっている。各棟にはトイレ、シャワー室、洗面所が2つずつ設置されている。県感染症対策課の山口雅樹課長は「体育館などに設ける臨時の医療施設とは異なり、快適な療養環境になっている」と強調する。 各保健所や県の入院調整本部を通して、入院する。来院方法は、家族が送迎したり、民間の搬送車を利用する方法があるという。入院期間は発症から10日間で、各1週間程度になると見られる。入院中は食事が3食提供される。入院中、症状が悪化した場合は、コロナ対応病院に転送される場合もある。食事も含め入院に必要な費用はすべて無料。 発熱外来は10日から 一方、発熱外来は、自家用車に乗ったままドライブスルー方式で新型コロナとインフルエンザの両方のPCR検査ができる。県の特設サイトから予約すれば県民だれでも検査を受けることができ、1日300件程度を想定している。 第8波は、新型コロナとインフルエンザの同時流行により、第7波の2倍以上の1日最大1万9000人の新規感染者が県内で出ることが予想されていることから、年末年始の感染拡大を見据えて開所する。 開所期間は3月までの2カ月間程度。閉所後は施設を解体、撤去する。事業費は開所期間によって異なるが20~30億円程度と見込まれているという。(鈴木宏子)

公共施設への電気供給ストップ ごみ焼却施設で設備故障 つくば市

つくば市のごみ焼却施設、つくばサステナスクエア(同市水守)で今月12日、電気設備が故障し、ごみを燃やして発電し市の公共施設に電気を供給する「自己託送」(10月7日付)や売電が、同日からストップしていることが分かった。同施設によると、現時点で自己託送事業の再開がいつになるか分からないとしている。 電気設備の故障により、ごみ焼却自体も12日から20日まで9日間停止した。この間、収集した可燃ごみを一時的にためておくごみピット(容量約3800トン)に1800トン以上がたまったが、仮設の発電機を設置して20日に1炉が稼働し、焼却を再開した。もう1炉も27日に稼働できる予定だ。 年末年始はごみの量が増える。同施設では他のごみ焼却施設に処理を委託することも検討していたが、委託しなくても、しのげる見通しだという。 一方、電気設備の故障の原因はまだ分かっておらず、現在、原因を調査している。原因が分かり次第、部品を調達するなどして修理する予定だが、特殊な部品なのですぐに調達できるかどうか分からず、自己託送や売電がいつ再開できるかは未定だとしている。 自己託送は、電気料金の削減と温室効果ガスの排出削減などを目的に今年10月1日から同市で始まったばかり。市役所本庁舎など市内41施設にごみ焼却施設で発電した電気を供給し、年間約6890万円の電気料金を削減でき、年間1900トンの温室効果ガス排出を減らすことができるとしていた。今回の故障による影響について市環境政策課は「(現時点では)答えられない」などとしている。代わりの電気は12日から、新電力のアーバンエナジーから購入している。 プールと温浴施設は25日再開予定 ごみ焼却施設の停止により蒸気の供給も停止したことから、隣接のつくばウエルネスパークの温水プールと温浴施設も12日から営業を休止している。20日にごみ焼却炉1炉が稼働再開したことから、プールと温浴施設への蒸気の供給が再開した。ウエルネスパークによると現在、設備の点検と、水の温度を上げる昇温を行っており、25日にも再開できる見通しだとしている。 サステナスクエアのごみ焼却施設には焼却炉が3炉あり、1炉当たりの1日処理能力は約100トン。常時2炉が稼働し、1日200トン程度を焼却している。敷地内にはリサイクルセンターやし尿処理施設もあるが、電気系統が異なるため通常通り稼働している。(鈴木宏子) 【訂正:23日午後5時20分】つくばウエルネスパークのプールと温浴施設の再開が1日早まり、26日再開を25日再開に訂正しました。

2039人でギネス達成 学園の森義務教育学校 つくば 

だるまさんが転んだ 日本一児童生徒数が多い、つくば市学園の森、市立学園の森義務教育学校(石黒正美校長、児童生徒数2229人)の1年生(小1)から9年生(中3)まで2039人が19日、鬼ごっこの一種「だるまさんが転んだ」でギネスの世界記録に挑み、見事、達成した。2015年に横浜市内で達成された740人の記録を大幅に塗り替えた。 児童生徒数の増加に伴い来年4月、学校が分離し、近くに研究学園小中学校が開校すること、コロナ禍で通常の学校行事がほとんど開催できなかったことなどから、ギネスに挑戦して、児童生徒同士の団結力を高めようと取り組んだ。 この日、児童生徒は、全員が番号が記されたゼッケンを付けて、午前8時30分から1時間半以上かけて校庭に放射線状に並んだ。生徒会長で9年生の横江晴満(はるま)さん(14)が鬼を務め、朝礼台からマイクを使って「だるまさんが転んだ」と大きな声で言うと、児童生徒たちは全員で一斉に鬼に向かって進むなどした。3回目で生徒が鬼にタッチし終了した。 記録達成に向け、ギネスワールドレコーズ公式認定員の藤渕文香さんが来校したほか、地域住民や筑波大生ら約50人が監視員や証人となり見守った。 審査後、公式認定員の藤渕さんから記録達成が伝えられると、校庭に集まった2039人の児童生徒から大きな歓声と拍手が沸き起こり、生徒会長の横江さんに認定証が手渡された。 横江さんは「本当にたくさんの人が記録達成を手伝ってくれたことにまず感謝したい。2000人の仲間とギネスをとれたことに価値を感じている。(学校が)分離する前に皆で一緒に遊ぶことができた。思い出として残したい。世界一の経験をすることができ、ギネスをとったことが自信となり、モチベーションの一つとなれば」などと話した。 今年4月、委員会活動の中で、9年の沓沢夏粋楽(くつさわ・かいら)さんが、ギネス世界記録を目指そうと発案したことが始まりという。その後、児童生徒約100人で実行委員会を立ち上げ、PTAの協力を得て費用をねん出した。1カ月ほど前からは昼休みなどに学年ごとに練習を重ね、15日に全校児童生徒が集まってリハーサルをして臨んだ。 公式認定員の藤渕さんは「生徒会長から話を聞いた時から、心打たれていた。しっかりと公平に審査し、認定員として立ち会えたことは光栄。世界に発信していきたい」と話した。(鈴木宏子)

自殺に関し差別的内容を公開共有 つくば市総合教育研究所の公式ツイッター

SNSで知り合ったとされる自殺ほう助に関する事件が相次ぐ中、小中学校教員の研修やICT(情報通信技術)教育の推進などを実施している、つくば市総合教育研究所(同市大形)の公式ツイッター「つくば市ICTスタッフ」が18日午前9時ごろ、自殺に関する差別的内容が記されたツイートを、リツイ―ト(フォロワーに公開し共有する)していたことが分かった。リツイートは、同日午後1時ごろ削除された。 同公式ツイッターは18日正午時点で407人のフォロワーがいる。リツイートが共有された約4時間の間に、さらに2人がリツイ―トし、1人が「いいね」ボタンを押した。どのくらい拡散されたかは不明。 同研究所によると、18日午前9時ごろ、スマートフォンで同公式ツイッターを確認していた職員が、うっかりリツイートボタンを触ってしまったという。 職員はその後、仕事の対応に追われ、消すのが遅れてしまったとしている。 自殺に関する差別的内容が書かれたツイートは、同公式ツイッターがフォローしていた。このツイートの発信者は、不登校に関しても差別的発言をしていた。 同研究所は「職員が誤ってリツイートし、気付づいて削除した。(差別的な)ツイートの内容に賛同してリツイートしたわけでは決してない。大変申し訳ありませんでした」とし、なぜフォローしていたかも調べたいとしている。(鈴木宏子)

小中全校に校内フリースクール設置 不登校支援で8施策案 つくば市

民間事業者と保護者の両方に費用補助も 小中学校の不登校児童生徒の支援のあり方について検討するつくば市の「不登校に関する児童生徒支援検討会議」(森田充教育長と教育委員4人で構成)の第9回会合が13日、同市役所で開かれた。今後の支援施策として、校内フリースクールを小中学校全校に設置する、民間の支援事業者と不登校児童生徒の保護者の両方に運営費や利用料を補助するーなど8つの案が示された。 同市の2021年度の不登校児童生徒数は592人で、小学生が243人、中学生が349人。検討会議は、つくば市が昨年12月に実施した不登校児童生徒の学習支援施設「むすびつくば」の運営事業者の選定をめぐって迷走した問題を受けて、今年5月に設置された(5月17日付)。 今後の支援施策の一つ、①校内フリースクールは、教室に登校できない児童生徒が、自由な時間に登校し、校内の別室で自由に過ごす居場所。学校の空き教室などを活用し、退職教員など専任職員を配置する。児童生徒は専任職員に悩みを相談したり、勉強を見てもらったりもできる。同市では今年度初めて谷田部中学校に設置した(9月8日付)。23年度は新設校も含め市内の中学校16校に新たにつくり、中学校全校に校内フリースクールを設置する。小学校は23年度は空き教室の活用ができ不登校児童が多い6校に設置し、24年度は全校に設置する案が示された。 学校ではさらに相談体制を充実させる。教育相談の件数が増加傾向にあり予約が取りにくい状況にあることから、②臨床心理士などが従事するスクールカウンセラーを、現在の21人(1人は週1回、1日7時間勤務で計算)体制から、23年度は33人体制に毎年拡充し、25年度までに各校1~3人の56人体制にする。③社会福祉士などが従事し家庭訪問や生活支援などをするスクールソーシャルワーカーも拡充し、現在の8人(週2回、1日6時間勤務)体制から、23年度は17人体制、24年度は新設校を含め18人体制とし、中学校区ごとに1人配置する体制をつくる。④市教育相談センター(同市沼田)の教育相談員も現在の10人から13人に増やし、出張相談なども利用しやすくする。 民間フリースクールへの支援は、⑤民間の運営者に対し、支援体制整備や運営にかかわる経費を、1日当たりの利用人数と開設日などに応じて支援する。さらに⑥民間施設を利用する保護者に対しても利用料などの上限を定めた上で補助する案が示された。民間フリースクールは現在、市内に10カ所程度あるという。経費や利用料を支援する対象施設や対象者の基準や支援割合、上限などの具体的な線引きは、今後さらに検討して決める。 ⑦公設の支援施設については、市が直営する市教育支援センター「つくしの広場」と、トライが運営する「ここにこ広場」(研究学園)は来年度以降も継続する。事業者選定をめぐって迷走した、NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所が運営する「むすびつくば」(吾妻)は来年3月まで1年間延長されただけであることから、来年度以降、どうするかは今後さらに検討するという。 一方、⑧学校内のフリースクールにも民間のフリースクールにも行けず、家庭にいる児童生徒への支援についても、各学校の授業配信や、県が配信するオンライン授業「いばらきオンラインスタディ」を活用したり、市独自のオンライン教材「チャレンジングスタディ」をリニューアルするなどの案が示された。 検討会議ではほかに、2020年10月から22年3月末までリヴォルヴ学校教育研究所が市と協働で実施した「むすびつくば」の事業に対する検証報告書案も示された。児童生徒一人一人に応じた学習支援や居場所の提供などについては利用者から高評価だった一方、学校や市、市教育粗段センターとの連携については、連絡を取り合ったり、連絡会議を定期的に開催できなかったなどの課題が出された。 今後の支援施策は来年1月まで、むすびつくばの検証報告書は10月中にまとめる方針。(鈴木宏子) ◆次回の第10回検討会議は民間フリースクールや保護者への運営費や利用料の補助基準などについてさらに協議、検討が行われる。日程は未定。日程確認は市の会議公開予定表HPへ。 【訂正】次回第10回検討会議を10月18日としましたが延期となりました。14日時点で日程は未定です。

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