金曜日, 4月 26, 2024
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TX茨城県内延伸 実現へのシナリオ 《吾妻カガミ》147

【コラム・坂本栄】つくば市が終点始発になっているTXの延伸に関心が集まっています。茨城県が今年度中に延伸先を絞り込む作業を進めていることもあり、延伸先4候補(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)の関係地域では、つくば市を除き、誘致活動が活発になっています。今年最後の本欄はTX延伸問題のあれこれです。 県内延伸と東京駅延伸はセットで なぜ県は年度内に延伸先を決めたいのでしょうか? 県政通によると、来年度か再来年度、国土交通省の関係審議会で、TXの東京駅延伸が決まるそうです。県は、東京駅延伸とセットで県内延伸を決めてもらう作戦を立て、それには今年度中に延伸先を絞っておく必要があると考えたわけです。 なぜセット決定を狙っているのでしょうか? 現TX(秋葉原-つくば)計画が策定された際、当時の竹内知事(故人)は、つくばより先に延ばす場合、その費用は茨城県が負担すると、東京都、埼玉県、千葉県に約束しています。単独負担を避けるため、東京駅延伸と県内延伸をセットで決めてもらい、県内延伸費用を他自治体にも分担してもらう、それには延伸先を国の審議会前に決めておく必要がある―これが絞り込みを急ぐ理由のようです。 つまり、県の絞り込み作業は、国の鉄道建設手順を踏まえ、工事費負担の分散・軽減を図るという、知事の深慮遠謀によるものだそうです。ということは、県内延伸先←現TX区間→東京駅がパッケージで決定されないと、県内延伸は難しくなるでしょう。この両方向延長に、都が策定中の臨海地下鉄(東京駅→東京湾岸)がリンクすれば、壮大な計画になります。 国際空港と学園都市を結ぶ鉄道? 県内延伸先はどこになるのでしょうか? 私は茨城空港と予想しています。136「TX延伸論議…つくば市の狭い視野」(7月4日掲載)で指摘したように、関係地域(水戸市、土浦市、石岡市、小美玉市など)は、自分の市を経由して(水戸は空港から自市まで延伸してもらおうと)空港まで延ばせと主張しているからです。県内延伸=つくば駅→茨城空港の政治的な包囲網が出来上がっています。 TX沿線市(守谷、つくばみらい、つくば)の人たちは、このプロジェクトにあまり関心がありません。延伸=東京駅延伸であり、県内延伸はピンと来ないようです。これら地域は東京通勤圏(茨城都民)ですから、県内延伸に想像力が働かないのは仕方ありません。 茨城空港まで延ばす必要性は何でしょうか? 先のコラム136では、▽10~20年先、首都圏の羽田空港と成田空港が満杯になり、茨城空港を第3国際空港として使わざるを得ない、▽それには、空港にアクセスできる鉄道が必須になる、▽つくばを世界レベルの研究学園都市に育てるには、茨城国際空港と学園都市を鉄道で結ぶ必要がある―と述べました。県内延伸は、学園都市の広域化を実現するテコにもなります。 高度な分担比率政治工作が必要 県内延伸にはいくらかかるのでしょうか? 1兆円に近い数千億円は必要でしょう。知事が県内延伸と東京駅延伸(東京湾岸延伸?)をセット決定に持ち込もうとしているのは、茨城単独ではこの額は無理と思っているからでしょう。 先に、首都圏第3空港化に触れたのは、そうすれば延伸費用を国から引き出せると考えるからです。単なる茨城空港延伸でなく、第3国際空港延伸とし、国=3分の1、茨城=3分の1、東京・埼玉・千葉=各9分の1といった分担比率ができれば、延伸は現実性を持ちます。こういった理屈付けと分担比率決定には高度な政治工作が必要です。(経済ジャーナリスト)

TX県内延伸に賛成?反対?【県議選’22つくば候補者アンケート】3

県議選候補者アンケート最終回は、つくばエクスプレス(TX)県内延伸構想の是非と、旧統一教会と接点をもったことはあるかについて、つくば市区の立候補者8人に聞いた。 TX東京延伸については11月25日、東京都が「都心部・臨海地域地下鉄構想」の事業計画案を発表。まず臨海地下鉄を単独で整備し、将来的に、TX東京延伸(秋葉原-東京)との接続や、羽田空港との接続を今後検討すると発表したばかり。 一方、県内延伸をめぐっては、県が今年度、初めて調査費を計上し、今年度中に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込むと発表し、県内各地で誘致合戦が繰り広げられた。延伸に必要な事業費、需要予測、費用対効果も調査が行われている。一方つくば市は東京延伸を優先するとし、県内延伸の誘致合戦には加わらなかった。 NEWSつくばは告示前、8候補者に対し「TX県内延伸ルートを絞り込む調査費を県が計上し、県内延伸を求める運動がつくば市以外で盛り上がっています。県内延伸計画に賛成ですか、反対ですか」と質問した。賛成、反対、どちらでもないの3つのいずれかに〇を付けてもらい、50字程度で理由を書いてもらった。 各候補者の回答は以下の通り。 ▽佐々木里加氏 賛成「県内延伸には反対しないが、土浦ではなく、本来はつくばエクスプレスの名の通り筑波山を経由し県庁のある水戸へ、あるいは空の玄関茨城空港を経由し水戸へ伸ばすべき」 ▽宇野信子氏 どちらでもない「TX県内延伸は県南と県央、県北をつなぐ効果はあるが、沿線開発によりさらに市街地が分散する弊害もある。完成時期や費用負担等の調査結果を示して住民の声を聴くべき」 ▽ヘイズ・ジョン氏 賛成「持続可能な社会実現のため賛成。電車はエネルギー効率が高い公共交通機関であり、公共交通整備はSDGsの観点からも国連から推奨されている。TXが他の交通機関と連結し相乗効果を得ることはコストベネフィットが高い」 ▽塚本一也氏 賛成「つくばエクスプレスの成功を県内経済活性化のために活用すべきである」 ▽山本美和氏 どちらでもない「県内延伸に関する議論について勉強不足のため」 ▽鈴木将氏 賛成「今回公表された東京都の臨海部への地下鉄事業計画案と連動し、県内以北への通勤・通学・交流圏を広げ、更なる県土発展を推し進めていくべき」 ▽山中たい子氏 反対「高い料金の引き下げと、現在生じている混雑の緩和を先行させるべき」 ▽星田弘司氏 賛成「TXを県内延伸していくことは、以前から進められている東京延伸とともに重要。整備費用確保の課題解決が一番の課題」 旧統一教会は8人全員が接点なし 旧統一教会との接点についても候補者8人に質問した。 「これまで旧統一教会や関連団体と接点をもったことはありますか」と質問し、①祝電やメッセージを送ったことがあるか②広報誌などのインタビューを受けたことがあるか③関連団体の会合であいさつをしたことがあるか④教団主催の会合に出席したことがあるか⑤教団や関連団体に会費類を支出したことがあるか⑥寄付を受けたりパーティー券などを購入してもらったことがあるか⑦選挙でボランティアによる支援を受けたことがあるか⑧選挙で組織的支援や動員などを受け入れたことがあるかーの8点について、ある、ない、のどちらかに〇を付けてもらった。 回答は、候補者8人全員が、8項目いずれも「ない」と回答した。 終わり

列車内の無線Wi-Fiサービス 23日で終了 TX

つくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、柚木紘一社長)は、列車内での無線Wi-Fiサービスを23日で終了する予定だと発表した。駅構内での無料Wi-Fiサービスは継続する。NTTドコモのd Wi-Fiサービスの終了に伴うものという。 TXは、駅構内や改札付近だけでなく、列車内でも無料通信が利用できる体制を開業当初から早期に整えた先駆的な公共交通だ。列車内の無線Wi-Fiは、通勤ラッシュ時などは接続しにくくなっていた時もあるなど、利用者は少なくないとみられる。個人の端末通信を使用すればスマートフォンやパソコン通信は引き続き利用できる。 同社によると、これまで列車内では2つの無料Wi-Fiが提供されていた。エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(東京都千代田区)が運営し、TXの利用者全員を対象として提供されていたTX Free Wi-Fi(ティーエックスフリーワイファイ)と、NTTドコモ(東京都千代田区)が運営し、同社のdポイントクラブの会員向けに無料で提供されていたd Wi-Fi(ディーワイファイ)だ。どちらも23日に終了し、列車内での無料Wi-Fiの提供は無くなる。 同社は「d WiFiを提供するNTTドコモから、d Wi-Fiサービスの終了に伴って、つくばエクスプレスでも運営を終了したいとの申し出があった。それを受けて、TX FREE Wi-Fiも同時に終了することが決まった」と経緯を説明する。 一方、構内のWi-Fiサービスの提供は継続される。列車内と同じく、駅構内で提供されている無料Wi-Fiサービスは、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームの運営するTX Free Wi-Fiと、NTTドコモが提供するd Wi-Fiの2つがある。23日にNTTドコモのd Wi-Fiは終了するが、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームのTX Free Wi-Fiは継続される。 TXのこれまでの利用者数累計や、サービスの維持管理にかかるコストについては非公表となっているが、TX Free Wi-Fiは通勤ラッシュの時間帯などに接続がしにくくなるなど、利用者は少なくなかったとみられる。今後の見通しとして首都圏新都市鉄道は「列車内における無料Wi-Fiサービス提供を今後なんらかの形で再開する予定は現時点ではない。駅構内のTX Free Wi-Fiは、今後も継続の見通し」としている。 鉄道の無料Wi-Fi 相次ぎ終了 今年6月には東京地下鉄が東京メトロのWi-Fiサービスを一部終了している。TXと同様に、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームの運営するMetro_Free Wi-Fiと、NTTドコモが提供するd Wi-Fiの提供が、契約期間満了によって終了している。東武鉄道でも今年、一部無料Wi-Fiサービスが終了したなど、鉄道の無料Wi-Fi終了が相次いでいる。 理由について、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームは「国内の鉄道事業で無料Wi-Fiサービスが相次いで終了している背景は3つある。1つ目は、訪日外国人観光客の利用を想定し、東京オリンピックの開催などに合わせて広がってきたが、コロナ禍でそうした外国人観光客の利用が著しく減っていること。2つ目は、コロナ禍の鉄道利用者数の減少に伴って、鉄道会社は収益性が低下し、コストカットを強いられていること。3つ目は、国内の『5G』に代表される高速通信サービスの進歩と『格安シム』と呼ばれるような安価なサービスの登場によって個々人の端末の通信は高速化し、Wi-Fiサービスそのものの需要が少なくなりつつあること。こうした背景から無料Wi-Fiサービスの提供を終了する企業が増えてきている」としている。(山口和紀)

TX県内延伸「早くどう建設するか議論を」 政財界交流団体 つくばで会合

つくばエクスプレス(TX)の県内延伸について意見交換する県内政財界の交流団体「TX県内延伸の議論を活性化する集い」(代表世話人・塚田陽威塚田陶管社長)の会合が7日夕、つくば市内で開かれた。塚田代表世話人は「TXの勢いをつくばで止めておかないで、土浦、石岡、茨城空港、水戸に延ばすことが最大の政治の仕事だろうと思っている。来年3月31日までに(4方面のうちのいずれかのルートが)決まってから、いつまでに建設するのか、それが一番大事なこと。早くどうつくるか、いろいろな話ができれば」とあいさつした。 集いには安藤真理子土浦市長、小田川浩つくばみらい市長のほか、つくば市区選出の星田弘司、塚本一也県議、つくばみらい市区の山野井浩県議、石岡市区の大和田寛樹県議、小美玉市の中村均企画財政部長らが約30人が参加した。 口々に「県民、市民が望む延伸」と 土浦市の安藤市長は「TXを土浦に延ばしたいというのは(長年の)悲願。駅前で街頭演説をすると、高校生が振り返って、戻ってきて『本当ですか』と話してくる。(今年6月の)署名活動でも駅前で高校生が署名用紙を受け取って学校で書いて、次の日に持ってきてくれる。若い人たちと一緒に夢をかなえたい。土浦市議会も9月に特別委員会をつくった。活動はまだまだ続く。私たちの熱い気持ちをぜひ知事にご理解いただきたい」などと話した。 つくばみらい市の小田川市長は「みらい平駅ができてTXのお陰で人がたくさん来てくれ、税収も増え、工業団地ができて、TXの恩恵を受けている。(TXを運行する首都圏新都市鉄道に対して)沿線市が集まって、東京延伸、8両編成化のほか、TXは(JRと比べ)運賃が高いので学生だけでも下げてほしい、とつくばみらい市から発信して学生の定期券割引拡大を要望している。県内延伸は県民が望むことであり応援しなければいけないと思っている。TXは170%くらい乗車率があり8両化しようとホームの工事に着手したところ、コロナで乗客が激減し赤字が出ていると聞いている。まずはコロナ前の乗客に近づくようになればと思う」と述べた。 星田県議は「きのう(6日)自民党本部に国土強靭(きょうじん)化議員連盟の要望活動をして、地域で計画を進めるには財源等、かなりのハードルがあると伺った。クリアしなくてはいけないことがまだまだあるが、知事が調査を実施するというのは第一歩を踏み出していただいたということ。県民の多くがTX延伸を望んでいる。財源の確保と熱意が必要。皆さんと機運を盛り上げていきたい」とした。 塚本県議は「自治体によって温度差がある。東京延伸と北への延伸の双方向を考え、本来つくば市がビジョンを持たないとだめ。(快速列車など)だんだん千葉から東京への通勤に便利な電車になっている。つくばエクスプレスという名前なのに利便性を持っていかれるのは残念。JRとのコラボも双方向で考え、皆と議論したい」など、それぞれ話した。

茨城空港とTXはいいね 《令和楽学ラボ》19

【コラム・川上美智子】新型コロナが少し落ち着きを見せた5~7月、茨城県内での3年間の巣ごもりを解禁し、茨城空港から福岡と淡路島に飛び立ちました。どちらも1泊2日の日程でしたが、十分に目的を果たすことができ、この空港の価値の高さを再認識しました。 若いころから海外旅行が大好きで、成田空港はよく利用してきましたが、お隣に行く気分でローカル空港を活用すると、行動範囲が一挙に拡大することを実感しました。茨城空港のもう一つの魅力は、駐車場が無料で、ドアtoドアで手軽に空港に行けることです。 発着するスカイマーク便は、札幌、神戸、福岡、那覇の国内主要都市と茨城を結び、幼い子どもでも高齢者でも、簡単に短時間で目的地に運んでくれます。また、遠方から容易に旅行客を招き入れることができます。そのためか、家族連れも多く搭乗し、飛行機は満席でした。 先週あたりから、新型コロナ感染症の第7波が猛威を奮いはじめ、次にいつ利用できるかはわかりませんが、人気でチケットの取得が難しいので、便数を増やしてもらえると助かります。 TX延伸は県にとって死活問題 ところで、つくば市と秋葉原を結ぶTXの延伸が大きな話題となっています。振り返ると、TXがつくば市にもたらしたものは想像以上に大きかったと思います。1970年代の筑波研究学園都市の建設、1985年の科学万博開催、2005年のTX開通により、つくばは大きく発展してきました。 建設期のころ、県の公共事業再評価委員を拝命していたことから、つくばの開発現場を視察する機会がありました。そのときは、どこまでも広がる大地や林を前にして、このような田舎に人が住むようになるのだろうかという印象でした。一緒に視察した委員たちも、この開発は大丈夫かなと心配していました。 TXの1番電車にも試乗しましたが、田んぼや畑の中をひた走るTXの車窓からは、建物らしいものはほとんど見えませんでした。 今、TX沿線は住宅ラッシュで、若い家族が増えています。また、私が園長をしている保育園では、東京通勤の保護者や、東京から転入してくる子育て家族が目立ち、つくば市は成長し続けています。このTXの延伸がどうなるかは、県内の市町村にとっては死活問題です。 実現の時期は2050年ごろと言われていますので、我が年代が見ることはかないませんが、高齢社会の中での公共交通という立ち位置を考えると、とても重要な問題です。日本の大都市やアジアの玄関口となるよう、茨城空港へのTX延伸を期待しています。つくば駅から石岡、茨城空港、水戸とつながることが、県全体の発展に大切だと思います。 私は淡路島に生まれました。神戸から船で島に渡る時代は、旅行も大ごとでしたが、明石大橋や大鳴門橋が出来たことで、大きく発展し続けています。今回の1泊2日の旅行でも、島の先にある大塚国際美術館(鳴門市)に、簡単に足を伸ばすことができました。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園長)

茨城空港とTXはいいね 《令和楽学ラボ》19

【コラム・川上美智子】新型コロナが少し落ち着きを見せた5~7月、茨城県内での3年間の巣ごもりを解禁し、茨城空港から福岡と淡路島に飛び立ちました。どちらも1泊2日の日程でしたが、十分に目的を果たすことができ、この空港の価値の高さを再認識しました。 若いころから海外旅行が大好きで、成田空港はよく利用してきましたが、お隣に行く気分でローカル空港を活用すると、行動範囲が一挙に拡大することを実感しました。茨城空港のもう一つの魅力は、駐車場が無料で、ドアtoドアで手軽に空港に行けることです。 発着するスカイマーク便は、札幌、神戸、福岡、那覇の国内主要都市と茨城を結び、幼い子どもでも高齢者でも、簡単に短時間で目的地に運んでくれます。また、遠方から容易に旅行客を招き入れることができます。そのためか、家族連れも多く搭乗し、飛行機は満席でした。 先週あたりから、新型コロナ感染症の第7波が猛威を奮いはじめ、次にいつ利用できるかはわかりませんが、人気でチケットの取得が難しいので、便数を増やしてもらえると助かります。 TX延伸は県にとって死活問題 ところで、つくば市と秋葉原を結ぶTXの延伸が大きな話題となっています。振り返ると、TXがつくば市にもたらしたものは想像以上に大きかったと思います。1970年代の筑波研究学園都市の建設、1985年の科学万博開催、2005年のTX開通により、つくばは大きく発展してきました。 建設期のころ、県の公共事業再評価委員を拝命していたことから、つくばの開発現場を視察する機会がありました。そのときは、どこまでも広がる大地や林を前にして、このような田舎に人が住むようになるのだろうかという印象でした。一緒に視察した委員たちも、この開発は大丈夫かなと心配していました。 TXの1番電車にも試乗しましたが、田んぼや畑の中をひた走るTXの車窓からは、建物らしいものはほとんど見えませんでした。 今、TX沿線は住宅ラッシュで、若い家族が増えています。また、私が園長をしている保育園では、東京通勤の保護者や、東京から転入してくる子育て家族が目立ち、つくば市は成長し続けています。このTXの延伸がどうなるかは、県内の市町村にとっては死活問題です。 実現の時期は2050年ごろと言われていますので、我が年代が見ることはかないませんが、高齢社会の中での公共交通という立ち位置を考えると、とても重要な問題です。日本の大都市やアジアの玄関口となるよう、茨城空港へのTX延伸を期待しています。つくば駅から石岡、茨城空港、水戸とつながることが、県全体の発展に大切だと思います。 私は淡路島に生まれました。神戸から船で島に渡る時代は、旅行も大ごとでしたが、明石大橋や大鳴門橋が出来たことで、大きく発展し続けています。今回の1泊2日の旅行でも、島の先にある大塚国際美術館(鳴門市)に、簡単に足を伸ばすことができました。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園長)

TX延伸論議に見る つくば市の狭い視野 《吾妻カガミ》136

【コラム・坂本栄】茨城県がTX県内延伸の4方向案(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)を示したことで、その線上・目標に位置する自治体が自分たちの所へと誘致に乗り出し、地元の政治家も加わって騒々しくなっています。しかし筑波山を抱えるつくば市は、TXの終始点であることに満足しているのか、特に動いておりません。 ポイントはどこで常磐線にクロスさせるか 茨城空港、水戸、土浦の各方向誘致については、「TX石岡延伸推進協議会」、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」、「TX土浦延伸を実現する会」が立ち上がりました。土浦の様子は記事「TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗」(6月12日掲載)をご覧ください。 茨城空港、水戸、土浦への延伸ラインはもちろん別々です。しかし、石岡、水戸、土浦の主張は「空港まで延ばせ」と言っている点では共通しています。水戸の場合、まず空港まで延ばし、さらに空港→水戸を要求していますが、石岡と土浦は「うちの市内で常磐線と交差させ、空港まで延ばせ」と言っているからです。 水戸が、空港→水戸は後回しにし、常磐線で交差する駅→水戸駅(TXの一部JR乗り入れ、残りは茨城空港直通)を受け入れれば、ポイントは「どこでJR常磐線にクロスさせるか(つくば駅と空港を直線で結ぶと高浜駅のちょっと北=石岡市内=で交差)」になります。 TX県内延伸=研究学園と茨城空港の連結 こういったことを考えると、メデイアでよく使われる「TX県内延伸」という言い方は「学園都市と茨城空港の連結」と言い換えるべきです。 10~20年先を展望すると、首都圏の2国際空港(羽田と成田)だけではビジネス・トラベル客をさばけなくなります。ロシアと中国の特異な行動によって、当分、国際ビジネス客の移動は抑制されるでしょうが、いずれ正常化します。訪日外国人旅行客は、コロナ前の何倍にもなるでしょう。そうなると、首都圏に国際空港がもう1つ必要になります。 第3空港として米軍横田基地の転用が検討されているものの、同基地は対中戦略の前線センターでもあり、民間空港化は難しいでしょう。そこで、①拡張が比較的容易な茨城空港の第3空港化、②空港へのアクセス鉄道としてTXの茨城空港延伸―をセットにして、国に実現を働きかけたらどうでしょうか。国家プロジェクトになれば、地元の負担は少なくて済みます。 TXが常磐線と交差して「茨城国際空港」につながると、つくば市は米国のボストン市に並ぶ学園都市になります。水戸、石岡、土浦の3市と組み、茨城空港延伸キャンペーンに参加すべきなのに、つくば市は「つくば止まり」で満足しているようです。TXを東京へのアクセス手段とだけ考えているようでは、視野が狭すぎます。(経済ジャーナリスト)

TX延伸論議に見る つくば市の狭い視野 《吾妻カガミ》136

【コラム・坂本栄】茨城県がTX県内延伸の4方向案(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)を示したことで、その線上・目標に位置する自治体が自分たちの所へと誘致に乗り出し、地元の政治家も加わって騒々しくなっています。しかし筑波山を抱えるつくば市は、TXの終始点であることに満足しているのか、特に動いておりません。 ポイントはどこで常磐線にクロスさせるか 茨城空港、水戸、土浦の各方向誘致については、「TX石岡延伸推進協議会」、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」、「TX土浦延伸を実現する会」が立ち上がりました。土浦の様子は記事「TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗」(6月12日掲載)をご覧ください。 茨城空港、水戸、土浦への延伸ラインはもちろん別々です。しかし、石岡、水戸、土浦の主張は「空港まで延ばせ」と言っている点では共通しています。水戸の場合、まず空港まで延ばし、さらに空港→水戸を要求していますが、石岡と土浦は「うちの市内で常磐線と交差させ、空港まで延ばせ」と言っているからです。 水戸が、空港→水戸は後回しにし、常磐線で交差する駅→水戸駅(TXの一部JR乗り入れ、残りは茨城空港直通)を受け入れれば、ポイントは「どこでJR常磐線にクロスさせるか(つくば駅と空港を直線で結ぶと高浜駅のちょっと北=石岡市内=で交差)」になります。 TX県内延伸=研究学園と茨城空港の連結 こういったことを考えると、メデイアでよく使われる「TX県内延伸」という言い方は「学園都市と茨城空港の連結」と言い換えるべきです。 10~20年先を展望すると、首都圏の2国際空港(羽田と成田)だけではビジネス・トラベル客をさばけなくなります。ロシアと中国の特異な行動によって、当分、国際ビジネス客の移動は抑制されるでしょうが、いずれ正常化します。訪日外国人旅行客は、コロナ前の何倍にもなるでしょう。そうなると、首都圏に国際空港がもう1つ必要になります。 第3空港として米軍横田基地の転用が検討されているものの、同基地は対中戦略の前線センターでもあり、民間空港化は難しいでしょう。そこで、①拡張が比較的容易な茨城空港の第3空港化、②空港へのアクセス鉄道としてTXの茨城空港延伸―をセットにして、国に実現を働きかけたらどうでしょうか。国家プロジェクトになれば、地元の負担は少なくて済みます。 TXが常磐線と交差して「茨城国際空港」につながると、つくば市は米国のボストン市に並ぶ学園都市になります。水戸、石岡、土浦の3市と組み、茨城空港延伸キャンペーンに参加すべきなのに、つくば市は「つくば止まり」で満足しているようです。TXを東京へのアクセス手段とだけ考えているようでは、視野が狭すぎます。(経済ジャーナリスト)

TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗

つくば市が始発・終点になっているTX(つくばエクスプレス)を土浦市まで延ばしてもらおう、と「TX土浦延伸を実現する会」(会長・安藤真理子土浦市長)の決起集会が12日午後、クラフトシビックホール土浦(市民会館)で開かれた。集会には、経済団体関係者、国会議員、県会議員、市会議員のほか、市民約600人が参加。土浦市内でのTX―常磐線接続の実現に向け、盛り上がった。 TXの県内延伸については、茨城県がすでに4案を示し、今年度中に1つに絞り込む方向で調査を開始している。2月に県が公表した延伸先案は、①筑波山(つくば市)、②水戸市、③茨城空港(小美玉市)、④土浦市―の4方向。 これを受け、延伸先への経路がかかる市や町の誘致運動が活発化、③を実現させたい石岡市は「TX石岡延伸推進協議会」を5月17日に立ち上げた。水戸市、かすみがうら市、小美玉市、茨城町も5月23日、②③の実現を目指し、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」(石岡市も重複参加)を立ち上げた。いずれも、土浦市の「実現する会」同様、市長・町長、地元経済関係者、国会議員、県会議員、市・町会議員が名を連ねている。 土浦の「実現する会」は、4月5日に幹事会が立ち上がり、4月12日と5月11日に実行委員会を開いてきたが、他の2団体の活動に負けまいと署名運動を繰り広げながら、12日の大集会にこぎつけた。 延伸経費:国が3分の1、残りは県と自治体 安藤市長はあいさつの中で「以前から『つくばでストップってどうして』と思っていた。県内の活性化のためにも、土浦延伸を実現させたい」「茨城空港に結ぶ形で地域活性化につながればよい」と述べ、土浦市内で常磐線に交差させ、茨城空港に延ばす構想を提案した。 国光文乃衆院議員(茨城6区・小選挙区)は「延伸には数千億円かかるだろう。そのうち国が全体の3分の1を負担する。残りは県と地元自治体が負担しなければならないが、(TXが通過している)東京都、埼玉県、千葉県にも負担してもらう」と延伸経費やその分担に踏み込んだ。 青山大和衆院議員(茨城6区・比例)は「常磐線は東京駅乗り入れで便利になった。まさにTX延伸も同じこと。今、TXの会社は8両化を進めているが、それが完了したら、次は県内延伸だ」とスケジュールに踏み込んだ。 「県都と学園都市がつながるメリットは大」 決起大会の前に、TXに関する著作もある塚本一也県会議員(つくば市区)が「つくばエクスプレス県内延伸の考え方」の演題で基調講演を行い、県内延伸の視点を提供した。 この中で、「何のために延伸するのか、茨城県のメリットは何か、土浦延伸で県にどう貢献できるか―考える必要がある」とし、国の支援を得るには「それによって茨城県が持つ財産を最大限生かす視点が必要だ」と述べ、具体的には茨城空港を挙げた。 また、延伸によって県都と学園都市がつながること、水戸が東京通勤圏に組み込まれることのメリットを強調。さらに、常磐線とTXが県内でつながれば、①どちらかに事故があった場合に振替輸送が可能になる、②相互乗り入れにより利用者の利便性がアップする―と述べた。(岩田大志)

TX県内延伸で何が実現するのか 《茨城鉄道物語》23

【コラム・塚本一也】前回のコラム「TX延伸ルート選びに必要な視点」(4月8日掲載)では、国家プロジェクトの行方に迷いが生じたときには「そもそも論」に立ち返ることが重要であると述べました。そこで今回は、延伸先選びの視点をいくつか示してみます。 茨城空港を「国際空港」にするには? 第1の「そもそも論」は、首都圏の羽田・成田国際空港はいずれ「満杯」になることが予想されるため、第3の国際空港として、茨城空港の機能をアップすることです。TXが茨城空港に伸びるだけでなく、羽田との直通運転が可能となれば、首都圏の様々な航空需要に応える能力を備えることになります。 国際化が格段に進むであろう10~20年先を見据え、また甚大な被害をもたらす大規模災害を想定したバックアップ機能として、TXを首都圏の重要交通インフラに位置付ける視点です。 アジアの大手LCC(格安航空)会社に茨城空港を使ってもらおうと、県がその社長を現地へ招いた際、「TXでも乗り入れてくれるなら就航させてもいいですよ」といった発言があったそうです。彼らは、TXの茨城空港乗り入れが実現すれば、使い勝手が悪い成田便を茨城便に切り替えるのではないでしょうか。 しかし、この構想に問題がないわけではありません。茨城空港は航空自衛隊の飛行場ですから、現状では滑走路使用に制限があり、成田並みの国際便受入は無理です。でも空港の周辺には平坦な土地が豊富にありますから、やる気になれば滑走路拡張は可能です。 もう一つの問題は、競争相手として米軍横田基地があることです。元都知事の故石原慎太郎氏は、横田基地の軍民共用構想(首都圏第3国際空港化)をぶち上げ、同基地への高速鉄道乗り入れを準備しました。しかし、共用交渉は進んでいません(茨城空港にチャンスがあります)。 水戸を「東京通勤圏」にするには? 第2の「そもそも論」は、北部延伸によって県内経済を活性化するために、水戸市とつくば市をTXでつなぐというインフラ整備構想です。その沿線が活性化するだけでなく、常磐線とのコラボレーションによって、水戸~東京が「1時間圏内」になるでしょう。水戸地域がごく普通の「東京通勤圏」に入るということです。 TX延伸先絞り込みは関心を呼んでいますが、当事者の1人、つくば市長は関心が薄いと聞きます。TX延伸が都市機能を拡大すること(第3の「そもそも論」)が分かっていないようです。つくば市内には「県立高校が少ない」という声がありますが、土浦方面に伸びれば、土浦市内の高校への通学が容易になり、教育圏が拡大します。 政治や行政を担当する者にとって、インフラ整備と財政運営は基本中の基本です。視野を広く持ち、鉄道や道路で他市とつながり、自らも発展するという構想が必要ではないでしょうか。私事によりこのコラムを少しの間休載します。再開の際には、またTXの話をしたいと思います。(一級建築士)

TX県内延伸で何が実現するのか 《茨城鉄道物語》23

【コラム・塚本一也】前回のコラム「TX延伸ルート選びに必要な視点」(4月8日掲載)では、国家プロジェクトの行方に迷いが生じたときには「そもそも論」に立ち返ることが重要であると述べました。そこで今回は、延伸先選びの視点をいくつか示してみます。 茨城空港を「国際空港」にするには? 第1の「そもそも論」は、首都圏の羽田・成田国際空港はいずれ「満杯」になることが予想されるため、第3の国際空港として、茨城空港の機能をアップすることです。TXが茨城空港に伸びるだけでなく、羽田との直通運転が可能となれば、首都圏の様々な航空需要に応える能力を備えることになります。 国際化が格段に進むであろう10~20年先を見据え、また甚大な被害をもたらす大規模災害を想定したバックアップ機能として、TXを首都圏の重要交通インフラに位置付ける視点です。 アジアの大手LCC(格安航空)会社に茨城空港を使ってもらおうと、県がその社長を現地へ招いた際、「TXでも乗り入れてくれるなら就航させてもいいですよ」といった発言があったそうです。彼らは、TXの茨城空港乗り入れが実現すれば、使い勝手が悪い成田便を茨城便に切り替えるのではないでしょうか。 しかし、この構想に問題がないわけではありません。茨城空港は航空自衛隊の飛行場ですから、現状では滑走路使用に制限があり、成田並みの国際便受入は無理です。でも空港の周辺には平坦な土地が豊富にありますから、やる気になれば滑走路拡張は可能です。 もう一つの問題は、競争相手として米軍横田基地があることです。元都知事の故石原慎太郎氏は、横田基地の軍民共用構想(首都圏第3国際空港化)をぶち上げ、同基地への高速鉄道乗り入れを準備しました。しかし、共用交渉は進んでいません(茨城空港にチャンスがあります)。 水戸を「東京通勤圏」にするには? 第2の「そもそも論」は、北部延伸によって県内経済を活性化するために、水戸市とつくば市をTXでつなぐというインフラ整備構想です。その沿線が活性化するだけでなく、常磐線とのコラボレーションによって、水戸~東京が「1時間圏内」になるでしょう。水戸地域がごく普通の「東京通勤圏」に入るということです。 TX延伸先絞り込みは関心を呼んでいますが、当事者の1人、つくば市長は関心が薄いと聞きます。TX延伸が都市機能を拡大すること(第3の「そもそも論」)が分かっていないようです。つくば市内には「県立高校が少ない」という声がありますが、土浦方面に伸びれば、土浦市内の高校への通学が容易になり、教育圏が拡大します。 政治や行政を担当する者にとって、インフラ整備と財政運営は基本中の基本です。視野を広く持ち、鉄道や道路で他市とつながり、自らも発展するという構想が必要ではないでしょうか。私事によりこのコラムを少しの間休載します。再開の際には、またTXの話をしたいと思います。(一級建築士)

TX延伸ルート選びに必要な視点 《茨城鉄道物語》22

【コラム・塚本一也】前回コラム(3月11日掲載)では、茨城県がTX県内延伸ルート調査費を今年度予算に計上したことを取り上げました。今回はその議論の進め方について、私が思うところを述べたいと思います。 県の総合計画では、現在つくば市止まりのTXの北部延伸について、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4方面が「点線」で記されています。これら4候補を1つに案に絞り込むことが、県調査の使命です。各案に「一長一短」があり、関係者の思惑も加わり、1方面に絞り込むことは容易でないと思います。 鉄道建設のような大プロジェクトは、計画時と完成時で社会情勢が変化するために、その存在意義や方向性にどうしても迷いが生じます。しかし、鉄道インフラの必要性は普遍的であり、世の中がいかに変わろうとも、「社会の役に立つ財産」という位置付けは変わりません。 本州と北海道を結ぶ青函トンネルは、洞爺丸転覆事故(1954年)のような悲劇を繰り返さないために、国民的な議論の末に着工されました。工事の困難さゆえに、途中で不要論も出ましたが、完成によって現在の北海道新幹線へとつながりました。 多目的ダム・八ッ場(やんば)ダム(群馬県)は、民主党政権時代にその必要性が大議論になりましたが、2019年に来襲した台風19号のときは、その貯水能力によって利根川下流域の氾濫を防ぎました。 東北新幹線は、計画時に対ソ連関係が緊張していたこともあり、鉄橋などは米軍・三沢基地に戦車を運べる強度に設計されたと聞いています。その能力が発揮されたのは東日本大震災の時でした。時速300キロで走る車両は脱線こそしましたが、死傷者を1人も出さずに済んだからです。 大型インフラには「そもそも論」が大事 鉄道のようなインフラの存在意義に迷いが生じたときには、原点に帰ってその必要性を検証する「そもそも論」が重要であると、私は思っています。では、そもそも、TXはなぜ必要だったのでしょうか? 答えは「常磐線の混雑緩和対策」です。 1960年代、国鉄(現JR)は首都・東京への通勤混雑緩和対策として、プロジェクト「5方面作戦」に取り組みました。その過程で考えられたのが「第2常磐線構想」です。それが「常磐新線構想」に変化し、現在のTXの形で実現しました。つまり、通勤対策が当初目的だったのです。 鉄道ではありませんが、「筑波研究学園都市」も東京の過密対策が本来の目的でした。高度成長で東京が過密になり、いろいろな弊害が表面化。その対策として、首都機能の一部を移転させようと、筑波山麓に人工的な都市を造り、国の研究機関や大学を移転させたのです。 つまり、研究学園都市もTXも、首都・東京機能の保全・向上のために計画されました。私はTXの将来構想(県内延伸はその一部)を議論するときには、こういった「そもそも論」が重要と考えています。具体的な「そもそも論」は次回にします。(一級建築士)

TX延伸ルート選びに必要な視点 《茨城鉄道物語》22

【コラム・塚本一也】前回コラム(3月11日掲載)では、茨城県がTX県内延伸ルート調査費を今年度予算に計上したことを取り上げました。今回はその議論の進め方について、私が思うところを述べたいと思います。 県の総合計画では、現在つくば市止まりのTXの北部延伸について、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4方面が「点線」で記されています。これら4候補を1つに案に絞り込むことが、県調査の使命です。各案に「一長一短」があり、関係者の思惑も加わり、1方面に絞り込むことは容易でないと思います。 鉄道建設のような大プロジェクトは、計画時と完成時で社会情勢が変化するために、その存在意義や方向性にどうしても迷いが生じます。しかし、鉄道インフラの必要性は普遍的であり、世の中がいかに変わろうとも、「社会の役に立つ財産」という位置付けは変わりません。 本州と北海道を結ぶ青函トンネルは、洞爺丸転覆事故(1954年)のような悲劇を繰り返さないために、国民的な議論の末に着工されました。工事の困難さゆえに、途中で不要論も出ましたが、完成によって現在の北海道新幹線へとつながりました。 多目的ダム・八ッ場(やんば)ダム(群馬県)は、民主党政権時代にその必要性が大議論になりましたが、2019年に来襲した台風19号のときは、その貯水能力によって利根川下流域の氾濫を防ぎました。 東北新幹線は、計画時に対ソ連関係が緊張していたこともあり、鉄橋などは米軍・三沢基地に戦車を運べる強度に設計されたと聞いています。その能力が発揮されたのは東日本大震災の時でした。時速300キロで走る車両は脱線こそしましたが、死傷者を1人も出さずに済んだからです。 大型インフラには「そもそも論」が大事 鉄道のようなインフラの存在意義に迷いが生じたときには、原点に帰ってその必要性を検証する「そもそも論」が重要であると、私は思っています。では、そもそも、TXはなぜ必要だったのでしょうか? 答えは「常磐線の混雑緩和対策」です。 1960年代、国鉄(現JR)は首都・東京への通勤混雑緩和対策として、プロジェクト「5方面作戦」に取り組みました。その過程で考えられたのが「第2常磐線構想」です。それが「常磐新線構想」に変化し、現在のTXの形で実現しました。つまり、通勤対策が当初目的だったのです。 鉄道ではありませんが、「筑波研究学園都市」も東京の過密対策が本来の目的でした。高度成長で東京が過密になり、いろいろな弊害が表面化。その対策として、首都機能の一部を移転させようと、筑波山麓に人工的な都市を造り、国の研究機関や大学を移転させたのです。 つまり、研究学園都市もTXも、首都・東京機能の保全・向上のために計画されました。私はTXの将来構想(県内延伸はその一部)を議論するときには、こういった「そもそも論」が重要と考えています。具体的な「そもそも論」は次回にします。(一級建築士)

TX延伸ルート 県が調査開始 《茨城鉄道物語》21

【コラム・塚本一也】2月10日付で「TX延伸、調査費1800万円」という見出しの新聞報道がありました。「ついに来たか」と思った方はたくさんいたのではないでしょうか。これまでの茨城県の総合計画には、TX延伸先として、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4案が書かれていました。これを一つに絞り込むため、2022年(令和4年)度予算に調査費を計上するという内容です。 私はこれまで、つくば駅が終点のTXを北部に延ばす必要性を訴え続け、自費で「つくばエクスプレス最強のまちづくり」(三省堂出版、2014年刊)という本まで出しました。県議という立場になってからも、あらゆる場面でその必要性を説いてきました。来年度、県が北部延伸に向け一歩踏み出すことになり、感慨無量です。そこで今回はこの問題について少しおさらいします。 本コラムでTX延伸について論じたのは、「つくばエクスプレス延伸論に思う」(2018年6月21日掲載)が最初です。TXの次のステップの議論には、南部(東京駅方向)延伸論と北部(つくば駅より先の県内)延伸論があります。両論は関係していますが、分けて考えた方がよいと思います。また県内延伸については、TXの原点である「第2常磐線構想」がなぜ必要だったのか―そこまで戻って考える必要があります。 つくば市が主導して地元をまとめよ 第2常磐線構想は「常磐線混雑緩和対策」として生まれました。それから社会情勢も変化しましたが、基幹鉄道=大型インフラの必要性は変わりません。常磐線のバイパス(迂回路)の役割が求められたTXは、その機能を満たすためにも、どこかで常磐線とクロスさせなければいけません。これがTX県内延伸の大前提です。 2005年のTX開通までの間に、栃木県や群馬県には新幹線が開通。在来線は湘南新宿ラインや上野東京ラインによって、東海道線との相互乗り入れになりました。全国的には、北海道や九州に新幹線が開業し、それぞれ次のステージに向かっています。山形新幹線はフル規格化を、北陸新幹線は新幹線ルート環状化を目指しています。 このような状況下、TX(秋葉原駅―つくば駅)開通から16年間をへて、茨城県はようやく次のステップに動き出しました。首都近郊の鉄道計画で大事なことは、準新幹線ともいうべきTXの機能を損なわないような線形を確保しつつ、東京への通勤可能な「1時間圏内」をどこまで広げられるかということです。 さらに重要なのは、TX延伸が県内のみならず、県外の沿線地域や国土開発に意味のある貢献ができることです。そういった広い視野と連携があってこそ、茨城県が孤立しないで延伸計画を進めることが可能になります。そのためには、TXの名前にもなっている、つくば市が主導して、関係地元の熱意をまとめ上げることが必要です。(一級建築士)

TX延伸ルート 県が調査開始 《茨城鉄道物語》21

【コラム・塚本一也】2月10日付で「TX延伸、調査費1800万円」という見出しの新聞報道がありました。「ついに来たか」と思った方はたくさんいたのではないでしょうか。これまでの茨城県の総合計画には、TX延伸先として、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4案が書かれていました。これを一つに絞り込むため、2022年(令和4年)度予算に調査費を計上するという内容です。 私はこれまで、つくば駅が終点のTXを北部に延ばす必要性を訴え続け、自費で「つくばエクスプレス最強のまちづくり」(三省堂出版、2014年刊)という本まで出しました。県議という立場になってからも、あらゆる場面でその必要性を説いてきました。来年度、県が北部延伸に向け一歩踏み出すことになり、感慨無量です。そこで今回はこの問題について少しおさらいします。 本コラムでTX延伸について論じたのは、「つくばエクスプレス延伸論に思う」(2018年6月21日掲載)が最初です。TXの次のステップの議論には、南部(東京駅方向)延伸論と北部(つくば駅より先の県内)延伸論があります。両論は関係していますが、分けて考えた方がよいと思います。また県内延伸については、TXの原点である「第2常磐線構想」がなぜ必要だったのか―そこまで戻って考える必要があります。 つくば市が主導して地元をまとめよ 第2常磐線構想は「常磐線混雑緩和対策」として生まれました。それから社会情勢も変化しましたが、基幹鉄道=大型インフラの必要性は変わりません。常磐線のバイパス(迂回路)の役割が求められたTXは、その機能を満たすためにも、どこかで常磐線とクロスさせなければいけません。これがTX県内延伸の大前提です。 2005年のTX開通までの間に、栃木県や群馬県には新幹線が開通。在来線は湘南新宿ラインや上野東京ラインによって、東海道線との相互乗り入れになりました。全国的には、北海道や九州に新幹線が開業し、それぞれ次のステージに向かっています。山形新幹線はフル規格化を、北陸新幹線は新幹線ルート環状化を目指しています。 このような状況下、TX(秋葉原駅―つくば駅)開通から16年間をへて、茨城県はようやく次のステップに動き出しました。首都近郊の鉄道計画で大事なことは、準新幹線ともいうべきTXの機能を損なわないような線形を確保しつつ、東京への通勤可能な「1時間圏内」をどこまで広げられるかということです。 さらに重要なのは、TX延伸が県内のみならず、県外の沿線地域や国土開発に意味のある貢献ができることです。そういった広い視野と連携があってこそ、茨城県が孤立しないで延伸計画を進めることが可能になります。そのためには、TXの名前にもなっている、つくば市が主導して、関係地元の熱意をまとめ上げることが必要です。(一級建築士)

TX延伸に調査費1800万円 茨城県、22年度内に方向づけ

茨城県は2022年度当初予算案に、つくばエクスプレス(TX)の県内延伸の検討を初めて盛り込み、調査事業費1800万円を計上した。22年度内に、現在延伸ルートとして挙がっている①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案=図参照、茨城県提供=の中から1本に絞り込む。 4ルートは18年に発表された県政運営の指針、県総合計画(18~21年)の「2050年頃の茨城の姿」の中で示された。県を取り巻く環境の変化や発展可能性などを踏まえ、道路や鉄道、港湾、空港などの公共インフラ基盤の将来像を記す中で、県内のTX延伸ルートの構想として4つを示したものだ。 20年の第4回定例会で「基本調査を実施する状況にはない」と発言した大井川知事だが、今回の調査開始について予算発表後の記者会見で「TX沿線、つくばを中心として県南の経済圏、あるいは社会生活圏、これと常磐線沿線、特に県央から県北に向けた生活圏や経済圏を結びつけるためには非常に重要なプロジェクト」とし、どういう形でTXを延伸させるかという議論をするための調査を「このタイミングですべき時」との見解を示した。 4方面ごとに事業費や需要予測 調査は5月から12月に4方面ごとの延伸に必要な事業費、延伸後の事業予測や路線需要予測、費用対効果等を比較整理し、鉄道専門のコンサルタントなど民間の調査機関への委託を含め進める。調査結果に基づき12月から23年2月に、学識者、経済界、県議会、市町村、鉄道事業者らで構成した第三者委員会が絞り込みに向け検討。2月にはパブリックコメントを実施し、3月に決定する。 つくばエクスプレスは起点の秋葉原駅側でも、東京駅まで延伸する計画がある。さらに、臨海地下鉄へ乗り入れて、銀座から晴海を経て国際展示場まで直通運転する構想もある。2016年の国土交通省交通政策審議会答申に「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として盛り込まれた。東京駅までの延伸開業に時期的な見通しはついていない。 TXのみならず、JR常磐線や地域の鉄道計画のネックとなっている地磁気観測所(石岡市柿岡)の移転の可否が再度クローズアップされそうだが、今回の調査検討の対象にはなっていない。35キロ圏内では直流電源が使用できないことから、県内延伸ばかりでなく、地下鉄線の乗り入れにもかかわってくる。25日開会の県議会で、議論の的になりそうだ。(花島実枝子)

TX茨城空港延伸へ調査着手を 7市議会期成同盟会が再要望

つくば、土浦市など7市議会で組織する「TX(つくばエクスプレス)茨城空港延伸議会期成同盟会」(会長・笹目雄一小美玉市議会議長)はこのほど、水戸市の県庁を訪れ、大井川和彦知事と常井洋治県議会議長に「TX茨城空港延伸に関する要望書」を提出し、実現を強く訴えた。 期成同盟会はつくば、土浦市議会のほか、小美玉、石岡、かすみがうら、行方、鉾田市議会で構成する。設立されたのは2018年5月で、以来、総会開催に併せ、要望活動を展開している。 設立直後の18年11月に策定された県総合計画「新しい茨城への挑戦」では2050年頃の将来像が描かれ、構想図ではTXの延伸ルートの一つに「茨城空港ルート」が含まれている。 同盟会要望運動の根拠もこの一点にあり、「ー終息が見えないコロナ禍による地域経済の低迷を回復させるには(TX延伸は)必要不可欠」と強調。大井川知事と常井議長に▽県総合計画に基づくTXの延伸について、茨城空港への延伸を強く要望する▽県が主体となって、国、関係機関連携による基本調査・研究の早期着手をーと訴えた。 TX延伸問題は県議会でも議論を呼んでいるものの、大井川知事は財源ねん出が難しいと釈明しており、前に進む策を見出せないのが実情だ。(山崎実)

救援用トロッコが車いす運ぶ TX異常時総合訓練を実施

つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区)は21日、つくばみらい市筒戸の同社総合基地でTX異常時総合訓練を行った。同社社員やつくば市消防本部、常総広域消防本部など、関係機関の職員たち約180人が参加した。総合訓練の実施は今年を含め計13回目。 訓練は、同日午後1時21分ごろ、TX秋葉原駅発つくば駅行きの下り区間快速列車がATO(自動列車運転装置)で運転中、軌道に隣接する道路で交通事故が起き、トラックから鉄骨が軌道内に落下して架線と線路を損傷した、快速列車は非常ブレーキをかけたものの、線路内に落ちた鉄骨に衝突し列車は脱線、車いす利用者を含め複数の乗客に負傷者が出たーとの想定で行われた。 訓練では、乗務員や列車に乗り合わせた同社の社員たちが、乗客や自力で歩ける軽傷者を非常用ドアから軌道敷に下ろして、避難を誘導した。列車内にいる外国人乗客に対しては、避難を呼び掛ける日本語を英語などの外国語に翻訳する「多言語メガホン」を使って誘導した。事故現場に駆け付けた消防隊員たちが負傷者や重傷者を救出し、車いす利用客は車輪をレールに合わせた専用トロッコ「救援用搬送トロ」に乗せて運んだ。 救助活動が終了した後も、社員たちが鉄骨の撤去や切れた架線の修理、脱線した車両を線路に元通りに戻す復旧作業に取り組んだ。事故発生から約2時間で、列車は運転を再開した。 同社の中山登介安全総括部長(63)は「(異常時総合訓練の)『総合』という言葉が極めて重要」と述べた上で、社内の複数の部署や消防・警察など関係機関が連携して事故対応に当たる重要性を説明した。 TXは、列車乗務員が運転手1人のワンマン運転のため、「お客様が乗っているから乗務員がパニックになってはいけない。冷静な対応が必要」(中山部長)と改めて訓練の必要性を説いた。(崎山勝功)

乗車人員3割減 2020年度のTX 開業以来最大の赤字に

つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、柚木浩一社長)はこのほど2020年度営業実績を発表した。1日当たりの平均乗車人員はコロナ禍の影響で、19年度に比べ29.8%減(約11万8000人減)の約27万8000人と厳しい状況となった。 乗車人員の減少に伴い、営業収益は同比33.1%減の313億1600万円と大幅減となった。一方、営業費は動力・水道光熱費や税金が減少したが、前期に取得した工程試算の減価償却費が通年化したことなどから微増(0.0%増)となり、371億6700万円となった。 この結果、営業損失は58億5100万円(19年度は96億5300万円の利益)、経常損失は79億100万円(同76億6800万円の利益)となり、当期純損失は79億6400万円(同60億600万円の利益)となった。 営業損失は07年度以来13年ぶり。経常損失、当期純損失は08年度以来12年ぶりとなり、いずれも開業以来、最大の損失となった。 同社は、21年度は感染状況の先行きが不透明で、働き方や生活スタイルに変化が生じており、今後の事業環境を見通すことができない中、安全運転を徹底し、輸送動向の変化に対応したサービスの検討や経営基盤の強化に取り組んでいくとしている。 車両を大規模更新へ 3カ年の中期経営計画 合わせて21年度から23年度まで3カ年の中期経営計画を発表した。コロナ禍により大変厳しい状況にあるが、手を緩めず保守や投資を実施していくとし、車両の大規模更新に着手するほか、水害対策など防災対策を強化、駅ナカ・高架下の利活用促進など、3年間で170億円の設備投資を実施するとした。 今後3カ年の事業環境として、テレワークの定着など働き方の変化し出勤回数が減少する、沿線開発は徐々に成熟期を迎え人口の伸びが鈍化するとし、23年度の1日平均乗車人員は33~37万人と、コロナ前の19年度と比べ6~16%減少すると予測した。乗車人員減に伴い、23年度の経常損益は0~40億円の黒字を見込み、20年度の79億円の赤字から回復するものの、19年度の77億円の黒字には及ばないとしている。 3カ年の具体的な取り組みとしては、開業15年が経過し施設の劣化が進行しているため、車両の大規模更新のほか、電力管理システムの更新、列車無線、ITVシステムなど通信設備の更新、保守用車両進入路の新設・活用など進める。 防災対策としては、早期地震警報システムの更新、水害対策としてTX版タイムラインの整備、落雷被害対策の実施、光警報装置の追加など駅の災害設備の更新、運輸防災マネジメント指針への対応などを推進する。 バリアフリー対策としては、ホームのすき間対策、サービス介助士の養成などを推進する。 さらに8両編成化を推進するため、ホーム延伸工事の継続的に実施し、駅周辺環境の変化に対応した施工方法などの再検討や、長期的な混雑率の見通しを見極めた対応を推進する。 ほかに、駅に個室型ワークブース設置拡大やシェアオフィス設置の検討、TXアベニュー守谷の全面リニューアル(23年度予定)などを進めるとしている。(鈴木宏子)

TX延伸の障害 地磁気観測所の移転はなるか?《茨城鉄道物語》12

【コラム・塚本一也】6月4日の茨城県議会において、大井川和彦知事は私の一般質問に答える形で、石岡市柿岡にある地磁気観測所について、県として国に対し移転と補償を求めていく考えを表明しました。これは数十年ぶりに復活した中央要望であり、県南・県西地区の今後の開発計画を進める上で、画期的で重要な発言といえます。 地磁気観測所とはどのような施設なのか、簡単に説明しておきます。気象庁・地磁気観測所は旧柿岡町に位置しており、地球の磁気を継続的に定点観測し、研究機関や磁気図作成などにデータを提供しています。1912年、東京・赤坂から柿岡へ移転、それから100年以上が経ちました。 観測する地磁気には短周期と長周期がありますが、電車が走る際の直流電流が磁場を荒らしてノイズを発生させるため、観測所から半径35キロ以内は直流電源を使用してはならないと、法律で定められています。そのため、JR常磐線やTX(つくばエクスプレス)は、経済的負担の大きい交流電源を使用しなければならず、長い間、地域の鉄道計画の足かせとなっていました。 観測所が東京から移転したのも、都電荒川線を走らせるに当たって、赤坂では観測に支障があるため、「将来的に都市化とは無縁の場所」として柿岡が選ばれたそうです。気象庁は継続的なデータ観測の有用性を主張して、これまで移転を拒否していましたが、直流の影響を受けやすい短周期観測についてはデータ補正が技術的に可能となったため、移転に柔軟な姿勢を示すようになりました。 しかし、移転費用を茨城県に求めており、一時期盛り上がった移転要求もとん挫しているのが現状です。 大井川知事とスクラム組めた 東京の交通の利便性を高めるために、そのしわ寄せが茨城県に来ること自体理不尽な話であり、さらに移転費用負担まで求めるのは全く筋が違う話です。国の施策でマイナス施設を受け入れる際は、地域振興というインセンティブがありますが、茨城県は100年間、その恩恵に何もあずかっておらず、国に対して補償を求めるべき立場にあると思います。 こういった私の考えに対して、大井川知事から同意見という答弁を得ており、個人的には県とよいスクラムが組めたと充実感を覚えています。 今後、TXの東京延伸、都心での相互乗り入れ、あるいは県内延伸や地下鉄8号線の誘致などの際に、この問題が必ず再燃すると思われます。茨城県の将来を見据え、今のうちから解決に向けて取り組んでいくべきでしょう。(一級建築士、県会議員)

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