月曜日, 4月 6, 2026

牛久入管問題について意見交換 市民団体が年間活動報告 土浦

法務省出入国在留管理庁 東日本入国管理センター(牛久市久野町、牛久入管)に収容されている外国人の処遇改善に取り組む市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」(つくば市、田中喜美子代表)の年間活動報告会が1日、土浦市大和町の県県南生涯学習センターで開かれ、入管問題について意見交換した。市民や外国人ら約100人が参加した。 集会では考える会が、牛久入管の2024年の被収容者数は、年間で約50人前後ではないかと報告した。2020年のコロナ禍以前は年間で約300人前後だったことから、被収容者数は6分の1にまで減少している。 一方、被収容者は一時的に牛久入管から仮放免され一時的に収容を解除されたものの基本的に「就労禁止」の条件が課せられ、生活費に困窮しているのが実情だという。国民健康保険に加入できないため、仮放免中の外国人が病気やけがで医療が必要になった場合には、高額の医療費負担がかかりさらに生活に困窮する事例があるとの報告があった。 また考える会の会員から、昨年末から今年にかけて、成田空港で入国拒否された外国人難民申請者が牛久入管に収容された事例の紹介があった。報告によると、西アフリカや中部アフリカ諸国から正規のパスポートと正規の短期滞在ビザを持って来日した外国人難民申請者が、成田空港で入国を拒否されたが帰国を拒否したために成田の入管施設に収容。収容後に難民申請をしたが、1カ月足らずで却下されると同時に退去強制令書が発布されて牛久入管に移送されたという。 この件を受けて、伊藤しのぶ弁護士は「空港での当番弁護士制度ができればと思う」と述べ、難民申請者への空港での法的保護の必要性を訴えた。 報告会では入管問題に取り組む駒井知会弁護士が「在日外国人の弁護活動を通して入管法と入管体制を考える」と題して記念講演し、今年6月10日施行された改正入管法について問題点を指摘した。「3回目以降の難民申請者に対して強制送還も可能」とした改正点に対しては「(迫害の危険に直面している人を保護する国際法上の原則である)ノン・ルフールマン原則=メモ1=違反の送還を防ぐためにも訴訟をやっていかないといけない」との姿勢を示した。 また新しく導入された、監理人による監理の下で、収容しないで退去強制手続きを進める「監理措置制度」=メモ2=については「弁護士の守秘義務と入管当局への報告義務との相反がある」と制度自体を厳しく批判した。 同会の田中代表は「今は嵐の前の静けさ。来年は大変な事になりそう」と述べ、改正入管法による悪影響が来年以降本格化することを懸念した。(崎山勝功) 【メモ1】ノン・ルフールマン原則 難民など生命や自由が脅かされかねない人々が、入国を拒否されたり、迫害を受ける国や場所への追放や送還を禁止する国際法上の原則。1951年の難民条約と1967年の議定書で成文化され、日本では難民条約を批准した1982年から発効された。【メモ2】監理措置制度 監理人が仮放免中の外国人の生活の面倒を無報酬でみる傍ら、「就労をしていないか」「逃亡の恐れがないか」などを監視し、入管当局に報告する制度。通報を怠った場合は罰金刑などが課される。

お遊びに終わった市長退職金投票《吾妻カガミ》197

【コラム・坂本栄】五十嵐つくば市長2期目の退職金をネット投票で決めるというイベントが終わった。各種メディアでも取り上げられ、多くの市民が市長採点に参加するのではと思っていたが、投票したのは1000人強にとどまった。このユニークな試み、お遊びの域を出なかったようだ。 市民受けを狙った仕組み 投票の仕組みは記事「…市民評価で金額決定へ…」(8月26日掲載)に出ている。議会の受け取りは同「可否同数、議長裁決で可決…」(10月4日掲載)、投票の結果は同「ネット投票の評価は62.7点…」(11月12日掲載)を読んでほしい。 私はコラム191「…退職金問題の研究」(9月16日掲載)で、「採点に参加できるのはマイナンバーカード取得を済ませた15歳以上の市民に限られ、しかも市が用意したスマホ上の参入アプリを使いこなせる人だけが対象になる」「マイナンバー嫌いとネット弱者は市長採点に参加できないから、この仕組みの公平性には疑問符が付く」と指摘した。 そして、どうしても市民投票で退職金を決めてもらいたいのであれば、「無作為に抽出した市民3000人ぐらいから何点付けるかを聞き、その平均点を出して決めるべきであろう」と、非ネット・非マイナンバー方式を提案。さらに、4年前の退職金辞退も今回のネット投票も「選挙での受けを狙ったポピュリズム(大衆迎合)の手法だ」と書いた。 市長落第をギリギリ回避 トップの写真でも分かるように、投票者は1048人だけ。15歳以上の投票資格者は21万8721人だったそうだから、0.48%の有資格市民しか投票しなかったことになる。私が提案した無作為抽出3000人規模の3分の1、しかも投票動員など結果操作が可能なこの方法では、62.7点という評価そのものにも疑問符が付く。 笑ってしまったのは、10点刻みの投票者数分布だ。0点=119人、10点=52人、20点=27人、30点=41人、40点=24人、50点=90人、60点=82人、70点=133人、80点=160人、90点=101人、100点=219人。0点と100点に塊(かた)まっている。 五十嵐市長は2期目最後の会見で、投票結果の62.7点が市長選の得票率53%よりも10ポイント高かったことを強調した。有効投票率に占める自票の割合と市長の業績に対する評価点を比較すること自体、ピントがずれている。大学時代の評価方法(優:100~80点、良:79~70点、可:69~60点、不可:59~0点)を思い浮かべ、不可(落第)をギリギリ回避できたのがうれしかったのだろう。 市論操作に使えるツール 五十嵐市長は、多額の予算を投じてマイナンバーとネットを活用する投票システムを構築した。元々、市長選挙で使いたかったようだが、選挙を管轄する総務省に反対され、自分の退職金決定に流用した。上で指摘したように、投票機会の公平性に問題があるようなこのシステムでは、総務省が導入を危惧したのもよく分かる。 問題は、市の施策に対する市民の受け止め方を調べるツールとしても使おうとしていることだ。機会の公平性や回答者の姿勢に疑問符が付くようなシステムで市論を操作し、入手したデータを市政運営の理屈付けに使いたいのかも知れない。(経済ジャーナリスト)

サンガイア ホームで東京Vに連勝

バレーボールVリーグ男子のつくばユナイテッドSunGAIA(略称サンガイア、本拠地つくば市)は11月30日と12月1日、つくば市流星台の桜総合体育館で東京ヴェルディ(本拠地 東京都稲城市)との2連戦を戦い、両日とも3-0のストレート勝ちを収めた。これでサンガイアは5勝3敗で東地区4位。次節は7・8日、桜総合体育館でレーヴィス栃木(本拠地栃木県)と対戦する。 2024-25 Vリーグ男子(東地区)レギュラーシーズン(12月1日、桜総合体育館)サンガイア 3-0 東京V25-1125-1725-18 サンガイアは10月26・27日の開幕節では3-2、3-1と苦しみながら勝った相手に、今節は2試合とも3-0の完勝。「少しずつチームとしてまとまり、仕上がってきた。2日間で違うメンバーを出して勝てたことも収穫」と加藤俊介コーチ。 セッターでは新人の森居史和が初のスタメン。正セッターの于垚辰は筑波大女子バレーボール部のコーチも務めているため今節はチームを離れ、全日本女子インカレに帯同、筑波大の大会2連覇に貢献した。 森居は昨年は順天堂大の正セッターとして活躍、だがインカレ決勝では体調不良のため試合に出られず、チームも準優勝に終わった。「去年からちょうど1年ぶりの運命の日の復帰戦。燃えるような気持ちで臨んだ。立ち上がりはボールがうまく手に収まらないなど試合勘に不安があったが、周りのスパイカーがカバーしてくれてトスを上げやすかった」とこの日の感想。「持ち味である強気のトス回しを生かし、いつもとテンポの違う攻撃をしてくれた」と加藤コーチ。 「森居が初スタメンなので、後押しできるよう頑張った。気持ちが乗っていた」と話すのは梅本鈴太郎。第1セット半ばには強烈なドライブサーブで3本のサービスエースを奪い、チームの9連続得点に貢献。他のプレーも好調だったという。 サンガイアは梅本だけでなく、鎌田敏弥や川村駿介らも強烈なサーブやスパイクで得点を重ねた。「ミスをせず攻めるサーブを選手たちに求め、見事1週間で修正してくれた。サーブが機能するとブロックも絞りやすくなり、いい形で守備から攻撃に移れる」と加藤コーチ。東京Vも途中から強いサーブで対抗し、バックアタックも多用して追いすがるが、精度の差がそのままスコアに表れた。 架谷也斗主将は「選手一人一人の努力の結果。全員がやるべきことをやれれば勝つ自信はあった」と話し、次節のレーヴィス栃木戦については「プレシーズンマッチで敗れた相手。チャレンジャーの気持ちで向かっていく」と答えた。(池田充雄)

「キター!」 アイデアを広げて形にするための授業実施 土浦三高

企業製品のデザインを手掛け、多数の特許を出願するなど独自のアイデアを形にするプロダクトデザイナーで、ベンチャー企業「発想法」(東京都港区)代表の黄慶浩さん(33)による、発想力を磨く授業「チート級の発想法体験会」が25日と28日、県立土浦三高(土浦市大岩田)で開かれた。黄さんは「新しいアイデアを生み出すには、ごみくずだと思うようなものも含めて、とにかくたくさんアイデアを出すことが大事」だと語る。 受講したのは同校普通科の1年生約120人。生徒が自ら問題意識を持ち、設定した課題や問いの解決に向けて取り組む「探究」の授業の一環だ。 この日使用したのは、黄さんが開発したA4サイズに近い用紙に横3つ、縦5つのマスが並ぶ「マスオ」という製品だ。蛇腹状に複数のページが繋がっていて、思いついたアイデアをマスに書き入れていく。生徒にはそれぞれ16ページ分が配られた。マスの大きさは、縦が約6センチ、横が約7センチ。正方形型の付箋の大きさに近い。 授業では、2035年の未来世界を想像し、黄さんが用意した課題をもとに、生徒がそれぞれ具体的な社会的な課題解決の形を考えていく。初めから一つの答えを出そうとするのではなく、思いついたことをマス目にどんどん書き連ねる。連鎖的に思考を膨らませていく中で生まれるアイデアをつかみ取るのが狙いだ。書き出すのは文章にこだわらず、単語やイラストなどなんでもいい。書き出す『量』が大事だと黄さんはいう。ページをめくらなければいけないノートでは見えにくい思考の広がりを、蛇腹にすることでいつでも一覧することができるし、離れたところにあるイメージを矢印や線で繋ぎ合わせることもできる。頭に浮かぶアイデアを付箋に書き出すと、一度に全部を見るには張り出すスペースが必要になる。黄さんが製品開発を仕事にする中で、より自由な発想を手助けするために生まれたのが「マスオ」だった。 AIが出せないオリジナルのアイデアを 「現在は、AI技術の発達により、AIが出せないようなオリジナルの発想が高校生にも求められている」と黄さん。「いきなり大きな答えを出さなくてもいい。考えるハードルを下げてもらいたい。思いもよらないアイデアが浮かんだ瞬間に感じる、『キター!』『うわー!』という喜びがある。若い人たちにもそんな、アイデアを出すこと、ものを作ることへの喜びを感じてほしい。自分が手掛けたもので人が喜んでもらえることも、自分にとっての喜びややりがい」 授業に参加した大海瑞希さん(15)は「自分でも思ってもみないアイデアが出てきた。またやってみたい」と言い、ラハマン・サミハさん(16)は「流れるようにアイデアが浮かんできたのが楽しかった」と笑顔を浮かべた。大山雄琉さん(15)は「初めは2、3個しかアイデアが浮かばなかったが、取り組んでいるうちに一つのアイデアから次のアイデアへとどんどん派生していき『ゾーン』に入ったような感覚になった。今回の経験を自分なりの勉強法につなげていきたい」と思いを語った。 土浦三高ではこれまで探究の授業の中で、土浦の魅力をアピールするために市内の商店を結ぶスタンプラリーを開くなど、設定した課題に対して、生徒自身が解決につながるアイデアを形にしてきた。学年主任の市川真人教諭は「自分の考えを『見える化』しながら思考が進んでいくのを実感できる。自分もやってみて楽しさを感じた。探求の授業は2年生になると、それぞれがテーマを決めて1年かけて取り組んでいくことになり、発想が大事になる。テーマを決めかねている人が多いので、その助けになれば」と語る。(柴田大輔)

つくば駅前の複合施設、開業は来春に 大和ハウス工業

大和ハウス工業(本社・大阪市)がTX(つくばエクスプレス)つくば駅前に建設している複合施設(同市吾妻2丁目)の開業が2025年4月になる。昨年6月の起工時には今年秋の開業を予定していたが(23年5月30日付)、工事の都合により半年遅れ、オープンは来年春に延びる。 地下駅のTXつくば駅上の敷地(7639 平方メートル)に建設している施設は、5階建て商業ビル(延床面積1万188平方メートル)、4階建て同社新茨城支店ビル(同 3337平方メートル)、5階建て立体駐車場(363台分)の3施設から成る。場所は学園中央通りと市立吾妻小学校の間に位置し、TX 終点・始発駅前の超一等地。 建物は先進の耐震性能を備え、環境性能を総合的に評価する指標「CASBEE(キャスビー)」でAランクを取得。3~5階のオフィス部分は一次エネルギー消費量を大幅に削減できる設計という。 店舗区画は半分が契約・申込済み 中央通り側の商業ビルはほぼ完成、現在内装工事が進んでいる。1~2 階の店舗ゾーン(賃料は1坪=3.3 平方メートル=共益費込み2万1千円)には、飲食店、学習塾、保育園、クリニックなどが入る。3~5 階の事務所ゾーン(同2 万円)には、100 平方メートル程度の小区画と700 平方メートル程度の大区画が用意されている。 事務所区画にはテラスが付き、入居予定テナントから好評という。建物の壁面に凹凸があり、先進都市・つくば市のイメージに合ったものとなっている。現時点で、店舗区画は約50%、事務所区画は約55%が契約・申込済みという。 商業ビル2階とつくば地下駅はエレベーターで結ばれ、地下から同ビルに傘を差さないで移動できる。また、商業ビルとトナリエクレオ(元西武百貨店)・キュート商業ゾーンは中央通りに架かる陸橋でつながっており、つくば駅周辺の回遊性が一段と高まる。 つくば市内の事業を拡大 大和ハウスグループは、戸建てやマンションなどの住宅、ショッピングセンターやビジネス ホテルなどの商業施設、工場や物流施設などの事業施設を手掛けている。つくば市内では、 研究学園駅前のショッピングモール「イーアスつくば」を運営するなど存在感が大きい。 つくば駅周辺では、商業ビル「BiVi」や「ダイワロイネットホテルつくば」を運営している。また、研究学園駅南側の日本自動車研究所の未利用地(約16ヘクタール)を1年前に取得、分譲マンション、商業施設、研究施設、産業施設などを建設するほか、中高一貫校の茗渓学園(つくば市稲荷前)を誘致する開発計画を進めている(23年10月20日付)。 ◆店舗・事務所の問い合わせ先は大和ハウス工業 茨城支店 流通店舗営業所の鏑木さん、西下さん(電話029-852-6170)へ。

女人講中《写真だいすき》34

【コラム・オダギ秀】田舎道を行くと、辻に、慈母観音さまの石像がひっそりとおわした。「女人講中(にょにんこうじゅう)」と刻銘してあるから、付近の土地の女性たちが願いを込めて祀(まつ)ったのだろう。江戸時代か明治期か。その昔は、生まれた子が乳幼児のまま亡くなることも多かったし、母体が無事お産をできず死ぬことも少なくなかった。 当時の講とは、いわば無尽講が多かった。と言っても今の人々には分からないだろうが、庶民が決して富裕ではなかった時代、人々は、なけなしの金を講というグループに出資し、抽選など講のきまりに従って全員が出資した金を順次使用できるという、共済組合のようなものであった。 当時の嫁たちは、自分が自由になるものなど持ってはいなかったが、その家がまとまった金を手にしてこられるかもしれないという名目があったから、月に一度とか講の集まりには出席できて、そこで食事などできることが、たまらない楽しみであった。そこでは自分の女としての延命を願い、我が子の健やかな成長を祈願することは、当然のことなのだった。その女性の集まりが女人講中だった。 だから、道沿いの小さな慈母観音さまには、その思いが、限りなく込められているのだった。ボクは雑草をかき分けると合掌し、写真を撮った。 思いや願いを込めた野の石仏 野の石仏には、たくさんの思いや願いが込められていることが多い。多くは仏師の手になるものではなく、近所の石工が、見よう見まね、寺のご住職などに教えられて彫ったものだ。だから、バリエーションも多く、本来の仏像制作からすると誤った像影もある。だが、それでいいじゃないか、とボクは思う。そのような像で多いのは、誰かにいかにも似ているらしい像だ。 たぶん石工さんは、亡くなった子とか像に関わる誰かを知っていて、本人に似せたかったのだろう。野仏には、そのように感じる像が多い。むしろ、それだからこそ、ほほえましい。 田畑の横や隅の藪などに、地蔵さまなどが祀られていることも多い。田畑を作っていた農作業する人々は自分たちの働く姿の見えるところに、あるいは働きながら見守れるところに自分たちの子を置き、働いていたのではなかったか。子が健やかに育つことが難しかった時代には、亡くなることも多かったろう。 それで、子を置いたその場所あたりに子どもを護ると言われる地蔵さまを祀ったのではなかろうか。同じような思いが、女人講中慈母観音さまの石像にも込められているように思う。(写真家、日本写真家協会会員、土浦写真家協会会長)

再認定に向け現地調査 筑波山地域ジオパーク

来年1月、日本ジオパーク委員会が審査 筑波山や霞ケ浦、関東平野などを含む「筑波山地域ジオパーク」で、地質遺産など大地の遺産を保全し活用する取り組みが質・量ともに充実しているかなどについて審査する、4年に一度の再認定審査が今年行われている。審査の一環で28日から日本ジオパーク委員会の調査員2人が筑波山地域を訪れ、30日まで現地視察や関係者へのヒヤリングなどを実施している。合格しないとジオパークの認定が取り消される厳しい審査だ。審査結果は来年1月27日に出される。 28日、日本ジオパーク委員会委員で群馬県立自然史博物館学芸員の菅原久誠さんと、島原半島ユネスコ世界ジオパーク専門員の森本拓さんの2人が現地調査に訪れた。2人は同日、筑波山地域ジオパークを運営する同推進協議会(つくばなど6市の行政、市民、民間団体、専門家らで構成)のジオガイドらの案内で、つくば市平沢の奈良・平安時代の役所跡「平沢官衙遺跡」や周辺の古墳などのほか、同ジオパークの中核拠点として旧筑波東中学校校舎に昨年11月オープンした「つくばジオミュージアム」などを視察した。29日は桜川市内を現地視察、30日は書類審査などを実施する予定だ。 平沢官衙遺跡では28日、同遺跡歴史ひろばを管理し団体客を案内したりイベントを開催するなどしているNPO平沢歴史文化財フォーラムの結束芳彦理事長(71)が、日本ジオパーク委員会の調査員らに同官衙遺跡が保存されるに至った経緯を説明した。「県営住宅をつくる計画があり、遺跡が出たので、県営住宅をつくるか、遺跡公園をつくるか論争があった」とし「国指定史跡となり、今は我々地元民が管理している。年間4~5万人が来て、勉強したり、くつろいだり、散歩をしている。我々も(遺跡として残ったことを)誇りに思っている」などと話した。調査員2人からは「修学旅行も来られますか」「自ら管理しようというのは集落の中から沸き起こったのですか」などの質問が出た。 結束さんは「再認定を受けるため(推進協議会の関係者が)頑張っているので、我々も地元民が誇りに思っていることや、学校教育にも資しているということを話した」などと語った。 8つの課題を指摘 筑波山地域ジオパークは2016年にジオパークとして認定された。その後2021年2月に再認定され、今回は2回目の再認定審査となる。審査のポイントは、前回4年前の審査の際に日本ジオパーク委員会から指摘された事項に対応できているかだ。 4年前の指摘事項は①ジオサイトの定義見直しに伴うサイトの見直し➁学校教育との連携③多様なジオツーリズムの在り方の検討④効率的かつ効果的な事務局運営体制の検討⑤適正な予算の検討⑥拠点施設・学習施設の連携⑦相互連携の推進及びパートナーシップの強化⑧看板や展示に関するテクニカルな課題及びアドバイスーの8つだった。 同推進協議会事務局のつくば市ジオパーク室によると、①ジオサイトの見直しについては、これまで「筑波山南麓」「桜川中流」など地域ごとに26のジオサイトを設定していたが、ユネスコ世界ジオパークのガイドラインの再定義に基づいて新たに組み直し、「地質サイト」として筑波山山頂の花こう岩など22カ所、「自然遺産」として筑波山塊のブナ林など8カ所、「有形文化遺産」として平沢官衙遺跡、桜川市の真壁の町並みなど32カ所、「無形文化遺産」としてがまの油売り口上など8カ所、「ビュースポット」として土浦市の朝日峠展望公園展望台など12カ所を今年8月の総会で設定した。伊藤祐二室長によると「これまでのジオサイトはふんわりしたエリアだったが、新たな設定では、どこからどこまでかを区切って設定している。区域を明確にしたので、今後はどう保全していくかについても取り組む」と方向性を話す。「民有地についても、地権者と一緒に保全について考える成功例をつくりたい」と意欲を語る。 8つの課題に対する取り組みとしてほかに➁学校教育との連携では、推進協議会で専門員を雇用し2021年から各学校で出前授業などを実施してきた、⑥拠点施設と学習施設との連携では、昨年、中核拠点施設「つくばジオミュージアム」を整備した。さらに⑦相互連携の推進やパートナーシップの強化では、今年2月、ジオパーク活動で得た知識をもとに、真壁石や稲田石などと呼ばれる筑波山塊の花こう岩を国際地質科学連合のヘリテージストーン(天然石材遺産)に申請し、7月にアジアで初めて認定された。認定を受けて真壁などの石材業者から「バブル以来の盛り上がり」と言われたなど、新たな連携ができたとする。 再認定審査に向けては、現地調査に先駆けて9月15日、筑波山地域の課題に対する進ちょくについて、すでに報告書と自己評価表を提出している。 伊藤室長は「まだできてない部分もあるが、4年間真摯(しんし)に課題に対応してきた。現地調査では、課題について調査員と相談しながら、今後良くなる方向で審査が受けられれば」と話す。(鈴木宏子)

水戸市・台南市友好交流都市締結使節団に参加《令和樂学ラボ》32

【コラム・川上美智子】水戸市は11月22日、台湾の台南市と友好交流都市の締結を行った。米国のアナハイム市、中国の重慶市に次いで3つ目となる友好交流都市である。71名の使節団の一人として参加した3泊4日の台南市への旅は、終戦直後に生まれ、大戦の経験がない世代にとって、日本の植民地時代の歴史を学ぶ貴重な機会であった。 フィリピン海プレートにユーラシアプレートが潜り込み形成された台湾島は、東側は衝突で出来た山脈が南北に続き、西側の平地にいくつかの都市が作られている。台湾は、17世紀にはオランダの統治下、さらに1683~1887年は大陸の清朝の統治下に入り、その後の50年間(1895~1945年)は日本の統治という被侵略の歴史をもつ。 今回訪問した台南市は、清朝時代に首都として栄えた名残がレンガ造りの建造物古跡として各所に残されていた。 視察では、統治下で活躍した若い日本人の足跡をたどった。1人は今回の締結のきっかけとなった水戸市出身の飛虎将軍こと杉浦茂峰少尉である。彼は米軍との交戦で戦闘機が被弾し、台南市集落への墜落を避けて離れた畑まで飛ばし、台湾人の婚約者を残して21歳で命を落とした。 地域の人々は多数の台湾人の命を救った恩人・神として、今は街中である墜落地に廟(びょう)を建てた。訪問団は、廟内で戦前の真直ぐな若者の心に涙しながら、「ふるさと」を歌った。 もう1人は、烏山頭ダムや嘉南大圳の水利施設を造った八田與一である。この水路の完成で、この地域は豊かな農業地帯になったという。石川県出身の彼は、東京帝大土木工学科を卒業後、乗船した船が米軍攻撃で沈没し亡くなる56歳まで、30年間を台湾のダム造営、下水道建設、港建設など重要な土木事業に技術者として貢献した。 日本の技術を台湾に伝え実践した彼の偉業は、台湾の馬英九総統により八田與一記念公園として残されており、烏山頭ダムが見渡せる一角に夫妻の墓と銅像が建てられている。遠く離れた地で、志をもって厳しい仕事に捧げた八田技師の生涯には胸打たれた。戦前の日本の教育は、負の面が強調され、あまりよい印象をもっていなかったが、志高く道徳観や倫理観のある人材育成に寄与していたのであろう。 お互いの声で未来のメロディーを奏でよう 台湾は親日家が多いと言われるゆえんは、現在強く求められている非認知能力(忍耐力、自制心、協調性、意欲など)に長けた人材の活躍によるものであった。 国立台湾歴史博物館も日本人には必見の場である。原住民と外から台湾に渡ってきた人々や支配国とのせめぎ合いや共生の歴史が展示されている。日本の統治下時の教育勅語や修身などの教科書のほか、強要されたであろう日本の生活文化などが展示されている。台湾には日本から20万人を超える官僚や民間人が移住し、日本化が進められたと聞く。展示された当時の品々が我々に訴えるものは大きい。 台湾の小学生の団体が見学に訪れていたが、侵略された自国の歴史をどのように捉えるのであろうか。博物館は「お互いの声で未来のメロディーを奏でよう」と結んでいる。日本の戦争を知らない世代にも、広島や長崎だけでなく、この負の歴史をぜひ見てもらいたいと思った。 両市の友好が深まるよう、多くの県民、市民が当地を訪れることを切に願っている。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)

自動車盗難被害 つくば市が全国ワースト1 住宅駐車場が5割

自動車の盗難被害が多発する茨城県内で、県南地域での被害が顕著だ。特につくば市は、10月末時点で年間75件を数え、全国市区町村別でワースト1位となっている。県内で2番目に多いのは38件の土浦市で、両市の合計は2024年の県内自動車盗難件数461件の約4分の1を占める。県警は、市民の防犯意識を高めようと啓発活動に力を入れているが、大きな変化に結びついていないのが現状だ。 「11月9日夕方から11月10日の朝方までの間に、茨城県つくば市筑穂で盗難に遭いました」ー。 10日午後5時、トヨタ・ハイエースの写真と共にX(旧ツイッター)に情報提供を求めるメッセージが流れた。投稿したのは北海道空知郡奈井江町の土木関連会社、剛健工業(浜島剛社長)のアカウントだ。北海道からつくば市内の建設現場に出張中の同社社員が車両盗難の被害に遭った。同社の柴田大輔さん(40)が異変に気づいたのは10日早朝。滞在する市内のアパートから外を見ると、目の前の駐車場にあるはずの車がない。「まさかと思った」と振り返る。すぐに警察へ届けるも、「見つかるか分からない」と言われたと話す。 柴田さんら社員4人がつくばに来たのは今月6日。市内の工場現場で、来年4月末までの予定でフェンスの基礎や縁石ブロックの設置工事にあたるためだった。陸路とフェリーを利用し、2台の車で茨城に来た。被害にあった日、前日は休みで午後9時ごろには就寝し、10日は朝6時に起床した。車内にはドライバーやつり金具、グラインダーなど40万円相当の工具が積まれていた。盗難後は急場をしのぐため必要最低限の工具を買いそろえ、車両は再度、北海道から呼び寄せた。「会社でも盗難は初めて。全く気づかなかった。盗られたのはしようがない」と気持ちを切り替える。 夜間から早朝にかけ連日 県内の犯罪情報を知らせる県警による防犯アプリ「いばらきポリス」によると、11月だけでもつくば市内では他に▽2~3日にかけて妻木付近▽6~7日に陣場付近▽7~8日に小野崎付近▽9~10日に蓮沼付近▽11~12日に学園南付近▽12~13日の間に二の宮付近と、連日、車両盗難が起きている。土浦市内でも今月、都和、神立、真鍋などで発生している。被害に遭うのは夜間から早朝にかけて。乗用車はトヨタのプリウス、ランドクルーザーなどが、貨物車ではトヨタ・ハイエース、いすゞ・エルフなどが被害の上位を占めている。その他にアルファードやレクサスなどの高級車の被害も目立つ。県内では貨物車の被害も多く、盗難全体の約半数が住宅の駐車場などで起きている。 茨城県は、人口10万人あたりの車両盗難件数が、2023年まで17年連続で全国1位を記録している。首都圏に近く港湾へのアクセスが良いことや、広い土地を比較的安く使用できることから盗難車を解体する「ヤード」がつくりやすいことなどが背景にあるという。盗難車は解体後に部品として国内外で販売されていく。つくばや土浦で特に被害が多い理由について県警の担当課は「被害が増えている県南や県西地域は人口が多く、相対的に車の保有台数が多い」ことだとし、犯罪グループの活動が広域化、組織化していることが検挙を難しくしていると話す。 2022年2月に福島県内で工事用車両を盗んだとして逮捕されたつくば市の自動車整備工の男ら2人は、関東、東北、東海で計280台を盗んだグループのメンバーとみられる。他に23人が同グループメンバーとして逮捕されている。また同年8月に高級車「レクサスLX」を盗品と知りながら取引し、保管した疑いで逮捕された筑西市の自動車整備会社経営の男ら5人は、大阪や愛知で盗まれた高級車約200台を引き取り輸出目的で解体した。被害総額は10億円超に上るとされる。今月7日には潮来市の男ら4人が関東5県で車両110台超を盗み、被害は約1億円に及んでいる。これらの事件は日本人、外国人を含む犯罪グループによるもので、犯行が複数の都府県に及ぶため合同捜査体制が組まれている。 防犯意識向上を 県警は「盗難場所として最も多いのは、住宅等の駐車場で全体の約5割。その他、会社や事務所、月極駐車場、工事現場や資材置き場などが続いている」とし、「犯人は物理的に時間がかかることを嫌う。バー式ハンドルロックや鍵でタイヤを固定するタイヤロックなどが有効。防犯カメラやセンターライトの設置も推奨している。複数組み合わせることでより効果的になる」と、二重、三重の防犯対策を呼び掛け、「個人では費用的に難しいこともあると思うが、防犯意識の向上につなげてほしい」と語る。

通り雨《短いおはなし》33

【ノベル・伊東葎花】 突然雨が降り出したので、夫の傘を持って家を出た。駅から家までは5分ほどの距離だけど、冷たい雨だ。風邪を引いたらかわいそう。 夕暮れの駅は、たくさんの人であふれていた。夫は背が高いので、すぐに見つけた。声をかけようと近づくと、となりに髪の長い女がいた。親し気に話している。偶然会った会社の同僚という雰囲気ではない。ひとつの傘にふたりで入り、家と逆方向に歩き出した。ぬれないように寄り添って、まるで恋人同士のようだった。 「どういうこと?」 信じられない出来事に声も出せず、混乱したまま家に帰った。雨はいつの間にか止んでいて、傘を畳んでドアを開けた。そこには、夫がいた。タオルで濡れた頭をゴシゴシ拭いている夫がいた。 「電車降りたら雨だったから濡れちゃったよ。あれ? もしかして迎えに来てくれたの? 行き違いだったのかな」 ホッとした。さっき女と歩いて行ったのは、よく似た他人だったのだ。同じような背格好で、同じようなスーツを着ていた人を、夫と間違えたのだ。 「すぐにご飯にするね」 私は自分の勘違いがおかしくて、ひとりで笑った。 しかし、その日を境に、得体(えたい)のしれない違和感が私を襲った。夫は確かに今まで通りの夫なのに、なぜだか妙な違和感がある。ちょっとした仕草や言い回しが、別人のように思えるときがある。 「あれ、この人、こんな笑い方したかな?」といった、ささいなことだけど、それは私の中でどんどん大きくなっていった。 数週間後、再び雨が降った。私は夫の傘を持ち、駅まで迎えに行った。改札から出てくる夫を見つけて近づくと、その横には女がいた。しかも前に見かけた女とは別の、若い女だ。ふたりは楽しそうに笑いながら、私の前を通り過ぎた。 「あなた!」 思わず声をかけると、ふたり同時に振り向いた。「知り合い?」女が言うと、「いや、知らない」と、夫は、怪訝(けげん)な顔で私を見た。 夫だ。似ている人などではない。確かに夫だ。服装も表情も、髪の分け目もホクロの位置も、何もかも同じだ。それなのに、まるで初めて会う人のように首をかしげ、背を向けた。 「待って」 追いかけようとしたとき、後ろから肩を叩かれた。 「迎えに来てくれたんだ。助かったよ」 そこには、笑顔の夫が立っていた。 今、目の前にいるのは、確かに夫だ。ホッとしているはずなのに、なぜだろう。「この人誰?」と思ってしまう。得体のしれない違和感が、スコールみたいに私を襲う。さっきの人は誰? そしてこの人は誰? 駅を出ると、雨は止んでいた。 「雨やんじゃったな。久々に、相合い傘でもしたかったな」 夫が子どもみたいな顔で言った。あれ? こんなことを言う人だったかしら。そう思いながらも私は、「そうね」と答えた。そして拭いきれない違和感を振り払うように、夫の手を握った。 (作家)

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