火曜日, 4月 7, 2026

実際にどう対応? 「合理的配慮」義務化スタート 土浦

情報不足に戸惑いも 改正障害者差別解消法の施行に伴い、段差があればスロープをつけるなど障害の特性に応じた配慮をする「合理的配慮」が1日から民間事業者にも義務化された。実際にどう対応すべきなのか、現場では情報不足からくる戸惑いの声も聞こえてくる。実際の現場で事業者や当事者はどのように課題に向き合っているのか、土浦で話を聞いた。 一部でも助成があれば 「絶対にやりたくないのは入店拒否」だと話すのは、昨年、土浦市川口にオープンした古書店「生存書房」の店主・藤田康元さん(57)だ。 同店は、歩道に面した入り口に15センチほどの段差が2段あり車椅子の人が一人で入店するのは難しい。大幅なバリアフリー改修は費用面から現実的ではない。そこで藤田さんが最初にとった「配慮」が、入り口前に「ハンドベル」を置くことだ。玄関にチャイムをつけても歩道からは手が届かない。車椅子でも店主を呼び出せると考えた。 「入り口にスロープがないことでバリアを感じる人はいるはず。入店を諦めさせているかもしれないと思った。諦めないで店主を呼んで欲しいという意味を込めた」と話す。後に折りたたみ式の簡易スロープを購入し、必要な時だけ設置できるようにした。費用は約4万円。ネットで購入したものだ。「これが個人店でできる範囲。出費は厳しい」とこぼす。「大規模な改修費用とまでは言わないが、せめて一部でも助成があれば」と希望を話す。 障害者以外のためにもなる 土浦市乙戸で料理店「ママのごはん」を営む高橋理恵さん(62)は、2017年のオープン時から入り口にスロープを設置しトイレに手すりをつけてきた。障害のある夫の助言からだった。高橋さんは、スロープや手すりのおかげで「車椅子のお客さんが増えた」と言い、喜んでくれるのは障害者だけではないとも話す。 「つえをついていたり歩幅が小さかったりする高齢者や、ベビーカーで来るお客さんも『入りやすい』と言ってくれる」。何より自分も歩きやすい。「大きな荷物を抱えて段差を上がるのは大変ですから」。 様々な人が出入りする中で必要な「配慮」が身についた。車椅子に限らず、ベビーカーに子どもを乗せたままテーブル席に着きたい人にも、さっと椅子をどかして対応する。 大切なことは、当事者との接点を持つことだと指摘する。「私は身内に障害があることで気づいたことはたくさんある。うちの店には車椅子のお客さんが来るのを他のお客さんもわかってくれているから来店時に手伝ってくれる」と言う。 一方で「個人の飲食店だと対応が難しい事情もわかる」と、合理的配慮の実践を躊躇する個人店にも思いを寄せる。実際に家族で外出して入店できないこともあった。「行く前に『車椅子でも入れます』と聞いても混んでいて入れないこともある。車椅子や障害のある人が来ることが前提になっていないお店は多い。私も家族に障害があるなど身近でなければ、必要な配慮への気づきはなかったかもしれない」 4月からの義務化については「(行政などから)手紙での通知などはなく、商工会に入っているわけではないので情報を得る機会が限られていた」といい、周知の不足を指摘する。実際に街で話を聞くと「義務化は知らなかった」と言う人は少なくない。 特性の理解を 同市で障害者福祉の課題に取り組む目黒英一市議(54)は、合理的配慮で大事なことは「特性を理解すること」だと言い、そのためにも「当事者の生の声」に触れることが欠かせないと話す。目黒市議は知的障害を伴う自閉症のある子の父としても活動している。 「知的障害のある方は、性格と同様に個々の特性がある。大きい音が苦手だったり、飛び跳ねたり声を出してしまったりすることもある」。周囲が障害の特性への理解があれば、大きな音が苦手な人と大声を出しがちな人を隣り合わないよう配慮することで、互いに心地よく過ごすことができると指摘する。 「子どものうちから合理的配慮を学ぶべき。(今の社会は)障害のある人が世の中に適応していかなければいけない状況にあるが、障害のある人の目線で物事を考えられれば」とし、「当事者との接点を持つことで『スロープつけなきゃだめだよな』という気持ちになる。合理的配慮は、スロープをつけておしまいではない。大切なのはそこから先。どうすれば車椅子でも通りやすくなるか、接客にはどう気を遣えばいいか。相手のことを考えられることが大事」だと語る。 当事者の声を聞いてほしい 「障害の当事者は、こんな時はどうすればいいのかというアイディアを十分持っているので、まずは当事者に聞いて欲しい」と話すのは、当事者として障害の理解啓発活動をする「茨城県に障害のある人の権利条例をつくる会」共同代表の生井祐介さん(46)だ。同会は、2015年に施行された障害者への差別を禁止する県障害者権利条例を作るために発足した。生井さんは合理的配慮についてこう思いを話す。 「『過重な負担』というのがあるが、初めから断るのではなくその場で当事者に相談して欲しい。例えば商店の入り口に段差があって車椅子で店内に入れなければ、当事者の希望を聞いて商品を入り口まで持ってきて選んでもらうこともできるし、車椅子を何人かで持ち上げてあげることもできるかもしれない。私たちはそのやり方を説明できる」 「『うちは無理なんです』と断らずに相談してほしい。解決策が見つかれば僕たちも行けるお店が増える。よりいい関係が作れるはず」と語る。 7市村に助成制度 県内には現在、合理的配慮への助成制度がある自治体が7市村(つくば、水戸、ひたちなか、取手、つくばみらい、那珂市、東海村)ある。生井さんは「制度を使えばスロープの設置などもしやすくなる」とし、「茨城には『障害者権利条例』があり、全ての差別を禁止すると言っていることも忘れないでほしい」と思いを述べる。 合理的配慮の義務化に関して土浦市は、周辺自治体などで実施されている助成制度については「制度を実施する予定はない」とする。また、合理的配慮は「障害者との建設的対話を通じて事業者が提供できることを考え、実施に伴う負担が過重であれば、過重でない代替方法を対話を通じて見つけていくことが法の趣旨」であるとし、「合理的配慮の具体的な取り組み例を紹介していくことはできる」と述べ、県障害者差別相談室や市障害福祉課への問い合わせを求めている。周知活動については今後も継続していくとしている。(柴田大輔) 【メモ】合理的配慮とは、段差があればスロープをつけたり、声や音が聞き取りにくい人に対して手話や筆談ボードを用意するなど障害の特性に応じた配慮をすること。時間を調整するなどルール・慣行の柔軟な変更も合理的配慮に当たる。障害がある人もない人も平等に社会に参加できることを目的としている。 障害を理由に来店を拒否したり、サービスを提供する時間や場所を限定するなど条件をつけることは「差別」にあたり、「障害があるからと特別扱いはできない」「前例がない」と、求められた配慮を無碍(むげ)に拒むことは認められていない。一方で、事業者にとって過度の費用負担や物理的に実現不可能な場合など、「提供に伴う負担が過重でない」ことが提供範囲とされている。

「言った、言わない」の押し問答《続・気軽にSOS》148

【コラム・浅井和幸】いつも話が食い違う2人がいます。同意したはずなのに、そのときになってみると、「言った、言わない」の押し問答になってしまいます。何がこの食い違いを生んでいるのでしょうか? 人は記憶違いをすることもありますから、この2人の会話や考え方を具体的に追う必要があります。 あるときは抽象的な言葉が原因です。「次のテストを頑張ったらゲームを買ってあげる」という約束があった場合、この「テストを頑張ったら」の捉え方が「テスト点数が上位に入ったら」と「テスト勉強を頑張ったら」とに違ってくるでしょう。 あるときは主語が抜けていることが原因かもしれません。日本語は主語を抜いて話をする特性を持っています。「今日は雨が降るかもしれないので、屋外に出してあるものを片付けてから外出しよう」「うん、わかった」。さて、誰が片づけをするのでしょう? 言葉の定義が全ての人に共通でない 「次のイベントで収支がマイナスだったら、来年度からイベントは中止しよう」。さて、どの範囲の収支を指しているのでしょうか。イベント出店の一つ一つを指しているのか、それとも全体なのか? 中止にするのはイベント全体なのか、それとも出店一つ一つなのか? 「ゴールポストを動かす」という言葉もありますが、言葉の定義とか概念が全ての人が共通であるとは言い切れません。同じ日本語ではありますが、違うものを指していることもあるのです。違うことである可能性も探ることは、「言った、言わない」を避けるためにも必要なことなのです。 約束の食い違いが多いと感じるときは、相手に悪意があるかどうかを探るよりも、それぞれが同じ言葉だけれど、別の約束をしていたのではと捉え直すと解決するかもしれませんよ。(精神保健福祉士)

つくば洞峰公園市営化で市長が隠していること 《投稿・酒井泉》

つくば市の広報紙「かわら版」のキャッチフレーズは「もっと知りたい!」「皆さんのギモンに市長が答えます」です。 30号のテーマは「洞峰公園のこと、もっと知りたい!」(2月15日発行)でした。洞峰公園は県とのバトルを経て市に無償譲渡されましたが、この広報紙では、県の考え方や県と市のやり取り、譲り受けた後に市が負担しなければならない維持管理費など、市に都合の悪い事実は何も書いていません。 「かわら版」にウソは書いてないと思いますが、市に都合のよい情報だけを選び、都合の悪い情報は隠しています。これは報道、学術、行政など、市民のための情報を扱う世界では禁忌(絶対にやってはいけないこと)であり、「知っていたけど言わなかった」責任は重大です。 隠された事実A:県の当初計画 ① 県が負担してきた費用は年1億5000万円:建物管理費と緑地管理費が半々。 ② 県が構想した公園民間委託(PFI)では、このうち6000万円が節減できる。 ③ 残り9000万円は県が負担するので、つくば市に維持管理費用は発生しない。 ④ PFIのグランピングに利用されるのはあまり使われていない野球場区画だけ。 隠された事実B:県とのやり取り 県の洞峰公園PFI構想に対し、市は2021年12月28日、県に質問状を出しています。22年2月7日、県都市整備課長から26項目の回答書が送られてきましたが、これに対してつくば市は何も反論をしていません。このため、同課長は「その後、市から(公式な追加質問や反論は)なかったので、市は(洞峰公園リニューアルについて)納得しているという認識だった」と述べています。 ところが22年3月24日に、市長は「洞峰公園は既に完成された環境で、ゆっくり過ごす空間や静かな散歩やランニングコースとして定着している」「(県に)現状を維持する様に(懸念を)伝えた」と、SNS上でコメントしました。 さらに市長は、22年4月13日の記者会見で、PFIの目玉であるグランピング施設やバーベキュー施設について「周辺に対し匂いやアルコール等懸念がある」と述べ、県のグランピング施設整備について、園内地域の用途変更を認めない考えを表明しました。 知事はこの発言に驚き「(五十嵐市長の発言は)突然」であり、「意外な感は否めない」と戸惑いを露わにしました。 隠された事実C:市議会での議論 無償譲渡によって市営化された場合、洞峰公園の維持管理費の負担額について、市議会で重要な議論がありました。 山中真弓議員;市のスポーツ施設の長寿命化計画によると、年間の維持管理費は1億2600万円となり(残り37年間で総額47億円)、市が(市営化された洞峰公園の維持費について)言っている年額3500万円とはかけ離れた数字になる。 飯岡宏之議員;県の(洞峰公園の維持に今後いくらかかるか試算した)健全度調査では施設更新費が約34億円、近年の資材高騰を考慮すると約50億円になる。                市の情報操作は市民への背信行為 書かれていない事実A、B、Cを見ると、「洞峰公園の自然を守る」にはもっと他の方法(緑地を市が管理し施設は県が管理する)があったはずです。今後の問題解決のためには正確な情報の共有が必要です。 民主主義社会は、市民が互いに情報を共有して公平な議論をすることで、より良い意思決定と安定した社会が得られます。行政が都合の悪い情報(データ)を隠して市民社会に対して情報操作をすることは、市民社会に深刻な不利益をもたらす重大なルール違反です。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)

バイデン氏は勝てるか?米大統領選(4)《雑記帳》58

【コラム・瀧田薫】2024年11月の米大統領選挙は、前回に続いて、バイデンとトランプ両氏の対決となった。選挙までまだ半年余りあるが、現時点での各種世論調査結果や投票行動分析の専門家の見方では、トランプ氏の優勢を伝えるものが多数を占めており、選挙はトランプ勝利で決まりといった気の早いご託宣を下す向きもある。 前々回の大統領選(トランプ対ヒラリー・クリントン)では、事前調査の数字はクリントン氏の圧倒的優勢を示していたのだが、結果は「まさかのトランプ」勝利であった。この番狂わせで、選挙予測の専門家や世論調査そのものへの信頼感は大きく損なわれた。 近年、若者を中心に無党派層が増えており、これが世論調査の精度を狂わせる最大の要因となっている。無党派層の動向は極めて流動的で、極端な場合、1カ月いや1週間で潮目が変わることもあり、定点観測たる世論調査の網ではすくい上げにくいのである。 今回の大統領選でも、民主、共和両党の支持者に対するグリップ力の衰えとも相まって、無党派層が勝敗を分ける鍵になると見られている。 A・リクトマン教授の選挙予測理論 世論調査の信頼度が落ち込むと、それに代わる方法が試される。アメリカン大の歴史学者、アラン・リクトマン教授が考案した選挙結果予測理論は、有権者の意識ではなく現職大統領とその政権与党の強さ(支持率)と政策実績を分析対象とする。この理論によって、彼は1984年以降の10回の大統領選のうち9回で勝者を正しく予測してきた(毎日新聞「驚異の的中率を誇る教授に聞く」2023年12月23日付)。 この理論の具体的な方法は、「ホワイトハウスへの鍵」と呼ぶ13の指標を取り出し、その指標ごとに現職大統領と政権与党を査定し、成果が上がったかあるいはライバルに優っている指標については〇を、成果が上がっていないかライバルよりも劣っている指標については✕をつける。 最後に〇の数を数え、13指標中8以上で〇がつけば、現職の再選もしくは政権与党の指名候補者が大統領選に勝利すると判定される。なお、ラクトマン氏は今回の選挙の分析をすでに実施している。 ラクトマン理論が成果をあげた理由は、13の指標を選び出す困難かつ長期にわたる試行錯誤に彼が耐えたこと、さらに13の指標が精妙なバランスを保ってお互いを支え合うように工夫し、それに成功したことにあると思う。ただし、この理論にも欠点がないわけではない。理論に従って予測がされても、その賞味期限は意外に短いということだ。 バイデン氏にまだチャンスあり そう言っては身も蓋(ふた)もないが、昨年12月時点でのラックマン教授の判定はすでに期限が切れている。今後、適当な時期に彼が再判定を下すのを待つか、13の指標に沿って自分自身で判定を下すこともできる。筆者の最近の判定では、バイデン氏にまだチャンスはあると出た。具体的には、残り半年、経済面(インフレへの対処、財政赤字への対処)で実績を上げることが重要な条件となる。(茨城キリスト教大学名誉教授)

職員の名札、名字のみに 土浦市役所 顔写真など削除

土浦市役所職員の名札から1日、顔写真と下の名前が削除され、所属と名字のみになった。全国の他の自治体では窓口でのトラブルなどにより、氏名をインターネット上で検索され個人情報を調べられたり、SNSに書き込みをされるなどの事案が発生していることから表示を変更した。 これまでは顔写真と所属、名字と名前のフルネームを記載していた。市によると今年に入り、窓口対応に当たっていた若手女性職員の顔写真入り名札が、写真に撮られる事案が発生した。現時点でネットに掲載されたなどの被害は確認されていないが、職員の不安を払拭(ふっしょく)し、安心して勤務できる環境を確保しようと名札を変更した。 新しいデザインは庁内で公募し、11点の中から職員が投票で選んだ。市のテーマカラーの青藍(せいらん)色を用いたシンプルなデザインとなっている。 市によると、名札を名字のみの表示に変更した市は県内で、笠間市(昨年8月から)、取手市(同12月から)、つくばみらい市(今年1月から)、守谷市(同2月から)で、土浦は5市目。 安藤真理子市長は「顔写真がある方が市民が親しみを持つという意見もあるが、いろいろなことを頻繁に言ってくる市民もおり、対応に心砕かれる職員もいる。職員を守らなくてはならない。個人情報に対する意識が以前より社会全体で高まっているなど時代の流れもある。職員が安心して仕事ができるよう環境を整えたい」と話す。 市社会福祉協議会、産業文化事業団、観光協会職員の名札も1日から市職員と同様、所属と名字のみに変更になる。一方、市長、副市長、教育長など特別職はフルネーム表記のまま。

土浦博物館の展示に誤り? 歴史論争が再燃《吾妻カガミ》180

【コラム・坂本栄】つくば市小田に拠を構えた小田家の祖、八田友家をメーンに扱った土浦市立博物館の展示内容に誤りがあると、土浦在住の高橋恵一氏が指摘してから2年が経ちます。この間、博物館が疑問にきちんと答えていないことに怒り、高橋氏はコラム66で「八田友家の『筑後氏』名乗り説は誤り」(3月20日掲載)と、再び博物館に論争を挑みました。 鎌倉殿の13人の1人、友家 博物館は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年1月9日~12月18日)の放映に合わせ、特別展「八田友家と名門常陸小田氏―鎌倉殿御家人に始まる武家の歴史―」(同3月19日~5月8日)を開催しました。 この企画について博物館は「約600年にわたる時間軸の中で、友家から始まる15代の当主、さらにはその系譜をたどったものです。これほどの長きにわたり、滅びることなく土浦・つくば地域を支配し続けることは容易ではありません。さらに展覧会では関東の名門武家として認識されていくさまも紹介しています」と解説していました。 鎌倉殿(鎌倉幕府初代将軍・源頼朝)が家臣13人をどうコントロールするのか? それを脚本家・三谷幸喜氏がどういったストーリーで見せるのか? こういった興味を持ち、「鎌倉殿の13人」には毎回チャンネルを合わせましたが、13人の1人、友家を祖とする小田氏15代を扱った特別展はうっかり見逃しました。 博物館は「筑後」を誤解釈? ということで、私にはこの論争の中味について論評する資格はありません。それに、鎌倉時代の歴史については高校教科書のレベルです。しかし、高橋氏が博物館に提出した要請文「小田氏の始祖・八田友家の苗字変更説の訂正を求める」(3月13日付)を読み、これは見過ごせないと思いました。 高橋氏の論点(中世史学者・糸賀茂男館長が率いる博物館の展示内容への疑問)を私の貧しい読解力でまとめると、以下のように超要約できます。 博物館は、八田友家の官職名「筑後」を苗字(博物館の言い方は名乗り)と解釈、つまり鎌倉幕府の歴史書・吾妻鏡を誤読し、苗字が「小田」でなく「筑後」だったとする誤解釈を基に、初代友家から3代泰知までは小田に本拠を置いていなかったとの説を展開。こういった誤解釈によって、小田氏初期の歴史が歪曲されている。 市民は博物館の展示を信用! 高橋氏が最初に疑問を呈したのは、コラム47「…土浦市展示に事実誤認あり」(2022年4月20日掲載)でした。これに対し、博物館は寄稿「『…事実誤認あり』に応える」(同4月27日掲載)で反論しましたが、説得力に欠けるものでした。 冒頭リンクを張ったコラム66によると、誤解釈は博物館の展示にとどまらず、糸賀氏が執筆に関わった県内の市町村史でも展開されているそうです。高橋氏はこういった誤りの広がりを憂慮、「自治体の刊行物、博物館の展示内容は、市民が最も信頼する情報です。… 訂正すべきでしょう」と述べています。 糸賀氏の学説が誤りだとすれば、博物館はその説を広げる場として利用されたことになり、市営文化施設の在り方としては何か変です。(経済ジャーナリスト) <注> 青字の日付をクリックすると、そのコラム・記事・資料が読めます。

今季初勝利 新加入の小田川が決勝点 つくばFCレディース

プレナスなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)2部のつくばFCレディースは31日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムで第3節を行い、福岡J・アンクラス(本拠地・福岡市)を1-0で破り、今季初勝利を挙げた。通算成績は1勝2敗で12チーム中7位。次節は7日、大和なでしこスタジアム(神奈川県大和市)で大和シルフィードと戦う。 プレナスなでしこリーグ2部・第3節(3月31日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 1-0 福岡J・アンクラス前半 0-0後半 1-0 新シーズンを連敗でスタートしたつくばは、今節の初勝利に照準を合わせて準備を進め、この日はウォームアップの段階から全員の気持ちが高まっていたという。「全員で戦え、試合内容も今季一番だった」とボランチでゲームキャプテンの内藤夏鈴。「まずは気持ちで絶対負けないという意気込みで、自分たちのペースで戦えた」とFWの赤嶺美月。 立ち上がりこそやや硬さが見られたが、中盤の攻防では相手を上回る動きの良さを見せ、前半で許したシュートはわずか1本。つくばは5本のシュートと8本のコーナーキックなどで相手ゴールに迫ったが、なかなか得点は生まれない。前半33分には内藤が絶好の位置でフリーキックを得たが、蹴ったボールはバーを直撃。34分には赤嶺がスルーパスに抜け出しシュートを放ったが、相手GKがジャンプしてはじき出した。 後半のつくばは右サイドハーフに工藤古都子を投入、さらに左サイドバックの村上奈央を右の小田川真奈と入れ替え、右サイドの活性化を図る。後半も攻撃回数では相手を圧倒するが、やはり得点には届かない。 後半43分、ついに均衡が崩れた。コーナーキックの流れから、石井有紗のループシュートを相手GKがはじき、赤嶺が拾って中央の小田川へ送る。このボールを小田川が反転しながらダイレクトでシュート。敵味方の間をすり抜けてゴールに吸い込まれた。「背中を向けていたがゴールの位置は分かっていたから、振り向きざまに打った。得点で勝利に貢献できてうれしい」とのコメント。 石井は後半36分に村上と替わって投入。後半もセットプレーは多く、長身の石井はターゲットとしての役割も期待されていた。「コーナーからのこぼれ球を押し込む形は練習のときから多くつくれていた。チャンスはたくさんあったのでもっと早く決めたかった」と、キッカーを務めた内藤。 後半26分、内藤がドリブルで攻め込む(同) 「1点取ってゼロに抑えたのは自信につながる。自分自身もチームのためにしっかり走り回れたと思う。次は得点で貢献したい」と赤嶺。「チームとしてもアグレッシブに、攻守にたくさん走って、見ていて楽しいと思ってもらえるサッカーをしたい」とも話す。 「攻撃の精度を高めたい。3点取れる攻撃的なチームを目指している」と話すのは、今季から采配をふるう佐藤誠一郎監督。日立一など名門校の監督を歴任し、2019年には水戸商を高校総体出場に導いた。「同じサッカーだが男子高校生と社会人の女性では勝手が違う部分も多い。言葉のかけ方や練習のコーディネートなど工夫しながら、高校サッカー指導歴38年のキャリアをベースにトライしている」という。 今年で水戸商を定年退職、チームには2月中旬に合流したばかり。ここからの名将の指揮の冴えに期待したい。(池田充雄)

関東大震災クラスの大震災に備えて《くずかごの唄》137

【コラム・奥井登美子】関東大震災から100年。再び、関東地方に同じような規模の震災が起こるのではないかと、私はびくびくしている。 関東大震災。1923年(大正12年)9月1日のお昼時、どこの家でも炭や薪(まき)でご飯を炊いていた時だった。倒れた木造の家から発火、町の中2~3か所に火の手が上がったという。 私の母は妊娠中。大きなお腹を抱えて、父と姑(しゅうとめ)3人で新富町の家から皇居前広場に逃げた。途中、銀座通りを横切る時、火の玉が勢いよく飛んできて、危うく火まみれになるところだったという。 皇居前広場で3日間野宿。当時、朝鮮の人に対する差別があって、「朝鮮人が井戸に毒を入れたから水は飲んではいけない」と言われ、飲ませてもらえなかったのがつらかったという。その後、母は芝公園で出産し、私の兄、加藤尚文が生まれた。兄の戸籍謄本には出生地「芝公園」と記入されていた。 母の実家の母親(私の祖母)も震災後に亡くなり、6人の弟たちの面倒も見なければならず、母は心身ともに極限に陥り、震災後10年間、子供をつくることができなかったようだ。 当時、焼け野原の都心から、阿佐ケ谷、荻窪方面に移住する家族が多かった。我が家も、荻窪のノラクロ漫画の作者・田河水泡(たがわ すいほう)さんのお隣りに住み、私はそこで生まれた。 私が言葉を覚え始めた頃、母から震災の恐怖を何十回となく聞かされて育った。10年目に生まれた娘に、その時に体験した恐ろしさを語ることで、やっと母は自分を取り戻すことができたのではないかと思う。 いざという時は雨水を利用 今年の能登半島地震も、飲料水など生活用水で苦労している。100年前の関東大震災と変わらないのではないかと思う。 近くの池の水、川の水、昔使っていた井戸の水。身近にある水の水質を、今は簡単に調査できる器具がたくさんある。調査しておけば、「いざという時に」何かと便利なのではないかと思う。 雨水の積極的利用も有効。昨年、土浦の自然を守る会のどんぐり山を見に来てくれた村瀬誠氏(薬学博士)は、地面にヒ素が含まれていて井戸水が使えないバングラディシュでは、雨水利用を積極的に実行していると話している。 関東地方にあり過ぎるマンションの屋上にちょっとした細工をすれば、災害時に備えての雨水利用が有効に働くと思う。(随筆家、薬剤師)

「合理的配慮」訴え つくばでパレード 県障害者権利条例9周年

障害者への差別を禁止する茨城県障害者権利条例施行9周年を記念して、条例をつくる活動に取り組んできた障害者団体「茨城に障害のある人の権利条約をつくる会」(事務局・水戸市)の関係者らが30日、つくば市内でパレードし、4月1日から民間事業者にも義務付けられる「合理的配慮」の必要性を訴えた。 合理的配慮は、スロープを設置して段差をなくす、筆談できるようボードや筆記用具を提供するなど、障害者から対応が必要と伝えられた時に障害の特性に応じた配慮を提供すること。改正障害者差別解消法の施行により4月から民間事業にも提供義務が拡大される。 パレードでは、つくば市内や県内外から駆けつけた障害者と支援者ら約50人が、同市天久保、筑波メディカルセンター前から、同市竹園、つくばカピオ前までの約2キロを歩いた。 参加した聴覚障害者で筑波技術大2年の小林萌楓さん(20)と同大大学院OBの石綿智樹さん(24)は「つくば市内では筆談に応じてくれたり、こちらに口の動きが伝わりやすいように会話の時にマスクを外してくれるなど、飲食店などでも障害に理解があるところが多い」としつつ、「街灯が増えるといい」と話す。街灯が少ないため、夜間に道路を歩くと近づく車や自転車に気づくのが遅れることがあるという。 石綿さんは「私たちはクラクションが聞こえない。車がこちらに気づいても聞こえないので反応ができず、事故に遭う不安がある」と言う。また「夜間に友人と歩く際、街灯が無くて暗いと互いの手話が見えないので、コミュニケーションを取るためにわざわざ遠回りをして帰らなければいけないこともある」と語る。小林さんは「合理的配慮が義務化することで、当事者がどんな配慮が必要か言いやすくなると思う」とし「障害者は孤立しやすいところがあるので、周囲の理解が進むのでは」と期待する。 建設的な対話がポイント 同つくる会共同代表の八木郷太さん(27)は、合理的配慮義務化の周知不足を指摘し「当事者と事業者が建設的に対話をすることが大きなポイント。スロープの設置などどうしても物理的な話が先行しがちだが、スロープがなくても後ろから押せば入店できることもある。障害者がお願いしたことに対して『できる』『できない』ではなく、話し合いで落としどころを見つけていくことが大事」と語る。 さらに9周年となる条例について「条例があることで、当事者と行政、事業者が対話の場を持てる」と八木さんは言い「条例により県に差別相談室ができ、県と協力する場を持てている。行政、当事者、事業所が話し合いの場を持つことで、障害者の側から一方的に配慮を求めるのではなく、求めているものを説明し、事業所と現段階でこれならできると話し合える」とし、「街が一気にバリアフリーになるのは難しいが、対話を通じて徐々に合理的配慮を提供する店が増えていくことが大事になる」と話す。「最初は車椅子でも食事ができるようにテーブルを動かすことからでも、今度は簡単なスロープをつけようとか、視覚障害者が来たらこんな対応をしようとか、関係を積み重ねることで、対応は変化していくはず」と述べる。 「パレードを通じて合理的配慮について広く知ってもらいたい。当事者も知らない人が多いので、配慮を当たり前に求めていいと知ってもらいたい。迷惑をかけると思ってしまうと言えなくなってしまうが、伝えることで対話が生まれ、事例が積み上がる。すぐに100点にはならないと思うが、事業者と行政、当事者が共に経験を重ねながら地域の合理的配慮を育てていければ。結果として街が変わっていけばと思う」と今後へ期待を話す。 県障害者権利条例(障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例)は、障害者団体が制定を働き掛け、議員提案により2015年4月1日に施行された。差別の禁止のほか、差別に関する相談、調査、助言やあっせんなどについて定めている。(柴田大輔)

「保幼小連携」の推進を考える《令和楽学ラボ》28

【コラム・川上美智子】保育園や幼稚園の5歳児と小学校1年生の間には大きな学びのギャップがあると言われ、そのギャップを埋めるため、幼児のアプローチカリキュラムと小学校1年生のスタートカリキュラムが始まり8年が過ぎました。この間に、新型コロナウイルスの流行などで中断を余儀なくさせられましたが、つくば市内では5歳児と小学校1年生の年2回程度の交流が始まっています。 本園の場合は、園児が香取台小学校を訪問し、1回目は小学生が制作した工作物を使ってお店屋さんごっこ遊びの体験交流をしました。2回目の訪問では、小学1年生がこの1年で勉強した科目ごとの学びを保育園児に紹介してくれました。 どちらの訪問も、園児にとって初めての小学校体験とあって、保育園で見せる幼い顔とは異なり緊張した面持ちで45分間をビシッと過ごし、1歳違いのお兄さん、お姉さんの立派な姿を前にして頑張りを見せてくれました。たった2回の交流でしたが、園児にとっては小学校のイメージをつかむ大事な機会となり、4月の入学を楽しみにしています。 ところで、8年前の幼保小連携のスタート時には、茨城県教育委員として県内のモデルとなる小学校をいくつか視察し、小学校入学時に求められる学習レベルの高さに驚かされました。 ゆとり教育の時代には、自分の名前が読めればOKと言われていたのに、現在ではひらがなの読み書きや数の理解など高度な力が求められます。幼児期は「学びの芽生え」として、「遊びを通して学ぶ」が強調されてきましたが、得手不得手もあり、遊びを通して自然に学ぶだけでは限界があるように思われます。ワークなどを使った系統的学び無しには、どうしても漏れが出てしまいます。 5歳~小1は人格形成の架け橋期 園では、3歳児から少しずつ楽しく学びを進めるカリキュラムを組み、年齢に合ったワークを活用してきました。また、興味・関心の幅を広げ、自ら主体的に取り組む何かを見つけるため、体操、リトミック、ヒップホップ、英会話、ピアノなどが学べる環境も整えてきました。 国が早期教育の重要性を認識し、保育園を幼稚園と同じ教育施設として位置づけ、「保育所保育指針」を改訂して就学前教育をスタートさせた2018年、各園には小学校へつながる学びの連続性を意図した「全体的な計画」の策定が義務づけられました。さらに国や県は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を提示し、年間保育計画を立てるよう求めました。 しかし、現場はまだ手探り状態で、指導者である保育士もこの大きな改革を十分理解はできていません。そのような中、さらに文科省は昨年「学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について~幼保小の協働による架け橋期の教育の充実~」を公表しました。 それによれば、幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、5歳児から小学校1年生の2年間を「架け橋期」と称して、0歳から18歳までの学びの連続性に配慮しつつ「架け橋期」の教育の充実を図るよう求めました。 その重要性を理解しつつも、保育園も小学校も、現場が忙しい中でこれ以上推進を図ることの難しさを感じているのが現実ではないかと思います。私自身はこの3月末で園を去りますが、つくばに蒔(ま)いた種を、現場がしっかり引き継いでくれるよう期待しています。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園園長)

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