火曜日, 4月 7, 2026

市民より職員が大事? つくば市の不思議《吾妻カガミ》183

【コラム・坂本栄】元国立研究機関研究者の投稿「つくば市の過剰な管理職数の問題を考える」(5月1日掲載)はとても勉強になりました。市の予算配分と職員構造の問題点を分かりやすく分析してくれたからです。NHK連続ドラマ「虎に翼」の主役の口癖を借りれば、つくば市の「はて?」をいくつか提起してくれました。 縦横斜めから職員人件費を分析 元高エネルギー加速器研究機構准教授の酒井氏は投稿の中で、現市長下で市職員の人件費が大幅に増えたと指摘しています。1期目~2期目半ばの6年の間に、人口が8%増えたのに伴い歳出は24%増え、職員の人件費も20%増えた―と。 前市長の2期目終年と3期目終年を比べると、人口は5%増、歳出は19%増と、現市長下と似たようなトレンドでしたが、人件費の方は2%増にとどまっていました。現市政でお留守になった行政改革が徹底していたからでしょう。 上の数字は現市政と前市政の比較です。そこで、歳出に占める人件費の割合(2022年度)を調べたところ、土浦市は15.1%、水戸市は13.5%なのに、つくば市は18.8%でした。縦(前市政と現市政)で比べても横(つくば市と他2市)と比べても、現市長下の人件費支出は突出しています。 この問題を斜めから(市民目線で)チェックすると、「2024年度予算では…市民1人当たり8.3万円になります。(前市長時代の)16年度は7.1万円ですから、現市長下で17%も増えた…」(酒井氏投稿)ということですから、つくば市民は甘く見られたものです。 行革の緩さは市長2期目に加速 ここまで書いてきて、五十嵐市長が市民を名誉毀損(きそん)で提訴した一件を思い出しました。元市議の亀山氏が発行したミニ新聞の市政批判記事はウソが多いと、同氏を訴えた裁判沙汰です。その概要は、126「…市民提訴 その顛末を検証する」(2022年2月7日掲載)をご覧ください。 名誉を傷付けられたと訴えた箇所は全部で22ありました。うち、ミニ紙が「(五十嵐市政3年目の人件費は前市長時代に比べて年間)7億6500万円も増えており、(市原前市長時代の行政改革の)努力が水泡と消えてしまいます」とした箇所について、五十嵐市長側は「あたかも原告(市長)の施策により税金を無駄に使っているように(読者を)誘導するもの」と論述していました。 引用した金額は酒井氏が示した数字とは違いますが、ミニ紙も人件費支出の甘さ=行革の不徹底を突いているという点では同じです。この記事は市人事課の資料を使って書かれていましたから、ファクト(事実)でありフェーク(虚偽)ではありません。五十嵐市政1期目の行革の緩さは2期目も続いているどころか、加速しているようです。 横柄な市民対応は構造的な問題 冒頭リンクを張った酒井氏の投稿は、人件費過剰問題よりも管理職過剰問題に紙幅が割かれています。係長級(係長・主任主査)も管理職なのかどうか、コメント欄で論争がありましたが、係長級以上を管理職とする酒井氏の定義には説得力がありました。つくば市の場合、その割合が正職員全体の53%というのは驚きです。 土浦市はこのシェアが32%(2021年度)だそうですから、つくば市の「過半」は異常です。こういった職員構造が横柄な市民対応の原因なのだとすれば、はて? (経済ジャーナリスト)

「孤立の風景」筑波大大学院生 野一色優美さんが個展 つくば スタジオ‘S

筑波大学で日本画を研究する大学院生、野一色(のいしき)優美さん(25)の個展「孤立の風景」が17日から26日まで、つくば市二の宮のギャラリー、スタジオ‘S(関彰商事つくば本社内)で開催されている。日本画で伝統的に使用される麻紙(まし)の表現の可能性を模索しながら、人の記憶や感情の揺らぎを主題にした作品など6点が展示されている。 会場中央に展示されている作品「孤立の風景」は、麻紙を割いたり、もみ込んだり、糸で縫い合わせたり、一部を炎で焦がすなどした後、墨をにじませ、岩絵具やアルミ泥などで仕上げた。作品は縦約3メートル、横約2メートルで、床面から50センチほど浮かんだように展示され、周囲の床には、自身や友人らが実体験した言葉が印字されたトレーシングペーパー300枚ほどが散らばっている。 野一色さんは「経験などを通して得た思いや印象などの記憶が、時間経過により希薄になっていき、経験した本人と記憶が分断され、ただ想いだけが取り残された感覚を表現している」とし「自らが死に直面するような出来事や体験があったとしても、 そのときに感じた不安や葛藤は、後々にはどこか他人事のように思えてくるようなことがある。トラウマだけが残りながら記憶がだんだんと孤立していく様子を、浮遊していくような一つの風景として表現した」と語る。 約1カ月間、スタジオ‘Sに滞在しながら制作し設営して、作品の世界観を作り上げた。会場入り口には、自身が棺(ひつぎ)に入った姿を表現した作品「エピローグ」を展示している。 野一色さんは大阪市出身。美術系の高校で岩絵の具や金箔、銀箔に触れたことが日本画を専攻するきっかけになった。滋賀県内の美術大学を経て現在、筑波大大学院人間総合科学学術院の博士課程に在学し、麻紙や岩絵具などを使用しながら、作品の形にとらわれない不定形の基底材での表現を研究している。 「今までは人物画を中心に制作を続けていたが、人物を描く過程で、人物そのものを描きたいのではなく、人の持つ思いの揺らぎや記憶を日本画で表現したいと思うようになり、様々な作品形態を追求している」という。 2021年には個展「その気に触れて」をギャラリーキューブ(滋賀県)で、2022年は「颯」を高島屋大阪店と横浜店で、2023年は「藍より青し」を総本山三井寺(滋賀)などで開催している。 今後の活動について野一色さんは「今までの日本画に制限されない作品を作っていきたい」と述べる。(榎田智司) ◆野一色優美個展「孤立の風景」は5月17日(金)~26日(日)、つくば市二の宮1-23-6、関彰商事つくば本社敷地内、スタジオ’Sで開催。開館時間は午前11時~午後5時。入場無料。詳しくはスタジオ‘Sのホームページへ。

「花火の日」は年に3日もある?《見上げてごらん!》27

【コラム・小泉裕司】5月28日は「花火の日」。8月1日、そして8月7日も。年に3日ある「花火の日」は、それぞれ起源となった出来事や設定目的が異なる。 5月28日:由来は両国の川開き 昨年、4年ぶりに開催された隅田川花火大会は、観客数103万人で過去最多を記録。昨年の国内の花火大会でも最多に違いない。今年の大会(7月27日)も、すでに有料の市民協賛席はほぼ完売状態だ。 この隅田川花火の前身「両国の川開き」は、日本の花火大会の起源とされており、1733年(享保18年)5月28日、徳川吉宗が飢饉(ききん)などの犠牲者の鎮魂や疫病退散祈願のために花火を打ち上げたことから、「花火の日」の由来とされている。 制定団体などの詳細は確認されておらず、しかも、根拠としている徳川吉宗川開き説は、歴史的記録が存在しないことは、本コラム16「日本の花火大会のルーツは?」(23年7月16日掲載)で紹介した通り。 今さら、素人の私が声高に「偽史」を叫んだところで「野暮」と言われるだけ。人は「偽史」に引かれるのだから、これはこれで良し。 8月1日:由来はマルチな出来事 参考文献では、1967年に煙火業者が中心となり、がん具花火の安全な消費運動を目的に制定したとあるが、いくつかの出来事が偶然にもこの日に重なったことに由来するようだ。 一つ目は、終戦後、GHQに禁止されていた花火製造と販売が1948年8月1日に、限定的ではあったが解禁されたこと。 二つ目は、この解禁に伴い、同日から「両国川開き大花火」が再開したこと。三つ目は、1955年8月1日、都内本所厩橋(うまやばし)の玩具花火問屋で大規模な爆発事故が発生し、多くの死傷者が出たこと。 さらに、世界一の花火大会とも称された「教祖祭PL花火芸術」(大阪府富田林市)が開催されていたことも由来とされているが、1953年から66年続いたこの大会は、新型コロナの流行で昨年まで4年続けて開催されていない。 ちなみに、火薬の使用を禁止したGHQは、特別な日に日本の花火職人に基地で花火を打ち揚げさせることもあったようで、日本の花火に魅了されていたGHQが花火業者の訴えに耳を貸し、解禁が実現したという。匠の技は、不変なのだ。 8月7日:由来は語呂合わせ 8月7日は、「ハ(8)ナ(7)ビ(日)」と読む語呂合わせから、日本煙火協会が、おもちゃ花火の文化伝承とマナーの向上を図ることを目的に制定した記念日。2017年に「おもちゃ花火の日」として、日本記念日協会が認定・登録したもの。 煙火協会は6~8月をおもちゃ花火の安全消費月間に定め、「花火は危険である」という他の業種には類がない逆転の発想で、「ルールを守って楽しい花火」をスローガンに、全国で啓発活動を行っている。 8月7日開催の花火大会で人気なのは、「神明(しんめい)の花火」(山梨県市川三郷町)。色彩豊かな花火に魅了されたコアなファンが多い。発売後数秒で完売となる有料観覧席は、今年はふるさと納税に紐(ひも)付けて発売中。 「土浦花火の日」を提案 第1回土浦全国花火競技大会は、99年前の1925年9月5~6日の2日間、霞ケ浦湖畔で開催された。来年は100周年のアニバーサリー。この9月5日を「土浦花火の日」に制定してはどうだろう。記念日協会の登録は経費がかさむので、自称ということで! 本日は、この辺で「打ち留めー」。「シュー ドドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長) <参考文献>「花火の事典」(新井 充、東京堂出版、2016年6月刊)「日本の花火のあゆみ」(武藤 輝彦、あずさ書店、2000年10月刊)「花火入門 令和5年度版」(日本煙火協会、2023年6月刊)「花火と土浦」(土浦市、2018年3月刊)

かわいい獲物《短いおはなし》27

【ノベル・伊東葎花】 人間の姿をしているが、実は私は妖怪だ。普段は山奥に身を潜めているが、ときどき食料を探しに街に来る。 私たちの食料…もちろん人間ではない。人など食べない。私たち一族は、猫が好物だ。「猫食い族」なんて呼ばれている。 飼い猫には手を出さない。その辺はわきまえている。捕まえるのは野良猫だ。私は公園に身を置いて、野良猫を待った。 数日後、段ボールに入った猫が捨てられた。猫は2匹。『誰か拾ってください』と、書いてある。これは犯罪だが、私にとっては渡りに舟だ。 猫に手を伸ばした時、ランドセルを背負った女の子が声をかけてきた。 「おじさん、1匹ちょうだい」 「いや… これはわたしの獲物…」 「お願い。わたし、ずっと猫を飼いたかったの」 女の子はまっすぐな目で私を見た。まあいいだろう。また捕まえればいいし。私は、女の子に猫を1匹渡した。 「ありがとう。じゃあおじさん、また明日ね」 「明日? なぜだ?」 「だってこの2匹はきょうだいよ。離れ離れはかわいそう」 女の子は小指を出して、無理やり指切りをした。困った。約束をしてしまった。まあ、どのみち食べごろには程遠い。しばらくここにいるのもいい。猫は食料になるとも知らずに、私の懐で無防備に眠った。 翌日、女の子が公園に来た。 「ほら、小雪、一緒に遊びなさい」 「こゆき?」 「うん。この子の名前。白いから小雪。おじさんの猫は何て名前?」 はて…。食料に名前など付けるはずがない。 「名前ないの? じゃあ私が付けてあげる。小雪のきょうだいだから小雨ね」 「こさめ」つぶやいてみると、私の猫がニャーと鳴いた。女の子は紙袋から何とも歪なおにぎりを取り出した。 「はい、おじさん。ママに内緒で作ってきたの。小雨と分け合って食べてね」 女の子は、じゃあまた明日、と指切りをした。おにぎりは、小雨も吐き出すほどのしょっぱさだった。 翌日、また女の子が来た。今度はキャットフードとコンビニのおにぎりを持ってきた。 「お小遣いで買ったの。小雨と一緒に食べてね」 獲物になるとも知らないで、女の子は小雨をなでた。不思議な気持ちになった。人間の言葉だと「罪悪感」とでも言うのだろうか。小雨はキャットフードを夢中で食べた。 翌日、女の子は甘いお菓子を持ってきた。それを食べた小雨は、甘い匂いがした。不思議な感情が沸いてきた。「いとおしさ」とでも言うのだろうか。 1週間後、私は小雨と別れた。女の子にあげたのだ。 「本当にいいの?」 「おじさんは、遠くへ行くんだ」 「わかった。小雨のことは任せて。おじさん、元気でね」 「ありがとう。君はどうしてそんなに優しいんだい?」 「だってパパが言ったの。動物が好きな人に悪い人はいないのよ」 女の子は、小雪と小雨、2匹を抱えて帰って行った。 やれやれ、手ぶら帰ることになってしまった。猫を食べなくても、おいしいものはいくらでもある。時代は変わった。そろそろ食生活を変えてみようと、思い始めていたところだ。 (作家)

車いすに乗った「普通」の友達《電動車いすから見た景色》54

【コラム・川端舞】一度読んで、大好きになった絵本がある。2019年、アメリカのヘンリー・ホルト社から出版され、今年4月にエトセトラブックスより日本語訳が発売された『じぶんであるっていいかんじ:きみとジェンダーについての本』。トランスジェンダーの子どもを持つテレサ・ソーンの優しい言葉と、トランスジェンダー当事者であるノア・グリニのぬくもりのある絵が、子どもたちの心に寄り添っていく。 成長する過程で、子ども自身が自分の中に感じる性のあり方を性自認という。絵本には、出生時に周囲の大人が判断した性別が、その後の本人の性自認と合っていたシスジェンダーの子どもも、出生時に判断された性別と性自認が違っていたトランスジェンダーの子どもも登場する。 性自認が男性である子どもも、女性である子どもも、どちらでもない子どもも登場する。そんな全ての子どもたちに「きみは、きみとして生きていけばいい」と優しく語りかける。大切な人が新しい命を授かったときに贈りたい絵本だ。 作中の登場人物のひとり、JJは「自分は男の子でも女の子でもない」と感じている。性自認が男女という枠に当てはまらない、幅広い性のあり方を「ノンバイナリー」という。JJは、同じくノンバイナリーであるアレックスや、トランスジェンダーの女の子ルーシー、シスジェンダーの男の子ザビエルと、広場に遊びに行く。 実は、絵をよく見ると、JJだけ車いすに乗っている。しかし、文章の中で、JJが歩けないことには全く触れていない。リュックを背負っているかどうか、犬を連れているかどうかと同様に、車いすかどうかは取るに足らない、些細(ささい)なこととして描かれている。 トイレより、遊ぶ方法で悩める社会に おそらく現実世界ではそうはならない。車いすで広場に行くためには、その近くに車いすが入れるトイレがあるか、そこまで向かうためのバスがバリアフリーかどうかを確認する必要があり、車いすで広場に行く過程だけで物語ができてしまう。一方、トランスジェンダー当事者が出かけようとすると、男女どちらのトイレを使うかという、どうでもいい大論争が起こってしまう。 それは、車いすユーザーや、男女の枠に当てはまらない人たちの存在を無視して、この社会がつくられているからである。機能障害の有無や性別に関係なく使えるトイレが当たり前にあれば、どこのトイレを使うかなど、考えなくて済む。 トイレ問題よりも、「どうやって遊べば、もっと友達と仲良くなるか」という難題に、子どもたちが存分に挑戦できる社会になってほしい。(障害当事者)

コスプレーヤーの高校生ら 動画制作しつくばの古民家をPR

江戸時代後期に建築されたとされるつくば市栗原の古民家、下邑(しもむら)家住宅で、コスプレーヤーなどの愛好家グループ「下邑しぇあすたじお」(藤島正朗代表)が古民家をPRするプロモーションビデオ(PV)を今年4月に完成させた。下邑家住宅では母屋や庭などを含め屋敷全体を撮影用に貸し出している。グループは貸し切りプランを利用し「刀剣乱舞」という人気のゲーム作品をモチーフにPVを制作した。現在X(旧ツイッター)で公開している。 下邑家住宅は、県道土浦大曽根線沿いの長屋門が連なる栗原地区にある。後継者の郷悠司さん(31)らが年に2回マルシェなどを開催するなど、古民家の保存活用方法について模索を続けている(23年5月31日付)。 撮影は4月6日に実施された。コスプレーヤー8人と、イベント参加者10人が加わり、1分42秒の短い動画にまとめられた。Xでの閲覧数は5月15日時点で8000件を超えるなど予想を超える反響を呼んでいる。 PV制作は、コスプレーヤーで千葉県柏市在住の高校3年生、綾茶葉(あやちゃば)さん(17)が発案した。農業を中心に地域活性化を目指すつくば市の合同会社「ワニナルプロジェクト」(4月18日付)のイベント担当で、市内在住の藤島正朗さんから下邑家住宅を教えられ、撮影に使う機会があれば、古民家の魅力が多くの人にもっと伝わるのではないかと「下邑しぇあすたじお」を発足させた。 メンバ―は17歳から34歳の高校生、大学生、会社員らで、コスプレーヤー、映像スタッフなどで構成する。下邑家住宅などつくばの素晴らしいロケ地を拡散し認知度を向上させること目的としている。4月に同住宅で撮影イベントを開催した。今後はつくば市を中心に自然豊かな場所でコスプレ撮影をするイベントを継続的に開催していきたいと綾茶葉さんは言う。 綾茶葉さんは元々アニメ好き。SNS等でアニメキャラクターにふんしたコスプレ写真を見ているうちに自分でも表現したいと思い、コスプレの世界に入った。今回のPVでも刀剣乱舞のキャラクターである加州清光にふんして出演している。 刀剣乱舞はゲームとして制作され、アニメ、舞台、歌舞伎などにもなった人気作品。綾茶葉さんは下邑家住宅について、刀剣乱舞の世界観にぴったりで、関東で撮影にぴったりな場所はここしかないと思ったそうだ。 下邑家住宅の郷悠司さん(31)はPVについて「うちの家のポイントを押さえてあり、自分で撮りきれない部分まで入っていたのでとても良かった。またコスプレーヤーの演技を見ることが出来てとてもうれしかった」と感想を述べた。 綾茶葉さんは「つくば市は愛好家にとって環境が良い、地域を創生させることによって、ロケーションビジネスとしても成功させたい」と話す。 今後は下邑家住宅だけでなく同市上郷の金村別雷神社(かなむらわけいかずちじんじゃ)での撮影も予定している。11月上旬には下邑家住宅でイベントを開く予定という。(榎田智司) ◆PVはXの「下邑しぇあすたじお」で見ることが出来る。

「死が遠ざかった」今の時代《看取り医者は見た!》19

【コラム・平野国美】今、週刊誌の表紙を見ると、「飲んではいけない薬」とか「老後の問題」といった医療介護関係の話題が必ず出ています。特に、毎週月曜日に発売される2つの週刊誌はこれらが必須の記事になっています。昭和や平成のころは、こういった記事はほとんどなく、「新橋の居酒屋情報」とか「買ってはいけないマンション」といった記事が多かったのですが…。 私も、『看取りの医者』(2009年、小学館)を出版した後、よくそういった内容の記事依頼を受けました。あるとき、「こんなに毎週、病気や死ぬ話ばかり出していて、いいの?」と編集者に尋ねたことがあります。 答えは「読者層が昭和、平成から変わらないようで、60~70代がメーンなのです。彼らが現役のときは、飲み屋や旅行、家や車の購入方法が関心事でしたが、今の最大の関心は病気や死ですから、そういった話を盛り込まないと売れません。グラビアも、現代の女優やアイドルではだめで、昭和のスターを出さないと…」でした。 「顔に白い布」を見ていた日常 今は「多死社会」と言われる時代ですが、この分野は誰にも未知の世界です。それゆえに、恐怖を感じるのでしょう。 親との同居が当たり前だった大家族時代には、祖父や祖母、もっと言えば曽祖父が同居しており、腰が曲がり、寝たきりとなり、顔に白い布がかかる日を日常の生活で見ていました。その過程に家族として寄り添うことで、現実として受け止めていました。しかし、核家族化の今の時代、病人や高齢者が同居しておらず、リアリティが消失しているのです。 今年の春は気象予報が立てにくく、桜の開花予想が大きく外れました。桜の名所で満開を期待してきた外国人旅行客が「満開かと思ってきたら、もう葉もなく、枯れ枝ではないか」と話していました。そこの桜はまだ蕾さえ小さく、開花前なのですが、日本の桜を見慣れていない彼らには、花どころか葉さえ散ったように見えたのでしょう。 ドラマの中の死だけでは現実味がなく、心に痛みが伴わぬものです。普段から現実を見ることが大切だと思います。昔の地域共同体では共同で葬式を出していました。近所の家での看取りを通し、死を感じることができた時代でした。死は私にも恐怖ですが、仕事ですから私には日常です。自分の親の死に際にしても、周囲に鈍感と思われるほど淡々としていました。自分の人格を疑われるのではないかと思ったほどです。(訪問診療医師)

ハクレンの大量遡上始まる 桜川 つくば 松塚の堰 

15日朝、桜川 松塚の堰(つくば市松塚)に、ハクレンが大量に遡上したのを桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)が確認した。朝は水面が真っ黒になるほどだった。大量遡上が確認されたのは今年初めて。夕方には、朝より数は半分ほど減ったものの多くのハクレンが見られ、背びれを水面にのぞかせて泳ぐ様子に、川辺で農作業をしていた近隣住民も驚いていた。 ハクレンジャンプと言われる集団跳躍行動はまだ見られず、何匹かが堰を上ろうとジャンプする様子が観察された。堰を上りきれず浅瀬にジャンプし、岸に打ち上げられたハクレンも5、6匹見られた。 年々遡上する数が増加 桜川漁協の鈴木組合長によると、ハクレンが桜川に大量に遡上し始めたのは3年前からで、年々遡上する数が増えている。「おとといの13日、雨が降ったので桜川が増水し産卵のために上ってきた。今日は松塚の堰はそれほど水が多くない。松塚の堰を上ったハクレンは(さらに上流の)田土部堰(たどべぜき)が閉まっているのでこれ以上は行けず、ここにとどまったり戻ったりしながらジャンプしている。前は利根川のハクレンジャンプが有名だったが、最近は桜川でも見られるようになった」と話す。 20時間で稚魚になり霞ケ浦へ ハクレンは、1匹のメスに数匹のオスが寄り添って産卵と受精が行われる。受精した卵は下流に流されながら、20時間ほどでふ化して稚魚になるという。鈴木組合長は「3年前には霞ケ浦のワカサギ漁の網にハクレンの稚魚が大量に入り、ハクレンとワカサギをより分けるのが大変だったという話を聞いている」と話し、「去年も今年もワカサギはあまり獲れないと聞く。このままではハクレンばっかりになってしまう」と懸念する。 ハクレンは中国原産の外来魚で、成魚の体長が100センチ、重さが10キロほどになる大型魚。アオコなどの植物プランクトンを餌としている。産卵期が5月から7月で、この時期に集団跳躍をする習性がある。産卵は、産卵日の前日や前々日が雨天で、川の水量が増加した早朝から行われる傾向があるという。 昨年5月には田土部堰でハクレンの大量酸欠死が発見され(23年5月27日付)、6月初めには台風の影響による増水で大量の死骸が霞ケ浦に流される事態が発生した(23年6月2日付)。(田中めぐみ) https://youtu.be/mEdw6IGQxy4

県内の生産は低位推移 消費は緩やかに回復【筑波総研リポート】

筑波銀行グループの筑波総研が15日まとめた「茨城県経済の現状と展望」によると、2月の鉱工業指数(2020年=100、季節調整済み)は106.9と、前月比3.5%上昇したものの、低位の水準で推移している。中国経済の減速などを要因に、自動車や建設機械、半導体関連の生産が減少しており、生産活動には弱さが見られるという。 3月の大型家電店販売は大幅増 個人消費は一部に弱さが見られるものの、全体としては緩やかに回復している。3月の販売額を分野別に見ると、百貨店・スーパーは前年同月比5.2%、家電大型専門店は同23.0%、ドラッグストアは同5.6%、ホームセンターは同5.7%の各プラス。コンビニエンスストアは同0.2%マイナスだった。 筑波総研の担当者は「県内のサービス業の声を聞くと、物価上昇で節約志向がうかがえる一方で、宿泊や小売りは良くなっており、個人消費は緩やかに回復している」という。 空港国内旅客はコロナ前水準に 茨城空港の3月の国内旅客数(定期便)は6万650人になり、コロナ禍前の水準に戻っている。しかし、国際線旅客数(定期便)は2081人と回復が遅れている。「台北便は昨年から運行を再開したが、上海便は5月末まで運休、西安便も10月下旬まで運休が続く」ことがその背景。 コロナ禍でクルーズ船の寄港がほぼストップしていたが、県の誘致戦略もあり、今年度は国内船・外国船とも寄港数が増えそうだ。筑波総研が作成した寄港一覧によると、11隻が予定されている。(岩田大志)

5年ぶり200人規模に 18日 恒例の田植祭 JICA筑波

20年以上続く恒例行事の田植祭が18日、国際協力機構(JICA)筑波センター(つくば市高野台)内の水田で催される。当日は、JICA筑波で農業技術などを学ぶアフリカ、アジア、中南米からの研修員と地域住民が力を合わせて苗を手植えする。コロナ禍で2020年から2年間は開催が見送られ、昨年までは人数を制限して開催だった。今年は5年ぶりにコロナ前同様の200人規模での開催となる。 当日は「ネリカ米」を使ったエスニック料理の試食会もある。ネリカ米はアフリカの食糧事情改善を目的に開発され、JICAも品種開発と普及を支援する。 「日本は途上国を一方的に支援しているわけではなく、開発途上国に支えられている」とJICA筑波連携推進課の西岡美紀さん(38)はいう。食料自給率は4割未満。さらに近年は労働力人口の減少から、途上国とのつながりなしでは人手不足も解消できなくなりつつある。「田植祭の目的はJICA筑波の活動を知ってもらうと共に、交流を通じて、地域の方に日本と世界のつながりや途上国への関心を持ってもらうこと」だと話す。 つくばだからこそできる国際協力 全国に15カ所あるJICAの国内拠点の中でも特に農業に特化する筑波には、各国の政府機関や自治体から来る年間700人余りの研修員が、それぞれの国が抱える課題を解決しようとやってくる。各国の主要な作物について、品質や収量の向上、病害虫対策など、研修員は自国が直面する課題に対する実験計画を立て、日本の指導員と取り組み、最後にテクニカルレポートを作り上げて帰国する。 研修業務を担当する須田麻依子さん(45)は、近隣にある多様な専門機関と連携できるのがJICA筑波の特色だと話す。「つくばには、近距離に専門機関がたくさんある。気候変動を例にすると、農業分野でどう適応していくかを学びたい方がいれば農研機構の専門家にレクチャーしてもらうし、森林分野の問題では森林総研に最新の研究について講義をお願いする。筑波大の先生から海岸地域の気候変動対策に関するお話を伺い実際に施設を見せてもらうこともある。バスで15分も行けば専門家から直接レクチャーが受けられるのは国内でここだけ。オンラインで海外や日本全国の専門家と接続することは可能だが研修でしか学べないことがたくさんある」と話す。 道の駅を自国でオープン 近年は農業県である茨城の特色を生かし、自治体や農家を交えて多角的な視点で農作物に付加価値を付け、市場を広げる研修にも力を入れている。道の駅のアイデアを自国に持ち帰り、実際にオープンさせた例もあるという。 2020年からは研修員と、途上国での活動に関心を持つ企業や大学を結びつけるためのプロジェクト「農業共創ハブ」をスタートさせた。「企業にとっては現地の人の声を聞ける機会になり、研修員にとっても企業から話を聞くことは非常に有益。JICA筑波がハブとなり、日本の民間企業や大学と途上国のつながりが生まれるよう立ち上げた」と連携推進課の西岡さんは言う。 18日の田植祭は、交流を楽しみにする地元住民らから多数の応募があり、予定より早く募集を締め切った。 「アフリカでも若者の農業離れが進んでいると聞く。田植えは研修員にとっても日本人との貴重な交流の場。日本語を勉強している人もおり、地域の日本人との交流の機会になってよかったと言っている。双方向の文化の理解につなげたい」と西岡さんは企画への想いを語る。(柴田大輔) ◆田植祭は5月18日(土)午前10時40分から12時30分まで。場所はJICA筑波圃場内にらう水田で開催する。秋には収穫祭が予定され、例年9月に研修員と稲刈りを楽しみエスニック料理を食する。詳細はJICA筑波ホームページへ。

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