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2024
「土浦の花火」中止に思う(2)《見上げてごらん!》35
2024年12月15日
【コラム・小泉裕司】12月7日(土)午後7時、牛久沼畔で、山﨑煙火製造所のミュージック・スターマインが、初冬の澄んだ夜空に鮮やかなきらめきを見せた。オープニングは青と紅が交互に変化する牡丹(ぼたん)花火。パステルカラーや錦色の柳や千輪が荘厳なチェロ曲「Dark Academia」にシンクロし、間の取り方や時差変化に引き込まれた2分30秒。土浦仕様のスターマインに違いない。 打ち上げ現場近くでの山﨑智弘社長との会話は、おのずと土浦花火中止の話題に。「いろいろあるのでしょうが、前を向くしかないです」と、土浦花火を支える主要な1人である社長。複雑な思いをにじませながらも、潔い花火師魂に触れ、逆に励まされた思い。 市民と一体感のある大会 折しも2日後の9日(月)、2024年第4回土浦市議会定例会において、第93回土浦全国花火競技大会中止に関し、再々質問まで加えて14項目にわたる一般質問が行われ、塚本隆行産業経済部長が答弁した。質問は執行部の考えを問う形で進んだが、経緯および現状報告を除いては、具体的対応を示す答弁はなく、今後の検討課題とするにとどまった。 年明けに本番を迎える新年度政策予算査定の中で、次回開催に向けた検討がなされるのだろうか? いずれにしても来年は「土浦の花火100周年」。従来の行政主導による運営方法への信頼が揺らいだこの機に、透明性を醸成しながら、大曲や長岡の花火の例を挙げるまでもなく、「市民と一体感のある花火大会」への新たな歴史を生み出すスタートの年にしたいものだ。 花火カレンダー2025 いつまで待っても、大会ホームページに花火カレンダー販売のお知らせが掲載されない。そりゃそうだ。「中止のお詫び」や「払い戻し」と並行して表示するには、まだ違和感があるのだろう。印刷会社の「いなもと印刷」や「まちかど蔵大徳」で計10本を買い求め、友人知人に送り届けた。 ちなみに、カレンダーを制作した稲本修一社長は、来年の写真をどうしようかと悩んでいる。 長野で土浦花火ファンから元気をもらう 11月23日(土)、 長野えびす講煙火大会(長野市)に参戦したところ、宿泊先のホテルロビーで奇跡的な出会いがあった。 男性「土浦の小泉さんですか?」 小泉「そうです」 男性「声を聞いて、そうかなと思い、声かけさせてもらいました」 小泉「どちらかで?」 男性「小泉さんの出演動画やネットの記事を見ていました」 小泉「恐縮です。ありがとうございます」 男性「青森の亀田と言います。昨年の土浦花火フォトコンテストで、まぐれで入賞しました」 小泉「厳正な審査で選考されるので、まぐれはないですよ」 小泉「今年も来場される予定でしたか?」 亀田さん「はい。中止は残念でした」 小泉「大変申し訳ありませんでした」 亀田さん「だいじょうぶです」 小泉「来年は100周年大会を開催しますので、今回に懲りずに、来場してください」 亀田さん「必ず行きます。土浦の花火が好きなんです」 花火の魅力をお伝えするのがミッションの花火鑑賞士。これぞ本望なり。長野で、青森県人から元気をもらった。 この後、大会HPを確認したら、なんと「優秀賞」を受賞した方。「花火師紹介」と桜川の川面に映る虎の尾花火は、土浦ならではの構図。土浦の花火カレンダー2025のトップ「1月・2月」に採用されていた。 今年はこの辺で年越しぃー。「ドーン ドーン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長) <土浦の花火カレンダー販売情報>土浦市観光協会/観光情報物産センターきらら館/まちかど蔵大徳/いなもと印刷へ。
研究者ら「理系のリアル」語る 中高生の理工系選択を応援
2024年12月14日
土浦で進路シンポジウム 文系と理系の選択や将来の進路に迷う中高生を対象に、理工系への「進路選択」を促すシンポジウムが14日、土浦市大和町の県南生涯学習センターで開かれた。昨年までのオンラインから対面での開催に切り替わり、講演やトークセッションで、研究者やエンジニアらが学業や研究、職場での「理系のリアル」を語った。科学技術分野における次世代のグローバルリーダー育成を目指して県科学技術振興課が主催する「理工系進路選択応援シンポジウム」。2017年に理工系女子向けに開いたのが1回目で、コロナ禍の間に門戸を拡大してオンライン開催を続けていた。土浦開催は今回が初めて。高校の多くで2年進級時に文理選択が行われているため、選択に悩む高校1年生をメーンに参加者を募った。保護者を含め、延べ120人が集まった。基調講演で宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球観測研究センターの大木真人主任研究開発員が語ったのは「理学」と「工学」がクロスする職場のリアルだった。「わからなかったことがわかようになる」のが理学、「できなかったことができるようになる」のが工学、とした上で、自らが関わる「だいち2号(陸域観測技術衛星2号、ALOS-2)」の地表を観測するレーダーになぞらえて話を展開した。「合成開口レーダーは電波の反射で雲の下の地形や建物まで撮影できる装置だが、理工系の論理だけ主張しても予算は取れない。雲の下をみることで災害状況を把握でき、避難誘導につなげられる。アウトプットにアウトカムの説明までして初めて予算がとれる」と人工衛星開発という仕事のリアルを語った。少年時代は宇宙飛行士を夢見たが、物理学を選んだ進路では数学につまづくなどして、コースは一本道ではなかった。最終的に学位をとったのはJAXA職員となってから。「回り道をして複数の分野を学ぶのは意味のあること。チャンスは数多くある」と結んだ。 「選択は1回限りじゃない」 文系と理系、さらに理系に進んだ後の選択のありようも多様にあることが、午後からのトークセッションのメーンテーマになった。4つのセッションで進路選択の経験談が語られた。理化学研究所の山田郁子技師は心理学のカウンセラーになりたくで大学で哲学を専攻しながら在学中の実習授業で実験の楽しさに目覚め、生理・薬理心理学へ進路変更した。国際農林水産業研究センター(JIRCAS)の藤田泰成ディレクターは高校では現代社会(公民)の授業が好きだったが大学では教養学部で法学や経済学の授業についていけず単位取得に苦労したという。大学卒業後の就職が内々定していた山田さんも、教職課程を履修していた藤田さんも結局、大学院に進んだ。「研究を続けていると選択肢が見えてくる。研究は1つの答えを求めるが、応用の選択肢は実はたくさんあった」と会場の中高生らを諭した。聴講していた水戸市の谷古都(やこう)雄大さん(水戸一高2年)は「自分は将来やりたいことがあって理系を選んだ。工学、理学の選択の後に職業の選択もあって、これからもよく考えていきたい」と語った。(相澤冬樹)
筑波大生とさまざまな工作に挑戦 冬のキッズアート体験 関彰商事
2024年12月14日
スタジオ'Sでクリスマス展開幕 筑波大学で芸術を専攻する学生に教わりながら、子供たちがさまざまなアート技法を体験するイベント「冬のキッズアート体験2024」が14日、つくば市二の宮、関彰商事(関正樹社長)つくば本社で開催された。会場には、卵型の発砲スチロールに和紙を貼ってオリジナルのクリスマスツリー飾りを作るブース、野菜の皮を使った染料でハンカチを染めるブースなど8つのブーズが設けられ、子供たちが楽しみながら積極的にアートに挑戦する様子が見られた。 併せて同本社のギャラリー、スタジオ’Sでは同日から、筑波大大学院日本画領域の大学院生と卒業生8人によるグループ展「クリスマス展」が始まった。25日までの12日間、クリスマスにちなんだ新作が展示される。 キッズアート体験は、関彰商事と筑波大学との芸術分野における連携「スタジオ'S with T」による小学生向けのイベントで、2016年から年2回開催している。参加者に好評でリピーターが多いのが特徴だ。 14日は午前、午後合わせて小学生ら計67人が参加した。筑波大生18人が直接指導にあたり、子供たちは保護者が見守る中、楽しそうに自分だけの作品を作っていた。 同市みどりのから参加した羽鳥眞白さん(10)は「参加したのは2回目。丁寧に教えてくれ、話をちゃんと聞いてくれて良かった。自分の思うような作品作りが出来てとても楽しい」と話していた。指導にあたった同大大学院の中津端樹さんは「子供たちは積極的に作業をしてくれて、素直でとてもかわいい」と感想を述べた。 中津さんは14日から始まった「クリスマス展」にも「イブ」というタイトルの絵画を展示している。「実家で過ごしたクリスマスイブに姉に手紙を書いてもらった幼少期のことを思い出して描いた」という。同展では会期中、出展者が在廊する日に、会場でポストカードやハンドメイド作品、絵画の小作品などを販売する。(榎田智司) ◆クリスマス展の開館時間は午前11時~午後6時。入場無料。
世界最大の木造犬「モックン」がリニューアル つくばわんわんランド
2024年12月14日
胸に展望台 筑波山麓にある日本最大級の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田、東郷治久代表)のシンボルで、世界最大の木造犬モニュメント「モックン」がリニューアルされ、 13日お披露目された。高さ11メートル、黄色い毛色の5代目モックンで、胸に展望台が新たに設置された。来園者が上り、展望台バルコニーで記念撮影などができる。 モックンは1996年の開園当初から同園のシンボルとして、柴犬をモデルに造られた。これまで色を変えたり、表情を作り替えたりとリニューアルを進めてきた。今回は2020年以来のリニューアルになる。11月8日に放送されたフジテレビの「日本全国!逆お国自慢 グランプリ」では、茨城県の巨大建造物ランキング第4位になった。 つくばわんわんランドは1996年4月に開園し、今年開園28年となる。今年4月には、40種70匹の猫が暮らす日本最大級の猫触れ合い施設「ねこハウス」 をリニューアルオープンさせるなど(3月29日付)進化を続けている。 隣接するつくば国際ペット専門学校の林潤総務課長は「オーナーが中東を旅していた時『トロイの木馬』の話を聞いて、このモニュメントを造ったと聞いている。これからも筑波山麓全体の活性化に寄与していきたい」と語る。 同園を訪れた千葉県の男性(46)は「今回観光で筑波山に来たので立ち寄った、犬好きには大変素晴らしい施設。モニュメントの大きさに驚いている。犬好きの知人に教えてあげたい」と話した。(榎田智司) ◆つくばわんわんランドは、つくば市沼田579。入園受付時間は午前10時~午後4時(11月~2月)。問い合わせは電話029-866-1001、ホームページはこちら。年末年始は30(月)、31(火)、1月1日(水)が休園日となる。1月2日(木)からは2025年新年イベントとして干支(えと)の巳年(みどし)にちなみ、蛇の衣装を着た犬が何着でゴールするかを予想する着順当てレースショー「2025年新春干支レースショー」や、おしるこ無料配布など多数の企画が予定されている。
鉾田市の昭和観光イルミネーション《日本一の湖のほとりにある街の話》30
2024年12月14日
【コラム・若田部哲】千葉県千葉市と茨城県水戸市を南北に結ぶ国道51号線。鉾田市内に入ると、メロンのビニールハウスや様々な畑が続き、夜間にはひっそりと静まります。そんな街道沿いの冬の闇の中に突如として現れるのが、今では鉾田市の名物となった「昭和観光のイルミネーション」。 この一大風物詩を始めたのは、株式会社昭和観光会長の根本昭さんです。きっかけは、2014年に鉾田市主催の「花いっぱいコンクール」の取り組みとして、社屋の周りを花で飾ったことでした。 花が地域に笑顔をもたらす様子を見た根本さんは「夜になるとひっそり暗くなってしまうこの道を、あたたかく彩れないか」と考え始めます。そうして2016年より、数本の明かりを社屋入口にともしたのが、イルミネーションの始まりでした。 始めてみると楽しみにしてくれる人が現れ、その期待に応えようと、年ごとにスケールは拡大。今では電球数15万個にも及ぶほどになったそうです。毎年、社員総出で1カ月以上かけて準備をなさるとのことで、取材に伺った日も3~4人の方が和やかに作業をされていました。 街に光の輪をつないでいきたい 活動を続けていく中で一番の転機は、2020年に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大です。様々な産業が深刻な打撃を受ける中、最も影響の大きかったものの一つが観光業でした。バス需要が大幅に減少する中、多額の費用を要するこのイベントを継続するかどうか、根本さんは悩みます。 葛藤しつつも、イルミネーションが見たい、という多くの人たちの声に背中を押され、コロナ禍の中、明かりをともします。すると、遠出が自粛される中、市内の方々がぬくもりを求めて集まりました。 感激して涙を流す人、感謝のメッセージを残す人…。大勢の人の思いに触れ、根本さんはイルミネーションの継続を決意。その後、年を追うごとにその規模は拡大し、今では遠く長野の方からも問い合わせがあるそうです。 一大観光スポットとなったイルミネーションですが、本業である観光業の業績アップにつなげようとは思っていない、と根本さん。今後、周辺道路の拡幅が予定されている中、「これからも、少しでも街に光の輪をつないでいきたい」と穏やかに語ります。一個人の思いから始まった取り組みは、今年も寒い冬の夜、多くの人の心にあたたかな灯をともします。(土浦市職員) <注>本コラムは「周長」日本一の湖、霞ヶ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。 2024年度のイルミネーション:12月1日~2025年2月28日(日没~午後10時ごろ) ➡これまで紹介した場所はこちら
圏央道つくば西スマートIC 来春、島名に開通
2024年12月13日
圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の新たなインターチェンジ(IC)「つくば西スマートIC」が来春、つくば中央IC―常総IC間のつくば市島名に開通する。ETC車載器を搭載した車両のみが利用できる。つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の上河原崎・中西地区(県施行)内に、NEXCO東日本(東日本高速道路)関東支社とつくば市が整備を進めてきた。 つくば中央ICから約4キロ西、常総ICから約7キロ東に位置する。つくば中央IC―常総IC間11キロは、圏央道の中で2番目に長い区間となっている。つくば市内の圏央道のICは3カ所目、スマートICは初めてとなる。成田方面から埼玉方面に向かう内回りは、主要地方道つくば真岡バイパスに接続し、埼玉方面から成田方面に向かう外回りは、県道土浦坂東線に接続する。 2017年7月に国の新規事業化箇所に選定され、7年前から事業が進められてきた。用地買収が長引いたほか、地盤が想定より弱く工法を変更したなどから当初予定より3年ほど遅れて開通する。事業費は総額約34億円で、うちつくば市が約6億2000万円を負担した。関連工事として同市はほかに、近くの交差点改良工事やIC設置により影響が出る一般道の工事などを約8億3000万円で実施しており、同市の負担は計約14億5000万円になる。 NEXCO関東支社は、開通により、TX沿線開発地区から圏央道へのアクセスが向上し、さらなる企業誘致や商業施設誘致が進み、雇用の創出による人口のさらなる定着など、地域活性化が期待されるほか、筑波山など観光地へのアクセス向上、鬼怒川や小貝川で浸水被害などが発生した場合の救援活動や緊急物資輸送の迅速化など防災機能強化に寄与することが期待されるなどとしている。 同スマートICの開通により、ICに10分で到着する圏域の人口は約1万人増加するという。
つくば駅前をもっとにぎやかに T.S BUILでイルミネーション
2024年12月13日
若い社員がデザイン つくば駅前のオフィスビル「T.S BUIL」(同市吾妻、旧ライトオンビル)が、11月22日からイルミネーションで彩られ、道行く人たちの目を楽しませている。同ビルのオーナーで不動産業の都市開発(塚田純夫社長)が、駅前をもっとにぎやかにしたいと飾り付けた。装飾は若い社員が自主的にデザインし作った。 同ビル1階ショーケース内と、ペデストリアンデッキに面する2階エントランスのガラス張りの壁面いっぱいがLEDのイルミネーションライトで装飾され、さらに自動ドアの中にはサンタクロースや雪だるま、モミの木のクリスマスツリーなど、昨年と違ったデザインの飾りが展示されている。通り掛かった人たちは華やかな飾りに足を止めて見入ったり、撮影したりしていた。クリスマスシーズンが過ぎた後は正月用のディスプレイに変更し、来年1月13日まで点灯する。 家族で訪れ、装飾に見入っていた市内に住む会社員は「以前は駅前なのに少し寂しい感じがしたけれど、明るくなってとてもうれしい。駅前は少しずつだけれど良い方向に向かっているのではないか」と話した。 同社の霞部長は「つくばセンタービルも徐々によくなってきている。今年は市民活動の新拠点コリドイオが出来たり、大和ハウスの複合施設も来年完成予定と聞く。つくば駅周辺のにぎわいも回復していくのではないか」と期待を述べる。 来年4月、200インチのディスプレイ 塚田社長は「一昨年からイルミネーションを飾り、地域にも浸透して評判が良い。来年4月にはビルの2階部分の壁に200インチ(縦2.5×横4.4メートル)のディスプレイを付け、映像を流す予定だ。映像は筑波山の風景などを流し、地域の活性化に取り組んでいきたい」と語る。(榎田智司)
つくば高エネ研などでかや刈り 応援ボランティア募集 石岡の保存会
2024年12月13日
かやぶきの営みを次世代に 石岡市八郷地区で、かやぶき民家と里山の営みを後世に伝える「やさと茅葺き(かやぶき)屋根保存会」(萩原寿盈代表)が、屋根に使うかやの刈り取りを手伝う応援ボランティアを募集している。かや刈りは12月21日からつくば市の高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)、葛城の森、石岡市の県畜産センターなどで実施する。同会事務局の新田穂高さん(61)は「かやぶきを維持する『営み』自体に価値がある。昔から続く営みを新しい形で次の世代に引き継いでいきたい」と思いを語る。 同会ができたのは1998年。住民が協力し作業する習慣や、管理されたかや場が減るなどし、当時かや集めに苦労していた。そんな中、つくば市大穂の高エネ研敷地内にかやぶきに用いるススキが相当量、生い茂っていると知った八郷町(当時)の関係者らが、高エネ研敷地内のかや刈りをしようと設立したのが同保存会だ。現在、かやぶき家屋の持ち主や、石岡市内外のボランティア70人ほどが参加し、毎年かや刈りに取り組んでいる。 人が集うのが価値 新田さんが暮らすのは、石岡市真家地区にある江戸時代後期に建てられた築170年以上のかやぶき家屋。地域は献上柿の産地として知られる。かつては養蚕や葉タバコ栽培が盛んだった場所だ。 「田舎暮らしがしたかった」という新田さんは、地元の農家からかやぶき家屋を譲り受け、1998年、妻と幼い2人の子どもと出身地の神奈川県から移住してきた。今年は9月から12月初旬にかけて、移住後4度目となる屋根のふき替えを行っている。作業には地元の2人のかやぶき職人と、延べ100人余りのボランティアが参加した。「人の輪が広がる楽しみがかやぶきの面白さ」だと新田さんは言う。 移住した当時、石岡市内に90棟以上あったかやぶき家屋は、神社なども含めて現在は40棟以下にまで減っている。民家に限れば現存するのは15棟余り。「70、80代の方が家を維持してきたが、次の世代にとってかやぶきが『負の遺産』になるという考え方が一般的になった」と言う。 新田さんは「(かやぶきは)職人だけではできない。家人らは『かや刈り』『かやごしらえ』などの下準備、かやぶきが始まれば職人を補助する『地走り(じばしり)』、『手元(てもと)』と呼ばれる仕事をした。生活スタイルが変化し、集落内の協力で成り立つ『結(ゆい)』的な下地がなくなり、暮らしと密着したかやぶきもなくなりつつある」。 時代の変化を前に新田さんは「かやぶきは、職人と仕事を支える様々な人たちが必要になる。文化財を保存する時、屋根や建物など『もの』の保存だけではなく、そこにまつわる『こと』を保存するのが保存会のテーマ。皆が集まり、力を結集して維持することが、かやぶき本来の営み。かやぶきの文化的価値はそこにある」と言う。 もう一つ、同会が取り組むのが「物質の循環」だ。地域には「屋根を直すと田畑が良くなる」という言葉があるように、取り替えられた屋根から出た大量のかやは、堆肥や野菜や果樹の「敷きわら」として使われた。現在は、多くが廃棄物として処理される。古い茅の再利用を地域の農家と取り組んでいる。 12月から1月、つくばなど各所で 12月から翌年1月にかけて同会は、高エネ研を始めつくば市内各所や、石岡市、桜川市などからかやぶき家屋5、6軒で使われるススキを刈り取る予定だ。15年以上参加する常連のボランティアらに支えられる一方で、将来を見据えて新しい世代の「茅刈り隊」への参加を呼び掛ける。 新田さんは「ボランティアの方には、刈り倒したススキを集めて束にする作業をしていただきたい。午前9時に集合して午後4時ごろまで。お茶にお昼、茶菓子も用意します。割と気持ちよくできる作業だと思う。マイペースで、気持ちよく体を動かし、かやぶきの維持保存にも貢献できる」と話す。 かや刈りの日程は▽12月21日(土)、22日(日)=つくば市大穂1-1、高エネ研▽25日(水)、26日(木)=石岡市根小屋1234、県畜産センター▽来年1月以降はつくば市葛城の森、桜川市上曽トンネル用地、栃木県益子町の濱田窯長屋門茅場などで予定している。(柴田大輔) ◆かや刈りボランティア「茅葺き応援団茅刈り隊」への応募は専用のウェブサイトか、メール(kayayaneitonami@gmail.com)にて受け付け。活動の詳細は「やさと茅葺き屋根保存会」のブログへ。
TX3駅の駐輪場有料化へ 来年4月から つくば市内
2024年12月12日
現在利用料が無料となっている、つくば市内のつくばエクスプレス(TX)研究学園駅、万博記念公園駅、みどりの駅3駅近くのTX高架下駐輪場(自転車駐車場)が、来年4月から有料化される方向で検討されている。つくば市が5日開会の12月定例会議に関連議案を提案している。 市によると新たな利用料金は、近隣のみらい平駅(1日150円、1カ月定期一般1880円~、学生940円~)や守谷駅(1日110円、定期1カ月一般1670円、学生1150円)などと同程度になる見通しだという。市議会最終日の26日に可決されれば、市が来年3月末に3駅の駐輪場用地を、TXを運行する首都圏新都市鉄道に返還し、来年4月から同鉄道が有料化して運営する予定だ。 3駅の駐輪場は2005年のTX開業以来、市が高架下用地を同鉄道から無償で借り受け、同鉄道に対する駐輪場用地の固定資産税を減免して、市が利用料無料で運営してきた。2023年度は3駅合わせて1日平均1710台が利用している。 利用状況は、最も利用率が高い研究学園駅東が収容台数216台に対し、2023年度の1日平均利用台数は362.1台で利用率は167.6%、同駅西が収容492台に対し利用482.5台、利用率は98.1%と、新たな駐輪場スペースの確保が課題となっている。これまでもみどりの駅は収容台数を2020年度に325台から624台に拡張、万博記念公園駅は22年度に189台から315台に拡張している。 同市公園・施設課によると、市が同鉄道に駐輪場用地の拡張について相談、つくば駅を含めTXの他17駅の駐輪場は有料となっていることなどから、市が駐輪場を有料化して運営する方法も選択肢の一つと打診したところ、有料化して同鉄道が運営する方向になった。駐車スペースの不足に対しては、同鉄道が2段式サイクルラックの設置を検討するなどしているという。
「春日の森NET」の活動《けんがくひろば》13
2024年12月11日
【コラム・作間英一】今回は「春日の森NET」を紹介します。この組織は「春日・平塚地区および近隣住民が気楽に集まれる憩いの場所」づくりを目的に、2019年9月に立ち上げられたボランティア団体です。活動開始から今年で5年目になります。 当初、設立趣旨に賛同いただいた東平塚在住の方から、和食レストラン「椿亭」と「古民家」の場所を提供してもらい、椿亭で「春日の森サロン」を開きました。その後、「修理、修繕、庭の整備などは自分たちで行う」ことを条件に、古民家の使用を許可してもらいました。 現在、以下の2つの取り組みをしています。 気軽に集える場所 活動の拠点としている古民家は、明治20年(138年前)に竣工された家屋で、約60坪の広さがあります。まず、この場所を住民が気軽に立ち寄れる場所にするため、片付けと整備を始めました。補強・修理は、春日の森NETの会長が中心となり会員で行いました。 古民家には約360坪の裏庭があり、足の踏み場がないほど密生した竹林でした。竹を切り、整地をして裏庭全体が見通せるまで、約2年半かかりましたが、今年5月にやっと整備が完了しました。 裏庭には、樹齢300年のけやきの木を囲む形で、ツリーハウスも完成しました。6月にお披露目会を行い、地域の居場所として古民家と裏庭の存在を皆さんに知ってもらうことができました。 住民によるイベント 地域住民が集まれる「場所」づくりに並行して、住民同士が交流できる「機会」づくりも行ってきました。現在は、夏の花火大会(7月)、門松作りワークショップ(12月)、餅つき大会(12月)を開催しています。 これ以外にも、映画鑑賞会、講演会、落語、スマホ教室、フリーマーケットなど、多彩なイベントを開催することで、老若男女問わず、地域住民が楽しめる場づくりを行っています。 作戦会議を毎月開催 イベントなどの企画・準備は、「作戦会議」を定期的に開催(月1回、最終木曜午後)、議論をしながら進めています。イベント情報の発信は、筑波大生が協力してくれています。SNSを活用し、若者や子育て世代にも情報が届くよう工夫をしています。ポップでかわいらしいチラシは、住民からもとても好評です。 何も無いところから出発、「活動拠点をつくろう!」「できそうなイベントはやってみよう!」精神で活動してきましたが、あっという間の5年が経ちました。今後は、培われた資源を活用し、よりよい「憩いの場所」づくりを目指します。直近の課題は「裏庭」を「みんなの広場」にすることです。 ここを、多くの方に気軽に立ち寄ってもらえる場所にしたいと思います。ぜひ一度、お立ち寄りください。(春日の森NET 事業・企画担当) <参考> 春日の森NET Instagram つくばの古民家(@old_house_tsukuba)
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