月曜日, 4月 6, 2026

アーカイブ「遠藤周作『聖書』をゆく」 《遊民通信》60

【コラム・田口哲郎】前略 J:COM茨城で放送されている「泉秀樹の歴史を歩く」アーカイブの今月の番組は「遠藤周作『聖書』をゆく」です。以前書きましたが、泉さんは若いころ産経新聞の文芸担当をしていて、遠藤周作と知り合います。昭和41年(1966)のことで、遠藤は代表作『沈黙』を執筆した直後でした。遠藤周作はカトリック作家としての地位を確立し、ぐうたらシリーズ、狐狸庵先生シリーズなどのユーモア・エッセイで一世を風靡(ふうび)していました。 その後、泉氏はフリーのライターとなり、遠藤と親交をさらに深めます。そして昭和44年(1969)に、エルサレムへの遠藤周作の取材旅行に同行します。今月の番組「遠藤周作『聖書』をゆく」はこのエルサレム旅行の模様を中心にすえています。 きびしい神の沈黙とやさしい神の愛 エルサレムはキリスト教の始祖イエスが宗教家として成長し、最終的に十字架にかけられた場所です。聖書のクライマックスの舞台を遠藤周作はカトリック信者として、そしてカトリック作家として旅します。エルサレムは砂漠のなかにある都市です。まわりは荒地でとてもきびしい環境です。このきびしい世界こそが、イエスが生きたユダヤ社会の神、つまりユダヤ教の神ヤーウェのきびしさを生み出したのではないか、と遠藤は考えていました。 そのユダヤ教の改革者としてイエスは生き、そして保守的な人々と対立し、無実の罪で処刑されました。これはとても悲しい出来事です。イエスの弟子からしたら、師匠がみじめに処刑されたなんて、なんとも救いようがないことだったでしょう。しかし、イエスは不思議なことに復活して救い主になります。こうしてキリスト教が生まれました。 この沈黙と見えるみじめさのなかの希望は、なにもイエスの復活物語だけのことではないのです。歴史的なむごい出来事の前にも神は沈黙する。たとえば戦争が起きて、無数の悲劇が繰り返されて終わりません。それについて神は沈黙しているのではないか? 遠藤は神はなぜそんなことをするのか、と考えます。人間の罪を責めて、罰を与える神、きびしい神だけしかこの世にはないのか? 遠藤の答えは、神はきびしいだけではない、イエスは人類のために犠牲となった。それは人類への愛である。そして聖書に描かれるイエスは人間とともに一緒に歩む、やさしい神なのだ。神の沈黙は冷たく、人間を見はなしたように見える。でも、それは物事の一面でしかない。かなしみのなかに希望があるのではないか。神はイエスのように人間を愛している。それは愛であり、いつも人間に注がれている。そのようなイエスのようなやさしい神はたしかにいる。遠藤はこうした信仰を読者に伝えたかったのだと思います。 遠藤周作が亡くなって27年になります。遠藤の遺した作品を読んでみるのは意味があることでしょう。世界が混乱し、さわがしいいま、きびしい神の沈黙ではなく、やさしい神の愛を感じてゆきたいものです。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

「ハードル高いと受け止めか」県教育長 志願者減のつくばサイエンス高

茨城県議会3月議会一般質問が7日開かれた。今年4月から科学技術の専科高に改編される県立つくばサイエンス高校(つくば市谷田部、現在はつくば工科高)の志願者数が減少した問題について、森作宜民県教育長は「開校初年度でもあり、進学実績が見えない状況にあったことや、『理系の大学を目指す』と掲げたことでハードルが高いと受け止められた」のではないかと答弁した。 つくば市の人口が増加していることを受けて、県は2023年度から同校の改編と併せて定員を2学級80人増やし240人にした。しかし志願者数は72人、志願先変更後の志願倍率は0.30倍だった。市内にある筑波高校も同じく40人を超える欠員が生じた。 森作教育長はサイエンス高について、今後は中学の教員などに聞き取りを行い、入試の結果を分析し、科学への探求心を育てていく学校であることを理解してもらうよう努めるとした。 さらに、サイエンス高、筑波高2校の定員を充足させる必要があり、既存の高校の魅力づくりによる志願者確保に努め、必要に応じて定員増を検討するとし、筑波高校については、ICT(情報通信技術)を活用したAIドリルによる個別最適化学習などにより、一人ひとりに寄り添った指導体制の充実に努めるとした。 星田弘司県議(いばらき自民党)と、宇野信子県議(市民ネットワーク)の質問にそれぞれ答えた。 市民団体がつくば市などつくばエクスプレス(TX)沿線に県立高校の新設などを求めている問題について森作教育長は「既存高校の魅力化を図ることにより志願者確保に努める」など従来と変わらない答弁を繰り返し、「つくばエリア(つくば、常総、牛久市など)に隣接する周辺エリア(土浦、下妻市など)では、つくばエリアの増加以上に中学卒業者の減少が見込まれることから、県立高校を新設する判断には至っていない」とした。さらに募集定員についても、現状をみるとつくば市の中学校卒業生は他エリア同様、市内だけでなく、広範囲の県立高校や私立高校など多様な選択肢の中から学校を選んで進学していることを上げ、そのような通学実態を考慮して、受け皿が不足することのないよう検討すると話した。 傍聴に訪れていた市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の代表片岡英明さん(72)は、県議会でこの問題がクローズアップされてから1年が経過した今、「進路選択に影響が出ないように検討と前回の答弁を聞いたときは、大きく前進したと受け取ることができた。しかし今回の答弁を聞く限り、県はつくばの人口増加をどう考えているのか分からなくなった」と落胆をにじませた。(花島実枝子)

高校不足と土浦一高の学級削減 《竹林亭日乗》2

【コラム・片岡英明】学校とは、3月の卒業式の生徒の笑顔のためにある。自分の指導が行き詰ったとき、私は何度も卒業式の生徒の笑顔を思い浮かべた。卒業式は生徒の笑顔に自信を読み取る日でもある。 3月14日は県立高校の合格発表だが、つくばの中学生にはつらい日である。つくばエリアの中学卒業生に対する県立高校の枠を何とか県平均まで高められないか、そんな思いで小さな「高校進学を考える会」で学習を続けてきた。 昨年11月の森作教育長の「中学生の進路選択に影響がないように学級増を行い、その計画を示す」との発言を受けて、私たちは不足学級数を検討した。その不足学級数と改善案を、2月19日の市民のつどいで説明した。この会合には国会議員をはじめ県議の方が5名参加され、多様な観点から深い議論が行われた。 つくば地区、30年までに25学級不足 私たちの会の計算では、県立高校の平均収容率や高校改革プランから、つくばエリア(つくば市、つくばみらい市、守谷市、常総市)で、現時点で15学級、2030年までにさらに10学級、合計25学級増が必要と分かった。 つくばエリアの中学生のために、25学級増を既存の高校でまかなえるのか? それとも学級増のひとつの方法として、高校新設も考える必要があるのか? 学級増と高校新設は対立的なことではないのだから、冷静に生徒数や算定基準を設定し、議論を積み上げれば、必ず着地点はある。 25学級増には、1校2学級として、12~13校の学級増が必要である。つくばエリアには並木中等や茎崎高校を入れても10校しかない。そのため、エリア外の土浦・牛久・下妻の協力を得る必要がある。また、エリア内の高校でも、校舎の増築・校地の拡張・教育の体制などで、2学級増が実際に可能なのかも検討する必要がある。 土浦一高、24年の入試から改善を 今回の改善案では、25学級増の案、10学級の高校新設含む案、10学級と8学級2校の新設を含む案―3案を提示した。その上で、2024年に県立高校の2学級増と土浦一高の定員削減停止を求めた。 手元に「三六会 卒業60周年記念誌 土中三六回同窓会 H8」がある。片岡久会長の発刊の言葉に始まり、恩師永山正先生からの文もある。地域に根差す伝統校の息づかいが感じられる184ページの大著である。 さて、土浦一高は2020年まで8学級募集だったが、2021年に7学級、2022年には6学級となった。それが、2024年から4学級に半減する。以前は、土浦の一つの中学校から10~20人と入学した話を聞くが、2022年は市内8中学で33人だった。これが4学級となれば、20人ぐらいになると心配している。 三六回の記念誌を読むと、卒業生が地域の伝統校としてネットワークを生かし、土浦の産業や文化を支えていることが分かる。高校を広い視点でとらえ、地元の中学生と高校不足のつくばの中学生のため、さらに土浦地域の発展のために、土浦一高の定員削減を停止してほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

ミモザ彩るセキショウグループ59拠点 「国際女性デー」でフラワーアレンジメント

8 日は「国際女性デー」。ジェンダー平等の社会実現を願って、関彰商事(本社・筑西市、つくば市、関正樹社長)は、県内外59カ所の店舗や拠点で黄色いミモザの花を使ったアレンジメントを飾る。 同社では国際女性デーの趣旨に賛同し、2021年からミモザの装飾を始めた。これ以前から、女性活躍推進の取り組みとして積極採用や職域の拡大、管理職の登用などを行っており、現在女性2人が管理職に就いている。また、福利厚生の一つに「子育てサポート休暇」として子どもの検診や学校行事のための特別有給休暇制度を設けるほか、育児休暇の取得推進にも取り組んでいるという。育児休暇の取得率、休暇取得後の復職率は共に100パーセントだという。 総務部長の石川喜代江さんは「時代に沿った働き方をしている。国際女性デーの日は、社内外の女性たちへ尊敬やエールを送る気持ちを持っている」と話す。 メルセデス・ベンツつくば(つくば市研究学園)で受付や営業担当として働く笠井夏海さん(25)は、同社での女性活躍について「女性ならではのおもてなしをされている先輩方がたくさん活躍していて尊敬している」そう。ミモザの飾り付けについては「素敵だと思う。アレンジを来店される多くの方に見てもらい、お話のきっかけにしたい」という。 国際女性デーは1975年、国連によって制定された女性の社会参画を願う日で、イタリアでは女性に感謝を込めてミモザを贈ることから「ミモザの日」とも呼ばれている。「ミモザの日」は、現在ではイタリアを中心にヨーロッパや南米の一部の国々で広く認知されている。(田中めぐみ)

亡くなった父の喪主を務めました 《ハチドリ暮らし》23

【コラム・山口京子】母には、父ちゃんが亡くなっても自分が喪主を務めることは無理だから、京子がやるようにと以前から言われていました。喪主を務めることは難しいと母の様子を見ていて感じていましたので、了解しました。ですが、実際喪主をしてみると、わからないことが多くありました。 施設で亡くなった父の遺体をどこに安置するのか? 葬儀社は事前に契約しておらず、実家のある農村がよく利用する葬儀社に連絡しました。遺体の移動と葬儀の依頼の電話を入れると、3時間後に施設に引き取りに来てくれました。 自宅ではなく、葬儀社の安置室においてもらうようにお願いし、そのまま葬儀会社の応接室で、今後の打ち合わせが始まりました。まずは火葬場の空き状況、そして、菩提(ぼだい)寺の住職の日程を確認し、通夜と告別式を決めます。お客様情報と葬儀日程表が作成されると、葬儀の見積もりの打ち合わせです。 家族葬で行いたい旨を伝えると、そのコースが示され、そこから選択し、その基本コースに別注品を加えます。遺体の搬送費、引出物、料理などを決めていきます。それらをトータルすると、基本コース料金の約3倍の費用となりました。 また、ご住職へは戒名と本位牌の費用、供養など、合わせて50万円程度のお布施をいたしました。家族葬のつもりでしたが、親戚や村内の付き合いがあった方々がいらして、一般葬のような家族葬でした。 何もわからない私に対して、葬儀社の担当者が丁寧に説明してくれます。無事に葬儀が終わると、今度は四十九日の法要の段取りです。こちらはご住職がリードされ、それを踏まえて、葬儀社に準備のお願いをしました。 宣伝の葬儀費用には要注意 家族葬の宣伝をテレビやチラシでよく目にしますが、そこで示されている価格で、家族が希望する葬儀ができるかはとても疑問です。今回思ったのは、やはり事前に、どんな葬儀を自分は望むのか、それにはどの程度の費用が必要なのかを調べておいたほうがよいということです。葬儀は残された家族の心のけじめをつける場であるのでしょうが、形式的なことに追われてしまいました。 市役所の手続き、未支給年金と母の遺族年金の手続き、各種引落口座の変更、各種契約の名義変更、父名義の財産目録の作成、遺産分割協議の話し合いなどが続きます。先月、施設の経理担当の方から電話があり、父の施設費と医療費が通帳から引落しできないと言われ、現金で持参しました。人が亡くなったあとの手続きについて、経験させてもらっています。(消費生活アドバイザー)

まだまだ終わらない つくば運動公園問題《吾妻カガミ》152

【コラム・坂本栄】前回は洞峰公園問題でしたが、今回は運動公園用地問題を取り上げます。市は運動公園用地という言い方が嫌いらしく、市の記述では「高エネ研南側未利用地」となります。この市有地(46ヘクタール)、すでに倉庫運営会社へ売却され、代金(110億円)も払い込まれています。ですから、大方の市民は「もう終わった問題」と思っているようです。ところが、まだ終わっていないのです。 住民訴訟の水戸地裁判決は夏ごろ 市有(帳簿上は市土地公社)であった土地を買った業者さんは、森林を伐採抜根して更地にし、物流倉庫と電子データ倉庫を造る計画です。そのためには、市の都市計画審議会に用途変更(住宅・文教区画⇒準工業地区)を認めてもらうだけでなく、市民有志による「議会の決を取らないで市有地を売り払うのは違法だ」との住民訴訟で市が勝つ必要があります。 最初のパラグラフで「…まだ終わっていない」と書いたのは、用途変更が承認されないとか、住民訴訟で市が敗訴するようなことになれば、業者さんは買った土地を市に返さなければならないからです。 市担当課によると、用途変更の方は、問題ないとする都計審の判断をチェクする県からも異議は出ず、OKになったそうです。関門の一つはクリアしたわけです。しかし、水戸地裁にかかっている住民訴訟の方はまだ審査中で、判決が出るのは今夏ごろになるようです。 実質的に市が所有する土地なのに、議会の議決を得ないで市の財産を処分した手順のおかしさ、前市長時代に買った運動公園用地を売り急ぐ現市長の政治的理由については、135「…用地売却に見る つくば市の不思議」(2022年6月20日掲載)、137「…市長の宿痾(しゅくあ)運動公園問題」(同年7月18日掲載)をご覧ください。前者では、住民訴訟の訴状全文へのリンクも張っておきました。 高エネ研南と県有地を交換したら? 話を元に戻します。住民訴訟で市が負けた場合(地方自治法と市条例に違反する場合)、どうなるかというと、業者さんは倉庫団地を元の状態に戻して、市に返さなければなりません。そのリスクを承知して(市が負けることはないと思って)土地を買ったわけですが、地裁の判決がどうなるかは分かりません。 業者さんにとって厄介なのは、地裁で市が勝訴し、二つめの関門もクリアしたとしても、土地返却のリスクが消えないことです。というのは、市民有志は、地裁で負けたら高裁、高裁で負けたら最高裁に持ち込むと言っているからです。売買契約には、市が敗けた場合は土地を返さなければならないとの条項が入っていますから、住民訴訟が続く限り、運動公園用地問題は「終わらない」ということです。 土地を買った業者さんは、世界中から高配当を謳ってお金を集め、そのお金で建てた倉庫を荷主に貸して儲ける、外国系ファンドです。土地返却リスクをずっと抱える不透明な状況に耐えられるでしょうか。 売却議案を議会で通しておけば、業者さんは余計な心配をせずに倉庫運営に集中できたのに、市執行部は罪深いことをしたものです。 そこで提案です。運動公園用地を返してもらい、県がTX研究学園駅の北側に持っている準工業地区(C46街区、14ヘクタール)と運動公園用地を交換。同駅近くに市立高校を建て、運動公園用地に県営陸上競技場(県南市町村も資金分担)を造ってもらったらどうでしょう? つくば市の2大懸案、市内公立高校不足問題と棚上げ陸上競技場問題をセットで解決する案です。(経済ジャーナリスト)

日銀と同友会のトップ人事は日本を変えるか? 《雑記録》45

【コラム・瀧田薫】本年4月、日本銀行総裁と経済同友会代表幹事の任期切れに伴い、それぞれに新総裁と新代表幹事が就任する運びとなっている。 日銀総裁についてはまだ衆参両院の同意を取り付けるなど諸々の手続きが残っているが、経済学者・植田和男氏の就任で決まりのようだ。2月24日付の日経社説は「植田氏は金融政策の明快な説明と対話を」と早すぎる注文を付け、その上で、黒田東彦総裁が主導した「異次元緩和」はほころびが目立つとし、植田氏の最初の大仕事はその修正になるとしている。 新総裁の任期は5年。大仕事だけに、就任早々の進路変更はないだろう。しばらくは前任者の敷いた路線をたどり、不確実な世界情勢や国内政治の動きを見ながら、徐々に日本丸の舵(かじ)を切っていくのだろう。長い目で見て、この国の危機を救う人事となることを祈りたい。 経済同友会については、現職の桜田謙梧代表幹事(SOMPOホールディングス会長兼CEO)が4月末に任期満了を迎える。後任には、サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏の就任がすでに発表されている。任期は2期4年。同友会は経済3団体の一つで、経団連は大企業トップの集まり、日本商工会議所は中小企業の立場で政府にもの申してきた。 同友会は一風変わっていて、経営者が個人の資格で参加することもあって、個性派集団であり、時には正面から政府を批判したりもする。新浪氏も改革志向が強い人で、同友会でも副代表幹事として積極的に発言してきた。昨年12月の就任披露の記者会見で「日本は良いものをもっているのに自信を失っている。新しい社会をつくるために変えるべきところを変えていきたい」と語っている。 桜田現代表幹事も、新浪氏について「日本を変える情熱の塊」と評価している。停滞が続く日本経済を活性化するには民間主導の構造改革が不可欠であり、同友会にはその先駆けとなることを期待したい。 民主主義のインフラ、独立財政機関 さて、新浪氏には独自のアイデアもあるだろうが、桜田氏が残した実績のなかで特に継承してほしいものがある。それは同友会による「2019年11月提言」である。提言は「財政健全化や社会保障改革が遅れており、これを改めるには国民が必要とするデータを長期的かつ客観的な視点から提示する機関が不可欠である」として、民主主義のインフラとして「独立財政機関の設置」を提唱している。 2000年代以降、経済危機を契機とし、政府から独立して長期推計の作成などを行う独立財政機関の設立がOECD加盟国を中心に相次いだ。しかるに、この国の長期債務残高のGDP比は最悪の水準にありながら、独立機関の設置には政府与党を中心に反対が強く、提言は顧みられることなく今に至る。 新浪氏には、複眼的に将来を展望する社会の構築を目指し、独立財政機関の設立を広く国民に向けて主張してほしい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

情報は道具《続・気軽にSOOS》128

【コラム・浅井和幸】なんだ、そんなことも知らないのか、〇〇のくせに。〇〇は大人を入れてもよいし、カウンセラーなどの職業を入れてもよいです。このような言葉で自分の知識を武器に、相手を見下す場面に遭遇することがあるでしょう。 近年、インターネットとスマートフォンの普及で、知識や情報は手軽に手に入りやすくなりました。すぐ人に聞かないでグーグルで検索をしろという「ググレカス」という言葉ができ、今ではその言葉も廃れ、検索はツイッターも使って調べるなど、どんどん変化してきています。 情報があふれる中、「そんなことも知らないのか」と、情報が頭に入っていることを自慢したくなるものです。何かを覚え、その記憶を引き出して使うことは大切なことです。何かのテストのときは、記憶力は大きな武器となるでしょう。 しかし、その場面ですら、情報を道具として問題を解くという目的のために使っていることになります。さらにそのテストも、何かの資格を得るため、収入を得るため、栄光を得るため―などの目的を達成する道具と言えるでしょう。 冒頭の例は、情報という道具を、相手を見下すために使うことです。はっきり言って、つまらない使い方ですね。しかも、その本当の目的は、意識的であれ無意識であれ、自分を偉い人だと思ってほしい、自分の地位などを守りたいというものです。 ですが、見下された相手からすれば、自分を見下す相手を偉いとか、たたえるとかとは程遠いものになります。パワハラのように力関係があれば、表面上は偉いですねと言うかもしれませんが、その場の表面上だけのことにすぎません。 ポジティブ・ネガティブな使い方 手段と目的を正しく認識することは難しいものです。そして、その道具(情報)は使いようによって、ポジティブ、ネガティブ、どちらのためにも使えるものです。 例えば、カウンセリングの知識や手法を使って、相手を苦しめることだってできます。カウンセリングの知識や情報を持ち、それを使えば、相手は気持ちが楽になり、幸せになれると思い込んでいる支援者すらいます。 相談の場面で、教科書に載っている通りに、あるいは偉い先生が言った通りに共感をしておけば、悩んでいる人のためになるのだと目の前の現実を見ずに実行してしまって、相手を傷つけ続けてしまうことも実際にあります。 情報や技法などは力ですが、自分や相手の目的に即した使い方をしているか、検証をしておいた方がよいです。自分の正しさを証明するために、相手を傷つけるようなことを繰り返していたら、本来の目的を外れ、いつしか自分自身が傷つくことになるのですから。(精神保健福祉士)

旧筑波小にインド系インターナショナルスクール 2024年4月開校へ

2018年に廃校になったつくば市国松、旧筑波小学校(約8800平方メートル)に来年4月、インド系のインターナショナルスクールが開校する。初年度の24年度は、つくば市在住者を中心に2歳半の幼児から小学校5年生まで40~50人が通学すると想定されている。その後受け入れを拡大しながら、高校生まで500人規模の学校にする。3日、同市議会全員協議会に報告された。 外国企業誘致施策の一環で県が誘致し、昨年9月には地元住民との意見交換会が開かれた(22年9月27日付)。 開校するのは、シンガポールに本社があるグローバル・スクールス・ファウンデーションの日本法人で、株式会社のグローバル・インディアン・エデュケーション。同社は現在、東京都江戸川区でインターナショナルスクールを運営している。同区内に三つのキャンパスがあり、1000人を超える児童生徒が学んでいる。 旧筑波小での開校に向けては、今年夏頃につくば市と賃貸借契約を結び、市から、鉄筋コンクリート3階建ての教室棟とグラウンドを年間約390万円で賃借する。その後、同社が教室などの部分的な修繕を行う。体育館は耐震基準を満たしていないことから使用しない。 江戸川区の同インターナショナルスクールによると、旧筑波小では国際バカロレアの教育プログラムによって授業を行う方針だ。教室は普通教室を分割し、最大20人前後の少人数とする。主につくば市内に住む子どもたちがスクールバスで通うことを想定しており、インド出身者ばかりでなくさまざまな国籍の児童生徒を募集する。 地域住民に向けては、ヨガなどのカルチャースクールを開設するほか、校庭を地域に開放するなどして、地域の文化・スポーツ活動を支援する。現在、防災備蓄倉庫が設置されていたり、選挙の際の投票所となっていることから、開校後も引き続き防災倉庫を設置し避難所として利用できるようにしたり、投票所として利用できるようにするという。

電子図書館サービス 利用者数が増加 土浦市とつくば市で導入

図書館の蔵書をパソコンやスマートフォンなどで無料で読める電子図書館サービルが、土浦市立図書館とつくば市立中央図書館で始まり、利用者数が増加している。土浦市は新図書館が駅前に開館した2017年11月27日から、つくば市は昨年10月4日からスタートした。 土浦市電子図書館で利用できる蔵書数は2月現在、約2500冊、つくば市は約1400冊。土浦市電子図書館の一般登録者は2月現在約550人。ほかに児童生徒に1人1台の端末を配備するGIGA(ギガ)スクール構想を受けて小中学校と連携し、市内の小中学生約9600人も登録している。 つくば市電子図書館の一般登録者数は不明だとするが、2月24日まで約5カ月間で累計約1万7600人の閲覧(ログイン)数があった。 小学校が授業で活用 土浦市では22年7月から、主に小学生向けの電子書籍を絞り込んだ「こどもでんしとしょかん」をスタート。同市担当者によると「授業や授業開始前の読書時間での活用により、電子図書館の利用がかなり増加している」という。 つくば市では電子図書館のトップページに小学生に向け「おすすめの本」の項目を作り、読書活動の推進を図る。同市担当者は「電子図書館で利用できる地域資料の提供や、中高生に向けた蔵書の分かりやすい提示について検討中」だという。つくば市では高齢者からの問い合わせも多く、関心の高さがうかがえるとしている。 予算措置が課題 土浦市もつくば市も今後蔵書数を増やしていく予定だが、土浦市担当者は「出版される本の全てが電子化されている訳ではなく、限られた母数の中からコンテンツを選定している。今後、電子化される本の種類が拡大するかどうかが課題の一つ」だとし、「期間限定のコンテンツが存在するため、所蔵数を確保するための予算措置が必要になる」と課題を述べた。 土浦市は市内在住で利用カードを持つ人、つくば市は同市に在住、在学、在勤で利用カードを持つ人が利用可能で、いずれもパスワードの設定が必要。パソコンやタブレット、スマートフォンを利用し、来館せずに電子書籍の検索、貸出、返却、閲覧が可能で、返却期限が過ぎた電子書籍は自動で返却される。コンピュータ上のデータのダウンロード、インストールは不要で、ブラウザ環境で閲覧ができる。視覚障害者向けに音声読み上げに対応した電子書籍もある。土浦市もつくば市も貸し出し点数は1回2点まで。貸し出し期限は土浦市が15日間、つくば市が14日間となっている。 土浦市立図書館ではさらに、収録楽曲数240万曲を超える「ナクソス・ミュージック・ライブラリークラシック」というインターネット音楽配信サービスも導入している。利用カードがありログインIDとパスワードを設定した人はデータを受信しながら同時に聞くことができるストリーミング方式という方法で利用することができる。 コロナ禍 4.8倍に急増 電子出版制作・流通協議会の集計によると、20年1月に電子図書館サービスを導入した自治体数は全国で91自治体だったが、22年10月には436自治体に急増した。電子書籍の普及とコロナ禍で公共図書館の電子化が急速に進んだといえる。さらに学校でもGIGAスクール構想を受けて電子書籍の活用が始まっている。 土浦市もつくば市も電子図書館サービスとして「クラウド型電子図書館サービス&コンテンツLibrariE(ライブラリエ)&TRC-DL」を導入。LibrariEとの主たる契約は「ワンコピー・ワンユーザー型」、「2年間または52回の貸出し」の条件で、貸し出しの多い作品は再契約が提示されている。 同サービスは、職員による予約や貸出、督促業務などの必要がなく、返却期限が過ぎた電子書籍は自動で返却されるため省力化につながるという。電子書籍は利用によって本が痛んだり紛失したりすることがない。また、パソコンのマニュアル本など、数年で情報が陳腐化してしまう本は有期限契約で入れ替えることができ、電子図書館に向いているという。(田中めぐみ)

Most Read