日曜日, 4月 5, 2026

まるで結晶、ガラスアートで「空想鉱物」 つくばの会社員が作出

つくば市の会社員、田中健さん(54)が制作した鉱物の結晶のようなガラスアート作品「空想鉱物」が東京都台東区の標本・工芸品販売店、ウサギノネドコ東京店で開催中の「石と光展」で展示されている。田中さんなど7人の作家が石と光にちなんだ作品を出品した作品展だ。 田中さんはつくば市倉掛在住。4年半ほど前から土日や平日夜の時間を使って、まるで鉱物の結晶のような美しい色合いのガラス作品を作っている。「黄昏(たそがれ)空」や「星月夜」などの名前が付けられた作品は手のひらに乗るサイズで、重さは50~100グラム程度。光が透過すると色が反射して輝き、様々に表情を変える。ガラスの成型技法の一つであるバーナーワークという技法を使って制作したもので、作品の写真をSNSで発信している。作品を見て欲しいと思った人の手に渡ればと考え、3年前にオンラインショップ「空想鉱物工作所」を開設した。女性を中心に全国から注文があるという。 芸術系の大学出身で、大学生のころから作品の制作に興味を持っていた。現在はデザイン関係の会社で働いている。元々ガラスの素材が好きで、北欧ガラスのオブジェを見るなどしていた。「透明な中に色があり、置いて眺めたり、手に取って日に透かしたりできるガラス作品を作りたいと制作を始めた」と話す。 工芸用のガラスロッドと呼ばれる材料を1200度ほどのバーナーの火で溶かし、色を混ぜてだんご大の大きさの塊にする。だんごをコテで長細い形に成形した後、割れないように5、6時間かけてゆっくりと冷ます。冷ましたものをやすりで磨き、天然鉱物の結晶のような形に仕上げる。冷ますのに時間がかかるため、土日に色を混ぜた塊を作り、平日夜にやすりをかけるなど工程を分け、週に2、3個を制作するという。 作品の色合いはつくばの空の色にインスピレーションを得ていると話す。「つくばの空は開けていて、田んぼの中を通る時など会社の行き帰りに見ている。夕焼けのグラデーションなど、時々車を停めて写真を撮ってそれをアレンジする」。つくばの色を田中さんの感性で切り取り、空想鉱物の結晶の中に閉じ込めている。 価格は大きさによって異なり、小さいものは4000円、大きいものは6000円で販売している。北海道から九州まで全国から注文があり、田中さんの作品をコレクションしたいというリピーターがほとんど。空想鉱物を机に置くだけではなく、額を使って空間的に飾れないかと額装の構想もある。「試行錯誤中だが、来年の春くらいに額装の新作の発表ができれば」と夢を語る。(田中めぐみ) ◆「石と光展」は東京都台東区中2-3-3、ウサギノネドコ東京店で開催。会期は2024年1月23日(火)まで。営業時間は、平日は正午~午後7時、土日祝は午前11時から午後7時。

著名人の生き様垣間見える180枚 つくばの古書店で「年賀状展」

新年を前に、つくば市吾妻の古書店ブックセンター・キャンパス(岡田富朗店主)店内のショーケースで「年賀状展」が開催され、主に明治、大正、昭和に活躍した著名な詩人、作家、画家、政治家などの年賀状180枚が展示されている。 「赤堂鈴之助」で知られる漫画家、武内つなよし(1922-1987)は、愛嬌(あいきょう)のあるイラストを添えてある。牛久沼のほとりに居住し「橋のない川」で知られる小説家、住井すゑ(1902-1997)は、年賀状の名前が住井すゑ子となっている。日本で初めて長編SF小説を書いた今日泊亜蘭(きょうどまり・あらん、1910-2008)は干支のネズミの絵と独特の文体で書いている。 ほかに小説家の志賀直哉や田辺聖子、詩人の石垣りん、芸術家岡本太郎の父親で漫画家の岡本一平、落語家の3代目桂米朝、政治家の福田赳夫などの年賀状が展示されている。 店主の岡田さん(87)が古書の市場などで収集したもので、「筆体、文体などから、その人の生き様が垣間見える」という。 同店では店内での企画展を2019年に開始、今回で18回目の開催となる。前回17回目の「蔵書票展」には県内のほか神奈川県などからも愛好家が訪れている。 岡田さんは18歳の1954年に東京都北区赤羽で古書店を開業、つくば科学万博開催1年前の1984年につくば市天久保の天久保ショッピングセンターに移った。その後同ショッピングセンターには計5店が軒を並べ、古書店街としてにぎわった。しかし30年以上続いた岡田さんの店が閉店、2018年に最後の1店が閉店して古書店街はつくばから姿を消した。岡田さんをよく知る古書店ファンの要望もあり、2003年に同吾妻に移転し再開。現在は娘と2人で営業し、広さ約160平方メートルの店内に江戸時代や明治、大正、昭和の郷土史や軍事本など数万冊の古書を販売している。 岡田さんは70年近く古書店業界に関わってきたが「今は本が一番売れない時代。良い本を100円にしても売れ残る。つくばは学者肌の人が多いので専門書も扱うが、改訂版が出ると元の本の価値が激減し経営はなかなか難しい」とも言う。 次の企画展については「新聞の創刊号のコピーを多数持っているので(日本新聞協会が制定した)『新聞を読む日』にあたる4月6日に開催できれば良いかなと考えている」と話す。(榎田智司) ◆同店はつくば市吾妻3-10-2、「年賀状展」は2024年1月31日まで開催、入場無料。年内の30日(土)と31日(日)は午前9時~午後5時まで営業。同店は不定休だが急に変更になることもあるので、ご来店の際は電話029-851-8100に連絡を。同店のホームページはこちら。 ➡ブックセンター・キャンパスの過去記事はこちら

子宮体がん 閉経後出血を放置していませんか?《メディカル知恵袋》2

【コラム・野末彰子】 閉経とは? 卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン)の分泌がなくなり、月経が永久的に止まった状態のことを閉経と言います。日本人では、平均すると50~51歳くらいで閉経すると言われています。実際には、月経が止まった時点で、閉経かどうか判断するのは難しく、医学的には「1年間以上、月経が来ない状態」と定義されています。 閉経後出血 閉経したはずなのに、また月経が再開することはあるのでしょうか? 完全に閉経するまでの数年間は、月経はかなり不規則になります。そのため、この時期は不正出血(異状な出血)と、不規則にきた月経とを区別することはとても難しくなります。しかし、1年以上無月経だったのに、再び性器出血が始まる場合(閉経後出血)は、何らかの病気が隠れていることが多く、注意が必要です。 子宮体がん 子宮がんには、子宮頸(けい)がんと子宮体がんの2つがあることをご存じでしょうか? 子宮には頸部という膣に近い部分と、体部という妊娠すると膨らむ部分の2つの部位があり、それらの2つの部位にできるがんは、別の種類であり、その性質は全く異なります。子宮頸がんは30~40代に好発しますが、子宮体がんの好発年齢は50歳代で、約70%は閉経後女性に発症します。 子宮頸がんはそのほとんどがヒトパピローマウイルスの感染によって発症しますが、子宮体がんとウイルスは無関係です。また子宮体がんになりやすい人の特徴は、未婚、不妊、若い頃からの月経不順、糖尿病、高血圧、肥満などがあげられます。主な症状は不正出血で、約9割で性器出血を認めます。 近年、子宮体がんはとても増えてきており、ここ20年で3~4倍になっていると言われています。この原因は食事の欧米化、少子高齢化などいろいろなことが言われています。 その診断方法 子宮がん健診は、市町村での集団健診やドックのような個人健診など、いろいろな実施の機会があります。しかし、集団検診などの一般的な健診で実施されているのは、子宮頸がんの検査のみであることを皆さんはご存じでしょうか? 不正出血がある、月経が不規則であるなどの一定の条件を満たした場合や、本人が希望した場合などを除き、子宮体がんの検査までは実施されていません。そして、子宮頸がん健診では、子宮体がんを見つけることはできないのです。 子宮体がんの診断は、子宮体部から細胞を採取してくることが必要です。頸部の検査より、子宮の奥から細胞をとるので、場合によっては痛みや出血を伴います。ですから集団検診では実施できず、人間ドック施設や医療機関で行われます。 その治療方法 子宮体がんは不正出血が主な症状であり、これを見逃さなければ、早期がんで見つかることが多い疾患です。早期であれば、手術だけできちんと治すことができます。手術では子宮や卵巣、卵管などを摘出します。卵巣・卵管は子宮体がんが転移しやすい場所です。また子宮に近いリンパ節も摘出して、転移がないかどうかを確認していきます。 早期がんであれば、今は腹腔(ふくくう)鏡下手術も可能で、小さいキズで身体への負担も少なく治療することができます。しかし、進行してしまうと、手術だけで治すことができず、抗がん薬治療や放射線治療などが必要になります。症状を見逃さず、早期に受診して診断を受けることが大切です。 ドクターから一言 子宮体がんは早期に見つけることができる疾患です。早期であれば、例えがんになっても完治が可能です。健診を受けることはもちろん大切ですが、閉経後不正出血など、些細(ささい)と思われる症状を見逃さず、心当たりの症状があった場合は医療機関に相談しましょう。(筑波メディカルセンター病院 婦人科診療科長)

電動自転車に補助金 免許返納後の「足」になるのか【公共交通を考える】5

つくば市は今年度、70才以上の市民を対象に、電動アシスト自転車購入費用の4分の3を補助する事業を行った。自家用車に代わる移動手段の確保と社会参加の促進、健康増進が目的で、高齢者500人の申し込みを見込んで3675万円の予算が割り当てられた。12月6日現在で補助金申請は約300人、概算で約1630万円分になった。 運転免許を返納した後の新たな交通手段として、電気がアシスト(手助け)してくれる電動自転車を購入する人がいる。こぐのに疲れると電動アシスト自転車を購入したり、「これは楽だよ」と勧められて乗り始める。だが自転車は体をガードしてくれるものはなく、高齢者が自転車事故に巻きこまれる心配もある。 交通安全講習受講が条件 補助を始めた市高齢福祉課によると、市が実施する交通安全講習を受講することを条件に、2輪車購入の場合、上限5万円、3輪車には上限12万円を補助している。2022~23年度に運転免許証を自主返納した人が2輪車を購入するとさらに1万5000円、3輪車購入の場合は3万円を上乗せする。加えて自転車用ヘルメットを同時に購入すると上限2000円が補助される。 市庁舎で行われた交通安全講習会は560人の参加を見込み、5月から11月までの14日間で合計28回(午前と午後の開講で1回20人まで)開催された。自転車メーカーによる座学と、市役所敷地内で電動アシスト自転車5台を使った試乗と実技講習が実施された。講習会を受講したのはこれまで計364人で平均年齢75.7歳、最高年齢は94歳の男性だった。 講習会を受けた364人中、実際に電動アシスト自転車を購入したのは今月6日現在、8割を超える約300人(2輪車250台、3輪車50台)。このうち約40人が運転免許証返納の補助申請を行った。ヘルメット購入の補助を併せて計約1630万円の支出になるという。 市防災交通安全課の非常勤職員で交通安全教育指導員3人が実技講習を担当した。指導員の廣瀬明子さんは「電動アシスト自転車は一般の自転車と比べて重く、バランスを崩すと車体を戻しにくい。両足がきちんと地面に着くのか試乗してもらったり、ペダルの踏み加減など安全な乗り方を体験してもらった。また、70歳以上の人が乗る自転車は歩道を走っても良いが、歩道は基本的に歩行者のもので自転車は車道寄りを走ること、道路の斜め横断は違反になること、交差点を右折する場合は原則、交差点をいったん直進して止まり右側に向きを変えて進む『2段階右折』とするなどの交通ルールを説明した」と話した。 市高齢福祉課によると、参加者からは「受講して自分に合う自転車のサイズが分かった」、「自転車の運転を見直す機会になった」とする高齢者がいた一方、「(身体が思うように動かず自転車の)運転は無理」と諦めた人もいたという。同課の日下永一課長は「試乗体験は大事で、安全を確認した上で申請してもらうために講習会を実施している」とした。購入費補助事業は来年度も実施する方針だ。 小さい乗り物にシフト 同市あしび野在住の稲川誠一さん(79)は、小学生の登校を見守る立哨(りっしょう)活動や自主防犯ボランティアとして活躍している。6月の講習会を受講した後に体調を崩して電動アシスト自転車の購入はかなわなかった。運転免許証は返納していない。 稲川さんは「交通安全教室が保育園や小学校などでしか開催されてない現状では、自転車が軽車両であり、道路交通法でルールが決められていることがあまり知られていない。それだけに講習会は有意義だと思う」とした上で「以前は、高齢者が乗る自転車はフラフラして危ないし、どんな動きをするか、最悪を考えて自家用車を運転していた。今は高齢になると行動範囲が狭くなって小さい乗り物にシフトしていくものだと分かった。自転車と自動車がお互いに譲り合うことが大切だと思う」と話した。 転倒の心配ない三輪自転車に補助 土浦市では高齢者に限らず、市民や子育て家庭の日常の移動手段を確保するため、転倒の心配が少ない三輪自転車と、幼児2人同乗用自転車購入費用の一部を補助している。いずれも自転車購入金額の半分を補助するもので、三輪自転車は2万5千円が上限。幼児2人同乗用自転車は3万円が上限だ。 三輪自転車の購入費補助は今年度から始まった。電動自転車だけではない三輪自転車も補助の対象となっている。土浦市都市計画課によると、今年度の予算額は25万円。11月末の時点で8人の申し込みがあり、今月12月の時点で残り約2台分の予算が残っている。募集開始直後は多くの問い合わせがあり、現在も数件の問い合わせを受けている。来年度の三輪自転車の補助は未定。安全走行のための講習会は実施していないが、購入前に必ず試乗することを呼び掛けている。(橋立多美、田中めぐみ) 終わり ➡「公共交通を考える」の過去記事はこちら

新しいまちでテーマ型コミュニティーをつなぐ《けんがくひろば》1

【コラム・島田由美子】10月最終日曜日の夕暮れ時、子供たちが作ったパンプキンランタンがほのかに輝く下、仮装コンテストのグランプリが発表された。ピザに扮(ふん)した少女がディズニーペアチケットを満面の笑みで受け取り、TX研究学園駅周辺地区(私たちは「けんがく地区」と言っている)の活動団体が連携して実施した「けんがくハロウィン2023」が終了した。 地縁的コミュニティーの代わりの存在 けんがく地区はTX開通後18年で人口が2万人以上となった。その間、つくば市新庁舎の開庁、義務教育学校・小中学校の開校、多くの商業施設の開業などを経て、まちとして順調に成長している。しかし急激なまちの発展には課題も多い。 市内TX沿線では、居住年数5年未満の住民が全体の3分の1以上を占め、働き盛り世代が多いこともあって、地縁型コミュニティーである区会の加入率は38%と低く、人口20万~30万人都市の平均65%(2021年総務省調査)の半分程度である。 地縁的コミュニティーの代わりとなる存在として、テーマ型コミュニティーがあり、けんがく地区では駅前花壇づくり、シニアサロン、子供の遊び場づくり、ごみ拾い、ウォーキング、桜の植樹・維持を行う団体などが誕生し、活動を行っている。地縁的なつながりが希薄なけんがく地区で、地域の課題を解決していくには、これらテーマ型団体やそのメンバーが連携し、地域の当事者となって地域全体を考えた活動をすることが求められている。 2回目の「けんがくハロウィン」 けんがく地区で活動する団体の多くは歴史が浅い上、団体同士のつながりがほとんど見られず、多様で多世代に及ぶ交流が少なかったが、この数年、団体間の連携・交流を育む動きが活発になってきている。ワークショップや交流会などを経て、連携づくりのツールとしての「けんがくさくらまつり」「けんがくハロウィン」が開催され、その試みは第1回つくばSDGs大賞を受賞した。 第2回となった今年のハロウィンでは5つの企画が実施された。子供たちや親子連れに商店を訪れてもらい地域にどのような店があるかを知ってもらうトリックオアトリート、交通安全クイズラリーやパンプキン色のゴミ袋を使ったごみ拾いやクラフト、そして商店や企業から賞品を提供してもらった仮装コンテストである。 その運営の特徴は、活動団体や商店、企業、公的機関など多様な主体の連携と、活動団体の負担の極小化である。団体のリソース(人材、知識、情報、ノウハウ、人的つながり、物品など)を共有・活用して、負担を軽くした。例えば、ごみ拾い団体がごみ拾いやごみ袋クラフトを担当したり、交通安全母の会が警備を行ったりするなど、各団体が普段行っていること、得意としていることを生かすようにした。 多様な団体が強みを生かし連携 当日は天候にも恵まれ、1000人を超す来場者があり、参加者も実施者も協力店舗も楽しめるイベントとなった。「けんがくハロウィン」の実施を通じて、各団体の実態や得意不得意を互いに認識し、顔なじみの関係を構築して、緩い組織化を達成することができた。 新しくできたまちでは地縁型コミュニティーが醸成されるまで時間が必要とされるが、それまでのつなぎとしてテーマ型コミュニティーが連携することで代替できるのではないかと考えられる。多様な団体が連携し、それぞれの強み・得意を生かすことで各々が成長し、それがまちの成長につながっていくと確信している。 この欄「けんがくひろば」では、けんがく地区で活動する団体や連携して開催するイベントを紹介していく。(けんがくまちづくり実行委員会代表) 【しまだ・ゆみこ】けんがくまちづくり実行委員会代表、研究学園グリーンネックレス タウンの会代表。本業は海外映画・ドラマの字幕翻訳。TX研究学園駅地区に移り住んだことをきっかけに、まちづくりに興味を持つ。まちづくり活動を行いながら、現在、筑波大学大学院システム情報系非常勤研究員として、都市計画の研究に携わっている。

子どもたちに科学の楽しさを 筑波大でサイエンスキャンプ

筑波大学(つくば市天王台)で27日、科学に興味を持つ38人の小中学生を対象に「冬のサイエンスキャンプ」が開催された。今年8月の夏のサイエンスキャンプに続き2度目となる。今回は、同大教員らによる気象学と化学の授業が催され、受講生は実験を通して科学を身近に体感しながら理解を深めた。 サイエンスキャンプは、未来の理系人材を育成するためのプログラム「つくばSKIP(スキップ)アカデミー」の一環として、同大社会連携課SKIP(スキップ)事務局が中心となり開催された。同大を含め全国の約20機関で同様のプログラムが開催されており、理科離れを引き止める狙いがある。 同アカデミーは2017年から始まり、今年で7年目。コロナ禍を乗り越え、昨年度から対面での実施が再開された。今年6月の筆記試験を経て、小学5、6年生と中学生の男女40人が受講生として選抜され、理科が好きな生徒や、将来科学技術の分野で活躍したい生徒などが集まった。半数以上が県内から参加し、県外の関東圏からの参加者も目立った。 受講生は9カ月の間、社会問題と関連した科学に関する幅広い分野を学習する。これまで、同大構内の生態系調査、プログラミング、化石発掘実習、画像制作などを体験し、今年9月の「個人研究発表会」では、受講生各自が興味を持った内容をもとにテーマを設定し、研究成果を発表した。 27日の気象学の授業では、日下博幸同大教授による講義と実験が行われた。受講生は、スーパーコンピューターの計算により、日々の気象予測がなされることを学習し、同大計算科学研究センターに設置されているスーパーコンピューター「シグナス」を見学したほか、水と入浴剤、スマートフォンのライトを使い、夕陽のメカニズムを研究する実験や、真空容器に入ったマシュマロが空気圧により膨らむ様子を実験した。 屋外では、受講生は同大院生らと協力し、風速計を使って風の大きさを数値化し、サーモグラフィーカメラで光と陰、アスファルトと芝生というように条件によって変化する温度分布を観察した。また風の流れに乗って風船が動く様子を望遠鏡で観察し、風の向きや風速など目には見えない大気の様子を観察した。 神奈川県から参加した中学2年の女子生徒は、日下教授によるマシュマロと気圧の実験について「空気圧によって、マシュマロが膨らむ様子が面白かった」と話した。東京から参加した小学5年の男子児童は、夕陽のメカニズムを研究する実験が成功した様子を振り返り「夕陽をきれいに再現できたのがよかった」とし、将来については「科学が好きなので参加した。学びの中で興味を持った海洋生物学者を目指したい」と話した。 プログラムは修了式が行われる3月まで実施される。(上田侑子)

高齢者がスマホ予約に挑戦 AIで乗合タクシーを便利に【公共交通を考える】4

高齢化が進むつくば市茎崎地区を対象に12月1日から、同市が運行する乗合タクシー「つくタク」のスマホ予約実証実験が行われている。スマートフォンで専用アプリを開き、乗車時間と場所、目的地を入力して予約すると、AIが自動生成したルートで複数の客を乗せながら効率良く目的地まで運行するという実験で、AIオンデマンドシステムと呼ばれる。来年2月29日まで3カ月間実施される。 「分からない」手を挙げる人続出 実証実験に先立ち11月21日、茎崎交流センターで、自分のスマートフォンからネット予約するための説明会が開かれ、60代から80代の高齢者56人が市職員らのサボートを受けながらネット予約に挑戦した。 つくタク利用者の8割を高齢者が占める。アプリを用いた予約に慣れてない高齢者が説明会に集まった。説明会は、高齢者が自分のスマートフォンに、QRコードからアプリをダウンロードすることから始まった。会場から「分からない」と手を上げる人が続出し、サボートにあたった市職員ら8人が1人ひとりに向き合って操作を支援した。 参加した同市自由ケ丘の民生委員で70代の男性は「みんなに教えないといけないから」と、前かがみになりながらスマートフォンの画面に目を凝らした。森の里の谷中絹代さん(80)は「外出にはつくタクを利用している。予約は当日利用が朝8時半から、当日以外は正午からと決められていて時計を見ながら予約している。操作ができると予約が便利になると聞いて来たが、インストールとかタップとか用語が分からないし難しい」と話した。 実証実験を推進する市科学技術戦略課は来年1月10日まで、同センターのほか茎崎地区の各所でスマホ相談会を開いて普及に努めている。森の里の自治会長、倉本茂樹さん(81)は「つくタクを利用するのは75歳以上の後期高齢者が多くを占めると思う。スマホ操作に不慣れな状況を踏まえて、高齢者でも使いやすいシステムにしてほしい」と、操作に不安な高齢者をおもんばかった。 25年度にネット予約導入へ 国交省の「スマートシティモデル事業」に選定された同市は、筑波大学、KDDIをはじめとする47機関で構成する「つくばスマートシティ協議会」(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青市長)を設立。先端技術を取り入れて都市が抱える問題を解決する事業に取り組んでいる。つくタクの実証実験は、市と同協議会、AIを活用した効率的な配車システムのノウハウを持つ民間企業との連携事業で実施されており、同地区で使用されている8人乗りジャンボタクシー3台のうち1台が実証実験に使われている。 つくタクは現在、市内5つの地区(筑波、大穂・豊里、桜、谷田部、茎崎)ごとにオペレーターが電話予約を受け、2011年の運行開始以来、人手作業による配車を実施している。運行は1時間に1便で平日の午前9時台から午後5時台まで。年約4万4000人が利用し、そのうちの8割が高齢者で買い物や通院目的での利用が主体となっている。 同課がまとめた今年4~8月のつくタク利用実績によると、利用者数は5カ月間で2万590人で、前年度同期と比較して158人(0.7%)増えている。月別利用者数や地区別の1時間毎の利用者数などは地区によって増減が見られる。乗合率は全地区平均で52%(昨年は51%)と、ほぼ半数が1人での利用となっている。 一方、全ての地区で予約のお断り数が増加してキャンセル待ちが生じており、利用者からは「予約をとるのが面倒」「予約センターが混み合い、予約できない」など改善を求める声が挙がっている。 茎崎地区では3カ月間にわたる実証実験の後、利用者数や運行距離などのデータ、利用者とつくタクを受託している事業者の感想や要望などを元に検証が行われる。つくタクの運行を担当する市総合交通政策課は、現状の人手による電話予約に加えて2025年度から、24時間いつでもネットで予約受け付け可能なAIオンデマンドシステムを導入することを検討している。(橋立多美) 続く ➡「公共交通を考える」の過去記事はこちら

ヤキモチ焼の女房《短いおはなし》22

【ノベル・伊東葎花】 むかしむかし、たいそうヤキモチ焼きの女房がいた。 亭主は団子屋を営んでいたが、女の客が来るたびに女房が目を光らせるものだから、やりにくくて仕方ない。 「多少のヤキモチならかわいいけど、うちの女房は度を越している。何とかならないでしょうか」 亭主は、村の長老に相談をした。 「若い女に道を聞かれただけで、すごい剣幕で怒るんです。商売にも差し支えるし、何かヤキモチを抑える薬はありませんか?」 長老は、「そういえば」と棚の奥から何やら茶色の瓶を出してきた。 「これは、都の商人から買ったものだ。確か、ヤキモチ焼きが治る薬だ」 「ほう。そんな薬が本当にあるんですか」 「試したことはないが、おまえさん、ひとつ使ってみなさい」 亭主は、長老から二回分の薬を分けてもらった。 さっそくその夜、女房と差し向って酒を酌み交わした。 もちろん女房の酒には、長老からもらった薬が入っている。 「一緒に飲もうだなんて珍しい。やましいことでもあるんですか?」 「いいから早く飲め。なかなかうまい酒だぞ」 女房は「ふん」と鼻を鳴らして酒を飲み干した。あとは効き目を待つだけだ。 翌朝、店の準備をしていると、通りかかった若い女が石につまずいて転びそうになった。 亭主はさっと手を差し伸べて女をかばい、一瞬だが抱き合うような格好になった。 「まずい。女房に怒られる」 振り返ったが、女房は店の奥で何事もないように団子を並べている。 亭主は店に戻り、「おい、今の見てなかったのかい?」と聞いた。 「見てましたけど、それが何か?」 あんな美人に女房がヤキモチを焼かないわけがない。 なるほど、薬が効いたんだな。亭主は、心の中で万歳と叫んだ。 そのあとも、女房はさっぱりヤキモチを焼かない。 団子を買いに来た女と手が触れても、近所の若奥さんと話し込んでも、見ているだけ。 あんまりヤキモチを焼かれないのも、何だか物足りない。 亭主は昔なじみの芸者を家に呼んだ。 女房の目の前でいちゃつきながら酒を飲んだが、女房はさっぱりヤキモチを焼かない。 あきれたような顔で見ているだけだ。 そっけなくされると、今度はやけに女房のことが気になるものだ。 亭主は、女房が若い男と話したり、男の客に笑いかけるのが何とも許せなくなった。 「いかん、いかん。俺がヤキモチ焼きになっちまう。そうだ。あの薬が一回分残ってたぞ」 その夜、女房と酒を飲んだ亭主は、自分の酒にあの薬を一滴たらした。 「しかしおまえは、ヤキモチを焼かなくなったね」 「そうですか?」 「そうさ。この前も、女を家に連れてきても何にも言わなかったじゃないか」 「女って…いくら私でも、メス猫にヤキモチは焼きませんよ」 「メス猫?」 「ええ、まったくあなたの動物好きにはあきれますよ」 その時、長老が訪ねて来た。 「おい、この前、渡した薬、間違えた。あれは女が人間以外の動物に見えちまう薬だった」 「何だって?」 亭主が振り向くと、そこには酒をうまそうに飲むメスのタヌキがいた。(作家)

学級増「志願状況みて個別対応」 つくばの県立高校不足問題 

市民団体要望に県教育庁 9校でシミュレーションも 人口増が続くつくば市に県立高校が少ない問題で、県教育庁高校教育改革推進室の増子靖啓室長は27日、2025年度以降のつくばエリア(つくば、つくばみらい、守谷、常総、牛久市の一部)の県立高校の学級数をどうするかについては、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期(24~26年度までの3年間)に反映させ位置付けるのではなく、「直近の志願状況などを見極めた上で(学級増を検討するなど)個別に対応したい」と述べるにとどまった。 一方、県は今年度、つくばエリアにある全日制県立高校9校(牛久栄進、筑波、竹園、つくばサイエンス、石下紫峰、水海道一、水海道二、守谷、伊奈高校)を対象に、①学級増をするとしたら現状で教室が足りるのか②教室がない場合、敷地内に増築するスペースはあるのか➂増築するとしたら概算でいくらかかるのかなどのシミュレーションを実施したことを明らかにした。結果については内部調査であることから公表する予定はないとしている。 つくばエリアや周辺では2023年度につくばサイエンス高の定員が2学級(80人)増、24年度は牛久栄進高が1学級(40人)増、筑波高に進学対応コースが新設されるなど、対応が始まっている。一方で土浦一高や水海道一高に中高一貫クラスが導入されたことから、つくば市の市立中学卒業者の県立高校受験は事実上、より厳しくなっている。 エリア間の入試格差解消を 市民団体「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が同日、森作宜民県教育長宛てに要望書を提出したのに対し、増子室長が回答した。要望書は、11月に同会が開いた教育フォーラム(11月12日付)で協議された意見などをもとに提出された。 要望書は、現在県が策定を進めている県立高校改革プラン実施プランⅡ期につくばエリアの実情を反映させ、つくばエリアの募集枠に対する全日制県立高校の定員(現在は47.5%)を県平均レベル(69.3%)まで引き上げることなど、県内エリア間の高校入試の募集枠の格差解消を求めた。具体的には県平均と同レベルにするには現状で15学級、7年後の2030年にはさらに10学級増が必要だと指摘し、竹園高校を2学級増やす、牛久栄進、土浦一、土浦二高の10学級化を目指す、つくばサイエンスに普通科を設置する、土浦一や水海道一など伝統校の県立中学の設置に伴う高校定員削減を止めることなどを要望した。 ほかに、学科を新設する場合は生徒や保護者にアンケートをとること、遠距離通学者への補助やスクールバス費用の軽減などを要望した。 要望書を受け取った県教育庁の増子室長は、県立高校改革プラン実施プランⅡ期について「つくば地域以外は中学校卒業者の数がどんどん減っており、実施プランⅡ期のメーンは(県北地域などの)小規模校への対応の検討になる」などと答えた。 同考える会の県要望は5回目、今年度は3回目の要望活動になる。(鈴木宏子)

バス廃線後利用者3倍 住民主体で送迎サービス【公共交通を考える】3

水曜日の午前10時50分、つくば市下広岡の住宅団地、桜ニュータウンのほぼ中心にある市広岡交流センターの駐車場に、買い物バッグを手にした高齢の女性たちが集まってくる。ショッピングカートを押してくる人もいる。 桜ニュータウン高齢者等送迎システム「さくら」(中澤哲夫代表)が運行している「土浦イオン買い物乗合」で、毎週水曜日にワゴン車や乗用車に同乗して4キロ離れた大型商業施設、イオンモール土浦に向かう。利用者は思い思いに買い物やランチを楽しんで車に戻り、午後1時に桜ニュータウンに帰る。運転者は重い荷物と一緒に利用者を自宅まで送り届けている。 時々利用しているという87歳の女性は「山口県から娘の家に引っ越してきたので知った人がいなくて寂しかったが、買い物乗合を使うようになって顔なじみの人ができた。車内でのおしゃべりが楽しくて‥」。「夫と買い物に行くと急かされて落ち着かない。買い物乗合はゆっくり買い物できてストレス解消にもなる」という人も。 予約の必要はなく、料金は1回100円。乗車する時に運転者に支払う。毎週3~5人が利用し、そのうちの9割が女性だという。 キロ20円、土日祝日問わず朝8時から夕6時 高齢者等送迎システム「さくら」は、バス廃線問題に立ち上がった自治会の下部組織「桜ニュータウンのこれからを考える会」が、廃線問題が持ち上がる前の2020年に、高齢化が著しい桜ニュータウンには共助によるサボート体制が必要とスタートさせた。 65歳以上の高齢者と障害者、運転免許を返納した人が対象で、自家用車で利用者の自宅と目的地の間を往復する。第2種免許がなくても送迎できる国の制度を活用している。会員制の組織で、桜ニュータウンに住んでいる利用会員と協力会員(運転者)、賛助会員で構成されている。運行を開始した20年4月は新型コロナの流行が拡大した時期だったが、20人が利用会員となり、コロナ禍でも送迎は休みなく続けられてきた。 同団地とつくば駅を結ぶ路線バス「桜ニュータウン線」が廃止されると、外出が不便になった住民が送迎システムに関心を寄せ、利用会員は3倍の63人に増えた。運行開始から今年11月29日までの利用者は延べ507人を数える。行き先で多いのが病院または診療所だという。運転者は10人。すべて住民が担当している。 土日祝日を問わず午前8時から午後6時まで運行し、片道15キロの範囲で利用できる。予約方法は、利用会員が、自宅に届いた1カ月間の運転者10人のスケジュール表を見て、希望する時間帯が空いている運転者に電話する。利用者が増えたことで申し込みが重なり、予約が取れないなどのトラブルは今のところない。 料金はガソリン代としてキロ20円に設定され、例えば片道7キロの場合は往復で280円という低料金で運行されている。月初めに前月分を事務局が集金し、送迎実績に応じて運転者に支払う仕組み。予約不要で乗り合いの「土浦イオン買い物乗合」は、利用するたびに運転者に支払う。賛助会員からの会費や寄付金を活用し、送迎中の事故を補償する保険に加入している。 バスが消えるなんて想像してなかった 利用会員の男性(80)は「桜ニュータウンの欠点は交通の不便さで、高齢者にとってますます増える病院通いは、診療費よりも交通費の方が高くなることがしばしば。これを救ってくれたのが『送迎システムさくら』で助かっている」という。 代表の金子和雄さんは「長年この地域に住んできて路線バスが消えるなんて想像もしていなかった。公共交通の利用者は減少傾向で、いまはバスがある地域の人も『自分の身に降り掛かるかもしれない』と考えてほしい。だれもが他人任せにせず、地域の交通について考えるとき」だと話した。(橋立多美) 続く ➡「公共交通を考える」の過去記事はこちら

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