火曜日, 4月 7, 2026

香り立つ「木の酒」づくり つくば 森林総研に新研究棟

木からお酒をつくるー人類の歴史でもおそらく初めてという試みに挑んでいる森林総合研究所(つくば市松の里、浅野透所長)が9日、研究所内に完成させた「木の酒研究棟」を報道関係者らに公開した。 お披露目されたのは「木質バイオマス変換新技術研究棟」。木造平屋建て約140平方メートルの施設で、内部には①木を1センチの木片に粗くチップ化し、②1ミリサイズの木粉状に粉砕、③さらに水と混ぜながら1マイクロメートル(100万分の1メートル)まで微粉砕し、④クリーム状となった木材を糖化・発酵タンクに投入してアルコール度数1-2度の「醸造酒」を作り、⑤さらに2回蒸留することによりアルコール度数30-40度の「蒸留酒」を得るー5工程からなる装置を配置した。 ①は木材のチップ化によく使われるチョッパーと呼ばれる装置で、②は大豆など粒原料の粉砕に使われる粉砕機、④はバイオエタノールの製造などに以前から使われてきた装置の転用。これら既存技術を組み合わせる中で、③の「湿式ミリング処理」がキモとなった。 木材の細胞壁の厚さは一般に、2〜4マイクロメートルと非常に薄く、この薄い細胞壁構造が密集して硬い木材を作り出している。この木材の細胞壁の厚さを砕く新しい前処理技術が「湿式ミリング処理」。ビーズミルと呼ばれる装置を応用して、木材を水中で高硬度のジルコニア製ビーズとの衝突により微粉砕する。木粉と水を所定の割合で混合し、ビーズミルの粉砕槽に流し込むことで1マイクロメートル以下になるまで微粉砕できる。これによって木材の細胞壁の厚さが砕かれ、中に埋め込まれたセルロースがほぐれて露出する。露出したセルロースは市販の酵素(セルラーゼ)によりブドウ糖に分解でき、できたブドウ糖は微生物によって発酵することができる。 熱処理や薬剤処理なしに木材と水だけで処理できることから、同研究所の森林資源化学研究領域、大塚祐一郎主任研究員(46)らは、木材を直接発酵して造る飲用のアルコールの製造が可能と考えた。木の酒の製造技術については2018年に特許出願し2021年に権利化している。これまでに複数の民間企業、団体から特許の使用申請を受けているという。 こうしたことから、これまで所内外に分散する施設・装置に人と材料を移動させながら、行ってきた試験製造の集約化を図ったのが「木の酒研究棟」。実証的な製造技術開発を加速化するとともに、民間への技術移転を推進するための研修に活用することも目的に開設した。 樹種ごとに異なる香り楽しめる 人類は有史以前から、様々な酒類を生み出し消費してきたが、そのほとんどは穀物か果実の糖分を原料とした酒であり、木を直接発酵して酒を造った歴史はない。このため、「木の酒」を飲料とするためには、特に安全確認が必要となった。 原理的には樹種を問わずお酒にできるが、研究所ではスギ、シラカバ、サクラ(ソメイヨシノ、ヤマザクラ)、ミズナラ、クロモジの6樹種を原料に試験製造を行ってきた。食品安全性の面で、箸や楊枝などに使われた経験からアレルギー発症などのおそれのない樹種を選んだということだ。 研究棟の装置では一度に最大2キロの木材を生産プロセスにかけられるが、2キロのスギからはアルコール度数35度の蒸留酒がウイスキーボトル1本分(750ミリリットル)できる。樹齢50年ほどのスギであれば、スギ1本からウイスキーボトルで100本以上の蒸留酒が製造できる計算という。 9日の公開では試飲は行われず、蒸留酒を嗅ぎ比べる香り体験会が催された。スギは樽酒を思わせる香り、シラカバは白ワインのようなフルーティーな香り、ヤマザクラは華やかな香り、ミズナラはウイスキーを感じさせる芳醇な香り、クロモジは柑橘系の爽やかな香り、と樹種ごとに異なる風味が醸し出されるとの評価があるという。 大塚主任研究員によれば、社会実装までには装置の大型化や酒造メーカーの参入などの課題を抱える。これまで市場関係者とは、味覚や風味を判定してもらうための官能試験に協力を得るなどしており、試飲したレストランのシェフなどからは「シラカバやミズナラは食前酒に使えそうだ」との感触を得ているそうだ。(相澤冬樹)

カイメンの自衛手段でフジツボ付着を防ぐ 世界大会に挑む筑波大学生サークル

生物学と工学の学際的研究分野である「合成生物学」を用いて、地球温暖化の問題を解決しようとする学生サークルが筑波大学(つくば市天王台)で活動している。4月に発足した「iGEM TSUKUBA(アイジェムつくば)」、生物学類2年の吉本賢一郎さんが代表を務める。 iGEMはマサチューセッツ工科大学(MIT、米国マサチューセッツ州)で毎年11月に行われる合成生物学の世界大会。世界中から約300チーム、約6000人の学生が集まり、研究成果を発表する。日本からは東京大学(東京)、京都大学(京都)、早稲田大学(東京)などが毎年参加しているという。これに筑波大学チームとして参加しようと、今年度から一般学生団体として立ち上がったのがアイジェムつくばだ。 同サークルが研究対象にしているのは、海洋生物のカイメン。主に海の岩などに付着して生息する動物で、これらは自分を守るための物質を藻類などの微生物に作らせている。この物質を、船底などに付着するフジツボの阻害に使えないかというテーマだ。 代表の吉本さんは「海に浮かぶ船の底にフジツボなどの生物が付着すると、重量や運航時の抵抗が増す。その結果、燃料の消費量を非常に大きくしてしまうが、除去にもコストがかかり問題になってきた」と話す。付着を阻害する薬剤が用いられてきたものの、自然環境の汚染などへの懸念から規制が強まりつつあるという。 これに対し、カイメンなどの「生物が作り出す物質」を微生物に合成させることによって、新たな生物由来の付着阻害剤を実用化することを試みていると話す。吉本さんによれば、生物由来であるために環境への悪影響が極めて少ないと考えられ、環境負荷を減らせる可能性がある。 「資金集めに苦労」 生物学類の学生の中で、昨年の1月ごろ「iGEM」に参加するチームを作ろうという計画ができた。当時、大学一年生だった吉本さんもその計画に参加していた。アイジェムつくばとして行うテーマを決めるとき、吉本さんは「授業の課題」から生物由来の付着阻害剤を着想した。 「科学概論」という新入生向けの授業で、生物由来の物質が生活の役に立っている例の紹介があった。その際に出された「授業では紹介していない例を挙げる」という課題を調べていく中で、一部の海洋生物がフジツボなどの付着を阻害する物質を体内で合成していることを知った。吉本さんは「生物が作り出している物質が、他の生物の『発生』を阻害することがあるのか」と興味深く思ったと話す。 同サークルには現在、約30人が所属している。多くは2年生で、生物学類や生物資源学類の学生が多い。4つのチームに分かれており、研究だけでなく、高校生への教育活動なども行っているという。 実験やそのまとめ、アメリカで開催される大会への参加など、資金も必要だ。それらの資金の獲得も、団体の活動として行っている。そうした役割を担う「総合運営班」のリーダーを務める石川風太さん(生物学類2年)は「やはり資金集めには苦労している。始まったばかりの団体だが、年間200万円ほどの予算が必要だ。企業の支援や、研究助成の獲得など、裏方も仕事が多い」と話す。 吉本さんは「iGEMは1年を通して、テーマを決め取り組む。1年というスパンは短くもあるが、大会では、研究成果に対するフィードバックや論文の執筆支援もあり、とても意義があるものだと思う。将来的には本格的な実用化に向けて頑張っていけたらと思う」と意気込みを話した。(山口和紀) ◇アイジェムつくばのHPはこちら

「人生の終わりのための活動」を考える 《ハチドリ暮らし》28

【コラム・山口京子】数年前から、終活に関するセミナーに呼ばれることが増えました。終活とは「人生の終わりのための活動」の略です。人生のたな卸しをしつつ、これからの締めくくり方を考えます。「自分の情報や願いを整理し、これからやりたいことを書き出して実行してくださいね」と話しています。 終活の前段として、いつまで働くか、いつから年金を受け取れるかも大きな課題です。高齢期の長期化で、健康寿命・働く寿命・資産寿命の3つを意識せざるを得ません。健康寿命を延ばすことは、働く寿命や資産寿命にも影響し合います。職種によっては定年が70歳だったり、定年を廃止しています。 一般的に65歳以上の人を高齢者と言い、2022年時点で3627万人、人口の3割弱となっています。みなさんは、65歳以上になった自分の生活や働き方、受け取れる年金の予想額などを意識されているでしょうか。 2022年の日本人の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳。死亡者が最も多い年齢は、男性で88歳、女性で93歳でした。長生きをするほど、平均寿命を超えていくのがわかります(令和4年度簡易生命表=※メモ参照=より) 認知症の患者は、2025年には700万人を超えると言われています。自分も認知病までに至らなくても、物忘れが増えましたし、体の敏捷性や体力の低下を実感しています。ですので、数年前から身の回りの片づけを始めました。 社会的な活動にも参加する 「思い立ったが吉日」で、資産のたな卸しやエンディングノートの作成、成年後見制度の仕組みや家族信託、遺言や各種委任契約などを調べてみてはいかがでしょうか。 また、人生を振り返って、自分が生きた時代はどういう時代だったかを整理したいと思います。そのうえで、これからどう生きるかをしっかり考えることが求められます。今を生きる宿題、それにどういった答えを出すかが、子どもや孫たちの人生にもかかわるのではないでしょうか。 セミナーでお伝えすることは、①自分の気持ちと向き合いその気持ちを家族に伝え、家族の気持ちも受け止めて思いを共有する、②家計を予算化しその範囲で暮らし、資産寿命を延ばす、③これからの法律の立法や改正にアンテナを張り、それがわが家にどう影響するかを考える、④事情が変われば早めに見直す、⑤社会的な活動に参加する―などです。(消費生活アドバイザー) メモ※令和3年簡易生命表政府統計報告書の1つ。日本にいる日本人について、令和3年1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などを、死亡率や平均余命などの指標によって表したもの。日本の死亡状況の厳密な分析、また0歳の平均余命(平均寿命)など広く活用されている。

デビュー作で初回コンクールに入賞 つくばワイナリーの山ぶどうワイン

つくば市北条の醸造所「つくばワイナリー」からエントリーした3種のワインが、第1回の日本山ぶどうワインコンクール(日本山ぶどうワイン協会主催)で入賞を果たした。経営元のカドヤカンパニー(小美玉市、岡崎正光社長)が8日発表した。 コンクールは、「山ぶどう」「山ぶどう系品種」で作られたワインに特化した、日本で初めてのコンペティション。黒ぶどう品種の「日本山ぶどう」は日本独自のワイン専用種として、交配種の「山ぶどう系品種」と共に近年、栽培面積を拡大させているという。今回は、主産地である秋田県鹿角郡小坂町に事務局を置く実行委員会の主管で、7月に開催された。全国41のワイナリーから103本のワインがエントリーされた。 つくばワイナリーからは、スパークリングワイン部門で「SPARKLING ROSE(スパークリングロゼ)」が空賞、「SPARKLING BLANC(スパークリングブラン)」が茜賞を受賞。そして白ワイン部門で「TSUKUBA BLANC STANDARD(つくばブランスタンダード)」が茜賞を受賞した。特にスパークリングワイン部門では紫賞に該当するワインがなかったため、単独で空賞を受賞した「SPARKLING ROSE」が最高位という結果になった。コンクールでは通常の金、銀、銅ではなく、日本古来の色順位に基づき、上位から紫賞、空(青)賞、茜(赤)賞が贈られた。 同社は筑波山ろくの北条地区の丘陵地に約18ヘクタールの土地を取得、2012年にワイン用ブドウの栽培を開始した。19年には醸造所と売店からなる施設、ワイナリーを開設して、つくば産ブドウ100%を使ったワイン製造を開始した。(2019年12月15日付) ブドウ園の6割ほどを占めるという山ぶどう系品種を使ったワインの仕込みは2021年収穫分からで、コンクールには、このワインを丸1年寝かせて出品した。デビュー作で初回コンテストに入賞した形だ。 同ワイナリーの栽培・醸造責任者の大浦颯人さん(25)によれば、「SPARKLING ROSE」は山ぶどうと赤ワイン品種のメルローとの交配種を用いたワイン。「山ぶどうワインは野性味ある男っぽさが持ち味だが、その酸味を残しながらもフルーティーでチャーミングな味に仕上がったのが評価されたのではないか」としている。 ◆つくばワイナリー つくば市北条字古城1162-8(電話029-893-5115)

ハンバーガーに寄せる「おいしい絵」 つくばで川浪せつ子さん水彩画展

NEWSつくばにコラム「ご飯は世界を救う」と「ご近所スケッチ」を執筆している川浪せつ子さんの水彩画展が29日まで、つくば市松代のマツシロバーガー&カフェで開かれている。同市在住の水彩画家、イラストレーターによる「おいしい絵 ハンバーガーの水彩画展」で、同店のハンバーガーやスイーツなどを描いた作品17点と、つくばや周辺地域の四季折々の風景画21点が展示されている。 いずれの作品もA4サイズほどの判型に、透明水彩絵の具を用いて細やかなタッチで丁寧に描き込まれている。風景画は2017年に廃刊となった常陽新聞に川浪さんが寄稿していたコラム「花もダンゴも」で掲載された作品。透明感と清涼感に満ちた作品を熱心に鑑賞する入店者の姿が見られた。 会場のマツシロバーガー&カフェは、コラム「ご飯は世界を救う」の54回目に登場したハンバーガー店(2月14日付)。以前は同市小野崎の商業施設でフランチャイズ「フレッシュネスバーガーLALAガーデンつくば店」として営業していた。川浪さんは当時から、施設内の民間のスポーツクラブに通うときに必ず立ち寄る居心地の良い店だったが、22年10月にLALAガーデンつくばが閉店したことで独立し、フランチャイズ店で培ったノウハウを生かし、昨年末松代ショッピングセンター内にオープンした。 独立を果たした同店を応援しようと川浪さんらは3月から準備を進めてきたそうで、おいしそうなハンバーガーが壁面を飾っている。入店した50代から60代の女性たちからは「つい食べ慣れたハンバーガーを注文してしまうが、レパートリーが広がりそう」といった声や「風景画は自然の清々しい空気感が感じられて優しい気持ちにさせてくれる」と話していた。 川浪さんは「ランチスケッチ『ご飯は世界を救う』には食べることは心を豊かにしてくれるという思いと、安全で安定した食への思いを込めている」と話す。イラストを添えながら独自の視点で捉えた店の成り立ちや人間模様が書き添えられ、食べログとは一味違うランチガイドに仕上がっている。昨年から始まった「ご近所スケッチ」は地元再発見散歩で、身近な場所の魅力に触れられる。(橋立多美) ◆おいしい絵 ハンバーガーの水彩画展 会期は29日(火)まで。会場は松代ショッピングセンター谷田部松代郵便局並び。営業時間は午前11時~午後8時。水曜定休。問い合わせは川浪さん(電話080-5524-8678)。

「ラージポンポン」 《続・平熱日記》139

【コラム・斉藤裕之】「異次元の少子化対策」の何がどう「異次元」なのか? そんなことが世間でつぶやかれる中、3次元的に大きく膨らんだのは長女のお腹。1人目に続き帝王切開ということで、一応予定日というか誕生日、時間まで決まっている。その時間、私は授業中だから、心の中で無事に生まれてくることを祈るしかない。 少子化は国家の根幹を揺るがすほどの問題なのかもしれないけど、娘の大きなお腹を見ていると、この「さずかりもの」は国家と関係があるのだろうか? とか、種としては十分すぎるほど繫栄しているし、むしろ増えすぎたんじゃなかろうか? とか、少しぐらい日本の人口は減ったぐらいがいいじゃないか? とか、いや減るべくして減っているのでは? とも思う。 しかし、ソーリとしては「面倒見るよ! 心配しないでバンバン産んで!」と言うしかないのだろう。 それにしても、「異次元」という言葉は、どなたかの入れ知恵なのかもしれないけれど、少し子供っぽい。それよりも、どこからこの予算を引っ張り出すのか。異次元が2次元に、「絵に描いた餅」にならないように。子供が増えると、まず減らされるのはお父ちゃんの小遣いだろう。 ということは、まずは政治家さんの小遣いから減らさないとね。「異次元の身を切る政策」から。 「インハラベビー」 それはそうと、夏休みを心置きなく故郷で過ごしたい。そのために、9月の頭から香川県のギャラリーで開かれる展示のため、数点の作品を早めに準備しておくことにした。そのタイトルが「ディメンション Zero展」。キャンバスのゼロ号サイズの作品展という意味だそうだが、ゼロ次元展とも読める。ゼロ次元というのは宇宙誕生の寸前? 創造のエネルギーの状態? かな。 実は次元という言葉には少しアレルギーがあって、というのも現代美術というくくりの中では絵画のことを2次元表現なんていうものだから、こっちもすっかりその気になって「ニジゲン、ニジゲン…」なんてやっていたら袋小路に入っていっちゃって…。 でもあるとき、シンプルに「絵を描こう!」って思ってから楽になったというか…。そんな苦い経験があるからだ。 数日後、無事に長女が男児出産の知らせ。メールで送られてきた画像を見ながら、何とも言えない幸福感に包まれる。「こんにちは赤ちゃん…」子供の頃にはやった歌が頭の中に流れてきた。 そうね、異次元云々より「こんにちは赤ちゃん予算」くらいにしておくのはどうだろう。それから中学のときの国語の先生の言葉を思い出した。「ラージポンポン、インハラベビー」。当時産休に入られる先生のことを言ったのか…。なんか昭和って感じ。 そういえば四国に行ったことがない。故郷の海岸からはうっすらとその姿が見えるのに。次元は超えられないが、海なら越えられる。行ってみるか…。(画家)

初出場決めた!! 国体関東予選と天皇杯へ 筑波銀行軟式野球部

筑波銀行(本店・土浦市)軟式野球部が県代表として、8月開催の国民体育大会関東ブロック大会と、9月開催の天皇賜杯全日本軟式野球大会に出場する。6月から7月にかけて開かれた県民総体と天皇杯第78回全日本軟式野球県大会にそれぞれ優勝し、創部11年目にして初の快挙を達成した。いずれも常陽銀行との決勝戦にいずれも勝利した。 筑波銀行野球部は部員15人で、県内の強豪校出身者が多く在籍する。各支店に分かれて勤務していることから、平日はランニングや素振りなどの自出練習を行い、土日に那珂市にある同行野球部グラウンドでシートノック、連係プレー、フリー打撃などの全体練習を行う。 投手4人を擁する。エース征矢隼輔(そや・しゅんすけ)=水城高出=は投手陣の軸としてストレート、スライダー、チェンジアップ、カーブを武器に最速143キロの速球で相手打者に立ち向かう。「強気で、気持ちで負けないように頑張る」と意気込みを話す。 天皇杯県大会決勝で3ランを放ち一発長打がある4番福岡邦昌(ふくおか・くにまさ)=土浦湖北高校出身=は「茨城県代表として、企業を背負ってやっているので少しでもいいプレーを魅せて優勝したい」と力を込めた。 強肩強打で俊足が持ち味のキャプテン秋川弘明(あきかわ・こうみょう)=常総学院出=は「チーム、個人ともに順調にきている。大会まで最高の状態に仕上げたい。今年から監督が代わって新たな気持ちになった。相手より1点多く取って普通にやるのではなく相手が嫌がる野球をやって優勝したい」と抱負を述べた。 「守り勝つ全員野球」 就任1年目で初の国体、天皇杯出場の切符を手にした岡野信裕監督は「少ないチャンスをものにして投手陣を中心に守り勝つ。普段の全員野球で出来ることをやる」と国体、天皇杯へ向けての意気込みを語った。 国体関東予選は8月19日と20日、さいたま市で開催、埼玉県代表の旭製作所と対戦する。天皇杯は9月15日から20日、香川県で開催される。(高橋浩一)

つくばの洞峰公園問題 まだ迷走が続く? 《吾妻カガミ》164

【コラム・坂本栄】茨城県営の洞峰公園(つくば市二の宮)が無償でつくば市に譲り渡され、市営化される流れになっていると思っていたら、県議会から「待った」がかかりました。この公園の管理運営方法については県と市の間でホットなやり取りがあり、市がタダでもらうことで県と話がついていましたが、これで幕引きとはならないようです。 県議会が無償譲渡に「待った」 県議会の「待った」とは、知事が鹿島セントラルホテル(神栖市、県の第三セクターが経営)、県立白浜少年自然の家(行方市)などの県財産を安易に処分するのはおかしいと、議会が調査特別委員会を設けて審査する作業が8月2日から始まり、その中に県営洞峰公園も含まれることになったという動きです。 県議会が何を問題にしているのかなど、詳しくは「洞峰公園も調査対象に 県議会が調査特別委設置」(7月31日掲載)をご覧ください。 7月末時点での市のスケジュール感は、9月県議会で譲渡条例を可決してもらう⇒9月市議会で譲受条例を可決してもらう⇒同議会で半年分(10月~来年3月)の公園関連追加予算を承認してもらう―というものでした。しかし、調査特別委(次回は8月30日)が譲渡の是非や条件をチェックすることになれば、県も市もその結論が出るまで動きが取れなくなります。 仮に、調査特別委が「洞峰公園は民間売却でなく、官⇒官だから特別扱いしてもいいが、無償でなく有償にすべきだ」とか、「どうしても無償というなら、県が提案していたグランピング施設などを無償譲渡の条件とせよ」といった結論を出すようなことになると、これまでの基本合意は白紙に戻さざるを得ません。 県は名を捨て実 市は実を捨て名 市は上のスケジュール感を前提に、8月中に無償譲受の是非を市民に聞くアンケート調査を実施する予定でした。しかし、調査特別委の作業に時間がかかれば、当分、この調査は実施できないでしょう。また、仮に調査特別委が無償譲渡にOKを出すとしても、当たり前のことですが、アンケート調査の結果がどうなるかわかりません。 市民説明会の記事(7月22日掲載、同29日掲載)によると、市は2択形式の調査を考えていたようです。県の当初案(洞峰公園の野球場に民営のグランピング施設などを設け、その賃貸収益で公園管理費を捻出し、県の財政負担を軽くする)か、市営化案(洞峰公園を無償で市が譲り受け、市の財政負担とコンセプトで管理する)か、どちらかに〇を付ける形です。 私はコラム(下欄参照)で、県と市の「洞峰公園バトル」を終わらせる策として、県営公園の市営化(簿価+アルファで有償譲受)を提案。結局、知事は市側により好ましい無償案を示してきました。県は「名(公園改造計画)を捨て実(管理費転嫁)を取り」、市は「実を捨て(管理費発生)名(公園現状維持)を取る」ことになったわけです。 しかし、市営化案にも賛否があります。譲受賛成派=公園の現状維持を望む周辺市民(緑茂る今の公園のままがよい)、譲受反対1派=公園をあまり利用しない市民(市は余計な予算を使うな)、譲受反対2派=県の当初案を歓迎する市民(グランピング施設などでの魅力度アップは面白い)―などです。 調査は多サンプル・無作為抽出で 調査特別委の結論が出たあと、市は市民の多数意見が把握できるアンケート調査をすべきでしょう。少なくとも、無作為抽出の1000~2000人を対象にすべきです。少サンプルかつ作為抽出でやれば、アンケート調査をしなかった(故意?)運動公園用地売却のケースように、市民の間に強いストレスが残ります。(経済ジャーナリスト) <参考>153「洞峰公園の市営化、住民投票が必要?」(3月20日掲載)151「…洞峰公園バトル、勝者は県? 市?」(2月20日掲載)150「つくば市の2大懸案 県が示した解決策」(2月6日掲載)146「…洞峰公園…をめぐる対立と分断」(22年12月5日掲載)144「…洞峰公園… 県と市の考えが対立」(22年11月7日掲載)134「…洞峰公園、…市が買い取ったら?」(22年6月6日掲載)

土浦日大、タイブレークで甲子園開幕戦に勝利 市役所で約100人応援

第105回全国高校野球選手権記念大会が6日、甲子園球場で開幕した。県代表の土浦日大は開会式直後の第1試合に登場し、延長10回、タイブレークで上田西(長野)を破り、1986年以来37年ぶりとなる甲子園勝利を飾った。地元の土浦市役所1階ではパブリックビューイングが催され、土浦日大の勝利に大きな拍手が起こった。 土浦日大は2回、5番・松田陽斗が中堅左へ大会第1号となる本塁打で先制。3回には2本の単打と盗塁で1死二、三塁とし、暴投で2点目を奪った。その後は相手投手陣を攻めあぐねた。9回には2死二塁から太刀川幸輝の右前打で二塁から中本佳吾が本塁を狙ったがタッチアウト、開幕試合からいきなりの延長タイブレークに突入した。 延長10回からは無死一、三塁で攻撃スタート。1死後、四球で満塁となり、代打・飯田将生がレフト前にポトリと落ちるタイムリーで勝ち越し。さらに2死後、塚原歩生真から5連打を集めて5点を追加して試合を決めた。タイブレークでの1イニング6得点は過去最多となった。 投げては先発左腕・藤本士生が緩急つけたピッチング。4回に2本の長短打とスクイズで同点とされたが、それ以降は立ち直り連打を許さず、8回途中から2番手・伊藤彩斗に継投。延長10回に藤本が再登板し、試合を締めた。 熱闘に地元からエール 土浦市役所1階では、休日窓口を訪れた市民や、市役所周辺で開催中の夏祭り「きららまつり」を見物に来て市役所に立ち寄った市民らが足を止め、試合の展開を見守った。会場ではきららまつりのうちわが配られ、土浦日大に点が入るたび、うちわを叩いたり、拍手して喜ぶ姿が見られた。 友人と遊びに来て市役所に立ち寄り観戦した近くに住む大学2年、大塚勇翔さん(20)は「(土浦日大は)最初に先制したが追いつかれ、どっちが勝つか分からない緊張したいい試合だった。10回に、県大会決勝で見せてくれたような猛攻を見せてもらってうれしい。これからまた頑張ってほしい」と話した。 きららまつりを見に駅周辺を訪れ、市役所に立ち寄った土浦日大近くに住む無職60代女性は「とても良かった。最初2点取って、追いつかれたが、最後に6点を入れて素晴らしい。地元なのでこれからも勝ってほしい」と語った。 安藤真理子土浦市長は「まず1勝。この後の次の試合も期待したい。優勝目指して頑張ってほしい」と述べた。

なぜ、このコラム・タイトルなのか? 《訪問医は見た!》1

著者近影 【コラム・平野国美】お初にお目にかかる方も多いかと思います。コラムの担当することになった平野国美(くによし)と申します。「NEWSつくば」の前身である日刊紙「常陽新聞」や無料紙「常陽リビング」でもコラムを書いていましたから、常陽紙を引き継ぐ本ニュースサイトへの執筆は「10年ぶりの復帰」とも言えます。 確か、日刊紙常陽への寄稿が始まったのは、拙著「看取りの医者」(2009年)がテレビドラマ化されたことが契機になったと記憶しています。その後10年、何もしていなかったわけではないのです。医療介護の業界誌やら週刊誌などのメディアで書き続けていました。検索していただくと、ネットで読めるものもあります。 現在は、つくば市内に医院を設け、主に訪問診療を行っています。開業は2002年春ですから、ずいぶん月日も経ちました。生まれは龍ケ崎市、家業は自転車の卸業でした。コラムのタイトルにもつながるのですが、父のトラックの助手席に座り、配達を手伝っていたエリアと、いま診療で回っているエリアは重なっています。 物心が着いたころから50年以上、茨城県南の姿を見てきたことになります。私が高校を卒業する年、当時「軍艦」と呼ばれていた土浦駅が取り壊され、現駅の工事が始まりました。一浪して、筑波大学にたどり着いたのが1985年。つくば市はまだ誕生前で、桜村と呼ばれていたころです。 日本で初めて「村」にオープンした百貨店が筑波西武。つくば科学万博(EXPO85)が開催され、その後の風景の移り変わりを定点観測のように眺めてきました。つまり、《訪問医は見た!》のです。 医療だけでなくサブカルの話も そして東北大震災前の2010年、拙著「看取りの医者」が大竹しのぶさん主演でテレビドラマ化される打ち合わせの席で、三流原作者の平野は「訪問診療をしていると、各家庭には経済的な問題や家族間の問題が必ずあることがわかる。市原悦子さん主演のドラマ『家政婦は見た』の中で、市原さんが家政婦をしている時間はほとんどありません。ドアの隙間からのぞいている時間がほとんどです」とあいさつしました。 ここで《訪問医は見た!》が成立するのです。そこで聞く話は、私が生まれる前の土浦やつくばの風景もありますし、患者さんの生き様や死に様を見せつけられることもあります。「訪問医に魅せられた」のです。 私は休日には旅に出ます。ピカピカの観光地ではなく、昭和・大正の雰囲気が残る地方都市に向かいます。そこで新たな話を聞くことで、自分の生まれ育った街の伝統・習慣に気付かされるのです。 医療の話だけでなく(むしろこちらは少なめにして)、民俗性やサブカルチャーについても書ければと思っています。自由度を求めて、タイトルを《訪問医は見た!》にしました。また、いつ消えるかわかりませんが、ご愛読よろしくお願いします。(現役訪問診療医師) 【ひらの・くによし】土浦一高卒。1992年、筑波大学医学専門学群卒後、地域医療に携わる。2002年、同大博士課程を修了、訪問診療専門クリニック「ホームオン・クリニックつくば」を開業。著書「看取りの医者」(2009年、小学館)は大竹しのぶ主演でドラマ化。新刊は『70歳からの正しいわがまま』(2023年4月、サンマーク出版)。医療関係業界誌などでもコラム執筆。1964年、龍ケ崎市生まれ。つくば市在住。

Most Read