火曜日, 4月 7, 2026

ジュネーブに行ってきます 《電動車いすから見た景色》32

【コラム・川端舞】障害者権利条約は、障害者が社会のあらゆる場面で他の人と平等に生活する権利を規定している。日本が障害者権利条約を守っているか、国連の障害者権利委員会が審査する会合が8月、国連ジュネーブ本部で開催される。その会合を傍聴するために、スイスのジュネーブに行けることになった。 日本を審査する国連障害者権利委員会の委員は、ほとんどが世界中から選ばれた多様な障害者だ。日本からも多くの障害者がジュネーブに向かい、国内の障害者の権利について現状を障害者権利委員会の委員に伝える。 障害者権利条約は、「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing about us without us)」を合言葉に、世界中の障害当事者が参加して作成され、2006年に国連で採択された。そんな当事者主体の条約に基づき、世界と日本の障害者リーダーが自分たちの権利を話し合う場に、私も参加できるのだ。 国連審査傍聴に向けて、権利条約や審査の流れを改めて勉強し直しているため、国連審査の詳細は8月のコラムで説明したい。そのコラムが掲載されるときには、私はジュネーブにいるはずだ。 経験値を増やす絶好のチャンス 国連審査を傍聴するまでの旅路は初めてのことだらけだ。まず人生で初めて、航空券を自分で予約した。自分と介助者の航空券を間違えないように、緊張しながら予約する。今回は他の車いすユーザーも一緒に行くこともあり、旅行代理店の方も慣れているようで、私が車いすを利用していることを伝えると、すぐにどの書類を提出すればいいか教えてくれた。 私は介助者と一緒に飛行機に乗ったり、10日間も介助者と旅をするのも初めてで、楽しみ半分、不安半分なのだが、自分以外にも多くの障害当事者が同じような日程でジュネーブに行くと思うと、少し安心する。 障害があると「失敗するとかわいそう」「大変だから無理にやらなくていいよ」と言われることも多く、いろんなことに挑戦する機会が少なくなってしまいがちだ。しかし、新しく挑戦したことが思っていた以上に面白く、自分の世界が広がることもある。新しい挑戦を応援し、見守ってくれる人たちがいるおかげで、私の世界は広がり、好きなことがどんどん増えていく。 これから私も障害当事者として多くの経験を積んで、他の当事者が新しいことに挑戦するのを不安がっているときに、「こうすれば大丈夫だよ」とアドバイスできる存在になりたい。そのために経験値をどんどん増やす絶好のチャンスが、この夏やってくる。(障害当事者)

外来植物の花粉持ち込むハナアブ類 筑波実験植物園で繁殖上の懸念材料に

国立科学博物館筑波実験植物園(つくば市天久保)で、ハナアブ類304匹を捕まえ、その体表に付着している花粉を1個1個分離して調べたところ、116の植物種が突き止められた。ハナアブに最も多く付着していたのはセイタカアワダチソウとセンダングサの花粉だったが、この2種の外来植物は園内にまったく生育していなかった。園内で保全される植物に、異種間の花粉輸送をもたらしている格好で、繁殖上の問題を引き起こす可能性があるとの懸念が示された。 植物園は敷地面積14ヘクタール。約3分の2を占める屋外の植生区画は、常緑広葉樹林や温帯性針葉樹林、水生植物などの区画に分けられ、2000種に及ぶ植物の生育域外保全の場として栽培管理が行われている。研究は、これらの保全している植物について、花粉輸送を介した繁殖を視野にいれた評価と環境構築の指針を示すため、まずはハナアブ類による花粉輸送ネットワークを解明しようと取り組まれた。国立科学博物館の田中法生研究主幹(植物研究部多様性解析・保全グループ)、堀内勇寿博士(研究当時:筑波大学博士後期課程3年、国立科学博物館特別研究生)、上條隆志教授(筑波大学生命環境系)の共同研究による。 ハナアブ類は広範な植物種に訪花する性質をもつ送粉昆虫。採集は2018年と19年の9月下旬~11月初旬に、小型粘着トラップを用いて行われ、304個体を捕らえた。その体表に付着した花粉は、顕微鏡での観察に基づき分類し、各花粉種につき1花粉粒ずつ単離してDNAを抽出、核と葉緑体から塩基配列を決定した。これを国内外で集積された塩基配列情報データベースと照合するなどして、花粉の植物種を突き止め(同定し)た。 一連の根気のいる作業は、研究当時筑波大学博士後期課程に在学中だった堀内さんが中心に担った。採集後1年半以上かけて照合に取り組み、ハナアブ個体と花粉種のネットワークを構築した。 結果、ハナアブ類の体表から、116分類群(種または属)の付着花粉が検出された。個体レベルでの花粉輸送を表すネットワークは2年間ともに、類似した構造を示した。特に、植物園敷地外に由来する外来のセイタカアワダチソウとセンダングサ属種は最も多くのハナアブに付着し、セイタカアワダチソウに限れば、2018年で34%、19年で31%の個体に付着していた。付着の確率は園内中心部ほど増加した。 植物園内だけでなく、周辺の外来植物を含めた環境管理が、植物園の植物保全に重要であると考えられた。研究主幹の田中さんによれば「セイタカアワダチソウの花粉による交雑は確認されていないが、花粉の付着によって正常な受粉を阻害している恐れがある」という。 堀内さんは「外来植物とはいえセイタカアワダチソウなどは長い間に環境に溶け込んで、今や生態系の一部になり、ハナアブ類にとっての餌資源になっている可能性もある。まずは、ハナアブ以外の昆虫、春の植物も調べてみるなどして、他の送粉者を含めた花粉輸送ネットワークの全体を明らかにして、さらに精度をあげていきたい」と語っている。(相澤冬樹)

トナリエ・スクエアの「ベリーベリーカフェ」 《ご飯は世界を救う》49

【コラム・川浪せつ子】TXつくば駅そば、トナリエつくばスクエアのフードコートに、「ベリーベリーカフェ」さんはあります。以前、図書館の帰りに同じ階のパン屋さんに寄り、駐車券をもらいお茶していました。コロナ下、お客さんが減ってしまったのか、そのパン屋さん(2020年9月17日掲載)は閉鎖。困ったなぁ~と、フードコートで初めてお茶してみました。それが、結構よかった! それ以来、「ベリーベリーカフェ」さんのファンに。はやりは少し陰りましたけど、タピオカ入りのミルクティーを注文。とてもおいしいのですが、ちょっと難点が。タピオカを太いストローで吸い込むとき、細かく砕けた氷を一緒に吸い込んでしまう…。コレ、とっても残念な感触。タピオカのクニュクニュだけを、味わいたいんだけどなぁ~。 ほかのお気に入りは、コーヒーフロート。アイスコーヒーの上に、アイスクリームが浮いています。このお店のアイスは、丸いアイススプーンでアイスを載せたもの。ほかのお店では、ソフトクリームを載せるバーションもありますね。どちらもスキです。 イラスト、食欲をそそりますか? そして今回は、「ハンバーグ・オムライスセット」というダブルでおいしいというものを、注文してみました。ちょうど、私が属しているグループの展覧会がつくば美術館であり、午後のお当番の前に。そして、絵が映えるように、シュワシュワのメロンソーダー、スープとセットです。 描き始めたのはよかったのですが、色塗りの段階で苦戦。卵の上には、デミグラソース。茶色のもので、こういう分散型のソースって難しいのです。ハンバーグはやめておいて、ただのオムライス(これは赤いケチャップだった!)のほうが、映えたのではないか? でも、もうこれでやるしかない、と頑張りました。 このイラスト、食欲をそそりますでしょうか? スケッチを見て、「うまそう!」「食べたい!」と思っていただけ、それだけで幸せな気分になれる絵を描きたい。そう思っている毎日です。 このお店には、ワッフル―甘いのと食事タイプ―もあります。品数も多いので、これから、楽しみ、楽しみ ♪(イラストレーター)

つくば秀英、“敵地”で競り勝つ 【高校野球茨城’22】

第104回全国高校野球選手権茨城大会は13日、5球場で2回戦11試合が行われた。つくば・土浦勢ではノーブルホームスタジアム水戸(水戸市民球場)に今春準優勝のつくば秀英が登場、水戸一と対戦し2−1で勝利した。J:COMスタジアム土浦の土浦日大 - 鹿島は雨のため中止、順延となった。 つくば秀英は初回、水戸一野口の立ち上がりを攻め本城、谷山の連打で出塁すると銘苅がバントで送り棚井の右犠飛で先制した。2回に同点とされるが、5回には一死一、三塁のチャンスに今度は谷山の右犠飛で武田が勝ち越しのホームイン。これが決勝点となった 投げては先発塚越が5回1失点の好投、6回、7回は2番手五十嵐がランナーを出しながら「バックを信頼して投げた」と話した通りダブルプレーでピンチをしのぎ8回から棚井にリレー。棚井は9回無死一、三塁のピンチを迎えたが最後は1ゴロで打ち取った。 先発の塚越は「初戦で緊張したが出来は良かった。夏の大会は普段とは雰囲気が違って相手の応援を力に変え、味方の応援が力になった」と話した。 県下屈指の伝統校、水戸一のお膝元での開催とあってスタンドには多くのファンが詰めかけ、完全アウエーの中行われた。コロナ禍でできなかった全校応援が今大会から認められ、両校応援団、チアリーダー、ブラスバンドが応援席に陣取った。声出し応援こそできないものの、つくば秀英も負けずにドラム、手拍子で応援した。 応援団の大竹敦子さん、高島葵さんは、昨夏の引退試合で応援をして以来の実戦。「慣れないことがあるがだんだん流れをつかんで出来るようになった」と話し、チアリーダーの井上智香さんは「初めての夏の大会の応援にめちゃくちゃ楽しい」と笑顔を見せた。3回戦は17日に東洋大牛久と対戦する。(高橋浩一) つくば秀英・森田健文監督の話「夏の大会は硬くなるのは予想できた。水戸一高は一回戦を勝ってきているので勢いを感じた。投手継投も想定内で守備で粘れたのが勝因。春の関東大会を経験して落ち着いてやれるようになった。自分たちで流れをつかんでいけるようにしたい」

つくば市長に「NO」を突きつける 元研究者の酒井さん【キーパーソン】

五十嵐つくば市長の施策や行状はおかしいと、水戸地裁に3件の住民訴訟を起こしている酒井泉さん。この市長では研究学園都市がダメになると、今度は市長解任(リコール)の署名活動に踏み切った。「理系の頭脳」で物事を整理して考える酒井さんに、五十嵐市長のどこが問題なのか話してもらった。 市にはもうまとまった土地がない 3つの住民訴訟は、①つくばセンタービル改修は10億円超の大型事業であるのに必要な行政手続きを怠った(2021年8月) ②市長1期目の「22円退職金」は市の財政に624万円の損失を与えた(2022年1月) ③運動公園用地の民間売却は議会の議決を得ておらず違法である(2022年5月)―といった内容。①と③は市の施策の問題、②は市長の行状の問題といえる。 これら住民訴訟は「月1回ぐらい(裁判官と原告・被告弁護士の間で)書面によるやり取りをしている。判決が出るまで通常は2年ぐらいかかる。したがって(五十嵐市長2期目の任期が切れる)2024年秋までには、各裁判の勝ち敗けがわかる」。五十嵐市政2期目の後半は、これら「時限爆弾」が破裂するか、それとも不発に終わるか、目を凝らす必要がありそうだ。 リコール署名活動(7月11日~8月10日)開始前に配られたチラシでは、市長解任の理由を列挙しているが、住民訴訟③の運動公園用地売却に対する「怒り」に多くのスペースが割かれている。これは研究学園都市への「想い」の裏返しか。 「運動公園用地を売ってしまうと、もう、つくば市にはまとまった土地はない。新たなプロジェクトを企画することは不可能になる」「それは学園都市の発展の可能性がなくなることを意味する」「運動公園用地は公共用でなくなり市民が使えなくなる」「何よりも学術系区域が物流基地になり学園都市の品格が失われる」 情報統制、政治宣伝、大衆迎合 酒井さんは、五十嵐市政の施策や市長の行状だけでなく、その手法も問題だという。現市政を念頭に「民主主義を壊すのは、インフォメーション・コントロール(情報統制)、プロパガンダ(政治宣伝)、ポピュリズム(大衆迎合)の3つだ」と述べ、情報統制の例として、元市議が発行した市政チェック紙を名誉毀損で訴えたことを挙げた。そして「これは市政批判に対する計算された弾圧だ」と。 プロパガンダの例については「『広報つくば』や『かわら版』には、市に都合の悪いことは書かず、施策について一方的に宣伝を行い、言い訳と自己正当化を繰り広げている」と指摘。ポピュリズムの例としては「市長選で市民の受けを狙った」退職金辞退(結果は22円)を挙げた。 面白いのは、今夏に五十嵐市長を解任に追い込み、秋口の市長選に持ち込むことで、「市長と市議の同時選挙」を分離したいと主張している点。「つくば市では市長と市議の同時選挙という変則的な市政選挙が続いている。これだと市長と市議の一体化が進み、市長の力が強化される。また、市民には選挙で市政に参加する機会が4年に1度しかない。この際、この欠陥を直したい」。ついでに選挙改革もやりたいようだ。 【さかい・いずみ】土浦一高、東北大工学部各卒。日立電線(現日立金属)研究員、高エネルギー加速器研究機構准教授を経て、2003~13年福井大教授(加速器工学)。工学博士(東北大)。2020年秋の市長選に出馬するも落選。現在「桜中部まちづくり協議会」副会長。1948年桜村(現つくば市)生まれ。実家に在住。 【インタビュー後記】実は運動公園用地が110億円で売却されたことがQ&Aの中心に。私も学園都市の土地バブルに注目していたのでこの議論は有益だった。最低売却価格68.5億円の用地が+40億円で売れたことは土地バブルの証左。インフレはこれから本番だから110億円の土地はもっと値上がりしそう。得するのは外資系倉庫会社、損するのは土地を手放したつくば市?(経済ジャーナリスト・坂本栄)

スイカの苗から変なものが… 《ハチドリ暮らし》15

【コラム・山口京子】思わぬ出来事がありました。今春、畑に、ジャガイモ、ナス、きゅうり、ピーマン、ネギ、玉ネギ、枝豆、インゲン、トウモロコシ、スイカの苗を植えたところ、なんと、スイカの苗についた実は、ウリというか、冬瓜(とうがん)というか、ひょうたんというか、よくわからないものだったのです。 確か、店で買ったときは、苗ポットにはスイカの写真が付いていました。昨年もこの店でスイカの苗を買い、スイカを食べることができたのに…。今年は、どこでどう間違ったのでしょう。苗がスイカではなかったと考えるしかありません。それとも突然変異なんてことがあるのでしょうか。このわけのわからない実がどこまで大きくなるのか、様子見の状態です。 目的のものと実際のものが違っている場合は、目的のものをくださいと言う権利が消費者にはあります。けれども、お店と交渉するにしても、買ったときのレシートもポットに付いていた写真もありません。すでに数カ月も時間が経過しています。こんなことが起きるなんて思ってもみなかったので、証拠となるものは何も取っておきませんでした。 知らないために不利益を被ったら 今回は小さな出来事でしたが、大きな契約では諦め切れないことも出てくるでしょう。それれで、以前聞いた話を思い出しました。 ある方の家に保険会社の営業員が訪問してきて、「いい保険ができたので、今持っている保険を下取りして、新しい保険に入り直しませんか」と勧めたそうです。新しい保険のいいところの説明がありました。それならと、新しい保険に加入しました。古い保険を新しい保険に移す、転換というやり方です。そのときはなんの疑問も抱かなかったそうです。 数年後、保険について勉強するセミナーに参加し、予定利率の高かった保険を解約し、予定利率の低い保険にされていたことに気づいたそうです。予定利率のことや転換の仕組みを知っていたら、転換はしなかったと言っていました。 知らないために不利益を被ってしまうことがあります。保険会社と個人では、情報の質や量に大きな差があります。民法は対等な個人(私人間)を想定していますが、保険会社と個人の関係では、個人が弱い立場に置かれることが少なくありません。 その格差を是正し、個人(消費者)の権利を守るための法律があります。消費者法といわれるものです。消費者トラブルで困った場合は、行政の消費生活センターに相談することをお勧めします。(消費生活アドバイザー)

小粒ならではの勝ち方探ってる 常総学院・島田監督【高校野球’22展望】

開幕した第104回全国高校野球選手権茨城大会は13日から二回戦に入り、シード校も登場する。有力校インタビュー第3回は、常総学院の島田直也監督に話を聞いた。 全員で助け合ってミス減らす野球を ―今年チームづくりをする上で苦労した点はどんなところですか。島田 僕はまだ監督経験が浅いので、チームづくりは試行錯誤しています。新チームが始まる際に、選手には先輩の良いところを真似しながらも、自分たちの色を出していこうと話し、去年から主力で出場していた太田和煌翔(3年)や鹿田優(3年)を中心にチーム作りをしてきました。先輩達の真似は随所で出来てきているとは思います。後は、意見をぶつけ合ったり、時に衝突したりしながら、自分たちの色を出してもらいたいのですが、その点は苦労しています。今年のチームは去年と比較すると軸になるピッチャーがいないし打線も弱い。ですから全員で助け合ってミスを減らし、少ないチャンスをものにする野球をしたいのですが、この点は上手くいっていないですね。 ―昨秋は県大会初戦で敗れて長い冬になりました。敗戦を受けて冬をどのように過ごしましたか。島田 新チームになった時点で1試合を任せられるような飛び抜けた能力のある投手が不在だったため、全員にチャンスを与えて底上げを図りました。秋は何人かの投手で繋いで乗り切るべく臨んだのですが、結果に結びつきませんでした。冬の間、チームとしては春に向けての体力強化を中心に取り組みました。年明けから3月上旬までは、コロナの影響で全体練習が出来ない期間がありましたので、個人練習の取り組みでかなり差が生じたように思います。 150キロ超えの投手、ブライアン ―秋はバルザー・ブライアン選手が投手の練習を始めて間もない中で、151キロを計測して評判になりました。さらに先日の明豊戦では154キロと再び話題になっています。島田 彼の特徴は肩の強さですので、少しでもレギュラー争いに食い込む可能性を広げるためにピッチャーを薦めました。ピッチャーとしての実績はまだ乏しいですが、高校生で150キロを投げるというのはなかなかいないですよね。 ―春は常磐大高に惜しくも敗れました。敗戦をどのように捉えていますか。島田 先に相手に主導権を握られると取り戻せないところがこのチームのもろさですね。序盤からずっと押される形で突き放せなかった。負けはしましたが、最後までよく粘ったとは思います。 ―その後、夏に向けてチームの取り組みに変化はありましたか。島田 3年生にとってはラストチャンスなので、夏にかける意気込みは感じられます。しかしこういうご時世なので、なかなか全員がそろわない時があったりと、調整の難しさを感じています。 今後は上がっていくしかない ―島田監督としては心境の変化はありましたか。島田 1年目は監督に就任してすぐにセンバツ甲子園に出場して良い経験をさせてもらいましたが、2年目になって大会での成績が出なくなりました。浮き沈みを経験して良い勉強ができているなと思います。今後は上がっていくしかないですが、そこでどうやっていけば良いかというのはまだ勉強不足と言いますか、なかなか高校野球の指導って難しいなと感じているところです。 ―指導方法やチームづくりに関して、相談や意見交換できる方はいるのでしょうか。島田 経験豊富な練習試合の相手の監督さんに教わることがあります。話を聞きながら勉強している部分はあります。お話しする中で、今年の常総は小粒だというご意見もいただきながら、小粒ならではの勝ち方を探っているところです。 ―今年の戦力について伺います。先ほど小粒というお話がありましたが、今年のチームカラーを一言で表すと何になりますでしょうか。島田 今年は何も特徴がありません。バッティングでも、守備に関してもまだまだ成熟していない。状況に応じたバッティングや守備ができない難しさを感じています。もっと必死にがむしゃらに競争心をかき立てる選手が出てきて欲しいと思います。 ―春の大会では各ポジションでメンバーがめまぐるしく入れ替わっている印象でした。島田 相手が嫌がるようなプレーができる選手が出てきて欲しいと思い、チャンスを与えて競争させる意図であえていろいろな選手を起用してきました。 ―投手陣についてはどうでしょうか。島田 坂本駿(3年)、石川大翔(3年)、伊藤地宏(3年)の3人を中心に期待しています。まだまだ成長できるはずなので、責任感を持って最後まで切磋琢磨して伸びてもらいたいですね。秋も春も早期敗退して公式戦の実戦経験も積めていないので、謙虚な姿勢で愚直にやって欲しい。技術も大事ですが、とにかく最後の夏は気持ちが一番大切な部分なので、3年生には意地を見せて欲しいと思います。 ―先日の土浦市内大会では飯塚遥己投手(2年)や小林芯汰投手(1年)などの下級生がいいピッチングをしました。この夏、下級生では誰が食い込んできそうでしょうか。島田 投手の数は多いので、全員で競い合ってもらいたいです。当然、飯塚や小林には期待しています。 強い常総でないといけない ―常総学院で野球をやりたいという小中学生に向けて一言お願いします。島田 常総で野球をやりたい強い気持ちのある子には是非来て欲しいです。そういう選手が競い合って常総の野球を承継していかなければならない。小中学生に憧れを抱いてもらうような、強い常総でないといけないですね。 ―現在の部員数のうち、寮生と自宅生の割合はどうなっていますか。島田 部員数が91人で、そのうち自宅生が5人です。遠方の選手は寮に入ってもらいますが、自宅が近い選手は通っています。 ―最後に、夏の大会に向けた意気込みをお願いします。島田 今年の常総は怖くないという声が結構耳に入ってきますが、僕としてはその方が気兼ねなくできる。実際に、今年は結果が出ていないので、結果を求めて必死にやるしかありません。その中で、当然甲子園を狙っていますし、やっぱり常総は強いんだと結果で示したいですね。大会まで残りわずかですが、しっかりと仕上げていきたいと思います。(聞き手・伊達康) 終わり

人間は作る生き物「ホモファーベル」 《続・平熱日記》113

【コラム・斉藤裕之】美術大学の学生にとって美大受験の予備校の先生はいいアルバイトになる。私も随分長い間しばらく住んでいた埼玉の予備校にお世話になった。日曜日のコースには栃木や群馬から高校生がやってきた。当時は彼らの北関東訛(なま)りが新鮮だった。 その中の1人の女の子の話。出会ったのは彼女が高校生の時。さすがに現役とはいかなかったが、才能と努力で後に芸大に見事合格した。最後に会ったのは我が家を建てた直後に引っ越しを手伝いに来てくれた時だから、ちょうど20年前になる。それからしばらくして、実家のある那須に生活の拠点を移したこと、数年前から牛舎を改築してなにやら始めたところまではSNSで知っていた。 その牛舎が見事なカフェに生まれ変わって、その様子がテレビで紹介されるという。私はそれまでその番組を知らなかったのだけれど、古い建物をリフォームしてカフェを営んでいる方々を取り上げている番組らしい。古い建物やリフォームは私の大好物である。牛舎としては珍しい入母屋(いりもや)のつくりや、かわいらしい建具なども興味深く拝見させていただいた。 番組の中で、彼女は旦那さんと共にこのカフェに生きがいを感じているのがよく分かった。いつか大きなタケノコを送ってくださった、ご両親のお顔も拝見できた。そして東日本大震災を機に彼女が故郷に帰り、その魅力に気づいたことを知った。故郷を愛し故郷に生きる彼女の姿を見て、応援したいと思った。 1日ひとつでもいいから何か作る 少し迷ったが、放送後にSNSに簡単なコメントを送った。すると「先生が『人間は作る生き物』と言われたことを今でも覚えていて…」という返信があった。これはホモサピエンスという人間の学名に対して、「人間は本質的に物を作ることにおいて人間である」という概念で人間を定義したもので、「ホモファーベル(つくるひと)」という言葉に由縁している。 それを恐らく何かの時に口にしたのだと思うのだが、彼女がこの言葉を大事にしてくれていたということに感慨深くもあったが、実はこの言葉を聞いて意表を突かれたのは私自身だった。 この4月、日雇い先生をする学校で生徒に向けた自己紹介文を書くように言われたので、急いでパソコンに打ち込んだ。「1日ひとつでもいいから何か作ろうと思っています。文章でもご飯でも、友達でも」。何とも腑(ふ)抜けた自己紹介だが、つまり私自身無意識に「ホモファーベル」であり続けたいと思っていたということだ。 言葉が消えていくものでよかったと思う。良くも悪くも。言葉ひとつで仲良くなったり険悪になったり。でも何かの折に心に引っ掛かった言葉が何十年も生き続けることもある。那須には大学の研修所があったので、何度か出かけた思い出の地だ。しばらくぶりに尋ねてみようか。北関東訛りにも少しは免疫ができたことだし。(画家)

本来の細かい野球できてない 霞ケ浦・高橋監督【高校野球’22展望】

第104回全国高校野球選手権茨城大会が開幕した。出場を間近に控えた有力校インタビュー第2回は、霞ケ浦高の高橋祐二監督に、チームの特徴や意気込みを聞いた。 2カ月半治療に専念し復帰 ―春の大会は監督代行で臨みました。体調はいかがですか。高橋 3月中旬から入院し、チームから離れて2カ月半は治療に専念していました。その間は大高先生と直井先生に監督代行として指揮を執ってもらいました。おかげさまでもう回復し、リハビリ期間を経て現場復帰ができました。春の大会期間中の大事な時期にチームを離れていたので、何度もミーティングを行って、このままの体制で夏まで行くか、私が監督に復帰するかを話し合いましたが、監督として復帰することになりました。 ―今年のチームの特徴を教えてください。高橋 秋も春も勝ち上がることができませんでした。去年も本来の霞ケ浦の細かい野球ができていないと言いましたが、今年も同じような状況です。打撃の破壊力は持ち合わせていますが、いつもそれが出るわけではないですし、投打のバランスを保ってチームづくりをするのは難しいと感じています。 投手陣は山田が軸に ―投手陣はどうでしょう。高橋 雰囲気のあるピッチャーがそろっているのですが、例年のような失点が計算できる中心となるピッチャーがいません。3人が140キロ以上を投げますが、現時点では誰もエースと呼べません。ピッチャーのマネジメントが例年通りにでませんでしたし、メンタルのケアに関しても私が2カ月半留守にした影響は否めません。その点は申しわけないところですが、先輩たちもそうであったように、自分たちで殻を破ってもう少し伸びて欲しかったという気持ちもあります。ただ、この1年間で完投勝利したピッチャーはいなかったのですが、先日の練習試合で赤羽蓮(3年)が初めて完投勝利を収めたことは成長を感じる部分です。 ―各投手の状態を具体的に教えてください。高橋 左腕の山田大河(3年)は去年の秋に負けた土浦日大戦での失点はホームランの1点のみ。春も鹿島学園戦では圧巻のピッチングをしました。後はエースになるためのエッセンスをこの2カ月半で付け加えてググッと仕上げてあげたかったのですが、修正しきれていません。ただし、崩していたバランスも改善されてきてボールの質が改善しつつあるので、夏は山田が軸になってくると思います。木村優人(2年)に関してはライトで出場しなければ、ピッチャーとして出場します。まさに大谷翔平選手(大リーグ・エンゼルス)のような二刀流です。最近はようやく打撃にも力を入れて取り組むようになりました。赤羽と渡邉夏一(3年)は体格に恵まれた素材型ですが、夏の大会でチームを背負ってマウンドに上がるだけのメンタルが十分に備わっていません。ここに来て、黒須悠斗(3年)というコツコツ頑張ってきた左腕が頭角を現してきました。昨日の練習試合でも良い感じで持ち味を発揮していました。 打線にしつこさ、しぶとさ ―野手陣はどうでしょうか。高橋 ショートの新保玖和(2年)を中心に、キャッチャーの羽成朔太郎(1年)と太田遥人(2年)の二人、セカンドの大塚碧人(3年)を含めてセンターラインはある程度まとまりが出てきました。特に新保は気持ちの強い選手で、下級生ながらチームを引っ張ってくれています。 ―打撃陣はどうですか。高橋 上位が得点源です。1番・大徳岳登(3年)、2番・新保、3番・木村の3人は状況に応じたバッティングができて、かなり機能するようになっています。打撃陣は決してパワフルではないですが、霞ヶ浦が目指すしつこさ、しぶとさが見られるようになっています。 ―他校にも共通の質問項目として伺っているのですが、自宅から通っている部員もいるのでしょうか。高橋 自宅通いの地元の選手はたくさんいます。レギュラーメンバーでも2名は自宅から通っています。レギュラーになったら寮に入るという決まりはありません。 元広島の鈴木投手が指導 ―広島東洋カープを退団した鈴木寛人投手が後輩の指導に当たっていると伺いました。高橋 現在はアマチュア指導資格を回復して霞ケ浦の寮で後輩と過ごし、一緒に汗を流しながら貴重なNPBの経験を選手に伝えてくれています。 ―二季連続で茨城を制している明秀学園日立をどう見ていますか。高橋 とてつもなく強いです。経験豊富な猪俣投手を中心に非常にまとまりがありますし、打撃陣も破壊力がある。これだけのチームとお互い万全の状態で、序盤戦で当たってみたかった気持ちも少なからずありました。 ―最後に組み合わせに関する所感と、夏に向けての意気込みをお願いします。高橋 どんな組み合わせでも甲子園に行くときは行くし、負けるときは負けますので、組み合わせは関係ありません。(聞き手・伊達康)

最高裁の裁判官は結局国の番人? 《邑から日本を見る》115

【コラム・先﨑千尋】東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は先月17日に「津波対策が講じられていても、事故が発生した可能性が相当ある」とし、国の賠償責任はないとする判断を示した。 この判決をテレビのニュースで聞き、新聞を読み、原告らの怒りと落胆、涙する姿を見て、最高裁の裁判官は国民の側に立つのではなく、国の番人なのではないか、と考え込んだ。 今回の判決は、福島、群馬、千葉、愛媛の各県で起こされ、福島、千葉、愛媛では高裁が国の責任を認め、群馬だけが国の責任を認めず、司法判断は割れていた。このため、最高裁が今回統一判断を示したもの。法務省によれば、今回の訴訟を含めて、国に対して賠償を求めたのは約30件あるという。 原発が立地する福島県からの避難者はピーク時には16万人を超え、この4月時点でも約3万人が避難生活を続けている。 判決の骨子は、「国が東電への規制権限を行使していれば、事故が起きなかったとは認められない。国が2002年に公表した地震予測の『長期評価』を前提とした津波対策を東電に命じても、津波の到来による大量の浸水は避けられなかった」など。今後の判決は、今回示された判例に沿って出されることになろう。 原発は典型的な「国策民営」の事業だ。国が方針を決め、民間企業の東電や関西電力などが発電所を持ち、運営する。福島の事故後に当時の東電の清水社長は「福島第1原発は、国に許可していただいている原発だ」と発言している。先日、北海道知床沖で観光船沈没事故を起こした知床観光の桂田社長も「許可していた国も悪い」と発言していた。それと同根か。 判決は、津波対策を講じていても事故は防げなかったとしている。そういう論理なら、東電にも責任がないということになるのではないか。一体、誰の責任だというのか。 国に忖度してこのような判決? 3・11の時、東海村にある日本原電東海第2発電所は、1週間前にポンプ周りの擁壁のかさ上げが終わり、重大事故にはならず、辛うじて助かった。防潮堤があっても津波の高さは想定を超え、事故は防げなかったという判断ではなく、東海第2でもわかるように、事故が発生しないような対策を講じることはできたはずだ。 私たち国民の生命や財産を守るために国は責任を果たしたと言えるのだろうか。判決は、どのような対策を講じれば事故を防げたのか何も示していない。 原発推進政策は、これまでも、そしてこれからも、国のエネルギー基本政策に位置づけられている。最高裁が原発国賠訴訟(福島原子力発電所事故に伴う国家賠償請求訴訟)で国の法的責任を認めれば、原発推進政策の見直しが求められる。今回の裁判官は、下級審の事実認定を踏まえず、先に結論ありきとした。 最高裁の人事は内閣が決める。今回の判決は、国策の誤りを認めず、被害を受けた住民の救済を考えず、国に忖度(そんたく)してこのような判決を下したとしか思えない。救いは、4人の裁判官のうちの1人の三浦守裁判官が、判決文で30ページに及ぶ反対意見を述べていることだ。(元瓜連町長)

Most Read