開幕した第104回全国高校野球選手権茨城大会は13日から二回戦に入り、シード校も登場する。有力校インタビュー第3回は、常総学院の島田直也監督に話を聞いた。
全員で助け合ってミス減らす野球を
―今年チームづくりをする上で苦労した点はどんなところですか。
島田 僕はまだ監督経験が浅いので、チームづくりは試行錯誤しています。新チームが始まる際に、選手には先輩の良いところを真似しながらも、自分たちの色を出していこうと話し、去年から主力で出場していた太田和煌翔(3年)や鹿田優(3年)を中心にチーム作りをしてきました。先輩達の真似は随所で出来てきているとは思います。後は、意見をぶつけ合ったり、時に衝突したりしながら、自分たちの色を出してもらいたいのですが、その点は苦労しています。
今年のチームは去年と比較すると軸になるピッチャーがいないし打線も弱い。ですから全員で助け合ってミスを減らし、少ないチャンスをものにする野球をしたいのですが、この点は上手くいっていないですね。
―昨秋は県大会初戦で敗れて長い冬になりました。敗戦を受けて冬をどのように過ごしましたか。
島田 新チームになった時点で1試合を任せられるような飛び抜けた能力のある投手が不在だったため、全員にチャンスを与えて底上げを図りました。秋は何人かの投手で繋いで乗り切るべく臨んだのですが、結果に結びつきませんでした。冬の間、チームとしては春に向けての体力強化を中心に取り組みました。年明けから3月上旬までは、コロナの影響で全体練習が出来ない期間がありましたので、個人練習の取り組みでかなり差が生じたように思います。
150キロ超えの投手、ブライアン
―秋はバルザー・ブライアン選手が投手の練習を始めて間もない中で、151キロを計測して評判になりました。さらに先日の明豊戦では154キロと再び話題になっています。
島田 彼の特徴は肩の強さですので、少しでもレギュラー争いに食い込む可能性を広げるためにピッチャーを薦めました。ピッチャーとしての実績はまだ乏しいですが、高校生で150キロを投げるというのはなかなかいないですよね。
―春は常磐大高に惜しくも敗れました。敗戦をどのように捉えていますか。
島田 先に相手に主導権を握られると取り戻せないところがこのチームのもろさですね。序盤からずっと押される形で突き放せなかった。負けはしましたが、最後までよく粘ったとは思います。
―その後、夏に向けてチームの取り組みに変化はありましたか。
島田 3年生にとってはラストチャンスなので、夏にかける意気込みは感じられます。しかしこういうご時世なので、なかなか全員がそろわない時があったりと、調整の難しさを感じています。
今後は上がっていくしかない
―島田監督としては心境の変化はありましたか。
島田 1年目は監督に就任してすぐにセンバツ甲子園に出場して良い経験をさせてもらいましたが、2年目になって大会での成績が出なくなりました。浮き沈みを経験して良い勉強ができているなと思います。今後は上がっていくしかないですが、そこでどうやっていけば良いかというのはまだ勉強不足と言いますか、なかなか高校野球の指導って難しいなと感じているところです。
―指導方法やチームづくりに関して、相談や意見交換できる方はいるのでしょうか。
島田 経験豊富な練習試合の相手の監督さんに教わることがあります。話を聞きながら勉強している部分はあります。お話しする中で、今年の常総は小粒だというご意見もいただきながら、小粒ならではの勝ち方を探っているところです。
―今年の戦力について伺います。先ほど小粒というお話がありましたが、今年のチームカラーを一言で表すと何になりますでしょうか。
島田 今年は何も特徴がありません。バッティングでも、守備に関してもまだまだ成熟していない。状況に応じたバッティングや守備ができない難しさを感じています。もっと必死にがむしゃらに競争心をかき立てる選手が出てきて欲しいと思います。
―春の大会では各ポジションでメンバーがめまぐるしく入れ替わっている印象でした。
島田 相手が嫌がるようなプレーができる選手が出てきて欲しいと思い、チャンスを与えて競争させる意図であえていろいろな選手を起用してきました。
―投手陣についてはどうでしょうか。
島田 坂本駿(3年)、石川大翔(3年)、伊藤地宏(3年)の3人を中心に期待しています。まだまだ成長できるはずなので、責任感を持って最後まで切磋琢磨して伸びてもらいたいですね。秋も春も早期敗退して公式戦の実戦経験も積めていないので、謙虚な姿勢で愚直にやって欲しい。技術も大事ですが、とにかく最後の夏は気持ちが一番大切な部分なので、3年生には意地を見せて欲しいと思います。
―先日の土浦市内大会では飯塚遥己投手(2年)や小林芯汰投手(1年)などの下級生がいいピッチングをしました。この夏、下級生では誰が食い込んできそうでしょうか。
島田 投手の数は多いので、全員で競い合ってもらいたいです。当然、飯塚や小林には期待しています。
強い常総でないといけない
―常総学院で野球をやりたいという小中学生に向けて一言お願いします。
島田 常総で野球をやりたい強い気持ちのある子には是非来て欲しいです。そういう選手が競い合って常総の野球を承継していかなければならない。小中学生に憧れを抱いてもらうような、強い常総でないといけないですね。
―現在の部員数のうち、寮生と自宅生の割合はどうなっていますか。
島田 部員数が91人で、そのうち自宅生が5人です。遠方の選手は寮に入ってもらいますが、自宅が近い選手は通っています。
―最後に、夏の大会に向けた意気込みをお願いします。
島田 今年の常総は怖くないという声が結構耳に入ってきますが、僕としてはその方が気兼ねなくできる。実際に、今年は結果が出ていないので、結果を求めて必死にやるしかありません。その中で、当然甲子園を狙っていますし、やっぱり常総は強いんだと結果で示したいですね。大会まで残りわずかですが、しっかりと仕上げていきたいと思います。(聞き手・伊達康)
終わり