第104回全国高校野球選手権茨城大会が開幕した。出場を間近に控えた有力校インタビュー第2回は、霞ケ浦高の高橋祐二監督に、チームの特徴や意気込みを聞いた。
2カ月半治療に専念し復帰
―春の大会は監督代行で臨みました。体調はいかがですか。
高橋 3月中旬から入院し、チームから離れて2カ月半は治療に専念していました。その間は大高先生と直井先生に監督代行として指揮を執ってもらいました。おかげさまでもう回復し、リハビリ期間を経て現場復帰ができました。春の大会期間中の大事な時期にチームを離れていたので、何度もミーティングを行って、このままの体制で夏まで行くか、私が監督に復帰するかを話し合いましたが、監督として復帰することになりました。
―今年のチームの特徴を教えてください。
高橋 秋も春も勝ち上がることができませんでした。去年も本来の霞ケ浦の細かい野球ができていないと言いましたが、今年も同じような状況です。打撃の破壊力は持ち合わせていますが、いつもそれが出るわけではないですし、投打のバランスを保ってチームづくりをするのは難しいと感じています。
投手陣は山田が軸に
―投手陣はどうでしょう。
高橋 雰囲気のあるピッチャーがそろっているのですが、例年のような失点が計算できる中心となるピッチャーがいません。3人が140キロ以上を投げますが、現時点では誰もエースと呼べません。ピッチャーのマネジメントが例年通りにでませんでしたし、メンタルのケアに関しても私が2カ月半留守にした影響は否めません。その点は申しわけないところですが、先輩たちもそうであったように、自分たちで殻を破ってもう少し伸びて欲しかったという気持ちもあります。ただ、この1年間で完投勝利したピッチャーはいなかったのですが、先日の練習試合で赤羽蓮(3年)が初めて完投勝利を収めたことは成長を感じる部分です。
―各投手の状態を具体的に教えてください。
高橋 左腕の山田大河(3年)は去年の秋に負けた土浦日大戦での失点はホームランの1点のみ。春も鹿島学園戦では圧巻のピッチングをしました。後はエースになるためのエッセンスをこの2カ月半で付け加えてググッと仕上げてあげたかったのですが、修正しきれていません。ただし、崩していたバランスも改善されてきてボールの質が改善しつつあるので、夏は山田が軸になってくると思います。
木村優人(2年)に関してはライトで出場しなければ、ピッチャーとして出場します。まさに大谷翔平選手(大リーグ・エンゼルス)のような二刀流です。最近はようやく打撃にも力を入れて取り組むようになりました。赤羽と渡邉夏一(3年)は体格に恵まれた素材型ですが、夏の大会でチームを背負ってマウンドに上がるだけのメンタルが十分に備わっていません。ここに来て、黒須悠斗(3年)というコツコツ頑張ってきた左腕が頭角を現してきました。昨日の練習試合でも良い感じで持ち味を発揮していました。
打線にしつこさ、しぶとさ
―野手陣はどうでしょうか。
高橋 ショートの新保玖和(2年)を中心に、キャッチャーの羽成朔太郎(1年)と太田遥人(2年)の二人、セカンドの大塚碧人(3年)を含めてセンターラインはある程度まとまりが出てきました。特に新保は気持ちの強い選手で、下級生ながらチームを引っ張ってくれています。
―打撃陣はどうですか。
高橋 上位が得点源です。1番・大徳岳登(3年)、2番・新保、3番・木村の3人は状況に応じたバッティングができて、かなり機能するようになっています。打撃陣は決してパワフルではないですが、霞ヶ浦が目指すしつこさ、しぶとさが見られるようになっています。
―他校にも共通の質問項目として伺っているのですが、自宅から通っている部員もいるのでしょうか。
高橋 自宅通いの地元の選手はたくさんいます。レギュラーメンバーでも2名は自宅から通っています。レギュラーになったら寮に入るという決まりはありません。
元広島の鈴木投手が指導
―広島東洋カープを退団した鈴木寛人投手が後輩の指導に当たっていると伺いました。
高橋 現在はアマチュア指導資格を回復して霞ケ浦の寮で後輩と過ごし、一緒に汗を流しながら貴重なNPBの経験を選手に伝えてくれています。
―二季連続で茨城を制している明秀学園日立をどう見ていますか。
高橋 とてつもなく強いです。経験豊富な猪俣投手を中心に非常にまとまりがありますし、打撃陣も破壊力がある。これだけのチームとお互い万全の状態で、序盤戦で当たってみたかった気持ちも少なからずありました。
―最後に組み合わせに関する所感と、夏に向けての意気込みをお願いします。
高橋 どんな組み合わせでも甲子園に行くときは行くし、負けるときは負けますので、組み合わせは関係ありません。(聞き手・伊達康)