月曜日, 4月 6, 2026

2月末まで延長 県独自の緊急事態宣言

新型コロナウイルスの感染拡大による県独自の緊急事態宣言について、大井川和彦知事は5日、当初期限の7日で解除せず、28日まで延長すると発表した。 引き続き県内全域で不要不急の外出自粛を要請するほか、県内すべての飲食店の営業時間を夜8時までとするよう要請する。時短営業の協力金として8日から28日まで、1日1店舗当たり4万円、最大84万円を支給する。 飲食店以外の事業者も影響を受けていることに対しては、県独自に支援する余力がないとして、6000万円まで無利子で融資を受けることができる新型コロナ対策融資など、現在ある支援策を活用してほしいとした。 従業員の賃金や休業手当てについては、正社員だけでなくパートやアルバイトも支援を受けられるとし、1日上限1万5000円の雇用調整助成金の活用を呼び掛けた。休業手当てが支払われない人には賃金の8割、1日上限1万1000円の支払いを受けることができる感染症対応休業支援金などの支援策があるとして、茨城労働局やハローワーク、専用コールセンター(0120-221-276)の活用を呼び掛けた。 学校には引き続き、部活動での他校との練習試合中止と合宿の中止を要請する。 公共施設は8日から再開 一方、1月18日から3週間閉鎖された公共施設は、感染対策を講じた上で、8日以降、順次再開するとした。県の宿泊施設も、国の緊急事態宣言地域からの来訪者を除いて8日から順次受け付けを開始する。 再開理由について大井川知事は「外出自粛の徹底をお願いする象徴的な形として図書館以外閉鎖したが、一方で県民サービスの低下につながった、感染症対策をきちんと行うのであれば、感染者を増やすことにつながらない。過剰なまでに厳しく全部シャットダウンしたので、感染対策が整った段階で解除していきたい」と話した。 順調なら25日ごろ解除基準達成も 緊急事態宣言延長の理由については、新規感染者数の数は低下傾向が見られるが、医療提供体制が改善していないため、改善するまで緩めないで継続するとした。 解除の基準としては①県内の1日の新規感染者数が60人以下となり、直近1週間の感染者数が前週より減少していること②稼働病床数が県全体185床以下となる、という二つの条件を示した。185床以下という数は、県全体のコロナ病床を410床として、通常の医療に影響を及ぼさない稼働数を基準に設定した。 その上で、「今の傾向が順調に進めば、25日ごろに184床近くにたどり着くと推計している」として、解除基準を満たせば、28日を待たず解除したいと述べた。 福祉施設従事者3万人に簡易抗原検査 一方、ここ1~2週間、高齢者施設で大きなクラスターが起きているとして、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、障害者支援施設、サービス付き高齢者向け住宅など県内すべての福祉施設の従事者、850施設の約3万人を対象に、抗原簡易キットによる検査を実施するとした。だ液をとり、15分程度で結果が出る簡易キットで、6日から申し込みを受け付ける。 全国で、自宅療養者が医療を受けられず、症状が急激に変化して治療が間に合わず死亡している事例が発生している問題に対しては、茨城県では原則、入院か宿泊施設への入所にするとした。自宅療養者はやむを得ないケースに限って認め、子どもがいて自宅を離れられない、認知症や精神疾患の状態などにより宿泊療養施設での療養が困難、本人が入所を拒否している、福祉施設内でクラスターが発生し施設内で療養できないなどのケースに限定するとした。 自宅療養者には、県庁に健康観察チームを立ち上げて集中管理する方式にするほか、血中酸素濃度を測定するパルスオキシメーターを貸し出したり、食料品を配送する体制をつくるとした。

かすみがうらマラソン中止 コロナ禍で2年連続 1万7000人が出場申込

かすみがうらマラソン大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)は5日、4月18日に予定していた「第31回かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン」の開催を中止すると発表した。コロナ禍で中止となった昨年に続き、2年連続の中止となる。 大会事務局の土浦市スポーツ振興課によると、国の緊急事態宣言が3月7日まで延長され、県独自の緊急事態宣言も2月末までの延長が決まったこと、イベントを開催する場合、現時点で上限5000人と制限されていることなどから、2カ月先の4月18日に必ず開催できると見通すことが困難だとして中止を判断したという。 一方、昨年12月9日にインターネットによる出場申込受け付けを開始して以来、現在までに、1万7181人の申し込みがあった。申込は現時点で、中止となった昨年より1割ほど少ない。 4日夕方、同大会実行委員会を開き、中止を決め、5日午前10時にホームページで公表した。申込者にも同時に中止のメールを送った。 出場を申し込んでくれた1万7181人に、来年の出場権を優先的に与えるか否かなど、どう対応するかはまだ何も決まってないという。 大会実行委員長の安藤市長は「春の『かすみがうら』を楽しみにエントリーいただいたランナーの皆様に心よりお詫びします。中止という大変残念な結果になってしまいましたが、協賛社、ボランティア、地域、関係団体、ランナーの皆様に感謝し、これからも、かすみがうらマラソンへの温かいご支援をよろしくお願いします」などとするコメントを発表した。 今年の大会開催にあたっては、出場定員を2万3500人から1万8300人に5200人減らしたり、出場申込受け付け日と参加料支払いの日を別にするなど、コロナ禍ならではの対策と工夫を重ねてきた(2020年12月18日付)。しかし今年も開催はかなわなかった。

過大請求の2億2700万円を国などに返還 震災復興交付税 つくば市

国から過大に交付税をもらっていたことが分かったとして、つくば市は4日、震災復興特別交付税約2億2650万円を国に返還すると発表した。 震災復興特別交付税は、東日本大震災の災害復旧事業などに交付される国の特別交付税で、市環境衛生課によると、2013年度から20年度まで同市水守のつくばサステナスクエア(清掃工場)内で実施したリサイクルセンター整備事業で、国から同特別交付税の交付を受けた。 同整備事業のうち、17、18年度に実施した旧焼却炉解体工事で、18年度分の交付を受ける際、本来、単年度の事業費で申請すべきところを、誤って、17、18年度2年分の事業費をもとに申請してしまい、過大に交付を受けたという。 整備事業が20年度で終了することから、市内部で点検したところ、過大請求が分かった。担当職員がミスをし、課としてチェックできなかったことが原因という。 返還が必要な2億2650万円は、21年度当初予算に計上し、議会の議決が得られれば、国や県と相談した上で、21年度末までに返還する。 健診費用を福島の4市町に返還 一方、福島原発事故で福島県からつくば市に避難してきた住民が、つくば市で受けた受けた健康診査で、住民の出身地の福島県の4市町から健診費用の一部、計12万9700円を過大にもらっていたとして、4市町に返還すると発表した。 市健康増進課によると、返還する市町村は、福島県南相馬市、楢葉町、大熊町、双葉町の4市町。16年度から19年度まで4年間にわたり、延べ43人分の健診費用について、健診にかかった費用のうち自己負担分を、本人から徴収していたにもかかわらず、福島県の4市町からも二重に徴収していた。 本来、自己負担分を除いて4市町に請求しなければいけなかったにもかかわらず、担当職員のミスで、健診費用全部を請求していた。今年度、担当職員が変わり、過大請求していたことが分かった。 返還する12万9700円は3月補正予算に計上し、議会の議決が得られれば、今年3月末までに福島県の4市町に返還する。 五十嵐立青市長は4日の記者会見で「長い年度にわたってこのようなことがあった。来年度は今まで以上に組織的に対応し、起きた原因を一元化して調査して再発防止に努めたい」などと話した。

《続・気軽にSOS》78 批判は優秀?

【コラム・浅井和幸】私たちの生活の中で、人をニコニコと褒めている人を見ると、ノー天気で頭が悪い行為に見えることがあります。それに比べ、眉間にしわを寄せ他人を批判していると、優秀な人に見えることがあります。例えば、「あそこのラーメンはおいしい」と褒めている人よりも、「あそこのラーメンはまずい」と批判する人の方が、味にうるさく、味覚が優秀と見えてしまいやすいものです。 このような経験を繰り返すと、悪いところを探し始め、むしろ、その対象には悪い存在であってほしいと無意識に願うようになります。 世話好きの人が「本当にあなたは何もできないのだから」と、せっせと世話を焼くという状況は想像しやすいでしょう。これが行き過ぎると、子育てをしている親が、子どもの服を着せボタンを留めてということをやり過ぎてしまい、子どもは自分で服を着ることを覚えられなくなります。 また、服を着せてやるときに「全くこの子は、なんでこんなこともできないのか」と文句を言いながら行い、さらに、子どもが自分で服を着ていると、「もっときれいに服を着られないのか」と叱る。 この状況になると、親は子供を世話することで自分の立場を守る状態なので、子どもが服を1人で着られると困るわけです。子どもの立場からすれば、服を自分で着ても着なくても叱られてしまい、どうすることもできなくなってしまうのです。これを、ダブルバインド(二重縛り)と言います。 「ロバを売りに行く親子」 「ロバを売りに行く親子」という寓話をご存知でしょうか。 ロバを売りに行く親子がロバと一緒に歩いていると、それを見た人が「ロバに乗らないなんてもったいない」という。そこで、子どもがロバに乗る。それを見た人が「親を歩かせるなんてひどい」という。そこで、子どもはロバを降りて親がロバに乗る。それを見た人が「子どもを歩かせるなんてひどい親だ」という。 そこで、2人でロバに乗る。それを見た人が「ロバが可愛そうだ」という。そこで、親子は2人でロバを担いだ。ロバは暴れた末に死んでしまう、という話です。 どのような状況でも良い点と悪い点があります。悪い点ばかりに注目して、そこだけを改善しても、別の悪い点が出てくるものです。批判する人間もされる人間も、今の悪い状況から抜けられたら、すべてが良い状況になると感じてしまいがちです。隣の芝が青いと感じるように。 悪い状況に対して、後出しじゃんけんで悪いところだけを指摘し、別の場所の良い点と比べているだけの方が素晴らしいという価値観は、行動が伴わない解決には程遠い、行動しない個人や集団が出来上がります。愚痴も批判も必要ですが、改善のための一部を担っているにすぎず、行動が伴う必要があります。 批判が過ぎると、やる気を奪うダブルバインドに追い込んでしまいます。改善するためにしていると思っている言動が、実は、物事を悪循環に導いているのかもと思い返してみてください。(精神保健福祉士)

過去最大を更新 つくば市新年度予算案 総合運動公園の借入金62億円を返済

【鈴木宏子】つくば市の五十嵐立青市長は4日、2021年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比1.3%増の約897億1300万円、特別会計などを含めた総額は同比0.5%増の約1495億1300万円で、3年連続で一般会計、総額いずれも過去最大を更新した。 主な事業として、つくばエクスプレス(TX)沿線で小中学校3校と、11校が共同利用する温水プール、学校併設のコミュニティ施設2カ所を新設するほか、総合運動公園用地購入借入金のうち計62億円を3月補正も含めて返済する。 コロナ禍 法人市民税13%減 新型コロナの影響で、歳入は市税収入が前年度比2.2%減ると見込む。同市ではTX沿線地区の人口増などによりここ数年、市税収入が毎年10億円程度増えてきた。市税が減収となるのは、2011年のリーマンショック以来、10年ぶり。 市税のうち、法人市民税が同比13%減少すると見込む。固定資産税は3年に1度の評価替えなども行われることから2.2%減、個人市民税は1.1%減を見込む。 利子負担1億円減らす 総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)は、市土地開発公社が金融機関から66億円を借り入れて購入し、24年3月が返済期限となる。毎年約3600万円ずつ増える利子を減らすため、3月補正で約53億円、21年度当初予算で約9億円を、市が公社に無利子貸し付けをして返済する。残り約6億円は22年度と23年度にさらに約3億円ずつ返済し、1年前倒しで完済する。これにより利子を約1億円減らすことができるという。 歳出の主な事業のうち学校建設は、23年4月開校の研究学園地区小中学校(建設費約20億5700万円)と香取台地区小学校(建設費約9億5300万円)で校舎の建設が始まる。24年4月開校のみどりの南小中学校は設計費(約2億2200万円)を計上する。 学校関連ではほかに、みどりの地区に新設の共同利用温水プールは約6700万円で設計を実施する。学校利用のほか、市民が利用することもできる。葛城小学校の新校舎と香取台小学校には、学校に併設して、地域住民が利用するコミュニティ施設を新設する(建設費計約1億3600万円)。 給食センターをまた新設 児童・生徒の急増により、学校ばかりでなく給食センターも足りなくなることが想定されるため、25年度の開所を目指し新桜学校給食センターの設計(約2200万円)を実施する。給食センターは今年4月、1万2000食を調理できる「つくばほがらか給食センター谷田部」が開所したばかりだが、さらに新設する。 文科省が進めるGIGA(ギガ)スクール構想の一環として約3億6200万円を計上し、小中学生に1人1台パソコン端末を整備する。 春日の旧消防庁舎を解体(2億2800万円)し、筑波大と連携して、跡地に児童発達支援センターを開設するための内装設計(900万円)を実施する。 つくばセンタービル改修設計費6300万円 つくばセンタービルの改修は、市民活動拠点を再整備するための設計費として約6300万円を計上する。 観光では、1986年に建てられ老朽化した筑波山観光案内所を建て替える(約1億7800万円)。 今年、再認定審査が実施されイエローカードが出されると危惧されている筑波山地域ジオパークは、旧筑波東中の一部教室に中核拠点を整備するための設計費(約2200万円)を計上する。 旧筑波東中には併せて、つくば霞ケ浦りんりんロードのサイクリング拠点を整備するための設計(約290万円)も実施する。 つくば駅と研究学園駅周辺ではシェアサイクルの実証実験を開始する(約1600万円)。 五十嵐市長が2期目の課題(20年11月5日付)に挙げた広報のあり方については、市民に市政情報を深く知ってもらうため、新たに「市政情報かわら版」を制作し、区会回覧で配布する(約190万円)。 今年もいつ収束するか先が見通せない新型コロナ対策費については、21年度当初で児童館のエアコン設置やタクシー事業者支援など計約6億4300万円を計上する。1人10万円の特別定額給付金があった20年度のコロナ対策費は279億円だった。

「一部を防災倉庫や防災活動広場に」五十嵐つくば市長 旧総合運動公園用地

【鈴木宏子】住民投票で計画が白紙撤回となったつくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)の利活用について、五十嵐立青市長は4日の臨時記者会見で、防災倉庫や防災活動の広場として一部を公共利用したい意向を示した。残りは民間利活用が妥当だとする考えを示した。 防災倉庫とする理由として、現在、本部備蓄倉庫として一時使用している上郷高校体育館について「使い勝手の問題があるし、耐震も担保されてない」とした。さらに市議から、防災拠点として利活用する声が挙がっていることなども理由に挙げた。詳しくは2月中旬に開催予定の市議会調査特別委員会で話をするとした。 旧総合運動公園用地の利活用については、昨年12月、テレビ番組にリモート出演し「一部は防災倉庫に活用して残りは民間に売却したい」などと発言していた。記者会見の場で発言したのは初めて。 3日開かれた市議会調査特別委員会では、市長のテレビ発言について議員から意見が出て、市長から説明を受けることが決まったばかりだった=2月3日付。 上郷高校体育館 陸上競技場建設なら「撤去・解体する場合も」 上郷高校の新体育館は現在、市の本部備蓄倉庫となっており、クラッカーやクッキー、ペットボトル水などの飲食料、毛布、衣類、簡易トイレ、発電機、栄養補助食品、インスタント食品などが備蓄され、災害時に各避難所に配送する体制になっているという。各小中学校に設置されている防災倉庫の備蓄品と上郷高校分などを合わせて、市全体で備蓄基準である2万人が3日間過ごすことができる備蓄品を確保しているという。 一方、1月に、陸上競技場の建設候補地を上郷高校跡地にする案をまとめた市陸上競技場整備基本構想策定検討会議の基本構想案は、上郷高校の体育館や校舎について「活用を検討しているが、老朽化も進んでいるため、撤去・解体する場合もある」などとしている。

60作品を動画で公開 コロナ禍の芸術文化活動を応援 つくば市

【山口和紀】コロナ禍で自粛を余儀なくされている芸術文化活動を応援しようと、つくば市で活動するアーティストの作品やワークショップの動画などが1月29日から、YouTube上の「つくばアートチャンネル」で公開されている。市が主催する「オンラインによる文化芸術奨励事業」で作成された作品で、アーティストや文化芸術団体が講師として出演し、視聴者は工作や音楽を学ぶことが出来る。 同事業は、オンラインで発信可能な文化芸術活動、ワークショップを募集し、奨励金を交付するというもの。ワークショップ動画、アート鑑賞動画、無観客公演動画の3部門があり、各部門それぞれ20作品に最大10万円を交付した。今回、YouTube上で公開が始まったのはアートワークショップ部門。3月までに計約60本の動画を随時配信予定だ。 筑波大大学院博士後期課程で学ぶ日髙衣紅さんが制作したのは「スクリーンプリント」を使ったオリジナルマスクの制作方法の紹介動画だ。日高さんは「シルクスクリーンプリント」という技法を用い、文字を立体的に魅せる作品を制作するアーティストとして活動している。紹介されている「カッティング法」を使えば、特殊な材料や感光を必要とせず、手軽な材料で自分の好きな柄をマスクにプリントできる。 つくば市在住の音楽ママたちで発足したグループ「こもれび」は、「音遊び」のワークショップ動画を制作した。テーマは「耳育(みみいく)」で、子どもたちが楽しんで音楽に親しめるような音遊びが複数紹介されている。太鼓、カスタネット、鈴、マラカスのうち、どの楽器が鳴っているかを当てるクイズや、身近な野菜の名前を使ったリズム遊びなど。 毎週土曜日にオンラインで歌やおしゃべりを楽しむシニアのためのサロンを開催している「シニア歌声サロン ドルチェ オンライン」は、シニアのための一緒に歌える動画を作成した。同サロンはつくば市内の病院や高齢者施設などで音楽を使ったイベントを開催する音楽療法士の磯上朋子さんが主宰している。「新型コロナの影響で、集団で歌を歌うことが難しくなった。『こんなときこそ歌を歌いたい』と思っていた。そこで、つくば市で地域活動に力を入れているUDワークの皆さんとオンラインで双方向に歌やおしゃべりを楽しむサロンを立ち上げた」という。動画では発声練習や手話ソングなどが紹介されている。 動画の公開は3月31日まで。チャンネルはつくばアートチャンネル。

《くずかごの唄》79 老人性うつ病

【コラム・奥井登美子】「立派な老人性うつ病です。危険防止のため、両手は縛らせていただきました」。医者からそう診断された舅(しゅうと)が家に帰ってきた。さあ大変。嫁さんが手を縛るわけにいかない。ご近所や親戚から何を言われるかわからない。 死にたくなると、ひも状のものを見つけては首に巻いてしまう。ネクタイ、寝間着のひも、カーテンのひも。幸い、腕力がなかったので目を白黒している間に発見して、事なきを得たが、庭の中にたくさんのひも類があるのを知ってびっくりした。 長男に死なれ、次に妻に死なれて、症状がひどくなってしまった。妻が「生きている日」と「死んでいる日」がある。生きていると思い込んでいるとき、「おばあちゃんは、2年前に亡くなったじゃありませんか。ほら、お葬式のときに、おじいちゃん、皆の前でご挨拶したでしょ」なんて、言ってしまった。 「おばあちゃんは僕を残して死なないと言っていた。死ぬわけないだろ。どこに隠した」などと叫んで、大暴れする。疲れてウトウトとするまで、2時間以上付き合うしかない。3人の子供たちも協力して、「今日はおばあちゃんが生きている日」と私が合図すると、皆で「おばあちゃんは今買い物に行っているよ」とかなんとか、話を合わせてくれるようになった。 事故とすれすれの生活 ひもより危険なのがマッチ。親戚の「仏壇掃除評論家」たちが帰った後が大変だ。マッチが落ちている。昔タバコを吸っていた舅は、マッチを見ると擦りたくなるらしい。枕元の布団を何回焦がしたことか。ボヤ一歩手前の事故が何回もあった。 その時代の紙おむつは粗悪品で、引っ張ると切れてしまう。主人は朝3時に起きて父親の布おむつの洗濯。5本のさおに干して6時の電車で東京通勤。私は薬局の仕事と、3人の子供の子育てに、介護が加わる。2人とも若かったので5年間続けられたが、もうヘトヘトと、体力の限界だった。 コンビニのない時代、奥さんに死なれて食事の用意ができないで困っていた近所のオジサンに、3食を舅と一緒に食べてもらい、枕元にいて、火とひもの見張り番を頼んだりした。昼間は誰か見張りをつけることができたが、夜は誰もいない。私も疲れてウトウト。お隣さんから、「叫び声が聞こえますよ」と何回も注意されてしまった。 新聞の、老人一人暮らしの家の火事の記事を見ると、今でもぞっとする。老人性うつ病。事故とすれすれの生活。それを体験させてくれた舅に今では感謝している。(随筆家、薬剤師)

旧総合運動公園用地の利活用調査 再スタート つくば市議会

【鈴木宏子】利活用方針が決まらないまま塩漬けとなっているつくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、約46ヘクタール)の利活用について調査検討する、市議会調査特別委員会(浜中勝美委員長)が3日、改選後の全市議をメンバーに再スタートした。 同用地の利活用をめぐって、五十嵐立青市長が昨年12月、TBSテレビ「噂の!東京マガジン」にリモート出演し「一部は防災倉庫に活用して残りは民間に売却したい」などと発言したこと、さらに市陸上競技場整備基本構想策定検討会議(座長・萩原武久つくば市スポーツ協会会長)が今年1月「上郷高校跡地の方が(旧総合運動公園用地よりも)コスト、事業進ちょく速度面で優れている」などとして、同高校跡地を候補地とする基本構想案をまとめたことなど、改選前の昨年9月に同特別委が中間報告をまとめた時と状況が変化していることなどから、次回、2月中旬ぐらいに開催予定の特別委で、五十嵐市長や市執行部の考え、財政状況などを聞くことから調査を始めるとした。 陸上競技場については、改選前の同特別委が旧総合運動公園用地の公共利用の選択肢の一つとして挙げていたのに「先に(上郷高校跡地に)引っ張って(旧総合運動公園用地での検討を)閉じられてしまった」「上郷高校跡で進んでいるのはおかしいと感じる」などの意見が出た。一方「(市が検討することの)足止めをしてしまうのはどうかと思う」との意見もあった。 テレビでの五十嵐市長の発言については「市長として、一括売却したいという考えとずれが生じており、今一度、考えを聞きたい」「(改選前の特別委でも)防災機能を備えた公共施設という考え方があったが、そういったことについて説明が必要」などの意見が出た。 今後の進め方としては、作業部会をつくったり、委員によるワークショップを開いて合意形成を目指すなどの案が出された。提言書をまとめる時期については、今後さらに協議する。 同用地の利活用をめぐっては、2019年3月、五十嵐市長が民間に一括売却する方針を発表し、66億円で市土地開発公社が購入した同用地を民間事業者が40億円以上で購入し、物流倉庫や商業施設などを建設する提案をした。しかし住民説明会で異論が噴出し、市議会はこれを受ける形で特別委員会を設置し、判断は議会に委ねられた。しかし議会も方向性を打ち出せないまま改選となり、結論が持ち越されていた。

聴覚障害者支える技術を紹介 つくば院生ネット 21日「みんなの学会」

【山口和紀】「聴覚障害とテクノロジー」をテーマにしたオンラインイベント「第2回みんなの学会」が21日、開催される。筑波大大学院生らがつくる「つくば院生ネットワーク」が主催する。「みんなの学会」は昨年2月に初めて開催された。 第2回の今回は、音声認識を利用したコミュニケーションツールを開発する筑波技術大の若月大輔准教授、聴覚障害者に対するパソコン操作の指導を視覚的に助けるツールSZKITなどを開発する鈴木拓弥准教授、竹園東小学校の難聴学級担任の奥沢忍さんの発表などが行われる。 筑波大や筑波技術大の大学院生や卒業生などがイベントの企画に関わった。同ネットワークの田中萌奈さん(筑波大大学院1年)は「通常、学会というのは学問分野ごとに分かれ、発表や議論をする場だが、『みんなの学会』は専門分野や所属に関係なく参加できる学びの場」だと話す。 第2回のテーマは「コミュニケーションを支えるテクノロジー」だ。特に難聴者やろう者とのコミュニケーションにテクノロジーがどのように応用されているのかが紹介される。 当日も使用される遠隔文字通訳システム「captiOnline(キャプションライン)」は、機械学習を利用した音声認識による文字通訳がウェブプラウザのみで簡単に使用できる仕組みだ。音声が即座に高い精度で文字化され、音声会議ソフトに簡単に表示できる。イベントの登壇者の一人、若月大輔准教授が開発したシステムだ。類似の仕組みは複数あるが「特別なアプリやソフトをインストールすることなく、誰でも簡単に文字通訳を遠隔で利用できることがcaptiOnlineの強み」だという。 「改善のアイデア共有できたら」 近年めざましく進歩している音声認識による文字通訳だが、認識精度の問題や機材の煩雑さなど課題も多い。スタッフの高田愛未さん(筑波大4年)は「音声認識のテクノロジーは確かにすごいが、一方でまだまだ不便な点も多くある。そうした不便さを参加者で感じとり、改善するためのアイデアなどを共有していけたらうれしい」と話す。 聴覚障害者も企画の運営に一緒に参加している。スタッフの一人、千葉県在住の寺尾耀一郎さんは、聴覚・視覚障害者が学ぶ筑波技術大学の卒業生だ。寺尾さんは「聴覚障害者を支える技術が、どのように使われているのかを知ることが大事。技術がそこにあるというだけではなくて、どうすれば使いこなせるのかを考える機会をつくりたい」と語る。 竹園東小学校で難聴学級の担任をしている奥沢忍さんは、聞こえにくい児童と聞こえる児童が同じように学級に参加するための試みについて発表する。「小学校に難聴学級が単独で設置されている例は珍しい。貴重な実践の話をしてもらえると思う」とスタッフの高田さんは話す。 「みんなの学会~コミュニケーションを支えるテクノロジー」は21日午後1時からオンラインで開催される。すべてに手話通訳および文字通訳が付く。学生だけでなく一般市民の参加も歓迎している。申し込みはみんなの学会参加申し込みフォーム。

Most Read